(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体素子の高信頼化、小型化および低コスト化を目的として、縦型パワー半導体素子と、この縦型パワー半導体素子の制御・保護回路用の横型半導体素子と、を同一の半導体基体(半導体チップ)に搭載したパワーIC(Integrated Circuit:集積回路)半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献1,2、非特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、パワーIC半導体装置が車載用ハイサイドパワーICである場合、n型の半導体基板上には、出力段用の縦型のnチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)と、このnチャネルMOSFETを制御する横型のMOSFETが設けられている。n型の半導体基板のいずれかの主面側に設けられる縦型のnチャネルMOSFETのドレイン端子には、通常12V程度の車載用のバッテリ電源が接続されるが異常時を考慮し、高い電圧が印加されることを想定する必要がある。高い電圧とは、40[V]、60[V]以上程度である。縦型のnチャネルMOSFETのドレイン端子は、例えば、横型のpチャネルMOSFETのバックゲート端子と共通化されるため、横型のpチャネルMOSFETのバックゲート端子にも高い電圧が印加される。パワーIC半導体装置に搭載される横型のpチャネルMOSFETについて
図8を用いて説明する。
【0004】
図8は、従来のパワーIC半導体装置に搭載される横型のpチャネルMOSFETの構造の一例を示す説明図である。
図8(a)には、横型のpチャネルMOSFET800の構造の断面図を示す。
図8(b)には、横型のpチャネルMOSFET800の構造の平面図を示す。
図8(a)には、
図8(b)の切断線B−B’における断面構造を示す。
図8(a)に示すように、Z軸方向は、横型のpチャネルMOSFET800の断面構造における深さ方向である。また、X軸方向は、横型のpチャネルMOSFET800の断面構造における横方向である。
図8(b)に示すように、Y軸方向は、横型のpチャネルMOSFET800の断面構造における奥行き方向である。
【0005】
半導体基板120は、n
+型支持基板101の一方の主面上にn
-型エピタキシャル層102をエピタキシャル成長してなる。半導体基板120のおもて面(n型エピタキシャル層102の、n型支持基板101の反対側)の表面層には、ドレイン側のp
-型拡散領域103と、ソース側のp
-型拡散領域104とが、互いに離して選択的に設けられている。
【0006】
また、ドレイン側のp
-型拡散領域103の表面層には、p
+型ドレイン拡散領域105が選択的に設けられている。p
+型ドレイン拡散領域105の表面に接するようにドレイン電極109が設けられている。ソース側のp
-型拡散領域104の表面層には、p
+型ソース拡散領域106が選択的に設けられている。p
+型ソース拡散領域106の表面に接するようにソース電極110が設けられている。
【0007】
また、ポリシリコン(poly−Si)からなるゲート電極108は、エピタキシャル層102の、ソース側のp
-型拡散領域104とp
+型ドレイン拡散領域105に挟まれた部分の表面上に設けられる。
【0008】
ドレイン側のp
-型拡散領域103やソース側のp
-型拡散領域104の不純物濃度は、ドレイン−ソース間の耐圧(横方向の耐圧とも称する。)が車載用のパワーIC半導体装置の要求耐圧以上になるように設定される。要求耐圧は、例えば、40[V]から60[V]程度である。
【0009】
半導体基板120のおもて面の表面層には、n
+型バックゲート拡散領域117がp
-型拡散領域103および拡散領域104から離して選択的に設けられている。バックゲート電極115は、n
+型バックゲート拡散領域117の表面に接するように設けられている。
【0010】
また、厚い絶縁膜であるLOCOS(Local Oxidatiоn оf Silicon)膜111は、半導体基板120のおもて面上に選択的に設けられている。例えば、LOCOS膜111は、半導体基板120のおもて面に、半導体基板120に設けられた横型のpチャネルMOSFET800とそれ以外の素子とを電気的に分離するために選択的に設けられている。例えば、LOCOS膜111は、X軸方向において、ドレイン側のp
-型拡散領域103の表面のうち、ドレイン拡散領域105以外の部分のソース側のp
-型拡散領域104と反対側の部分に設けられている。LOCOS膜111は、X軸方向において、半導体基板120の表面のうち、n
+型バックゲート拡散領域117以外であり、n
+型バックゲート拡散領域117のソース側のp
-型拡散領域104と反対側の部分に設けられている。これにより、電気的に素子が分離される。
【0011】
また、バックゲート拡散領域117とソース拡散領域106とを電気的に分離するために、LOCOS膜111は、バックゲート拡散領域117とソース拡散領域106との間に設けられている。また、横方向の耐圧が所定耐圧を確保できるように、LOCOS膜111は、X軸方向において、ドレイン側のp
-型拡散領域103の表面のドレイン拡散領域105以外の部分のうち、ソース側のp
-型拡散領域104側の部分に選択的に設けられている。
【0012】
また、
図8(b)において、点線枠で示される部分は、LOCOS膜111の端部である。LOCOS膜111は、例えば、Y軸方向において、横方向耐圧の向上のために設けられた部分、ソース拡散領域106とバックゲート拡散領域117との電位分離のために設けられた部分などが素子分離のための部分と繋がっている。このため、pチャネルMOSFET800がオン状態の場合のチャネルの長さ(チャネル長とも称する。)は、X軸方向において、ソース側のp
-型拡散領域104と、ドレイン側のp
-型拡散領域103と、の間の領域(以下、チャネル活性領域とも称する。)の長さである。
【0013】
バックゲート電極115のバックゲート端子116は、n型の半導体基板120の基板電極118と同電位にされるため、バックゲート電極115のバックゲート端子116には高電圧が印加される。ここで、n
-型のエピタキシャル層102のうち、ドレイン側のp
-型拡散領域103およびソース側のp
-型拡散領域104以外の領域は、ドリフト領域とも称する。ドリフト領域は、バックゲート電極115や基板電極118と同電位であり、高電圧が印加される。また、ドリフト領域と半導体支持基板101と基板電極118などを総称してバックゲートとも称する。ドリフト領域と、ソース側のp
-型拡散領域104と、の間のpn接合は、縦方向のpn接合とも称する。また、縦方向のpn接合の耐圧は、省略して縦方向の耐圧やバックゲート−ソース間の耐圧とも称する。
【0014】
一般的な横型のpチャネルMOSFETでは、バックゲート用に半導体基板のおもて面に設けられるn
+型拡散領域とソース拡散領域とが金属配線によって接続されるため、ソース電極のソース端子とバックゲート電極のバックゲート端子とが同電位になる。しかしながら、例えば、横型のpチャネルMOSFET800と同一基板に縦型のnチャネルMOSFETが設けられる際に、n
+型拡散領域117とp
+型ソース拡散領域106とが金属配線によって接続されないため、ソース端子114とバックゲート端子116とが異なる電位となる場合がある。例えば、pチャネルMOSFET800では、バックゲート端子116に高電圧が印加され、ソース端子114に低電圧が印加される場合がある。
【0015】
このような場合、縦方向のpn接合は、逆バイアスとなるため、一般的に縦方向のpn接合の設計耐圧よりも高い電圧が実際にバックゲート−ソース間に印加されると、縦方向のpn接合には、逆電圧降伏(ブレークダウン)が生じる。このため、縦方向のpn接合の設計耐圧は、実際に印加されるバックゲート−ソース間の電圧よりも高い必要がある。縦方向の耐圧が所定耐圧を確保できるように、例えば、
図8(a)に示すようにソース側のp
-型拡散領域104が設けられる。
【0016】
また、例えば、横型のpチャネルMOSFETの製造工程数を削減するために、ソース側のp
-型拡散領域104とドレイン側のp
-型拡散領域103とを同じ工程によって形成する場合がある。このような場合、縦方向のpn接合の耐圧は、ドレイン−ソース間の耐圧と同程度となる。
【0017】
また、従来、横型のパワーMOSFETや横型のダイオードにおいて、チャネル活性領域の幅方向にチャネル活性領域の端部が設けられていない素子構造が公知である(例えば、下記特許文献3〜7参照。)。特許文献5,6には、チャネル活性領域の端部を形成しない素子構造として、例えば、双方向TLPM(Trench Lattern Power MOSFET)において、トレンチなどが環状に形成された構造が挙げられている。
【0018】
ここで、特許文献4には、例えば、端部を形成しない目的として、横型のダイオードにおいて、残留キャリアを効率的に排出することが挙げられている。また、特許文献5には、例えば、端部を形成しない目的として、TLPMにおいて、高信頼化を図ることが挙げられている。また、特許文献6には、例えば、端部を形成しない目的として、横型のパワーMOSFETにおいて、オン抵抗の低減を図ること、またはオン抵抗を変えない場合に耐圧を高めることが挙げられている。また、特許文献7には、例えば、端部を形成しない目的として、横型のパワーMOSFETにおいて、オン電圧を高くすることなく、高い降伏電圧特性を得ることが挙げられている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる半導体装置の実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0039】
ここで、
図1,3〜5には、本実施の形態にかかる横型パワーMOSFETについて実施の形態1〜4に分けてそれぞれ異なる構造例を示す。また、
図2には、本実施の形態にかかる横型パワーMOSFETを用いるオペアンプの入力差動段の例を示す。また、
図6には、本実施の形態にかかる横型パワーMOSFETと縦型パワーMOSFETとが同一半導体基板に搭載された例を示す。
図7には、従来の横型パワーMOSFETと実施の形態にかかる横型パワーMOSFETとのそれぞれについて横型パワーMOSFETの縦方向の耐圧とチャネル長との関係を示す。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる横型パワーMOSFETの構造例を示す説明図である。
図1(a)には、横型のpチャネルMOSFET100の構造の断面図を示す。
図1(b)には、横型のpチャネルMOSFET100の構造の平面図を示す。
図1(a)には、
図1(b)の切断線A−A’における断面構造を示す。従来技術で説明したように、X軸方向は、横型のpチャネルMOSFET100の断面構造における横方向であり、Z軸方向は、横型のpチャネルMOSFET100の断面構造における深さ方向であり、横型のpチャネルMOSFET100のY軸方向は、断面構造における奥行き方向である。ここで、半導体基板20は、pチャネルMOSFET100と、図示省略した縦型の半導体素子と、を有する。
【0041】
半導体基板20は、第1導電型の支持基板1の一方の主面上に第1導電型のエピタキシャル層2をエピタキシャル成長してなる。本実施の形態では、pチャネルMOSFET100を例に挙げて説明するため、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として以降説明する。
【0042】
半導体基板20のおもて面(n
-型エピタキシャル層2の、n
+型支持基板1の反対側)の表面層上に、ドレイン側のp
-型拡散領域3と、ソース側のp
-型拡散領域4とが互いに離して選択的に設けられている。実施の形態1では、ドレイン側のp
-型拡散領域3は、第2導電型の第1拡散領域であり、ソース側のp
-型拡散領域4は、第2導電型の第2拡散領域である。ドレイン側のp
-型拡散領域3とソース側のp
-型拡散領域4の不純物濃度は、それぞれ後述するp
+型ドレイン拡散領域5とp
+型ソース拡散領域6の不純物濃度と比較して低い。
【0043】
p
+型ドレイン拡散領域5は、ドレイン側のp
-型拡散領域3の半導体基板20のおもて面側の表面層に選択的に設けられている。p
+型ソース拡散領域6は、ソース側のp
-型拡散領域4の半導体基板20のおもて面側の表面層に、選択的に設けられている。実施の形態1では、p
+型ドレイン拡散領域5は、第3拡散領域であり、p
+型ソース拡散領域6は、第4拡散領域である。p
+型ドレイン拡散領域5の不純物濃度は、ドレイン側のp
-型拡散領域3の不純物濃度よりも高い。p
+型ソース拡散領域6の不純物濃度は、ソース側のp
-型拡散領域4の不純物濃度よりも高い。
【0044】
ここで、従来技術と同様に、n
-型エピタキシャル層2のうち、ドレイン側のp
-型拡散領域3およびソース側のp
-型拡散領域4以外の領域をドリフト領域と称する。また、従来技術と同様に、ドリフト領域とソース側のp
-型拡散領域4とのpn接合は、縦方向のpn接合とも称する。そして、縦方向のpn接合の耐圧は、縦方向の耐圧とも称する。
【0045】
また、ドレイン電極9は、p
+型ドレイン拡散領域5の半導体基板20のおもて面側の表面上に設けられている。p
+型ドレイン拡散領域5にはドレイン電極9のドレイン端子13を介して電圧が印加される。ソース電極10は、p
+型ソース拡散領域6の半導体基板20のおもて面側の表面上に設けられている。p
+型ソース拡散領域6にはソース電極10のソース端子14を介して電圧が印加される。
【0046】
また、厚い絶縁膜であるLOCOS膜(局部絶縁膜)11は、半導体基板20のおもて面の素子間を電気的に分離するために、pチャネルMOSFET100の終端部分に設けられている。
図1(a)に示すように、例えば、LOCOS膜11は、X軸方向において、半導体基板20のおもて面の、ドレイン側のp
-型拡散領域3の部分のうちp
+型ドレイン拡散領域5以外の部分であって、ソース側のp
-型拡散領域4と反対側の部分に設けられている。
【0047】
また、LOCOS膜11は、横方向耐圧を向上させるために、半導体基板20のおもて面のソース側のp
-型拡散領域4およびp
+型ドレイン拡散領域5以外の部分に、選択的に設けられている。X軸方向において、半導体基板20のおもて面の、ドレイン側のp
-型拡散領域3の部分のうちp
+型ドレイン拡散領域5以外の部分であって、ソース側のp
-型拡散領域4側の部分に選択的に設けられている。また、
図1に示す実施の形態1にかかる構造例では、半導体基板20のおもて面のソース側のp
-型拡散領域4の表面上にはLOCOS膜11が設けられていなくてもよい。
【0048】
半導体基板120のおもて面にはポリシリコン(poly−Si)からなるゲート電極8がゲート絶縁膜7を介して選択的に設けられている。また、ゲート電極8は、エピタキシャル層2の、ソース側のp
-型拡散領域4とp
+型ドレイン拡散領域5に挟まれた部分の表面上にゲート絶縁膜7を介して設けられている。
【0049】
ここで、ゲート電極8のドレイン側の端部は、LOCOS膜11の周縁部などの電界集中箇所で終端しないようにする。このため、ゲート電極8のドレイン側の周縁部が、半導体基板20のおもて面のドレイン側のp
-型拡散領域3の部分のうちソース側のp
-型拡散領域4側の部分に設けられたLOCOS膜11の上部に位置するように、ゲート電極8がゲート絶縁膜7を介して設けられている。また、ゲート端子12を介してゲート電極8に電圧が印加される。
【0050】
また、pチャネルMOSFET100では、例えば、以下の3点の構成を有する構造としてゲート電極8の下の部分(半導体基板20、ゲート絶縁膜7を挟んでゲート電極8と対向する部分)の電界を緩和させることにより所定の横方向の耐圧を決定している。まず、1点目は、LOCOS膜11が、X軸方向において、ドレイン側のp
-型拡散領域3の表面のp
+型ドレイン拡散領域5以外の部分であって、p
+型ドレイン拡散領域5とp
+型ソース拡散領域6との間の部分に設けられる点である。2点目は、p
+型ドレイン拡散領域5を囲うようにドレイン側のp
-型拡散領域3が設けられている点である。3点目は、ゲート電極8が、LOCOS膜11の上部に設けられていることにより、ゲート電極8のドレイン側の端部の位置をLOCOS膜11の上部の位置とすることである。これら3点の構成は、各々、横方向におけるゲート電極8の下の部分の等電位線を広げて、電界集中を緩和させる機能を有する。このため、pチャネルMOSFET100では、上記3点の構成それぞれで横方向の耐圧を向上させることができ、所定の横方向の耐圧を確保することができる。
【0051】
また、バックゲート電極15は、半導体基板20の裏面(n型支持基板1のn型エピタキシャル層2の反対側)に設けられている。バックゲート電極15のバックゲート端子16を介して半導体基板20に電圧が印加される。
【0052】
また、
図1(a)に示すように、X軸方向において、ドレイン側のp
-型拡散領域3と、p
+型ドレイン拡散領域5と、ドレイン電極9と、ゲート酸化膜7と、ゲート電極8と、LOCOS膜11とは、ソース側のp
-型拡散領域4を挟んで対称に設けられている。そして、
図1(b)に示すように、ドレイン側のp
-型拡散領域3と、p
+型ドレイン拡散領域5と、ドレイン電極9と、ゲート酸化膜7と、ゲート電極8と、LOCOS膜11とは、平面パターンにおいて、p
+型ソース拡散領域6を中心にして、環状に設けられている。
【0053】
ここで、環状とは、例えば、めぐって端のない形状を示し、閉曲線状のことを示す。環状としては、
図1(b)の例のように大きな四角形を小さな四角形で型抜きしたような閉じた四角形の形状に限らず、大きな円形を小さな円形で型抜きしたような閉じた円形の形状、トラック型の閉じた形状などが挙げられる。四角形の形状やトラック型の閉じた形状と比較して円形の形状は、四角形の頂点に相当する角部がなく、かつ対称性がよいため、チャネル活性領域内において電界をより均一に分散させることが可能である。
【0054】
図1(b)に示すように、平面パターンにおいて、ソース電極10は、直線状に延びている。また、平面パターンにおいて、p
+型ソース拡散領域6およびソース側のp
-型拡散領域4(図示省略)は、略四角形である。平面パターンにおいて、ゲート電極8およびゲート酸化膜7は、閉じた平面形状をしており、p
+型ソース拡散領域6を囲うように設けられている。図示省略するが、平面パターンにおいて、LOCOS膜11のそれぞれは、閉じた平面形状をしている。また、平面パターンにおいて、ドレイン電極9は、閉じた平面形状をしており、ゲート電極8を囲うように設けられている。また、図示省略するが、p
+型ドレイン拡散領域5やドレイン側のp
-型拡散領域3は、閉じた平面形状をしており、p
+型ソース拡散領域6およびソース側のp
-型拡散領域4を囲うように設けられている。
【0055】
また、pチャネルMOSFET100のチャネル活性領域は、X軸方向において、半導体基板20のおもて面のソース側のp
-型拡散領域4と、ドレイン側のp
-型拡散領域3と、の間の領域である。チャネル活性領域のチャネル長Lは、X軸方向において、半導体基板20のおもて面のソース側のp
-型拡散領域4のドレイン側のp
-型拡散領域3側の端から、半導体基板20のおもて面のドレイン側のp
-型拡散領域3のソース側のp
-型拡散領域4側の端までの距離である。
【0056】
ここで、
図1(b)では、電界集中箇所を示す点線と異なる線種の点線は、LOCOS膜11の周縁部を示す。平面パターンにおいて、LOCOS膜11の周縁部を示す点線のうち最外周の点線は、ドレイン側のp
-型拡散領域3の上部のうち、X軸方向においてゲート電極8と反対側の上部に設けられたLOCOS膜11のドレイン電極9側の端を示す。平面パターンにおいて、LOCOS膜11の周縁部を示す点線のうち真ん中の点線は、ドレイン側のp
-型拡散領域3の上部のうち、X軸方向においてゲート電極8側に設けられたLOCOS膜11のドレイン電極9側の端を示す。平面パターンにおいて、LOCOS膜11の周縁部を示す点線のうち最内周の点線は、ドレイン側のp
-型拡散領域3の上部のうち、X軸方向においてゲート電極8側に設けられたLOCOS膜11のドレイン電極9と反対側の端を示す。
【0057】
ドレイン側のp
-型拡散領域3とソース側のp
-型拡散領域4とに挟まれたチャネル活性領域は、平面パターンにおいて、閉じた平面形状をしている。また、ゲート電極8の下に設けられているLOCOS膜11の周縁部は、チャネル活性領域から離れた位置にあり、このLOCOS膜11の周縁部は、平面パターンにおいて環状になっている。
【0058】
このため、バックゲート端子16の電位が、ゲート端子12とソース端子14の電位よりも所定値以上高くなった場合において、チャネル活性領域では、従来のようにLOCOS膜11の端部が存在しないため、チャネル活性領域内に点線で示すように、チャネル活性領域の中心線に沿って電界集中箇所が発生する。所定値とは、例えば、半導体装置が車載用であれば、40[V]、60[V]以上の値である。このように、チャネル活性領域では、電界集中箇所が分散され、従来技術の
図8,9ようにチャネル活性領域のY軸方向の端部に電界が集中しない。これにより、縦方向の耐圧の向上を図ることができる。また、後述する
図7に示すように、チャネル長Lを伸ばした場合であっても、縦方向の耐圧が設計耐圧(40[V]、60[V]以上程度。)から低下するのを抑制することができる。
【0059】
図2は、横型パワーMOSFETを適用するオペアンプの入力差動段例を示す説明図である。本実施の形態にかかる横型パワーMOSFETは、例えば、
図2に示すようにオペアンプ200に含まれる入力差動段201の2つのpチャネルMOSFET211,212のそれぞれに用いられてもよい。
図2に示すオペアンプ200の入力差動段201は、バッテリ電源−グラウンド(GND)間の電圧で動作する。
【0060】
オペアンプ200は、入力差動段201と、pチャネルMOSFET202と、nチャネルMOSFET203と、を有する。入力差動段201は、pチャネルMOSFET211とpチャネルMOSFET212とを有する。
【0061】
pチャネルMOSFET202のソース端子およびバックゲート端子は、バッテリ電源に接続される。pチャネルMOSFET202のドレイン端子は、入力差動段201に含まれるpチャネルMOSFET211およびpチャネルMOSFET212のソース端子に接続される。pチャネルMOSFETのゲート端子には、信号biasが入力される。pチャネルMOSFET202では、バックゲートとソースが接続されているため、バックゲートとソースが同電位になる。このため、pチャネルMOSFET202には、従来構造のpチャネルMOSFETが用いられてもよい。
【0062】
また、入力差動段201に含まれるpチャネルMOSFET211とpチャネルMOSFET212とは、ソース端子同士、ドレイン端子同士、バックゲート端子同士がそれぞれ接続されている。pチャネルMOSFET211およびpチャネルMOSFET212のバックゲート端子は、バッテリ電源に接続されている。また、pチャネルMOSFET211およびpチャネルMOSFET212のソース端子は、pチャネルMOSFET202のドレイン端子に接続されている。pチャネルMOSFET211およびpチャネルMOSFET212では、ソース端子およびゲート端子が10[V]以上、20[V]以下程度の低電位となり、バックゲート端子にバッテリ電源が接続されてバックゲート端子が高電位となる。このため、上述したように、pチャネルMOSFET211とpチャネルMOSFET212とには、それぞれ本実施の形態にかかる構造の横型のpチャネルMOSFETが用いられる。
【0063】
また、nチャネルMOSFET203のソース端子およびバックゲート端子は、グラウンドに接地されている。nチャネルMOSFET203のドレイン端子は、入力差動段201に含まれるpチャネルMOSFET211およびpチャネルMOSFET212のドレイン端子に接続される。nチャネルMOSFET203のゲート端子は、pチャネルMOSFET202のゲート端子と同様に、信号biasが入力される。nチャネルMOSFET203では、バックゲートとソースが接続されているため、バックゲートとソースが同電位になる。このため、nチャネルMOSFET203は、従来構造のnチャネルMOSFETが用いられてもよい。
【0064】
また、縦型パワーMOSFETについては、図示省略するが、オペアンプ200と同一基板上に設けられる。
【0065】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる横型パワーMOSFETの構造例について
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態2にかかる横型パワーMOSFETの構造例を示す説明図である。
図3(a)には、横型のpチャネルMOSFET300の構造の断面図を示す。
図3(b)には、横型のpチャネルMOSFET300の構造の平面図を示す。
図3(a)には、
図3(b)の切断線AA−AA’における断面構造を示す。
【0066】
図3に示す実施の形態2にかかる構造例と
図1に示す実施の形態1にかかる構造例との違いは、p
+型ソース拡散領域6とソース側のp
-型拡散領域4とソース電極10とゲート電極8とLOCOS膜11とが、平面パターンにおいて、p
+型ドレイン拡散領域5を挟むように対称に設けられ、p
+型ドレイン拡散領域5を中心にして環状に設けられている点である。
【0067】
このため、実施の形態2では、ソース側のp
-型拡散領域4は、第2導電型の第1拡散領域であり、ドレイン側のp
-型拡散領域3は、第2導電型の第2拡散領域である。また、実施の形態2では、p
+型ソース拡散領域6は、第3拡散領域であり、p
+型ドレイン拡散領域5は、第4拡散領域である。ソース側のp
-型拡散領域4が横型のpチャネルMOSFET300において端に設けられ、LOCOS膜11は、素子間を電気的に分離するために、半導体基板20のおもて面のソース側のp
-型拡散領域4の部分のうち、p
+型ソース拡散領域6以外であり、かつドレイン側のp
-型拡散領域3と反対側の部分に、設けられている。
【0068】
図3(b)に示すように、平面パターンにおいて、ドレイン電極9は、直線状に延びている。また、平面パターンにおいて、p
+型ドレイン拡散領域5およびドレイン側のp
-型拡散領域3(図示省略)は、略四角形である。
【0069】
実施の形態2にかかる構造例では、p
+型ソース拡散領域6およびソース側のp
-型拡散領域4などのソースの周囲に耐圧構造を設けてもよい。
【0070】
図1の実施の形態1にかかる構造例と同様に、
図3の実施の形態2にかかる構造例において、ドレイン側のp
-型拡散領域3とソース側のp
-型拡散領域4との間のチャネル活性領域は、平面パターンにおいて、閉じた平面形状をしている。また、
図3(b)に点線で示すように、平面パターンにおいて、LOCOS膜11の周縁部は、環状になっている。このため、ゲート端子12とソース端子14とに低電圧が印加され、バックゲート端子16に高電圧が印加された場合、チャネル活性領域では、電界集中箇所が環状に分散されるため、従来技術の
図8,9ようにチャネル活性領域のY軸方向の端部に電界が集中しない。これにより、
図1の実施の形態1にかかる構造例と同様に、
図3の実施の形態2にかかる構造例において、横型の半導体素子の縦方向の耐圧の向上を図ることができる。
【0071】
また、
図3に示すpチャネルMOSFET300は、
図1に示すpチャネルMOSFET100と同様に、例えば、
図2に示すオペアンプ200の入力差動段201のpチャネルMOSFETとして用いられてもよい。
【0072】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3にかかる横型パワーMOSFETの構造例について
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態3にかかる横型パワーMOSFETの構造例を示す説明図である。
図4(a)には、横型のpチャネルMOSFET400の構造の断面図を示す。
図4(b)には、横型のpチャネルMOSFET400の構造の平面図を示す。
図4(a)には、
図4(b)の切断線AAA−AAA’における断面構造を示す。
【0073】
図4に示す実施の形態3にかかる構造例と
図1に示す実施の形態1にかかる構造例との違いは、半導体基板20のおもて面のソース側のp
-型拡散領域4にLOCOS膜11が設けられ、ゲート電極8およびゲート酸化膜7と、ドレイン側のp
-型拡散領域3とp
+型ドレイン拡散領域5とドレイン電極8と、LOCOS膜11とが、p
+型ソース拡散領域6を中心にして、対称になっている点である。実施の形態3では、ドレイン側のp
-型拡散領域3は第2導電型の第1拡散領域であり、ソース側のp
-型拡散領域4は、第2導電型の第2拡散領域である。また、実施の形態3では、p
+型ドレイン拡散領域5は、第3拡散領域であり、p
+型ソース拡散領域6は、第4拡散領域である。
【0074】
また、
図4(a)に示すように、LOCOS膜11は、半導体基板20のおもて面のドレイン側のp
-型拡散領域3の部分のうち、p
+型ドレイン拡散領域5以外であり、p
+型ソース拡散領域6側の第1部分に設けられている。このLOCOS膜11により、実施の形態1と同様に、横方向の耐圧の向上を図る。
【0075】
また、LOCOS膜11は、半導体基板20のおもて面の、ソース側のp
-型拡散領域4の部分のうち、p
+型ソース拡散領域6以外であり、かつp
-型拡散領域3側の第2部分に選択的に設けられている。
図4(a)の例では、LOCOS膜11は、半導体基板20のおもて面の、ソース側のp
-型拡散領域4の部分のうち、p
+型ソース拡散領域6を挟むように設けられている。
【0076】
また、ゲート電極8は、半導体基板20のおもて面の第1部分の一部から第2部分の一部までにゲート絶縁膜7を介して設けられている。すなわち、ゲート電極8およびゲート絶縁膜7は、ドレイン側のp
-型拡散領域3とソース側のp
-型拡散領域4との両方の表面まで延伸されて設けられ、ゲート電極8およびゲート酸化膜7の一部が、LOCOS膜11の一部を覆うように設けられている。
【0077】
図1の実施の形態1にかかる構造と同様に、
図4の実施の形態3にかかる構造において、ゲート端子12とソース端子14には低い電圧が印加され、バックゲート端子16には高い電圧が印加された場合、チャネル活性領域は、平面パターンにおいて、閉じた平面形状をしている。また、
図4(b)に示すように、LOCOS膜11の周縁部は、平面パターンにおいて環状になっている。そして、ゲート電極8の下に設けられたLOCOS膜11の周縁部は、チャネル活性領域から離れた位置にある。このように、チャネル活性領域には、従来のようにLOCOS膜11の端部と接する箇所がなく、電界の集中する箇所(
図4のチャネル活性領域内の点線箇所)が環状に分散される。これにより、
図1の実施の形態1にかかる構造と同様に、
図4の実施の形態3にかかる構造において、縦方向の耐圧の向上を図ることができる。また、pチャネルMOSFET400では、ドレインとソースとゲートとがすべて対称の構造となっているため、製造時のばらつきによる縦方向の耐圧のばらつきの低減を図ることができる。
【0078】
また、
図4に示すpチャネルMOSFET400において、実施の形態2のようにドレインとソースとの位置関係が反対であってもよい。ドレインとソースとの位置関係が反対の場合とは、ドレイン電極9が中心に設けられ、ソース電極10がゲート電極8のドレイン電極9と反対側に設けられている場合である。ドレインとソースとの位置関係が反対である場合、ソース側のp
-型拡散領域4は、第2導電型の第1拡散領域であり、ドレイン側のp
-型拡散領域3は、第2導電型の第2拡散領域である。また、p
+型ソース拡散領域6は、第3拡散領域であり、p
+型ドレイン拡散領域5は、第4拡散領域である。
図4において( )内の符号が、ドレイン電極9が中心に設けられている場合における符号である。( )が付されていない符号については、ドレイン電極9が中心であってもソース電極10が中心であっても同じであることを示す。ドレイン電極9が中心の場合、pチャネルMOSFET400では、X軸方向およびY軸方向において、ドレイン電極9を中心にして、ゲートとソースとドレインとがすべて対称になる。
【0079】
図4に示すpチャネルMOSFET400は、
図1および
図3に示すpチャネルMOSFET100,300と同様に、例えば、
図2に示すオペアンプ200の入力差動段201のpチャネルMOSFET211,212として用いられてもよい。また、
図4に示すpチャネルMOSFET400を、
図2の入力差動段201に含まれるpチャネルMOSFET211およびpチャネルMOSFET212に用いることは、さらに有用である。オペアンプ200の回路特性の向上には、pチャネルMOSFET211とpチャネルMOSFET212のマッチング性が重要である。ここで、マッチング性とはデバイス間の相対精度のことであり、pチャネルMOSFET211とpチャネルMOSFET212との特性ずれがどの程度あるかという指標である。入力差動段に使用されるpチャネルMOSFET211とpチャネルMOSFET212とのマッチング性が悪いと両MOSFET211,212の特性の違いによってオペアンプ200のオフセット電圧が大きくなり、回路特性の悪化につながる。2個のpチャネルMOSFET211,212のマッチング性を良くする手法として、pチャネルMOSFET211,212を対称的に複数配置し、製造ばらつきによる寸法誤差等の影響を低減する方法が知られている(コモンセントロイド配置等)。pチャネルMOSFET400はドレインとソースとゲートとがすべて対称の構造となっているため、対称性のよいレイアウトを実施する点で有利であり、入力差動段201への使用は有用である。
【0080】
(実施の形態4)
つぎに、実施の形態4にかかる横型パワーMOSFETの構造例について
図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態4にかかる横型パワーMOSFETの構造例を示す説明図である。
図5(a)には、横型のpチャネルMOSFET500の構造の断面図を示す。
図5(b)には、横型のpチャネルMOSFET500の構造の平面図を示す。
図5(a)には、
図5(b)の切断線AAAA−AAAA’における断面構造を示す。
【0081】
図5に示す実施の形態4にかかる構造例と
図1に示す実施の形態1にかかる構造例との違いは、次の2点である。1つ目の相違点は、
図5(a)に示すように、バックゲート電極15が半導体基板20のおもて面に設けられている点である。バックゲート電極15をおもて面に設けるためにn
+型バックゲート拡散領域17が半導体基板20のおもて面に設けられている。
【0082】
2つ目の相違点は、ゲート電極8とゲート絶縁膜7と、p
+型ソース拡散領域6とソース側のp
-型拡散領域4とソース電極10と、p
+型ドレイン拡散領域5とドレイン側のp
-型拡散領域3とドレイン電極9とが、n
+型バックゲート拡散領域17を囲うように、n
+型バックゲート拡散領域17を中心にして対称になっているという点である。
【0083】
実施の形態4では、ドレイン側のp
-型拡散領域3は、第2導電型の第1拡散領域であり、ソース側のp
-型拡散領域4は、第2導電型の第2拡散領域である。また、実施の形態4では、p
+型ドレイン拡散領域5は、第2導電型の第3拡散領域であり、p
+型ソース拡散領域6は、第2導電型の第4拡散領域である。n
+型バックゲート拡散領域17は、第1導電型の第5拡散領域である。また、ソースとバックゲートとを電気的に分離するために、半導体基板20のおもて面のn
+型バックゲート拡散領域17とp
+型ソース拡散領域6との間の部分に、LOCOS膜11が設けられている。
【0084】
図5(b)に示すように、平面パターンにおいて、バックゲート電極15は、直線状に延びている。また、平面パターンにおいて、n
+型バックゲート拡散領域17は、略四角形である。また、平面パターンにおいて、ソース電極10、p
+型ソース拡散領域6(図示省略)およびソース側のp
-型拡散領域4(図示省略)は、閉じた平面形状をしており、バックゲート電極15およびn
+型バックゲート拡散領域17を囲うように配置されている。また、平面パターンにおいて、ゲート電極8およびゲート酸化膜7(図示省略)は、閉じた平面形状をしており、ソース電極10およびp
+型ソース拡散領域6を囲うように配置されている。また、平面パターンにおいて、ドレイン電極9、p
+型ドレイン拡散領域5(図示省略)およびドレイン側のp
-型拡散領域3(図示省略)は、閉じた平面形状をしており、ドレイン側のp
-型拡散領域3は、ソース側のp
-型拡散領域4(図示省略)を囲うように配置されている。ドレイン電極9およびp
+型ドレイン拡散領域5は、ゲート電極8(図示省略)を囲うように配置されている。
【0085】
図1の実施の形態1にかかる構造例と同様に、
図5の実施の形態4にかかる構造例において、ドレイン側のp
-型拡散領域3とソース側のp
-型拡散領域4とに挟まれたチャネル活性領域は、平面パターンにおいて、閉じた平面形状をしている。また、LOCOS膜11の周縁部は、平面パターンにおいて環状になっている。そして、ゲート電極8の下に設けられているLOCOS膜11の周縁部は、チャネル活性領域から離れた位置にある。このため、チャネル活性領域には、チャネル活性領域内に点線で示すように電界集中箇所が環状に発生する。このため、ゲート端子12とソース端子14に低電圧が印加され、バックゲート端子16に高電圧が印加された場合において、チャネル活性領域では、電界がチャネル活性領域全体に分散され、従来技術の
図8,9ようにチャネル活性領域のY軸方向の端部に電界が集中しない。これにより、横型の半導体素子において縦方向の耐圧の向上を図ることができる。また、実施の形態4にかかる構造例のpチャネルMOSFET500は、バックゲート端子16とソース端子14とを共通電位とするようなpチャネルMOSFET500に適用させることができる。そして、pチャネルMOSFET500に使用する素子をすべて共通構造とし、素子間の特性ずれを抑制することができる。
【0086】
また、バックゲート端子16は、半導体基板20のおもて面に設けられているため、バックゲート端子16と、半導体基板20上に設けられた他の素子や半導体基板20上にない他の回路などと接続させることが容易である。
【0087】
また、実施の形態4では、実施の形態2のようにドレインとソースの位置とが反対であってもよい。具体的には、
図5の例では、p
+型ドレイン拡散領域5およびp
-型拡散領域3は、p
+型ソース拡散領域6およびp
-型拡散領域4を囲うように環状に設けられているが、実施の形態2のように、p
+型ソース拡散領域6およびp
-型拡散領域4が、p
+型ドレイン拡散領域5およびp
-型拡散領域3を囲うように環状に設けられていてもよい。
【0088】
また、実施の形態4では、実施の形態3のように、ゲート電極8の終端部の位置が、p
-型拡散領域4の表面に設けられたLOCOS膜11の上部の位置となるように設けられてもよい。具体的には、半導体基板20のおもて面のp
-型拡散領域4の部分のうち、ソース拡散領域6以外であり、ドレイン側のp
-型拡散領域側の部分に、LOCOS膜11が設けられ、ゲート電極8が、p
-型拡散領域4の表面に設けられたLOCOS膜11の上部に設けられていてもよい。
【0089】
また、実施の形態1〜3にかかるpチャネルMOSFETでは、バックゲート端子16を半導体基板20の裏面に設けているが、これに限らず、実施の形態4にかかる構造のようにバックゲート端子16を半導体基板20のおもて面に設けていてもよい。実施の形態1〜3にかかるpチャネルMOSFETにおいて、バックゲート端子16を半導体基板20のおもて面に設ける場合、例えば、半導体基板20のおもて面の、ソースまたはドレインから離してpチャネルMOSFETの終端部分に、バックゲート端子16およびn
+型バックゲート拡散領域17を設ける。さらに、ソース、ドレインおよびゲートとLOCOS膜11とで電気的に分離するようにLOCOS膜11が設けられる。
【0090】
(半導体装置)
つぎに、本実施の形態にかかる横型の半導体素子と縦型の半導体素子とが同一基板上に形成された半導体装置の一例について
図6を用いて説明する。
【0091】
図6は、本実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。ここで、半導体装置600は、横型の半導体素子として横型のpチャネルMOSFET100と、出力段用の縦型パワー半導体素子としてトレンチゲート構造の縦型のnチャネルMOSFET601と、を有する。横型のpチャネルMOSFET100は、nチャネルMOSFET601を制御および保護する。
【0092】
半導体装置600に含まれる横型の半導体素子として、
図1に示す実施の形態1にかかる構造例のpチャネルMOSFET100を例に挙げているが、これに限らず、他の構造例のpチャネルMOSFETであってもよい。また、トレンチゲート構造のnチャネルMOSFET601は、半導体基板20の裏面側から半導体基板20のおもて面側に向って電流を流す。
【0093】
図6に示すように、横型のpチャネルMOSFET100のバックゲート電極15およびバックゲート端子16は、nチャネルMOSFET601のドレイン電極40およびドレイン端子41と共通である。
図6に示すような半導体装置としては、例えば、ハイサイドスイッチ機能とオペアンプ機能とを両立したような高機能なパワー半導体装置などが挙げられる。
【0094】
半導体装置600では、横型のpチャネルMOSFET100を動作させる際に、横型のpチャネルMOSFET100のバックゲート端子16に高電圧が印加され、ソース端子14に低電圧が印加されるため、バックゲート−ソース間の電圧は高くなる。
【0095】
nチャネルMOSFET601は、例えば、トレンチ35、ゲート絶縁膜36、ゲート電極37、p
-型ベース領域31、n
+型ソース領域34、p
+型拡散領域33、ドレイン側のp
-型拡散領域32からなるトレンチゲート型のMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)構造を有する。
【0096】
ドレイン側のp
-型拡散領域32は、半導体基板20のおもて面側の表面層に、横型のpチャネルMOSFET100のドレイン側のp
-型拡散領域3から離して選択的に設けられている。また、p
-型ベース領域31は、半導体基板20のおもて面側の表面層には、ドレイン側のp
-型拡散領域32から離して、選択的に設けられている。p
+型拡散領域33は、p
-型ベース領域31の内部に選択的に設けられている。p
+型拡散領域33は、ドレイン側のp
-型拡散領域32やp
-型ベース領域31よりも不純物濃度が高い。
【0097】
n
+型ソース領域34は、p
-型ベース領域31の内部に、p
+型拡散領域33を挟むように選択的に設けられる。
【0098】
トレンチ35は、Z軸方向において、n
+型ソース領域34およびp
-型ベース領域31およびエピタキシャル層2と接する。また、トレンチ35は、X軸方向において、n
+型ソース領域34およびp
-型ベース領域31を挟むように設けられている。ゲート電極37は、トレンチ35の内部にゲート絶縁膜36を介して設けられている。ゲート電極37は、ゲート端子38を介して電圧が印加される。
【0099】
n
+型ソース領域34およびp
+型拡散領域33は、ソース電極(おもて面電極:不図示)に接する。n
+型ソース領域34およびp
+型拡散領域33は、ソース端子39を介して電圧が印加される。
【0100】
図7は、本実施の形態にかかる半導体装置と従来の半導体装置における縦方向耐圧とチャネル長Lとの関係を示す説明図である。グラフ700には、縦軸にpチャネルMOSFETの縦方向耐圧を示し、横軸にチャネル長Lを示す。基準となるチャネル長Lにおける縦方向耐圧を100[%]とした場合に、チャネル長が長くなった際にどの程度の縦方向耐圧が下がったかを示す。
【0101】
ここで、ソース側のp
-型拡散領域およびドレイン側のp
-型拡散領域の各端部の曲率によって縦方向の耐圧が落ちる。チャネル長Lを長くすると、ソース側のp
-型拡散領域およびドレイン側のp
-型拡散領域の各端部の曲率によって、縦方向のpn接合(ソース側のp
-型拡散領域およびドレイン側のp
-型拡散領域とドリフト領域との間のpn接合)の平坦性が低下するため、縦方向の耐圧が下がる。一方、チャネル長Lを短くすると、縦方向のpn接合が理想的に平坦なpn接合に近づくため、縦方向の耐圧が上がる。
【0102】
また、
図7に示すように、従来の半導体装置と本実施の形態にかかる半導体装置では、いずれもチャネル長が長くなると、縦方向耐圧がある一定の割合まで下がり、ある一定の割合以降は同じ耐圧となる。従来の半導体装置は、本実施の形態にかかる半導体装置における縦方向耐圧の下がる割合よりも縦方向耐圧が下がる割合が大きい。このように、本実施の形態にかかる半導体装置によれば、従来の半導体装置と比較して、横型の半導体素子において縦方向の耐圧の向上を図ることができる。
【0103】
以上実施の形態で説明したように、本実施の形態にかかる半導体装置は、横型のMOSFETにおいて、ドレイン側の拡散領域およびドレイン拡散領域と、ゲート絶縁膜およびゲート電極と、LOCOS膜とが、ソース拡散領域を囲うように環状に設けられている。これにより、ドレイン拡散領域とソース拡散領域との間のチャネル活性領域と、LOCOS膜の端部とが環状になる。したがって、ソース端子およびゲート端子の電位を低くし、バックゲート端子の電位を高くした場合において、チャネル活性領域の電界が環状に分散されるため、縦方向の耐圧の向上を図ることができる。
【0104】
また、本実施の形態にかかる半導体装置は、横型のMOSFETにおいて、ソース側の拡散領域およびソース拡散領域と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、LOCOS膜とが、ドレイン拡散領域を中心として環状に設けられている。これにより、ドレイン拡散領域とソース拡散領域との間のチャネル活性領域と、LOCOS膜の端部とが環状になる。したがって、ソース端子およびゲート端子の電位を低くし、バックゲート端子の電位を高くした場合において、チャネル活性領域の電界が環状に分散されるため、縦方向の耐圧の向上を図ることができる。
【0105】
また、本実施の形態にかかる半導体装置は、横型のMOSFETにおいて、ソース側の拡散領域およびソース拡散領域と、ドレイン側の拡散領域およびドレイン拡散領域と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、ドレイン電極と、LOCOS膜とが、半導体基板のおもて面に設けられたバックゲート電極を中心として環状に設けられている。これにより、ドレイン拡散領域とソース拡散領域との間のチャネル活性領域と、LOCOS膜の端部とが環状になる。したがって、ソース端子およびゲート端子の電位を低くし、バックゲート端子の電位を高くした場合において、チャネル活性領域の電界が環状に分散されるため、縦方向の耐圧の向上を図ることができる。
【0106】
また、本実施の形態にかかる各pチャネルMOSFETにおける環状構造の形状は、例えば、四角型の形状に限らず、円形の形状やトラック型の形状であってもよい。
【0107】
また、本実施の形態にかかるpチャネルMOSFETは、上述した縦型パワー半導体素子と同一の半導体基板に形成されるpチャネルMOSFETに限らず、バックゲートに高い電圧が印加され、ソースに低い電圧が印加されるような回路に含まれるpチャネルMOSFETに対して適用させることができる。
【0108】
また、本実施の形態にかかる半導体装置は、pチャネルMOSFETを例に挙げているが、これに限らず、nチャネルMOSFETであってもよい。