特許第6740710号(P6740710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6740710
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】ファンモータ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/00 20060101AFI20200806BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20200806BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F04D29/00 B
   F04D29/52 B
   F04D25/08 303
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-103170(P2016-103170)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-210892(P2017-210892A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】張 桂玲
(72)【発明者】
【氏名】竹下 英伸
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−48149(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0152489(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3128352(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0008800(US,A1)
【文献】 特開2010−19183(JP,A)
【文献】 特開2007−124801(JP,A)
【文献】 米国特許第7811069(US,B1)
【文献】 特開2007−321625(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201090534(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/00
F04D 29/52
F04D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンモータであって、
静止部と、上下に延びる回転軸を中心に回転する回転部とを有するモータと、
複数の羽根を有し、前記回転部とともに回転するインペラと、
前記モータおよび前記インペラを内部に収容するハウジングと、
前記モータと接続され、径方向外側に向かって延びる、複数のリード線と、
を有し、
前記ハウジングは、
前記回転軸に沿って吸気側から排気側へと延び、前記インペラの少なくとも一部を内部に収容する筒状の筒状部と、
前記筒状部の少なくとも一部から径方向外側へ向けて突出するフランジ部と、
前記筒状部の少なくとも一部に設けられ、前記筒状部を径方向に貫通するリード線引出口と、
前記リード線引出口と連通し、前記フランジ部を軸方向に貫通する縦溝と、
を有し、
前記フランジ部は、
前記筒状部へ向かって延びる第1規制部、を有し、
前記複数のリード線の少なくとも一部は、前記リード線引出口を通過して径方向外側に引き出され、前記第1規制部よりも径方向内側且つ前記縦溝内に収容され、前記縦溝内から排気側に向かって延びており、
前記ファンモータは、前記リード線引出口の一部を覆うクリップを有しており、
前記クリップは、
前記リード線引出口のうち前記リード線よりも排気側を覆う、本体部と、
前記本体部から吸気側に突出する突出部と、
を有する、ファンモータ。
【請求項2】
ファンモータであって、
静止部と、上下に延びる回転軸を中心に回転する回転部とを有するモータと、
複数の羽根を有し、前記回転部とともに回転するインペラと、
前記モータおよび前記インペラを内部に収容するハウジングと、
前記モータと接続され、径方向外側に向かって延びる、複数のリード線と、
を有し、
前記ハウジングは、
前記回転軸に沿って吸気側から排気側へと延び、前記インペラの少なくとも一部を内部に収容する筒状の筒状部と、
前記筒状部の少なくとも一部から径方向外側へ向けて突出するフランジ部と、
前記筒状部の少なくとも一部に設けられ、前記筒状部を径方向に貫通するリード線引出口と、
前記リード線引出口と連通し、前記フランジ部を軸方向に貫通する縦溝と、
を有し、
前記フランジ部は、
前記筒状部へ向かって延びる第1規制部、を有し、
前記複数のリード線の少なくとも一部は、前記リード線引出口を通過して径方向外側に引き出され、前記第1規制部よりも径方向内側且つ前記縦溝内に収容され、前記縦溝内から吸気側に向かって延びており、
前記ファンモータは、前記リード線引出口の一部を覆うクリップを有しており、
前記クリップは、
前記リード線引出口のうち前記リード線よりも吸気側を覆う、本体部と、
前記本体部から排気側に突出する突出部と、
を有する、ファンモータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のファンモータであって、
前記第1規制部は、根元部から先端部に向かって径方向内側に傾斜している。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のファンモータであって、
前記筒状部は、前記第1規制部の径方向内側に位置し、前記第1規制部と径方向に間隙を介して対向する第2規制部を有する。
【請求項5】
請求項4に記載のファンモータであって、
前記第2規制部は、前記筒状部の周面に沿って延びている。
【請求項6】
請求項4に記載のファンモータであって、
前記第2規制部は、前記筒状部から第1規制部へ延びる第3規制部と、前記フランジ部の基部から第1規制部へ延びる第4規制部と、
を有し、
前記リード線引出口は、前記筒状部の軸方向の上端または下端から軸方向に延びる引出口縦部と、
を有し、
前記引出口縦部は、前記第3規制部と前記第4規制部との間に形成されている。
【請求項7】
請求項6に記載のファンモータであって、
前記リード線引出口は、
前記引出口縦部の少なくとも一部から周方向に延びる引出口横部と、
を有し、
前記引出口縦部と前記引出口横部とが互いに直交、または交差する。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のファンモータであって、
前記クリップは、周方向端部において、前記筒状部の内周面に係合する係合部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの駆動力を利用してインペラを回転させ、軸方向に気流を発生させる軸流式のファンモータが知られている。軸流式のファンモータは、例えば、家電製品、OA機器、輸送機器等に搭載され、電子部品の冷却、または機器筐体内の気体の循環等の目的で使用されている。また、電子機器が多数設置されるサーバルーム内の気体の循環に、ファンモータが用いられる場合もある。従来のファンモータについては、例えば中国特許出願公開第103511345号明細書に記載されている。
【0003】
中国特許出願公開第103511345号明細書に記載のファンモータは、モータおよびインペラを内部に収容するフレーム構造を有する。フレームに設けられた第1溝と、凸型ブロックに設けられた第2溝を用いて、モータに接続された電源ワイヤを保持しつつ、多様な経路配列を可能とする。このため、様々な機器に適応させることができる。
【特許文献1】中国特許出願公開第103511345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、中国特許出願公開第103511345号明細書の構造においては、凸型ブロックの延びる長さが長いため、電源ワイヤを外部へ引き出す場合やモータを駆動させる場合において、強度不足によって破損する虞が有る。
【0005】
本発明は、モータおよびインペラを内部に収容するハウジングにおけるリード線引出口付近の構造を改善し、上述の課題を解決したファンモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な第1実施形態は、ファンモータであって、静止部と、上下に延びる回転軸を中心に回転する回転部とを有するモータと、複数の羽根を有し、回転部とともに回転するインペラと、モータおよびインペラを内部に収容するハウジングと、モータと接続され、径方向外側に向かって延びる、複数のリード線と、を有し、ハウジングは、回転軸に沿って吸気側から排気側へと延び、インペラの少なくとも一部を内部に収容する筒状の筒状部と、筒状部の少なくとも一部から径方向外側へ向けて突出するフランジ部と、筒状部の少なくとも一部に設けられ、筒状部を径方向に貫通するリード線引出口と、リード線引出口と連通し、フランジ部を軸方向に貫通する縦溝と、を有し、フランジ部は、筒状部へ向かって延びる第1規制部、を有し、複数のリード線の少なくとも一部は、リード線引出口を通過して径方向外側に引き出され、第1規制部よりも径方向内側且つ縦溝内に収容され、縦溝内から排気側に向かって延びており、ファンモータは、リード線引出口の一部を覆うクリップを有しており、クリップは、リード線引出口のうちリード線よりも排気側を覆う、本体部と、本体部から吸気側に突出する突出部と、を有する、ファンモータである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1実施形態によれば、ファンモータにおいて、モータから引き出されたリード線をハウジングに保持しやすい。これにより、ハウジングから外側へのリード線の外れまたは撓みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係るファンモータの斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るファンモータの縦断面図である。
図3図3は、本実施形態に係るファンモータの部分斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係るファンモータの部分斜視図である。
図5図5は、変形例に係るファンモータの部分底面図である。
図6図6は、変形例に係るファンモータの部分底面図である。
図7図7は、変形例に係るファンモータの斜視図である。
図8図8は、変形例に係るファンモータの部分斜視図である。
図9図9は、変形例に係るファンモータの部分斜視図である。
図10図10は、変形例に係るファンモータの部分側面図である。
図11図11は、変形例に係るファンモータの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、ファンモータの回転軸と平行な方向を「軸方向」、ファンモータの回転軸に直交する方向を「径方向」、ファンモータの回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。
【0010】
また、以下の説明では、軸方向において、空気が取り込まれる側(図1における上側)を「吸気側」または単に「上側」と呼び、空気が排出される側である(図1における下側)を「排気側」または単に「下側」と呼ぶ。ただし、この「上側」および「下側」は、あくまで説明の便宜のための表現であって、重力方向とは無関係である。本発明に係るファンモータは、どのような向きで使用されてもよい。
【0011】
<1.第1実施形態>
<1−1.ファンモータ1の全体構成>
図1は、本実施形態に係るファンモータ1の斜視図である。図2は、本実施形態に係るファンモータ1の縦断面図である。
【0012】
このファンモータ1は、例えば、冷蔵庫などの家電製品、または複数の電子機器が配置されたサーバルームなどの室内に、冷却用の空気流を供給する装置として用いられる。このファンモータ1は、単独で使用されてもよく、あるいは、複数台のファンモータ1を組み合わせて同時に使用してもよい。例えば、1つのサーバルームに対して、複数台のファンモータ1を設置して、それらを同時に駆動させてもよい。
【0013】
図1および図2に示すように、ファンモータ1は、モータ2と、インペラ3と、ハウジング4を有する。また、ファンモータ1は、複数のリード線60を有する。ファンモータ1は、回転軸9に沿って下向きに空気流を発生させる軸流式のファンである。ファンモータ1を駆動させると、吸気側であるファンモータ1の上側から空気が取り込まれ、ハウジング4内の風洞10を通って、排気側であるファンモータ1の下側へ向けて空気が送り出される。
【0014】
モータ2は、静止部21と、回転部22とを有する。回転部22は、静止部21に対して回転可能に支持される。また、回転部22は、上下に延びる回転軸9を中心として回転する。
【0015】
静止部21は、ベース部211と、ステータ212と、軸受ホルダ213と、回路基板65と、リード線60と、を有する。ベース部211は、ステータ212よりも下側に配置され、軸受ホルダ213の周囲から径方向外側に向かって拡がる円板状の部材である。ステータ212は、軸受ホルダ213の外周面に固定された電機子である。ステータ212は、ステータコア51と、複数のコイル52とを有する。ステータコア51は、径方向に延びる複数のティースを有する。複数のコイル52は、それぞれ、ティースの周囲に巻かれた導線により形成される。
【0016】
軸受ホルダ213は、回転軸9に沿って延びる円筒状の部材である。軸受ホルダ213の下部はベース部211の内周面に、例えば接着剤で固定される。軸受ホルダ213の径方向内側には、軸受部214が配置される。軸受部214には、例えば、ボールベアリングが用いられる。軸受部214の外輪は、軸受ホルダ213の内周面に固定される。軸受部214の内輪は、後述するシャフト221と互いに固定され、シャフト221を支持する。これにより、シャフト221が、静止部21に対して回転可能に支持される。ただし、モータ2は、ボールベアリングに代えて、すべり軸受、流体軸受等の他の方式の軸受部を有していてもよい。
【0017】
回転部22は、シャフト221と、ロータホルダ222と、マグネット223とを有する。シャフト221は、回転軸9に沿って配置される柱状の部材である。シャフト221は、軸受部214によって回転可能に支持される。モータの駆動時には、シャフト221は、回転軸9を中心として回転する。
【0018】
ロータホルダ222は、回転軸9に対して略垂直に拡がる円板状のロータ蓋部53と、ロータ蓋部53から排気側へ延びるロータ筒部54とを有する有蓋円筒状の部材である。ロータホルダ222の材料には、例えば、金属または樹脂が用いられる。ロータ蓋部53の中央部は、シャフト221の上端部に、環状部材34を介して固定される。これにより、ロータホルダ222は、シャフト221とともに回転する。ロータ蓋部53は、静止部21の吸気側に配置される。ロータ筒部54は、ステータ212の径方向外側に配置される。マグネット223は、ロータ筒部54の内周面に固定される。
【0019】
インペラ3は、カップ部31と複数の羽根32とを有する。カップ部31は、ロータホルダ222の上面および外周面を覆う。各羽根32は、カップ部31の外周面から径方向外側へ拡がる。インペラ3は、回転部22とともに回転する。複数の羽根32は、周方向に略等間隔に配列される。なお、羽根32の数は、特に制限されない。
【0020】
ハウジング4は、モータ2およびインペラ3を内部に収容する筐体である。ハウジング4は、筒状部61と、複数の支持部63と、フランジ部73と、を有する。
【0021】
筒状部61は、回転軸9に沿って延びる筒状の部位である。筒状部61は、インペラ3の径方向外側において、略円筒状に延びる。筒状部61は、インペラ3の少なくとも一部を内部に収容する。
【0022】
支持部63は、筒状部61の内面の少なくとも一部から径方向内側へ延び、静止部21の少なくとも一部と直接的または間接的に接続される。これにより、モータ2の静止部21の、ハウジング4に対する位置が固定される。なお、本実施形態において、支持部63および筒状部61は、樹脂の射出成形により単一の部材として形成されている。ただし、これらは別部材であってもよい。
【0023】
フランジ部73は、筒状部61の上端および下端付近の少なくとも一部から径方向外側へ向けて突出する。本実施形態では、周方向の4箇所にフランジ部73が設けられている。フランジ部73がねじ止めされることにより、ファンモータ1が家電製品等の枠体に取り付けられる。ただし、フランジ部73は、筒状部61の上端および下端付近のいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0024】
<1−2.リード線引出口81付近のハウジング4の構造について>
続いて、ファンモータ1のハウジング4におけるリード線引出口81付近の構造について説明する。図3は、ハウジング4におけるリード線引出口81付近を、排気側且つ径方向外側から見た部分斜視図である。図4は、ハウジング4におけるリード線引出口81付近を、排気側且つ径方向内側から見た部分斜視図である。
【0025】
図3または図4に示すとおり、ファンモータ1の筒状部61の下端付近には、少なくとも一部に切欠状のリード線引出口81が設けられている。リード線引出口81は、筒状部61の軸方向下端部から軸方向上向きに延びる引出口縦部811と、引出口縦部811の少なくとも一部から周方向に延びる引出口横部812とを有している。引出口縦部811と引出口横部812とは、互いに直交、または交差する。なお、図4において、リード線引出口81は径方向内側から外側に見て略「L字」の切欠状になっているが、これに限定されない。例えば、引出口横部812は、周方向に対して傾斜を有してもよく、さらに引出口縦部811は、軸方向に対して傾斜を有してもよい。
【0026】
また、図4において引出口横部812は引出口縦部811の上端部分と交わっているが、これに限定されない。例えば、引出口縦部811の軸方向の中間に引出口横部812が交わってもよい。
【0027】
なお、モータ2から径方向外側に引き出された、複数のリード線60は、リード線引出口81を通る。その際、このように引出口縦部811よりも周方向の幅が広い引出口横部812を有することによって、リード線引出口81に通されたリード線60を保持しやすくなる。また、引出口横部812内にリード線60を通すことによって、リード線60の下側への抜けを抑制できる。
【0028】
さらに、ハウジング4には、リード線引出口81に連通し、フランジ部73を軸方向に貫通する、縦溝82が設けられている。縦溝82の周方向の幅は、リード線引出口81の周方向の幅よりも大きいことが望ましい。これにより、リード線60を収容できる十分な容積を確保できる。
【0029】
なお、図1に示すリード線60の一端は、モータ2の回路基板65に電気的に接続される。リード線60の他端は、ハウジング4における切欠状のリード線引出口81に通された後、例えば、下側に曲げられる。なお、リード線60をリード線引出口81に通す際には、まず、引出口縦部811の下端からリード線60を通し、その後、引出口横部812内へ、リード線60を周方向に横移動させる。これにより、配線の作業性が向上し、さらにリード線60を保持しやすくなる。
【0030】
ここで、フランジ部73は、筒状部61へ向かって延びる第1規制部85、を有している。複数のリード線60の少なくとも一部は、リード線引出口81を通過して径方向外側に引き出され、第1規制部85よりも径方向内側且つ縦溝82内に収容される。これにより、リード線60が径方向外側に抜けたり撓んだりすることを抑制することができる。
【0031】
また、第1規制部85は、根元部851および先端部852を有しており、根元部851から先端部852に向かって径方向内側に傾斜している。これにより、縦溝82内のリード線60を収容する空間を最小限に留めることで、リード線が径方向外側へ抜けたり撓んだりすることを抑制することができる。但し、後述の図5および図6のように、径方向内側に傾斜していなくても良い。
【0032】
一方、筒状部61は、第1規制部85の径方向内側に位置し、第1規制部85と径方向に間隙を介して対向する第2規制部86を有する。当該間隙は、縦溝82の一部である。すなわち、第1規制部85以外の部位でリード線60を規制しているため、第1規制部85の長さを短く設計可能となる。そのため、第1規制部85および第2規制部86、双方の長さを短く設計でき、強度向上につながる。
【0033】
なお、第2規制部86は、筒状部61の周面に沿って延びているため、第2規制部86を成型しやすいという利点を有している。
【0034】
また、第2規制部86は、筒状部61から第1規制部85へ延びる第3規制部861と、フランジ部73の基部731から第1規制部85へ延びる第4規制部862と、を有している。この場合、引出口縦部811は、第3規制部861と第4規制部862との間に形成されている。これにより、リード線60が径方向内側に配置された風洞10側へ抜けてしまうことを抑制することができる。つまり、モータ2から引き出されたリード線60は、リード線引出口81より径方向外方に引き出される。このとき、リード線60は、第3規制部861または第4規制部862によって軸方向に移動が規制され、リード線60の保持が容易となる。また、周方向に延びる引出口横部812にリード線60が保持されることで、リード線60の周方向の移動が規制され、リード線60の保持が容易となる。さらに上述のとおり、リード線60は、第1規制部85よりも径方向内側且つ縦溝82内に収容されることにより、リード線60が径方向外側に抜けたり撓んだりすることを抑制することができる。
<2.変形例>
【0035】
続いて、本発明の変形例について説明する。図5および図6は、ハウジングにおけるリード線引出口付近を、排気側から見た部分底面図である。図5は、第2規制部86Bが第3規制部861Bのみで構成されている変形例である。この場合、引出口縦部811Bは、基部731Bと第3規制部861Bとの間に形成される。これにより、リード線が径方向内側に配置された風洞10B側へ抜けてしまうことを抑制することができる。さらに、第3規制部861Bによりリード線の軸方向への移動を抑制することができる。
【0036】
図6は、第2規制部86Cが第4規制部862Cのみで構成されている変形例である。引出口縦部811Cは、第4規制部862Cと筒状部61Cとの間に形成されている。これにより、リード線が径方向内側に配置された風洞10C側へ抜けてしまうことを抑制することができる。さらに、第4規制部862Cによりリード線は軸方向に移動することを抑制することができる。
【0037】
その他、リード線を引き出す方向の変形例を示す。図7は、ファンモータ1Dの斜視図である。前述の実施形態と異なり、当該実施形態では、複数のリード線60Dの少なくとも一部は、リード線引出口81を通った後、縦溝82D内から吸気側に向かって延びてもよい。当該実施形態は、ファンモータの接続先が、ファンモータの排気側よりも吸気側の方が近い場合に好ましい。このように、本発明は、汎用性の高いファンモータを提供することができる。
【0038】
さらに、本発明では、リード線引出口の一部を覆うクリップを有していても良い。なお、「覆う」とは、リード線引出口の径方向外側への開口面積の一部を縮小させることを言う。図8および図9は、ハウジングにおけるリード線引出口付近を、吸気側から見た部分斜視図である。図10および図11は、ハウジングにおけるリード線引出口付近を、図9の矢印Yの方向から見た部分側面図である。
【0039】
図9に示すように、クリップ87Eは、周方向端部において、筒状部61Eの内周面に係合する係合部8711Eを有している。クリップ87Eは、リード線60Eを径方向外側へ引き出した後、リード線60Eよりも排気側から矢印Yの方向に向かって移動させ、筒状部61Eの内周面に係合される。これにより、リード線60Eがリード線引出口81Eを通って径方向内側に配置された風洞側へ抜けてしまうことを抑制することができる。
【0040】
さらに、クリップ87Eが、風洞の径方向外側への開口面積を縮小させることができるため、ファンモータの風量特性や静圧特性が向上する。図10は、図9の矢印Yの方向から見た部分側面図である。破線で示す引出口横部812Eの径方向外側への開口面積の一部が、クリップ87Eで覆われている。なお、引出口横部812Eの開口面積の半分以上が、クリップ87Eで覆われていることが好ましい。
【0041】
この場合、図11の破線で示すように、クリップ87Fが、リード線引出口のうちリード線60Fよりも下側を覆う本体部871Fと、本体部871Fから上側に突出する突出部872Fと、を有していても良い。このように、リード線60Fの収容空間を必要最低限にすることで、風洞の径方向外側への開口面積を縮小させることができるため、ファンモータの風量特性や静圧特性が向上する。なお、風洞の径方向外側への開口面積を縮小させるためにクリップを用いたが、この限りではない。封止剤などの樹脂を用いても良い。また、クリップを筒状部の内側から設置してもよい。
【0042】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0043】
例えば、リード線引出口および縦溝は、ハウジングの排気側ではなく、または排気側に加えて、吸気側に設けられてもよい。例えば、モータの基板が吸気側に配置されている場合、リード線引出口および縦溝は、ハウジングの吸気側に設けることが望ましい。
【0044】
また、ファンモータの細部の形状については、本発明の各図に示された形状と相違していてもよい。また、上記の実施形態および変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ファンモータに利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1,1B,1C,1D…ファンモータ、2…モータ、21…静止部、211…ベース部、212…ステータ、213…軸受ホルダ、214…軸受部、22…回転部、221…シャフト、222…ロータホルダ、223…マグネット、3…インペラ、31…カップ部、32…羽根、34…環状部材、4,4D…ハウジング、51…ステータコア、52…コイル、53…ロータ蓋部、54…ロータ筒部、60,60D,60E,60F…リード線、61,61B,61C,61D,61E…筒状部、63…支持部、65…回路基板、73,73B,73C,73D…フランジ部、731,731B…基部、81,81B,81C,81E…リード線引出口、811,811B,811C,811E…引出口縦部、812,812E…引出口横部、82,82D…縦溝、823…側壁、84…壁部、85,85B,85C,85E…第1規制部、851…根元部、852…先端部、86,86B,86E…第2規制部、861,861B,861E…第3規制部、862,862C,862E…第4規制部、87,87E,87F…クリップ、871,871E,871F…本体部、8711E…係合部、872F…突出部、9…回転軸、10,10B,10C…風洞、Y…矢印
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