(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサが、前記X線透視撮影システムを使用して、前記位置追跡システムの第1の座標系内に既知の座標を有する1つ又は2つ以上の物体を撮影し、前記撮影された物体を使用して、前記位置追跡システムの前記第1の座標系を、前記X線透視撮影システムの第2の座標系と位置合わせするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記位置追跡システムを使用して、前記関心対象の領域に対して既知の場所に配置された、前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上のセンサのそれぞれの位置を測定することによって、前記関心対象の領域をマーキングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記患者の身体の表面上に付けられた前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上の皮膚パッチセンサの位置を特定することによって、前記位置を測定するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記患者の身体内の前記関心対象の領域内に配置された1つ又は2つ以上の体内プローブの位置を特定することによって、前記位置を測定するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
前記1つ又は2つ以上のプローブが多数のプローブを含み、前記プロセッサが、前記プローブの多数のそれぞれの場所に基づいて前記関心対象の領域の位置を特定するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記位置追跡システムにより生成された前記関心対象の領域の3次元マップ内に、固定された場所をマーキングすることによって、前記関心対象の領域をマーキングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記関心対象の領域と前記視野との間で最大の重なり合いを提供するために、前記患者の身体を前記X線透視撮影システムに対して再配置することによって、前記視野を設定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサが、前記位置追跡システムにより生成された前記患者の身体の少なくとも一部のマップ上に重ねられた、前記視野の指示物を表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記X線透視撮影システム及び前記位置追跡システムを前記共通座標系に対して位置合わせすることが、前記X線透視撮影システムを使用して、前記位置追跡システムの第1の座標系内に既知の座標を有する1つ又は2つ以上の物体を撮影することと、前記撮影された物体を使用して、前記位置追跡システムの前記第1の座標系を、前記X線透視撮影システムの第2の座標系と位置合わせすることと、を含む、請求項10に記載の方法。
前記関心対象の領域をマーキングすることが、前記位置追跡システムを使用して、前記関心対象の領域に対して既知の場所に配置された、前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上のセンサのそれぞれの位置を測定することを含む、請求項10に記載の方法。
前記1つ又は2つ以上のプローブが多数のプローブを含み、前記関心対象の領域をマーキングすることが、前記プローブの多数のそれぞれの場所に基づいて前記関心対象の領域の位置を特定することを含む、請求項14に記載の方法。
前記関心対象の領域をマーキングすることが、前記位置追跡システムにより生成された前記関心対象の領域の3次元マップ内に、固定された場所をマーキングすることを含む、請求項10に記載の方法。
前記視野を設定することが、前記関心対象の領域と前記視野との間で最大の重なり合いを提供するために、前記患者の身体を前記X線透視撮影システムに対して再配置することを含む、請求項10に記載の方法。
前記視野を設定することが、前記位置追跡システムにより生成された前記患者の身体の少なくとも一部のマップ上に重ねられた、前記視野の指示物を表示することを含む、請求項10に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
本明細書に記載する本発明の実施形態は、患者の生体の器官又は腔を撮影するのに使用されるX線透視撮影システムの位置を較正するための改良された方法及びシステムを提供する。開示される技術は、X線透視放射線の使用を最小限とするようにX線透視装置の位置を設定する。
【0015】
X線透視装置の位置較正は、一般に、X線透視装置及び/又は患者を再配置して、X線透視装置システムの視野の中心に関心対象の器官を表示することを含む。X線透視撮影自体を用いるこのプロセスを実行することは、関心対象の器官が視野内の中心に置かれるまで、患者をX線透視装置に対して繰り返し再配置してX線透視画像を獲得することを含む。この反復プロセスでは、患者は高線量のX線照射に供される。
【0016】
本明細書に記載する実施形態では、X線透視撮影システムは、関心対象の器官(例えば、患者心臓)内に挿入されたカテーテルを追跡する位置追跡システムと共に作動する。2つのシステムに較正システムが接続され、X線透視システムの視野の初期設定を行う。本明細書に記載する実施形態は、主に磁場ベースの位置追跡システムを参照するが、開示される技術は、インピーダンスベースのシステム等の、様々な他のタイプの位置追跡システムで使用することができる。
【0017】
最初に、較正システムは、X線透視撮影システム及び位置追跡システムを共通座標系に対して位置合わせする。例えば磁気位置追跡システムを使用する場合、この位置合わせは、X線透視システムに磁気位置追跡システムの磁場発生器を撮影させることにより行われてもよい。位置合わせの段階は、いくつかのX線透視照射を含むが、一般に患者を有することなく行われる。
【0018】
次いで、磁気位置追跡システムは、例えば、カテーテルの位置、又は、関心対象の領域の近辺において患者の身体に取り付けられた皮膚パッチセンサの位置を測定することにより、患者の身体内の関心対象の領域をマーキングする。較正システムは、共通座標系を使用して、関心対象の領域がX線透視撮影システムの視野内に出現するように、視野を再配置する。この段階は、いずれのX線透視照射も含まない。
【0019】
いくつかの実施形態において、較正システムは、X線透視装置に対して患者をどのように再配置して、関心対象の領域を視野内にもってくるかの命令又は指導をオペレータに提示する。別の実施形態では、較正システムの出力を使用して、X線透視装置及び/又は患者を自動的に再配置してもよい。
【0020】
本明細書に記載する方法及びシステムにより、迅速な、かつ放射線フリーの、患者に対してX線透視撮影システムの初期配置が可能となる。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態に基づく、体内プローブ追跡システム10の概略描写図である。カテーテル15等の体内プローブは磁気追跡システム(MTS)20に接続され、ガーニー19上に横たえられた患者の生体17に経皮的に挿入される。カテーテル15は、遠位先端24にて磁気センサコイル22を含み、遠位先端24は、患者の心臓28等の器官内にナビゲートされる。MTS 20は、本明細書では磁気位置追跡システムとも称される。
【0022】
MTS 20は、患者の身体17の表面に取り付けられた1つ又は2つ以上の磁気皮膚パッチセンサ32を含む。1つ又は2つ以上の磁場発生器26は、患者の身体を通して磁場を生成し、この磁場は、カテーテル磁気センサコイル22及び皮膚パッチセンサ32内に電気信号を誘導する。本明細書で場所パッド又は送信機場所パッドとも称される磁場発生器26は、患者の下部に位置してもよい。カテーテル磁気センサコイル22内の、誘導された電気信号は、MTS 20により使用されて、センサ22の位置と、従ってカテーテル遠位先端の位置とを追跡し及び特定する。追跡されるカテーテル遠位先端の位置は、一般に、出力ディスプレイモニター50上にてオペレータ70に表示される。
【0023】
一般に、皮膚パッチセンサ32も、カテーテル磁気センサコイル22と同様のコイルを含む。皮膚パッチセンサ32のコイル内に誘導された電気信号も、身体上の皮膚パッチセンサの位置を特定するのに使用することができる。
図1に示す磁気追跡及び3次元(3D)マッピングシステム20の例は、CARTO及びCARTO3システム(Biosense Webster,Diamond Bar,California)である。
【0024】
例えば心臓アブレーション療法等の多数の治療的及び診断的医療手技では、MTS 20は、X線透視装置撮影システム(FIS)40等の撮影システムと共に使用される。心臓、又は、身体内の任意の他の好適な関心対象の領域のX線透視画像は、患者17の上方に搭載されたX線透視検出器42により獲得される。心臓のX線透視画像は、治療的手技のオペレータ70によってオペレータディスプレイ50上で視認され得る。ディスプレイ50は、FIS 40のための別個のディスプレイ、又は、FIS 40及びMTS 20のための共通ディスプレイを含んでもよい。
【0025】
FIS 40上の画像がMTS 20と同一の座標系(coordinate system)(座標系(frame of reference))に位置合わせされた際、カテーテル15の遠位先端24の位置がX線透視画像上に重ねられ、オペレータ70が手技中にカテーテルを移動するときに、患者の心臓腔内にてオペレータ70により視認され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、下記に記載するように、X線透視装置位置較正システム30を使用して、FIS 40の視野内の心臓28の画像をディスプレイ50上に配置する。
図1に示すシステム構成は、純粋に概念的な明瞭さを目的として示される例示的な構成である。システム10の任意の好適な構成を使用することができる。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に基づく、X線透視位置較正システム(FPCS)30を概略的に示すブロック図である。体内プローブ追跡システム10のFPCS 30は、MTS 20及びFIS 40からデータを受信するためのFIS/MTSインターフェイス34を含み、該データはプロセッサ36に中継されて処理される。MTS 20及びFIS 40は、データをそれぞれオペレータ出力ディスプレイ50に送信する。
図2に示すMTS 20への入力信号は、カテーテル15の遠位先端24におけるカテーテル検出器22と、皮膚パッチセンサ32からである。同様に、X線透視検出器42はFIS 40に対する入力である。プロセッサ36は、皮膚パッチセンサの場所(例えば、心臓の位置)に関する情報を、MTS 20及びFIS 40の両方、並びに、直接、オペレータ出力ディスプレイ50に中継するように構成されている。
【0028】
図2に示すシステム構成は、純粋に概念的な明瞭さを目的とする例示的な構成である。代替的に、任意の他の好適な構成を使用してもよい。例えば、上記したように、開示した技術は、任意の他の好適なタイプの位置追跡システムを使用して行うことができ、磁場測定に基づくものでなくてもよい。システム30のいくつかの要素は、ハードウェアに、例えば1つ又は2つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)に実装されてもよい。それに加えてあるいはそれに代えて、FPCS 30のいくつかの要素は、ソフトウェアを使用して、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して実装され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ36は汎用コンピュータを備え、その汎用コンピュータは、本明細書で説明する機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされている。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、あるいは、それに代わって若しくはそれに加えて、磁気的、光学的、又は電子的メモリ等の非一時的な有形のメディア上に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0029】
追跡及びX線透視装置座標系の同期
MTS 20によるカテーテル追跡は、通常、MTS座標系(frame of reference)、又はMTS座標系(coordinate system)を基準にして行われる。MTS座標系は、本明細書で案内座標系とも称され得る。MTS 20は、患者17の身体内のカテーテル15の遠位先端24の位置を、磁気測定データを使用して、一般に、磁場発生器26(場所パッド)の位置に対して位置合わせする。
【0030】
患者17の心臓28のX線透視画像は、獲得され、デジタル化され、FIS 40によってFIS座標系(frame of reference)、即ちFIS座標系(coordinate system)内に位置合わせされる。MTS及びFIS座標系を共通座標(common coordinate system)系、即ち共通座標系(common frame of reference)に同期することにより、オペレータ70は、治療的手技中に、ディスプレイ50上の同期され、デジタル化された心臓28の画像上でカテーテル15の遠位先端24の位置を視認及び追跡することができる。
【0031】
MTS及びFIS座標系を同期するには、システム10内の既知の目標物(landmark)のX線透視画像を使用する。例えば、1つ又は2つ以上の場所パッド26(その位置は、MTS座標系内で既知である)のそれぞれの位置を、FIS 40により獲得されたX線透視画像から測定し、FIS座標系内に位置合わせする。
【0032】
次いで、MTS及びFIS座標系内の場所パッドの位置データを使用して、FIS及びMTS座標系を共通座標系(common frame of reference)、即ち共通座標系(common coordinate system)に対して位置合わせする。MTS座標系のFIS座標系との同期、及びそれらのそれぞれの共通座標系に対する位置合わせは、一般に、上述したように、患者をガーニー19上に配置する前に行われる。それ故、この段階は、患者をいずれの放射線にも供さず、手技の長さを延長しない。
【0033】
X線透視装置位置較正システム(FPCS)
MTS及びFIS座標系を同期した後、患者をガーニー上に配置し、オペレータ70はX線透視装置を起動する。一般に、次いでオペレータは、関心対象の領域、例えば心臓28が、ディスプレイ50上でFIS 40の視野の中心内に出現するように、X線透視装置検出器42を位置合わせする。
【0034】
本明細書に記載した本発明の実施形態は、関心対象の領域を、X線透視装置画像ディスプレイの視野内の中心に置く試みにおける試行錯誤を回避する。開示された技術は、患者に更なる放射線を適用する必要なしで、この初期位置合わせを行う。この手法は、患者照射を最小限にすることを試みる「As Low As Reasonably Achievable」(ALARA)指針に従う。
【0035】
いくつかの実施形態において、FPCS 30のプロセッサ36は、(1)関心対象の領域に対して場所が既知である物体のMTS 20座標を受信し、(2)共通座標系内のその物体の座標を使用して、必要な再配置を計算する、ことによって、FISに対して患者の必要な再配置を見出す。
【0036】
様々な実施形態では、プロセッサ36は、この目的のための異なる物体を使用してもよい。いくつかの実施形態において、物体は、患者心臓に対して所定の既知の場所にて患者の皮膚上に配置された皮膚パッチセンサ32を含む。上記したように、皮膚パッチは、一般に、心臓28の周囲に配置される。したがって、いくつかの実施形態では、MTS 20は、測定された皮膚パッチ32の座標(磁気位置追跡を用いて測定した)をプロセッサ36に提供する。これらの座標を使用して、プロセッサ36は、共通座標系内での関心対象の領域(心臓28)の場所を導き出すことができ、それ故、必要な再配置を計算することができる。
【0037】
換言すれば、MTS 20は皮膚パッチセンサ32の位置を評価するよう作動される。センサ32の位置を特定した後、X線透視装置位置較正システム(FCPS)30によって、以前定義した共通座標系を適用して、FIS座標系内での心臓の位置を特定する。
【0038】
本明細書に教示した方法を用いて、皮膚センサ32及びMTS 20を使用して心臓の場所を特定することにより、オペレータは、位置較正中に、X線透視装置の放射線をいずれも使用することなく、心臓画像をディスプレイ50上の視野内に移動することができる。本明細書で使用される用語、位置較正、又は放射線フリー位置較正は、身体内の器官の関心対象の領域(例えば、心臓の画像)を、X線透視装置撮影システムの視野内に移動することを指す。このプロセスは、一般に、治療的手技の開始前に行われる。しかしながら、X線透視装置42及び/又は患者17は、治療的手技自体中の任意の時間に移動されてもよく、その後、一般に位置較正が繰り返される。位置較正後、ALARA指針に従って、通常の治療的手技にて使用される短期間のX線透視画像が獲得される。
【0039】
いくつかの実施形態において、FPCS 30は、患者17をX線透視装置検出器42に対して再配置するという指導に関してオペレータ70を警告するように構成されている。別の実施形態では、FPCS 30は、関心対象の領域をディスプレイ50上の視野内にもってくるようにガーニー19又はX線透視装置検出器42を移動するという指導に関してオペレータ70に命令してもよい。命令は、例えばディスプレイ50上のテキスト又はグラフィック指示を用いてオペレータに提示されてもよい。
【0040】
FPCS 30により提供される命令を使用して、オペレータは、心臓画像が視野内に出現するまで、迅速に、かつ、いずれのX線透視放射線も患者に適用することなく、患者を反復して再配置する。X線透視装置検出器42及び/又はガーニー19を移動した後、FPCS 30は、関心対象の領域がディスプレイ50上の視野内に存在することを確認した場合、更なる行動は必要なく、X線透視装置位置較正手技は終了する。
【0041】
代替的な実施形態では、プロセッサ36は、関心対象の領域に対して場所が既知である他の好適な物体に基づいて、FISの必要な再配置を計算してもよい。例示的な実施形態では、手技の一部として、位置センサが装着された1つ又は2つ以上のカテーテル(例えば、
図1のカテーテル15)を患者心臓内に挿入する。カテーテル先端は患者心臓内に存在することが既知であるため、先端の位置(MTS 20により測定される)を関心対象の領域の位置の指示物として使用してもよい。
【0042】
心臓内に多数のカテーテルが存在する場合、プロセッサ36は、MTS 20により報告される多数のカテーテルの位置に基づいて、関心対象の領域の場所を見積もってもよい。例示的な実施形態では、プロセッサ36は、患者の身体内のカテーテル(体内プローブ)の中央の場所、カテーテルの中から選択された単一のカテーテルの場所、例えば、以前参照したCARTO3システムにおけるマッピングカテーテル等の特定の機能を提供するカテーテルの場所を計算することが可能である。別の例として、関心対象の領域を心臓の3Dマップ内の固定された場所に設定してもよい(例えば、マップ地点、又は心臓の3Dマップ内の解剖学的目標物)。
【0043】
更に代替的に、プロセッサ36は、関心対象の領域の中心の周囲に球形を画定してもよい。球形の所定の半径は、固定され又はオペレータにより形成可能であってもよい。別の実施形態では、オペレータは、本質的に、関心対象の領域を、以前獲得した心臓の2次元画像内の中心に置いた後、X線透視放射線を投与して関心対象の領域の位置を確認する。
【0044】
いくつかの実施形態では、関心対象の領域がディスプレイ50上のFIS 40の視野よりも大きい場合、FPCS 30は、ガーニー19上の患者17、又はX線透視装置検出器42をどのように再配置するかをオペレータに指導して、ディスプレイ50の視野内における関心対象の領域の最高の一致を達成してもよい。つまり、関心対象の領域の最高の一致は、関心対象の領域の最大の部分が、ディスプレイ50上の視野に重なり合う場合として定義されてもよい。
【0045】
更に代替的に、プロセッサ36は、任意の他の好適な基準を使用して、X線透視装置に対して患者の必要な再配置を評価してもよく、またオペレータのための任意の他の好適な命令を生成してもよい。更なる別の実施形態では、プロセッサ36の出力を使用して、オペレータが殆ど又は全く関与することなく患者及び/又はX線透視装置を自動的に再配置してもよい。
【0046】
プロセッサ36は、様々な種類のグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)を使用して、MTS 20とFIS 40との間の整合をオペレータ70に指示することができる。例えば、プロセッサ36は、FIS 40の3D視野を、MTS 20により生成された心臓の3Dマップ上に重ね及び表示してもよい。FIS 40内のX線透視装置は、一般に、例えば角錐形又は円錐形の3D扇形照射パターン(及び視野)を有する。一実施形態において、プロセッサ36は、この3D扇形照射パターンを、MTS 20により生成された心臓の3D EPマップ上に表示する。FIS視野及びEPマップの両方は一緒に表示され、同一の座標系に位置合わせされる。このディスプレイは、患者又はFISを再配置して最高の位置合わせを達成するための正確かつ直感的な手段をオペレータに提供する。
【0047】
図1及び2に示した実施形態は、X線透視撮影システムと共に共通座標系に位置合わせされた磁気カテーテル追跡システム(以前引用したCARTOシステム等の)を使用するように構成されたX線透視位置較正システムを示す。この例示的な実施形態は、本明細書にて純粋に概念的な明瞭さのために提示され、本発明の実施形態を限定することを目的とするものではない。
【0048】
代替的に、カテーテル追跡システムの座標系をX線透視撮影システムと共に共通座標系に位置合わせできる限り、電気生理学的(EP)カテーテル追跡システム又はインピーダンスベースのAdvanced Catheter Location(ACL)等の任意の他の好適なタイプの位置追跡システムを使用してもよい。X線透視装置位置較正システム30は、本明細書の実施形態に記載したように、共通座標系を使用して、関心対象の領域をX線透視システムのディスプレイ内に移動する。
【0049】
X線透視装置位置較正システム30はまた、カテーテル位置追跡システムに限定されず、これは本明細書に示した実施形態には、ミリメートルスケールの位置精度は一般に必要でないためである。例えば、患者の身体上の任意の範囲に沿って、又は患者の身体内に、皮膚パッチセンサ32、又は任意の好適な電気生理学的(EP)センサを配置することにより、センサの位置決めを用いて関心対象の領域を画定することができる。次いで、関心対象の領域は、X線透視撮影システムと共に共通座標系内に位置合わせされ、X線透視装置位置較正システム30により使用されて、関心対象の領域をX線透視ディスプレイ内に移動する。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態に基づく、X線透視装置撮影システム40の放射線フリー位置較正に関する方法を示すフローチャートである。位置合わせ工程100では、プロセッサ36は、磁気場所パッド26のX線透視装置画像と位置データとを使用して、X線透視装置撮影システム(FIS)40及び磁気追跡システム(MTS)20を共通座標系に対して位置合わせする。
【0051】
第1の配置工程110では、患者17を場所パッド26の上方においてガーニー19上に配置する。第2の配置工程120では、患者の身体上に皮膚パッチセンサ32を配置して、MTS 20によって心臓28の位置をマーキングし、このマーキングはオペレータ70の関心対象の領域を画定する。マッピング工程130では、MTS 20からの検出された心臓の位置を、共通座標系内の心臓のX線透視画像にマッピングする。出力工程140では、マッピングされた心臓の画像を、ディスプレイ50に出力する。
【0052】
決定工程150では、プロセッサ36は、ディスプレイ50の中心に、即ち、FIS 40の視野内に関心対象の領域が出現するか否かを評価する。出現しない場合、再配置工程160にて、プロセッサ36により提供される命令を使用して、患者をFIS 40、例えばX線透視装置検出器42に対して再配置する。患者の再配置後の心臓の位置を、マッピング工程130にて再マッピングする。心臓の画像がディスプレイ内に出現した場合、更なる行動は必要ない。X線透視装置位置較正は、終了工程170にて終了する。
【0053】
本明細書に記載した実施形態は、主に、同期されるX線透視撮影及びカテーテル追跡システムを扱うが、本明細書に記載した方法及びシステムは、生体内でナビゲートされる医療用装置を監視する任意の好適なタイプの撮影システムにおいても使用することができる。
【0054】
したがって、上述の実施形態は一例として引用したものであり、また本発明は上記に具体的に図示及び記載したものに限定されないことは認識されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに上記の説明を読むことによって当業者には想到されるであろう、先行技術において開示されていない変形例及び改変例も含まれるものである。参照により本特許出願に組み込まれる文書は、組み込まれた文書内の用語が、本明細書で明示的又は暗黙的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが検討されるべきである。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
X線透視撮影システム及び位置追跡システムを、共通座標系に対して位置合わせすること(registering)と、
患者の身体内の関心対象の領域を、前記位置追跡システムによりマーキングすることと、
前記共通座標系を使用して、前記関心対象の領域が前記X線透視撮影システムの視野内に出現するように、前記視野を設定することと、
を含む、方法。
(2) 前記X線透視撮影システム及び前記位置追跡システムを前記共通座標系に対して位置合わせすることが、前記X線透視撮影システムを使用して、前記位置追跡システムの第1の座標系内に既知の座標を有する1つ又は2つ以上の物体を撮影することと、前記撮影された物体を使用して、前記位置追跡システムの前記第1の座標系を、前記X線透視撮影システムの第2の座標系と位置合わせすることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記視野を設定することが、前記患者を前記X線透視撮影システムで照射することなく、前記X線透視撮影システムを前記患者に対して配置することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記関心対象の領域をマーキングすることが、前記位置追跡システムを使用して、前記関心対象の領域に対して既知の場所に配置された、前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上のセンサのそれぞれの位置を測定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記位置を測定することが、前記患者の身体の表面上に付けられた前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上の皮膚パッチセンサの位置を特定することを含む、実施態様4に記載の方法。
【0056】
(6) 前記位置を測定することが、前記患者の身体内の前記関心対象の領域内に配置された1つ又は2つ以上の体内プローブの位置を特定することを含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記1つ又は2つ以上のプローブが多数のプローブを含み、前記関心対象の領域をマーキングすることが、前記プローブの多数のそれぞれの場所に基づいて前記関心対象の領域の位置を特定することを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記関心対象の領域をマーキングすることが、前記位置追跡システムにより生成された前記関心対象の領域の3次元マップ内に、固定された場所をマーキングすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記視野を設定することが、前記関心対象の領域と前記視野との間で最大の重なり合いを提供するために、前記患者の身体を前記X線透視撮影システムに対して再配置することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記視野を設定することが、前記視野を再配置するようオペレータに指導する命令を出力することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0057】
(11) 前記視野を設定することが、前記位置追跡システムにより生成された前記患者の身体の少なくとも一部のマップ上に重ねられた、前記視野の指示物を表示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 機器であって、
X線透視撮影システム及び位置追跡システムと通信するためのインターフェイスと、
前記X線透視撮影システム及び前記位置追跡システムを共通座標系に対して位置合わせし、前記位置追跡システムによって患者の身体内の関心対象の領域をマーキングし、前記共通座標系を使用して、前記関心対象の領域が前記X線透視撮影システムの視野内に出現するように、前記視野を設定するように構成されているプロセッサと、
を含む、機器。
(13) 前記プロセッサが、前記X線透視撮影システムを使用して、前記位置追跡システムの第1の座標系内に既知の座標を有する1つ又は2つ以上の物体を撮影し、前記撮影された物体を使用して、前記位置追跡システムの前記第1の座標系を、前記X線透視撮影システムの第2の座標系と位置合わせするように構成されている、実施態様12に記載の機器。
(14) 前記プロセッサが、前記患者を前記X線透視撮影システムで照射することなく、前記視野を設定するように構成されている、実施態様12に記載の機器。
(15) 前記プロセッサが、前記位置追跡システムを使用して、前記関心対象の領域に対して既知の場所に配置された、前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上のセンサのそれぞれの位置を測定することによって、前記関心対象の領域をマーキングするように構成されている、実施態様12に記載の機器。
【0058】
(16) 前記プロセッサが、前記患者の身体の表面上に付けられた前記位置追跡システムの1つ又は2つ以上の皮膚パッチセンサの位置を特定することによって、前記位置を測定するように構成されている、実施態様15に記載の機器。
(17) 前記プロセッサが、前記患者の身体内の前記関心対象の領域内に配置された1つ又は2つ以上の体内プローブの位置を特定することによって、前記位置を測定するように構成されている、実施態様15に記載の機器。
(18) 前記1つ又は2つ以上のプローブが多数のプローブを含み、前記プロセッサが、前記プローブの多数のそれぞれの場所に基づいて前記関心対象の領域の位置を特定するように構成されている、実施態様17に記載の機器。
(19) 前記プロセッサが、前記位置追跡システムにより生成された前記関心対象の領域の3次元マップ内に、固定された場所をマーキングすることによって、前記関心対象の領域をマーキングするように構成されている、実施態様12に記載の機器。
(20) 前記プロセッサが、前記関心対象の領域と前記視野との間で最大の重なり合いを提供するために、前記患者の身体を前記X線透視撮影システムに対して再配置することによって、前記視野を設定するように構成されている、実施態様12に記載の機器。
【0059】
(21) 前記プロセッサが、前記視野を再配置するようオペレータに指導する命令を出力するように構成されている、実施態様12に記載の機器。
(22) 前記プロセッサが、前記位置追跡システムにより生成された前記患者の身体の少なくとも一部のマップ上に重ねられた、前記視野の指示物を表示するように構成されている、実施態様12に記載の機器。
(23) システムであって、
位置追跡システムと、
X線透視撮影システムと、
X線透視装置位置較正システムであって、前記X線透視撮影システム及び前記位置追跡システムを共通座標系に対して位置合わせし、前記位置追跡システムによって患者の身体内の関心対象の領域をマーキングし、前記共通座標系を使用して、前記関心対象の領域が前記X線透視撮影システムの視野内に出現するように、前記視野を設定するように構成されている、X線透視装置位置較正システムと、
を含む、システム。