(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記荷物受渡装置は、ベルト搬送面の長さが可変される荷物受渡用コンベア部を有し、ベルト搬送面の長さが第1長さとしかつベルト走行を停止した状態で、ベルトコンベア部の中央にトレイを載置した状態から、ベルト搬送面の長さを第1長さより長い第2長さとしたときに、ベルトコンベア部の伸張部分をラックの一対の帯板間に進出し、トレイを一対の帯板に受け渡すようになっていることを特徴とする請求項3項に記載の荷物保管システム。
前記荷物受渡装置は、コンベア部と、荷物をコンベア部から前記棚部へ押し込む機能と、荷物を前記棚部上からコンベア上へ引き込む機能を有するハンドリング部を有することを特徴とする請求項3または4に記載の荷物保管システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る荷物保管システムに係る実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[第1の実施の形態]
空港における乗り継ぎ旅行客の旅行用バッグ等の荷物を保管するための保管室を選定する。空港の建物内には例えば地下1階に複数のデッドスペース(空室)散在しているので、上側の1階の床に開口を設けて差し支えない1つのデッドスペース(空室)を荷物保管室として選定する。
【0012】
図1に示すように、荷物保管システム1は、選定した荷物保管室2内に、搬入用ベルトコンベヤ10Aと、搬出用ベルトコンベヤ10Bと、搬入用荷物受渡装置20Aと、搬出用荷物受渡装置20Bと、複数の、例えば数十のラック30と、複数の、例えばラックの5分の1の台数の無人移送車40とを有するよう設備されている。荷物保管システム1は、保管対象荷物として、旅行用バッグのみの保管、旅行用バッグと付随物品を収容したトレイのみの保管、または旅行用バッグと、旅行用バッグ等を収容したトレイとが混在した状態での保管のいずれにも適用できる。なお、無人移送車40に替えて、後述する
図14A、
図14Bに示す無人移送車40Cを用いても良い。
【0013】
荷物保管室2の隅の天井部(1階の床部)に所要大きさの矩形の開口が設けられ、この開口が荷物出し入れ口3とされる。荷物出し入れ口3の一側(1階の所要位置)に、荷物保管室2を管理する管理コンピュータ4が設置される。
【0014】
荷物出し入れ口3の一端より荷物保管室2に下りる図示しない階段(またはエスカレータでもよい)が設置されるとともに、階段に並んで搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bが並設されている。荷物出し入れ口3の三辺に立ち入り禁止用の柵5(または隔離壁)が設けられる。
【0015】
搬入用ベルトコンベヤ10Aは、旅行用バッグ等の荷物Wを荷物出し入れ口3から荷物保管室2の所要位置に搬入するためのものである。また、搬出用ベルトコンベヤ10Bは、荷物保管室2内に一時保管されている旅行用バッグ等の荷物Wを荷物出し入れ口3へ搬出するものである。
【0016】
搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bは、上端水平部と緩傾斜面部と下端水平部とを有するコンベヤ本体11と、コンベヤ本体11の上面部に沿ってエンドレス走行するように設けられるコンベヤベルト12と、コンベヤベルト12の長さ方向の一定間隔位置、例えば1.5m毎にベルト幅方向に延在する荷物係止用バー13とを備える。
【0017】
搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bは、それぞれ上端水平部のコンベヤ本体の下面部が建物1階の床部に支持され、またそれぞれ下端水平部の下面部が荷物保管室2の床部に支持されるように設置されている。
【0018】
なお、搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bの2基を備える構成に替えて、搬送方向を切り換えることで搬入用と搬出用とに兼用できる1基のベルトコンベヤを設ける構成であっても良い。
【0019】
搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bは、コンベヤ用制御部14Aまたは14Bを備えている。コンベヤ用制御部14A,14Bは、管理コンピュータ4と連携し、コンベヤベルト12の駆動側ベルトロールを回転駆動する図示しないサーボモータの駆動を制御する。
【0020】
図2に示すように、搬入用荷物受渡装置20Aは、搬入用ベルトコンベヤ10Aの下流側端部(荷物保管室側端)に近接して設けられ、搬入用ベルトコンベヤ10Aで搬入される荷物Wを受け取るようになっている。
【0021】
搬出用荷物受渡装置20Bは、搬出用ベルトコンベヤ10Bの上流側端部(荷物保管室側端)に近接して設けられ、
図1に示すように、ラック30から受け取った荷物Wを搬出用ベルトコンベヤ10Bに受け渡すようになっている。
【0022】
搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bは、同一の構成のものを対照的な配置に設けることで足りる。
【0023】
なお、2基の搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bが搬入用と搬出用とに兼用できる1基のベルトコンベヤを設ける構成とするときは、搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bの2基に替えて、1基の荷物受渡装置を設ける構成とする。
【0024】
搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bは、左右対称の同一の構成であり、請求項の荷物受渡部と前記荷物受渡部を支持し昇降する昇降手段を有する。具体的には、搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bは、べース部21と、立面フレーム部22と、ベルトコンベヤ式のテーブル部23(荷物受渡部)と、テーブル部昇降手段24(昇降手段)と、アーム中央部26aでねじ軸24aに螺合するボールナットランナー25を保持し、アーム26と、荷物受渡用ベルトコンベヤ部27を備えている。
【0025】
テーブル部23は立面フレーム部22の荷物受渡側に位置され、荷物W(または荷物が入ったトレイ)を載置する載置面を有する。テーブル部昇降手段24は、立面フレーム部22のテーブル部23と反対側面の上部位置と下部位置とに両端支持されたねじ軸24aおよびねじ軸24aを回転駆動するサーボモータ24bとを有する。
【0026】
アーム26は、アーム中央部26aでねじ軸24aに螺合するボールナットランナー25を保持し、アーム両端部26b,26bで立面フレーム部22に開けられた上下方向に長い2つのスリット22aを通して立面フレーム部22の荷物受渡側に延びていてテーブル部23の下面部両側位置を支持している。
【0027】
荷物受渡用ベルトコンベヤ部27は、テーブル部23の上面部に設けられている。荷物受渡用ベルトコンベヤ部27は、搬送方向前後端に配設された一対のベルトロール(符号なし)と、一対のベルトロールに巻き掛けられたエンドレス状のコンベヤベルト27aと、一方のベルトロールを回転駆動するサーボモータ27bとを有する。
【0028】
搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bは、例えば、コンベヤベルト27aの搬送方向の長さが1m、ベルト幅が1mであり、制御指令に応じて、床面からコンベヤベルト27aまでの高さを、搬入用ベルトコンベヤ10Aの搬送端の高さ、例えば0.3mと、および、後述するラック30の各段の棚の高さに一致するように昇降自在に設けられる。
【0029】
なお、サーボモータ24bでねじ軸24aを回転駆動し、ねじ軸24aに螺合するボールナットランナー25を昇降させる昇降装置に替えて、エンドレスチェーンと、差動スプロケット機構とを組み合わせた昇降装置や液圧シリンダ装置を採用しても良い。
【0030】
搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bは、それぞれ荷物受渡用制御部28A,28Bを備えている。荷物受渡用制御部28A,28Bは、管理コンピュータ4と無線交信してサーボモータ24bを回転させるタイミングおよび回転時間を制御して、荷物受渡用ベルトコンベヤ部27に対し荷物の受け渡し動作を指示する。
【0031】
この実施の形態では、
図1に示すように、複数のラック30は、荷物保管室2内にA列、B列、C列、D列、E列の5列となるように、かつ各列が7基並びとなるように配列されている。ラック設置スペースと、荷物受渡装置設置スペースとの間は、ラック引き回し移動スペースとなっている。
【0032】
図3A、
図3Bに示すように、ラック30は、左右の側面部31,31と、中間連結用柱32と、左または右の側面部31,31のいずれかと中間連結用柱32とに両端支持されるように横架された各段左右並びに一対かつ3段で合計6個の棚部33と、左右の側面部31,31の上端同士を連結している天板部34とを有する。棚部33を含むこれらの構成要素は、請求項のラック用筐体を構成している。
【0033】
ラック30は、例えば、高さ寸法2.8m、幅寸法2m、奥行き寸法1m、段高さ寸法0.8mの大きさ、最下段高さ寸法0.4mである。左右の側面部31,31には、側面部31,31の外方から最下段の2個の棚部33,33の下面と床面との間に無人移送車40が進入可能となるように、下端部に台車進入口31aが開口されている。
【0034】
ラック30は、四隅に最下段の棚部33よりも下方に延びる脚部を有する。4つの脚部は、左右の側面部31,31の下端部に台車進入口31aを設けることで、台車進入口31aの両側に残る部分である。ラック30は、各脚部31bに、いずれの方向にも円滑に走行可能なキャスター38を備えている。ラック30は、最下段の棚部33の下面に設けられ係合部39を備えている。脚部31bは、請求の項のラック用筐体の下面平板部の四隅より下方に延びる脚部に相当する。なお、キャスター38は自動的にロック・ロック解除できる構成である。
【0035】
この係合部39は、無人移送車40が台車進入口31aを通してラック30の最下段の棚部33の下側に進入し、無人移送車40に備えている後述する連結部48が上昇することでこの連結部48と雄雌嵌合による係合が可能である。係合部39と連結部48とが係合しているとき、ラック30は、無人移送車40により牽引移動されるようになっており、牽引移動するこの際、ラック30の四方のキャスター38が走行するようになっている。
【0036】
なお、上記のようにキャスター38が接地した状態で走行する構成に変えて、係合部39と連結部48が係合しかつ無人移送車40側の2つのキャスター38が例えば5mm持ち上がる非接触状態とされた状態で、ラック30が無人移送車40により牽引移動されるようにしてもよい。
【0037】
ラック30は、さらに、各棚部33の上に一時保管対象である荷物W(または荷物を収容するトレイ)を載置する棚用ベルトコンベヤ35を有する。棚部33は、左右の側面部31,31に両端支持されるコンベアフレームである。
【0038】
棚用ベルトコンベヤ35は、荷物Wの受け取り受渡方向の前後端に配設された一対のベルトロール35a,35aと、一対のベルトロール35a,35aに巻き掛けられたエンドレス状のコンベヤベルト35bと、一方のベルトロールを回転駆動するサーボモータ35cとを有する。
【0039】
ラック30は、天板部34の上にサーボモータ35cに給電するための蓄電池36と、サーボモータ35cの駆動を制御するラック用制御部37とが載置されている。
【0040】
蓄電池36は、ラック30が移動する構成でありフレキシブルケーブルを繋ぐことが不可であることから、各ラック30の所定位置にて、床面に設けられる図示しない電源側誘導コイルと、この電源側誘導コイルに対向するようにラック30の最下段の棚部33の下面に設けられる図示しない被駆動源側誘導コイルとの間で非接触誘電発電を利用して蓄電するようになっている。
【0041】
ラック用制御部37は、管理コンピュータ4、荷物受渡用制御部28A,28B、コンベヤ用制御部14A,14B、および無人移送車用制御部49との間で無線により必要な信号のやり取りをしてサーボモータ35cの駆動を制御することで、搬入用荷物受渡装置20Aおよび搬出用荷物受渡装置20Bとの間で、棚用ベルトコンベヤ35上に荷物を引き入れたり送り出したりする。
【0042】
各段の半分を占めて構成される棚部33は、棚用ベルトコンベヤ35が独立して駆動され、かつ、幅寸法1m、奥行き寸法1m、段高さ寸法0.8mの大きさであるから、最大級の旅行鞄でも受渡可能に載置できる。
【0043】
全てのラック30は、各棚部33に荷物が載置されているか否かの2値信号を満空信号として取得し、ラック用制御部37によって棚部IDとともに管理コンピュータ4に送信するようになっている。
【0044】
これにより、管理コンピュータ4は、全てのラック30の中のどの棚部33に荷物IDによって識別される荷物が一時保管されているかを管理画面上で把握でき、万一の必要があれば管理者が階段を下りて荷物を取り出すことができる。
【0045】
キャスター38は、荷物保管室2へのラック30の人手作業による初期の配列時、およびシステム稼働後の電気系統の故障時に移動性を確保できる。
【0046】
なお、ラック30のキャスター38については、これを有しない構造の固定タイプのラックとしてもよい。その場合、ラック30については無人移送車40により移動性は確保できるので、構造がシンプルとなり、またキャスター38の車輪の割れや欠けの問題も生じないことからコストダウンを図れてよい。
【0047】
図4A、
図3Bに示すように、無人移送車40は、ラック30の台車進入口31aに進入可能であるように低く走行方向に細長い台車本体41と、台車本体41の両側部に設けられた一対の駆動輪42,42と、台車本体41の内部に支持され各駆動輪42を独立して回転駆動するサーボモータ43,43と、台車本体41の前面部および後面部のそれぞれに円滑に水平旋回可能に設けられた車輪支持部44にフリー回転可能に軸支された補助輪45,45と、サーボモータ43,43の駆動を制御する無人移送車用制御部49とを備えている。
【0048】
さらに、無人移送車40は、台車本体41の上面部より突出する昇降ブロック46と、昇降ブロック46を昇降させる昇降手段47aと、昇降ブロック46を昇降案内する昇降ガイド47bと、昇降ブロック46の上面部に設けられ昇降ブロック46がラック30の最下段の棚部33の下側に位置して上昇したときに棚部33の下面に設けられた係合部39と連結する連結部48とを備えている。
【0049】
無人移送車40は、無人移送車用制御部49が、ラック用制御部37、荷物受渡用制御部28A,28B、コンベヤ用制御部14A,14B、および管理コンピュータ4との間で無線により必要な信号のやり取りをしてサーボモータ43,43の駆動を制御することで、一対の駆動輪42,42が同一方向に回転しかつ回転速度を同一とすることにより直進移動し、また一対の駆動輪42,42が同一方向に回転しかつ回転速度を相違させることにより方向変換しつつ移動し、さらに一対の駆動輪42,42が互いに反対方向に同一速度回転させることにより移動することなく方向変換するようになっている。
【0050】
無人移送車40は、荷物保管室2の床に例えば一辺が長さ0.5mの仮想の正方形のマス目がX−X,Y−Y方向に線引きされ、マス目の交点に、荷物保管室2内の位置情報および位置ID等が記憶された二次元バーコードが貼着され、無人移送車40が二次元バーコードを読み込むことで自己位置をグリッド方式で次々に検出し荷物保管室2内を所定の経路で移動できるようになっている。
【0051】
各無人移送車40は、荷物保管室2における自己の待機位置と全てのラック30の待機位置とを記憶している。さらに、各無人移送車40は、自己の待機位置から各ラック30の待機位置に移動する経路、および各ラック30の待機位置から搬入用荷物受渡装置20Aまたは搬出用荷物受渡装置20Bの前位置に移動する経路、および各ラック30の搬入用荷物受渡装置20Aまたは搬出用荷物受渡装置20Bの前位置から元の待機位置に移動する経路を記憶している。
【0052】
無人移送車40は、ラック30の下面平板部に係合した状態でラック30を配列位置から荷物受渡装置20A(または20B)に移動し、さらに荷物受渡装置20A(または20B)との間で荷物W(またはトレイ)を受け渡し後にラック30の元の配列位置に移動するようになっている。なお、無人移送車40は、ラック30の下面平板部の下側中央位置まで進入してラック30を持ち上げて移動するようになっていてもよい。
【0053】
続いて、上述した荷物保管システム1における荷物の預け入れ時の動作工程について
図7を参照して簡単に説明する。
【0054】
(1)預け入れ時の管理コンピュータへのデータ入力(Step1)
旅行用バッグ等の荷物を一時預かりする場合、まず、一時保管のために旅行用バッグ等の荷物Wにバーコードを付して管理コンピュータ4に荷物Wの写真等と荷物IDをデータ入力し、預かり証を発行する。他に必要なデータとしては、パスポート番号または免許証番号等、預け人の氏名および電話番号、預け入れ日時、受け取り予定日時がある。
管理コンピュータ4の表示画面に、全部のラック30の配列状態、満空情報を表示し、一時保管荷物を載せていないラック30の棚部33を自動的にまたは人為的に抽出し、抽出したラック30のラックIDと、一時保管予定の棚部IDを入力する登録するとともに、一時保管のために旅行用バッグ等の撮影画像を登録し、さらに上記の必要なデータを登録する。
【0055】
(2)データ送信するとともに動作を指示(Step2)
管理コンピュータ4から搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬入用荷物受渡装置20Aとラック30と無人移送車40に対しデータ送信するとともに動作を指示する。この指示により一台の無人移送車40を選択される。
管理コンピュータ4により選択されラックID、棚部IDおよびラック移動指令を受信する一の無人移送車40は、自身に記憶している多くの記憶データの中から、自身の待機位置から指示されたラック30の待機位置まで移動する経路、当該ラック30の待機位置から搬入用荷物受渡装置20Aの前位置に移動する経路、および搬入用荷物受渡装置20Aの前位置から元の待機位置に移動する経路を特定する。
【0056】
(3)荷物Wの荷物保管室2へ搬入用荷物受渡装置20Aの送り込み(Step3,4)
管理コンピュータ4にデータ入力後、一時保管のための旅行用バッグ等を搬入用ベルトコンベヤ10Aに載置すると、搬入用ベルトコンベヤ10Aが走行を開始し、旅行用バッグ等の荷物Wを荷物保管室2に送り込む。
荷物Wを搬入用ベルトコンベヤ10Aの上流部に載置すると、搬入用ベルトコンベヤ10Aの上流部に設置された第1の荷物IDセンサが荷物Wの荷物保管室2への搬入開始を検出し、検出結果を管理コンピュータ4に送信する。
【0057】
(5)搬入用ベルトコンベヤ10Aから搬入用荷物受渡装置20Aへの荷物Wの受け渡し(Step8)
荷物受渡用ベルトコンベア部27は、搬入用荷物受渡装置20Aのところまで荷物Wを搬送する。搬入用荷物受渡装置20Aは、荷物受渡用ベルトコンベア部27による荷物Wの送り出しに対応してコンベアベルト27aを走行させ、荷物受渡用ベルトコンベア部27で荷物Wを受け取り、荷物Wがコンベアベルト27aの中央に位置したらコンベアベルト27aを走行停止させる。
【0058】
(6)ラック30の搬入用荷物受渡装置20Aへの移動(Step6,7,8)
無人移送車40は、先ず、特定した経路に沿って移動を指示されたラック30の待機位置へ移動開始する。無人移送車40は、指示されたラック30の下側に入り込んで連結し、例えばキャスター38が接地面から5mm浮くように持ち上げて搬入用荷物受渡装置20Aの前位置へ向けて移動する。
さらに、無人移送車40は、ラック30の棚部IDに対応した右側の棚または左側の棚を、特定した経路で搬入用荷物受渡装置20Aの前位置に移動し、キャスター38を接地状態に5mm下降し、ラック30との係合状態は解かない。
【0059】
(7)搬入用荷物受渡装置20Aからラック30への荷物Wの受け渡し(Step9,10)
管理コンピュータ4により指示された保管場所の棚部IDに対応したラック30の右側の棚または左側の棚が搬入用荷物受渡装置20Aの前位置に移動すると、荷物受渡用制御部28Aが管理コンピュータ4から受信している棚部IDに基づいてサーボモータ27bを駆動制御する。
もって、荷物受渡用ベルトコンベア部27が昇降しラック30の所要の棚用ベルトコンベヤ35に高さ合わせが行われる。次いで、荷物受渡用ベルトコンベア部27と棚用ベルトコンベヤ35とが同期して同方向にベルト走行を開始し、荷物受渡用ベルトコンベア部27から棚用ベルトコンベヤ35へ荷物Wの受け渡し・受け取りが行われ、その後、ベルト走行を停止する。
【0060】
(8)Step4,5,9,10の繰り返し(
図7中、枠線R1で囲まれたステップ)
1つのラック30には3段6個の荷物載置箇所があるので、荷物Wの預け入れに際して保管作業の省時間化を図るために、1つのラック30に荷物Wを保管していない棚用ベルトコンベヤ35が複数存在する場合、管理コンピュータ4において、1つのラック30に複数の荷物Wを保管するように指示する。
これにより、1つのラック30に、搬入用ベルトコンベヤ10Aから搬入用荷物受渡装置20Aへの荷物Wの受け渡し、さらに搬入用荷物受渡装置20Aからラック30への荷物Wの受け渡しが繰り返される。
この工程において、管理コンピュータ4が指示する荷物Wの保管場所が当該ラック30の上記の荷物の受け渡しと同一の右側または左側の棚(棚用ベルトコンベヤ35)である場合にはラック30は移動されず、また荷物Wの保管場所が上記の荷物の受け渡しとは異なる右側または左側の棚である場合には、ラック30は無人移送車40により対応する側に移動される。
【0061】
(9)ラック30の搬入用荷物受渡装置20Aから元の待機位置への移動(Step11,12)
ラック30への荷物Wの受け渡しが終わると、無人移送車40は、所定の経路でラック30を自身の元の待機位置へ移動開始し、待機位置へ移動したら、ラック30との係合を解除する。ラック30は、元の待機位置にて荷物Wを保管する。
【0062】
(10)無人移送車40の元の待機位置への移動(Step13)
無人移送車40は、ラック30を元の待機位置へ移動した後は、自身の元の待機位置へ所定の経路で移動する。
【0063】
続いて、上述した荷物保管システム1における荷物の受け渡し時の動作工程について
図8を参照して簡単に説明する。
【0064】
(1)預け入れ時の管理コンピュータへのデータ入力(Step21)
旅行用バッグ等の荷物を預け人に受け渡す場合、まず、預け人に渡した預かり証の提示してもらい回収し、預け人バーコードを読み取り管理コンピュータ4へのデータ入力することで、預け人の氏名を確認するとともに、管理コンピュータ4の表示画面に、全部のラック30の配列状態、満空情報を表示し、預け人が預けた荷物の荷物IDに係るラックIDと、棚部ID、預けた荷物Wの写真を抽出表示し、もって本人確認とする。
【0065】
(2)荷物保管室2から荷物Wを取り出すための指示(Step22)
次いで、管理コンピュータ4は、上記抽出したラックIDおよび/または棚部IDを、搬出用荷物受渡装置20Bの荷物受渡用制御部28Bと、所望に選択する無人移送車40の無人移送車用制御部49と、荷物Wを取り出し対象のラックIDが付されたラック30のラック用制御部37とにそれぞれデータ送信する。
【0066】
(3)ラック30の搬出用荷物受渡装置20Bへの移動(Step23,24,25)
管理コンピュータ4により選択され指示された無人移送車40は、自身に記憶している多くの記憶データの中から、移動を指示されたラック30までの移動する経路、当該ラック30の待機位置から搬出用荷物受渡装置20Bの前位置に移動する経路、および搬出用荷物受渡装置20Bの前位置から元の待機位置に移動する経路を特定する。
無人移送車40は、
図7に示すStep6,7,8と同様に、指示されたラック30の待機位置へ移動開始ラック30の下側に入り込んで連結し、持ち上げて搬入用荷物受渡装置20Bの前位置へ向けて移動し、ラック30の棚部IDに対応した右側の棚または左側の棚を、特定した経路で搬入用荷物受渡装置20Aの前位置に移動し、キャスター38を下降し、ラック30との係合状態は解かない。ラック30はキャスター38をロック状態にする。
【0067】
(4)ラック30から搬出用荷物受渡装置20Bへの荷物Wの受け渡し(Step26,27)
ラック30が搬出用荷物受渡装置20Bの前位置に移動すると、荷物受渡用制御部28Bが、管理コンピュータ4から予め受信している棚部IDに基づいてサーボモータ27bを駆動制御し、荷物受渡用ベルトコンベヤ部27が搬出用ベルトコンベヤ10Bと同一の高さから上昇しラック30の当該棚部IDの棚用ベルトコンベヤ35に高さを合わせる。
次いで、棚用ベルトコンベヤ35と荷物受渡用ベルトコンベア部27とが同期して同方向にベルト走行を開始し、もって、ラック30から搬入用荷物受渡装置20Bへ荷物Wの受け渡しが行われる。
【0068】
(5)搬入用荷物受渡装置20Bから搬出用ベルトコンベヤ10Bへの荷物Wの受け渡し(Step28,29)
次いで、荷物受渡用ベルトコンベア部27が下降し搬出用ベルトコンベヤ10Bに高さを合わせる。
次いで、荷物係止用バー13の上に荷物Wが載らないように位相を合わせて、荷物受渡用ベルトコンベア部27と搬出用ベルトコンベヤ10Bとが同期して同方向にベルト走行を開始する。こりより、荷物受渡用ベルトコンベア部27から搬出用ベルトコンベヤ10Bへ荷物Wの受け渡しが行われる。
【0069】
(6)Step26,27,28,29の繰り返し(
図8中、枠線R2で囲まれたステップ)
1つのラック30には3段6個の荷物載置箇所があるので、荷物Wの取り出しに際して保管作業の省時間化を図るために、1つのラック30に荷物Wを保管している棚用ベルトコンベヤ35が複数存在し保管している荷物Wを連続して取り出す場合、管理コンピュータ4において、1つのラック30から複数の荷物Wを取り出すように指示する。
これにより、1つのラック30から搬出用荷物受渡装置20Bへの荷物Wの受け渡し、さらに搬出用荷物受渡装置20Bから搬出用ベルトコンベヤ10Bへの荷物Wの受け渡しが繰り返される。
【0070】
なお、1つのラック30について同一タイミングで、搬入用荷物受渡装置20Aからラック30に荷物Wを受け渡し・受け取りと、ラック30から搬出用荷物受渡装置20Bに荷物Wを受け渡し・受け取りとを行う場合には、当該ラック30を搬入用荷物受渡装置20Aと搬出用荷物受渡装置20Bの順に移動する。
【0071】
(7)搬出用ベルトコンベヤ10Bによる荷物出し入れ口3への荷物Wの搬送(Step33)
搬出用ベルトコンベヤ10Bは、ベルト走行方向前後の荷物係止用バー13間に位置される受け取った荷物Wを荷物出し入れ口3まで搬送する。荷物保管室2から搬出された荷物出し入れ口3に搬送された荷物Wについて、データ照合を十分に行ってから預け人に引き渡す。
【0072】
(8)ラック30の搬入用荷物受渡装置20Bから自身の元の待機位置への移動(Step34)
ラック30への荷物Wの受け渡しが終わると、無人移送車40は、搬出用荷物受渡装置20Bから所定の経路で自身の元の待機位置へラック30を移動する。
【0073】
(9)無人移送車40の元の待機位置への移動(Step35)
無人移送車40は、ラック30を元の待機位置へ移動した後は、自身の元の待機位置へ所定の経路で移動する。
【0074】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る荷物保管システムは、
図9に示すように保管形態が荷物Wを入れたトレイTである。
【0075】
このような保管形態とした理由は次の通りである。第1の実施の形態に係る荷物保管システム1によれば、旅行鞄等の単一の荷物Wについて一時保管に適用した例を示したが、一人または人家族など一組の旅行客が携帯する荷物は複数個ある場合がある。
【0076】
そのような場合に、複数個の荷物を纏めて1つのラック30の1つの棚部33の上に一時保管した方が、保管管理がやり易く、誤りが生じ難く、荷物保管作業、保管荷物取出作業が容易になる。そこで、例えば
図9に示す所要の大きさのトレイTが用いられる。このトレイTに一人または一組の所有に係る一時保管となる複数の荷物Wを入れて、一時保管に必要な情報を管理コンピュータ4に登録して、上記実施の形態で説明した如く、1つのトレイを1つの荷物として処理する。
【0077】
ここで、トレイとは、底面部と周壁部(4つの側面部)とを有するものであり、大きさについては、第1の実施の形態にラック30の1m平方の棚に適合させる場合には、0.7−0.8m平方の底面部と、底面部の4辺より立ち上がる0.2−0.4mの高さの側壁面部とを有するものが良い。
【0078】
保管形態が荷物Wを入れたトレイTである場合、
図1に示す搬入用ベルトコンベヤ10Aまたは搬出用ベルトコンベヤ10Bの荷物受渡用ベルトコンベア部27とラック30による荷物Wの受け渡し・受け取り方式では受け渡し・受け取りが実現できない。そこで、システムに以下の様な変更が加えられている。
【0079】
第2の実施の形態に係る荷物保管システム(不図示)は、
図1に示す搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bと同一の一対のコンベヤと、
図12、
図13A、
図13Bに示す荷物受渡用ベルトコンベア部27Cを有する一対の荷物受渡装置20Cと、
図10、
図11に示す複数のラック30Cと、
図10、
図11、
図14A、
図14B、
図15に示す複数の無人移送車40Cとを有するよう設備されている。
【0080】
図10、
図11に示す複数のラック30Cは、トレイTの保管に適合する構造である。当該ラック30Cは、
図3A、
図3Bに示すラック30の2段目、3段目の棚部33と棚用ベルトコンベヤ35とを取り外し、新しく、トレイTを載置する棚として、1段目、2段目、3段目の一対の帯板33C,33Cを設けた構成である。一対の帯板33C,33Cは、トレイTの保管のための載置位置の両側のラック用筐体を構成する側面部に片持ち支持されるアングル材の水平部である。
【0081】
ラック30Cは、
図3A、
図3Bに示すラック30の最下段(1段目)の棚部33を残している。この最下段の棚部33は、無人移送車40によって持ち上げられかつ係合のために必要である。最下段の棚部33と、その上の1段目の一対の帯板33C,33Cとの高さギャップは、後述する搬入用荷物受渡装置20Cの荷物受渡用ベルトコンベア部27の伸張側の端部が進入し得る大きさになっている。
【0082】
第1の実施の形態で採用している
図4A、
図4Bに示す無人移送車40においては、一部が台車進入口31aから最下段の棚部33の下側に入り込み、ラック30Cの台車寄りの2つのキャスター38が例えば5mm浮く状態にラック30Cを持ち上げて牽引移動するようになっている。
【0083】
これに対し、
図10、
図11、
図14A、
図14B、
図15に示すように、本実施の形態で採用している無人移送車40Cは、台車進入口31aから最下段の棚部33の下側に入り込み、台車本体41Cの昇降ブロック46Cを上昇させ、昇降ブロック46Cの上面より突出する連結部47Cを最下段の棚部33に設けられた係合孔に係合させ、さらに昇降ブロック46を最下段の棚部33に当接して上昇し、ラック30Cの4つのキャスター38がラック30Cを例えば5mm浮く状態に持ち上げて移動するようになっている。
【0084】
この実施の形態では、ラック30Cの平面視の大きさが2m×1mであるのに対し、無人移送車40Cの台車筐体の平面視の大きさは、例えば、1.7m×0.8mである。これにより、ラック30Cの1−3段のかつ片側の1m平方の棚のそれぞれに重量が大きいトランクを載せることにより、ラック30Cと荷物Wを入れたトレイTとを含む全体の重心がラック30Cの片側の大きく偏った状態になっても、無人移送車40Cがラック30Cを持ち上げて走行する際または向きを変える際に、ラック30Cが慣性と重力作用で転倒してしまう恐れが回避される。
【0085】
無人移送車40Cは、台車筐体40C1と、台車筐体40C1の一方の両側面の面幅中央部に設けられそれぞれサーボモータ(不図示)により駆動回転される1対の縦方向駆動輪40C2および各縦方向駆動輪を挟んで離間し自由回転可能な2対の縦方向走行サポート車輪40C3と、台車筐体40C1の他方の両側面の面幅中央部に設けられそれぞれサーボモータ(不図示)により駆動回転される1対の横方向駆動輪40C4および各横方向駆動輪を挟んで離間し自由回転可能な2対の横方向走行サポート車輪40C5とを有する。
なお、無人移送車40Cから1対の横方向駆動輪40C4と2対の横方向走行サポート車輪40C5を取り除いた構成は、
図4A、
図4Bに示す無人移送車40と実質的に同一なものである。
【0086】
1対の縦方向駆動輪40C2と2対の縦方向走行サポート車輪40C3(前者の車輪群という)は一体に上下動可能であり、1対の横方向駆動輪40C4と2対の横方向走行サポート車輪40C5(後者の車輪群という)も一体に上下動可能であって、前者の車輪群が走行するときには、後者の車輪群は上昇し非接地状態に待機し、また、後者の車輪群が走行するときには、前者の車輪群は上昇し非接地状態に待機するようになっている。
【0087】
これによって、
図15に示すように、無人移送車40Cは、ラック30Cの長手方向にも短手方向にも当該ラック30Cを移動でき、さらに、接地状態にある1対の縦方向駆動輪40C2または40C4が回転数を相違させることによりまたは回転方向を互いに相違させることにおり、方向変換ができおよび走行方向の修正ができる。
【0088】
搬入用と搬出用の荷物受渡装置20Cは、
図12、
図13A、
図13Bに示すベルト搬送面の長さが2倍となるように伸張するベルト搬送面の長さ可変式の荷物受渡用ベルトコンベア部27Cを勝手反対に備えている。
【0089】
荷物受渡用ベルトコンベア部27Cは、ロール27A1−27A6と、これらのロール27A1〜27A6に巻き掛けられたコンベアベルト27A7とを有する。ロール27A6はサーボモータ(不図示)により回転される駆動ロールである。ロール27A5はテンションロールである。
【0090】
さらに、ベルトコンベア部27Cは、ロール27A1,27A4−27A6とをそれぞれ両端支持するフレーム27A8と、フレーム27A8に支持され、ロール27A2とロール27A3とを距離固定で一体的に両端支持し、ロール27A1に対し
図13Aに示す接近した距離から
図13Bに示す離間した距離に水平移動させる左右一対の伸縮式ロール支持用アーム27A9,27A9とを有する。
【0091】
ベルトコンベア部27Cは、伸縮式ロール支持用アーム27A9,27A9が伸張することでベルト搬送面の長さを2倍に伸張する構成である。なお、
図12において、符号23はテーブル部、符号26bはアーム両端部であり、それぞれ、
図2に示すものと同一である。
【0092】
荷物受渡装置20Cの無端ベルト27A7の幅は、ラック30Cの一対の帯板33C,33C間の間隔よりも小さく設けられている。これにより、
図13Aに示すようにベルト搬送面の長さが短くかつベルト走行を停止した状態で、ベルトコンベア部27Cの中央にトレイTを載置した状態から、
図13Bに示すようにベルト搬送面の長さを2倍に伸張したときに、ベルトコンベア部27Cの伸張部分をラック30Cの一対の帯板33C,33C間に進出することができて、トレイTを一対の帯板33C,33Cの長さ方向中央部に対応させることができる。
【0093】
次いで、ベルトコンベア部27Cを支持しているテーブル部昇降手段が数cm降下し、引続いて、ベルトコンベア部27Cがベルト搬送面の長さを元の短い長さに復帰することで、トレイTが一対の帯板33C,33Cに載置される。
【0094】
第2の実施の形態に係る荷物保管システムについても
図7および
図8に示す動作工程図と同一の連繋動作となる。
【0095】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係る荷物保管システム(不図示)は、
図1に示す搬入用ベルトコンベヤ10Aと搬出用ベルトコンベヤ10Bと同一の一対のコンベヤと、
図1の荷物受渡装置20A,20Bに対応するものとして
図18に示す荷物受渡用ベルトコンベア部27Dを有する左右勝手反対な一対の荷物受渡装置20Dと、
図16、
図17に示す複数のラック30Dと、
図16に示す複数の無人移送車40Dとを有するよう設備されている。無人移送車40Dは、第3の実施の形態に係る
図14A、
図14Bに示す無人移送車40Cと同一である。
【0096】
図16はラック30Dの正面図を示し、
図17はラック30Dの斜視図を示す。
図18は、荷物受渡装置20Dの荷物受渡用ベルトコンベア部27Dとラック30Dとの間の荷物Wの受け渡し・受け取りするところを示す平面図である。
【0097】
第1の実施の形態に係る
図3A、
図3Bに示すラック30において荷物Wを載置する棚として、側面部31,31に両端支持される棚部33の上に設置された棚用ベルトコンベヤ35が設けられているが、本実施の形態では、棚用ベルトコンベヤ35を外し、棚部33のみで荷物Wを載置する棚としている点が唯一、
図3A、
図3Bに示すラック30と相違する。
【0098】
図16に示すように、棚部33は、請求項に記述する荷物の載置位置の両側のラック用筐体を構成する側面部31,31に両端支持される板状体に相当する。
【0099】
したがって、荷物受渡用ベルトコンベア部27Dとラック30Dとの間の荷物Wの受け渡し・受け取りは、ベルトコンベア部27Dと棚部33である平板との間で行われるものであり、第1の実施の形態に係る荷物受渡用ベルトコンベア部27とラック30との間のベルトコンベア同士による荷物Wの受け渡し・受け取りとは相違している。
【0100】
搬入用と搬出用の荷物受渡装置20Dは、
図18に示すベルトコンベア部27Dについて勝手反対に備え、それ以外の構成は
図2に示すものと同一である。
【0101】
荷物受渡用ベルトコンベア部27Dは、
図2に示すベルトコンベア部27と、追加の構成として、ベルトコンベア部27の両側に、荷物Wをベルトコンベアから先の棚部33へ押し込む機能と、荷物Wを棚部33上からコンベアベルト27a上へ引き込む機能を有するハンドリング部29を有する。
【0102】
図18に示す荷物受渡用ベルトコンベア部27Dは、
図2に示すコンベアベルト27aとその駆動部分と、その両側に設けられた左右一対の伸縮式アーム29a,29aと、各伸縮式アーム29aの中途部および張出端に設けられた押し込みアーム29bおよび引き込みアーム29cと、各伸縮式アーム29aを昇降自在に支持する昇降部機構29dとを有する。
【0103】
荷物受渡用ベルトコンベア部27Dは、コンベアベルト27a上の荷物Wを先の棚部33へ押し込む場合、縮小状態の伸縮式アーム29aを昇降部機構29dが上昇させた待機状態において、荷物Wが押し込みアーム29bおよび引き込みアーム29cに干渉しないでコンベヤベルト27上に移載される。
【0104】
次いで昇降部機構29dが伸縮式アーム29aを下降させると、コンベアベルト27a上の荷物Wが各一対の伸縮式アーム29a,29aと押し込みアーム29b,29bおよび押し込みアーム29c,29cに囲まれた状態になる。
【0105】
次いで、伸縮式アーム29a,29aが伸張状態になることで押し込みアーム29bが荷物Wを棚部33上に押し込むことになる。その後、昇降機構部29dが伸縮式アーム29aを上昇させる状態になり、さらに伸縮式アーム29a,29aが縮小させ、待機状態に復帰する。
【0106】
一方、荷物受渡用ベルトコンベア部27Dは、棚部33上の荷物Wをコンベアベルト27a上へ引き込む場合、昇降部機構29dが伸縮式アーム29aを上昇させた待機状態において、先ず、伸縮式アーム29aが伸張し棚部33上の荷物Wの上方に位置する。
【0107】
次いで、昇降部機構29dが伸縮式アーム29aを下降させることで、棚部33上の荷物Wが各一対の伸縮式アーム29a,29aと押し込みアーム29b,29bおよび押し込みアーム29c,29cに囲まれる。
【0108】
次いで、伸縮式アーム29a,29aが縮小状態になることで、引き込みアーム29cが棚部33上の荷物Wをコンベアベルト27a上へ引き込むことになり、その後、昇降部機構29dが伸縮式アーム29aを上昇させ、待機状態に復帰する。
【0109】
なお、
図18において、押し込みアーム29bおよび引き込みアーム29cが垂直と水平の2つの状態に切り替え自在な構成としてもよく、この構成であれば、昇降部機構29d,29dを設けなくてもよい。すなわち、伸縮式アーム29a,29aの伸縮動作と、押し込みアーム29bおよび引き込みアーム29cの起立状態と水平状態の起伏動作とを組み合わせることで、ベルトコンベアと棚部33との間における荷物の受け渡し・受け取りを行うことができる。
【0110】
第3の実施の形態に係る荷物保管システムについても
図7および
図8に示す動作工程図の同一の連繋動作となる。
【0111】
無人移送車の自動走行経路の制御は、アルミテープや磁気テープを用いたり、二次元バーコードに替えてARコードを用いても良い。
【0112】
以上説明したように、本発明に係る荷物保管システムは、空港の建物の地下に散在している複数のデッドスペースの内の1つのデッドスペースを利用してコンパクトに構築でき、空港における乗り継ぎ旅行客の旅行用バッグ等を保管する設備として適するという効果を有し、優れた荷物保管システム、このシステムに適用する荷物受渡装置を提供することができる。
【課題】空港の建物の地下に散在しているデッドスペースを利用して短期間かつ簡便にシステム構築をすることができ、空港における乗り継ぎ旅行客の旅行用バッグ等を保管する設備として適する荷物保管システムを提供すること。
【解決手段】荷物保管システム1は、荷物Wを載置する複数段の棚部33を有する複数のラック30と、荷物Wを搬送する搬送部であるベルトコンベヤ10A,10Bと、ベルトコンベヤ10A,10Bの一端部に隣接して設置された荷物受渡装置20A,20Bと、ラック33を配列位置から荷物受渡装置20A,20Bとの間で荷物Wを受け渡す位置に搬送する無人移送車40とを備え、荷物受渡装置20A,20Bは、受け渡す位置にてラック30の複数段の棚部33の内の所望の棚部33と荷物Wの受け渡しを行うように構成されている。