(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステッピングモーターの回転速度が前記第1速度以上となった後に当該回転速度が前記第1速度以下の第2速度未満となった場合に、前記切替部への前記電気信号の入力を前記設定回数制限する入力制限部を備える、
請求項1に記載のモーター駆動装置。
回転子の回転方向に沿って等間隔に配置されており、前記回転子を回転させる複数の電磁石を有するステッピングモーターと、予め定められた電気信号が入力される毎に、前記複数の電磁石に対する励磁を前記回転方向に沿って順次切り替える切替部と、前記回転子が前記複数の電磁石の配置間隔に対応する単位角度回転する毎にその旨を示す検出信号を出力する検出信号出力部と、を備えるモーター駆動装置で実行されるモーターの駆動方法であって、
前記検出信号が入力される毎に前記電気信号を前記切替部に出力する第1ステップと、
前記ステッピングモーターの回転速度が予め定められた目標速度よりも低い第1速度以上となった場合に、前記第1ステップによる前記電気信号の出力間隔内で前記電気信号を前記切替部に予め定められた設定回数出力する第2ステップと、
を含むモーターの駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置10の概略構成]
まず、
図1〜
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。また、
図3はステッピングモーター51の構成を示す断面模式図である。なお、
図2における2点鎖線は、駆動力生成部5を示すためのものである。
【0013】
画像形成装置10は、原稿から画像データを読み取るスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。なお、画像形成装置10は、プリンター装置、ファクシミリ装置、及びコピー機などであってもよい。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、画像形成装置10は、ADF(自動原稿搬送装置)1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、駆動力生成部5、及び制御部6を備える。
【0015】
ADF1は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する。
【0016】
画像読取部2は、原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)を備え、原稿から画像データを読み取ることが可能である。
【0017】
画像形成部3は、画像読取部2で読み取られた画像データ又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて、電子写真方式で画像を形成する画像形成処理(印刷処理)を実行可能である。
図1に示されるように、画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電器32、光走査装置33、現像器34、転写ローラー35、クリーニング装置36、定着ローラー37、加圧ローラー38、及び排紙トレイ39を備える。
【0018】
給紙部4は、画像形成部3にシートを供給する。
図1に示されるように、給紙部4は、給紙カセット41、ピックアップローラー42、フィードローラー43、シート搬送路44、搬送ローラー45、及びレジストローラー46を備える。
【0019】
画像形成部3では、給紙部4から供給されるシートに以下の手順で画像が形成されて、画像形成後のシートが排紙トレイ39に排出される。なお、給紙部4から供給されるシートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート部材である。
【0020】
まず、帯電器32によって感光体ドラム31の表面が所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置33により感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム31上の静電潜像は現像器34によってトナー像として現像(可視像化)される。感光体ドラム31上に形成されたトナー像は、感光体ドラム31によって転写ローラー35によるシートへの転写位置へ搬送される。なお、現像器34には、画像形成部3に着脱可能なトナーコンテナ34Aからトナー(現像剤)が補給される。
【0021】
一方、給紙部4では、給紙カセット41に収容されているシート束のうち、最上層のシートがピックアップローラー42、及びフィードローラー43によってシート搬送路44へ搬送される。シート搬送路44へ搬送されたシートは、搬送ローラー45によってレジストローラー46の配置位置へ搬送される。レジストローラー46は、感光体ドラム31によるトナー像の前記転写位置への搬送タイミングに合わせて、前記転写位置にシートを供給する。これにより、感光体ドラム31に形成されたトナー像がレジストローラー46によって供給されるシートに転写される。なお、感光体ドラム31の表面に残存したトナーはクリーニング装置36で除去される。
【0022】
その後、シートに転写されたトナー像は、そのシートが定着ローラー37及び加圧ローラー38の間を通過する際に定着ローラー37で加熱されて溶融定着する。トナー像が定着したシートは、搬送ローラー45によって排紙トレイ39へ搬送される。
【0023】
駆動力生成部5は、画像形成装置10に設けられる負荷部材を駆動する駆動力を生成する。例えば、前記負荷部材は、給紙部4の搬送ローラー45である。なお、前記負荷部材は、ADF1の搬送ローラーであってもよい。また、前記負荷部材は、トナーコンテナ34A内に回転可能に設けられ、トナーを搬送する搬送スクリューであってもよい。また、前記負荷部材は、クリーニング装置36内に回転可能に設けられ、感光体ドラム31の表面を清掃するローラー状の清掃部材であってもよい。
【0024】
図2に示されるように、駆動力生成部5は、ステッピングモーター51、電源部52、切替部53、及び検出信号出力部54を備える。
【0025】
ステッピングモーター51は、例えば、2相を有し、1相励磁方式によって駆動される。
図3(A)に示されるように、ステッピングモーター51は、回転子511、及び固定子512を備える。なお、ステッピングモーター51の相数は2相に限られず、3相以上であってもよい。また、ステッピングモーター51の励磁方式は、1相励磁方式に限られず、他の励磁方式であってもよい。
【0026】
回転子511は、ステッピングモーター51の筐体に回転可能に支持されている。回転子511は、前記筐体から
図3(A)における紙面垂直方向に突出する駆動軸511Aを備える。また、回転子511は、4つの磁極M1〜M4を有する永久磁石を備える。
図3(A)に示されるように、磁極M1及びM3はN極であって、磁極M2及びM4はS極である。回転子511は、固定子512によって
図3(A)に示される回転方向D1に回転される。磁極M1〜M4は、回転方向D1に沿って等間隔に配置される。
【0027】
固定子512は、前記筐体において回転子511の周囲に設けられる。固定子512は、回転子511の磁極M1〜M4の数の倍である8つの電磁石512A〜512Hを備える。
図3(A)に示されるように、電磁石512A〜512Hは、回転子511の回転方向D1に沿って等間隔に配置されている。以下、電磁石512A〜512Hのうちのいずれか1つの電磁石のことを電磁石512Xと呼称する。電磁石512A〜512Hは、回転子511を回転方向D1に回転させる。ステッピングモーター51では、8つの電磁石512A〜512Hのうち、磁極M1〜M4の数と同数の4つの電磁石512Xが励磁される。
【0028】
なお、回転子511における磁極の数は、4つに限られず、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。また、固定子512における電磁石512Xの数は、回転子511における磁極の数の倍に限られず、3倍以上であってもよい。また、固定子512における電磁石512Xの数は、8つに限られず、7つ以下であってもよく、9つ以上であってもよい。また、ステッピングモーター51において励磁される電磁石512Xの数は、4つに限られず、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。
【0029】
電源部52は、ステッピングモーター51に駆動電力を供給する。例えば、電源部52は、制御部6から入力されるPWM(パルス幅変調)信号Sig1(
図2参照)に応じて前記駆動電力を増減させるスイッチング電源である。
【0030】
切替部53は、予め定められた電気信号Sig2(
図2参照)が入力される毎に、ステッピングモーター51の電磁石512A〜512Hに対する励磁を、回転方向D1(
図3(A)参照)に沿って順次切り替える。例えば、電気信号Sig2はパルス信号である。
【0031】
図2に示されるように、切替部53は、電源部52からステッピングモーター51への前記駆動電力の供給経路上に設けられている。切替部53は、電気信号Sig2が入力される毎に、励磁対象を、現在励磁されている電磁石512Xから、回転方向D1(
図3(A)参照)の下流側で隣接する他の電磁石512Xに切り替える。例えば、切替部53は、電磁石512A〜512H各々に対応する給電経路の導通及び遮断を切り替え可能な複数のトランジスタを含む電子回路である。
【0032】
例えば、切替部53は、
図3(A)に示された状態で電気信号Sig2が入力された場合に、S極に励磁される励磁対象を電磁石512A、512Eから電磁石512B、512Fに切り替えると共に、N極に励磁される励磁対象を電磁石512C、512Gから電磁石512D、512Hに切り替える。
【0033】
これにより、
図3(B)に示されるように、電磁石512H及び電磁石512Bと磁極M1との間で発生する磁界により、磁極M1が電磁石512Bに磁気的に引き寄せられる。また、電磁石512B及び電磁石512Dと磁極M2との間で発生する磁界により、磁極M2が電磁石512Dに磁気的に引き寄せられる。また、電磁石512D及び電磁石512Fと磁極M3との間で発生する磁界により、磁極M3が電磁石512Fに磁気的に引き寄せられる。また、電磁石512F及び電磁石512Hと磁極M4との間で発生する磁界により、磁極M4が電磁石512Hに磁気的に引き寄せられる。このような、磁極M1〜M4の各々が受ける力がトルクとなって、回転子511が回転方向D1(
図3(A)参照)に回転する。
【0034】
検出信号出力部54は、回転子511が電磁石512A〜512Hの配置間隔に対応する単位角度回転する毎に、その旨を示す検出信号Sig3(
図2参照)を出力する。例えば、ステッピングモーター51では、8つの電磁石512Xが回転方向D1(
図3(A)参照)に沿って等間隔に配置されている。そのため、前記単位角度は360度÷8=45度である。例えば、検出信号出力部54は、回転子511の駆動軸511Aに取り付けられたロータリーエンコーダーである。例えば、検出信号出力部54は、回転方向D1に回転する回転子511の磁極M1〜M4と電磁石512Xとが対向するタイミングで、検出信号Sig3を出力する(
図3(A)、(C)参照)。
【0035】
ところで、ステッピングモーター51の脱調を防止するために、検出信号出力部54から出力される検出信号Sig3に基づいて、固定子512における励磁対象を切り替える構成が従来技術として知られている。具体的に、この従来技術の構成では、制御部6が、検出信号出力部54から出力される検出信号Sig3の入力に応じて、切替部53に電気信号Sig2を出力する。
【0036】
上述の従来技術では、検出信号出力部54から出力される検出信号Sig3の制御部6への入力を待って固定子512における励磁対象の電磁石512Xを切り替えるため、回転子511の回転と励磁対象の電磁石512Xの切替タイミングとの間にずれが生じる。このずれは、ステッピングモーター51の回転速度が高くなるほど大きくなる。当該ずれが大きくなると、回転子511の回転周期における、回転子511が磁極M1〜M4と励磁対象の電磁石512Xとの間で発生する磁界から回転方向D1(
図3(A)参照)に沿った力を受けている期間の占める割合が低下して、ステッピングモーター51のトルクが低下する。
【0037】
具体的に、
図3(C)に示された状態において、回転子511は、磁極M1〜M4と励磁されている電磁石512B、512D、512F、512Hとの間で発生する磁界から回転方向D1に沿った力を受けていない。そのため、回転子511は、検出信号出力部54からの検出信号Sig3の出力時から固定子512における励磁対象の電磁石512Xが切り替えられるまでの間、惰性によって回転方向D1に回転する(
図3(D)参照)。このような回転子511の惰性による回転量は、ステッピングモーター51の回転速度が高くなるほど多くなる。従って、ステッピングモーター51の回転速度が高くなるほど、回転子511の回転周期における、回転子511が磁極M1〜M4と励磁対象の電磁石512Xとの間で発生する磁界から回転方向D1に沿った力を受けている期間の占める割合が低下して、ステッピングモーター51のトルクが低下する。
【0038】
以上の理由により、上述の従来技術では、ステッピングモーター51を高速回転させることができない。これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、ステッピングモーター51の脱調を未然に防止すると共に、ステッピングモーター51を高速回転させることが可能である。
【0039】
制御部6は、不図示のCPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶装置である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶装置である。制御部6では、前記CPUにより前記ROMに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部6により統括的に制御される。なお、制御部6は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0040】
また、制御部6は、
図2に示されるように、第1信号出力部61、第2信号出力部62、及び入力制限部63を備える。具体的に、制御部6は、前記CPUを用いて前記ROMに記憶されている前記制御プログラムを実行する。これにより、制御部6は、第1信号出力部61、第2信号出力部62、及び入力制限部63として機能する。ここに、駆動力生成部5、及び制御部6を備える装置が、本発明におけるモーター駆動装置の一例である。
【0041】
第1信号出力部61は、検出信号出力部54から検出信号Sig3が入力される毎に、電気信号Sig2を切替部53に出力する。
【0042】
第2信号出力部62は、ステッピングモーター51の回転速度が予め定められた目標速度よりも低い第1速度以上となった場合に、第1信号出力部61による電気信号Sig2の出力間隔内で、電気信号Sig2を切替部53に予め定められた設定回数出力する。
【0043】
例えば、第2信号出力部62は、検出信号出力部54から出力される検出信号Sig3の入力間隔に基づいて、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となったか否かを判断する。なお、前記第1速度は、任意に設定される速度であってよい。
【0044】
例えば、第2信号出力部62は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となった場合に、第1信号出力部61による電気信号Sig2の出力間隔内で、電気信号Sig2を切替部53に1回出力する。なお、前記設定回数は、2回以上であってもよい。
【0045】
ここで、
図4(A)〜(D)を参照しつつ、第2信号出力部62によって電気信号Sig2が切替部53に入力される場合のステッピングモーター51の動作について説明する。なお、
図4(A)では、ステッピングモーター51が前記第1速度で回転していると仮定する。
【0046】
図4(A)に示された状態では、検出信号出力部54から検出信号Sig3が出力される。第1信号出力部61は、検出信号出力部54から出力された検出信号Sig3が入力されると、電気信号Sig2を切替部53に出力する。また、第2信号出力部62は、検出信号出力部54から入力される検出信号Sig3及びその直前に検出信号出力部54から入力された検出信号Sig3の入力間隔に基づいて、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となったか否かを判断する。ここでは、第2信号出力部62が、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となったと判断したものとする。この場合、第2信号出力部62は、第1信号出力部61による電気信号Sig2の出力の直前又は直後に、電気信号Sig2を切替部53に1回出力する。これにより、切替部53には、電気信号Sig2が2回入力される。切替部53は、2回の電気信号Sig2の入力に応じて、S極に励磁される励磁対象を、電磁石512B、512Fから電磁石512D、512Hに切り替えると共に、N極に励磁される励磁対象を、電磁石512D、512Hから電磁石512F、512Bに切り替える。
【0047】
図4(B)には、
図4(A)に示された状態から切替部53によって励磁対象の電磁石512Xが切り替えられた後の状態が示されている。ここで、
図4(A)に示された状態において、回転子511は、磁極M1〜M4と励磁対象の電磁石512B、512D、512F、512Hとの間で発生する磁界から回転方向D1(
図3(A)参照)に沿った力を受けていない。そのため、
図4(B)に示された状態において、回転子511は、
図4(A)に示された状態から惰性によって回転方向D1に回転している。
【0048】
図4(B)に示された状態において、磁極M1は、磁極M1と電磁石512B及び電磁石512Dとの間で発生する磁界により、電磁石512Dに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M2は、磁極M2と電磁石512D及び電磁石512Fとの間で発生する磁界により、電磁石512Fに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M3は、磁極M3と電磁石512F及び電磁石512Hとの間で発生する磁界により、電磁石512Hに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M4は、磁極M4と電磁石512H及び電磁石512Bとの間で発生する磁界により、電磁石512Bに磁気的に引き寄せられる。このような、磁極M1〜M4の各々が受ける力がトルクとなって、回転子511が回転方向D1に回転する。
【0049】
図4(C)には、
図4(B)に示された状態から回転子511が回転した状態が示されている。
図4(C)に示された状態では、検出信号出力部54から検出信号Sig3が出力される。第1信号出力部61は、検出信号出力部54から出力された検出信号Sig3が入力されると、電気信号Sig2を切替部53に出力する。切替部53は、電気信号Sig2の入力に応じて、S極に励磁される励磁対象を、電磁石512D、512Hから電磁石512E、512Aに切り替えると共に、N極に励磁される励磁対象を、電磁石512F、512Bから電磁石512G、512Cに切り替える。
【0050】
図4(D)には、
図4(C)に示された状態から切替部53によって励磁対象の電磁石512Xが切り替えられた後の状態が示されている。ここで、
図4(C)に示された状態では、
図4(A)に示された状態と異なり、回転子511が、磁極M1〜M4と励磁対象の電磁石512B、512D、512F、512Hとの間で発生する磁界から回転方向D1(
図3(A)参照)に沿った力を受けている。そのため、
図4(D)に示された状態において、回転子511は、
図4(C)に示された状態から惰性ではなく当該磁界から受ける力によって回転方向D1に回転している。
【0051】
図4(D)に示された状態において、磁極M1は、磁極M1と電磁石512C及び電磁石512Eとの間で発生する磁界により、電磁石512Eに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M2は、磁極M2と電磁石512E及び電磁石512Gとの間で発生する磁界により、電磁石512Gに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M3は、磁極M3と電磁石512G及び電磁石512Aとの間で発生する磁界により、電磁石512Aに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M4は、磁極M4と電磁石512A及び電磁石512Cとの間で発生する磁界により、電磁石512Cに磁気的に引き寄せられる。このような、磁極M1〜M4の各々が受ける力がトルクとなって、回転子511が回転方向D1に回転する。
【0052】
このように、第2信号出力部62によって電気信号Sig2が切替部53に1回出力されることで、回転子511の回転周期における、回転子511が惰性によって回転する期間を無くすことが可能となる。これにより、回転子511は、回転子511の回転周期における全期間で、磁極M1〜M4と励磁対象の電磁石512Xとの間で発生する磁界から回転方向D1に沿った力を受けることが可能となる。従って、ステッピングモーター51の回転速度を高速化させた場合におけるトルクの低下を抑制可能である。
【0053】
なお、
図4(B)に示された状態における回転子511の惰性による回転量が少ない場合には、ステッピングモーター51の回転が不安定となることがある。例えば、
図4(B)に示された状態において、回転子511の惰性による回転量が少ない場合には、磁極M1が、電磁石512H及び電磁石512Dの両方から力を受けて、回転が不安定となることがある。そのため、前記第1速度は、回転子511の惰性による回転が生じる速度よりも高速であることが望ましい。
【0054】
入力制限部63は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となった後に、当該回転速度が前記第1速度以下の第2速度未満となった場合に、切替部53への電気信号Sig2の入力を前記設定回数制限する。なお、前記第2速度は、任意に設定される速度であってよい。
【0055】
例えば、入力制限部63は、第1信号出力部61による電気信号Sig2の出力を前記設定回数禁止する。なお、第1信号出力部61、第2信号出力部62、及び入力制限部63のそれぞれが電子回路によって構成される場合、入力制限部63は、検出信号出力部54と第1信号出力部61との間で検出信号Sig3の第1信号出力部61への入力を阻止してもよい。また、入力制限部63は、第1信号出力部61と切替部53との間で電気信号Sig2の切替部53への入力を阻止してもよい。
【0056】
ここで、
図5(A)〜(D)を参照しつつ、入力制限部63によって切替部53への電気信号Sig2の入力が規制される場合のステッピングモーター51の動作について説明する。なお、
図5(A)では、第2信号出力部62による電気信号Sig2の切替部53への出力後に、ステッピングモーター51が前記第2速度未満で回転していると仮定する。
【0057】
図5(A)に示された状態において、磁極M1は、磁極M1と電磁石512B及び電磁石512Dとの間で発生する磁界により、電磁石512Dに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M2は、磁極M2と電磁石512D及び電磁石512Fとの間で発生する磁界により、電磁石512Fに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M3は、磁極M3と電磁石512F及び電磁石512Hとの間で発生する磁界により、電磁石512Hに磁気的に引き寄せられる。また、磁極M4は、磁極M4と電磁石512H及び電磁石512Bとの間で発生する磁界により、電磁石512Bに磁気的に引き寄せられる。このような、磁極M1〜M4の各々が受ける力がトルクとなって、回転子511が回転方向D1に回転する。
【0058】
図5(B)には、
図5(A)に示された状態から回転子511が回転した状態が示されている。
図5(B)に示された状態では、検出信号出力部54から検出信号Sig3が出力される。入力制限部63は、検出信号出力部54から入力される検出信号Sig3及びその直前に検出信号出力部54から入力された検出信号Sig3の入力間隔に基づいて、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となったか否かを判断する。ここでは、入力制限部63が、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となったと判断したものとする。この場合、入力制限部63は、第1信号出力部61による切替部53への電気信号Sig2の入力を1回規制する。そのため、
図5(B)に示された状態では、切替部53による励磁対象の電磁石512Xの切り替えは行われない。また、
図5(B)に示された状態では、回転子511が、磁極M1〜M4と励磁対象の電磁石512B、512D、512F、512Hとの間で発生する磁界から受ける力によって回転方向D1(
図3(A)参照)に沿って回転する。
【0059】
図5(C)には、
図5(B)に示された状態から回転子511が回転した状態が示されている。
図5(C)に示された状態では、検出信号出力部54から検出信号Sig3が出力される。第1信号出力部61は、検出信号出力部54から出力された検出信号Sig3が入力されると、電気信号Sig2を切替部53に出力する。切替部53は、電気信号Sig2の入力に応じて、S極に励磁される励磁対象を、電磁石512D、512Hから電磁石512E、512Aに切り替えると共に、N極に励磁される励磁対象を、電磁石512F、512Bから電磁石512G、512Cに切り替える。
【0060】
図5(D)には、
図5(C)に示された状態から切替部53によって励磁対象の電磁石512Xが切り替えられた後の状態が示されている。ここで、
図5(C)に示された状態では、
図5(B)に示された状態と異なり、回転子511が、磁極M1〜M4と励磁されている電磁石512B、512D、512F、512Hとの間で発生する磁界から回転方向D1(
図3(A)参照)に沿った力を受けていない。そのため、
図5(D)に示された状態において、回転子511は、
図5(C)に示された状態から惰性によって回転方向D1に回転している。
【0061】
このように、入力制限部63によって切替部53への電気信号Sig2の入力が規制されることで、ステッピングモーター51の状態を第2信号出力部62による電気信号Sig2の切替部53への出力前の状態に戻すことが可能である。これにより、例えば、搬送ローラー45における搬送負荷が増大して、ステッピングモーター51の回転速度が低下した場合に、ステッピングモーター51の回転が不安定になることが回避される。具体的に、検出信号出力部54による検出信号の出力時から励磁対象の電磁石512Xの切替時までの間の回転子511の回転量が少なくなることで、磁極M1〜M4各々が回転方向D1(
図3(A)参照)とは逆方向に力を受けて、ステッピングモーター51の回転が不安定になることが回避される。
【0062】
[駆動制御処理]
以下、
図6を参照しつつ、画像形成装置10において制御部6により実行される駆動制御処理の手順の一例と共に、本発明におけるモーターの駆動方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部6により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。例えば、前記駆動制御処理は、給紙部4によってシートが搬送される場合に実行される。
【0063】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部6は、ステッピングモーター51の駆動を開始する。
【0064】
例えば、制御部6は、電気信号Sig2を切替部53に1回出力する。これにより、ステッピングモーター51の回転子511が前記単位角度回転する。そのため、検出信号出力部54から検出信号Sig3が出力される。その後、制御部6は、検出信号出力部54から検出信号Sig3が入力される度に、電気信号Sig2を切替部53に出力する。これにより、ステッピングモーター51が駆動される。
【0065】
また、制御部6は、検出信号出力部54から出力される検出信号Sig3の周波数に対応するステッピングモーター51の回転速度が前記目標速度となるように、電源部52によるステッピングモーター51への前記駆動電力の供給量を制御する。例えば、制御部6は、前記目標速度に対応する周波数のクロック信号と検出信号Sig3との位相差に基づいて生成されるPWM信号Sig1を、電源部52に入力する。これにより、ステッピングモーター51の回転速度が上昇する。ここで、ステップS11における検出信号出力部54から検出信号Sig3が入力される毎に電気信号Sig2を切替部53に出力する処理が、本発明における第1ステップの一例である。
【0066】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部6は、給紙部4によるシートの搬送が終了したか否かを判断する。
【0067】
ここで、制御部6は、給紙部4によるシートの搬送が終了したと判断すると(S12のYes側)、処理をステップS121に移行させる。また、給紙部4によるシートの搬送が終了していなければ(S12のNo側)、制御部6は、処理をステップS13に移行させる。
【0068】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部6は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となったか否かを判断する。
【0069】
ここで、制御部6は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第1速度以上となったと判断すると(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させる。また、ステッピングモーター51の回転速度が前記設定速度以上になっていなければ(S13のNo側)、制御部6は、処理をステップS12に移行させる。
【0070】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部6は、検出信号出力部54からの検出信号Sig3の入力に応じた電気信号Sig2の出力間隔内で、電気信号Sig2を切替部53に前記設定回数出力する。ここに、ステップS14の処理が、本発明における第2ステップの一例であって、制御部6の第2信号出力部62により実行される。
【0071】
例えば、制御部6は、電気信号Sig2を切替部53に1回出力する。これにより、ステッピングモーター51の回転速度をより高速化させることが可能となる。
【0072】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部6は、ステップS12と同様に、給紙部4によるシートの搬送が終了したか否かを判断する。
【0073】
ここで、制御部6は、給紙部4によるシートの搬送が終了したと判断すると(S15のYes側)、処理をステップS151に移行させる。また、給紙部4によるシートの搬送が終了していなければ(S15のNo側)、制御部6は、処理をステップS16に移行させる。
【0074】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部6は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となったか否かを判断する。例えば、搬送ローラー45における搬送負荷がシートの重送などによって増大した場合に、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満に低下することがある。
【0075】
ここで、制御部6は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となったと判断すると(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させる。また、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となっていなければ(S16のNo側)、制御部6は、処理をステップS15に移行させる。
【0076】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部6は、切替部53への電気信号Sig2の入力を前記設定回数規制する。ここで、ステップS17の処理は、制御部6の入力制限部63により実行される。
【0077】
例えば、制御部6は、切替部53への電気信号Sig2の入力を1回規制する。これにより、搬送負荷の増大に伴ってステッピングモーター51の回転速度が低下し、ステッピングモーター51の回転が不安定になることが回避される。
【0078】
<ステップS121>
一方、ステップS12で給紙部4によるシートの搬送が終了したと判断された場合、制御部6は、ステップS121の処理を実行する。ステップS121において、制御部6は、ステッピングモーター51の回転速度を段階的に減速させて停止させる減速制御を開始する。例えば、制御部6は、電源部52に出力するPWM信号Sig1におけるデューティー比を段階的に低減させて、ステッピングモーター51の回転速度を段階的に減速させる。
【0079】
<ステップS151>
また、ステップS15で給紙部4によるシートの搬送が終了したと判断された場合、制御部6は、ステップS151の処理を実行する。ステップS151において、制御部6は、ステップS121と同様に、前記減速制御を開始する。
【0080】
<ステップS152>
ステップS152において、制御部6は、ステップS16と同様に、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となったか否かを判断する。
【0081】
ここで、制御部6は、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となったと判断すると(S152のYes側)、処理をステップS153に移行させる。また、ステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となっていなければ(S152のNo側)、制御部6は、ステップS152でステッピングモーター51の回転速度が前記第2速度未満となるのを待ち受ける。
【0082】
<ステップS153>
ステップS153において、制御部6は、ステップS17と同様に、切替部53への電気信号Sig2の入力を前記設定回数規制する。ここで、ステップS17の処理は、制御部6の入力制限部63により実行される。
【0083】
これにより、前記減速制御の過程でステッピングモーター51の回転が不安定となることが回避される。
【0084】
このように、画像形成装置10では、検出信号出力部54から検出信号Sig3が入力される毎に、電気信号Sig2が切替部53に出力される。また、画像形成装置10では、ステッピングモーター51の回転速度が前記目標速度よりも低い第1速度以上となった場合に、検出信号出力部54からの検出信号Sig3の入力に応じた電気信号Sig2の出力間隔内で、電気信号Sig2が切替部53に前記設定回数出力される。これにより、回転子511の回転周期における、回転子511が惰性によって回転する期間を無くすことが可能となる。従って、ステッピングモーター51の脱調を未然に防止すると共に、ステッピングモーター51を高速回転させることが可能である。