(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3動作周波数の動作帯域と、前記第1動作周波数または前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いにオーバーラップしていることを特徴とする請求項2に記載の高周波モジュール。
前記第3動作周波数の動作帯域と、前記第1動作周波数または前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに隣接していることを特徴とする請求項2に記載の高周波モジュール。
前記第3動作周波数の動作帯域と、前記第1動作周波数および前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに離れていることを特徴とする請求項2に記載の高周波モジュール。
前記複数の第1偏波共用アンテナと前記複数の第2偏波共用アンテナとは、直線状に一列に並び、互いに交互に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波モジュール。
任意の1つの前記第1偏波共用アンテナは、その周囲が4つの前記第2偏波共用アンテナに取囲まれて、これら4つの前記第2偏波共用アンテナの中央の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波モジュール。
前記第1動作周波数の動作帯域と前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いにオーバーラップしていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の高周波モジュール。
前記第1動作周波数の動作帯域と前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに隣接していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の高周波モジュール。
前記第1動作周波数の動作帯域と前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに離れていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の高周波モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による高周波モジュールとして例えばミリ波用の通信装置に適用した場合を例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態では、互いに直交した3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)のうちX方向に平行な偏波を水平偏波とし、Y方向に平行な偏波を垂直偏波とする。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る高周波モジュール1が適用される通信装置101の一例を示すブロック図である。通信装置101は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット等のような携帯端末、または通信機能を備えたパーソナルコンピュータ等である。
【0015】
通信装置101は、高周波モジュール1と、ベースバンド信号処理回路を構成するベースバンドIC41(以下、BBIC41という)とを備えている。高周波モジュール1は、アレーアンテナ13と、給電回路の一例であるRFIC21と、を備えている。通信装置101は、BBIC41から高周波モジュール1へ伝達された信号を高周波信号にアップコンバートしてアレーアンテナ13
から放射すると共に、アレーアンテナ13で受信した高周波信号をダウン
コンバートしてBBIC41にて信号を処理する。
【0016】
なお、
図1では、説明を容易にするために、アレーアンテナ13を構成する複数の第1パッチアンテナ11および複数の第2パッチアンテナ12のうち、1つの第1パッチアンテナ11の第1給電点P11および第2給電点P12と、1つの第2パッチアンテナ12の第1給電点P21および第2給電点P22とに対応する構成のみ示され、他の第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12に対応する構成については省略されている。
【0017】
RFIC21(高周波集積回路)は、スイッチ22A〜22D,24A〜24D,28と、パワーアンプ23AT〜23DTと、ローノイズアンプ23AR〜23DRと、減衰器25A〜25D、可変移相器26A〜26Dと、信号合成/分波器27と、ミキサ29と、増幅回路30とを備えている。RFIC21は、BBIC41に接続されている。
【0018】
RFIC21は、複数のRF入出力端子31A〜31Dを有している。スイッチ22A〜22Dは、RF入出力端子31A〜31Dを介して、第1パッチアンテナ11の第1給電点P11および第2給電点P12と、第2パッチアンテナ12の第1給電点P21および第2給電点P22とに接続されている。
【0019】
高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22を送信する場合には、スイッチ22A〜22D,24A〜24Dがパワーアンプ23AT〜23DT側へ切り替えられると共に、スイッチ28が増幅回路30の送信側アンプに接続される。高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22を受信する場合には、スイッチ22A〜22D,24A〜24Dがローノイズアンプ23AR〜23DR側へ切り替えられると共に、スイッチ28が増幅回路30の受信側アンプに接続される。
【0020】
BBIC41から伝達された信号は、増幅回路30で増幅され、ミキサ29でアップコンバートされる。アップコンバートされた高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22である送信信号は、信号合成/分波器27で4分波され、4つの信号経路を通過して、第1パッチアンテナ11の第1給電点P11および第2給電点P12と、第2パッチアンテナ12の第1給電点P21および第2給電点P22とに給電される。このとき、各信号経路に配置された可変移相器26A〜26Dが高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22の位相を個別に調整することにより、アレーアンテナ13の指向性を調整することができる。
【0021】
第1パッチアンテナ11、第2パッチアンテナ12で受信された高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22である受信信号は、それぞれ、異なる4つの信号経路を経由し、信号合成/分波器27で合波される。合波された受信信号はミキサ29でダウンコンバートされ、増幅回路30で増幅されてBBIC41へ伝達される。
【0022】
RFIC21は、例えば、上記回路構成を含む1チップの集積回路部品として形成される。あるいは、RFIC21における各給電点P11,P12,P21,P22に対応する機器(スイッチ、パワーアンプ、ローノイズアンプ、減衰器、可変移相器)については、対応する給電点P11,P12,P21,P22毎に1チップの集積回路部品として形成されていてもよい。
【0023】
なお、高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22の入力または出力のONとOFFを切り替える切替部は、スイッチ22A〜22D,24A〜24D,28に限られない。切替部は、例えば、パワーアンプ23AT〜23DTまたはローノイズアンプ23AR〜23DRでもよい。即ち、パワーアンプ23AT〜23DTまたはローノイズアンプ23AR〜23DRのゲインを調整することによって、高周波信号RF11,RF12,RF21,RF22の入力または出力のONとOFFを切り替えてもよい。パワーアンプ23AT〜23DTおよびローノイズアンプ23AR〜23DRは、その駆動と停止を切り替えてもよい。また、切替部は、送信と受信とを切り替えるスイッチ22A〜22D,24A〜24D,28とは別個に設けられ、経路毎にONとOFFを切り替えることが可能なスイッチでもよい。さらに、可変移相器26A〜26Dは、デジタル移相器、アナログ移相器のいずれでもよい。
【0024】
次に、第1の実施の形態による高周波モジュール1について、説明する。
図2ないし
図7は本発明の第1の実施の形態による高周波モジュール1を示している。この高周波モジュール1は、後述する多層誘電体基板2、アレーアンテナ13、RFIC21等を備えている。
【0025】
図5ないし
図7に示すように、多層誘電体基板2は、互いに直交するX方向(長さ方向)、Y方向(幅方向)およびZ方向(厚さ方向)のうち例えばX方向およびY方向に対して平行に広がる平板状に形成されている。
【0026】
また、多層誘電体基板2は、絶縁性を有する材料として、例えばセラミックス材料や樹脂材料によって形成されている。多層誘電体基板2は、上面2A側(表面側)から下面2B側(裏面側)に向けてZ方向に積層した2層の絶縁層3,4を有している。各絶縁層3,4は、薄い層状に形成されている。
【0027】
接地層5は、絶縁層3と絶縁層4との間に設けられ、多層誘電体基板2を略全面に亘って覆っている(
図5、
図7参照)。接地層5は、例えば銅、銀等の導電性金属材料を用いて形成され、グランドに接続されている。具体的には、接地層5は、金属薄膜によって形成されている。
【0028】
給電線路6は、例えばマイクロストリップ線路によって構成されている(
図5、
図6参照)。給電線路6は、接地層5からみてパッチアンテナ11,12と反対側に設けられ、パッチアンテナ11,12に対する給電を行う。具体的には、給電線路6は、接地層5と、接地層5からみてパッチアンテナ11,12と反対側に設けられたストリップ導体7とによって構成されている。このストリップ導体7は、例えば接地層5と同様の導電性金属材料からなり、細長い帯状に形成されると共に、多層誘電体基板2の下面2B(絶縁層4の下面)に設けられている。
【0029】
また、一部のストリップ導体7の端部は、接地層5に形成された接続用開口5Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア8を介して第1パッチアンテナ11のX方向またはY方向の途中位置に接続されている(
図6参照)。これにより、給電線路6は、高周波信号RF1,RF2を伝送すると共に、第1パッチアンテナ11のX方向またはY方向に電流I11,I12が流れるように、第1パッチアンテナ11に給電する(
図4参照)。
【0030】
また、残余のストリップ導体7の端部は、接地層5に形成された接続用開口5Aの中心部分に配置され、接続線路としてのビア8を介して第2パッチアンテナ12のY方向またはX方向の途中位置に接続されている(
図6参照)。これにより、給電線路6は、高周波信号RF1,RF2を伝送すると共に、第2パッチアンテナ12のY方向またはX方向に電流I21,I22が流れるように、第2パッチアンテナ12に給電する(
図4参照)。
【0031】
図5ないし
図7に示すように、ビア8は、多層誘電体基板2(絶縁層3,4)を貫通した内径が数十〜数百μm程度の貫通孔に例えば銅、銀等の導電性金属材料を設けることによって柱状の導体として形成されている。また、ビア8は、Z方向に延びている。ビア8の一端は、第1パッチアンテナ11または第2パッチアンテナ12に接続されている。ビア8の他端は、ストリップ導体7に接続されている。
【0032】
これにより、ビア8は、パッチアンテナ11,12と給電線路6との間を接続する接続線路を構成している。ビア8は、第1パッチアンテナ11のうちX方向の中心位置と端部位置との間であって、Y方向の略中心位置で第1給電点P11に接続されている。また、ビア8は、Y方向の中心位置と端部位置との間であって、X方向の略中心位置で第2給電点P12に接続されている(
図5参照)。
【0033】
一方、ビア8は、第2パッチアンテナ12のうちY方向の中心位置と端部位置との間であって、
X方向の略中心位置で第1給電点P21に接続されている。また、ビア8は、X方向の中心位置と端部位置との間であって、
Y方向の略中心位置で第2給電点P22に接続されている(
図5参照)。
【0034】
第1パッチアンテナ11は、略四角形状の導体薄膜パターンによって形成されている。第1パッチアンテナ11は、例えば接地層5と同様の導電性金属材料を用いて形成されている。
【0035】
第1パッチアンテナ11は、接地層5と間隔をもって対向している(
図7参照)。具体的には、第1パッチアンテナ11は、絶縁層3の上面(多層誘電体基板2の上面2A)に配置されている。即ち、第1パッチアンテナ11は、接地層5の上面に絶縁層3を介して積層されている。このため、第1パッチアンテナ11は、接地層5と絶縁された状態で、接地層5と対面している。
【0036】
図4に示すように、第1パッチアンテナ11は、X方向に例えば数百μmから数mm程度の長さ寸法L11を有すると共に、Y方向に例えば数百μmから数mm程度の長さ寸法L12を有している。第1パッチアンテナ11のX方向の長さ寸法L11は、電気長で例えば第1高周波信号RF1の半波長となる値に設定されている。一方、第1パッチアンテナ11のY方向の長さ寸法L12は、電気長で例えば第2高周波信号RF2の半波長となる値に設定されている。
【0037】
このとき、第2高周波信号RF2の第2動作周波数は、第1高周波信号RF1の第1動作周波数よりも高い周波数になっている。即ち、第2動作周波数の中心周波数F2は、第1動作周波数の中心周波数F1よりも高くなっている(F2>F1)。このため、第1パッチアンテナ11は、X方向の長さ寸法L11に比べて、Y方向の長さ寸法L12が短い長方形状に形成されている。
【0038】
これにより、第1パッチアンテナ11は、予め決められた所定の動作帯域B1をもった第1動作周波数でX方向の偏波を放射する。これに加えて、第1パッチアンテナ11は、予め決められた所定の動作帯域B2をもった第2動作周波数でY方向の偏波を放射する。
【0039】
図8に示すように、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いにオーバーラップしている。具体的には、第1動作周波数の動作帯域B1は、例えば60GHz帯を7チャネルCh1〜Ch7に区分して通信するときに、7チャネルCh1〜Ch7のうち低周波側の4チャネルCh1〜Ch4に対応している。これに対し、第2動作周波数の動作帯域B2は、7チャネルCh1〜Ch7のうち高周波側の4チャネルCh4〜Ch7に対応している。
【0040】
即ち、第1動作周波数の動作帯域B1は、例えばIEEE802.11adの規格を満たす帯域に対応している。このため、第1動作周波数の動作帯域B1は、中心周波数が58.32GHz、60.48GHz、62.64GHz、64.8GHzの4つのチャネルCh1〜Ch4(無線チャネル)をカバーしている。このとき、各チャネルCh1〜Ch4の帯域は、いずれも2.16GHzとなっている。一方、IEEE802.11a
yの規格は、IEEE802.11a
dの規格で高周波側に帯域(3チャネル分)が拡張される。即ち、IEEE802.11ayの規格では、7つのチャネルCh1〜Ch7を有し、このうちの低周波側の4つのチャネルCh1〜Ch4がIEEE802.11adの規格に対応している。そこで、第2動作周波数の動作帯域B2は、例えばIEEE802.11ayの規格に基づく7チャネルのうち、高周波側の4つのチャネルCh4〜Ch7をカバーしている。従って、第1動作周波数の動作帯域B1と、第2動作周波数の動作帯域B2は、中心周波数が64.8GHzのチャネルCh4で互いにオーバーラップしている。このとき、以下の数1の式に示すように、第1動作周波数の動作帯域B1で最も高い周波数は、
第2動作周波数の動作帯域
B2で最も低い周波数よりも高くなっている。
【0042】
図4に示すように、第1パッチアンテナ11は、中心から位置がずれたX方向の途中位置にビア8が接続される第1給電点P11を有している。このため、第1パッチアンテナ11の第1給電点P11には、ビア8を介して給電線路6が接続されている。即ち、ストリップ導体7の端部は、接続線路としてのビア8を介して第1パッチアンテナ11に接続されている。そして、第1パッチアンテナ11には、給電線路6から第1給電点P11への給電によって、X方向に向けて電流I11が流れる。
【0043】
一方、第1パッチアンテナ11は、中心から位置がずれたY方向の途中位置にビア8が接続される第2給電点P12を有している。このため、第1パッチアンテナ11の第2給電点P12には、ビア8を介して給電線路6が接続されている。即ち、ストリップ導体7の端部は、接続線路としてのビア8を介して第1パッチアンテナ11に接続されている。そして、第1パッチアンテナ11には、給電線路6から第2給電点P12への給電によって、Y方向に向けて電流I12が流れる。
【0044】
これにより、第1パッチアンテナ11は、互いに直交する2つの偏波として、X方向の偏波(水平偏波)とY方向の偏波(垂直偏波)とが放射可能となっている。第1パッチアンテナ11は、2つの偏波(水平偏波と垂直偏波)が放射可能な第1偏波共用アンテナを構成している。
【0045】
なお、第1給電点P11は、第1パッチアンテナ11の中心からX方向の一方側に位置がずれてもよく、X方向の他方側に位置がずれてもよい。同様に、第2給電点P12は、第1パッチアンテナ11の中心からY方向の一方側に位置がずれてもよく、Y方向の他方側に位置がずれてもよい。
【0046】
第2パッチアンテナ12は、第1パッチアンテナ11とほぼ同様に形成されている。このため、第2パッチアンテナ12は、略四角形状の導体薄膜パターンによって形成されている。第2パッチアンテナ12は、接地層5と間隔をもって対向している。具体的には、第2パッチアンテナ12は、第1パッチアンテナ11と同様に、絶縁層3の上面(多層誘電体基板2の上面2A)に配置されている。
【0047】
図4に示すように、第2パッチアンテナ12は、第1パッチアンテナ11と同じXY平面上(上面2A上)で、第1パッチアンテナ11を90度回転させた形状となっている。このため、第2パッチアンテナ12は、
Y方向に例えば数百μmから数mm程度の長さ寸法L21を有すると共に、
X方向に例えば数百μmから数mm程度の長さ寸法L22を有している。
【0048】
第2パッチアンテナ12のY方向の長さ寸法L21は、電気長で例えば第1高周波信号RF1(中心周波数F1)の半波長となる値に設定されている。一方、第2パッチアンテナ12のX方向の長さ寸法L22は、電気長で例えば第2高周波信号RF2(中心周波数F2)の半波長となる値に設定されている。
【0049】
このとき、第2高周波信号RF2は、第1高周波信号RF1よりも高い周波数の信号になっている。従って、第2パッチアンテナ12は、Y方向の長さ寸法L21に比べて、X方向の長さ寸法L22が短い長方形状に形成されている。
【0050】
これにより、第2パッチアンテナ12は、動作帯域B1をもった第1動作周波数でY方向の偏波を放射する。これに加えて、第2パッチアンテナ12は、動作帯域B2をもった第2動作周波数でX方向の偏波を放射する。
【0051】
さらに、第2パッチアンテナ12には、中心から位置がずれたY方向の途中位置にビア8が接続され
る第1給電点P21を有している。このため、第2パッチアンテナ12の第1給電点P21には、ビア8を介して給電線路6が接続されている。第2パッチアンテナ12には、給電線路6から第1給電点P21への給電によって、Y方向に向けて電流I21が流れる。
【0052】
一方、第2パッチアンテナ12には、中心から位置がずれたX方向の途中位置にビア8が接続される第2給電点P22を有している。このため、第2パッチアンテナ12の第2給電点P22には、ビア8を介して給電線路6が接続されている。第2パッチアンテナ12には、給電線路6から第2給電点P22への給電によって、X方向に向けて電流I22が流れる。
【0053】
これにより、第2パッチアンテナ12は、互いに直交する2つの偏波として、Y方向の偏波(垂直偏波)とX方向の偏波(水平偏波)とが放射可能となっている。第2パッチアンテナ12は、2つの偏波(垂直偏波と水平偏波)が放射可能な第2偏波共用アンテナを構成している。
【0054】
なお、第1給電点P21は、第2パッチアンテナ12の中心からY方向の一方側に位置がずれてもよく、Y方向の他方側に位置がずれてもよい。同様に、第2給電点P22は、第2パッチアンテナ12の中心からX方向の一方側に位置がずれてもよく、X方向の他方側に位置がずれてもよい。
【0055】
図2および
図3に示すように、9個の第1パッチアンテナ11と、4個の第2パッチアンテナ12とは、アレーアンテナ13を構成している。このとき、9個の第1パッチアンテナ11は、多層誘電体基板2の上面2Aに、例えば3行3列のマトリクス状(行列状)に配置されている。一方、4個の第2パッチアンテナ12は、多層誘電体基板2の上面2Aに、例えば2行2列のマトリクス状(行列状)に配置されている。
【0056】
第1パッチアンテナ11は、多層誘電体基板2の上面2A(
図7参照)、即ち、絶縁層3の表面に、例えば9個配置形成される(
図2参照)。9個の第1パッチアンテナ11は、X方向に等間隔に配置され、Y方向に3行に並んでいる。このとき、第1パッチアンテナ11は、X方向およびY方向に対して隣合う2つの第1パッチアンテナ11が第2動作周波数に対する自由空間波長λ0以下の間隔S1x,S1yをもってマトリクス状に配置されている。このとき、自由空間波長λ0は、第2動作周波数の動作帯域B2で最も高い周波数(例えば72.36GHz)に対応している。
【0057】
間隔S1xは、例えば隣合う2個の第1パッチアンテナ11について、これらの中心間のX方向の距離寸法またはこれと同等の寸法である。間隔S1yは、隣合う2個の第1パッチアンテナ11について、これらの中心間のY方向の距離寸法またはこれと同等の寸法である。X方向の間隔S1xとY方向の間隔S1yは、同じ値でもよく、異なる値でもよい。間隔S1xは、第1パッチアンテナ11のX方向の長さ寸法L11と、第2パッチアンテナ12のX方向の長さ寸法L22との加算値(L11+L22)よりも大きな値に設定されている。このため、間隔S1xは、数2の式の関係を満たす値に設定されている。
【0059】
同様に、間隔S1yは、第1パッチアンテナ11のY方向の長さ寸法L12と、第2パッチアンテナ12のY方向の長さ寸法L21との加算値(L12+L21)よりも大きな値に設定されている。このため、間隔S1yは、数3の式の関係を満たす値に設定されている。
【0061】
また、第2パッチアンテナ12は、多層誘電体基板2の上面2A(
図7参照)、即ち、絶縁層3の表面に、例えば4個配置形成される(
図2参照)。4個の第2パッチアンテナ12は、X方向に等間隔に配置され、Y方向に2行に並んでいる。このとき、第2パッチアンテナ12は、X方向およびY方向に対して隣合う2つの第2パッチアンテナ12が第2動作周波数に対する自由空間波長λ0以下の間隔S2x,S2yをもってマトリクス状に配置されている。このとき、X方向の間隔S2xとY方向の間隔S2yは、同じ値でもよく、異なる値でもよい。間隔S2xは、例えば隣合う2個の第2パッチアンテナ12について、これらの中心間のX方向の距離寸法またはこれと同等の寸法である。間隔S2yは、隣合う2個の第2パッチアンテナ12について、これらの中心間のY方向の距離寸法またはこれと同等の寸法である。
【0062】
なお、間隔S2xと間隔S1xとは同じ値に設定されている。同様に、間隔S2yと間隔S1yとは同じ値に設定されている。このため、パッチアンテナ11,12は、X方向に等間隔に配置されると共に、Y方向に等間隔に配置されている。
【0063】
第1パッチアンテナ11の3列と、第2パッチアンテナ12の2列は、X方向に対して交互の配置されている。また、第1パッチアンテナ11の3行と、第2パッチアンテナ12の2行は、Y方向に対して交互の配置されている。
【0064】
この結果、9個の第1パッチアンテナ11と4個の第2パッチアンテナ12は、多層誘電体基板2の上面2Aに、千鳥状(互い違いとなる位置)に配置されている。このとき、任意の1つの第1パッチアンテナ11(例えば
図2中の中央に配置された第1パッチアンテナ11)は、その周囲が4つの第2パッチアンテナ12に取囲まれて、これら4つの第2パッチアンテナ12の中央の位置に配置されている。同様に、任意の1つの第2パッチアンテナ12は、その周囲が4つの第1パッチアンテナ11に取囲まれて、これら4つの第1パッチアンテナ11の中央の位置に配置されている。このとき、任意の第1パッチアンテナ11と最も近接する他の第1パッチアンテナ11との距離をD1とし、任意の第1パッチアンテナ11と最も近接する第2パッチアンテナ12との距離をD2としたときに、D1>D2となっている(
図3参照)。距離D1は、2つの第1パッチアンテナ11の中心間の間隔寸法である。距離D2は、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12の中心間の間隔寸法である。
【0065】
RFIC21は、多層誘電体基板2に接続された複数のRF入出力端子31A〜31Dを有している。
図2および
図4に示すように、RFIC21は、少なくともRF信号(高周波信号RF1,RF2)の入力または出力のONとOFFを切り替える切替部としてのスイッチ22A〜22D,24A〜24D,28と、可変移相器26A〜26Dとを、複数のRF入出力端子31A〜31D毎に有している(
図1参照)。
【0066】
このとき、スイッチ22A〜22D,24A〜24D,28は、信号の送信と受信を行うパッチアンテナ11,12および給電点P11,P12,P21,P22を選択する機能(アンテナ毎にスイッチングを行う機能)を有する。スイッチ22A〜22D,24A〜24D,28によって選択されたパッチアンテナおよび給電点のみに高周波信号が供給される。スイッチ22A〜22D,24A〜24D,28によって選択されたパッチアンテナおよび給電点のみから、高周波信号が供給される。
【0067】
RFIC21から第1パッチアンテナ11の第1給電点P11および第2給電点P12に、高周波信号RF1,RF2が供給される。これにより、第1パッチアンテナ11は、水平偏波の高周波信号RF1を放射すると共に、垂直偏波の高周波信号RF2を放射する(
図4参照)。
【0068】
第1パッチアンテナ11で受信した高周波信号RF1,RF2の電波は、RFIC21に供給される。可変移相器26A,26Bは、第1給電点P11および第2給電点P12毎に、高周波信号RF1,RF2の位相を独立に制御することができる。
【0069】
同様に、RFIC21から第2パッチアンテナ12の第1給電点P21および第2給電点P22に、高周波信号RF1,RF2が供給される。これにより、第2パッチアンテナ12は、垂直偏波の高周波信号RF1を放射すると共に、水平偏波の高周波信号RF2を放射する(
図4参照)。
【0070】
第2パッチアンテナ12で受信した高周波信号RF1,RF2の電波は、RFIC21に供給される。可変移相器26C,26Dは、第1給電点P21および第2給電点P22毎に、高周波信号RF1,RF2の位相を独立に制御することができる。
【0071】
RFIC21は、例えば多層誘電体基板2の下面2B(
図7参照)に取り付けられる。RFIC21のRF入出力端子31A〜31Dは、給電線路6に電気的に接続されている(
図4参照)。これにより、RFIC21は、給電線路6、ビア8を介して、第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12に電気的に接続されている。なお、RFIC21は、多層誘電体基板2の上面2Aに取り付けてもよい。また、RF入出力端子31A〜31Dが給電線路6に電気的に接続されていれば、RFIC21は、多層誘電体基板2とは別個の部材に取り付けられていてもよい。
【0072】
本実施の形態による高周波モジュール1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0073】
第1パッチアンテナ11の第1給電点P11に給電を行うと、第1パッチアンテナ11には、X方向に向けて電流I11が流れる。これにより、第1パッチアンテナ11は、水平偏波の高周波信号RF1を、多層誘電体基板2の上面2Aから上方に向けて放射すると共に、第1パッチアンテナ11は、高周波信号RF1の電波を受信する。
【0074】
このとき、第2パッチアンテナ12の第1給電点P21に給電を行うと、第2パッチアンテナ12には、Y方向に向けて電流I21が流れる。これにより、第2パッチアンテナ12は、垂直偏波の高周波信号RF1を、多層誘電体基板2の上面2Aから上方に向けて放射すると共に、第2パッチアンテナ12は、高周波信号RF1の電波を受信する。このため、全てのパッチアンテナ11,12を用いることによって、水平偏波および垂直偏波の2つの偏波で高周波信号RF1を送信または受信することができる。
【0075】
同様に、第1パッチアンテナ11の第2給電点P12に給電を行うと、第1パッチアンテナ11には、Y方向に向けて電流I12が流れる。これにより、第1パッチアンテナ11は、垂直偏波の高周波信号RF2を、多層誘電体基板2の上面2Aから上方に向けて放射すると共に、第1パッチアンテナ11は、高周波信号RF2の電波を受信する。
【0076】
このとき、第2パッチアンテナ12の第2給電点P22に給電を行うと、第2パッチアンテナ12には、X方向に向けて電流I22が流れる。これにより、第2パッチアンテナ12は、水平偏波の高周波信号RF2を、多層誘電体基板2の上面2Aから上方に向けて放射すると共に、第2パッチアンテナ12は、高周波信号RF2の電波を受信する。このため、全てのパッチアンテナ11,12を用いることによって、水平偏波および垂直偏波の2つの偏波で高周波信号RF2を送信または受信することができる。
【0077】
これに加えて、高周波モジュール1は、複数の第1パッチアンテナ11に供給する高周波信号RF1の位相を適宜調整することにより、水平偏波の放射ビームの方向をX方向とY方向に走査することができる。また、高周波モジュール1は、複数の第2パッチアンテナ12に供給する高周波信号RF1の位相を適宜調整することにより、垂直偏波の放射ビームの方向をX方向とY方向に走査することができる。
【0078】
同様に、高周波モジュール1は、複数の第1パッチアンテナ11に供給する高周波信号RF2の位相を適宜調整することにより、垂直偏波の放射ビームの方向をX方向とY方向に走査することができる。また、高周波モジュール1は、複数の第2パッチアンテナ12に供給する高周波信号RF2の位相を適宜調整することにより、水平偏波の放射ビームの方向をX方向とY方向に走査することができる。
【0079】
さらに、1つの第1パッチアンテナ11は、その周囲がマトリクス状に配置された4つの第2パッチアンテナ12に取囲まれて、これら4つの第2パッチアンテナ12の中央の位置に配置されている。このとき、第1パッチアンテナ11が第1高周波信号RF1の電波を放射するときには、第1パッチアンテナ11の波源は、第1パッチアンテナ11のY方向の両端に位置するエッジ部分(
図4中のa1部)に発生する。一方、第2パッチアンテナ12が第1高周波信号RF1の電波を放射するときには、第2パッチアンテナ12の波源は、第2パッチアンテナ12のX方向の両端に位置するエッジ部分(
図4中のa2部)に発生する。
【0080】
同様に、第1パッチアンテナ11が第2高周波信号RF2の電波を放射するときには、第1パッチアンテナ11の波源は、第1パッチアンテナ11のX方向の両端に位置するエッジ部分(
図4中のb1部)に発生する。一方、第2パッチアンテナ12が第2高周波信号RF2の電波を放射するときには、第2パッチアンテナ12の波源は、第2パッチアンテナ12のY方向の両端に位置するエッジ部分(
図4中のb2部)に発生する。
【0081】
ここで、第1高周波信号RF1について、第1パッチアンテナ11の波源と、第2パッチアンテナ12の波源とは、互いに直交して配置されている。このため、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12との間では、第1高周波信号RF1の結合が抑制されている。同様に、第2高周波信号RF2について、第1パッチアンテナ11の波源と、第2パッチアンテナ12の波源とは、互いに直交して配置されている。このため、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12との間では、第2高周波信号RF2の結合が抑制されている。
【0082】
これに加えて、第1パッチアンテナ11は、その周囲が4つの第2パッチアンテナ12に取囲まれて、これら4つの第2パッチアンテナ12の中央の位置に配置されている。このため、第1パッチアンテナ11から第2パッチアンテナ12への干渉は、周囲に位置する4つの第2パッチアンテナ12に対してそれぞれ同等に発生する。このため、RFIC21側で位相器の制御により、第1パッチアンテナ11から第2パッチアンテナ12への干渉を位相的に打ち消すことが可能である。この結果、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12との間で、良好なアイソレーションを実現することができる。
【0083】
かくして、本実施の形態では、第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12は、いずれも第1動作周波数(第1高周波信号RF1)および第2動作周波数(第2高周波信号RF2)の2つの周波数の電波を放射することができる。このため、1つの周波数だけの電波を放射する場合に比べて、周波数帯域(動作帯域)を広げることができる。
【0084】
また、第1パッチアンテナ11は、第1動作周波数でX方向の偏波(水平偏波)を放射し、第2パッチアンテナ12は、第1動作周波数でY方向の偏波(垂直偏波)を放射する。このため、第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12を用いることによって、第1動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。
【0085】
これに加えて、第1パッチアンテナ11は、第2動作周波数でY方向の偏波(垂直偏波)を放射し、第2パッチアンテナ12は、第2動作周波数でX方向の偏波(水平偏波)を放射する。このため、第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12を用いることによって、第2動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。この結果、第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12は、2つの周波数で2方向の偏波の電波が放射することができる。
【0086】
また、1つの第1パッチアンテナ11は、その周囲がマトリクス状に配置された4つの第2パッチアンテナ12に取囲まれて、これら4つの第2パッチアンテナ12の中央の位置に配置されている。このため、第1パッチアンテナ11は、周囲に位置する4つの第2パッチアンテナ12に対して、X方向およびY方向に位置がずれて配置される。これにより、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12との間で、相互の結合を抑制することができ、アイソレーションを高めることができる。
【0087】
複数の第1パッチアンテナ11および複数の第2パッチアンテナ12は、複数のRF入出力端子31A〜31D毎に可変移相器26A〜26Dを有するRFIC21に接続されている。このため、複数の第1パッチアンテナ11および複数の第2パッチアンテナ12は、フェーズドアレーとしての動作することができる。
【0088】
なお、第1の実施の形態では、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いに1チャネル分だけオーバーラップするものとした。オーバーラップは、第1動作周波数の動作帯域B1の4チャネルのうち1チャネル分に限らず、2チャネル分でもよく、3チャネル分でもよい。また、動作帯域B1,B2は、4チャネル分に限らず、5チャネル分でもよく、6チャネル分でもよい。
【0089】
第1の実施の形態では、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いにオーバーラップするものとした。本発明はこれに限らず、
図9に示す第1の変形例のように、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いに隣接していてもよい。
図9中の第1動作周波数の動作帯域B1は、例えば60GHz帯の7チャネルCh1〜Ch7のうち低周波側の4チャネルCh1〜Ch4に対応している。これに対し、第2動作周波数の動作帯域B2は、7チャネルCh1〜Ch7のうち高周波側の3チャネルCh5〜Ch7に対応している。このとき、第2動作周波数の中心周波数F2は、チャネルCh6の中心周波数と一致している。第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とが周波数軸上で互いに隣接した場合には、単一の動作周波数を用いた場合に比べて、最大で2倍の動作帯域を確保することができる。
【0090】
また、
図10に示す第2の変形例のように、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いに離れていてもよい。この場合、各動作帯域B1,B2間でのアイソレーションを確保することができる。
【0091】
次に、
図11および
図12は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、複数の第1パッチアンテナがX方向に直線状に並んで配置されると共に、複数の第2パッチアンテナがX方向に直線状に並んで配置され、第1パッチアンテナと第2パッチアンテナとがY方向に一定間隔をもって離間していることにある。第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0092】
図11は本発明の第2の実施の形態による高周波モジュール51を示している。この高周波モジュール51は、後述する多層誘電体基板2、アレーアンテナ52、RFIC21等を備えている。
【0093】
第1パッチアンテナ11は、X方向に対して隣合う2つの第1パッチアンテナ11が第2動作周波数に対する自由空間波長λ0以下の間隔S1xをもって直線状に並んで配置されている。具体的には、第1パッチアンテナ11は、X方向に直線状に3個並んで配置されている。
【0094】
一方、第2パッチアンテナ12は、X方向に対して隣合う2つの第2パッチアンテナ12が第2動作周波数に対する自由空間波長λ0以下の間隔S2xをもって直線状に並んで配置されている。具体的には、第2パッチアンテナ12は、X方向に直線状に2個並んで配置されている。なお、間隔S2xと間隔S1xとは、同じ値に設定されている。このため、パッチアンテナ11,12は、X方向に等間隔に配置されている。また、X方向で2個の第1パッチアンテナ11に挟まれた第2パッチアンテナ12は、2個の第1パッチアンテナ11の間の中央位置に配置されている。同様に、X方向で2個の第2パッチアンテナ12に挟まれた第1パッチアンテナ11は、2個の第2パッチアンテナ12の間の中央位置に配置されている。
【0095】
これに加えて、第2パッチアンテナ12は、直線状に並んだ複数の第1パッチアンテナ11に対してY方向に一定間隔S12をもって離間している。一定間隔S12は、第1パッチアンテナ11の中心と第2パッチアンテナ12の中心との間のY方向の距離寸法またはこれと同等の寸法である。一定間隔S12は、例えば第2動作周波数に対する自由空間波長λ0以下の値であって、第1パッチアンテナ11のY方向の長さ寸法L12よりも大きな値に設定されている。第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12とは、X方向に交互に配置されている。任意の第1パッチアンテナ11と最も近接する他の第1パッチアンテナ11との距離をD1とし、任意の第1パッチアンテナ11と最も近接する第2パッチアンテナ12との距離をD2としたときに、D1>D2となっている(
図12参照)。
【0096】
図11および
図12に示すように、3個の第1パッチアンテナ11と、2個の第2パッチアンテナ12とは、アレーアンテナ52を構成している。
【0097】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、複数の第1パッチアンテナ11は、X方向に直線状に並んで配置されている。さらに、複数の第2パッチアンテナ12は、複数の第1パッチアンテナ11に対してX方向と直交したY方向に一定間隔をもって離間し、X方向に直線状に並んで配置されている。これに加え、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12とは、X方向に交互に配置されている。
【0098】
即ち、複数の第1パッチアンテナ11は、直線状に一列に並んで配置され、複数の第2パッチアンテナ12は、複数の第1パッチアンテナ11とは異なる列を形成し、複数の第1パッチアンテナ11と並行な状態で直線状に一列に並んで配置され、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12とは、直線状に並んだX方向に対して交互に配置されている。
【0099】
このため、第1パッチアンテナ11は、第2パッチアンテナ12に対して、X方向およびY方向に位置がずれて配置される。これにより、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12との間で、相互の結合を抑制することができ、アイソレーションを高めることができる。
【0100】
なお、第2の実施の形態では、第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12とは、いずれもX方向に直線状に並んで配置されるものとした。本発明はこれに限らず、例えば第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12とは、いずれもY方向に直線状に並んで配置されてもよい。
【0101】
次に、
図13および
図14は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、複数の第1パッチアンテナおよび複数の第2パッチアンテナがX方向に直線状に一列に並び、互いに交互に配置されていることにある。第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0102】
図13は本発明の第
3の実施の形態による高周波モジュール61を示している。この高周波モジュール61は、後述する多層誘電体基板2、アレーアンテナ62、RFIC21等を備えている。
【0103】
3個の第1パッチアンテナ11は、X方向に対して直線状に並んで配置されている。2個の第2パッチアンテナ12は、X方向に対して直線状に並んで配置されている。3個の第1パッチアンテナ11および2個の第2パッチアンテナ12は、X方向に直線状に一列に並んでいる。第1パッチアンテナ11と第2パッチアンテナ12とは、X方向に交互に配置されている。このため、第2パッチアンテナ12は、2個の第1パッチアンテナ11に挟まれている。従って、任意の第1パッチアンテナ11と最も近接する他の第1パッチアンテナ11との距離をD1とし、任意の第1パッチアンテナ11と最も近接する第2パッチアンテナ12との距離をD2としたときに、D1>D2となっている(
図14参照)。
【0104】
図13および
図14に示すように、3個の第1パッチアンテナ11と、2個の第2パッチアンテナ12とは、アレーアンテナ62を構成している。
【0105】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
次に、
図15ないし
図17は本発明の第4の実施の形態を示している。第4の実施の形態の特徴は、高周波モジュールは、第1動作周波数でY方向の偏波を放射し、第1動作周波数よりも高い第2動作周波数でX方向の偏波を放射する複数の第1偏波共用アンテナと、第1動作周波数および第2動作周波数とは異なる第3動作周波数でX方向の偏波を放射し、第2動作周波数でY方向の偏波を放射する複数の第2偏波共用アンテナと、を有していることにある。第4の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0107】
図15および
図16は本発明の第4の実施の形態による高周波モジュール71を示している。この高周波モジュール71は、後述する多層誘電体基板2、アレーアンテナ74、RFIC21等を備えている。
【0108】
第1パッチアンテナ72のY方向の長さ寸法は、電気長で例えば第1高周波信号RF1の半波長となる値に設定されている。一方、第1パッチアンテナ72のX方向の長さ寸法は、電気長で例えば第2高周波信号RF2の半波長となる値に設定されている。
【0109】
このとき、第2高周波信号RF2の第2動作周波数は、第1高周波信号RF1の第1動作周波数よりも高い周波数になっている。即ち、第2動作周波数の中心周波数F2は、第1動作周波数の中心周波数F1よりも高くなっている(F2>F1)。このため、第1パッチアンテナ72は、Y方向の長さ寸法に比べて、X方向の長さ寸法が短い長方形状に形成されている。
【0110】
これにより、第1パッチアンテナ72は、予め決められた所定の動作帯域B1をもった第1動作周波数でY方向の偏波(垂直偏波)を放射する。これに加えて、第1パッチアンテナ72は、予め決められた所定の動作帯域B2をもった第2動作周波数でX方向の偏波(水平偏波)を放射する。なお、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いにオーバーラップする(
図17参照)。
【0111】
第1パッチアンテナ72は、中心から位置がずれたY方向の途中位置にビア8が接続される第1給電点P11を有している(
図15、
図16参照)。一方、第1パッチアンテナ72は、中心から位置がずれたX方向の途中位置にビア8が接続される第2給電点P12を有している。
【0112】
第2パッチアンテナ73のY方向の長さ寸法は、電気長で例えば第2高周波信号RF2(中心周波数F2)の半波長となる値に設定されている。一方、第2パッチアンテナ73のX方向の長さ寸法は、電気長で例えば第3高周波信号RF3(中心周波数F3)の半波長となる値に設定されている。
【0113】
このとき、第3高周波信号RF3の第3動作周波数は、第2高周波信号RF2の第2動作周波数よりも高い周波数になっている。即ち、第3動作周波数の中心周波数F3は、第2動作周波数の中心周波数F2よりも高くなっている(F3>F2)。このため、第2パッチアンテナ73は、Y方向の長さ寸法に比べて、X方向の長さ寸法が短い長方形状に形成されている。
【0114】
これにより、第2パッチアンテナ73は、動作帯域B2をもった第2動作周波数でY方向の偏波(垂直偏波)を放射する。これに加えて、第2パッチアンテナ73は、動作帯域B3をもった第3動作周波数でX方向の偏波(水平偏波)を放射する。なお、第2動作周波数の動作帯域B2と第3動作周波数の動作帯域B3とは、周波数軸上で互いにオーバーラップする(
図17参照)。
【0115】
第2パッチアンテナ73は、中心から位置がずれたY方向の途中位置にビア8が接続される第1給電点P21を有している(
図15、
図16参照)。一方、第2パッチアンテナ73は、中心から位置がずれたX方向の途中位置にビア8が接続される第2給電点P22を有している。
【0116】
第1パッチアンテナ72および第2パッチアンテナ73は、例えば第1の実施の形態による第1パッチアンテナ11および第2パッチアンテナ12と同じ位置で多層誘電体基板2に形成されている。即ち、9個の第1パッチアンテナ72と4個の第2パッチアンテナ73は、多層誘電体基板2に、千鳥状(互い違いとなる位置)に配置されている。このため、任意の第1パッチアンテナ72と最も近接する他の第1パッチアンテナ72との距離をD1とし、任意の第1パッチアンテナ72と最も近接する第2パッチアンテナ73との距離をD2としたときに、D1>D2となっている(
図16参照)。
【0117】
図15および
図16に示すように、9個の第1パッチアンテナ72と、4個の第2パッチアンテナ73とは、アレーアンテナ74を構成している。
【0118】
かくして、このように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1パッチアンテナ72および第2パッチアンテナ73は、第1動作周波数(第1高周波信号RF1)、第2動作周波数(第2高周波信号RF2)および第3動作周波数(第3高周波信号RF3)の3つの周波数の電波を放射することができる。このため、1つの周波数だけの電波を放射する場合に比べて、周波数帯域(動作帯域)を広げることができる。
【0119】
また、第1パッチアンテナ72は、第2動作周波数でX方向の偏波(水平偏波)を放射し、第2パッチアンテナ73は、第2動作周波数でY方向の偏波(垂直偏波)を放射する。このため、第1パッチアンテナ72および第2パッチアンテナ73を用いることによって、第2動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。
【0120】
なお、第4の実施の形態では、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いにオーバーラップし、第2動作周波数の動作帯域B2と第3動作周波数の動作帯域B3とは、周波数軸上で互いにオーバーラップするものとした。本発明はこれに限らず、
図18に示す第3の変形例のように、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いに隣接し、第2動作周波数の動作帯域B2と第3動作周波数の動作帯域B3とは、周波数軸上で互いに隣接していてもよい。
【0121】
また、
図19に示す第4の変形例のように、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いに離れており、第2動作周波数の動作帯域B2と第3動作周波数の動作帯域B3とは、周波数軸上で互いに離れていてもよい。
【0122】
さらに、第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で互いにオーバーラップし、第2動作周波数の動作帯域B2と第3動作周波数の動作帯域B3とは、周波数軸上で隣接または離れていてもよい。第1動作周波数の動作帯域B1と第2動作周波数の動作帯域B2とは、周波数軸上で隣接または離れており、第2動作周波数の動作帯域B2と第3動作周波数の動作帯域B3とは、周波数軸上で互いにオーバーラップしてもよい。
【0123】
第4の実施の形態では、第3動作周波数は第2動作周波数よりも高い周波数であるとした。本発明はこれに限らず、例えば第3動作周波数は、第1動作周波数よりも低い周波数でもよい。この場合、第3動作周波数の動作帯域は、第1動作周波数の動作帯域とオーバーラップしてもよく、第1動作周波数の動作帯域と隣接してもよく、第1動作周波数の動作帯域から離れていてもよい。
【0124】
また、第3動作周波数は、第1動作周波数と第2動作周波数の間の周波数でもよい。この場合、第3動作周波数の動作帯域は、第1動作周波数および第2動作周波数の動作帯域とオーバーラップしてもよく、第1動作周波数および第2動作周波数の動作帯域と隣接してもよく、第1動作周波数および第2動作周波数の動作帯域から離れていてもよい。即ち、第1動作周波数、第2動作周波数および第3動作周波数の動作帯域は、オーバーラップ、隣接、離間のいずれの関係でもよい。
【0125】
前記各実施の形態では、四角形の第1パッチアンテナ11,72と第2パッチアンテナ12,73によって第1偏波共用アンテナと第2偏波共用アンテナを構成するものとした。本発明はこれに限らず、円形、楕円形、多角形のパッチアンテナによって偏波共用アンテナを構成してもよい。また、
図20に示す第5の変形例のように、十字形に交差した2つのダイポールアンテナによって第1偏波共用アンテナ81と第2偏波共用アンテナ82を構成してもよい。
図20に示す第5の変形例では、9個の第1偏波共用アンテナ81と、4個の第2偏波共用アンテナ82とは、アレーアンテナ83を構成している。さらに、
図21に示す第6の変形例のように、十字形に交差したスロットアンテナによって第1偏波共用アンテナ91と第2偏波共用アンテナ92を構成してもよい。
図21に示す第6の変形例では、9個の第1偏波共用アンテナ91と、4個の第2偏波共用アンテナ92とは、アレーアンテナ93を構成している。
【0126】
前記第1の実施の形態では、アレーアンテナ13は、9個の第1パッチアンテナ11と4個の第2パッチアンテナ12とを有する場合を例に挙げて説明した。本発明はこれらに限らず、第1パッチアンテナ11の個数は、2個ないし8個でもよく、10個以上でもよい。同様に、第2パッチアンテナ12の個数は、2個、3個でもよく、5個以上でもよい。また、第1パッチアンテナ11の個数と第2パッチアンテナ12の個数は、同じでもよく、異なってもよい。この点は、第2ないし第4の実施の形態にも適用することができる。
【0127】
前記各実施の形態では、RFIC21は、パワーアンプ23AT〜23DT、可変移相器26A〜26D、ローノイズアンプ23AR〜23DRを備えるものとした。本発明はこれに限らず、RFIC21は、パワーアンプ23AT〜23DT、可変移相器26A〜26D、ローノイズアンプ23AR〜23DRに加えて、送信回路および受信回路を備えていてもよい。
【0128】
前記各実施の形態では、給電線路6としてマイクロストリップ線路を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えばストリップ線路、コプレーナ線路、同軸ケーブル等の他の給電線路を用いてもよい。
【0129】
さらに、前記各実施の形態では、60GHz帯のミリ波に用いる高周波モジュール1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、例えば他の帯域のミリ波に用いる高周波モジュールでもよく、マイクロ波に用いる高周波モジュールに適用してもよい。
【0130】
また、前記各実施の形態で記載した周波数等の具体的な数値は、一例を示したものであり、例示した値に限らない。これらの数値は、例えば適用対象の仕様に応じて適宜設定される。
【0131】
前記各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0132】
次に、上記の実施形態に含まれる発明について記載する。本発明は、多層誘電体基板と、前記多層誘電体基板に接続され、複数のRF入出力端子を持つRFICと、前記多層誘電体基板に形成され、直交するX方向とY方向の偏波を放射する複数の偏波共用アンテナからなるアレーアンテナと、を備え、前記RFICは、少なくともRF信号の入力または出力のONとOFFを切り替える切替部と可変移相器とを、前記複数のRF入出力端子毎に有し、前記複数の偏波共用アンテナには、前記複数のRF入出力端子のうちの2つがそれぞれ直交する偏波に対応した給電点に接続される、高周波モジュールにおいて、前記複数の偏波共用アンテナは、第1動作周波数でX方向の偏波を放射し、前記第1動作周波数よりも高い第2動作周波数でY方向の偏波を放射する複数の第1偏波共用アンテナと、前記第1動作周波数でY方向の偏波を放射し、前記第2動作周波数でX方向の偏波を放射する複数の第2偏波共用アンテナと、を有し、任意の前記第1偏波共用アンテナと、任意の前記第1偏波共用アンテナと最も近接する他の前記第1偏波共用アンテナとの距離をD1とし、任意の前記第1偏波共用アンテナと、任意の前記第1偏波共用アンテナと最も近接する前記第2偏波共用アンテナとの距離をD2としたときに、D1>D2となることを特徴としている。
【0133】
本発明によれば、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、いずれも第1動作周波数および第2動作周波数の2つの周波数の電波を放射することができる。このため、1つの周波数だけの電波を放射する場合に比べて、周波数帯域を広げることができる。
【0134】
また、第1偏波共用アンテナは、第1動作周波数でX方向の偏波を放射し、第2偏波共用アンテナは、第1動作周波数でY方向の偏波を放射する。このため、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第1動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。これに加えて、第1偏波共用アンテナは、第2動作周波数でY方向の偏波を放射し、第2偏波共用アンテナは、第2動作周波数でX方向の偏波を放射する。このため、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第2動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。この結果、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、2つの周波数で2方向の偏波の電波が放射することができる。
【0135】
複数の第1偏波共用アンテナおよび複数の第2偏波共用アンテナは、複数のRF入出力端子毎に可変移相器を有するRFICに接続されている。このため、複数の第1偏波共用アンテナおよび複数の第2偏波共用アンテナは、フェーズドアレーとしての動作することができる。
【0136】
本発明は、多層誘電体基板と、前記多層誘電体基板に接続され、複数のRF入出力端子を持つRFICと、前記多層誘電体基板に形成され、直交するX方向とY方向の偏波を放射する複数の偏波共用アンテナからなるアレーアンテナと、を備え、前記RFICは、少なくともRF信号入力または出力のONとOFFを切り替える切替部と可変移相器とを、前記複数のRF入出力端子毎に有し、前記複数の偏波共用アンテナには、前記複数のRF入出力端子のうちの2つがそれぞれ直交する偏波に対応した給電点に接続される、高周波モジュールにおいて、前記複数の偏波共用アンテナは、第1動作周波数でY方向の偏波を放射し、前記第1動作周波数よりも高い第2動作周波数でX方向の偏波を放射する複数の第1偏波共用アンテナと、前記第1動作周波数および前記第2動作周波数とは異なる第3動作周波数でX方向の偏波を放射し、前記第2動作周波数でY方向の偏波を放射する複数の第2偏波共用アンテナと、を有していることを特徴としている。
【0137】
本発明によれば、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、第1動作周波数、第2動作周波数および第3動作周波数の3つの周波数の電波を放射することができる。このため、1つの周波数だけの電波を放射する場合に比べて、周波数帯域(動作帯域)を広げることができる。
【0138】
また、第1偏波共用アンテナは、第2動作周波数でX方向の偏波(水平偏波)を放射し、第2偏波共用アンテナは、第2動作周波数でY方向の偏波(垂直偏波)を放射する。このため、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第2動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。
【0139】
複数の第1偏波共用アンテナおよび複数の第2偏波共用アンテナは、複数のRF入出力端子毎に可変移相器を有するRFICに接続されている。このため、複数の第1偏波共用アンテナおよび複数の第2偏波共用アンテナは、フェーズドアレーとしての動作することができる。
【0140】
本発明は、前記第3動作周波数の動作帯域と、前記第1動作周波数または前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いにオーバーラップしていることを特徴としている。これにより、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第1動作周波数、第2動作周波数および第3動作周波数を覆う連続した帯域で通信を行うことができる。
【0141】
本発明は、前記第3動作周波数の動作帯域と、前記第1動作周波数または前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに隣接していることを特徴としている。これにより、使用可能な動作帯域を広げることができる。
【0142】
本発明は、前記第3動作周波数の動作帯域と、前記第1動作周波数および前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに離れていることを特徴としている。これにより、第3動作周波数の動作帯域と、第1動作周波数および第2動作周波数の動作帯域との間で、アイソレーションを確保することができる。
【0143】
本発明は、前記複数の第1偏波共用アンテナと前記複数の第2偏波共用アンテナとは、直線状に一列に並び、互いに交互に配置されていることを特徴としている。これにより、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナが一列に並んだアレーアンテナを構成することができる。
【0144】
本発明は、前記複数の第1偏波共用アンテナは、直線状に一列に並んで配置され、前記複数の第2偏波共用アンテナは、前記複数の第1偏波共用アンテナとは異なる列を形成し、前記複数の第1偏波共用アンテナと並行な状態で直線状に一列に並んで配置され、前記第1偏波共用アンテナと前記第2偏波共用アンテナとは、直線状に並んだ方向に対して交互に配置されていることを特徴としている。これにより、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナが二列に並んだアレーアンテナを構成することができる。
【0145】
本発明は、任意の1つの前記第1偏波共用アンテナは、その周囲が4つの前記第2偏波共用アンテナに取囲まれて、これら4つの前記第2偏波共用アンテナの中央の位置に配置されていることを特徴としている。
【0146】
本発明によれば、1つの第1偏波共用アンテナは、その周囲がマトリクス状に配置された4つの第2偏波共用アンテナに取囲まれて、これら4つの第2偏波共用アンテナの中央の位置に配置される。このため、第1偏波共用アンテナは、周囲に位置する4つの第2偏波共用アンテナに対して、X方向およびY方向に位置がずれて配置される。これにより、第1偏波共用アンテナと第2偏波共用アンテナとの間で、相互の結合を抑制することができ、アイソレーションを高めることができる。
【0147】
本発明は、多層誘電体基板と、前記多層誘電体基板に接続され、複数のRF入出力端子を持つRFICと、前記多層誘電体基板に形成され、直交するX方向とY方向の偏波を放射する複数の偏波共用アンテナからなるアレーアンテナと、を備え、前記RFICは、少なくともRF信号入力または出力のONとOFFを切り替える切替部と可変移相器とを、前記複数のRF入出力端子毎に有し、前記複数の偏波共用アンテナには、前記複数のRF入出力端子のうちの2つがそれぞれ直交する偏波に対応した給電点に接続される、高周波モジュールにおいて、前記複数の偏波共用アンテナは、第1動作周波数でX方向の偏波を放射し、前記第1動作周波数よりも高い第2動作周波数でY方向の偏波を放射する複数の第1偏波共用アンテナと、前記第1動作周波数でY方向の偏波を放射し、前記第2動作周波数でX方向の偏波を放射する複数の第2偏波共用アンテナと、を有し、前記第1偏波共用アンテナは、X方向またはY方向の一方向に対して隣合う2つの前記第1偏波共用アンテナが前記第2動作周波数に対する自由空間波長以下の間隔をもって直線状に並んで配置され、前記第2偏波共用アンテナは、直線状に並んだ前記複数の第1偏波共用アンテナに対して前記一方向と直交した他方向に一定間隔をもって離間し、前記一方向に対して隣合う2つの前記第2偏波共用アンテナが前記第2動作周波数に対する自由空間波長以下の間隔をもって直線状に並んで配置され、前記第1偏波共用アンテナと前記第2偏波共用アンテナとは、前記一方向に交互に配置されていることを特徴としている。
【0148】
本発明によれば、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、いずれも第1動作周波数および第2動作周波数の2つの周波数の電波を放射することができる。このため、1つの周波数だけの電波を放射する場合に比べて、周波数帯域を広げることができる。
【0149】
また、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第1動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。これに加えて、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第2動作周波数で、X方向およびY方向の2方向の偏波を放射することができる。この結果、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、2つの周波数で2方向の偏波の電波が放射することができる。
【0150】
また、複数の第1偏波共用アンテナは、一方向に直線状に並んで配置されている。さらに、複数の第2偏波共用アンテナは、複数の第1偏波共用アンテナに対して一方向と直交した他方向に一定間隔をもって離間し、一方向に直線状に並んで配置されている。これに加え、第1偏波共用アンテナと第2偏波共用アンテナとは、一方向に交互に配置されている。このため、第1偏波共用アンテナは、第2偏波共用アンテナに対して、X方向およびY方向に位置がずれて配置される。これにより、第1偏波共用アンテナと第2偏波共用アンテナとの間で、相互の結合を抑制することができ、アイソレーションを高めることができる。
【0151】
複数の第1偏波共用アンテナおよび複数の第2偏波共用アンテナは、複数のRF入出力端子毎に可変移相器を有するRFICに接続されている。このため、複数の第1偏波共用アンテナおよび複数の第2偏波共用アンテナは、フェーズドアレーとしての動作することができる。
【0152】
本発明は、前記第1動作周波数の動作帯域と前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いにオーバーラップしていることを特徴としている。これにより、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナを用いることによって、第1動作周波数および第2動作周波数を覆う連続した帯域で通信を行うことができる。
【0153】
本発明は、前記第1動作周波数の動作帯域と前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに隣接していることを特徴としている。これにより、使用可能な動作帯域を広げることができる。
【0154】
本発明は、前記第1動作周波数の動作帯域と前記第2動作周波数の動作帯域とは、周波数軸上で互いに離れていることを特徴としている。これにより、第1動作周波数の動作帯域と第2動作周波数の動作帯域との間で、アイソレーションを確保することができる。
【0155】
本発明では、前記第1動作周波数の動作帯域は、60GHz帯を7チャネルに区分して通信するときに、前記7チャネルのうち低周波側の4チャネルに対応し、前記第2動作周波数の動作帯域は、前記7チャネルのうち高周波側の4チャネルに対応することを特徴としている。
【0156】
本発明によれば、例えば低周波側の4チャネルで通信を行うときには、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、第1動作周波数の電波を放射する。この場合、複数の周波数の電波を放射する必要がない。このため、チャネルを切り替えるときに、第1動作周波数から第2動作周波数への周波数の切替えが不要になる。一方、7チャネルで通信を行うときには、第1偏波共用アンテナおよび第2偏波共用アンテナは、第1動作周波数の電波を放射するのに加えて、第2動作周波数の電波を放射する。
【0157】
本発明では、前記RFICは、ベースバンドICに接続されている。本発明の高周波モジュールは、通信装置を構成している。