特許第6740137号(P6740137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6740137単発ヘリコプタの固体推進剤推進システムを補助する装置、このような装置を備えた単発ヘリコプタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6740137
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】単発ヘリコプタの固体推進剤推進システムを補助する装置、このような装置を備えた単発ヘリコプタ
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/32 20060101AFI20200730BHJP
   F02C 3/26 20060101ALI20200730BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20200730BHJP
   B64D 41/00 20060101ALI20200730BHJP
   B64D 33/00 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   F02C7/32
   F02C3/26
   B64C27/04
   B64D41/00
   B64D33/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-561761(P2016-561761)
(86)(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公表番号】特表2017-521589(P2017-521589A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】FR2015050878
(87)【国際公開番号】WO2015155450
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】1453123
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティリエ,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】セルギンヌ,カメル
(72)【発明者】
【氏名】マルコニ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】べス,ジャン−ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ギユメット,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥメゾン,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】バラ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ダンギー,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】サンニノ,ジャン−ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】マリュショー・ドゥ・シャノー,ニコラ
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02460246(GB,A)
【文献】 国際公開第2014/015847(WO,A1)
【文献】 特開2003−056368(JP,A)
【文献】 特開平05−193579(JP,A)
【文献】 米国特許第3455182(US,A)
【文献】 米国特許第3362255(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第3019224(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/04
B64D 33/00
B64D 41/00
F02C 3/26
F02C 7/32
F02C 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単発ヘリコプタの推進システムを補助する補助装置であって、ヘリコプタのロータ(88)を回転させるのに適した動力伝達ギアボックス(15)に連結されたターボシャフトエンジンを備え、前記エンジンは、ガス発生機(7)と、ガス発生機(7)と連動するフリータービン(12)と、減速ギアボックス(13)と、前記動力伝達ギアボックス(15)に連結された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィール(14)とを備え、前記補助装置は、
‐前記動力伝達ギアボックス(15)に機械的に連結されるのに適した出力シャフト(34)を回転駆動する駆動タービン(18)と、
‐前記駆動タービン(18)が加圧流体からのエネルギーを、前記出力シャフト(34)を回転させる機械的動力に変換することを可能にするように、前記駆動タービン(18)に前記加圧流体を供給する制御された供給手段(16)と、
を備え
以下の構成、つまり
‐フリーホィール(20)が、前記動力伝達ギアボックス(15)に直接連結された構成と、
‐フリーホィール(20)が、前記ターボシャフトエンジンの前記パワーフリーホィール(14)と前記動力伝達ギアボックス(15)との間に配置されたシャフト(21)に直接連結された構成と、
‐フリーホィール(20)が、前記ターボシャフトエンジンの前記減速ギアボックス(13)と前記ターボシャフトエンジンの前記パワーフリーホィール(14)との間に配置されたシャフト(66)に直接連結された構成と、
‐フリーホィール(20)が、前記フリータービン(12)と前記ターボシャフトエンジンの前記減速ギアボックス(13)との間に配置されたシャフト(6)に直接連結された構成と、
のうちの1つで、前記駆動タービン(18)の前記出力シャフト(34)と前記動力伝達ギアボックス(15)との間に配置されるのに適したフリーホィール(20)をさらに備えることを特徴とする、補助装置。
【請求項2】
前記駆動タービン(18)の前記制御された供給手段(16)が、気圧式、液圧式、火工技術式、および/または電気的手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の補助装置。
【請求項3】
前記駆動タービン(18)の前記制御された供給手段(16)が、
‐駆動タービンの入口(44)に連結されたガス出口を備える少なくとも1つの固体推進剤ガス発生機(22)と、
‐電気制御されたガス発生機(22)を点火させる少なくとも1つの点火装置(24)と
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の補助装置。
【請求項4】
前記供給手段(16)が複数の別個の動力供給源が存在するように複数の固体推進剤ガス発生機を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の補助装置。
【請求項5】
前記駆動タービン(18)に供給を行う前記供給手段(16)が、ガス発生機(22)のガス出口を駆動タービンの入口(44)に連結する電子モジュール(28)によって制御される吐出弁(26)をさらに備えることを特徴とする、請求項3に従属する請求項に記載の補助装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の少なくとも1つの補助装置を備えることを特徴とする、単発ヘリコプタの推進システムの構造。
【請求項7】
推進システムを備えるヘリコプタであって、前記推進システムが請求項6に記載の構造を有することを特徴とするヘリコプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単発ヘリコプタの推進システムを補助する装置および方法に関する。このタイプの装置は特に、ヘリコプタエンジンの故障に続く自動回転飛行中に単発ヘリコプタを補助することを目的とし、前記エンジンはターボシャフトエンジン、燃焼エンジン、または電気モータであることが可能である。
【背景技術】
【0002】
単発ヘリコプタは、ただ1つのターボシャフトエンジンまたは内燃エンジンが設けられたヘリコプタである。このタイプのヘリコプタの単一エンジンが任務中に故障すると、パイロットは、自動回転飛行として知られる等級低下された飛行手順に極めて急速に従わなくてはならない。
【0003】
実際に、この手順は、特に英国特許出願公開第2460246号明細書および英国特許出願公開第605971号特許明細書で説明されるように、実施するのに複雑であり、特に、操縦開始時のコレクティブピッチを縮小することを目的としたステップと、操縦終了時のコレクティブピッチへの作用と地上への接近とを同期させることを目的としたステップとが複雑である。ちなみに、統計の示すところでは、実際にはパイロットによって実施された自動回転の50%を超えるものがヘリコプタへのダメージをもたらしている。
【0004】
したがって、単発ヘリコプタの単一エンジンが故障した場合に、自動回転飛行中に使用されることが可能な、または自動回転飛行への移行を確実にすることを可能にする、単発ヘリコプタを補助する装置を提供することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2460246号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第605971号特許明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、万一エンジンが制御不能な形で停止した場合に、自動回転飛行中に単発ヘリコプタを補助することを可能にする単発ヘリコプタの推進システムを補助する装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、少なくとも1つの実施形態で、ヘリコプタの総重量に対して顕著な影響を有さないこのタイプの装置を提供することも目的とする。
【0008】
本発明は、単発ヘリコプタの推進システムを補助する方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを行うために、本発明は、単発ヘリコプタの推進システムを補助する装置であって、ヘリコプタのロータを回転させるのに適した動力伝達ギアボックスに連結されたエンジンを備え、前記エンジンは、ガス発生機と、ガス発生機と連動するフリータービンと、減速ギアボックスと、前記動力伝達ギアボックスに連結された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィールとを備え、前記補助装置は、
‐前記動力伝達ギアボックスに機械的に連結されるのに適した出力シャフトを回転駆動するタービンと、
‐前記駆動タービン(18)が加圧流体のエネルギーを、前記出力シャフトを回転させる機械的動力に変換するのを可能にするように、前記タービンに前記加圧流体を供給する制御された手段と、
を備える補助装置であって、
以下の構成、つまり
‐フリーホイールが前記動力伝達ギアボックスに直接連結された構成と、
‐フリーホイールが前記ターボシャフトエンジンの前記パワーフリーホィールと前記動力伝達ギアボックスとの間に配置されたシャフトにそれが直接連結された構成と、
‐フリーホイールが前記ターボシャフトエンジンの前記減速ギアボックスと前記ターボシャフトエンジンの前記パワーフリーホィールとの間に配置されたシャフトにそれが直接連結された構成と、
‐フリーホイールが前記フリータービンと前記ターボシャフトエンジンの前記減速ギアボックスとの間に配置されたシャフトにそれが直接連結された構成と、
のうちの1つで、前記駆動タービンの前記出力シャフトと前記動力伝達ギアボックスとの間に配置されるのに適したフリーホィールをさらに備えることを特徴とする補助装置に関する。
【0010】
したがって、本発明による装置は、必要なときに動力伝達ギアボックス(以下ではPTGと呼ばれる)に機械的動力が提供されることを可能にする。したがってこのタイプの装置は、特に飛行の最終段階で、自動回転飛行中にヘリコプタを機械的に補助するのに特に適している。
【0011】
さらに、このタイプの装置は、駆動タービンとこのタービンに流体を供給する手段とを備える。これはサイズの小さな機器であり、ヘリコプタの総重量と比較すれば無視できる重量しか有さない。したがってそれは、単発ヘリコプタの性能に悪影響を有さずにヘリコプタ内に据え付けられることが可能である。またこの機器はより信頼性があり、それは本発明による装置が堅牢かつ信頼性のあることを意味する。
【0012】
したがって本発明による装置の使用は、ヘリコプタの自動回転飛行をより信頼のおけるものにすることと、ヘリコプタが長時間静止されることを必要とする、ダメージなく起こる着陸の割合を実質的に向上させることとを可能にする。
【0013】
本発明による装置は複数の構成も可能にする。例えば、1つの構成によると、それは、駆動タービンの出力シャフトと動力伝達ギアボックス(PTG)との間に配置された減速ギアボックスおよびフリーホィールを備える。
【0014】
他の構成によると、フリーホィールは前記動力伝達ギアボックスに直接連結される。このタイプの構成は、PTGに余剰の動力を可能な限りきっちりと提供することが可能であり、かつこの構成で、内燃エンジンなどの他のタイプのエンジンにもそれが適しているという利点を有する。したがって、補助装置はPTGの上流に位置付けられた全てのエンジン要素の故障を軽減することを可能にする。
【0015】
他の構成によると、フリーホィールは、前記エンジンの前記パワーフリーホィールと前記動力伝達ギアボックスとの間に配置されたシャフトに直接連結される。このタイプの構成は、PTGの入力部に余剰の動力を可能な限りきっちりと提供することが可能であるという利点も有する。先の構成と比較して、この構成は、エンジン周辺部内に配置されたシャフトに連結を提供するという利点も有する。
【0016】
他の構成によると、フリーホィールは、前記エンジンの前記減速ギアボックスと前記エンジンの前記パワーフリーホィールとの間に配置されたシャフトに直接連結される。このタイプの構成は、エンジン周辺部内に残るという利点を有する。しかし、それはパワーフリーホィールの潜在的な故障を軽減することを可能にしない。
【0017】
他の構成によると、装置は減速ギアボックスを備えない。このタイプの装置は、エンジンの減速ギアボックスの上流のシャフトに直接連結されたフリーホィールのみを備える。このタイプの構成は、それがエンジンの減速ギアボックスを使用するという前提で、補助装置に特有の減速ギアボックスを必要としないという利点を有する。このことは空間および重量に関して節約することを可能にする。
【0018】
有利に、本発明によると、前記タービンに流体を供給する前記制御された手段は、状況に依存して気圧式、液圧式、火工技術式、および/または電気的手段を備える。
【0019】
本発明による装置用の駆動タービンは任意のタイプであることができる。特に、それには加圧ガス流体が供給される。前記タービンの暖機を制御する手段は気圧式、液圧式、電気的、または火工技術式であることができる。
【0020】
有利に、本発明によると、駆動タービンに供給を行う前記制御された手段は、
‐駆動タービンの入口に連結されたガス出口を備える少なくとも1つの固体推進剤ガス発生機と、
‐電気制御されたガス発生機を点火させる少なくとも1つの装置と、を備える。
【0021】
駆動タービンに加圧流体を供給するこのタイプの制御された手段は、固体推進剤ガス発生機を備える新たな技術を使用する。このタイプの発生機は比較的コンパクトであり、例えばターボシャフトエンジン内、または動力を主伝達ギアボックスに伝達する連鎖に沿った他の点のいずれでも容易に統合されることが可能である。固体推進剤は、燃焼によって高エネルギーの燃焼生成物が作り出される(酸化還元反応)ことを可能にする。駆動タービンに供給を行うこのタイプの制御された手段は、例えば蓄圧器と比較して大きな動力およびエネルギー密度を有する。さらに、このタイプの供給手段は、ヘリコプタの電気回路網から完全に独立していることによって益を得る。
【0022】
エンジンが故障すると、操縦士によってガス発生機を点火させる装置が適切な時間に(ロータ回転の急降下に対抗するために故障の初めに、または地上付近で)活動化される。この活動化は固体推進剤ガス発生機の始動をもたらす。発生機によって作り出されたガスは出力シャフトを駆動するタービンを、したがってこの出力シャフトに機械的に連結された動力伝達ギアボックスを回転させる。
【0023】
このように、本発明のこの変化形態による補助装置は、動力伝達ギアボックスへの駆動、したがってヘリコプタのロータシステムへの駆動が維持されることを可能にする動力を提供することによって、エンジンの使用を喪失した単発ヘリコプタを急速に補助することを可能にする。このタイプの装置は、コレクティブピッチを縮小することを目的とした危機的段階で操縦士を補助するために自動回転の開始時に、あるいはコレクティブピッチへの作用と地上への接近とを同期させることを目的とした段階中の自動回転の終了時に、作動されることが可能である。
【0024】
有利に、本発明によると、装置は、複数の別個の動力提供源が存在するように、前記装置を連続的に活動化することが可能であるように複数の固体推進剤ガス発生機を備える。
【0025】
有利に、この変化形態によると、駆動タービンに供給を行う手段は、ガス発生機のガス出口を駆動タービンの入口に連結する、電子モジュールによって制御された吐出弁をさらに備える。
【0026】
本発明は、単発ヘリコプタの推進システムの構造であって、本発明による少なくとも1つの補助装置を備えることを特徴とする、構造にも関する。
【0027】
有利に、本発明の変化形態によると、推進システムの構造は、
‐ガス発生機と、前記ガス発生機によって供給が行われるフリータービンと、フリータービンの出力部に配置された減速ギアボックスと、減速ギアボックスと動力伝達ギアボックスとの間に配置された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィールとを備えるターボシャフトエンジンと、
‐駆動タービンの出力シャフトとターボシャフトエンジンの減速ギアボックスの入力部との間に配置されたフリーホィールを備える、本発明による補助装置と、を備える。
【0028】
有利に、本発明の他の変化形態によると、推進システムの構造は、
‐ガス発生機と、前記ガス発生機によって供給が行われるフリータービンと、フリータービンの出力部に配置された減速ギアボックスと、減速ギアボックスと動力伝達ギアボックスとの間に配置された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィールとを備えるターボシャフトエンジンと、
‐駆動タービンの出力シャフトと動力伝達ギアボックスとの間に配置された減速ギアボックスおよびフリーホィールを備える、本発明による補助装置と、を備える。
【0029】
本発明は、推進システムを備えるヘリコプタであって、前記推進システムは本発明による構造を有することを特徴とする、ヘリコプタにも関する。
【0030】
本発明は、ヘリコプタのロータを回転させるのに適した動力伝達ギアボックスに連結されたエンジンを備える単発ヘリコプタの推進システムを補助する方法であって、
‐前記動力伝達ギアボックスに機械的に連結された駆動タービンへの加圧流体の供給を制御するステップと、
‐前記駆動タービンによって、加圧流体からの動力を、前記動力伝達ギアボックスを回転させる機械的動力に変換するステップと、を備える方法にも関する。
【0031】
本発明は、上述または下述の特色の全てまたは一部による組み合わせを特徴とする補助方法、推進システムの構造、およびヘリコプタにも関する。
【0032】
純粋に非制限的な実施例としてここに掲げられ、添付図面に関する以下の説明を読めば、本発明の他の目的、特色、および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態による単発ヘリコプタの推進システムを補助する装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態による補助装置を備える、本発明の実施形態による推進システムの構造の概略図である。
図3】本発明の実施形態による補助装置を備える、本発明の他の実施形態による推進システムの構造の概略図である。
図4】本発明の実施形態による補助装置を備える、本発明の他の実施形態による推進システムの構造の概略図である。
図5】本発明の他の実施形態による補助装置を備える、本発明の他の実施形態による推進システムの構造の概略図である。
図6】本発明の他の実施形態による補助装置を備える、本発明の他の実施形態による推進システムの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明による補助装置は、図1に示されるように、出力シャフト34を回転駆動するタービン18を備える。出力シャフト34はヘリコプタの動力伝達ギアボックス15に機械的に連結され、動力伝達ギアボックス15はヘリコプタのロータ88に連結される。
【0035】
それは、駆動タービン18が、前記加圧流体からのエネルギーを、出力シャフト34を回転させる機械的動力に変換することを可能にするように、タービン18に加圧流体を供給する制御された手段16も備える。
【0036】
図1の実施形態によると、駆動タービン18に供給を行う制御された手段16は火工技術式手段である。それらは固体推進剤ガス発生機22と、電気制御された固体推進剤を点火させる装置24と、点火装置24に連結されたコンピュータ28とを備える。発生機22のガス出口は導管によって駆動タービン18の入口44に連結される。
【0037】
この場合、ガス発生機22は、発生機の望ましいガス流量則に適合された形状の、1つまたは複数の固体推進剤充填物を含む円筒体を備え、この円筒体は燃焼室の働きをする。留意されるべきは、望ましい流量則は充填物の形状を適切に選択することによって、かつ/または充填物の特定部分を完全または部分的に抑制することによって得られるということである。
【0038】
推進剤充填物の表面を点火させた後、充填物の表面は燃え、充填物の形状とそれへの抑制とから生じた流量則に従って高圧燃焼ガスを作り出すことによって前進する。ガスは発生機の出口で放出され、タービン18の入口44へ搬送される。ガスの経路が矢印30および32によって表される。
【0039】
点火装置24はコンピュータ28によって電気制御され、コンピュータ28によって対応する信号が発信されるや否や推進剤の燃焼を活性化するよう意図されている。
【0040】
コンピュータ28は、航空学の分野で一般的に使用されるような電子制御モジュールである。操縦士が単発ヘリコプタの単一のターボシャフトエンジンに動力の喪失を検出すると、操縦士はコンピュータ28に指令を送信する。それは、駆動タービン18に固形推進剤の燃焼によって発生された燃焼ガスが供給されるように点火装置24を活動化する。
【0041】
駆動タービン18は、例えば超音速タイプのタービンである。それは基本的に、ロータホィール36を支持するシャフト34を備え、シャフト34はタービンのケーシング42内に取り付けられた軸受40によって回転誘導される。ケーシング42は、タービン18の入口44を形成する、タービンに供給を行う環状空洞46の中に通じる径方向開口部を備える。この空洞46は、上流から下流へ一定の断面積を有ることができ、またはそれとは対照的に、上流から下流へ変化する断面を有することもでき、この空洞は当業者によって最適化される。
【0042】
空洞46を貫通する燃焼ガスは拡散し、ホィール36の羽根48を通って流れ(矢印50)、これがホィール36、したがってシャフト34をその軸の周りの回転させる(矢印52)。次いでガスは前記タービンの排出ノズルを通ってタービン18から去り、外部に放出される(矢印50)。固体粒子がタービンのダクトの中に導入されるのを制限するようにタービンの上流にフィルタ53が取り付けられることができる。
【0043】
シャフト34は、減速ギアボックス19およびフリーホィール20によって、動力伝達ギアボックス15にトルクを伝達することを可能にする。
【0044】
他の実施形態によると、駆動タービンは内向き流のタービンであることができ、一般的に流体からの動力を機械的動力に変換することを可能にする任意のタイプの回転機械であることができる。それは例えば、本出願人名義の仏国特許出願第2990004号明細書で述べられるような、スパーピニオンエンジンであることができる。
【0045】
図2から図6は、本発明による補助装置を備えるヘリコプタの推進システムの構造の様々な実施形態を示す。これらの異なった構造は、シャフト34と動力伝達ギアボックス15との間の異なった結合構成の実例を示す。図2から図6では、タービン18とエネルギー流体を制御および発生させる手段16とは、明確にするために詳しく示されない。
【0046】
図2から図6の実施形態によると、推進システムは内燃エンジン、あるいはターボシャフトエンジンであって、フリータービン12に供給を行うガス発生機7と、減速ギアボックス13と、パワーフリーホィールと呼ばれる、動力伝達ギアボックス15に連結されたフリーホィール14とから形成されたターボシャフトエンジンを備える。知られているように、ガス発生機7は燃焼室9に供給を行う少なくとも1つの空気圧縮機8を備え、燃焼室9は圧縮空気内で燃料を燃焼し、ガスを部分的に拡散させる少なくとも1つのタービン10に高温ガスを供給し、タービンは駆動シャフト11によって圧縮機8を回転させる。次いでガスは動力伝達フリータービン12を駆動する。このフリータービン12は、減速ギアボックス13およびパワーフリーホィール14によって動力伝達ギアボックス15に連結された動力伝達シャフト6を備える。このパワーフリーホィール14は、ターボシャフトエンジンの機械的ロックが、動力伝達ギアボックス15の機械的ロック、ひいては前記ターボシャフトエンジンが取り付けられたヘリコプタのロータの機械的ロックを引き起こすのを防止することを可能にする。
図2は、フリーホィール20が動力伝達ギアボックス15に直接連結された実施形態を示す。この実施形態は内燃エンジンにも適している。
【0047】
図3は、フリーホィール20が、ターボシャフトエンジンのパワーフリーホィール14と動力伝達ギアボックス15との間に配置されたシャフト21に連結された実施形態を示す。この実施形態は内燃エンジンにも適している。
【0048】
図4は、フリーホィール20がターボシャフトエンジンの減速ギアボックス13の出力部または中間段に連結された実施形態である。フリーホィール20と減速ギアボックス13の出力部との間の機械的連結が、図4のシャフト66によって表される。
【0049】
図5は、フリーホィール20がターボシャフトエンジンの減速ギアボックス13の入力部に連結された実施形態である。この実施形態によると、補助装置は特定の減速ギアボックスを備えない。フリーホィール20と減速ギアボックス13の出力部との間のこの機械的連結が、図5のシャフト6によって表される。
【0050】
最後に、図6は、補助装置が少なくとも2つの固体推進剤ガス発生機16a、16bを備える実施形態を示す。
【0051】
このタイプの補助装置は多行程システムを形成し、したがってそれは単一行程システムよりも大きな動力を有する。この多行程システムの場合には、駆動タービン18に供給を行う制御された手段は、固体推進剤ガス発生機16a、16bに加えて、ガス発生機のガス出口を駆動タービン18の入口44に連結する吐出弁26を備えることができて、いずれのガス発生機が駆動タービン18に供給を行うかを選択するようにする。したがって、ガス発生機の点火措置を制御することを可能にするコンピュータは、それが制御されるようにこの弁26に連結される。
【0052】
他の変化形態によると、発生機16bの動作中に発生機16aを保護するように、発生機16aとタービン18との間に隔離弁23が配置される。このタイプの変化形態は、最初に動作するのが常に発生機16bであるときに特に適している。
【0053】
他の変化形態(図面に示されず)によると、かついずれの発生機が最初に動作するか決定されてない場合、2つの隔離弁23がそれぞれ発生機16aとタービン18との間、発生機16bとタービン18との間に配置される。このタイプの変化形態は、他の発生機の動作中に各発生機を保護することを可能にする。
【0054】
図6は、明確にするために隔離弁23と吐出弁26とを同時に示す。そう述べられても、これらの2つの弁が同時に存在する必要はない。言い換えれば、3つの構造が可能である。つまり2つの隔離弁が提供される構造と、最初に活動化されるのが常に同じ発生機である場合の、単一の隔離弁が提供される構造と、単一の吐出弁が提供される構造とである。
【0055】
本発明は、ヘリコプタのロータを回転させるのに適した動力伝達ギアボックスに連結されたターボシャフトエンジンを備える単発ヘリコプタの推進システムを補助する方法にも関する。このタイプの方法は、前記動力伝達ギアボックスに機械的に連結された駆動タービンへの加圧流体の供給を制御するステップと、前記駆動タービンによって、加圧流体からの動力を、前記動力伝達ギアボックスを回転させる機械的動力に変換させるステップとを備える。
【0056】
駆動タービン18に加圧流体を供給する制御指令は、ヘリコプタの操縦士によってコックピット内のスイッチによって実行される。このスイッチは、例えば、図1に関連して述べられたようにタービンが固体推進剤ガス発生機から生じるガスによって供給が行われる場合に、火工技術式起動装置として作用する、コンピュータ28に給電するための専用電気回路網を使用することを可能にする。
【0057】
補助装置が偶発的に活動化されるのを防止するために、制御手段は、少なくとも1つの所定の条件が満たされない場合は制御指令が実行されないように構成されることができる。各所定条件は、飛行条件を考慮して、システムによるPTGの駆動を危険または無効にする状況を特徴とする。
【0058】
例えば、制御指令が実行されるのを防止するために、理論的な組み合わせの以下の条件が提供される。
【0059】
‐ヘリコプタは、最低高度sol_min(例えば100フィート)よりも大きな高度で飛行する。
【0060】
‐ロータの回転速度NRは、所定の最低回転速度NRmin(例えば飛行マニュアルからのNRmin)よりも高い。
【0061】
当然ながら、要件により、かつ設置されなければならない安全防護装置に依存して、他の条件も提供される場合がある。
【0062】
本発明は、ここに述べられた実施形態だけに限定されない。特に、他の実施形態によると、補助装置は、いずれの発生機によっても駆動タービンに供給が行われることが可能であるように、複数の固体推進剤ガス発生機を備えることができる。このことは、潜在的に飛行中の2つの異なった瞬間に(例えば自動回転手順の開始時と終了時に)、少なくとも2つの異なったルートによって追加の動力が存在することを可能にする。さらに、このことは異なったサイズの保管装置が存在することを可能にし、このことは望ましい外形が調整されることも可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6