(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、該インフレーターと前記エアバッグとを車体側部材に取り付けるためのリテーナと、を備える構成とされ、
前記インフレーターが、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとされ、
前記リテーナが、前記車体側部材に略沿って配置される取付基板部と、該取付基板部から延びるように配置されて前記インフレーターの外周側を覆って保持可能とされる略筒状の保持部と、前記取付基板部から前記インフレーターの軸方向と略直交するように突設される取付手段と、を備える構成とされて、該取付手段を前記エアバッグから突出させるようにして前記エアバッグ内に配置され、前記保持部に前記インフレーターを保持させた状態で、前記取付手段を前記車体側部材に取り付けることにより、前記インフレーターと前記エアバッグとを前記車体側部材に取り付ける構成のエアバッグ装置であって、
前記インフレーターが、
略円柱状として、膨張用ガスを吐出可能なガス吐出部を有した本体部と、
該本体部の一端側において、前記本体部の軸方向と略直交するように前記本体部から突出されて、前記車体側部材に取り付けられる構成の第2取付手段と、
を備える構成とされるとともに、
前記エアバッグ内に配置させた状態の前記リテーナの前記保持部に、前記エアバッグに形成される挿入用開口を経て、他端側から挿入させることにより、前記保持部に保持される構成とされ、
前記保持部が、前記取付基板部と対向する領域に、前記インフレーターにおける前記本体部の外周面と当接可能な当接部を、有する構成とされ、
前記リテーナの前記取付基板部が、
前記保持部を連ならせて構成される本体部と、
該本体部の一端側に形成されて、前記第2取付手段の突出方向を前記取付手段の突出方向と略同一とさせるように、前記第2取付手段を挿入可能とする収納凹部と、
前記本体部と前記収納凹部との間であって、前記収納凹部近傍となる位置に形成される圧接部と、
を備える構成とされ、
該圧接部が、前記第2取付手段の前記車体側部材への取付時に、前記本体部における前記取付基板部側の外周面に、周方向に沿って圧接可能に、構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
前記圧接部が、前記本体部の軸方向に沿った断面形状を、前記取付基板部からなだらかに隆起して突出するように、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、乗員としての運転者Dの膝K(KL,KR)を保護するための膝保護用エアバッグ装置(以下「エアバッグ装置」と省略する)Sを例に採り、説明をする。エアバッグ装置Sは、
図1,4に示すように、運転者Dの車両前方側であるステアリングコラム7の下方に配設されている。なお、本明細書における上下、左右、及び、前後の方向は、特に断らない限り、エアバッグ装置Sを車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後の方向と一致するものである。
【0012】
ステアリングコラム7は、
図1,4に示すように、コラム本体8と、コラム本体8の外周側を覆うコラムカバー11と、を備えている。コラム本体8は、
図1に示すように、メインシャフト9と、メインシャフト9の周囲を覆うコラムチューブ10と、から構成されている。
【0013】
エアバッグ装置Sは、
図1〜3に示すように、折り畳まれたエアバッグ90と、エアバッグ90に膨張用ガスを供給するインフレーター40と、折り畳まれたエアバッグ90とインフレーター40とを収納する車体側部材としてのケース28と、インフレーター40とエアバッグ90とをケース28に取り付けるためのリテーナ55と、折り畳まれたエアバッグ90の車両後方側を覆うエアバッグカバー16と、を備えて構成されている。
【0014】
エアバッグカバー16は、ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーから形成されて、ケース28の車両後方側を覆い可能に、構成されている。このエアバッグカバー16は、
図1〜4に示すように、アッパパネル12aとロアパネル12bとから構成されるインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)12のロアパネル12b側に配設されている。エアバッグカバー16は、ケース28の突出用開口28a付近に配置される扉配設部17と、扉配設部17の周囲に延びる周縁部26と、を備えて構成されている。
【0015】
扉配設部17は、ケース28の突出用開口28aを覆う扉部18と、扉部18の上下両側から前方に向かって延びてエアバッグカバー16をケース28に取り付けるための取付片部21,22と、扉部18の左右両側から前方に向かって延びる側壁部23,24と、を備えている。扉部18は、ケース28の突出用開口28aの車両後方側を覆う略長方形板状とされている。実施形態では、扉部18は、周囲に、車両後方側から見て略H字形状とされる薄肉の破断予定部19と、上下両端側において開き時の回転中心となるヒンジ部20と、を配設させて構成され、開き時に、上下両側に開く構成とされている。取付片部21,22は、ケース28における後述する上壁部32と下壁部33との外周側に、それぞれ、隣接して、車両前方側に突出するように配置されるもので、前端側に、ケース28に形成される係止爪32a,33aを係止させるための長方形状に開口した係止穴21a,22aを、係止爪32a,33aに対応して、左右方向側で複数個ずつ、配置させている。側壁部23,24は、ケース28における後述する左壁部34Lと右壁部34Rとの内周側に、それぞれ、隣接して、車両前方側に突出するように、配置されている。
【0016】
エアバッグカバー16における周縁部26は、扉配設部17の周縁に全周にわたって配置されるもので、実施形態の場合、後面側を扉部18と略面一として、扉部18から外方に延びるように、形成されている(
図2,3参照)。
【0017】
ケース28は、板金製とされるもので、
図2,3,5に示すように、実施形態の場合、車両前方側に配置される略四角形状の底壁部29と、底壁部29の周縁から前後方向に略沿って後方に延びる略四角筒形状の周壁部31と、を有して、周壁部31の後端側に、エアバッグ90を突出可能な突出用開口28aを有した略箱形状とされている。
【0018】
底壁部29は、左右に幅広の略長方形板状とされるもので、リテーナ55に配設される取付手段としてのボルト85と、インフレーター40に配設される第2取付手段としてのボルト45と、を、それぞれ、挿通させるための挿通孔29a,29bを、左右方向に沿った2箇所に、配設させている。実施形態では、このケース28の底壁部29が、インフレーター40とエアバッグ90とを取り付ける車体側部材を、構成している。
【0019】
周壁部31は、上下方向側で対向する上壁部32,下壁部33と、左右方向側で対向する左壁部34L,右壁部34Rと、を備えている。上壁部32,下壁部33における後端近傍には、エアバッグカバー16の取付片部21,22に形成される係止穴21a,22a周縁を係止するための係止爪32a,33aが、それぞれ、上下の外方へ突出し、先端を車両前方側に向けるように断面略L字形状に屈曲して、形成されている。各係止爪32a,33aは、それぞれ、上壁部32,下壁部33に、左右方向側で複数個(実施形態の場合、5個)ずつ、形成されている。
【0020】
左壁部34Lと右壁部34Rとは、実施形態の場合、左右対称形として、構成されている。実施形態では、インフレーター40の本体部41におけるコネクタ47側に配置される右壁部34Rを例に採り、詳細に説明する。
【0021】
右壁部34Rは、底壁部29側(前端側)を左右方向の内方(左方)に位置させ、突出用開口28a側(後端側)を左右方向の外方(右方)に位置させるように、段差を有して構成されている。そして、右壁部34Rには、インフレーター40の本体部41をケース28に取り付けた状態で、接続口部43にコネクタ47を接続可能とするように、接続口部43を露出可能とされるコネクタ用開口35Rが、左右方向側から見て略長方形状に開口して、形成されている(
図5参照)。
【0022】
また、実施形態のケース28では、
図3,5に示すように、左壁部34L,右壁部34Rの後縁側に、それぞれ、左右の外方に向かって延びるように、取付片部37L,37Rが、形成されている。これらの取付片部37L,37Rは、ケース28を車両のボディ1側に取り付けるための部位である。これらの取付片部37L,37Rは、車両搭載時において、インパネ12におけるロアパネル12bの前側に配置されるもので、
図3,4に示すように、ボディ1側のインパネリインフォースメント2から延びるブラケット4に連結される構成である。
【0023】
インフレーター40は、
図3に示すように、略円柱状の本体部41と、本体部41の右端41b側(元部側)において本体部41から突出される第2取付手段としてのボルト45、と、を備える構成とされている。本体部41は、軸方向を左右方向に略沿わせて配置される略円柱状として構成されて、実施形態の場合、左端41a側(先端側)に、膨張用ガスを吐出可能なガス吐出部42を配設させている。ガス吐出部42には、膨張用ガスを吐出可能なガス吐出口42aが、本体部41の周方向に沿って放射状で、かつ、本体部41の軸方向に沿って複数列で、配設されている(
図3参照)。本体部41における右端41b(元部)側には、作動信号入力用のリード線48を結線させたコネクタ47を接続させるための接続口部43が、形成されている(
図3参照)。
【0024】
第2取付手段としてのボルト45は、本体部41の右端41b側において、本体部41の軸方向と略直交するように本体部41から突出されるもので、詳細に説明すれば、実施形態の場合、本体部41の右端41b側において、右端41bの端面から、本体部41の長さ寸法の1/5程度となる位置に、配設されている。
【0025】
リテーナ55は、
図6〜8に示すように、ケース28の底壁部29に略沿って配置される取付基板部56と、取付基板部56から延びてインフレーター40における本体部41の外周側を覆う保持部72と、取付基板部56から突設される取付手段としてのボルト85と、を備える構成とされている。取付基板部56と保持部72とは、板金素材から一体的に形成されている。
【0026】
取付基板部56は、車体側部材としてのケース28の底壁部29に略沿うように、左右方向に沿った長尺状の平板状として、構成されるもので(
図2,3参照)、
図11に示すように、保持部72を連ならせて構成される本体部57と、本体部57の一端側(実施形態の場合、右端57c側)に形成されてインフレーター40の本体部41から突出されるボルト45を挿入させる収納凹部63と、本体部57と収納凹部63との間に形成される圧接部68と、を備えている。取付基板部56と保持部72とは、所定形状の板金素材を、プレス加工等によって所定形状に賦形しつつ、この取付基板部56における本体部57の領域において、板金素材の端縁を2重に重ねて、トックスかしめ等により結合させることにより、一体的に形成されている。すなわち、取付基板部56における本体部57は、外側部位57aと内側部位57bとの二枚重ね状とされている(
図11,13参照)。
【0027】
本体部57には、インフレーター40の本体部41の挿入時に弾性変形して、車両搭載時にインフレーター40の本体部41の外周面41cと当接して本体部41を支持する弾性変形支持部58が、形成されている。弾性変形支持部58は、本体部57における内側部位57bを部分的に切り起こして形成されるもので、左右方向に略沿った帯状として、本体部41の挿入方向側となる右側を元部として本体部57の内側部位57bに連ならせ、先端58cを本体部57から分離させるように構成されている(
図10,11参照)。詳細には、弾性変形支持部58は、
図11,13に示すように、左側にかけて内周側(車両搭載時における後方側)に突出するように傾斜させつつ、本体部57から分離されている先端58cを前方に向けるように、断面略「J」字形状に湾曲して形成されるもので、元部側の傾斜部58aと先端58cとの間に、内周側に向かって突出するように略円弧状に湾曲した支持部本体58bを、配設させる構成とされている。本体部57の内側部位57bは、弾性変形支持部58を切り起こすために、弾性変形支持部58の部位を開口されているが、このような開口部位59は、外側部位57aによって塞がれている(
図11,13参照)。弾性変形支持部58における支持部本体58bの内側部位57bからの突出量は、インフレーター40の本体部41を挿入させた際に、傾斜部58aにおける元部付近の部位を弾性変形させつつ、支持部本体58bを、本体部41の外周面41cに当接可能とする寸法に、設定されている。そして、この弾性変形支持部58は、インフレーター40の本体部41を挿入させる後述する挿入用開口77から離れた左側にかけて内周側への突出量を大きくするように、傾斜する傾斜部58aを有していることから、保持部72内に、右側の挿入用開口77からインフレーター40の本体部41を挿入させる際に、この傾斜部58aによりガイドさせるようにして、インフレーター40の本体部41を円滑に保持部72内に挿入させることができる。また、インフレーター40の本体部41を保持部72内に挿入させた状態では、弾性変形支持部58は、本体部41に押されて、弾性変形しつつ、支持部本体58bによって、本体部41の外周面41cを支持することとなる(
図14参照)。弾性変形支持部58の先端58cは、支持部本体58bによってインフレーター40の本体部41を支持させた際の弾性変形代を確保可能に(
図14参照)、外側部位57aとの間に隙間を有するように、構成されている(
図11参照)。
【0028】
この弾性変形支持部58は、保持部72に形成される後述する当接部78と協働して、リテーナ55に挿入させた状態のインフレーター40の本体部41を保持させるためのものであり、実施形態の場合、車両搭載時に、当接部78と左右方向側の位置を略一致させつつ、前後方向側で対向する位置に、形成されている(
図7,11,13参照)。また、実施形態の場合、弾性変形支持部58L,58Rは、
図7,11に示すように、本体部57における左右方向の中央よりも右側となる領域において、左右方向側で2箇所に、配設されている。詳細には、右側に配置される弾性変形支持部58Rは、リテーナ55における保持部72の右端72a近傍(後述する挿入用開口77近傍)に配設されており、換言すれば、圧接部68の左側に近接して、配設されている。
【0029】
取付基板部56から突設される取付手段としてのボルト85は、本体部57における左右方向の中央よりも左側となる領域、すなわち、弾性変形支持部58から左右方向側で離れた領域に、形成されるもので、詳細に説明すれば、本体部57における左端から1/4程度となる位置に、配設されている。このボルト85は、インフレーター40の本体部41における軸方向と略直交するように(換言すれば、本体部41に対して略直交するように)、本体部57から突設されている。
【0030】
本体部57の右端57c側に形成される収納凹部63は、
図7,11に示すように、本体部57から連なるように、本体部57から突出するように形成される延設部62において、右縁62a側を凹ませるようにして形成される。実施形態の場合、収納凹部63は、凹部本体64と、凹部本体64の周縁を構成する周縁部位65と、を備えている。延設部62は、ケース28の底壁部29に略沿って配置される平板状として、構成されている。すなわち、延設部62は、取付基板部56の本体部57に略沿うように、形成されて
おり、実施形態の場合、本体部57を構成している内側部位57bから延びて、形成されている(図11参照)。凹部本体64は、本体部41の保持部72への挿入時に、インフレーター40の本体部41から突出するボルト45を挿入可能に構成されるもので、延設部62を、右縁62a側に開口64aを形成するように、左右方向に沿った溝状に切り欠いて形成されている(
図7参照)。この凹部本体64は、前後方向側の開口幅寸法H1(
図7参照)を、ボルト45の外径寸法D1(
図24参照)より僅かに大きく設定されている。実施形態の場合、凹部本体64は、ボルト45の挿入作業時のガイドとして、開口64a側となる右端側の領域を端縁にかけて拡開させるように、構成されている。インフレーター40のリテーナ55への挿入時に、インフレーター40の本体部41から突出されるボルト45を、開口64aからこの凹部本体64内に挿入させれば、ボルト45は、凹部本体64の周縁部位65(上縁65b,下縁65c)にガイドされつつ、突出方向を、取付基板部56(本体部57)から突設されているボルト85の突出方向と略同一として、配置されることとなる(
図14参照)。そして、凹部本体64の周縁部位65の左縁65aに当接させるようにして凹部本体64内に挿入された状態で、ボルト45は、リテーナ55に形成されるボルト85に対する向きや、離隔距離を、ケース28の底壁部29に形成される挿通孔29a,29bに、ボルト85と同時に、円滑に挿入可能とするように、配置されることとなる。
【0031】
圧接部68は、本体部57と、収納凹部63を配置させている延設部62と、の間に配設されるもので、換言すれば、取付基板部56から突設されるボルト85と収納凹部63との間における収納凹部63近傍となる位置に、配設されている。
また、この圧接部68は、本体部57を構成している内側部位57bから延びて、形成されている(図11参照)。この圧接部68は、ボルト45の底壁部29(車体側部材)への取付時に、本体部41における取付基板部56側の外周面に圧接可能な構成とされている。圧接部68は、本体部41の外周面41cにおける車両搭載時の前側の領域に、周方向に沿って連続的に接触可能とされるもので、車両搭載時における左右方向側から見た状態において、本体部41から突出されるボルト45から上下に延びるように、形成されている(
図9,12参照)。圧接部68は、具体的には、本体部41の外周面41cにおける前側の領域を、周方向に沿った略1/4程度の領域を圧接可能に、左右方向側から見た外形形状を、なだらかに湾曲させて構成されている。すなわち、圧接部68(先端68a)は、インフレーター40における本体部41の外周面41cを包むような略1/4円状の分割された環状として、構成されている。また、この圧接部68は、
図11に示すように、本体部41(保持部72)の軸方向に沿った断面形状を、取付基板部56からなだらかに隆起する隆起面68c(傾斜面)を設けて突出するように、形成されている。この圧接部68の取付基板部56からの突出量は、
図11に示すように、インフレーター40の本体部41を挿入させる前の状態においての弾性変形支持部58の取付基板部56からの突出量よりも、小さく設定されており、本体部41を挿入させた弾性変形支持部58の変形時に、先端68aを、インフレーター40の本体部41の外周面41cに接触されることとなる(
図14参照)。詳細に説明すれば、実施形態では、圧接部68は、先端68aの部位の前後方向側の断面形状を、なだらかに湾曲させて形成されるものの、略円弧状とはされていないが(
図12参照)、インフレーター40の本体部41を保持部72の内部に収納させた状態で、ケース28の底壁部29から突出させたボルト45にナット86を締結させる際に、圧接部68は、インフレーター40の本体部41に押圧されて、先端68aの上下の端縁68b,68b側を相互に押し広げられるように変形するような態様となる(
図15参照)。そして、ケース28内に収納させた状態では、圧接部68は、先端68aを、インフレーター40の周方向の略全域にわたって、連続的に、本体部41の外周面41cに当接させることとなる。すなわち、圧接部68は、車両搭載状態においては、本体部41における取付基板部56側(前方側)の外周面41cに、先端68aを周方向に沿った略全域にわたって連続的に当接させるようにして、外周面41cに圧接されることとなる。また、圧接部68は、実施形態の場合、保持部72の右側に隣接して形成されており、換言すれば、保持部72に覆われない領域に、形成されている。すなわち、この圧接部68は、リテーナ55をエアバッグ90の内部に収納させた状態において、
図24に示すように、エアバッグ90の挿入用開口94の近傍であって、エアバッグ90の外側となる位置に、形成されている。
【0032】
保持部72は、インフレーター40の本体部41の外周側を覆い可能に、実施形態の場合、取付基板部56の本体部57も含めて、軸方向を左右方向側に略沿わせて左右両端側を開口させた略四角筒形状とされている。詳細には、保持部72は、取付基板部56の上縁側から後方に延びて本体部41の上側を覆う上壁部73と、取付基板部56の下縁側から後方に延びて本体部41の下側を覆う下壁部74と、上壁部73,下壁部74の後端を連結するようにして本体部41の後方を覆
って取付基板部56と対向する後壁部75と、を備えている。後壁部75は、詳細には、上側と下側とに、それぞれ、角部を面取りするように傾斜している上側傾斜部75aと下側傾斜部75bとを配置させる構成とされている。また、この保持部72は、インフレーター40のガス吐出部42から吐出される膨張用ガスをエアバッグ90内に流出可能なガス流出用開口72b,72cを、備える構成とされている。各ガス流出用開口72b,72cは、保持部72の左端側において、インフレーター40のガス吐出部42の後方側を覆う領域(後壁部75の領域)を切り欠いて、構成されている。また、この保持部72において、右端72a側の開口が、インフレーター40の本体部41をガス吐出部42側から内部に挿入させる挿入用開口77を、構成している。
【0033】
後壁部75には、車両搭載時においてインフレーター40の本体部41の外周面41cと当接する当接部78が、形成されている。当接部78L,78Rは、上述したごとく、弾性変形支持部58と前後方向で対向する位置に、左右方向側で2箇所に、形成されている(
図6,11参照)。各当接部78L,78Rは、詳細には、
図13に示すように、前後方向に沿った断面において、上下方向側、すなわち、本体部41の周方向側で離れた位置に配置される2つの突起79,79を、備えている。各突起79は、後壁部75における上側傾斜部75aの領域と下側傾斜部75bの領域とをそれぞれ前方(インフレーター40の本体部41側)に向かって凹ませるようにして、本体部41側に突出して形成されるもので、凹みの先端79a側を略円弧状に湾曲させるように構成され、この先端79aを、本体部41の外周面41cと当接させる構成とされている。
【0034】
実施形態では、インフレーター40の本体部41を保持部72内に収納させた際に、本体部41の外周面41cは、弾性変形支持部58の支持部本体58bと、当接部78の突起79,79と、によって、周方向側で離れた3点で支持されることとなり(
図2参照)、このような支持が、左右方向側で離れた2箇所で行われることとなる。そのため、インフレーター40の本体部41が、保持部72に対して中心軸を傾斜させるように挿入されることを防止でき、保持部72と中心軸を一致させた状態で、インフレーター40の本体部41を保持させることができる。また、弾性変形支持部58L,58Rは、弾性変形された状態で、本体部41を支持することから、本体部41は、軸方向に沿った移動を規制された状態で、保持部72に保持されることとなる。そのため、単にインフレーター40の本体部41を、挿入用開口77側から保持部72内に収納させ、ボルト45を、周縁部位65における左縁65aに当接させるまで凹部本体64に挿入させるだけで、本体部41の外周面41cを弾性変形支持部58L,58Rの支持部本体58bと、当接部78L,78Rの突起79,79と、によって支持させることができて、インフレーター40の本体部41の保持部72に対する位置決めを図ることができて、本体部41を保持部72に保持させることができる。また、右端側を開口させるように左右方向に沿った溝状の凹部本体64に単に挿入させるだけであっても、ボルト45が、凹部本体64内を移動することも抑制でき、ボルト45は、リテーナ55に形成されるボルト85に対する向きや、離隔距離を、一定とすることができる。そのため、ボルト45は、ケース28の底壁部29に形成される挿通孔29a,29bに、ボルト85と同時に、円滑に挿入させることができる。
【0035】
また、保持部72において、当接部78L,78R間の部位には、エアバッグ90の膨張時に、後述するフラップ部材110を直接インフレーター40の本体部41の外周面41cに圧接させて、エアバッグ90における挿入用開口94の周縁をシール可能とする圧接用開口部81が、形成されている(
図25,26参照)。この圧接用開口部81は、具体的には、
図6〜8,11に示すように、保持部72を、上壁部73から後壁部75を経て下壁部74にかけて大きく切り欠くようにして、形成されるもので、左右方向側の開口幅寸法を、エアバッグ90の膨張時に、フラップ部材110の端縁(左縁110c)を自由端として配置させ、膨張用ガスGの圧力の作用時に、直接本体部41の外周面41cに圧接可能とするような寸法に、設定されている。
【0036】
挿入用開口77の周縁を構成する保持部72の右端72a側には、リテーナ55をエアバッグ90内に収納させてエアバッグ90を折り畳んだ状態で、エアバッグ90の挿入用開口94から突出するように配置される係止爪部83が、形成されている。係止爪部83は、保持部72の周方向に沿った2箇所に形成されるもので、それぞれ、上側傾斜部75a,下側傾斜部75bの端縁から延びて後方に突出するように形成されている(
図9参照)。すなわち、係止爪部83は、保持部72において、取付基板部56から離れた後側の領域に、形成されている。詳細には、係止爪部83は、インフレーター40(保持部72)の周方向側において、インフレーター40における本体部41の略直径寸法分で離れた2箇所に、形成されている。すなわち、係止爪部83の相互の離隔距離H2(
図9参照)は、本体部41の直径寸法D2(
図14参照)と略同一に、設定されている。実施形態のエアバッグ装置Sでは、組立作業時において、リテーナ55を内部に収納させた状態でエアバッグ90を折り畳んだ後、インフレーター40の本体部41を、挿入用開口94からエアバッグ90内に挿入させつつ、リテーナ55の挿入用開口77を経て保持部72内に挿入させる構成であり、これらの係止爪部83,83は、エアバッグ90の挿入用開口94とリテーナ55の挿入用開口77との位置(挿入中心C1,C2相互、
図9,18,22参照)を一致させて、インフレーター40の本体部41を円滑にリテーナ55の保持部72内に挿入させるために、配設されている。
【0037】
そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、インフレーター40の本体部41をエアバッグ90内に配置されるリテーナ55の保持部72に収納させて、エアバッグ90をケース28内に収納させる際に、リテーナ55のボルト85と、インフレーター40のボルト45と、を、ケース28の底壁部29から突出させて、各ボルト45,85にナット86を締結させることにより、インフレーター40とエアバッグ90とを車体側部材を構成するケース28の底壁部29に、取り付ける構成である。また、このナット86の締結時には、インフレーター40の本体部41は、ボルト45の近傍に配置される圧接部68により支持されることにより、保持部72に対する中心軸の傾斜(軸直交方向側でのずれ)を規制された状態で、リテーナ55に保持されて、ケース28に取り付けられることとなる。
【0038】
エアバッグ90は、実施形態の場合、
図16,17,19に示すように、バッグ本体91と、バッグ本体91内に配置されるフラップ部材110と、バッグ本体91内に配置されるテザー120,121と、を備えて構成されている。
【0039】
バッグ本体91は、膨張完了時の形状を、
図4の二点鎖線及び
図16に示すように、略長方形板状として、運転者Dの左右の膝K(KL,KR)を保護可能に構成されている。バッグ本体91は、
図16に示すように、外形形状を略同一として、膨張完了時にステアリングコラム7側に配置される車体側壁部91aと、膨張完了時に運転者側に配置される乗員側壁部91bと、の、周縁相互を結合させて、袋状とされている。また、バッグ本体91は、
図16に示すように、膨張完了時にケース28内に配置される取付部92と、取付部92より左右に幅広とされて膨張完了時に運転者Dの左右の膝K(KL,KR)を保護する保護膨張部102と、を備えている。
【0040】
車体側壁部91aにおける取付部92の領域には、
図16,18に示すように、インフレーター40の本体部41を挿入させるための挿入用開口94と、リテーナ55のボルト85を突出させるための取付孔93と、が、形成されている。挿入用開口94は、取付部92の右端側に形成され、取付孔93は、挿入用開口94の左側に形成されている。実施形態の場合、取付孔93は、バッグ本体91の左右の中央よりやや右方となる位置に、形成されている。
【0041】
挿入用開口94は、開口形成部位として、車体側壁部91aに線状のスリット95を複数個形成することにより、インフレーター40の本体部41を挿入可能に構成されている。実施形態の場合、挿入用開口94は、
図18に詳細に示すように、インフレーター40の本体部41を挿入させる挿入中心C2に形成される小径の円形状の貫通孔94aと、貫通孔94aから延びる複数のスリット95と、を備える構成とされている。スリット95は、実施形態の場合、2本の係止用スリット96,96と、1本の補助スリット97と、2本の第2補助スリット98,98と、を備える構成とされている。なお、実施形態では、スリット95は、バッグ本体91を平らに展開した状態での前後(車両搭載時における上下)で略対称形となるように、形成されている。
【0042】
2本の係止用スリット96,96は、バッグ本体91を平らに展開した状態では、貫通孔94a(挿入中心C2)から右方に延びつつ、端末96a,96a相互を離隔させるように前後両側に拡開するように、傾斜して、配置されている。すなわち、係止用スリット96は、貫通孔94aの部位において、相互に交差するように形成されるとともに、貫通孔94aの右側の領域において、隣接して配置されている。また、各係止用スリット96は、リテーナ55のエアバッグ90内への挿入時に、それぞれ、端末96aから係止爪部83を、突出させるように、構成されている(
図22参照)。すなわち、係止用スリット96,96の端末96a,96a相互の離隔距離H3(
図18参照)は、係止爪部83,83間の離隔距離H2と同等として、インフレーター40における本体部41の直径寸法D2と略同一に設定されている。また、実施形態の場合、係止用スリット96,96の交差角度θ(
図18参照)は、80°程度に設定されている。係止用スリット96,96は、車両搭載状態においては、貫通孔94aから後方に延びつつ、上下両側に拡開するように、傾斜して、配置される。
【0043】
補助スリット97は、バッグ本体91を平らに展開した状態では、
図18に示すように、端末97aを係止用スリット96,96から離すように、貫通孔94a(挿入中心C2)から左方に延びるように、形成されている。実施形態の場合、補助スリット97は、左右方向に略沿った直線状として、構成されている。補助スリット97は、長さ寸法L1(
図18参照)を、本体部41の直径寸法D2の1/2程度に、設定されている。この補助スリット97は、車両搭載状態においては、ケース28の底壁部29側に向かって、貫通孔94aから前方に延びるように、前後方向に略沿って配置されることとなる。第2補助スリット98,98は、補助スリット97と略直交しつつ、貫通孔94aから両側に延びるように形成されるもので、バッグ本体91を平らに展開した状態では、
図18に示すように、貫通孔94a(挿入中心C2)から前後に延びるように、形成されている。実施形態の場合、各第2補助スリット98は、前後方向に略沿った直線状として、構成されている。この第2補助スリット98,98は、長さ寸法L2(
図18参照)を、補助スリット97の長さ寸法L1と略同一として、本体部41の直径寸法D2の1/2程度に、設定されている。すなわち、実施形態では、各第2補助スリット98は、端末98aを、各係止用スリット96の端末96aと左右方向側で略一致した位置に配置させるように、構成されている。この第2補助スリット98は、車両搭載状態においては、貫通孔94a(挿入中心C2)から上下両側に延びるように、上下方向に略沿って配置されることとなる。なお、補助スリット97,第2補助スリット98は、リテーナ55の誤組付けを防止するために、端末96aから係止爪部83を突出させる係止用スリット96から離れた側、詳細に説明すれば、挿入中心C3を中心として対称となる逆側(車両搭載時における前側、180°離れている領域)に、形成しておくことが、好ましい。
【0044】
そして、挿入用開口94において、各係止用スリット96,補助スリット97,第2補助スリット98間の部位が、それぞれ、インフレーター40における本体部41の挿入時に、本体部41の外周面41cに接触させるように折り込まれるように配置されて、本体部41の外周面41cを覆う折曲シール部位100を、構成することとなる。実施形態の場合、
図18に示すように、5枚の折曲シール部位100A,100B,100C,100D,100Eが、形成されることとなる。各折曲シール部位100は、外形形状を略三角形状として、それぞれ、本体部41の挿入時に、隣接する端末96a,97a,98a相互を結んだ直線を起点として折り込まれるような態様となる。また、詳細に説明すれば、実施形態では、補助スリット97と第2補助スリット98,98との間の領域から構成される(換言すれば、車両搭載時において、挿入中心C2よりも前側の領域に配置される)折曲シール部位100D,100Eは、インフレーター40の挿入前におけるリテーナの55の挿入時に、リテーナ55における取付基板部56から保持部72にかけての領域の外周面に接触されるように、内側に折り込まれることとなる(
図23参照)。
【0045】
フラップ部材110は、
図18,19に示すように、バッグ本体91の内周側において挿入用開口94を覆うように配置されるとともに、外周縁を、インフレーター40の挿入方向の先端側となる左縁110c側を除いた三方をバッグ本体91の車体側壁部91a側に結合されている。具体的には、フラップ部材110は、バッグ本体91を平らに展開した状態での外形形状を、前縁110aと後縁110bとを左右方向に略沿わせた直線状とし、左縁110cを前後方向に略沿わせた直線状とするとともに、右縁110d側の外形形状を略半円弧状として、構成されている。そして、このフラップ部材110は、自由端とされる左縁110cを、取付孔93と挿入用開口94の挿入中心C2(貫通孔94a)との間の中央よりもやや左方(取付孔93側)に位置させつつ、前縁110aから右縁110dを経て後縁110bにかけてを、連続的に形成される結合部位111(縫合部位)によって車体側壁部91a側に結合させ、挿入用開口94の左方を除いた三方を囲むようにして、車体側壁部91aに取り付けられている。フラップ部材110を車体側壁部91aに結合させている結合部位111は、挿入用開口94を超えて左方に延びるように、形成されている。また、このフラップ部材110は、バッグ本体91内にリテーナ55を配置させた状態では、リテーナ55における保持部72の外周側を覆うように配設されるものであり、車両搭載時に、保持部72の後方側において、左縁110cを、リテーナ55における圧接用開口部81の領域内に位置させるように、構成されている(
図25,26参照)。そして、このフラップ部材110は、エアバッグ90の膨張時に、内部に流入する膨張用ガスGの押圧力を受けて、圧接用開口部81内に押し込まれるようにして、インフレーター40の本体部41の外周面41cに圧接されることとなる。そのため、フラップ部材110の左縁110cが、強く本体部41の外周面41cに圧接されることとなり、挿入用開口94からのガス漏れを、防止することができる。
【0046】
バッグ本体91の内部に配置されるテザー120,121は、上下で離隔されて、それぞれ、左右方向に略沿うように、配置されている。このテザー120,121は、膨張完了時の厚さを規制するために、配設されるもので、下側のテザー121は、取付部92と保護膨張部102とを区画するように配置され、上側のテザー120は、保護膨張部102の領域を上下で区画するように配置されている。各テザー120,121には、膨張用ガスを流通可能な複数のガス流通孔120a,121aが、形成されている。
【0047】
実施形態の場合、エアバッグ90は、ポリエステル糸やポリアミド糸等の織布からなる基材を、所定形状に裁断し、縫合糸を用いて縫着させて、袋状に形成されている。エアバッグ90は、実施形態の場合、
図20,21に示すように、バッグ本体91の車体側壁部91a及び乗員側壁部91bを構成する3枚の本体用基布125,126,127と、2枚のテザー用基布129,130と、フラップ部材110と、補強布132と、から構成されている。
【0048】
本体用基布125,126は、それぞれ、車体側壁部91a,乗員側壁部91bにおいて、取付部92から上側のテザー120の配置領域まで(テザー120より下方の領域)を、構成している。本体用基布127は、テザー121より上方の車体側壁部91aと乗員側壁部91bとを構成している。各テザー用基布129,130は、それぞれ、二つ折りされてテザー120,121を構成している。補強布132は、取付孔93から挿入用開口94にかけての領域を補強するためのものであり、取付孔93の周縁と、挿入用開口94の周縁と、において、車体側壁部91aに縫着されている。
【0049】
次に、実施形態のエアバッグ装置Sの車両への搭載について説明する。まず、リテーナ55を、ボルト85を取付孔93から突出させるようにして、挿入用開口94からエアバッグ90内に収納させる。そして、リテーナ55の保持部72に形成される係止爪部83,83を、それぞれ、挿入用開口94における係止用スリット96,96の端末96a付近から突出させる。このとき、挿入用開口94において、補助スリット97と第2補助スリット98との間の領域から構成される折曲シール部位100D,100Eは、
図23に示すように、リテーナ55の取付基板部56から保持部72にかけての外周面を覆うように、内側に折り込まれることとなり、挿入用開口94は、車両搭載時における前側の領域を開口させるように、配置されることとなる(
図22参照)。そして、各係止爪部83の係止用スリット96からの突出状態を維持した状態で、エアバッグ90を、ケース28内に収納可能とするように折り畳み、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピング材により、周囲をくるんでおく。このとき、ボルト85と、挿入用開口94を構成しているスリット95の周囲の部位と、は、ラッピング材から露出させておく。
【0050】
次いで、インフレーター40の本体部41を、挿入用開口94を経て、ガス吐出部42側からエアバッグ90内(リテーナ55の保持部72内)に挿入させ、本体部41から突出しているボルト45を、周縁部位65の左縁65aに当接させるまで、リテーナ55の収納凹部63の凹部本体64内に挿入させる。このとき、挿入用開口94において、係止用スリット96と補助スリット97との間の領域から構成される折曲シール部位100A,100B,100Cは、それぞれ、本体部41とリテーナ55の保持部72との間に介在されつつ、内部に折り込まれて、本体部41の外周面41cを覆うこととなる(
図24参照)。また、インフレーター40の本体部41は、弾性変形支持部58と当接部78とによって、軸方向側及び軸直交方向側への移動を規制された状態で、保持部72に保持(仮保持)されることとなる。その後、底壁部29からボルト45,85を突出させるようにして、折り畳まれたエアバッグ90とインフレーター40とをケース28内に収納させ、底壁部29から突出しているボルト45,85にナット86を締結させて、エアバッグ90とインフレーター40とを車体側部材としてのケース28の底壁部29に取り付ける。このとき、リテーナ55に形成される圧接部68は、先端48aの端縁48b,48bを変形させつつ、インフレーター40の本体部41における取付基板部56側(前方側)の外周面41cに、先端68aを周方向に沿った略全域にわたって連続的に当接させるようにして、外周面41cに圧接されることとなる。そして、インフレーター40の本体部41は、ボルト45と、ボルト45の近傍に配置されるこの圧接部68と、によって、リテーナ55に対するずれを規制されて、強固に底壁部29に取付固定されることとなる。
【0051】
その後、各係止爪32a,33aを係止穴21a,22a周縁に係止させるようにして、エアバッグカバー16をケース28に組み付ければ、エアバッグ組付体を組み立てることができる。そして、エアバッグ組付体を、ブラケット4,4を利用して、ボディ1側に取付固定し、ケース28のコネクタ用開口35Rから露出しているインフレーター40の本体部41の接続口部43に、エアバッグ作動回路から延びるリード線48を結線させたコネクタ47を接続させる。その後、インパネ12やアンダーカバー13(
図1,2参照)を取り付ければ、エアバッグ装置Sを車両に搭載させることができる。
【0052】
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、リード線48を経て、本体部41に作動信号が入力されれば、インフレーター40の本体部41におけるガス吐出口42aから膨張用ガスが吐出されて、膨張用ガスは、リテーナ55の保持部72に形成されるガス流出用開口72b,72cを経て、エアバッグ90内に流入することとなる。そして、エアバッグ90は、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、図示しないラッピング材を破断するとともに、エアバッグカバー16の扉部18を押圧し、扉部18が、周囲の破断予定部19を破断させつつ、ヒンジ部20を回転中心として上下に開くこととなる。そして、バッグ本体91が、ケース28の突出用開口28aから車両後方側に向かって突出し、
図1,4の二点鎖線に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0053】
そして、実施形態のエアバッグ装置Sでは、リテーナ55の取付基板部56において、取付手段としてのボルト85と、インフレーター40の本体部41から突出する第2取付手段としてのボルト45を挿入させる収納凹部63と、の間における収納凹部63近傍となる位置に、ボルト45の底壁部29への取付時に、本体部41の外周面41cに圧接可能な圧接部68が、形成される構成であり、この圧接部68は、本体部41における取付基板部56側の外周面41cに、圧接される構成である(
図15参照)。実施形態のエアバッグ装置Sでは、インフレーター40のガス吐出部42から吐出される膨張用ガスGは、保持部72に形成されるガス流出用開口72b,72cを経て、エアバッグ90内に流出することとなるが、ガス吐出口42aが放射状に形成されていることから、膨張用ガスGは、取付基板部56と本体部41との間の隙間も流れることとなる(
図25参照)。しかしながら、実施形態のエアバッグ装置Sでは、ボルト45の底壁部29への取付時に、本体部41における取付基板部56側の外周面41cには、圧接部68が圧接されることとなり、実施形態の場合、圧接部68は、
図15に示すように、環状の先端68aを周方向に沿って連続的に外周面41cに当接させるようにして、外周面41cを圧接する構成であることから、挿入用開口94側に向かって流れる膨張用ガスの流れを規制することができる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Sでは、取付基板部56と本体部41との間の隙間を流れる膨張用ガスGが、さらに、ボルト45側に向かって流れることを、圧接部68によって、的確に防止することができ、インフレーター40が、本体部41におけるボルト45側の領域を、エアバッグ90外に突出させるようにして、車両に搭載される構成であっても、外部へのガス漏れを抑制して、エアバッグ90を迅速に膨張させることができる。また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、ボルト45による底壁部29への取付前の状態では、インフレーター40の本体部41は、圧接部68により強く圧接されない構成であることから、本体部41のリテーナ55の保持部72への挿入も、圧接部68の影響を受けることなく、容易に行なうことができる。
【0054】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Sでは、リテーナ55とインフレーター40との間からのガス漏れを極力抑制して、エアバッグ90を円滑に膨張させることができる。
【0055】
また、実施形態のエアバッグ装置Sでは、圧接部68は、本体部41の軸方向に沿った断面形状を、取付基板部56からなだらかに隆起して突出させるように、形成されていることから、本体部41をエアバッグ90の挿入用開口94を経て、内部のリテーナ55の保持部72に挿入させる際に、この圧接部68の隆起面68cをガイドとして、本体部41を保持部72内に円滑に挿入させることができる。詳細に説明すれば、実施形態では、インフレーター40の本体部41を保持部72に挿入させる際に、圧接部68における隆起面68cに本体部41の先端41aにおける縁部41ae(
図14参照)を当接させ、その後、本体部41を、隆起面68cをガイドとしてスライドさせれば、本体部41を、保持部72に対して心合せするように(本体部41の軸心を保持部72の中心に合わせるように)、保持部72内に円滑に挿入させることができる。
【0056】
実施形態では、膝保護用のエアバッグ装置Sを例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグ装置は、膝保護用エアバッグ装置に限られるものではなく、例えば、シートの背もたれ部内に搭載されるサイドエアバッグ装置にも、本発明は適用可能である。