(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された電動車椅子では、介助者が乗車するための乗車部を設ける必要があるため、電動車椅子が大型化してしまうおそれがある。また、特許文献2に示された電動車椅子では、介助者用の乗車部を折り畳むことができるものの、電動車椅子そのもの(電動車椅子の車体)のホイールベースは変化しないので、電動車椅子の操縦性が低下するおそれがある。また、特許文献2に示された電動車椅子では、乗車部用の車輪が特別に設けられているので、車輪の数が増え、重量が増加するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、小型化及び軽量化を実現でき且つ操縦性を向上できる移動装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る移動装置は、介助者が乗車可能且つ原動機によって動作可能な移動装置である。本移動装置は、車体と、第1回転体と、第2回転体とを、備える。第1回転体は、第1回転軸心まわりに回転可能なように、車体に装着される。第2回転体は、第1回転軸心と間隔を隔てて配置される第2回転軸心まわりに回転可能なように、車体に装着される。
【0007】
ここで、第1回転体及び第2回転体は、接地している。車体は、第1回転軸心及び第2回転軸心によって定義されるホイールベースを変更可能なように、構成されている。本移動装置では、ホイールベースを変更することによって、移動装置を小型化及び軽量化することができ、且つ操縦性を向上することができる。また、本移動装置では、介助者が車体に乗車しても車体から降車しても、車輪の数は変化しないので、移動装置を軽量化することができる。
【0008】
本発明の他の側面に係る移動装置では、介助者、及び介助者によって介助される要介助者が、車体に乗車した場合、介助者の重心及び要介助者の重心が、ホイールベースの間に位置するように車体は構成されることが好ましい。
【0009】
このように、介助者の重心及び要介助者の重心をホイールベースの間に位置させることによって、安定した操縦性及び走行性を実現することができる。
【0010】
本発明の他の側面に係る移動装置では、車体が、介助者によって介助される要介助者が乗車可能な第1フレーム部と、介助者が乗車可能な第2フレーム部とを、有していることが好ましい。この場合、第1回転体は、第1フレーム部に装着される。第2回転体は、第2フレーム部に装着される。第1回転体及び第2回転体は、上述したように、接地している。
【0011】
このように、第1フレーム部及び第2フレーム部に、第1回転体及び第2回転体を各別に装着された状態で、ホイールベースを変更することによって、移動装置を小型化及び軽量化することができ、且つ操縦性を向上することができる。
【0012】
本発明の他の側面に係る移動装置では、第1フレーム部に対する第2フレーム部の接近又は離反によって、ホイールベースは変更されることが好ましい。
【0013】
このようにホイールベースを変更することによって、移動装置を好適に小型化及び軽量化することができ、且つ操縦性を向上することができる。
【0014】
本発明の他の側面に係る移動装置では、第1フレーム部に向けて第2フレーム部を折り畳むことによって、ホイールベースは変更されることが好ましい。
【0015】
このようにホイールベースを変更することによって、移動装置を好適に小型化及び軽量化することができ、且つ操縦性を向上することができる。
【0016】
本発明の他の側面に係る移動装置では、第1フレーム部は、メインフレーム部と、乗車フレーム部とを、有することが好ましい。メインフレーム部は、第2フレーム部に接続される。乗車フレーム部は、介助者によって介助される要介助者が乗車可能であり、メインフレーム部に着脱可能に装着され、且つ第3回転体を有する。
【0017】
この場合、乗車フレーム部をメインフレーム部から取り外すことによって、さらに小型化及び軽量化することができる。また、第1回転体及び第2回転体を屋外で使用し、第3回転体を屋内で使用することによって、屋内を清潔に保つことができる。
【0018】
本発明の他の側面に係る移動装置では、次のように構成されることが好ましい。第1回転体及び第2回転体のいずれか一方は、少なくとも2つの回転体から構成される。第1回転体及び第2回転体のいずれか他方は、少なくとも1つの回転体から構成される。
【0019】
この構成によって、車体は、少なくとも3つの回転体によって支持されるので、安定した操縦性及び走行性を実現することができる。
【0020】
本発明の他の側面に係る移動装置では、次のように構成されることが好ましい。第1回転体及び第2回転体それぞれは、少なくとも2つの回転体から構成される。第1回転体のトレッドは、第2回転体のトレッドより大きい。第2回転体は、第2回転軸心に交差する交差軸まわりに回転可能なように、車体に装着される。
【0021】
この構成によって、第2回転体を第1回転体より内側で移動させやすくなる。例えば、第2回転体が移動する軌跡を、第1回転体が移動する軌跡より内側に形成することができる。これにより、第2回転体を安定的に動作させることができる。例えば、第2回転体の脱輪、及び移動体又は静止体に対する接触を防止することができる。
【0022】
本発明の他の側面に係る移動装置は、支持部材をさらに備えることが好ましい。支持部材は、ホイールベースが変更される場合に、第1回転軸心及び第2回転軸心の間において、車体を支持する。この構成によって、ホイールベースを容易且つ安定的に変更することができる。
【0023】
本発明の他の側面に係る移動装置は、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方を制御可能な制御装置を、さらに備えることが好ましい。
【0024】
この構成によって、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方を、好適に動作させることができる。
【0025】
本発明の他の側面に係る移動装置では、制御装置は、第1制御部を有することが好ましい。第1制御部は、第1回転体の最大軌跡が第2回転体の最大軌跡より大きくなるように、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方の回転速度を、制御する。
【0026】
この構成によって、第2回転体を第1回転体より内側で移動させやすくなる。例えば、第2回転体が移動する軌跡を、第1回転体が移動する軌跡より内側に形成することができる。これにより、第2回転体を安定的に動作させることができる。例えば、第2回転体の脱輪及び接触を防止することができる。
【0027】
本発明の他の側面に係る移動装置では、制御装置が、第1制御部の制御を有効又は無効に設定可能な第1設定部を、さらに有することが好ましい。
【0028】
この構成によって、第1回転体及び第2回転体の動作における自由度を、向上することができる。
【0029】
本発明の他の側面に係る移動装置では、制御装置が、第2制御部を有することが好ましい。第2制御部は、第1回転体の最大軌跡が第2回転体の最大軌跡より大きくなるように、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方の操舵角度を制御する。
【0030】
この構成によって、第2回転体を第1回転体より内側で移動させやすくなる。例えば、第2回転体が移動する軌跡を、第1回転体が移動する軌跡より内側に形成することができる。これにより、第2回転体を安定的に動作させることができる。例えば、第2回転体の脱輪及び接触を防止することができる。
【0031】
本発明の他の側面に係る移動装置では、制御装置が、第2制御部の制御を有効又は無効に設定可能な第2設定部を、さらに有することが好ましい。
【0032】
この構成によって、第1回転体及び第2回転体の動作における自由度を、向上することができる。
【0033】
本発明の他の側面に係る移動装置は、移動体又は静止体に対する衝突に関する対象を、検知するための第1センサを、さらに備えることが好ましい。この場合、制御装置は、第3制御部を有する。第3制御部は、第1センサが、衝突に関する対象を検知した場合に、この衝突を回避するために、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方を制御する。この構成によって、移動体又は静止体に対する衝突を回避することができる。
【0034】
本発明の他の側面に係る移動装置は、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方の脱輪に関する対象を、検知するための第2センサを、さらに備えることが好ましい。この場合、制御装置は、第4制御部を有する。第4制御部は、第2センサが、脱輪に関する対象を検知した場合に、この脱輪を回避するために、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方を制御する。この構成によって、第1回転体及び第2回転体の少なくともいずれか一方の脱輪を防止することができる。
【0035】
本発明の他の側面に係る移動装置では、第1回転体及び第2回転体は、車体に着脱可能に装着されることが好ましい。この構成によって、第1回転体及び第2回転体を、容易に交換したり修理したりすることができる。
【0036】
本発明の他の側面に係る移動装置では、第1回転体及び第2回転体それぞれを構成する回転体は、車輪であることが好ましい。このように構成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0037】
本発明の他の側面に係る移動装置では、第1回転体及び第2回転体それぞれを構成する回転体は、車輪、ボールキャスタ、及びクローラの少なくともいずれか1つであることが好ましい。このように構成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明では、移動装置の小型化及び軽量化を実現でき、且つ移動装置の操縦性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1実施形態が採用された電動車椅子1(移動装置の一例)は、介助者M1が乗車可能且つ原動機11によって動作可能に構成されている。また、電動車椅子1は、前方及び後方に移動可能に構成されている。さらに、電動車椅子1は、操作装置13(後述する)によって、進行方向及び速度を変更可能に構成されている。
【0041】
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、電動車椅子1は、車体3と、1対の前輪5(第1回転体の一例)と、1対の後輪7(第2回転体の一例)とを、備える。また、電動車椅子1は、支持部材9をさらに備える。また、電動車椅子1は、原動機11を、さらに備える。また、電動車椅子1は、操作装置13をさらに備える。また、電動車椅子1は、複数の車速検知センサ14を、さらに備える。また、電動車椅子1は、複数の対物センサ15(第1センサの一例)と、複数の段差センサ17(第2センサの一例)とを、備える。さらに、電動車椅子1は、制御装置21をさらに備える。
【0042】
<車体>
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、車体3は、要介助者M2、及び要介助者M2を介助する介助者M1が、乗車可能に構成されている。詳細には、車体3は、ホイールベースC1,C2を変更可能なように構成されている(
図2A及び
図2Bを参照)。
【0043】
介助者M1及び要介助者M2が車体3に乗車した場合に、介助者M1の重心G1及び要介助者M2の重心G2がホイールベースC1の間に位置するように、車体3は構成されている(
図2Aを参照)。
【0044】
言い換えると、鉛直方向において介助者M1の質量が車体3に作用する作用点S1が、ホイールベースC1の間に位置するように、車体3は構成されている。また、鉛直方向において要介助者M2の質量が車体3に作用する作用点S2が、ホイールベースC1の間に位置するように、車体3は構成されている。なお、作用点S1,S2は、重心G1,G2から鉛直方向に延びる直線が車体3に交わる点と解釈してもよい。
【0045】
車体3は、第1フレーム部3aと、第2フレーム部3bとを、有している。
【0046】
(第1フレーム部)
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、第1フレーム部3aは、要介助者M2が乗車可能に構成されている。第1フレーム部3aには、要介助者M2が着座可能なシート部3cが、設けられている。
【0047】
(第2フレーム部)
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、第2フレーム部3bは、介助者M1が乗車可能に構成されている。第2フレーム部3bには、介助者M1が乗車可能な乗車部3dが、設けられている。
【0048】
なお、本実施形態では、乗車部3dに介助者M1が立った状態で乗車する場合の例を示すが、乗車部3dに介助者M1が座った状態で乗車するように構成してもよい。この場合、第2フレーム部3bには、介助者M1用のシート部が設けられる。
【0049】
図2A及び
図2Bに示すように、第2フレーム部3bは、第1フレーム部3aに対して、接近可能且つ離反可能に構成されている。第1フレーム部3aに対する第2フレーム部3bの接近又は離反によって、ホイールベースC1,C2は変更される。
【0050】
詳細には、第2フレーム部3b例えば乗車部3dが、第1フレーム部3aに収納可能なように、第1フレーム部3aに装着されている。ここでは、第2フレーム部3b例えば乗車部3dは、第1フレーム部3aのレール(図示しない)に沿ってスライドすることによって、第1フレーム部3aに収納したり、第1フレーム部3aから引き出したりすることができる。
【0051】
第2フレーム部3bは、介助者M1が乗車可能な第1姿勢(
図2Aを参照)と、第1フレーム部3aに収納された第2姿勢(
図2Bを参照)との間で、その姿勢を変更可能である。なお、第2フレーム部3bの姿勢を、第1姿勢及び第2姿勢で保持するためのロック機構(図示しない)が、第1フレーム部3a及び第2フレーム部3bの間に設けられている。
【0052】
例えば、第1姿勢ではホイールベースC1が最も大きく(
図2Aを参照)、第2姿勢ではホイールベースC2が最も小さい(
図2Bを参照)。ロック機構が解除され、第2フレーム部3bの姿勢が第1姿勢から第2姿勢へと変更されると、ホイールベースC2は小さくなる。一方で、ロック機構が解除され、第2フレーム部3bの姿勢が第2姿勢から第1姿勢へと変更されると、ホイールベースC1は大きくなる。
【0053】
ここで、第2フレーム部3bの姿勢が第1姿勢である場合、要介助者M2及び介助者M1が
電動車椅子1に乗車した状態において、介助者M1の重心G1(作用点S1)及び要介助者M2の重心G2(作用点S2)は、ホイールベースC1の間に位置している(
図2Aを参照)。第2フレーム部3bの姿勢が第2姿勢である場合、要介助者M2がシート部3cに乗車した状態において、要介助者M2の重心G2(作用点S2)は、ホイールベースC2の間に位置している(
図2Bを参照)。
【0054】
なお、ホイールベースC1,C2は、前輪5の第1回転軸心J1(後述する)及び後輪7の第2回転軸心J2(後述する)の間隔によって、定義されている。詳細には、ホイールベースC1,C2は、前輪5の第1回転軸心J1及び後輪7の第2回転軸心J2が実質的に平行な状態における第1回転軸心J1及び第2回転軸心J2の間隔に、対応している。
【0055】
<前輪>
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、1対の前輪5それぞれは、例えば車輪である。1対の前輪5は、車体3例えば第1フレーム部3aに、装着される。ここでは、1対の前輪5それぞれは、第1フレーム部3aに着脱可能に装着されている。1対の前輪5は、第1フレーム部3aに装着された状態で接地する。
【0056】
1対の前輪5それぞれは、第1回転軸心J1を有している。1対の前輪5それぞれは、第1回転軸心J1が延びる方向において、対向して配置されている(
図1を参照)。前輪5のトレッドT1は、後輪7のトレッドT2より大きい。前輪5のトレッドT1は、第1回転軸心J1に沿った方向における1対の前輪5の間隔によって、定義される。
【0057】
1対の前輪5は、第1回転軸心J1まわりに回転可能なように、車体3例えば第1フレーム部3aに、装着される。この状態において、1対の前輪5は、走行面Sに接触して回転可能である。
【0058】
<後輪>
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、1対の後輪7それぞれは、例えば車輪である。1対の後輪7は、車体3例えば第2フレーム部3bに、装着される。ここでは、1対の後輪7は、1対の前輪5と間隔を隔てて配置される。1対の後輪7それぞれは、第2フレーム部3bに着脱可能に装着されている。
【0059】
1対の後輪7それぞれは、第2回転軸心J2を有している。第2回転軸心J2は、第1回転軸心J1と間隔を隔てて配置される。ここでは、第2回転軸心J2は、第1回転軸心J1と直交する直交方向において、間隔を隔てて配置される。直交方向は、走行面Sと実質的に平行である。
【0060】
1対の後輪7それぞれは、第2回転軸心J2が延びる方向において、対向して配置されている(
図1を参照)。後輪7のトレッドT2は、1対の前輪5のトレッドT1より小さい。後輪7のトレッドT2は、第2回転軸心J2に沿った方向における1対の後輪7の間隔によって、定義される。
【0061】
1対の後輪7は、第2回転軸心J2まわりに回転可能なように、車体3例えば第2フレーム部3bに、装着される。この状態において、後輪7は、走行面Sに接触して回転可能である。
【0062】
また、
図2A及び
図2Bに示すように、1対の後輪7それぞれは、第2回転軸心J2に交差する交差軸K1まわりに回転可能なように、第2フレーム部3bに装着されている。詳細には、車輪保持部3eが、交差軸K1まわりに回転可能なように、第2フレーム部3bに装着されている。また、車輪保持部3e
は、後輪7を第2回転軸心J2まわりに回転可能に支持している。すなわ
ち、後輪7は、車輪保持部3eに対して第2回転軸心J2まわり、且つ第2フレーム部3bに対して交差軸K1まわりに回転可能なように、第2フレーム部3bに装着されている。
【0063】
<支持部材>
図2Aに示すように、支持部材9は、ホイールベースC1,C2が変更される場合に、第1回転軸心J1及び第2回転軸心J2の間において、車体3を支持する。詳細には、支持部材9は、車体3例えば第2フレーム部3bに着脱自在に装着される。支持部材9は、電動車椅子1の走行時に第2フレーム部3bから取り外され、電動車椅子1の停車時に第2フレーム部3bに装着される。例えば、電動車椅子1の停車時にホイールベースC1,C2が変更される場合に、支持部材9は、第2フレーム部3bに装着される。
【0064】
ここでは、ホイールベースC1,C2が変更される場合に、支持部材9が第2フレーム部3bに取り付けられる。この状態において、支持部材9は、走行面S(例えば地面)に接触可能なように、第2フレーム部3bと走行面Sとの間に配置される。
【0065】
このため、ホイールベースC1,C2を変更する際に、1対の後輪7が走行面S(例えば地面)から離れたとしても、1対の前輪5及び支持部材9によって第2フレーム部3bを支持可能である。一方で、電動車椅子1の走行時には、支持部材9が第2フレーム部3bから取り外される。この状態では、1対の前輪5及び1対の後輪7が走行面S(例えば地面)に接触して回転可能である。
【0066】
なお、1対の前輪5及び1対の後輪7が接地した状態において、支持部材9と走行面S(例えば地面)との間に所定の空間を設けた場合、支持部材9を車体3に装着した状態で、電動車椅子1は走行可能である。
【0067】
<原動機>
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、原動機11は、1対の前輪5を駆動するためのものである。原動機11は、例えば1対のモータ12から、構成される。1対のモータ12は、1対の前輪5を各別に駆動する。1対のモータ12それぞれは、車体3例えば第1フレーム
部3aに装着される。1対のモータ12それぞれは、電源(図示しない)から電力供給を受けて作動する。各モータ12の作動によって、各前輪5が独立して駆動される。すなわち、本実施形態では、電動車椅子1は前輪駆動である。なお、電源は、車体3例えば第1フレーム部3aに装着されている。
【0068】
<操作装置>
操作装置13は、電動車椅子1を操縦するために用いられる。
図2A及び
図2Bに示すように、操作装置13は、例えば、ジョイスティックのようなレバー部材から、構成される。操作装置13は、車体3例えば
第1フレーム部3aに装着されている。ここでは、操作装置13は、
第1フレーム部3aの後部に、装着されている。操作装置13が介助者M1によって操作されると、操作装置13の操作に対応する信号が、制御装置21に送信される。
【0069】
なお、ここでは、操作装置13が介助者M1によって操作される場合の例を示すが、要介助者M2が操作可能な要介助者M2用の操作装置(図示しない)を、介助者M1用の操作装置13とは別に、車体3例えば第1フレーム部3aに設けてもよい。
【0070】
<車速検知センサ>
複数(例えば2個)の車速検知センサ14は、車速を検知するためのものである。
図1に示すように、複数の車速検知センサ14は、車体3に装着されている。ここでは、各車速検知センサ14は、各前輪5に対向するように、第1フレーム部3aに装着されている。各車速検知センサ14は、電源から電力供給を受けて作動し、前輪5の回転数を検知する。前輪5の回転数に対応する信号は、制御装置21に送信される。
【0071】
<対物センサ>
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、複数(例えば2個)の対物センサ15は、移動体及び/又は静止体に対する衝突を検知するためのである。複数の対物センサ15は、車体3に装着されている。ここでは、対物センサ15は、第1フレーム部3aの前部に装着されている。また、対物センサ15は、第2フレーム部3bの後部にも装着されている。
【0072】
各対物センサ15は、電源から電力供給を受けて作動し、移動体及び/又は静止体までの距離を、検出する。移動体及び/又は静止体までの距離に対応する信号は、制御装置21に送信される。
【0073】
<段差センサ>
図1、
図2A、及び
図2Bに示すように、複数(例えば2個)の段差センサ17は、前輪5の脱輪及び後輪7の脱輪を検知するためのものである。複数の段差センサ17は、車体3に装着されている。ここでは、段差センサ17は、シート部3c及び第1回転軸心J1の間において、第1フレーム部3aの下面に装着されている。また、段差センサ17は、乗車部3d及び第2回転軸心J2の間において、第2フレーム部3bの下面にも装着されている。
【0074】
各段差センサ17は、電源から電力供給を受けて作動し、前輪5より前方の走行面S(例えば地面)の情報、又は後輪7より後方の走行面S(例えば地面)の情報を、検知する。車体3の前方及び後方の走行面Sの情報を識別するための信号は、制御装置21に送信される。
【0075】
<制御装置>
図2A及び
図2Bに示すように、制御装置21は、車体3例えば第1フレーム部3aに装着されている。制御装置21は、1対の前輪5を制御可能に構成されている。制御装置21は、操作装置13、車速検知センサ14、対物センサ15、及び段差センサ17からの信号を、受信して、1対のモータ12に制御信号を送信する。すると、この制御信号に基づいて各モータ12が作動し、各モータ12によって1対の前輪5それぞれが駆動される。
【0076】
図3に示すように、制御装置21は、駆動制御部23(第1制御部の一例)と、第1制御解除部25(第1設定部の一例)と、車速制御部27(第2制御部の一例)と、衝突制御部29(第3制御部の一例)と、脱輪制御部31(第4制御部の一例)とを、有する。
【0077】
(駆動制御部)
図3に示す駆動制御部23は、操作装置13からの信号に基づいて、1対のモータ12を制御する。例えば、操作装置13が介助者M1によって前方に倒されると、電動車椅子1が前進するように、各モータ12が駆動制御部23によって制御される。一方で、操作装置13が介助者M1によって後方に倒されると、電動車椅子1が後進するように、各モータ12が駆動制御部23によって制御される。
【0078】
また、操作装置13が介助者M1によって斜め前方に倒されると、電動車椅子1が斜め前方に進むように、各モータ12が駆動制御部23によって制御される。一方で、操作装置13が介助者M1によって斜め後方に倒されると、電動車椅子1が斜め後方に進むように、各モータ12が駆動制御部23によって制御される。さらに、操作装置13が介助者M1によって横方向に倒された場合は、電動車椅子1が超信地旋回するように、各モータ12が駆動制御部23によって制御される。
【0079】
このように、操作装置13の操作方向に応じて、各モータ12が駆動制御部23によって制御される。そして、1対の前輪5それぞれが、各モータ12によって、駆動される。
【0080】
ここで、上述したように、操作装置13が介助者M1によって斜め前方に倒された場合は、電動車椅子1は右方又は左方に進む。この場合、
図4に示すように、駆動制御部23は、所定の点O1を基準として、1対の前輪5の最大軌跡L1が1対の後輪7の最大軌跡L2より大きくなるように、各モータ12の回転速度を制御する。
【0081】
例えば、電動車椅子1が左折路Sを曲がる場合(
図4を参照)、駆動制御部23は、第1旋回中心O1を基準として、1対の前輪5における外輪の第1旋回半径R1が、1対の後輪7における外輪の第2旋回半径R2より大きくなるように、各モータ12の回転速度を制御する。このように、駆動制御部23が各モータ12の回転速度を制御することによって、1対の前輪5それぞれの回転速度が制御される。
【0082】
この場合、駆動制御部23は、第1旋回半径R1が第2旋回半径R2より大きくなるように、前輪5の外輪を駆動するモータ12の回転速度と、前輪5の内輪を駆動するモータ12の回転速度との回転速度差を、設定する。すなわち、駆動制御部23は、各モータ12を介して、前輪5の外輪の回転速度と前輪5の内輪の回転速度との回転速度差を、設定する。これにより、第1旋回中心O1を基準として、後輪7の外輪は、前輪5の外輪より外側に位置しなくなるので、走行路が狭い場合などに、電動車椅子1を好適に走行させることができる。
【0083】
なお、操作装置13が斜め後方に倒された場合も、駆動制御部23は、第1旋回中心O1を基準として、1対の前輪5の最大軌跡L1(R1)が1対の後輪7の最大軌跡L2(R2)より大きくなるように、各モータ12の回転速度を設定し、1対の前輪5の回転速度を制御する。
【0084】
また、上述したように、操作装置13が介助者M1によって横方向に倒された場合は、
図5に示すように、電動車椅子1が超信地旋回する。この場合、駆動制御部23は、所定の点O2を基準として、一方の前輪5の軌跡L3と他方の前輪5の軌跡L3とが同じになるように、各モータ12の回転速度を制御する。このように、駆動制御部23が各モータ12の回転速度を制御することによって、1対の前輪5それぞれの回転速度が制御される。
【0085】
例えば、
図5A及び
図Bに示すように、電動車椅子1が超信地旋回する場合、駆動制御部23は、第2旋回中心O2を基準として、1対の前輪5における外輪と、1対の前輪5における内輪とが、同じ回転速度で逆回転するように、1対の前輪5を制御する。これにより、第2旋回中心O2を基準として、1対の前輪5及び後輪7は円状の軌跡L3,L4を形成し、電動車椅子1の向きを好適に変更することができる。
【0086】
ここで、
図5Aは、第2フレーム部3bの姿勢が第1姿勢である場合の図であり、
図5Bは第2フレーム部3bの姿勢が第2姿勢である場合の図である。第2旋回中心O2は、1対の前輪5の間における第1回転軸心J1上の中点に対応している。
【0087】
(第1制御解除部)
第1制御解除部25は、駆動制御部23の制御を有効又は無効に設定可能である。詳細には、操作パネル(図示しない)を操作することによって、第1制御解除部25が、駆動制御部23の制御を部分的に有効又は無効に設定可能である。例えば、操作パネルを操作し、1対の前輪5の最大軌跡が1対の後輪7の最大軌跡より大きくする制御を、無効に設定することによって、走行路の幅が広い場合などに電動車椅子1を好適に走行させることができる。
【0088】
(車速制御部)
図3に示す車速制御部27は、車速検知センサ14からの信号に基づいて、1対のモータ12を制御する。例えば、車速制御部27は、車速検知センサ14が検知した回転数に基づいて、回転速度を計算する。なお、回転速度を計算する際の時間情報は、車速検知センサ14から取得してもよいし、車速制御部27において計測してもよい。
【0089】
そして、車速制御部27は、回転速度が所定の回転速度未満であるか否かを、判断する。ここで、回転速度が所定の回転速度以上になった場合、車速制御部27は、回転速度が所定の回転速度未満になるように、1対のモータ12に命令を発行する。これにより、電動車椅子1の車速が高速になりすぎないように規制することができる。
【0090】
(衝突制御部)
図3に示す衝突制御部29は、複数の対物センサ15の少なくともいずれか1つが、衝突に関する対象を検知した場合に、この衝突を回避するために、1対のモータ12を制御する。
【0091】
例えば、衝突制御部29は、各対物センサ15からの信号に基づいて、車体3と、移動体及び/又は静止体との間の対物距離を、計算する。そして、衝突制御部29は、対物距離が所定の距離未満であるか否かを、判断する。ここで、対物距離が所定の距離未満になった場合、衝突制御部29は、1対の前輪5が回転を停止するように、1対のモータ12に命令を発行する。これにより、電動車椅子1が、移動体及び/又は静止体に衝突しないように規制することができる。
【0092】
(脱輪制御部)
図3に示す脱輪制御部31は、段差センサ17が、脱輪に関する対象を検知した場合に、この脱輪を回避するために、1対のモータ12を制御する。
【0093】
例えば、脱輪制御部31は、各段差センサ17からの信号に基づいて、車体3の進行方向における走行面Sの情報を、認識する。そして、脱輪制御部31は、走行面S上に段差が存在するか否かを、判断する。ここで、走行面S上に段差が存在すると判断された場合、脱輪制御部31は、1対の前輪5が回転を停止するように、1対のモータ12に命令を発行する。これにより、電動車椅子1が、段差によって脱輪したり段差に衝突したりすることを回避することができる。
【0094】
上記の構成を有する電動車椅子1は、車体3と、1対の前輪5と、1対の後輪7とを、備えている。1対の前輪5は、第1回転軸心J1まわりに回転可能なように、車体3に装着される。1対の後輪7は、第2回転軸心J2まわりに回転可能なように、車体3に装着される。ここで、1対の前輪5及び1対の後輪7は、接地している。車体3は、第1回転軸心J1及び第2回転軸心J2によって定義されるホイールベースC1,C2を変更可能なように、構成されている。このように構成することによって、電動車椅子1を小型化及び軽量化することができ、且つ操縦性を向上することができる。
【0095】
〔第2実施形態〕
図6に示すように、本発明の第2実施形態が採用された電動車椅子101(移動装置の一例)は、介助者M1が乗車可能且つ原動機11によって動作可能に構成されている。また、電動車椅子101は、前方及び後方に移動可能に構成されている。さらに、電動車椅子101は、操作装置13によって、進行方向及び速度を変更可能に構成されている。
【0096】
図6、
図7A、及び
図7Bに示すように、第2実施形態では、電動車椅子101は、車体3と、1対の前輪5(第1回転体の一例)と、後輪7(第2回転体の一例)とを、備える。また、電動車椅子101は、支持部材9をさらに備える。また、電動車椅子101は、原動機11を、さらに備える。また、電動車椅子101は、操作装置13をさらに備える。また、電動車椅子101は、複数の対物センサ15と、複数の段差センサ17とを、備える。また、電動車椅子101は、操舵装置18をさらに備える。さらに、電動車椅子101は、制御装置21をさらに備える。
【0097】
第2実施形態の構成は、後輪7、原動機11、操舵装置18、及び制御装置21の構成を除いて、第1実施形態の構成と実質的に同じである。このため、第2実施形態では、第1実施形態と実質的に同じ構成については、その説明を省略する。また、ここで省略された説明については、第1実施形態の説明に準ずる。
【0098】
<後輪>
図6、
図7A、及び
図7Bに示すように、後輪7は、例えば車輪である。後輪7は、車体3例えば第2フレーム部3bに、装着される。ここでは、後輪7は、1対の前輪5と間隔を隔てて配置される。後輪7は、第2フレーム部3bに着脱可能に装着されている。
【0099】
詳細には、後輪7は、第2回転軸心J2を有している。第2回転軸心J2は、第1回転軸心J1と間隔を隔てて配置される。ここでは、第2回転軸心J2は、第1回転軸心J1と直交する直交方向において、間隔を隔てて配置される。直交方向は、走行面Sと実質的に平行である。この状態において、後輪7は、第2回転軸心J2まわりに回転可能なように、車体3例えば第2フレーム部3bに、装着される。そして、後輪7は、走行面Sに接触して回転可能である。
【0100】
後輪7は、第2回転軸心J2に交差する交差軸K1まわりに回転可能なように、第2フレーム部3bに装着されている。詳細には、車輪保持部3eが、交差軸K1まわりに回転可能なように、第2フレーム部3bに装着されている。また、車輪保持部3eは、後輪7を第2回転軸心J2まわりに回転可能に支持している。すなわち、後輪7は、車輪保持部3eに対して第2回転軸心J2まわり、且つ第2フレーム部3bに対して交差軸K1まわりに回転可能なように、第2フレーム部3bに装着されている。
【0101】
<原動機>
原動機11は、後輪7を駆動するためのものである。原動機11は、例えば、モータ12である。モータ12は、後輪7を駆動する。
図7A及び
図7Bに示すように、モータ12は、車体3例えば第2フレーム
部3bに装着される。モータ12は、電源(図示しない)から電力供給を受けて作動する。モータ12の作動によって、後輪7が駆動される。すなわち、本実施形態では、電動車椅子101は後輪駆動である。
【0102】
<操舵装置>
操舵装置18は、後輪7の操舵角度を設定するためのものである。操舵装置18は、後輪7を上記の交差軸K1まわりに回転させることによって、後輪7の操舵角度を設定する。すなわち、操舵装置18が後輪7の操舵角度を設定することによって、電動車椅子101の進行方向が決定される。
【0103】
図7A及び
図7Bに示すように、操舵装置18は、車体3例えば第2フレーム部3bに装着される。例えば、操舵装置18は、操作装置13の操作方向に応じて、後輪7例えば車輪保持部3eを、交差軸K1まわりに第2フレーム部3bに対して回転する。これにより、後輪7の操舵角度を設定され、電動車椅子101の進行方向が決定される。
【0104】
<制御装置>
制御装置21は、後輪7を制御可能に構成されている。制御装置21は、操作装置13、車速検知センサ14、対物センサ15、段差センサ17、操舵角センサからの信号を、受信して、モータ12に制御信号を送信する。すると、この制御信号に基づいてモータ12が作動し、モータ12によって後輪7が駆動される。
【0105】
図8に示すように、制御装置21は、駆動制御部23と、車速制御部27と、衝突制御部29と、脱輪制御部31と、方向制御部33(第2制御部の一例)と、第2制御解除部35(第2設定部の一例)とを、有する。
【0106】
第1実施形態の制御装置21では、前輪5を駆動するためにモータ12が制御されていた。これに対して、第2実施形態の制御装置21では、後輪7を駆動するためにモータ12が制御される。このように、モータ12が駆動する対象が異なる点を除いて、第2実施形態における、車速制御部27、衝突制御部29、及び脱輪制御部31の構成は、第1実施形態と実質的に同じである。このため、ここでは、第1実施形態と構成が実質的に同じ部分の説明は省略し、第1実施形態と構成の異なる部分の説明のみ行う。
【0107】
(駆動制御部)
図8に示す駆動制御部23は、操作装置13からの信号に基づいて、モータ12を制御する。例えば、操作装置13が介助者M1によって前方又は斜め前方に倒されると、電動車椅子101が前進するように、モータ12が駆動制御部23によって制御される。一方で、操作装置13が介助者M1によって後方又は斜め後方に倒されると、電動車椅子101が後進するように、モータ12が駆動制御部23によって制御される。
【0108】
(方向制御部)
図8に示す方向制御部33は、操作装置13からの信号に基づいて、操舵装置18を制御する。例えば、操作装置13が介助者M1によって前方又は後方に倒されると、電動車椅子101が前進又は後進するように、方向制御部33は操舵装置18を制御する。この場合、操舵装置18は、第2回転軸心J2が第1回転軸心J1と実質的に平行になるように、後輪7例えば車輪保持部3eの操舵角度を設定する。詳細には、操舵装置18は、第2回転軸心J2が第1回転軸心J1と実質的に平行、且つ第2回転軸心J2が走行面Sに実質的に平行になるように、後輪7例えば車輪保持部3eを設定する。
【0109】
また、操作装置13が介助者M1によって斜め前方又は斜め後方に倒されると、電動車椅子101が斜め前方又は斜め後方に進むように、方向制御部33は操舵装置18を制御する。この場合、操舵装置18は、第2回転軸心J2が第1回転軸心J1に対して傾くように、後輪7例えば車輪保持部3eを設定する。詳細には、操舵装置18は、第2回転軸心J2が第1回転軸心J1に対して傾き、且つ第2回転軸心J2が走行面Sに実質的に平行になるように、後輪7例えば車輪保持部3eを設定する。
【0110】
ここで、操作装置13が介助者M1によって斜め前方又は斜め後方に倒された場合、
図9に示すように、方向制御部33は、後輪7の最大軌跡L6が1対の前輪5の最大軌跡L5より小さくなるように、後輪7の操舵角度を制御する。
【0111】
この場合、方向制御部33は、所定の点O1を基準として、後輪7の最大軌跡L6が1対の前輪5の最大軌跡L5より小さくなるように、操舵装置18を制御する。例えば、電動車椅子101が左折路を曲がる場合(
図9を参照)、方向制御部33は、第1旋回中心O1を基準として、後輪7の第2旋回半径R2が、1対の前輪5における外輪の第1旋回半径R1より小さくなるように、操舵装置18を制御する。
【0112】
このように、方向制御部33は、操舵装置18を介して、後輪7(車輪保持部3e)の操舵角度を制御する。これにより、第1旋回中心O1を基準として、
後輪7は、前輪5の外輪の軌跡より外側に位置しなくなるので、走行路が狭い場合などに、電動車椅子101を好適に走行させることができる。
【0113】
さらに、操作装置13が介助者M1によって横方向に倒された場合、方向制御部33は、電動車椅子101が超信地旋回するように(
図10A及び
図10Bを参照)、後輪7の操舵角度を制御する。詳細には、方向制御部33は、所定の点O2を基準として、一方の前輪5の軌跡L7と他方の前輪5の軌跡L7とが同じになるように、操舵装置18を制御する。
【0114】
例えば、
図10A及び
図10Bに示すように、電動車椅子101が超信地旋回する場合、方向制御部33は、第2旋回中心O2を基準として、一方の前輪5の軌跡L7と他方の前輪5の軌跡L7とが同じになるように、操舵装置18を制御する。この場合、方向制御部33は、後輪7の軌跡L8が1対の前輪5の軌跡と相似になるように、操舵装置18を制御する。
【0115】
言い換えると、方向制御部33は、第2回転軸心J2が第2旋回中心O2を通過するように、操舵装置18を制御する。これにより、第2旋回中心O2を基準として、1対の前輪5及び後輪7は円状の軌跡L7,L8を形成し、電動車椅子101の向きを好適に変更することができる。
【0116】
ここで、
図10Aは、第2フレーム部3bの姿勢が第1姿勢である場合の図であり、
図10Bは第2フレーム部3bの姿勢が第2姿勢である場合の図である。第2旋回中心O2は、1対の前輪5の間における第1回転軸心J1上の中点に対応している。
【0117】
(第2制御解除部)
第2制御解除部35は、方向制御部33の制御を有効又は無効に設定可能である。詳細には、操作パネル(図示しない)を操作することによって、第2制御解除部35が、方向制御部33の制御を部分的に有効又は無効に設定可能である。例えば、操作パネルを操作し、後輪7の最大軌跡が1対の前輪5の最大軌跡より小さくする制御を、無効に設定することによって、走行路の幅が広い場合などに電動車椅子101を好適に走行させることができる。
【0118】
〔変形例1〕
前記第1及び第2実施形態では、第2フレーム部3bが第1フレーム部3aに収納される場合の例を示したが、変形例1では、第2フレーム部3bが第1フレーム部3aに向けて折り畳まれる場合の例を示す。
【0119】
例えば、
図11A及び
図11Bに示すように、第2フレーム部3bは、多関節フレームから構成されている。関節部は、
白丸で示されている。また、第2フレーム部3bの姿勢を、第1姿勢で保持するためのロック機構30が、第1フレーム部3a及び第2フレーム部3bの間に設けられている。
【0120】
この場合、
図11Aに示す第2フレーム部3bが広げられた状態(介助者M1が乗車可能な第1姿勢)と、
図11Bに示す第2フレーム部3bが折り畳まれた状態(介助者M1が乗車不能な第2姿勢)との間で、ホイールベースC1,C2が変更される。
【0121】
〔変形例2〕
変形例2では、
図12に示すように、第1フレーム部3aが、メインフレーム部13aと、乗車フレーム部13bとを、有する。この場合、メインフレーム部13aは、第2フレーム部3bに接続される。乗車フレーム部13bには、要介助者M2が乗車可能である。乗車フレーム部13bは、メインフレーム部13aに着脱可能に装着される。
【0122】
乗車フレーム部13bには、複数(例えば4個)の車輪10(第3回転体の一例)が、装着される。詳細には、複数の車輪10は、ストレッチャー構造32を介して、乗車フレーム部13bに装着される。この場合、ストレッチャー構造32を折り畳むことによって、乗車フレーム部13bはメインフレーム部13aに収容される。一方で、ストレッチャー構造32を広げることによって、乗車フレーム部13bは、メインフレーム部13aから取り外され、自走可能になる。
【0123】
〔他の実施形態〕
(a)前記第1実施形態では、前輪5の数が3個以上であってもよいし、後輪7の数が1個又は3個以上であってもよい。
【0124】
(b)前記第2実施形態では、前輪5の数が1個又は3個以上であってもよいし、後輪7の数が2個以上であってもよい。
【0125】
(c)前記第1及び第2実施形態では、支持部材9が車体3に装着される場合の例を示した。支持部材9は、第1回転軸心J1及び第2回転軸心J2の間において車体3を支持することができれば、どのように構成してもよい。
【0126】
例えば、
図13Aに示すように、支持部材109は、支持脚を有するC字形状に、形成されていてもよい。また、
図13Bに示すように、支持部材209は、車輪であってもよい。さらに、
図13Cに示すように、支持部材309は、支持機構310を有していてもよい。例えば、支持機構310は、車体3から走行面S(例えば地面)に向けて伸縮可能な支持脚310aを、有している。
【0127】
(d)前記第1及び第2実施形態では、前輪5及び後輪7が車輪である場合の例を示したが、前輪5及び後輪7には、ボールキャスタ及びクローラ等を用いてもよい。なお、ボールキャスタの場合、第1回転軸心J1及び/又は第2回転軸心J2は、ボールキャスタを構成するボールの中心によって、定義される。また、クローラの場合、第1回転軸心J1及び/又は第2回転軸心J2は、各クローラを構成する複数の回転体のいずれか1つの回転中心によって、定義される。