【課題を解決するための手段】
【0009】
これを行うために、本発明は、単発ヘリコプタの推進システムを補助する装置であって、ヘリコプタのロータを回転させるのに適した動力伝達ギアボックスに連結されたエンジンを備え、前記エンジンは、ガス発生機と、ガス発生機と連動するフリータービンと、減速ギアボックスと、前記動力伝達ギアボックスに連結された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィールとを備え、前記補助装置は、
‐前記動力伝達ギアボックスに機械的に連結されるのに適した出力シャフトを回転駆動するタービンと、
‐前記駆動タービン(18)が加圧流体のエネルギーを、前記出力シャフトを回転させる機械的動力に変換するのを可能にするように、前記タービンに前記加圧流体を供給する制御された手段と、
を備える補助装置であって、
以下の構成、つまり
‐フリーホイールが前記動力伝達ギアボックスに直接連結された構成と、
‐フリーホイールが前記ターボシャフトエンジンの前記パワーフリーホィールと前記動力伝達ギアボックスとの間に配置されたシャフトにそれが直接連結された構成と、
‐フリーホイールが前記ターボシャフトエンジンの前記減速ギアボックスと前記ターボシャフトエンジンの前記パワーフリーホィールとの間に配置されたシャフトにそれが直接連結された構成と、
‐フリーホイールが前記フリータービンと前記ターボシャフトエンジンの前記減速ギアボックスとの間に配置されたシャフトにそれが直接連結された構成と、
のうちの1つで、前記駆動タービンの前記出力シャフトと前記動力伝達ギアボックスとの間に配置されるのに適したフリーホィールをさらに備えることを特徴とする補助装置に関する。
【0010】
したがって、本発明による装置は、必要なときに動力伝達ギアボックス(以下ではPTGと呼ばれる)に機械的動力が提供されることを可能にする。したがってこのタイプの装置は、特に飛行の最終段階で、自動回転飛行中にヘリコプタを機械的に補助するのに特に適している。
【0011】
さらに、このタイプの装置は、駆動タービンとこのタービンに流体を供給する手段とを備える。これはサイズの小さな機器であり、ヘリコプタの総重量と比較すれば無視できる重量しか有さない。したがってそれは、単発ヘリコプタの性能に悪影響を有さずにヘリコプタ内に据え付けられることが可能である。またこの機器はより信頼性があり、それは本発明による装置が堅牢かつ信頼性のあることを意味する。
【0012】
したがって本発明による装置の使用は、ヘリコプタの自動回転飛行をより信頼のおけるものにすることと、ヘリコプタが長時間静止されることを必要とする、ダメージなく起こる着陸の割合を実質的に向上させることとを可能にする。
【0013】
本発明による装置は複数の構成も可能にする。例えば、1つの構成によると、それは、駆動タービンの出力シャフトと動力伝達ギアボックス(PTG)との間に配置された減速ギアボックスおよびフリーホィールを備える。
【0014】
他の構成によると、フリーホィールは前記動力伝達ギアボックスに直接連結される。このタイプの構成は、PTGに余剰の動力を可能な限りきっちりと提供することが可能であり、かつこの構成で、内燃エンジンなどの他のタイプのエンジンにもそれが適しているという利点を有する。したがって、補助装置はPTGの上流に位置付けられた全てのエンジン要素の故障を軽減することを可能にする。
【0015】
他の構成によると、フリーホィールは、前記エンジンの前記パワーフリーホィールと前記動力伝達ギアボックスとの間に配置されたシャフトに直接連結される。このタイプの構成は、PTGの入力部に余剰の動力を可能な限りきっちりと提供することが可能であるという利点も有する。先の構成と比較して、この構成は、エンジン周辺部内に配置されたシャフトに連結を提供するという利点も有する。
【0016】
他の構成によると、フリーホィールは、前記エンジンの前記減速ギアボックスと前記エンジンの前記パワーフリーホィールとの間に配置されたシャフトに直接連結される。このタイプの構成は、エンジン周辺部内に残るという利点を有する。しかし、それはパワーフリーホィールの潜在的な故障を軽減することを可能にしない。
【0017】
他の構成によると、装置は減速ギアボックスを備えない。このタイプの装置は、エンジンの減速ギアボックスの上流のシャフトに直接連結されたフリーホィールのみを備える。このタイプの構成は、それがエンジンの減速ギアボックスを使用するという前提で、補助装置に特有の減速ギアボックスを必要としないという利点を有する。このことは空間および重量に関して節約することを可能にする。
【0018】
有利に、本発明によると、前記タービンに流体を供給する前記制御された手段は、状況に依存して気圧式、液圧式、火工技術式、および/または電気的手段を備える。
【0019】
本発明による装置用の駆動タービンは任意のタイプであることができる。特に、それには加圧ガス流体が供給される。前記タービンの暖機を制御する手段は気圧式、液圧式、電気的、または火工技術式であることができる。
【0020】
有利に、本発明によると、駆動タービンに供給を行う前記制御された手段は、
‐駆動タービンの入口に連結されたガス出口を備える少なくとも1つの固体推進剤ガス発生機と、
‐電気制御されたガス発生機を点火させる少なくとも1つの装置と、を備える。
【0021】
駆動タービンに加圧流体を供給するこのタイプの制御された手段は、固体推進剤ガス発生機を備える新たな技術を使用する。このタイプの発生機は比較的コンパクトであり、例えばターボシャフトエンジン内、または動力を主伝達ギアボックスに伝達する連鎖に沿った他の点のいずれでも容易に統合されることが可能である。固体推進剤は、燃焼によって高エネルギーの燃焼生成物が作り出される(酸化還元反応)ことを可能にする。駆動タービンに供給を行うこのタイプの制御された手段は、例えば蓄圧器と比較して大きな動力およびエネルギー密度を有する。さらに、このタイプの供給手段は、ヘリコプタの電気回路網から完全に独立していることによって益を得る。
【0022】
エンジンが故障すると、操縦士によってガス発生機を点火させる装置が適切な時間に(ロータ回転の急降下に対抗するために故障の初めに、または地上付近で)活動化される。この活動化は固体推進剤ガス発生機の始動をもたらす。発生機によって作り出されたガスは出力シャフトを駆動するタービンを、したがってこの出力シャフトに機械的に連結された動力伝達ギアボックスを回転させる。
【0023】
このように、本発明のこの変化形態による補助装置は、動力伝達ギアボックスへの駆動、したがってヘリコプタのロータシステムへの駆動が維持されることを可能にする動力を提供することによって、エンジンの使用を喪失した単発ヘリコプタを急速に補助することを可能にする。このタイプの装置は、コレクティブピッチを縮小することを目的とした危機的段階で操縦士を補助するために自動回転の開始時に、あるいはコレクティブピッチへの作用と地上への接近とを同期させることを目的とした段階中の自動回転の終了時に、作動されることが可能である。
【0024】
有利に、本発明によると、装置は、複数の別個の動力提供源が存在するように、前記装置を連続的に活動化することが可能であるように複数の固体推進剤ガス発生機を備える。
【0025】
有利に、この変化形態によると、駆動タービンに供給を行う手段は、ガス発生機のガス出口を駆動タービンの入口に連結する、電子モジュールによって制御された吐出弁をさらに備える。
【0026】
本発明は、単発ヘリコプタの推進システムの構造であって、本発明による少なくとも1つの補助装置を備えることを特徴とする、構造にも関する。
【0027】
有利に、本発明の変化形態によると、推進システムの構造は、
‐ガス発生機と、前記ガス発生機によって供給が行われるフリータービンと、フリータービンの出力部に配置された減速ギアボックスと、減速ギアボックスと動力伝達ギアボックスとの間に配置された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィールとを備えるターボシャフトエンジンと、
‐駆動タービンの出力シャフトとターボシャフトエンジンの減速ギアボックスの入力部との間に配置されたフリーホィールを備える、本発明による補助装置と、を備える。
【0028】
有利に、本発明の他の変化形態によると、推進システムの構造は、
‐ガス発生機と、前記ガス発生機によって供給が行われるフリータービンと、フリータービンの出力部に配置された減速ギアボックスと、減速ギアボックスと動力伝達ギアボックスとの間に配置された、パワーフリーホィールと呼ばれるフリーホィールとを備えるターボシャフトエンジンと、
‐駆動タービンの出力シャフトと動力伝達ギアボックスとの間に配置された減速ギアボックスおよびフリーホィールを備える、本発明による補助装置と、を備える。
【0029】
本発明は、推進システムを備えるヘリコプタであって、前記推進システムは本発明による構造を有することを特徴とする、ヘリコプタにも関する。
【0030】
本発明は、ヘリコプタのロータを回転させるのに適した動力伝達ギアボックスに連結されたエンジンを備える単発ヘリコプタの推進システムを補助する方法であって、
‐前記動力伝達ギアボックスに機械的に連結された駆動タービンへの加圧流体の供給を制御するステップと、
‐前記駆動タービンによって、加圧流体からの動力を、前記動力伝達ギアボックスを回転させる機械的動力に変換するステップと、を備える方法にも関する。
【0031】
本発明は、上述または下述の特色の全てまたは一部による組み合わせを特徴とする補助方法、推進システムの構造、およびヘリコプタにも関する。
【0032】
純粋に非制限的な実施例としてここに掲げられ、添付図面に関する以下の説明を読めば、本発明の他の目的、特色、および利点が明らかになる。