特許第6740610号(P6740610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6740610
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1334 20060101AFI20200806BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20200806BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   G02F1/1334
   G02F1/1333 505
   G02F1/1339 505
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-249759(P2015-249759)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-116647(P2017-116647A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】岩浪 慶成
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−133388(JP,A)
【文献】 特開2008−046588(JP,A)
【文献】 特開昭57−099614(JP,A)
【文献】 特開2002−214627(JP,A)
【文献】 特開2007−187866(JP,A)
【文献】 米国特許第06490022(US,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0002187(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1334
G02F 1/13
G02F 1/1333
G02F 1/1339
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の上層に設けられた表示電極と、
前記第2基板の上層に前記表示電極と対向するように設けられた共通電極と、
前記表示電極と前記共通電極とが対向する状態で、前記第1基板及び前記第2基板との間に挟まれた高分子分散型液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板との間において前記高分子分散型液晶層を囲むように配置されたシール材と、
前記第1基板と前記第2基板とのそれぞれの上層において、前記高分子分散型液晶層を囲むように、平面視で前記シール材と重なる位置に設けられた段差絶縁膜と、
前記第1基板の上層に配置された前記段差絶縁膜上に配置された導電層と、
を具備し、
前記段差絶縁膜は、前記段差絶縁膜が配置された部分と前記段差絶縁膜が配置されない部分とに高さの差を生じさせ、
前記第1基板および前記第2基板の上層に設けられた前記段差絶縁膜の厚さの和は、前記高分子分散型液晶層の20%以上であり、
前記共通電極は、前記第2基板の上層に設けられた前記段差絶縁膜上に配置され、
前記シール材は導電性の粒子を含む、ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1基板の上層に設けられた前記段差絶縁膜は、無機絶縁膜であり、前記第2基板の上層に設けられた前記段差絶縁膜は、無機絶縁膜又は有機絶縁膜であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子分散型液晶は、三次元の網状に形成された高分子(高分子ネットワーク)内において液晶が相分離した構造を有し、高分子ネットワークの側壁に沿って液晶分子の配向方向がランダムに配置している状態と、電界を印加して液晶分子が電界方向に配列した状態とで光の散乱状態と光の透過状態とをそれぞれ作り出している(例えば、特許文献1)。散乱度合いは、液晶に印加される電圧により決定され、液晶に印加される電圧は、高分子材料と液晶との分圧により決定される。
【0003】
高分子分散型の液晶表示装置は、一対のガラス基板と、この一対のガラス基板間に挟持された高分子分散型液晶層と、高分子分散型液晶を封入するように一対のガラス基板を固定するシール材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−19583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一対のガラス基板を固定するシール材として、例えば有機系シール接着材を用いたときに、シール材付近の液晶分子が配列してしまうことがあった。シール材付近の液晶分子が配列してしまうと、液晶分子の配向方向がランダムな状態ではなくなるため、シール材付近の領域において散乱する光が弱くなることがあった。その結果、液晶分子の配向方向がランダムになっている領域と液晶分子が配列している領域とで、光の散乱状態に差が生じ、表示ムラとして視認されることがあった。
【0006】
本発明の実施形態は、表示ムラを抑制する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、第1基板及び第2基板と、前記第1基板の上層に設けられた表示電極と、前記第2基板の上層に前記表示電極と対向するように設けられた共通電極と、前記表示電極と前記共通電極とが対向する状態で、前記第1基板及び前記第2基板との間に挟まれた高分子分散型液晶層と、前記第1基板と前記第2基板との間において前記高分子分散型液晶層を囲むように配置されたシール材と、前記第1基板と前記第2基板とのそれぞれの上層において、前記高分子分散型液晶層を囲むように、平面視で前記シール材と重なる位置に設けられた段差絶縁膜と、前記第1基板の上層に配置された前記段差絶縁膜上に配置された導電層と、を具備し、前記段差絶縁膜は、前記段差絶縁膜が配置された部分と前記段差絶縁膜が配置されない部分とに高さの差を生じさせ、前記第1基板および前記第2基板の上層に設けられた前記段差絶縁膜の厚さの和は、前記高分子分散型液晶層の20%以上であり、前記共通電極は、前記第2基板の上層に設けられた前記段差絶縁膜上に配置され、前記シール材は導電性の粒子を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示ムラを抑制する液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の一例の平面図である。
図2図2は、図1のA−A’線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図3図3は、段差絶縁膜の厚さと、シール材近傍の透過率との関係の一例を説明するための図である。
図4図4は、第2実施形態に係る液晶表示装置の一例の断面図である。
図5図5は、第3実施形態に係る液晶表示装置の一例の断面図である。
図6図6は、比較例に係る液晶表示装置の一例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らないことに留意すべきである。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
[第1実施形態]
[1]液晶表示装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置10の一例の平面図である。
図2は、図1のA−A’線に沿った液晶表示装置10の断面図である。
本実施形態に係る液晶表示装置は、文字や図形などの複数のキャラクタを表示するパターン表示型の高分子分散型液晶表示装置である。
液晶表示装置10は、表示電極が設けられる第1基板20と、共通電極が設けられかつ第1基板20に対向配置される第2基板21と、第1基板20及び第2基板21間に挟持された液晶層22とを備える。第1基板20及び第2基板21は、例えばガラス基板から構成される。
【0012】
第1基板20及び第2基板21は、表示領域(ビューエリア)VAを囲む枠状のシール材23によって貼り合わされる。液晶層22は、シール材23によって第1基板20及び第2基板21間に封止される。シール材23は、例えば有機系の接着材から構成され、例えば印刷工程により形成される。液晶層22の厚さ(セルギャップ)は、液晶層22中、及びシール材23中に混在されたギャップ材で規定され、例えば1〜10μm程度である。本実施形態の液晶表示装置では、液晶層22の厚さは略8μmである。
【0013】
液晶層22は、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、又は高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)により構成される。PDLCは、高分子層(高分子ネットワーク)22A内に液晶22Bが分散された構造を有しており、すなわち高分子層22A内において液晶22Bが相分離した構造を有する。或いは、高分子層22A内の液晶22Bが連続相を有していても良い。
【0014】
高分子層22Aとしては光硬化樹脂を用いることができる。例えば、PDLCは、光重合型の高分子前駆体(モノマー)に液晶を混合させた溶液に紫外線を照射し、モノマーを重合させてポリマーを形成し、そのポリマーのネットワーク中に液晶が分散される。液晶22Bとしては、例えば、誘電率異方性が正(ポジ型)のネマティック液晶が用いられる。すなわち、液晶層22に電圧が印加されない場合は、液晶分子22Cが高分子層22A内にランダムに配置した状態となり、液晶層22に電圧が印加された場合は、液晶分子22Cが電界方向に立っている状態(液晶分子22Cの長軸が電界方向に向いている状態)となる。
【0015】
第1基板20の液晶層22側には、複数の信号配線24が設けられる。信号配線24上には、絶縁膜25が設けられる。表示領域VAにおける絶縁膜25上には、複数の表示電極26が設けられる。複数の表示電極26はそれぞれ、平面形状が所望のパターンになるように加工される。表示電極26がキャラクタのパターンに加工されることで、キャラクタ表示が可能となる。なお、図1では、簡略化して、表示電極26の図示を省略している。
【0016】
表示電極26は、対応する信号配線24にコンタクトプラグ27を介して電気的に接続される。例えば、コンタクトプラグ27は、表示電極26と同一工程にて形成され、具体的には、絶縁膜25にコンタクトホールを形成し、このコンタクトホールに表示電極26と同じ導電材料を埋め込むようにして、表示電極26と一体となって形成される。信号配線24は、表示電極26の端部から表示領域VAの外側まで引き出され、表示電極26に電圧を印加する機能を有する。
【0017】
表示電極26及び絶縁膜25の上層には、シール材23と重なる位置に、絶縁材料により段差絶縁膜28Bが設けられる。すなわち、段差絶縁膜28Bは表示領域VAを囲む枠状に配置されている。本実施形態では、段差絶縁膜28Bの幅(断面図において基板面と略平行な方向における長さ)は、シール材23の幅よりも広く形成されている。段差絶縁膜28Bは、窒化シリコン化合物や酸化シリコン化合物等の無機絶縁材料により形成されてもよ
【0018】
表示電極26、絶縁膜25、及び段差絶縁膜28Bの上層には、液晶層22と接するようにして第1有機絶縁膜(図示せず)が設けられてもよい。第1有機絶縁膜は、表示領域VA全体を覆うように形成されるため、加工精度を考慮して、表示領域VA周辺でシール材23と重なりを持つように配置される。段差絶縁膜28B、及び第1有機絶縁膜の上層には、シール材23が設けられる。
【0019】
表示電極26、コンタクトプラグ27、及び信号配線24は、透明な導電材料から構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)から構成される。表示電極26、及び信号配線24の膜厚は、例えば100Å〜1000Å程度である。絶縁膜25は、例えば、膜厚1000Å〜10000Å程度の窒化シリコン化合物(SiNx)や酸化シリコン化合物(SiOx)などの無機絶縁材料を含む無機絶縁膜である。第1有機絶縁膜は、例えば、膜厚100Å〜1000Å程度のポリイミド膜から構成される。
【0020】
本実施形態では、表示電極26の膜厚は例えば略25nmである。絶縁膜25の膜厚は例えば略500nmである。段差絶縁膜28Bの厚さは、略1600nmである。段差絶縁膜28Bは、例えば、窒化シリコン化合物(SiNx)や酸化シリコン化合物(SiOx)等の無機絶縁材料を含む無機絶縁膜である。
【0021】
第2基板21の液晶層22側には、共通電極30が設けられる。共通電極30は、表示領域VA全面に平面状に設けられ、平面視において少なくとも全ての表示電極26と重なるサイズを有する。
【0022】
第2基板21の液晶層22側には、平面視においてシール材23と重なる位置に、段差絶縁膜28Aが設けられる。すなわち、段差絶縁膜28Aは表示領域VAを囲むように配置されている。本実施形態では、段差絶縁膜28Aの幅は、シール材23の幅よりも広く形成されている。段差絶縁膜28Aは、窒化シリコン化合物や酸化シリコン化合物等の無機絶縁材料により形成されてもよく、アクリル系化合物などの有機絶縁材料により形成されてもよい。
【0023】
共通電極30、及び第2基板21の上層には、液晶層22と接するようにして第2有機絶縁膜(図示せず)が設けられてもよい。第2有機絶縁膜は、表示領域VA全体を覆うように形成されるため、加工精度を考慮して、表示領域VA周辺でシール材23と重なりを持つように配置される。第2有機絶縁膜および段差絶縁膜28Aの上層には、シール材23が設けられる。本実施形態では、シール材23は有機材料を含む接着剤であって、例えばアクリル系の接着剤である。シール材23の厚さは、略4.8μmである。
【0024】
共通電極30は、例えば、膜厚100Å〜1000Å程度のITOから構成される。第2有機絶縁膜は、例えば、100Å〜1000Å程度のポリイミド膜から構成される。本実施形態では、共通電極30の膜厚は略25nmである。段差絶縁膜28Aの膜厚は、略1600nmである。段差絶縁膜28Aは、例えば、窒化シリコン化合物(SiNx)や酸化シリコン化合物(SiOx)等の無機絶縁材料を含む無機絶縁膜である。
【0025】
[2]動作
上記のように構成された液晶表示装置10の動作について説明する。液晶表示装置10は、駆動回路(図示せず)を備える。駆動回路は、複数の信号配線24、及び共通電極30に電気的に接続される。駆動回路は、例えば、表示領域VA以外の周辺領域における第1基板20上にボンディングされる。駆動回路は、外部から供給される制御信号に基づいて動作する。
【0026】
上記駆動回路は、表示電極26及び共通電極30に電圧を印加することで、液晶層22に電界を印加する。液晶層22に電界を印加していない、すなわち、表示電極26及び共通電極30を同電圧にする場合、液晶分子がランダムに配置される。この場合、液晶層22に白色光を入射すると、入射光が散乱して外部からは白濁した状態として観察される(白表示)。
【0027】
一方、液晶層22に電界を印加した、すなわち、表示電極26及び共通電極30の一方に高電圧(例えば5V)、他方に低電圧(例えば0V)を印加した場合、液晶分子が電界方向(基板に垂直な方向)に配列する。この場合、液晶層22に白色光を入射すると、入射光が透過して外部からは透明な状態として観察される(黒表示)。なお、直流電圧を液晶層に印加し続けると液晶が劣化してしまうため、一定時間ごとに電圧の極性を反転させる反転駆動を採用しても良い。
【0028】
上記動作において、液晶表示装置10が白表示をしているときには、シール材23から離れた表示領域VAの中央部分では、液晶層22の液晶分子22Cは、配向方向がランダムに配置する。しかしながら、表示領域VAのシール材23の近傍では、液晶分子22Cの配向方向が同じになるように配列してしまう。この場合、表示領域VAのシール材23の近傍において光が十分に散乱せず、白表示にムラが生じることとなる。
【0029】
そこで、本実施形態の液晶表示装置では、平面視において、第1基板20と第2基板21との上層のシール材23と重なる領域に、段差絶縁膜28A、28Bを設けている。段差絶縁膜28A、28Bを設けることにより、液晶層22とシール材23とが接する領域を小さくすることができ、シール材23による液晶分子22Cの配向方向に対する影響を抑制している。
【0030】
以下に、比較例の液晶表示装置について図面を参照して説明し、本実施形態の液晶表示装置の効果について説明する。
[比較例]
図6は、比較例に係る液晶表示装置10の一例の平面図である。
比較例の液晶表示装置10は、上述の実施形態の液晶表示装置において、段差絶縁膜28A、28Bを備えない構成である。
【0031】
すなわち、シール材23は、第2有機絶縁膜及び共通電極30の上層に設けられる。シール材23は有機材料を含む接着剤であって、例えばアクリル系の接着剤である。シール材23の厚さは、略8μmである。シール材23は、共通電極30と絶縁膜25との間において液晶層22を封止している。シール材23の内側の端部は、液晶層22と接触している。
【0032】
上述のように、液晶表示装置10が白表示をしているときには、液晶層22の液晶分子22Cはランダムに配置している。しかしながら、液晶層22のシール材23近傍の領域30では、液晶分子22Cの同じ方向に配列する。
【0033】
ここで、比較例と上述の実施形態との液晶表示装置10を比較すると、シール材23が厚いほど、シール材23と液晶層22とが接触する領域が大きくなる。したがって、比較例の液晶表示装置10の方がシール材23と液晶層22とが接触する領域が大きくなる。また、シール材23と液晶層22とが接触する領域が大きい方が、液晶層22の配向方向に対するシール材23の影響も大きくなる。図6に示すように、シール材23の内側の端部からの距離が近い部分では領域30も大きく、シール材23の内側の端部から離れるにつれて領域30は徐々に小さくなる。
【0034】
図3は、段差絶縁膜28A、28Bの厚さと、シール材23近傍の透過率との関係の一例を説明するための図である。
ここでは、段差絶縁膜28A、28Bを設けなかった場合(段差なし)と、段差絶縁膜28A、28Bの厚さ(段差絶縁膜28Aの厚さと段差絶縁膜28Bと厚さとの和)が液晶層22の厚さに対して20%(段差20%)、30%(段差30%)、40%(段差40%)の夫々の場合について、シール材23の内側の端部かたの距離と透過率との関係の一例を示している。縦軸に示した透過率比は、表示領域VAの中央部分位おける透過率を1.0としたときの透過率の比である。
【0035】
いずれの場合も、シール材23の近傍において透過率比が高くなっており、シール材23から離れるにつれて、透過率比が1.0に収束していく傾向が得られた。更に、段差絶縁膜28A、28Bの厚さが小さいほど、シール材23の内側の端部から離れた位置でも透過率比が大きい傾向が得られた。なお、段差絶縁部28A、28Bの厚さは20%より薄い場合でも、段差がないときと比較して、透過率比が大きくなる領域50を小さくする効果が得られた。
【0036】
この結果から、段差絶縁膜28A、28Bを設けると、段差絶縁膜28A、28B近傍の液晶分子22Cはランダムに配置し、液晶分子22Cが同じ方向に配列した領域30が小さくなることが分かる。すなわち、上述の実施形態の液晶表示装置10によれば、白表示の際にシール材23近傍で光の散乱が低下することを抑制し、表示ムラを抑制することが可能となる。
【0037】
[第2実施形態]
以下に、第2実施形態に係る液晶表示装置について図面を参照して説明する。
図4は、第2実施形態に係る液晶表示装置10の一例の断面図である。なお、図4は、図1に示すA−A’線に沿った位置における断面の一例を示すものである。
【0038】
上述の第1実施形態では、表示電極26及び、共通電極30を設けた後に、段差絶縁膜28Aを形成したが、本実施形態の液晶表示装置10では、段差絶縁膜28Aを形成した後に、段差絶縁膜28A上に共通電極30を設けている。更に、段差絶縁膜28B上には導電層29が配置されている。したがって、シール材23は、共通電極30と導電層29との間に配置されている。また、シール材23は導電性の粒子40を含んでいる。シール材23には複数の導電性粒子40が含まれ、導電性の粒子40の直径は、例えば2μ以上10μm以下である。
【0039】
上記のように段差絶縁膜28A上に共通電極30を設けることで、共通電極30とシール材23に含まれる導電性の粒子40とが電気的に接続する。また、導電層29を段差絶縁膜28B上に配置することで、導電層29と導電性の粒子40とが電気的に接続する。すなわち、シール材23を介して、共通電極30と導電層29とを電気的に接続することができる。このことにより、第1基板20上の配線から導電層29およびシール材23を介して、共通電極30に共通電圧を印加することが可能となる。
【0040】
上記のように、段差絶縁膜28A、28B上に導電層29、30を配置した場合であっても、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置10によれば、表示ムラを抑制することが可能となる。
【0041】
[第3実施形態]
以下に、第3実施形態に係る液晶表示装置について図面を参照して説明する。
図5は、第3実施形態に係る液晶表示装置10の一例の断面図である。なお、図5は、図1に示すA−A’線に沿った位置における断面の一例を示すものである。
【0042】
本実施形態の液晶表示装置10は、第2基板21上にのみ段差絶縁膜28Aが設けられ、段差絶縁膜28Bを備えていない。本実施形態では、段差絶縁膜28Aは厚さが1600nmであって、液晶層22の厚さは6.4μmである。
【0043】
段差絶縁膜は第1基板20の上層と第2基板21の上層との両方に設ける必要はなく、第1基板20と第2基板21との少なくとも一方上に設けられればよい。段差絶縁膜28Aを設けて、シール材23と液晶層22とが接触する部分を小さくすることにより、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置10によれば、表示ムラを抑制することが可能となる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、1つの実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせ、若しくは異なる実施形態に開示される構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、これらの構成要素が削除された実施形態が発明として抽出されうる。
【符号の説明】
【0045】
10…液晶表示装置、20…第1基板、21…第2基板、22…液晶層、22A…高分子層、22B…液晶、22C…液晶分子、23…シール材、24…信号配線、25…絶縁膜、26…表示電極、27…コンタクトプラグ、28A、28B…段差絶縁膜、29…導電層、30…共通電極、40…導電性の粒子、50…領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6