(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検知器が容器の損壊を検知した場合に、予め決められた通知先に検知を通知する通知機構を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生物収容器。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の生物収容器の第1実施形態を示す図である。
【0022】
第1実施形態の生物収容器1は、内側容器10と外側容器20が入れ子になった構造を有する。内側容器10は、例えばポリウレタン製のマット13に載せられて外側容器20中に設置されている。
【0023】
内側容器10は、例えば600mmの幅と300mmの奥行と360mmの高さを有し、板厚が例えば4mmのアクリル板からなっている。内側容器10の内部には土12が敷かれ、観賞用の生物として例えばバラRが収容される。このバラRは、遺伝子組み換え生物の一種であり、例えば生物発光を生じさせる遺伝子が組み込まれているものとする。外側容器20は、例えば700mmの幅と400mmの奥行と460mmの高さを有し、板厚が例えば4mmのアクリル板からなっている。なお、内側容器10および外側容器20の材料としてはガラスが用いられてもよい。アクリル樹脂やガラスは容器内部の視認性に優れた材料であるため、生物収容器1は生物の観賞に適している。
【0024】
内側容器10および外側容器20それぞれの上部には、生物の出し入れおよび生育環境管理のための各開口部15,25が設けられており、これらの開口部15,25は展示の際には内側用蓋11および外側用蓋21でそれぞれ閉じられる。各開口部15,25は例えばフランジ構造となっていて、各開口部15,25の縁から例えば50mm内側へ張り出して各開口部15,25の縁を一周したフランジ16,26を有している。内側用蓋11および外側用蓋21は、例えば塩化ビニル樹脂からなり、各開口部15,25に対して密着可能かつ取り外し可能で例えば留金によって密着されて固定される。また、内側用蓋11および外側用蓋21には開け閉めのための取っ手が設けられているものとする。
【0025】
内側容器10と外側容器20の双方について、内部には空気が満たされている。内側容器10が本発明にいう第1容器の一例に相当し、外側容器20が本発明にいう第2容器の一例に相当する。
【0026】
第1実施形態の生物収容器1は、内側容器10の内部から外側容器20の外部まで貫通して空気を通す第1の通気パイプ31を備えている。この第1の通気パイプ31の途中にはヘパフィルタ41が設けられている。また、第1の通気パイプ31は空気循環用ポンプ61(例えば水作株式会社製, 水心SSPP−2S)に接続されており、この空気循環用ポンプ61によって第1の通気パイプ31内へと空気が送り込まれ、ヘパフィルタ41経由で内側容器10の内部へと空気が供給される。なお、通気パイプに空気を送る送気手段としてはファンが採用されてもよい。
【0027】
第1実施形態の生物収容器1は、外側容器20の内部で内側容器10の内外を貫通して空気を通す第2の通気パイプ32も備えている。この第2の通気パイプ32の途中にもヘパフィルタ42が設けられている。外側容器20から内側容器10の内部へと供給されてきた空気は、図中の矢印が示すように内側容器10内を流れ、第2の通気パイプ32から内側容器10の外部(但し外側容器20の内部)へと流出する。
【0028】
更に第2の通気パイプ32には、空気の流量を検知する第1の流量センサ51(例えばアリキャット(Alicat)製,マスフローコントローラMC−20SLPM)が設置されている。この第1の流量センサ51により、内側容器10の内部から外部へと流出する空気の流量が検知される。
【0029】
更に、第1実施形態の生物収容器1は、外側容器20の内外を貫通して空気を通す第3の通気パイプ33も備えている。第2の通気パイプ32を介して内側容器10から外側容器20へと流れてきた空気は、図中の矢印が示すように外側容器20内を流れ、第3の通気パイプ33から外側容器20の外部へと流出する。
【0030】
第3の通気パイプ33にもヘパフィルタ43が設けられており、第3の通気パイプ33には第2の流量センサ52も設置されている。この第2の流量センサ52により、外側容器20の外部へと流出する空気の流量が検知される。なお、各流量センサ51,52の設置箇所として、
図1では、容器の外部側の箇所が一例として示されているが、
図1に点線で示されているように、各流量センサ51,52は、容器の内部側に設けられてもよい。
【0031】
第1実施形態の生物収容器1は、例えばバラRなどが観賞用の生物として収容されるので、花粉などについても子孫を形成する可能性があり(即ち繁殖要素に該当し)、外部環境への拡散防止が求められる。ヘパフィルタ42,43は、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有するので、第1実施形態の生物収容器1では、粒径が約0.01mm程度の花粉などについても充分な拡散防止が図られている。このヘパフィルタ42,43が、本発明にいう拡散防止機構の一例に相当し、内側容器10および外側容器20により2重の拡散防止が図られている。なお、第1の通気パイプ31に設置されているヘパフィルタ41に関しては、空気循環用ポンプ61の停止や逆流に備えて設置されたものであり、空気循環用ポンプ61が常に空気を送り続けるという前提であれば設置されなくてもよい。
【0032】
第1実施形態の生物収容器1では、第1の流量センサ51および第2の流量センサ52による流量の検知で、以下説明するように、内側容器10および外側容器20の損壊が検知される。つまり、これらの流量センサ51,52は、本発明にいう検知器の一例に相当する。なお、本発明にいう検知器としては、流量センサに替えて流速センサや圧力センサが用いられてもよい。以下、内側容器10および外側容器20の損壊検知方法について説明する。
図2は、損壊検知方法の説明図である。
【0033】
図2には、流量センサの検知例を表したグラフが示されている。各グラフの横軸は時間を表し、縦軸は流量センサによる検知量を表している。また、各グラフには、
図1に示す第1の流量センサ51による検知量(流量)を示した実線のラインL1と、第2の流量センサ52による検知量(流量)を示した破線のラインL2と、空気循環用ポンプ61による送気量(設定値)を示した一点鎖線のラインL3が記されている。
内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、3つのラインL1,L2,L3は同じ流量を示している。
【0034】
図2(A)に示されたように、第1の流量センサ51による検知量(流量)が他の流量に較べて低下した場合には、内側容器10の内部から外部へと、第2の通気パイプ32以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図2(A)の矢印が示す時点で内側容器10に損壊が生じたことが検知される。
【0035】
一方、
図2(B)に示されたように、第2の流量センサ52による検知量(流量)が他の流量に較べて低下した場合には、外側容器20の内部から外部へと、第3の通気パイプ33以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図2(B)の矢印が示す時点で外側容器20に損壊が生じたことが検知される。
【0036】
このように、第1実施形態の生物収容器1では、内側容器10および外側容器20それぞれにおける損壊が検知可能であり、例えば災害時や生物収容器1周辺での事故時などに容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器1が回収されることになる。
【0037】
次に、本発明の生物収容器の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、空気循環用ポンプと流量センサの位置が異なる点を除いて第1実施形態と同様の形態であるので以下の説明では相違点に着目し、重複説明は省略する。
図3は、本発明の生物収容器の第2実施形態を示す図である。
【0038】
第2実施形態の生物収容器2では、第1の通気パイプ31に第1の流量センサ51が設置されていて、第2の通気パイプ32には空気循環用ポンプ61が繋がっている。そして、第3の通気パイプ33には第2の流量センサ52が設置されている。
【0039】
第2実施形態の生物収容器2における空気循環用ポンプ61は、内側容器10から外側容器20へと空気を吸い出し、第1の流量センサ51は、第1の通気パイプ31を介して内側容器10へと流入する空気の流量を検知し、第2の流量センサ52は、外側容器20から外部へと流出する空気の流量を検知する。
【0040】
このような流量センサ51,52と空気循環用ポンプ61の配置でも、第1の流量センサ51および第2の流量センサ52による流量の検知で、内側容器10および外側容器20の損壊が検知される。
図4は、第2実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0041】
図4にも、流量センサの検知例を表したグラフが示されている。各グラフの横軸は時間を表し、縦軸は流量センサによる検知量を表している。また、各グラフには、
図3に示す第1の流量センサ51による検知量(流量)を示した実線のラインL1と、第2の流量センサ52による検知量(流量)を示した破線のラインL2と、空気循環用ポンプ61による送気量(設定値)を示した一点鎖線のラインL3が記されている。
第2実施形態の場合にも、内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、3つのラインL1,L2,L3は同じ流量を示している。
【0042】
図4(A)に示されたように、第1の流量センサ51による検知量(流量)と第2の流量センサ52による検知量(流量)が、空気循環用ポンプ61による送気量に較べて低下した場合には、内側容器10の外部から内部へと、第2の通気パイプ32以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図4(A)の矢印が示す時点で内側容器10に損壊が生じたことが検知される。
【0043】
一方、
図4(B)に示されたように、第2の流量センサ52による検知量(流量)が他の流量に較べて低下した場合には、外側容器20の内部から外部へと、第3の通気パイプ33以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図4(B)の矢印が示す時点で外側容器20に損壊が生じたことが検知される。
【0044】
このように、第2実施形態の生物収容器2でも、内側容器10および外側容器20それぞれにおける損壊が検知可能であり、容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器2が回収されることになる。
【0045】
次に、本発明の生物収容器の第3実施形態について説明する。この第3実施形態も、空気循環用ポンプと流量センサの位置が異なる点を除いて第1実施形態と同様の形態であるので以下の説明では相違点に着目し、重複説明は省略する。
図5は、本発明の生物収容器の第3実施形態を示す図である。
【0046】
第3実施形態の生物収容器3では、第1の通気パイプ31に第1の流量センサ51が設置されていて、第2の通気パイプ32には第2の流量センサ52が設置されている。そして、第3の通気パイプ33には空気循環用ポンプ61が繋がっている。
【0047】
第3実施形態の生物収容器3における空気循環用ポンプ61は、外側容器20から外部へと空気を吸い出し、第1の流量センサ51は、第1の通気パイプ31を介して内側容器10へと流入する空気の流量を検知し、第2の流量センサ52は、内側容器10から外側容器20へと流出する空気の流量を検知する。
【0048】
このような流量センサ51,52と空気循環用ポンプ61の配置でも、第1の流量センサ51および第2の流量センサ52による流量の検知で、内側容器10および外側容器20の損壊が検知される。
図6は、第3実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0049】
図6にも、流量センサの検知例を表したグラフが示されている。各グラフの横軸は時間を表し、縦軸は流量センサによる検知量を表している。また、各グラフには、
図5に示す第1の流量センサ51による検知量(流量)を示した実線のラインL1と、第2の流量センサ52による検知量(流量)を示した破線のラインL2と、空気循環用ポンプ61による送気量(設定値)を示した一点鎖線のラインL3が記されている。
第3実施形態の場合にも、内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、3つのラインL1,L2,L3は同じ流量を示している。
【0050】
図6(A)に示されたように、第2の流量センサ52による検知量(流量)が他の流量に較べて低下した場合には、内側容器10の内部から外部へと、第2の通気パイプ32以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図6(A)の矢印が示す時点で内側容器10に損壊が生じたことが検知される。
【0051】
一方、
図6(B)に示されたように、第1の流量センサ51による検知量(流量)と第2の流量センサ52による検知量(流量)が、空気循環用ポンプ61による送気量に較べて低下した場合には、外側容器20の外部から内部へと、第3の通気パイプ33以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図6(B)の矢印が示す時点で外側容器20に損壊が生じたことが検知される。
【0052】
このように、第3実施形態の生物収容器3でも、内側容器10および外側容器20それぞれにおける損壊が検知可能であり、容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器3が回収されることになる。
【0053】
次に、本発明の生物収容器の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、第1の流量センサ51が設置されていない点を除いて第3実施形態と同様の形態であるので以下の説明では相違点に着目し、重複説明は省略する。
図7は、本発明の生物収容器の第4実施形態を示す図である。
【0054】
第4実施形態の生物収容器4では、第2の通気パイプ32には流量センサ52が設置されていて、第3の通気パイプ33には空気循環用ポンプ61が繋がっているが、第1の通気パイプ31にはポンプもセンサも設けられていない。従って、第4実施形態の生物収容器3では、第1の通気パイプ31を介して内側容器10へと流入する空気の流量が不明である。第4実施形態の場合には流量センサ52は、内側容器10の外側かつ外側容器20の内側となっている空間に流入する空気の流量を検知していると解釈することができる。また、空気循環用ポンプ61は、そのような空間から外部へと空気を吸い出していると解釈することができる。
このような流量センサ52と空気循環用ポンプ61の配置でも、流量センサ52による流量の検知で、内側容器10および外側容器20の損壊が検知される。
図8は、第4実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0055】
図8にも、流量センサの検知例を表したグラフが示されている。グラフの横軸は時間を表し、縦軸は流量センサによる検知量を表している。また、
図8のグラフには、
図7に示す流量センサ52による検知量(流量)を示した実線のラインL4と、空気循環用ポンプ61による送気量(設定値)を示した一点鎖線のラインL5が記されている。
第4実施形態の場合には、内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、2つのラインL4,L5は同じ流量を示している。
【0056】
グラフに示されたように、流量センサ52による検知量(流量)が、空気循環用ポンプ61による送気量に較べて低下した場合には、内側容器10の外側かつ外側容器20の内側となっている空間の外部から内部へと、第2の通気パイプ32以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、図の矢印が示す時点で、内側容器10および外側容器20のいずれかに損壊が生じたことが検知される。
【0057】
このように、第4実施形態の生物収容器4では、内側容器10および外側容器20それぞれにおける個別の損壊は検知できないが、内側容器10および外側容器20のどちらに損壊が生じた場合でも損壊が検知される。このため、容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器4が回収されることになる。
【0058】
次に、本発明の生物収容器の第5実施形態について説明する。この第5実施形態は、流量センサが増設されている点を除いて第1実施形態と同様の形態であるので以下の説明では相違点に着目し、重複説明は省略する。
図9は、本発明の生物収容器の第5実施形態を示す図である。
【0059】
第5実施形態の生物収容器5では、第1の通気パイプ31に第3の流量センサ53が設置されている。この第3の流量センサ53は空気循環用ポンプ61の送気量をモニタする。このように第3の流量センサ53が設けられていることにより、第5実施形態の生物収容器5では、第1実施形態の生物収容器1よりも正確な容器の損壊検知が可能となる。
図10は、第5実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0060】
図10にも、流量センサの検知例を表したグラフが示されている。各グラフの横軸は時間を表し、縦軸は流量センサによる検知量を表している。また、各グラフには、
図9に示す第1の流量センサ51による検知量(流量)を示した実線のラインL1と、第2の流量センサ52による検知量(流量)を示した破線のラインL2と、第3の流量センサ53による検知量(流量)を示した一点鎖線のラインL6が記されている。
【0061】
第5実施形態の場合も、内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、3つのラインL1,L2,L6は同じ流量を示している。但し、第1実施形態では、空気循環用ポンプ61の送気量を示したラインL3(
図2参照)は空気循環用ポンプ61における設定値を示したものであって、実際の送気量ではないのに対し、第5実施形態では、第3の流量センサ53による検知量(流量)は
図9に示す空気循環用ポンプ61が実際に送っている送気量を表している。従って、第5実施形態の場合には、
図9に示す空気循環用ポンプ61の送気量が変動した場合であっても平常時には3つのラインL1,L2,L6は同じ流量を示し、第1実施形態よりも正確な判定が可能である。
【0062】
図10(A)に示されたように、第1の流量センサ51による検知量(流量)が他の流量に較べて低下した場合には、内側容器10の内部から外部へと、第2の通気パイプ32以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図10(A)の矢印が示す時点で内側容器10に損壊が生じたことが検知される。第5実施形態では、このような異常時の場合でも、空気循環用ポンプ61による送気量の変動分には影響されずに正確な判定が可能である。
【0063】
また、
図10(B)に示されたように、第2の流量センサ52による検知量(流量)が他の流量に較べて低下した場合には、外側容器20の内部から外部へと、第3の通気パイプ33以外の経路で空気が漏れている異常時に移行したことになり、
図10(B)の矢印が示す時点で外側容器20に損壊が生じたことが検知される。
次に、本発明の生物収容器の第6実施形態について説明する。
図11は、本発明の生物収容器の第6実施形態を示す図である。
図11に示されている要素のうち、第1実施形態の要素と同様の要素については同一の符号を付して重複説明を省略する。
第6実施形態の生物収容器6は、第1実施形態の生物収容器1と同様に内側容器10および外側容器20を備えている。
【0064】
第6実施形態の生物収容器6には、外側容器20の壁を貫通し、外側容器20の外部から内部へと空気が通る第1の通気パイプ35が備えられている。この第1の通気パイプ35にはヘパフィルタ45が設けられており、この第1の通気パイプ35は第1の空気循環用ポンプ65に繋がっている。第1の空気循環用ポンプ65によって第1の通気パイプ35およびヘパフィルタ45を介して空気が外側容器20の内部へと供給される。
【0065】
また、第6実施形態の生物収容器6には、内側容器10の壁を貫通し、内側容器10の外部から内部へと空気が通る第2の通気パイプ36も備えられている。この第2の通気パイプ36にもヘパフィルタ46が設けられており、この第2の通気パイプ36は第2の空気循環用ポンプ66に繋がっている。第2の空気循環用ポンプ66によって第2の通気パイプ36およびヘパフィルタ46を介して空気が内側容器10の内部へと供給される。
【0066】
更に、第6実施形態の生物収容器6には、内側容器10の壁を貫通し、内側容器10の内部から外部へと空気が通る第3の通気パイプ37も備えられている。この第3の通気パイプ37にもヘパフィルタ47が設けられており、このヘパフィルタ47は、例えばバラRの花粉などのような繁殖要素が内側容器10の外部へと拡散するのを防止する。この第3の通気パイプ37には第1の流量センサ55が設けられており、第3の通気パイプ37を介した空気の流出量がこの第1の流量センサ55によって検知される。
【0067】
更にまた、第6実施形態の生物収容器6には、外側容器20の壁を貫通し、外側容器20の内部から外部へと空気が通る第4の通気パイプ38も備えられている。この第4の通気パイプ38にもヘパフィルタ48が設けられており、このヘパフィルタ48は、繁殖要素が外側容器20の外部へと拡散するのを防止する。この第4の通気パイプ38には第2の流量センサ56が設けられており、第4の通気パイプ38を介した空気の流出量がこの第2の流量センサ56によって検知される。
【0068】
第6実施形態では、内側容器10に対する空気の流入流出と、外側容器20に対する空気の流入流出とが独立している。即ち、内側容器10については第2の通気パイプ36から空気が流入して第3の通気パイプ37から空気が流出し、外側容器20については第1の通気パイプ35から空気が流入して第4の通気パイプ38から空気が流出する。従って、第1の空気循環用ポンプ65による送気量と第2の流量センサ56により検知される流量との比較によって外側容器20の損壊が検知され、第2の空気循環用ポンプ66による送気量と第1の流量センサ55により検知される流量との比較によって内側容器10の損壊が検知される。
次に、本発明の生物収容器の第7実施形態について説明する。
図12は、本発明の生物収容器の第7実施形態を示す図である。
図12に示されている要素のうち、第1実施形態の要素と同様の要素については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0069】
第7実施形態の生物収容器7も、内側容器10と外側容器20が入れ子になった構造を有する。内側容器10は、例えばポリウレタン製のマット13に載せられて外側容器20中に設置されている。第7実施形態の生物収容器7では、内側容器10の内部には観賞用の生物として例えばカイコSが収容される。このカイコSも遺伝子組み換え生物の一種であり、例えば生物発光を生じさせる遺伝子が組み込まれているものとする。
【0070】
外側容器20の開口部25は、第1実施形態と同様に、例えば塩化ビニル樹脂からなる外側用蓋21によって密閉される。一方、内側容器10の開口部15は、カイコSの生体や卵等と言った繁殖要素のサイズが0.5mm以上であるので、例えば塩化ビニル樹脂の枠に例えば0.4mmのナイロン製網が張られた内側用蓋17によって閉じられる。外側容器20内部の空気は、この内側用蓋17を介して内側容器10の内外に移動する。この内側用蓋17は、本発明にいう拡散防止機構の一例に相当する。
【0071】
第7実施形態の生物収容器7には、外側容器20の壁を貫通し、外側容器20の外部から内部へと空気が通る第1の通気パイプ71と、外側容器20の壁を貫通し、外側容器20の内部から外部へと空気が通る第2の通気パイプ72が備えられている。また、これらの通気パイプ71,72には例えば0.4mmの穴径を持つフィルタ81,82が設けられており、これらのフィルタ81,82(特に第2の通気パイプ72に設けられたフィルタ82)によってカイコSの生体や卵等と言った繁殖要素が遮断される。これらのフィルタ81,82も、本発明にいう拡散防止機構の一例に相当する。つまり、第7実施形態の生物収容器7でも2重の拡散防止が図られている。
【0072】
第7実施形態の生物収容器7では、内側容器10と外側容器20との間に、例えばグリセロール水溶液14が満たされている。このグリセロール水溶液14の屈折率は、アクリルの屈折率よりも低いが水よりも高い。このようなグリセロール水溶液14が内側容器10と外側容器20との間に満たされていることで内側容器10内部の生物(例えばカイコSなど)の視認性が向上する。なお、内側容器10と外側容器20との間を満たす液体としては水が用いられてもよい。
【0073】
第7実施形態の生物収容器7には、内側容器10の内側に、内側容器10による漏水の検出用として漏水センサ91が設置されている。また、第7実施形態の生物収容器7には、外側容器20の外側に、外側容器20による漏水の検出用として漏水センサ92が設置されている。これらの漏水センサ91,92としては、例えばオムロン製の漏液ポイントセンサ(F03−16PS)が採用される。内側の漏水センサ91について必要な配線は例えば内側容器10および外側容器20を貫通して配備されていて、配線と容器との隙間は例えばシリコーンによって充填されている。
【0074】
第7実施形態の生物収容器7に設けられた漏水センサ91,92は、液体の状態を検知するセンサの一種であり、グリセロール水溶液14の漏洩状態(即ち、本来はグリセロール水溶液14が存在しない箇所にグリセロール水溶液14が流出した状態)を検知する。
【0075】
第7実施形態の生物収容器7では、漏水センサ91,92による漏水の検知で内側容器10および外側容器20の損壊が検知される。つまり、これらの漏水センサ91,92は、本発明にいう検知器の一例に相当する。
図13は、第7実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0076】
図13には、漏水センサの検知例を表したグラフが示されている。各グラフの横軸は時間を表し、縦軸はセンサのシグナル状態を表している。また、
図13のグラフには、
図12に示す2つの漏水センサ91,92を代表した一方におけるシグナル変化を示したラインL7が記されている。
【0077】
内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、漏水センサのシグナルはOFFを示している。内側容器10および外側容器20のいずれかが損壊して異常時に移行すると、損壊した方の容器でグリセロール水溶液14の漏水が生じ、2つの漏水センサ91,92のうち損壊した方の容器に対応した方の漏水センサ91,92で、
図13のグラフのラインL7が示すようにシグナルがOFFからONへと変化する。この結果、
図13の矢印が示す時点で容器に損壊が生じたことが検知される。
【0078】
このように、第7実施形態の生物収容器7でも、内側容器10および外側容器20それぞれにおける損壊が検知可能であり、容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器7が回収されることになる。
次に、本発明の生物収容器の第8実施形態について説明する。
図14は、本発明の生物収容器の第8実施形態を示す図である。
図14に示されている要素のうち、第7実施形態の要素と同様の要素については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0079】
第8実施形態の生物収容器8も、内側容器10と外側容器20が入れ子になった構造を有し、内側容器10の内部には観賞用の生物として例えばカイコSが収容される。
【0080】
第8実施形態の生物収容器8では、内側容器10の開口部15が第7実施形態と同様な、例えば塩化ビニル樹脂の枠に例えば0.4mmのナイロン製網が張られた内側用蓋17によって閉じられる。また、第8実施形態の生物収容器8では、外側容器20の開口部25も、例えば塩化ビニル樹脂の枠に例えば0.4mmのナイロン製網が張られた外側用蓋27によって閉じられる。内側容器10および外側容器20の空気は自然換気によって内側用蓋17および外側用蓋27を介して容器外の空気と入れ替わる。
【0081】
なお、例えば観賞用の生物が植物であるような場合には、内側容器10の開口部15および外側容器20の開口部25は密閉されていてもよい。この場合、例えば開口部15,25に密着可能な無穴の蓋などによって開口部15,25が密閉され、このような蓋が、本発明にいう拡散防止機構の一例に相当する。
【0082】
第8実施形態の生物収容器8でも、内側容器10と外側容器20との間に、例えばグリセロール水溶液14が満たされていて、内側容器10内部に対する視認性の向上が図られている。
【0083】
第8実施形態の生物収容器8では、グリセロール水溶液14の液面の高さを検知する液面センサ93が備えられている。この液面センサ93は液体の状態を検知するセンサの一種であって例えば液面計であり、更に具体的には、例えば、外側容器20の壁越しに液面の高さが検知可能な光学式液面計が用いられているものとする。なお、液面計としては、光学式液面計の他にも、静電容量式液面計、フロート式液面計、超音波液面計、圧力式液面計等が採用されてもよい。また、液面の高さを検知するセンサとしては、液面計の他に画像カメラが採用されてもよい。
【0084】
第8実施形態の生物収容器8では、液面センサ93による液面の高さの検知で内側容器10および外側容器20の損壊が検知される。つまり、この液面センサ93は、本発明にいう検知器の一例に相当する。
図15は、第8実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0085】
図15には、
図14に示す液面センサ93の検知例を表したグラフが示されている。グラフの横軸は時間を表し、縦軸は液面センサ93が検知した液面の高さを表している。また、
図15のグラフには、液面センサ93による検知量(高さ)の変化を示したラインL8が記されている。
【0086】
内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、液面センサ93が検知した液面の高さは、予め設定されたグリセロール水溶液14の高さと同じ高さを示している。内側容器10および外側容器20のいずれかが損壊して異常時に移行すると、グリセロール水溶液14の漏水が生じ、液面センサ93による検知量(高さ)が減少し始める。この結果、
図15の矢印が示す時点で容器に損壊が生じたことが検知される。第8実施形態では、内側容器10および外側容器20のうちどちらに損壊が生じた場合であっても検知されるが、内側容器10および外側容器20のどちらで損壊が生じたかの判別はできない。
第8実施形態でも、容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器8が回収されることになる。
次に、本発明の生物収容器の第9実施形態について説明する。
図16は、本発明の生物収容器の第9実施形態を示す図である。
図16に示されている要素のうち、第8実施形態の要素と同様の要素については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0087】
第9実施形態の生物収容器9も、内側容器10と外側容器20が入れ子になった構造を有する。第9実施形態では、内側容器10の内部には観賞用の生物として例えばメダカや金魚等と言った小型の魚Fが収容され、魚Fの生育のため内側容器10の内部には水101が溜められる。この魚Fも遺伝子組み換え生物の一種であり、例えば生物発光を生じさせる遺伝子が組み込まれているものとする。
【0088】
第9実施形態の場合は、魚Fの生体や卵等と言った繁殖要素のサイズが1.2mm以上であるので、内側容器10および外側容器20それぞれの開口部15,25は、例えば塩化ビニル樹脂の枠に例えば1.0mmのナイロン製網が張られた内側用蓋18および外側用蓋28によって閉じられる。これら内側用蓋18および外側用蓋28が、本発明にいう拡散防止機構の一例に相当する。内側容器10および外側容器20内の空気は内側用蓋18および外側用蓋28を介して自然換気によって容器外の空気と入れ替わる。
【0089】
第9実施形態の生物収容器9では、内側容器10と外側容器20との間にも水101が溜められていて、内側容器10内部に対する視認性の向上が図られている。また、内側容器10と外側容器20との間に溜められた水101の高さは、内側容器10の内部に溜められた水101の高さよりも低くなっている。
【0090】
第9実施形態の生物収容器9には、第8実施形態と同様に液面センサ93が備えられていて、この液面センサ93は、内側容器10と外側容器20との間に溜められた水101の液面の高さを検知する。第9実施形態の生物収容器9では、液面センサ93による液面の高さの検知で内側容器10および外側容器20それぞれの損壊が個別に検知される。
図17は、第9実施形態における損壊検知方法の説明図である。
【0091】
図17には、
図16に示す液面センサ93の検知例を表したグラフが示されている。各グラフの横軸は時間を表し、縦軸は液面センサ93が検知した液面の高さを表している。また、
図17の各グラフには、液面センサ93による検知量(高さ)の変化を示したラインL8が記されている。
【0092】
内側容器10および外側容器20が損壊していない平常時には、液面センサ93が検知した液面の高さは、予め設定された水101の高さと同じ高さを示している。
【0093】
図17(A)に示されたように、液面センサ93が検知した液面の高さが上昇した場合には、内側容器10の内部から外部へと水101が漏れている異常時に移行したことになり、
図17(A)の矢印が示す時点で内側容器10に損壊が生じたことが検知される。
【0094】
また、
図17(B)に示されたように、液面センサ93が検知した液面の高さが低下した場合には、外側容器20の内部から外部へと水101が漏れている異常時に移行したことになり、
図17(B)の矢印が示す時点で外側容器20に損壊が生じたことが検知される。
【0095】
このように、第9実施形態では内側容器10および外側容器20それぞれの損壊が個別に検知される。そして、容器の損壊が検知されると、生物の拡散防止が維持されている間に管理者などによって生物収容器9が回収されることになる。
【0096】
次に、本発明の生物収容器の第10実施形態について説明する。この第10実施形態は、漏水センサが増設されている点を除いて第1実施形態とほぼ同様の形態であるので以下の説明では相違点に着目し、重複説明は省略する。
図18は、本発明の生物収容器の第10実施形態を示す図である。
【0097】
第10実施形態の生物収容器110では内側容器10の内部に観賞用の生物として、例えばメダカや金魚などと言った小型の魚Fと、ゼニゴケなどといったコケ類Mが収容される。従って、第10実施形態における繁殖要素は、魚Fの生体や卵とコケ類Mの生体や胞子ということになる。魚Fの生体や卵は1.2mm以上のサイズであるが、コケ類Mの胞子は10μmから15μm程度のサイズであるので、このような繁殖要素の拡散防止のため、ヘパフィルタ41,42,43が用いられている。
【0098】
また、魚Fやコケ類Mの生育のため、内側容器10の内部には、土12が敷かれると共に、水101が溜められている。そして、内側容器10の内部へと空気を供給する第1の通気パイプ31が水101の内部に空気を送り込むことで水中の溶存酸素量の確保が図られている。
【0099】
第10実施形態の生物収容器110には、内側容器10と外側容器20との間に漏水センサ94が設けられている。第10実施形態の生物収容器110には、第1実施形態と同様に第1の流量センサ51と第2の流量センサ52も設置されているので、第1実施形態と同様に内側容器10および外側容器20の損壊が検知されるが、例えばひび割れのような損壊が、水101の液面よりも低い箇所で生じた場合には、流量センサで検知される程の流量変化が生じない虞がある。そこで第10実施形態の生物収容器110では漏水センサ94が併用され、水101の液面よりも低い箇所でひび割れ等が生じた場合には、漏水によって損壊が検知される。従って、第10実施形態の生物収容器110では、より確実に容器の損壊が検知されることになる。
【0100】
次に、本発明の生物収容器の第11実施形態について説明する。この第11実施形態は、液面の高さを検知するために画像カメラが採用されている点と、容器の損壊を通知するシステムを有する点とを除いて第8実施形態とほぼ同様の形態であるので以下の説明では相違点に着目し、重複説明は省略する。
図19は、本発明の生物収容器の第11実施形態を示す図である。
【0101】
第11実施形態の生物収容器120には、水101の液面高さを検知するための画像カメラ95が備えられている。この画像カメラ95は、内側容器10および外側容器20が画角内に納まるように、外側容器20の上部に取り付けられている。そして、この画像カメラ95は一定の時間間隔毎に生物収容器120を撮影して撮影画像を得る。
【0102】
画像カメラ95の撮影によって得られた撮影画像はパーソナルコンピュータ96による画像解析に用いられ、水101の液面高さや、外側容器20外での漏水の有無や、内側容器10および外側容器20におけるひび割れの有無などが解析される。なお、これらの画像解析については、全部が実行されてもよいが、これらの画像解析の一部のみが実行されてもよい。
【0103】
パーソナルコンピュータ96による画像解析の結果として、内側容器10および外側容器20の少なくとも一方について損壊が検出された場合には、パーソナルコンピュータ96から特定の通知先に、生物収容器120の損壊を知らせる通知が送られる。
図20は、第11実施形態における損壊の通知システムを示す図である。
【0104】
パーソナルコンピュータ96は、画像カメラ95によって得られた撮影画像の画像解析で内側容器10および外側容器20の少なくとも一方について損壊が検出された場合には、例えばインターネットや電話網などといったネットワーク130を介して、例えば電子メールなどの形式で、損壊検出を通知する。通知先としては、例えば生物収容器120を展示用に貸し出した提供者の端末131や、例えば生物収容器120を借り受けて展示用に管理している管理者の端末132などが設定されており、このような通知を受けた提供者や管理者は、繁殖要素の拡散防止が保たれている内に速やかに生物収容器120を回収する。このように通知が行われることにより、提供者や管理者は速やかに損壊の発生を認識することができるので、生物収容器120が安全に回収されることになる。
次に、上記説明した外側容器20における蓋の構造例について説明する。
図21は、外側容器20における蓋の第1の構造例を示す図である。
【0105】
第1の構造例では、外側容器20の上部に蓋121がヒンジ122で連結されている。蓋121には開閉用の取っ手123が設けられており、展示に際しては図示されていない留金で蓋121が外側容器20に固定される。このように蓋121が外側容器20の上部に設けられていると、水を溜めた内側容器10に損壊が生じて水が漏れた場合であっても蓋121の位置までは水が届かないので、内部の生物の回収などが容易である。
【0106】
また、蓋121が外側容器20の上部に設けられていると、外側容器20の全周が透明な観賞用の壁124として利用可能となり、観賞用の容器として好ましい。
図22は、外側容器20における蓋の第2の構造例を示す図である。
図22(A)には、外側容器20の裏面側が示され、
図22(B)には、外側容器20の正面側が示されている。
【0107】
第2の構造例では、外側容器20の裏面側に蓋121がヒンジ122で連結されている。蓋121には開閉用の取っ手123が設けられており、展示に際しては図示されていない留金で蓋121が固定される。このように蓋121が外側容器20の裏面側に設けられていると、生物の出し入れや生育環境管理などに際し、容器内部に物を落下させて生物や容器などを痛めてしまう虞が少ない。
外側容器20の正面と側面は透明な観賞用の壁124となっている。
【0108】
最後に、上記説明した内側容器10および外側容器20に替えて用いられる別の容器構成について説明する。なお、以下説明する容器構成は、上記説明した全ての実施形態について適用可能という訳ではないが、1つ以上の実施形態について適用可能な容器構成である。
図23は、第1の容器構成を示す図である。
【0109】
第1の容器構成を有する生物収容器160には、上述した内側容器10に替えて、上述した魚などといった観賞用の生物が収容される水槽部分141と、水槽部分141に溜められた水101を循環させると共に水101から不要物を濾過する濾過器部分142とが配管143で結合され、蓋144等によってそれら水槽部分141および濾過器部分142から外部への繁殖要素の拡散防止が図られた内側結合容器140が備えられている。このように、繁殖要素の拡散防止が図られた内側結合容器140内で水101が循環され濾過されることにより、拡散防止の厳格化が図られている。この内側結合容器140は、本発明にいう第1容器の一例に相当する。
【0110】
また、この生物収容器160には、上述した外側容器20に替えて、水槽部分141を収容した第1部分151と濾過器部分142を収容した第2部分152とに区切られ、それら第1部分151および第2部分152から外部への繁殖要素の拡散防止が施された外側結合容器150が備えられている。そして、第1部分151には、水槽部分141に収容される生物の出し入れおよび生育環境管理のための蓋153が備えられ、第2部分152には、第1部分151の蓋153とは個別に開閉可能な、濾過器部分142のメンテナンス用の蓋154が備えられている。この外側結合容器150が、本発明にいう第2容器の一例に相当する。
【0111】
このような内側結合容器140および外側結合容器150を備えた生物収容器160では、水槽部分141とは独立に濾過器部分142のメンテナンスが可能となり、メンテナンスが容易である。
図24は、第2の容器構成を示す図である。
図24に示す要素の内、
図23に示された要素と同様の要素については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0112】
第2の容器構成を有する生物収容器170にも、水槽部分141と濾過器部分142とが結合されて繁殖要素の拡散防止が図られた内側結合容器140が備えられている。但し、第2の容器構成の生物収容器170では、いわゆるオーバフロー水槽が採用されており、水槽部分141と濾過器部分142は、給水用配管143とフロー回収用配管146とで結合されている。また、濾過器部分142は、濾過材145が組み込まれた濾過槽147と、濾過材145で濾過された水101を水槽部分141へと送り出すポンプ148とを備えている。
【0113】
この第2の容器構成の生物収容器170でも、外側結合容器150の第2部分152に、第1部分151の蓋153とは個別に開閉可能な蓋154が備えられている。濾過器部分142の濾過材145の交換などに際しては、第2部分152の蓋154が空けられて水槽部分141とは独立に作業が行われるので作業が容易である。
【0114】
なお、上記説明では、本発明の生物収容器の実施形態として、生物発光を生じさせる遺伝子が組み込まれた遺伝子組み換え生物が展示用として収容されるのに適した例が示されているが、本発明の生物収容器は、生物発光以外の遺伝子が組み込まれた遺伝子組み換え生物を収容するために用いられてもよいし、遺伝子組み換え生物以外の、例えば環境への拡散により生態系に悪影響を及ぼす外来種などといった生物を収容するために用いられてもよい。従って、本発明の生物収容器は、透明な壁を有さず外部から内部の生物が視認不能なものであってもよい。
【0115】
また、上記説明では、本発明の生物収容器の実施形態として、2重の容器のどちらが損壊した場合であっても検知される例が示されているが、例えば、観賞者が展示容器に触れられるような態様により展示される場合には、観賞者によって外側容器が破損させられる虞があるため、外側容器のみについて損壊が検知される形態であってもよい。また、内側容器に設置物(石や流木など)がレイアウトされている場合には、設置物が崩れることによって内側容器が破損させられる虞があるため、内側容器のみについて損壊が検知される形態であってもよい。
【0116】
また、上記説明では、本発明にいう検知器として、容器の損壊を検知する検知器が例示されているが、本発明にいう検知器は、例えば蓋が衝撃や閉め忘れなどで開いた状態となっていて拡散防止が損なわれていることを検知する例えば開閉センサなどであってもよい。
【0117】
また、上記説明では、本発明の生物収容器の実施形態として、可搬な生物収容器が例示されているが、本発明の生物収容器は、土地や建物などに固定されていて移動不能なものであってもよい。このように固定されている場合は、本発明にいう第2容器の底部は、生物収容器が固定されている土地や建物などの一部である例えばコンクリートなどで形成されていてもよい。