特許第6740145号(P6740145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6740145
(24)【登録日】2020年7月28日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】平角線曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   B21F 3/04 20060101AFI20200730BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20200730BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20200730BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20200730BHJP
   H01F 41/061 20160101ALI20200730BHJP
【FI】
   B21F3/04 A
   H02K15/04 A
   H02K3/04
   H01F41/04 F
   H01F41/061
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-14361(P2017-14361)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-122311(P2018-122311A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松尾 烈
(72)【発明者】
【氏名】中川 修
(72)【発明者】
【氏名】神谷 友貴
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/115703(WO,A1)
【文献】 特開2009−283592(JP,A)
【文献】 特開2007−074881(JP,A)
【文献】 特開2011−061099(JP,A)
【文献】 特開2016−152652(JP,A)
【文献】 特開2008−228435(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0125167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 3/04
H01F 41/04
H01F 41/061
H02K 3/04
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が矩形状の平角線を曲げ加工し、コイルを形成する平角線曲げ装置であって、
前記平角線の長辺側の両側面と、該平角線と対向する位置に設けられたバックアップ部材の両側面と、を挟み込むように保持する保持部材と、
前記平角線の短辺側の一方の側面が当接するシャフト部材と、
前記平角線の短辺側の他方の側面を押圧し、前記短辺側の一方の側面を前記シャフト部材の外周面に対して押圧しつつ、前記シャフト部材の外周に沿って回転することで、該シャフト部材の外周面の曲面に従って、前記平角線を曲げる曲げ部材と、
前記曲げ部材の回転に連動して前記保持部材を回転させる回転機構と、
を備える、
ことを特徴とする平角線曲げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状が矩形状の平角線を曲げ加工し、コイルを形成する平角線曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平角線の長辺側の両側面を挟み込むように保持する保持部材と、平角線の短辺側の一方の側面が当接するシャフト部材と、平角線の短辺側の他方の側面に当接し、平角線の短辺側の一方の側面を、シャフト部材の外周に沿って回転しつつ、外周面に対して押圧することで、該外周面の曲面に従って、平角線を曲げる曲げ部材と、を備える平角線曲げ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−152652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平角線表面には油が付着しており、この油量が平角線の輸送、温度、保存状態などによって変化する。例えば、この油量が少ないと、保持部材と平角線の側面との間の摩擦力が大きくなる。さらに、上記平角線を曲げた際に、平角線の曲げた部分には、曲げにより短辺の幅が増加する曲げ膨らみ部が生じる。したがって、この曲げ膨らみ部は、膨らんだことによる摩擦力の増加と、油量が少ないことによる摩擦力の増加によって、上記曲げ部材による押圧が不十分となることがあり、平角線の曲げ不足が発生する虞がある。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、保持部材と平角線の側面との間の摩擦力を抑制し、安定した平角線曲げを実現できる平角線曲げ装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
断面形状が矩形状の平角線を曲げ加工し、コイルを形成する平角線曲げ装置であって、
前記平角線の長辺側の両側面を挟み込むように保持する保持部材と、
前記平角線の短辺側の一方の側面が当接するシャフト部材と、
前記平角線の短辺側の他方の側面を押圧し、前記短辺側の一方の側面を前記シャフト部材の外周面に対して押圧しつつ、前記シャフト部材の外周に沿って回転することで、該シャフト部材の外周面の曲面に従って、前記平角線を曲げる曲げ部材と、
前記曲げ部材の回転に連動して前記保持部材を回転させる回転機構と、
を備える、
ことを特徴とする平角線曲げ装置
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保持部材と平角線の側面との間の摩擦力を抑制し、安定した平角線曲げを実現できる平角線曲げ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る平角線曲げ装置の概略的構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る平角線曲げ装置の概略的構成を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る平角線曲げ装置によるコイル形成方法のフローを示すフローチャートである。
図4】(a)曲げコマと、フランジ部材の凸状部と、シャフト部材の凸状部と、の位置関係を示す上面視図である。(b)曲げコマと、フランジ部材の凸状部と、シャフト部材の凸状部と、の位置関係を示す上面視図である。
図5】本発明の実施形態2に係る平角線曲げ装置の概略的構成を示す断面図である。
図6】(a)曲げコマとシャフト部材の凸状部との位置関係を示す上面視図である。(b)曲げコマとシャフト部材の凸状部との位置関係を示す上面視図である。
図7】(a)第1及び第2クランプ部のクランプ状態を示す図である。(b)第1及び第2クランプ部のアンクランプ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る平角線曲げ装置の概略的構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態1に係る平角線曲げ装置の概略的構成を示す断面図である。本実施形態1に係る平角線曲げ装置1は、断面形状が矩形状の平角線Dを、エッジワイズ曲げ加工しコイルを形成するものである。平角線Dは、例えば、モータや発電機といった回転電機のロータやステータに取り付けるコイルに用いられ、その占積率を向上させている。
【0010】
本実施形態に係る平角線曲げ装置1は、平角線の長辺側の両側面を挟み込むように保持するフランジ部材2及びセンターガイド3と、平角線Dの短辺側の一方の側面が当接するシャフト部材4と、平角線Dの短辺側の他方の側面に当接し、平角線Dを曲げる曲げコマ5と、を備えている。
【0011】
フランジ部材2及びシャフト部材4は、例えば、一体でフランジシャフトとして構成されているが、別々に形成され連結されていてもよい。フランジ部材2は、円板状に形成されている。シャフト部材4は、円柱状に形成されている。フランジ部材2及びシャフト部材4は、全体で、傘状に構成される。
【0012】
センターガイド3は、傘状に形成された土台部31と、土台部31に設けられた軸受部32と、軸受部32に設けられた円環状の回転部33と、を有している。土台部31は、所定位置に固定され回転等の動作しない静止状態にある。
【0013】
土台部31は、中央部に軸線方向に沿って穴部34が形成されている。この穴部34には、シャフト部材4が挿入される。土台部31の傘部分には、円柱状の凹状部が形成されている。この凹状部内に、軸受部32が嵌合し固定されている。
【0014】
軸受部32の中心孔には、シャフト部材4が挿入されている。回転部33の一方の端面は、軸受部32に接触している。軸受部32は、後述のフランジ部材2にかかる荷重を、シャフト部材4を介して受ける。回転部33の中心孔には、シャフト部材4が挿入されている。
【0015】
フランジ部材2及びセンターガイド3は、保持部材の一具体例である。フランジ部材2には、下方向に荷重が付加される。これにより、フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面とで、平角線Dの長辺側の両側面は、上下方向から挟み込まれるように保持される。フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面との間には、平角線Dと対向する位置にバックアップ部材6が設けられている。このバックアップ部材6の厚さを調整することで、上記平角線Dの長辺側の両側面を挟み込む際の挟込み力を最適に調整できる。
【0016】
曲げコマ5は、曲げ部材の一具体例である。曲げコマ5は、平角線Dの短辺側の他方の側面を押圧する。そして、曲げコマ5は、平角線Dの短辺側の一方の側面をシャフト部材4の外周面に対して押圧しつつ、シャフト部材4の外周に沿って回転することで、該シャフト部材4の外周面の曲面に従って、平角線Dを曲げる。曲げコマ5は、例えば、センターガイド3の傘部分に円形状に沿って、回転移動(円軌道で移動)する。曲げコマ5には、ギア等で駆動伝達可能に接続される回転駆動機構が隣接して設けられている。
【0017】
図3は、本実施形態1に係る平角線曲げ装置によるコイル形成方法のフローを示すフローチャートである。
【0018】
まず、平角線Dの曲げを行う位置で、フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面とで、平角線Dの長辺側の両側面を上下方向から挟み込む(ステップS101)。
【0019】
次に、曲げコマ5は、平角線Dの短辺側の一方の側面をシャフト部材4の外周面に対して押圧しつつ、シャフト部材4の外周に沿って回転することで、該シャフト部材4の外周面の曲面に従って、平角線Dを曲げる(ステップS102)。このとき、曲げコマ5は、シャフト部材4の外周面の曲面に従って、平角線Dを90°よりやや大きな角度で曲げる。これは、平角線Dの曲げ加工は塑性変形であるが、必然的に多少の弾性変形成分が存在し、いわゆるスプリングバックが生じるからである。したがって、後述の開放後、曲げが少し戻った状態でちょうど直角となるように、上記曲げ形状が設定されている。
【0020】
フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面とでの、平角線Dの挟み込みを開放状態にする(ステップS103)。
平角線Dの次の曲げを行う位置まで、送り機構などを用いて平角線を送る(ステップS104)。
【0021】
以上の(ステップS101)乃至(ステップS104)の曲げ加工を繰返し、角形のエッジワイズコイルを巻線する。
【0022】
ところで、平角線表面には、通常、油が付着しており、その油量が平角線の輸送、温度、保存状態などによって変化する。従来、例えば、この油量が少ないと、フランジ部材及びセンターガイドと、平角線の側面と、の間の摩擦力が大きくなる。さらに、平角線を曲げた際に、平角線の曲げた部分には、曲げにより短辺の幅が増加する曲げ膨らみ部が生じる。したがって、この曲げ膨らみ部は、膨らんだことによる摩擦力の増加と、油量が少ないことによる摩擦力の増加によって、曲げコマによる押圧が不十分となることがあり、平角線の曲げ不足が発生する虞がある。
【0023】
これに対し、本実施形態1に係る平角線曲げ装置1は、上述の如く、曲げコマ5の回転に連動してフランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33を回転させる回転機構を備える。
【0024】
これにより、曲げコマ5を回転させ平角線Dを曲げる際に、曲げコマ5と連動してフランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33を回転させることで、フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面とで、平角線Dの長辺側の両側面を上下方向から挟み込み、その状態で挟み込んだ部分を曲げることができる。したがって、上記のような曲げ膨らみ部の発生を抑制でき、フランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33と、平角線Dの側面と、の間の摩擦力を小さく抑制できる。よって、曲げコマ5による押圧が不十分となることなく、平角線Dの曲げ不足が発生することがない。すなわち、フランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33(保持部材)と平角線Dの側面との間の摩擦力を抑制し、安定した平角線曲げを実現できる。
【0025】
ここで、上述した回転機構について、詳細に説明する。
シャフト部材4の外周面には、凸状部41が形成されている。センターガイド3の回転部33の中心孔の内周面には、このシャフト部材4の凸状部41に対応するように、凹状部35が形成されている。シャフト部材4の凸状部41と、回転部33の凹状部35と、が嵌合することで、シャフト部材4と回転部33とは、一体で回転する。また、上述の如く、フランジ部材2及びシャフト部材4は、一体で構成されている。したがって、フランジ部材2、シャフト部材4及びセンターガイド3の回転部33は、土台部31に固定された軸受部32に軸支され、一体で回転する。
【0026】
なお、シャフト部材4に凸状部41が形成され、回転部33に凹状部35が形成されているが、これに限定されない。例えば、シャフト部材4に凹状部が形成され、回転部33に凸状部が形成されていてもよく、シャフト部材4及び回転部33が一体で回転できれば任意の構成でよい。
【0027】
曲げコマ5は、断面形状がL字状に形成されている。曲げコマ5の先端付近の上面には、凹状部51が形成されている。フランジ部材2の下面には、曲げコマ5の凹状部51に対応させて、凸状部21が形成されている。曲げコマ5の凹状部51と、フランジ部材2の凸状部21と、が嵌合することで、曲げコマ5とフランジ部材2とは、一体で回転する。したがって、曲げコマ5が回転すると、曲げコマ5、フランジ部材2、シャフト部材4及びセンターガイド3の回転部33は、一体で回転する。
【0028】
なお、曲げコマ5に凹状部51が形成され、フランジ部材2に凸状部21が形成されているが、これに限定されない。例えば、曲げコマ5に凸状部が形成され、フランジ部材2に凹状部が形成されていてもよく、曲げコマ5及びフランジ部材2が一体で回転できれば任意の構成でよい。
【0029】
曲げコマ5の先端部の幅は、平角線Dの短辺の幅以下となっている。これにより、フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面とで、平角線Dの長辺側の両側面を上下方向から挟み込み、その挟み込んだ部分を曲げる際に、フランジ部材2とセンターガイド3の回転部33との干渉を回避できる。
【0030】
図4(a)及び(b)は、曲げコマと、フランジ部材の凸状部と、シャフト部材の凸状部と、の位置関係を示す上面視図である。図4(a)に示す如く、曲げコマ5が0°の位置にあるとき、フランジ部材2の凸状部21は、0°の位置、シャフト部材4の凸状部41は、180°の位置にある。図4(b)に示す如く、曲げコマ5が90°の位置まで回転すると、フランジ部材2の凸状部21は、90°の位置まで回転し、シャフト部材4の凸状部41は、270°の位置まで回転する。なお、曲げコマ5は、実際には、平角線Dのスプリングバックを考慮して90°よりもやや大きな角度(95°程度)まで回転する。上述のように回転機構は構成され、曲げコマ5の回転に連動してフランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33は回転する。
【0031】
以上、本実施形態1に係る平角線曲げ装置1は、曲げコマ5の回転に連動してフランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33を回転させる回転機構を備える。
これにより、フランジ部材2の下面とセンターガイド3の回転部33の上面とで、平角線Dの長辺側の両側面を上下方向から挟み込み、その挟み込んだ状態で挟み込んだ部分を曲げることができる。したがって、上記のような曲げ膨らみ部の発生を抑制でき、フランジ部材2及びセンターガイド3の回転部33と、平角線Dの側面と、の間の摩擦力を小さく抑制でき、安定した平角線曲げを実現できる。
【0032】
実施形態2
図5は、本実施形態2に係る平角線曲げ装置の概略的構成を示す断面図である。本実施形態2に係る平角線曲げ装置11において、平角線Dを曲げる曲げコマ7は、平角線Dの長辺側の両側面を挟み込むように保持する保持部材としての機能と、自身の回転に連動して保持部材を回転させる回転機構としての機能を含んでいる。
【0033】
シャフト部材9と円板状のフランジ部材8とは、一体で形成されている。シャフト部材9には、平角線Dの短辺側の一方の側面が当接する第1凸状部91が形成されている。
【0034】
センターガイド10は、略傘状に形成されている。センターガイド10の略中央部には軸線方向に貫通孔101が形成されている。センターガイド10の貫通孔101には、シャフト部材9が挿入されている。シャフト部材9の外周面には第2凸状部92が形成されている。センターガイド10の貫通孔101の内周面には、シャフト部材9の第2凸状部92に対応して、凹状部102が形成されている。シャフト部材9の凸状部92と、センターガイド10の凹状部102とが嵌合している。これにより、後述の如く、シャフト部材9が、平角線Dから回転力を受け回転するのを防止している。
【0035】
曲げコマ7は、平角線Dの長辺側の両側面を挟み込むように保持する。さらに、曲げコマ7は、その保持状態を維持して、平角線Dの短辺側の他方の側面を押圧し、短辺側の一方の側面をシャフト部材9の第1凸状部91に対して押圧しつつ、シャフト部材9の外周に沿って回転することで、該シャフト部材9の第1凸状部91の曲面に従って、平角線Dを曲げる。
【0036】
曲げコマ7の先端部は、フランジ部材8の下面とセンターガイド10の上面との間に挟み込まれている。曲げコマ7は、本体部71と、本体部71の先端部に設けられ、平角線Dの長辺側の上面を下方向に押圧する第1クランプ部72と、本体部71の先端部に設けられ、平角線Dの長辺側の下面を上方向に押圧する第2クランプ部73と、を有している。本体部71の端面は、平角線Dの短辺側の一方の側面を、シャフト部材9の第1凸状部91に対して押圧する。第1クランプ部72の上面は、フランジ部材8の下面により下方向に押圧される。第2クランプ部73の下面は、センターガイド10の上面によって上方向に押圧される。
【0037】
図6(a)及び(b)は、曲げコマと、シャフト部材の凸状部と、の位置関係を示す上面視図である。図6(a)に示す如く、曲げコマ7が0°の位置にあるとき、シャフト部材9の第2凸状部92は、270°の位置にある。図6(b)に示す如く、曲げコマ7が90°の位置まで回転しても、シャフト部材9の第2凸状部92は、270°の位置ままで、変わらない。
【0038】
曲げコマ7の本体部71には、第1クランプ部72を上方に付勢するスプリング74が設けられている。フランジ部材8が、スプリング74の付勢力に抗して、第1クランプ部72を下方に押圧することで、第1及び第2クランプ部72、73は、平角線Dの長辺側の側面を上下方向から挟み込んだクランプ状態となる(図7(a))。一方、フランジ部材8が、第1クランプ部72の押圧を止め、第1クランプ部72を開放状態にすると、第1クランプ部72は、スプリング74の付勢力によって、上方へ移動する。これにより、第1クランプ部72の下面と平角線Dの長辺側の上面との間に隙間が生じ、平角線Dは、第1及び第2クランプ部72、73から開放されたアンクランプ状態となる(図7(b))。
なお、本実施形態2において、上記実施形態1と同一部分には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0039】
以上、本実施形態2によれば、曲げコマ7を回転させ平角線Dを曲げる際に、曲げコマ7の第1クランプ部72の下面と第2クランプ部73の上面とで、平角線Dの長辺側の両側面を上下方向から挟み込み、その挟み込んだ状態で挟み込んだ部分を、本体部71の端面で押圧し曲げることができる。したがって、上記のような曲げ膨らみ部の発生を抑制でき、曲げコマ7と、平角線Dの側面と、の間の摩擦力を小さく抑制できる。よって、曲げコマ7による押圧が不十分となることなく、平角線Dの曲げ不足が発生することがない。すなわち、曲げコマ7(保持部材)と平角線Dの側面との間の摩擦力を抑制し、安定した平角線曲げを実現できる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 平角線曲げ装置、2 フランジ部材、3 センターガイド、4 シャフト部材、5 曲げコマ、6 バックアップ部材、7 曲げコマ、8 フランジ部材、9 シャフト部材、10 センターガイド、11 平角線曲げ装置、21 凸状部、31 土台部、32 軸受部、33 回転部、34 穴部、35 凹状部、41 凸状部、51 凹状部、71 本体部、72 第1クランプ部、73 第2クランプ部、74 スプリング、81 凸状部、91 第1凸状部、92 第2凸状部、101 貫通孔、102 凹状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7