(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記接触判定回路は、上記駆動回路による電圧の印加停止後における上記接触部の振動エネルギーに基づいて対象物が上記接触部に接触したか否かを判定するものであり、上記振動エネルギーが第1の所定の閾値以下の場合には、対象物が上記接触部に接触したことを判定し、上記振動エネルギーが上記第1の所定の閾値よりも大きい第2の所定の閾値以上の場合には、上記衝撃判定回路が上記接触部に衝撃が加わったことを判定し、上記制御部が上記吐水部の吐水を禁止する吐水制御を行うものである請求項1記載のタッチ検出装置。
さらに、上記衝撃判定回路が上記接触部に衝撃が加わったことを判定してから所定期間吐水を禁止している旨を報知する報知部を有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の水栓装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置について説明する。
ここで、本実施形態の水栓装置は、タッチ検出装置Aが組み込まれたものであり、このタッチ検出装置Aにより使用者の操作を検知して、吐水、止水を切り換えることができるようになっている。
図1は、本実施形態の水栓装置の概略構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態のタッチ検出装置の概略構成を示す回路図である。
図3は、水栓装置の先端部に設けられた検知部を拡大して示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、カウンターボードC上に取り付けられた水栓本体2と、この水栓本体2の先端部に設けられた検知部4と、この検知部4に取り付けられた振動励起素子である圧電素子6と、水栓本体2の基部2aに内蔵された湯水混合バルブ8とを備えている。
さらに、水栓装置1は、カウンターボードCの下側に配置された、湯及び水の供給、停止をそれぞれ切り換える開閉弁である湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bと、これらの電磁弁10a,10bの開閉を制御する制御部である水栓コントローラ12と、検知部4への操作に応じて水栓コントローラ12に信号を送る検出回路14とを備えている。
なお、本実施形態の水栓装置1のうち、検知部4、圧電素子6及び検出回路14は、タッチ検出装置Aを構成する。
【0021】
本実施形態の水栓装置1は、水栓本体2の先端部に設けられた検知部4の接触部16を使用者が軽くタッチすることにより、湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bのそれぞれが開閉され、止水状態と吐水状態を切り換えることができるようになっている。
したがって、本実施形態においては、検知部4が設けられた水栓本体2の先端部が、水栓装置1のタッチ操作用の操作部Bとして機能するようになっている。
【0022】
つぎに、
図1に示すように、水栓本体2は、カウンターボードCからほぼ垂直に立ち上がった後にほぼ水平方向に屈曲する基部2aと、この基部2aの先端2bに着脱可能に設けられた吐水部であるシャワーヘッド部2cとを備えている。このシャワーヘッド部2cは、基部2aに対して使用者側に引き出した状態で使用可能である、いわゆる、プルアウト式のシャワーヘッドであり、その先端部に検知部4が設けられている。
また、シャワーヘッド部2cにおける検知部4の近傍には、吐水部である吐水口2dが設けられており、この吐水口2dからシャワー吐水が可能となっている。
【0023】
さらに、
図1及び
図3に示すように、シャワーヘッド部2cの先端に設けられた検知部4の接触部16は、その表面の中央部が突出した湾曲面形状に形成されており、使用者の手指等の対象物が検知部4の接触部16に接触しているか否かを検知するための信号が検出回路14に送られるようになっている。
後述するように、検知部4には圧電素子6が内蔵されており、この圧電素子6は、水栓本体2内部に通された2本の信号線18a、18bによって検出回路14に電気的に接続されている。
【0024】
湯水混合バルブ8は、水栓本体2の基部2aに内蔵されると共に、湯用電磁弁10aの下流側に接続された給湯管20a、及び水用電磁弁10bの下流側に接続された給水管20bにそれぞれ接続されている。また、湯水混合バルブ8には温調ハンドル8aが取り付けられており、この温調ハンドル8aを調整することにより、給湯管20aから供給された湯及び給水管20bから供給された水の混合比が設定され、吐水口2dから吐出される湯水の温度を調整することができる。また、湯水混合バルブ8において混合された湯水は、水栓本体2の内部に配置された通水部材(図示せず)を介して導かれ、吐水口2dから吐出される。
【0025】
湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bは、水栓コントローラ12からの制御信号に応じて開閉される電磁弁である。湯用電磁弁10aは、給湯器(図示せず)からの配管に接続され、開弁されると給湯管20aへ湯を流出させるようになっている。水用電磁弁10bは、上水道に接続されており、開弁されると給水管20bへ水を流出させるようになっている。
【0026】
水栓コントローラ12は、検出回路14からの出力信号に応じて、湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bに制御信号を出力し、これらを開閉させるようになっている。
検出回路14は、検知部4に内蔵された圧電素子6に電気的に接続されると共に、水栓コントローラ12に判定出力信号を出力するようになっている。
また、検出回路14は、圧電素子6に交流電圧を印加することにより、これを所定の周波数で超音波振動させると共に、圧電素子6の端子から出力信号を取得するようになっている。
さらに、検出回路14は、圧電素子6から取得した出力信号に基づいて、対象物である使用者の手指等が検知部4の接触部16にタッチ(接触)したか否かを判定し、判定結果を判定出力信号として水栓コントローラ12に出力するようになっている。
【0027】
具体的には、水栓コントローラ12及び検出回路14は、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータ、半導体、電気抵抗、コンデンサ等の電子部品、及びマイクロプロセッサ等を作動させるプログラムを組み合わせることにより構成されている。
また、水栓コントローラ12及び検出回路14を上述した電子部品により一体的に構成してもよい。
【0028】
つぎに、
図2を参照して、検出回路14の構成について説明する。
図2に示すように、検出回路14には、マイクロコンピュータ22、駆動回路24、信号変換回路26、分圧回路28、及び衝撃判定回路30のそれぞれが内蔵されている。
まず、マイクロコンピュータ22は、これを作動させるプログラムにより機能する接触判定回路22a及び周波数調整回路22bを含む。
つぎに、マイクロコンピュータ22は、2つの出力ポート(第1の出力ポートP1、第2の出力ポートP2)からの出力信号により、駆動回路24を構成する2つのトランジスタ24a,24bを制御するようになっている。
また、マイクロコンピュータ22は、信号変換回路26から出力されたアナログ電圧の信号をディジタル値に変換するA/D変換回路を内蔵している。マイクロコンピュータ22に内蔵された各回路は、変換されたディジタル値に基づいて演算を行い、検知部4の接触部16へのタッチの有無を判定している。
さらに、マイクロコンピュータ22は、衝撃判定回路30からの出力信号が、第3のポートP3(入力ポート)に入力されることにより、検知部4の接触部16への衝撃の有無を判定している。
【0029】
つぎに、駆動回路24は、電源側に接続されたPNPトランジスタ24a、アース側に接続されたNPNトランジスタ24b、及び2本の電気抵抗24c,24dから構成されている。
まず、PNPトランジスタ24aのエミッタ端子は、電源24eに接続され、ベース端子はマイクロコンピュータ22の出力ポートP1に接続されている。
また、電気抵抗24cは、PNPトランジスタ24aのベース−エミッタ間に接続されている。
一方、NPNトランジスタ24bのエミッタ端子はアースに接続され、ベース端子はマイクロコンピュータ22の出力ポートP2に接続されている。
また、電気抵抗24dは、NPNトランジスタ24bのベース−エミッタ間に接続されている。
さらに、PNPトランジスタ24a及びNPNトランジスタ24bの各コレクタ端子は互いに接続され、信号線18aを介して圧電素子6の一方の電極(入力端子)に接続されている。また、圧電素子6の他方の電極は、信号線18bを介してアースに接続されている。
【0030】
PNPトランジスタ24a及びNPNトランジスタ24bは、マイクロコンピュータ22の出力ポートP1,P2からの信号により、所定の周期で交互にオン−オフされる。
例えば、PNPトランジスタ24aがオン、NPNトランジスタ24bがオフとされた状態では、信号線18aには電源電圧と等しい電圧が出力される。
一方、PNPトランジスタ24aがオフ、NPNトランジスタ24bがオンとされた状態では、信号線18aはアース電位となる。これらの状態が所定周期で交互に繰り返されることにより、圧電素子6の一方の電極には、信号線18aを介して所定周波数の交流電圧が印加される。
また、圧電素子6に交流電圧が印加されていない状態においては、両方のトランジスタ24a,24bがオフにされ、各トランジスタ24a,24bのコレクタは、ハイインピーダンスな状態(実質的に、電気的に切り離された状態)にされる。
なお、本実施形態においては、PNPトランジスタ24a及びNPNトランジスタ24bを交互にオン−オフすることにより、圧電素子6に交流電圧を印加しているが、FET等、任意のスイッチング素子を使用して交流電圧を印加してもよい。
【0031】
つぎに、分圧回路28は、3本の電気抵抗28a,28b,28cから構成され、圧電素子6の一方の端子に現れる電圧を分圧し、適正な電圧に調整するようになっている。
すなわち、電気抵抗28aの一方の端子は、信号線18aに接続され、他方の端子は電気抵抗28bの一方の端子に接続されている。
また、電気抵抗28bの他方の端子は、電気抵抗28cの一方の端子に接続され、電気抵抗28cの他方の端子は、アースに接続されている。
これらにより、信号線18aに現れた電圧が、電気抵抗28a,28b,28cの抵抗比により分圧され、適正な電圧に調整される。上述したように、圧電素子6に交流電圧が印加されている状態においては、圧電素子6の一方の端子(信号線18a)には、電源電圧とアース電位が所定周期で交互に現れる。
これに対して、駆動回路24の出力がハイインピーダンスにされた状態(両方のトランジスタ24a,24bがオフ)では、信号線18aには、圧電素子6により生成された起電力が現れる。
分圧回路28は、これらの電圧を分圧し、分圧された電圧を信号変換回路26及び衝撃判定回路30のそれぞれに出力する。
すなわち、圧電素子6の一方の電極に接続された端子は、交流電圧を印加するための入力端子として機能し、また、この入力端子から、圧電素子6の出力信号が取得される。
【0032】
つぎに、信号変換回路26は、2つのコンデンサ26a,26b、ダイオード26c、及び電気抵抗26dから構成されている。
コンデンサ26aの一方の端子は、分圧回路28の電気抵抗28a,28bの接続点に接続され、他方の端子は、ダイオード26cのアノード端子に接続されている。
さらに、ダイオード26cのカソード端子は、マイクロコンピュータ22に内蔵されたA/D変換器の入力端子に接続されている。
また、ダイオード26cのカソード端子は、コンデンサ26b及び電気抵抗26dを介してそれぞれアースに接続されている。
これらにより、分圧回路28からの出力信号は、直流成分がコンデンサ26aにより除去され、直流成分が除去された信号がダイオード26cにより検波されると共に、コンデンサ26bにより高周波成分がカットされ、マイクロコンピュータ22のA/D変換器に入力される。
【0033】
つぎに、衝撃判定回路30は、コンパレータ30a、及び衝撃判定用閾値電圧の電源30bから構成されている。
コンパレータ30aの非反転入力端子は、分圧回路28の電気抵抗28b,28cの接続点に接続され、出力端子は、マイクロコンピュータ22の入力端子P3に接続されている。
また、衝撃判定用閾値電圧の電源30bは、一方の端子がコンパレータ30aの反転入力端子に接続されており、他方の端子はアースに接続されている。
これらにより、分圧回路28からの出力信号は、コンパレータ30aにおいて電源30bからの衝撃判定用閾値電圧と比較され、この衝撃判定用閾値電圧よりも大きい場合には、マイクロコンピュータ22の入力ポートP3の入力端子にHiレベルの信号が入力されるようになっている。
【0034】
さらに、
図1に示すように、本実施形態の水栓装置1は、詳細後述するが、衝撃判定回路30が検知部4の接触部16に衝撃が加わったこと(衝撃判定結果)を判定してから所定期間吐水を禁止している旨を報知する報知部32を備えている。この報知部32としては、警報音を発信するようなものであってもよいし、及び/又は、LED等の照明器具を点滅或いは点灯させるものであってもよい。
【0035】
つぎに、
図2及び
図3を参照して、検知部4の構成を説明する。
図3に示すように、検知部4は、水栓本体2のシャワーヘッド部2cの先端に取り付けられた金属製の部材によって構成されており、水栓本体2と共に水栓装置1の外観を形成している。
検知部4は、使用者の手指等が触れる接触部16と、この接触部16の背面から軸方向(後方側)に延びる円筒部34とを備えており、この円筒部34の中に圧電素子6が取り付けられている。
【0036】
圧電素子6は、本実施形態においては、チタン酸バリウム、ジルコンチタン酸鉛等の圧電セラミックスを使用した円盤状の素子であり、この圧電セラミックスの両面にそれぞれ電極が設けられている。これらの電極間に信号線18a、18bを介して交流電圧を印加することにより、圧電素子6は全体として屈曲するような変形を繰り返し、振動する。
また、圧電素子6は、検知部4の接触部16の背面に接着剤により固着されているので、圧電素子6及び接触部16の背面は、一体となって屈曲振動する。
すなわち、圧電素子6に所定周波数の交流電圧を印加することにより、検知部4は数μm程度の振幅で屈曲振動する。
また、逆に、圧電素子6が屈曲振動されると、その電極間(信号線18a、18b間)に起電力が発生する。なお、本実施形態においては、印加される交流電圧の周波数は、圧電素子6と接触部16の背面が一体となって屈曲振動する際の共振周波数である約40kHzに設定されている。好ましくは、共振周波数は、約20kHz〜約60kHzの超音波帯域に設定する。
【0037】
つぎに、
図4及び
図5を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置のタッチ検出装置Aにおける検出原理を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による水栓装置のタッチ検出装置において、使用者が検知部4にタッチしていない場合の圧電素子6の典型的な出力波形を示し、
図5は使用者が検知部4にタッチした場合の圧電素子6の典型的な出力波形を示す。
なお、
図4及び
図5は、上段にマイクロコンピュータ22の出力ポートP1、P2(
図2)からの出力電圧波形、中段に圧電素子6の出力電圧波形(信号線18a、18b間の電圧波形)、下段に信号変換回路26からの出力電圧波形(マイクロコンピュータ22のA/D変換器入力波形)を示すものである。
また、
図4及び
図5等は信号波形を模式的に示したものであり、交流電圧の印加中において出力される波の数等、実際の波形とは異なっている。
【0038】
まず、
図4の時刻t1において、圧電素子6への交流電圧の印加が開始される。すなわち、
図4の上段に示すように、マイクロコンピュータ22の出力ポートP1、P2に交互に電圧パルスが出力されることにより、駆動回路24(
図2)のPNPトランジスタ24aとNPNトランジスタ24bが交互にオンにされる。これにより、
図4の中段に示すように、圧電素子6の両電極間(信号線18a、18b間)にはパルス状の交流電圧が印加される。
この交流電圧の印加により、圧電素子6は屈曲振動される。上述したように、圧電素子6に印加される交流電圧の周波数は、一体化されて振動する検知部4の接触部16の背面及び圧電素子6の共振周波数と一致するように設定されている。このため、交流電圧の印加による検知部4の接触部16の背面及び圧電素子6の屈曲振動の振幅は数μm程度であり、他の周波数で振動が励起された場合よりも振幅が大きくなる。
なお、交流電圧の印加中においては、圧電素子6の端子(信号線18a)は、PNPトランジスタ24a又はNPNトランジスタ24bによって電源電圧又はアースの何れかに接続されているため、圧電素子6の両電極間電圧(
図4の中段)は、これらに支配される(圧電素子6の屈曲振動により生成された起電力が表れているのではない)。
【0039】
つぎに、
図4の時刻t2において、圧電素子6への交流電圧の印加が停止される。交流電圧の印加が停止されると、駆動回路24のPNPトランジスタ24a及びNPNトランジスタ24bはいずれもオフにされ、駆動回路24の出力はハイインピーダンス(電気的に切り離された状態)となる。
一方、検知部4の接触部16の背面及び圧電素子6は、時刻t1〜t2間の振動の励起により共振周波数で屈曲振動されており、時刻t2において交流電圧の印加が停止された後もこの振動が残留し(一般的に、この現象を「残響」と言う)、次第に減衰する(振動振幅が小さくなる)。
また、交流電圧の印加停止後は、駆動回路24の出力がハイインピーダンスとされているので、圧電素子6の両端子間(信号線18a、18b間)には、圧電素子6の屈曲振動により生成された起電力が表れる(
図4中段の時刻t2〜)。
【0040】
本発明の第1実施形態による水栓装置1のタッチ検出装置Aは、このような交流電圧の印加停止後において検知部4(及び圧電素子6)に残る「残響振動」の大きさに基づいて、検知部4へのタッチ操作の有無を判定している。
ここで、
図4の中段に示すように、検知部4の接触部16へのタッチ操作が行われていない場合には、交流電圧の印加が停止した時刻t2後の電圧振幅が大きく、その振動が減衰するまでの時間も長くなる。
一方、
図5の中段に示すように、検知部4の接触部16へのタッチ操作が行われている(検知部4の接触部16に使用者の手指等が接触している)場合には、時刻t2後の電圧振幅が小さく、その振動も短時間で減衰している。
すなわち、検知部4の接触部16に使用者の手指等が接触している場合には、検知部4の振動が、接触部16に接触している手指等に吸収され、交流電圧の印加停止後に残る「残響振動」が小さくなるものと考えられる。
【0041】
本実施形態においては、
図4及び
図5の中段に示す圧電素子6の電圧波形の直流成分を除去し、検波した信号変換回路26の出力波形(
図4及び
図5の下段)に基づいてタッチの有無を判定している。
具体的には、本実施形態においては、時刻t2後の信号変換回路26の出力波形によって囲まれた面積(
図4及び
図5下段の斜線部の面積。励振停止後の検知部4及び圧電素子6の振動エネルギーに比例する。)の大きさに基づいてタッチの有無を判定している。
【0042】
つぎに、
図6〜
図10を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用を説明する。
図6は、本実施形態の水栓装置1の作用を示すメインフローであり、
図7は、本実施形態の水栓装置の作用の一例を示したタイムチャートである。また、
図8は、
図6のメインフローからサブルーチンとして呼び出されるタッチ検出フローである。
なお、
図7のタイムチャートは、
図4及び
図5のタイムチャートと同様に、1段目に出力ポートP1,P2からの出力電圧波形、2段目に圧電素子6の出力電圧波形、3段目に信号変換回路26回路からの出力電圧波形を示し、最下段には、検出回路14から水栓コントローラ12に出力される判定出力を示したものである。
【0043】
図6のフローチャートにおける処理は、検出回路14に内蔵されたマイクロコンピュータ22及びプログラムによって実行される。
まず、ステップS1においては、圧電素子6に印加される交流電圧の周波数調整が周波数調整回路22bにより実行される。この周波数調整は、圧電素子6に印加される交流電圧の周波数を、検知部4及び圧電素子6の共振周波数に正確に一致させるための処理であり、この周波数調整回路22bによる処理は、本実施形態においては、検出回路14に対する電源投入時に実行される。
具体的には、マイクロコンピュータ22から圧電素子6に印加する交流電圧の周波数を少しずつ変化させ、交流電圧の印加停止後における検知部4(及び圧電素子6)に残る「残響振動」の大きさ(動作波形を
図4とすれば、
図4下段の時刻t2後の斜線部の面積)が最大となる周波数を選択することで、周波数調整が実行される。
また、変形例として、検出回路14に、周波数調整実行用のスイッチ(図示せず)を設けておき、このスイッチの操作により周波数調整が実行されるようにしてもよい。
【0044】
本実施形態の水栓装置1のタッチ検出装置Aは、その性能を十分に発揮させるためには、印加する交流電圧の周波数と、共振周波数を十分に一致させておく必要がある。検知部4の接触部16の背面及び圧電素子6が大きく振動する共振周波数には個体差があり、検出回路14に対して組み合わせる水栓本体2(検知部4及び圧電素子6)に応じて、印加する交流電圧の周波数を調整することが望ましい。
また、このような周波数調整機能を備えておくことにより、検出回路14に組み合わせる水栓本体2の個体ごとのバラツキに対応することができると共に、複数種類の水栓本体2に組み合わせることができる汎用の検出回路14を構成することも可能となる。
【0045】
つぎに、
図6のステップS2においては、10msタイマーがリセットされる。本実施形態においては、圧電素子6への交流電圧の印加がセンシング周期である10msごとに間欠的に実行される。
また、ステップS2においては、この交流電圧の印加の間隔を制御する10msタイマーがリセットされ、タイマーの積算が開始される。好ましくは、センシング周期は、約10〜100msに設定する。
さらに、ステップS3においては、サブルーチンとして、
図8に示すタッチ検出フローが実行される。ステップS3において実行されるタッチ検出は、
図4及び
図5を使用して説明した原理に基づいて実行されるものであり、
図8のフローにおける具体的処理については後述する。また、
図7に示す例では、時刻t10においてステップS3が実行され、圧電素子6に対する交流電圧の印加が行われている。
【0046】
つぎに、
図6のステップS4においては、ステップS3における検出結果が「タッチ」であったか、「非タッチ」であったか、或いは、「衝撃」であったかが判定される。「タッチ」であった場合にはステップS5に進み、「非タッチ」であった場合にはステップS11に進み、「衝撃」であった場合にはステップS14に進む。
図7に示す例では、時刻t10〜t11間に実行された励振(交流電圧の印加)後の残響が大きいため、「非タッチ」と判定されている。「非タッチ」と判定された後のステップS11においては、入力ポートP3がHiレベルになっていないかをチェックする。
入力ポートP3がHiレベルになっている場合、それは
図2の衝撃判定回路30が検知部4の接触部16に衝撃が加わったと判定した場合であるが、この場合の処理については後述する。
ここでは、検知部4に衝撃が加わっておらず、入力ポートP3がLoレベルで継続している場合を説明する。
ステップS11からステップS17に進み、再びステップS11に戻るループを回り、ステップS2において積算が開始されたタイマーが10msになるまで待機され、10ms経過するとステップS2に戻る。
【0047】
図6のステップS2においては、10msタイマーがリセットされて再び積算が開始され、ステップS3において再びタッチ検出が実行される。
図7に示す例では、時刻t10における前回の励振開始から10ms経過後の時刻t12において再びステップS3が実行されている。
さらに、
図7の例では、時刻t12において開始された励振停止後(時刻t13〜)の残響が小さいため、ステップS3における検出結果が「タッチ」と判定されている。ステップS3において「タッチ」と判定された場合には、ステップS4からステップS5に進む。
【0048】
つぎに、
図6のステップS5においては、ステップS3における検出結果が「非タッチ」から「タッチ」に変化したか否かが判断される。
図7の例では、時刻t10において開始された前回の検出結果が「非タッチ」であり、時刻t12において開始された今回の検出結果が「タッチ」であるため、ステップS6に進む。
【0049】
つぎに、
図6のステップS6においては、具体的な説明は後述するが「タッチ確認検出」である
図8のフローチャートが、サブルーチンとして実行される。この「タッチ確認検出」は、ステップS3における「タッチ検出」による誤検知を防止するために、ステップS3による検出結果が「非タッチ」から「タッチ」に変化した場合に実行される処理である。
すなわち、「タッチ確認検出」は、「タッチ検出」と同じ動作であるが、短いタイミングで同じ「タッチ検出」動作を繰り返すことで、偶発的なノイズによる誤動作を防止する。
図7の例では、ステップS3における「タッチ検出」が終了した直後の時刻t14において「タッチ確認検出」が開始されている。
【0050】
つぎに、
図6のステップS7においては、「タッチ確認検出」の結果が「タッチ」であったか、「非タッチ」であったか、「衝撃」であったか、が判断される。
「非タッチ」であった場合には、ステップS3における「タッチ」の検出が誤検知であった可能性が高いため、電磁弁の開閉を行うことなく、ステップS11に進み、ステップS17とのループ処理で、時刻t12から10ms経過するまで待機される。
一方、「タッチ確認検出」の結果が「タッチ」であった場合には、「タッチ」の判定が確定され、ステップS8に進む。
また、「タッチ確認検出」の結果が「衝撃」であった場合には、後述するステップS14に進む。
【0051】
つぎに、
図6のステップS8においては、水栓装置1が吐水状態であるか否かが判断され、吐水中である場合にはステップS10に進み、吐水中でない場合にはステップS9に進む。
ステップS10では、吐水状態において新たに検知部4の接触部16がタッチされた(時刻t12)ことになるため、湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bが閉弁され、止水状態に切り換えられる。
具体的には、検出回路14において「タッチ」の検出が確定されると、「タッチ確定」を表す信号が検出回路14から水栓コントローラ12に出力され、水栓コントローラ12は、湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bに制御信号を送って、これらを閉弁させる。
一方、ステップS9では、止水状態において新たに検知部4の接触部16がタッチされた(時刻t12)ことになるため、湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bが開弁され、吐水状態に切り換えられる。
図7に示す例においては、時刻t14において開始されたステップS6のタッチ確認検出により「タッチ」の検出が確定され、時刻t15において「タッチ」の検出が確定されたことを示す判定出力が水栓コントローラ12に出力されている。
【0052】
このように、検知部4の接触部16への「タッチ」が検出された場合であっても、ステップS3におけるタッチ検出は、所定のセンシング周期である10msごとに等間隔で実行される。
すなわち、
図7に示す例では、時刻t12から10ms後の時刻t16においてステップS3が実行される。時刻t16において実行されたタッチ検出においても依然として残響が小さく、検知部4の接触部16はタッチされたままの状態にあるため、
図6のフローにおける処理は、ステップS3→S4→S5→S12の順に実行される。
【0053】
つぎに、
図6のステップS12においては、「タッチ」された状態の継続時間が計測される。具体的には、
図7の時刻t15において「タッチ」の判定が確定された後の経過時間が計測される。
つぎに、
図6のステップS13においては、ステップS12において計測されたタッチ継続時間が1分を超えたか否かが判断される。1分を超えていない場合には、ステップS11に進み、使用者が検知部4の接触部16にタッチしている間は、ステップS11→S17→S2→S3→S4→S5→S12→S13→S11の処理が繰り返される。
一方、1分を超えた場合にはステップS13→S10に進み、水栓装置1の状態に関わらず湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bが閉弁される。
すなわち、使用者が1分を超えて検知部4の接触部16にタッチしているのは異常な操作であり、タッチの誤検知、又は故障の可能性が高い。このため、水栓装置1の状態に関わらず湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bを閉弁させ、水の浪費を防止する。
【0054】
さらに、
図7の時刻t17において実行されたステップS3のタッチ検出において「非タッチ」が検出されると、使用者が検知部4の接触部16から手指を離したことが認識され、検出回路14からの判定出力は、「非タッチ」に変更される(時刻t18)。
しかしながら、水栓装置1の状態は、
図7の時刻t15において切り換えられた状態(吐水状態又は止水状態)が継続される。時刻t18以後、使用者によって検知部4の接触部16が再びタッチされるまでは、
図6のフローにおいては、ステップS3→S4→S11→S17→S2→S3の処理が繰り返される。
【0055】
その後、使用者が検知部4の接触部16を再びタッチし、このタッチが確認された場合には、
図6のフローでは、ステップS3→S4→S5→S6→S7→S8の順に処理が行われ、水栓装置1の状態が切り換えられる(
図7の時刻t15以前の状態に戻る)。このように、本実施形態の水栓装置1は、使用者が検知部4の接触部16にタッチする(使用者が検知部4の接触部16に触れてから離すまでの動作)ごとに吐水状態と止水状態が交互に切り換えられる。
【0056】
つぎに、再び、
図6のステップS4において、詳細は後述する
図8のフローの動作による「衝撃判定」により、検知部4の接触部16に対して通常のタッチ操作による接触よりも大きな衝撃が加わったものと判定された場合には、ステップS14において、湯用電磁弁10a及び水用電磁弁10bが所定期間(例えば、10秒)閉弁され、吐水が禁止された状態に切り換えられる。
そして、ステップS15において、吐水を吐水可能な状態に復帰させるか否かの「復帰判定」(具体的には、10秒間待つだけで良い)がなされ、復帰させると判定された場合には、ステップS2に戻る。
また、同様にして、
図6のステップS7において「衝撃判定」された場合と、ステップS11において入力ポートP3がHiレベルであった場合も、ステップS14に進み、所定時間、吐水が禁止された状態となり、その後、ステップS2へ復帰する。
【0057】
つぎに、
図4、
図5、
図8及び
図9を参照して、
図6のステップS3及びステップS6において実行されるタッチ検出の詳細を説明する。
図8は、
図6のメインフローからサブルーチンとして呼び出されるタッチ検出フローである。また、
図9は、検知部の接触部に対して通常のタッチ操作による接触よりも大きな衝撃が加わった場合における、出力波形の一例を示す図である。
本実施形態のタッチ検出装置Aにおいては、「タッチ検出」処理を行うサブルーチンとして、
図8のフローチャートが実行される。
すなわち、
図8に示すタッチ検出フローにおいては、まず、1msに亘って圧電素子6に交流電圧を印加して、検知部4の接触部16を励振する。
つぎに、交流電圧の印加停止後の1ms間の残響の大きさによって、使用者が検知部4に触れているか否かを判定している。
なお、
図8に示すタッチ検出フローは、マイクロコンピュータ22及びプログラムによって構成された接触判定回路22aにより実行される。
【0058】
まず、
図8のステップS21において、圧電素子6への交流電圧の印加が開始される(
図4、
図5及び
図9の時刻t1)。
そして、交流電圧の印加開始から1ms経過するまで継続される(ステップS22、S23)。
【0059】
つぎに、
図8のステップS24においては、交流電圧の印加停止後、検波出力(信号変換回路26からの出力)のA/D変換を行う。
なお、このステップS23の所要時間を250μsとする。ステップS25では、このA/D変換を行った検波出力が、衝撃を判定する閾値(これを「衝撃・振幅閾値」とする)を越えていないかをチェックする。
すなわち、検波出力の瞬間的な振幅が、「衝撃・振幅閾値」を越えて異常に大きい場合に、検知部3の接触部16に衝撃が加わったと判定する。検波出力が「衝撃・振幅閾値」を越えていた場合は、直ちにステップS32に進み、タッチ検出の結果を「衝撃」があったと判定してステップS33より
図6のメインフローに戻る。この場合は、
図1及び
図2に示すように、マイクロコンピュータ22から水栓コントローラ12に「衝撃判定出力」が出力される。
なお、この「衝撃・振幅閾値」は、例えば、通常の検波出力の最大値の約150%の大きさに設定されている。
【0060】
ステップS24で検波出力が「衝撃・振幅閾値」を越えていない場合、ステップS26に進み、検波出力を「検波出力合計値」として加算する。
つぎに、ステップS27でステップS23のパルス出力の終了から1msが経過していないかチェックする。1msを経過していない場合、ステップS24に戻って、同様の動作を繰り返す。こうしてステップS27で1msが経過するまで、(1回のA/Dが250μsなので)計4回のA/D変換が行われ、4回分の検波出力の合計値が「検波出力合計値」として記憶される。
このように、検波出力の複数回(ここでは4回)のA/D値は、
図4、
図5、
図9の下段の検波出力の時刻t2以降の斜線分の面積に相当し、すなわち励振停止後の検知部4及び圧電素子6の振動エネルギー(残響の大きさ)に相当する値となる。
【0061】
つぎに、ステップS28では、検波出力合計値が、それ以下であれば「使用者の手指等が検知部4の接触部16にタッチされている」と判定できる閾値である「タッチ・合計閾値」以下であるかをチェックする。
検波出力合計値が「タッチ・合計閾値」以下の場合には、ステップS30に進み、使用者の手指等が検知部4の接触部16にタッチしている、すなわち、「タッチ」と判定される。
これは、使用者が「タッチ」している場合には、残響振動が早期に減衰するため、残響の大きさ(
図5下段の斜線部分の面積)が減少するためである。
そして、
図1及び
図2に示すように、マイクロコンピュータ22から水栓コントローラ12に「タッチ」の検出が確定されたことを示す判定出力(「タッチ判定出力」)が出力される。
【0062】
一方、ステップS28で検波出力合計値が「タッチ・合計閾値」を越える場合、ステップS29に進んで「衝撃・合計閾値」と比較される。
検波出力合計値がこの値以下であれば、正常な範囲で残響が発生していると判断され、ステップS31に進み「非タッチ」と判定される。
この場合は、
図1及び
図2に示すように、マイクロコンピュータ22から水栓コントローラ12に「タッチ判定出力」も「衝撃判定出力」も出力されない。
【0063】
一方、ステップS29で検波出力合計値が「衝撃・合計閾値」を越える場合、正常な状態の残響としては大きすぎるため、検知部4の接触部16に衝撃による振動が加わったと判断し、ステップS32へ進んで「衝撃」があったと判定する。この後は、ステップS25からステップS32に進んだ場合と同様に、
図1及び
図2に示すように、マイクロコンピュータ22から水栓コントローラ12に「衝撃判定出力」が出力される。
【0064】
なお、合計閾値の設定であるが、通常の非タッチ状態における検波出力合計値に対し、「タッチ・合計閾値」は80%、「衝撃・合計閾値」は120%の値に設定されている。
このように、励振停止後の検知部4及び圧電素子6の振動エネルギーを、残響の面積に相当する検波出力合計値により判定するため、エネルギーの大小を、検波出力の単なる振幅で判断するよりも高精度に、かつ定量的に判定でき、閾値を細かく設定することができる。その結果、タッチの検出をより高感度にでき、タッチ検出の操作性を向上できる。
さらに、衝撃の検出においても、残響の面積というエネルギー量を基に判断できるため、高い確度で衝撃を検出し、確実に水栓装置の誤吐水を防止できる。
また、
図8のステップS25のように、検波出力の瞬間的な値で衝撃を検出する判定も併用可能であり、更に衝撃検出の確度を上げることができる。
さらに、
図8のフローによる方法では、検波出力をA/D変換を行っている間しか衝撃の検出ができないが、
図6のステップS11のように、
図2の衝撃判定回路30を用いて、A/D変換の実行を不要として、常時、衝撃の有無を監視することもできる。
以上のように、多様な手段、多様なタイミングで衝撃検出を実行することで、衝撃の発生を見逃すことなく、水栓装置の誤吐水を防止できるようになる。
【0065】
上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1によれば、衝撃判定回路30が検知部4の接触部16に衝撃が加わったことを判定した場合には、水栓コントローラ12により吐水口2dの吐水を禁止する吐水制御が行われるため、意図しないタッチ操作用の操作部Bの操作による誤吐水を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、接触判定回路22a及び衝撃判定回路30に対して共通な検知部4の接触部16の振動エネルギーに関する第1の所定の閾値であるタッチ・合計閾値や第2の所定の閾値である衝撃・合計閾値に基づいて、接触判定や衝撃判定を効率良く行うことができると共に、これらの接触判定や衝撃判定をそれぞれ行うための検知手段を別々に設ける必要がないため、簡易な構造にすることもできる。
【0067】
さらに、本実施形態の水栓装置1によれば、例えば、水栓装置1の基部2aに対して取り外した状態のシャワーヘッド部2cを落下させてしまい、検知部4の接触部16に衝撃が加わった場合に、衝撃判定回路30が検知部4の接触部16に衝撃が加わったことを判定することにより、水栓コントローラ12が吐水口2dの吐水を所定期間禁止する吐水制御を行っているため、落下したシャワーヘッド2cを拾い上げる際に検知部4の接触部16に誤って対象物を接触させて意図しない操作部Bの操作による誤吐水が行われることを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、衝撃判定回路30が検知部4の接触部16に衝撃が加わったことを判定してから所定期間吐水を禁止している旨を報知する報知部32により、吐水が禁止されている状態であることを確認することができるため、故障と勘違いし難くすることができる。
【0069】
さらに、本実施形態の水栓装置1によれば、吐水部の吐水が禁止された後に、復帰手段により意図的に吐水可能な状態に復帰させることができるため、必要最小限の間だけ吐水を禁止することができる。
【0070】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、検知部4の接触部16の表面の中央部が突出した形状に形成されていることにより、例えば、使用者の手指等の対象物が検知部4の接触部16に触れ易いため、使い勝手が向上する反面、検知部4の接触部16に衝撃が加わった際や、水栓装置1の水栓本体2の基部2aに対して取り外した状態のシャワーヘッド部2cを落下後に拾い上げる際にも検知部4の接触部16が反応し易くなってしまうが、衝撃判定回路30による衝撃判定により吐水を禁止することができるため、意図しない操作部Bの操作による誤吐水を抑制することができる。
【0071】
つぎに、
図10を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態による水栓装置のタッチ検出装置の検出回路を示す回路である。
ここで、
図10に示す本発明の第2実施形態による水栓装置のタッチ検出装置の検出回路において、
図2に示す発明の第1実施形態による水栓装置1のタッチ検出装置Aの検出回路14と同一部分については、同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
図10に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置のタッチ検出装置の検出回路114においては、衝撃回路130の構成のみが、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1のタッチ検出装置Aの検出回路14の衝撃判定回路30の構成と異なっている。
具体的には、衝撃回路130は、電気抵抗130a及び2つのダイオード130b,130cからなる保護回路を備えている。
電気抵抗130aの一方の端子は、分圧回路28の電気抵抗28b,28cの接続点に接続され、他方の端子は、2つのダイオード130b,130cの接続点に接続されており、これらのダイオード130b,130cの接続点は、マイクロコンピュータ22の第3のポートP3の入力端子に接続されている。
また、ダイオード130bの一方の端子は、電源に接続され、他方の端子は、ダイオード130cの一方の端子と接続されている。
さらに、ダイオード130cの他方の端子は、アースに接続されている。
【0072】
上述した本発明の第2実施形態による水栓装置によれば、タッチ検出装置の検出回路114の衝撃判定回路130が、電気抵抗130a及び2つのダイオード130b,130cからなる保護回路を備えていることにより、仮に、検知部4の接触部16及び圧電素子6に大きな衝撃が加わり、駆動回路24や検波回路26に大きな電圧レベルが印加されたとしても、簡易で安価な衝撃判定回路130でマイクロコンピュータ22のポートP3の入力端子が破壊されず、かつHiレベルの状態を検出可能な電圧レベルまで確実に低下させることができる。
したがって、衝撃判定回路130による確実な衝撃判定を行うことができるため、意図しないタッチ操作用の操作部Bの操作による誤吐水を確実に抑制することができる。
【0073】
なお、上述した本発明の第1実施形態及び第2実施形態による水栓装置の検出回路114,114の衝撃判定回路30,130のそれぞれの構成については、例にすぎず、要するに、マイクロコンピュータ22が衝撃判定出力を行うための信号入力を確実に行うことができる衝撃判定回路であればよい。