特許第6741257号(P6741257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741257
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】電子機器の放熱構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20200806BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20200806BHJP
【FI】
   H05K7/20 B
   H05K7/20 G
   H05K7/20 F
   !H05K9/00 U
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-217113(P2018-217113)
(22)【出願日】2018年11月20日
(65)【公開番号】特開2020-88050(P2020-88050A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2018年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中山 史人
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−93138(JP,A)
【文献】 特開2005−129820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板における発熱部品の実装面の側に配置され、前記発熱部品に接触する第1の樹脂製放熱部材と、
前記基板を前記第1の樹脂製放熱部材とで挟み込むように、前記基板における前記発熱部品の実装面に対して逆側に配置される第2の樹脂製放熱部材と、
前記第1の樹脂製放熱部材及び前記第2の樹脂製放熱部材の外側面と隙間を開けて前記第1の樹脂製放熱部材及び前記第2の樹脂製放熱部材を囲む側壁部を有するカバー部材と、
前記カバー部材の下部に形成され、前記カバー部材の外部から空気を吸気する第1の吸気口と、前記カバー部材の上部に形成され、吸気した空気を排気する第1の排気口と、を有し、前記第1の樹脂製放熱部材と前記カバー部材との隙間に空気が通過する第1の通気路と、
前記カバー部材の下部に形成され、前記カバー部材の外部から空気を吸気する第2の吸気口と、前記カバー部材の上部に形成され、吸気した空気を排気する第2の排気口と、を有し、前記第2の樹脂製放熱部材と前記カバー部材との隙間に空気が通過する第2の通気路と、
を備える、電子機器の放熱構造。
【請求項2】
前記第2の樹脂製放熱部材の少なくとも一部は、前記発熱部品が配置される領域を前記基板における当該発熱部品の実装面に対して逆側から覆うように前記基板に接触する、請求項1に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記第1の排気口及び前記第2の排気口と隙間を開けて前記第1の排気口及び前記第2の排気口を覆う蓋部を備える、請求項1又は2に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項4】
前記吸気した空気を前記第1の樹脂製放熱部材と前記第2の樹脂製放熱部材との間に導く誘導部を備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項5】
前記第1の樹脂製放熱部材は、当該第1の樹脂製放熱部材の外側面に形成された第1の放熱フィンを備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項6】
前記第2の樹脂製放熱部材は、当該第2の樹脂製放熱部材の外側面に形成された第2の放熱フィンを備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項7】
前記第1の樹脂製放熱部材は、前記発熱部品と接触する第1の平坦面を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項8】
前記第2の樹脂製放熱部材は、前記第1の平坦面と対向する第2の平坦面を備え、
前記第2の平坦面は、少なくとも前記発熱部品が配置される領域を前記基板における当該発熱部品の実装面に対して逆側から覆うように前記基板に接触する、請求項に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電子機器の放熱構造と、
前記発熱部品が実装された基板と、
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器の放熱構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子機器は、基板に実装された半導体チップなどの発熱部品の熱を放熱できる構成とされている。例えば、特許文献1の電子機器の放熱構造は、基板に実装された発熱部品を樹脂製のカバー部材に形成された熱伝達用突起部に接触させ、発熱部品の熱を熱伝達用突起部を介してカバー部材に伝達して放熱する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−182182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電子機器の放熱構造は、発熱部品の熱をカバー部材に伝達して放熱する構成とされているため、カバー部材が加熱される。そのため、電子機器が稼働中は、カバー部材が高温になる。
【0005】
本明細書に開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、当該課題の解決に寄与する電子機器の放熱構造及び電子機器を提供することである。なお、この目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の電子機器の放熱構造は、
基板における発熱部品の実装面の側に配置され、前記発熱部品に接触する第1の樹脂製放熱部材と、
前記基板を前記第1の樹脂製放熱部材とで挟み込むように、前記基板における前記発熱部品の実装面に対して逆側に配置される第2の樹脂製放熱部材と、
前記第1の樹脂製放熱部材及び前記第2の樹脂製放熱部材の外側面と隙間を開けて前記第1の樹脂製放熱部材及び前記第2の樹脂製放熱部材を囲む側壁部を有するカバー部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様によれば、電子機器が稼働中にカバー部材の加熱を抑制することができる電子機器の放熱構造及び電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態の電子機器を模式的に示す分解図である。
図2】実施の形態の電子機器を模式的に示す断面図である。
図3】実施の形態の電子機器における発熱部品周辺を拡大して示す断面図である。
図4】実施の形態の電子機器における第1の樹脂製放熱部材を模式的に示す斜視図である。
図5】実施の形態の電子機器における第1の樹脂製放熱部材を模式的に示す異なる斜視図である。
図6】実施の形態の電子機器における第2の樹脂製放熱部材を模式的に示す斜視図である。
図7】発熱部品を覆うシールドケースに伝達された熱をサーマルパッド及び放熱用金属板を介して第1の樹脂製放熱部材に伝達する構成とした電子機器を示す分解図である。
図8】実施の形態の電子機器において、電子機器の外部の空気を第1の樹脂製放熱部材と第2の樹脂製放熱部材との間に導く様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
図1は、本実施の形態の電子機器を模式的に示す分解図である。図2は、本実施の形態の電子機器を模式的に示す断面図である。図3は、本実施の形態の電子機器における発熱部品周辺を拡大して示す断面図である。なお、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。ここで、Z軸+側が電子機器の上側であり、Z軸−側が電子機器の下側である。
【0011】
電子機器1は、例えば、無線通信機器である。電子機器1は、図1に示すように、基板2及び放熱構造3を備えている。基板2は、電子機器1としての機能を実現するために、基板2のX軸+側の面及びX軸−側の面の少なくとも一方の面に発熱部品4が実装されている。発熱部品4は、半導体チップなどである。
【0012】
本実施の形態では、発熱部品4として、図1及び図2に示すように、基板2のX軸+側の面に2つの発熱部品4a、4bが実装され、基板2のX軸−側の面に1つの発熱部品4cが実装されているが、発熱部品4の実装面及び個数は、適宜、変更することができる。
【0013】
放熱構造3は、発熱部品4の熱を放熱する。放熱構造3は、第1の樹脂製放熱部材10、第2の樹脂製放熱部材11及びカバー部材12を備えている。ここで、本実施の形態では、放熱構造3として、さらにシールドケース13及びサーマルパッド14を備えている。
【0014】
シールドケース13は、図1及び図3に示すように、発熱部品4を覆う。詳細には、シールドケース13は、発熱部品4の表面を覆うことができるように箱形状を基本形態としている。そして、シールドケース13は、例えば、外部からの電磁波の侵入を抑制できるように金属製である。
【0015】
シールドケース13における基板2に対して逆側の面は、YZ平面と略平行な平坦面に形成されている。但し、シールドケース13の形状及び材質は、電子機器1の種類に応じて変更でき、例えば、樹脂製であってもよい。
【0016】
サーマルパッド14は、図2及び図3に示すように、発熱部品4とシールドケース13との間に配置されている。詳細には、サーマルパッド14は、発熱部品4における基板2に対して逆側の面を覆うことができる形状、例えば、略矩形状に形成されたシート体である。そして、サーマルパッド14は、発熱部品4の熱を伝達可能な材質、例えば、ウレタン系の樹脂製である。但し、サーマルパッド14の形状及び材質は、発熱部品4の形状や発熱温度などに応じて、適宜、選択することができる。
【0017】
サーマルパッド14における基板2の側の面は、発熱部品4における基板2に対して逆側の面に略面接触し、サーマルパッド14における基板2に対して逆側の面は、シールドケース13における基板2の側の面(内側面)に略面接触している。そのため、発熱部品4の熱は、基板2だけでなく、サーマルパッド14を介してシールドケース13に伝達される。
【0018】
第1の樹脂製放熱部材10は、基板2に対してX軸+側に配置されている。ここで、図4は、本実施の形態の電子機器における第1の樹脂製放熱部材を模式的に示す斜視図である。図5は、本実施の形態の電子機器における第1の樹脂製放熱部材を模式的に示す異なる斜視図である。
【0019】
詳細には、第1の樹脂製放熱部材10は、図2及び図4に示すように、Y軸+側から見て略略C字形状を基本形態としている。そして、第1の樹脂製放熱部材10は、図4及び図5に示すように、第1の水平部10a、第2の水平部10b、鉛直部10c、爪部10d及び係合突部10eを備えている。
【0020】
第1の水平部10aは、鉛直部10cのZ軸+側の端部からX軸+側に突出している。第2の水平部10bは、鉛直部10cのZ軸−側の端部からX軸+側に突出している。鉛直部10cは、第1の水平部10aと第2の水平部10bとを連結している。
【0021】
爪部10dは、図2及び図5に示すように、鉛直部10cのZ軸+側の端部からX軸−側に突出しており、基板2のZ軸+側の端部が引っ掛けられている。係合突部10eは、鉛直部10cのZ軸−側の端部からX軸−側に突出しており、XY平面と略平行な板状を基本形態としている。
【0022】
このような第1の樹脂製放熱部材10は、基板2に対してX軸+側に配置された状態で、鉛直部10cの一部が、基板2のX軸+側の面に実装された発熱部品4a、4bを個々に覆うシールドケース13のX軸+側の面と接触している。これにより、発熱部品4a、4bの熱は、サーマルパッド14、シールドケース13を介して第1の樹脂製放熱部材10に伝達される。
【0023】
このとき、鉛直部10cのX軸−側の面には、基板2のX軸+側の面に実装された発熱部品4a、4bを個々に覆うシールドケース13のX軸+側の面とそれぞれ略面接触する第1の平坦面10f及び第2の平坦面10gが形成されているとよい。これにより、発熱部品4a、4bの熱を効率良く第1の樹脂製放熱部材10に伝達することができる。
【0024】
なお、第1の平坦面10f及び第2の平坦面10gは、シールドケース13のX軸+側の面の全域に略面接触することができる形状であるとよい。ちなみに、図5では、Z軸−側に向かうに従ってY軸−側に向かうハッチングで、発熱部品4aを覆うシールドケース13と略面接触する第1の平坦面10fを示し、Z軸−側に向かうに従ってY軸+側に向かうハッチングで、発熱部品4bを覆うシールドケース13と略面接触する第2の平坦面10gを示している。
【0025】
第2の樹脂製放熱部材11は、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11とで基板2を挟み込むように当該基板2に対してX軸−側に配置されている。ここで、図6は、本実施の形態の電子機器における第2の樹脂製放熱部材を模式的に示す斜視図である。
【0026】
詳細には、第2の樹脂製放熱部材11は、図2に示すように、Y軸+側から見て略C字形状を基本形態としている。そして、第2の樹脂製放熱部材11は、第1の水平部11a、第2の水平部11b、鉛直部11c、爪部11d、支持部11e及び係合溝部11fを備えている。
【0027】
第1の水平部11aは、鉛直部11cのZ軸+側の端部からX軸−側に突出している。第2の水平部11bは、鉛直部11cのZ軸−側の端部からX軸−側に突出している。鉛直部11cは、第1の水平部11aと第2の水平部11bとを連結している。
【0028】
爪部11dは、鉛直部11cのZ軸+側の端部からX軸+側に突出しており、基板2のZ軸+側の端部が引っ掛けられている。ここで、爪部11dは、第1の樹脂製放熱部材10の爪部10dと干渉しないように、Z軸方向から見て互い違いに配置されている。
【0029】
支持部11eは、鉛直部11cのZ軸−側の端部からX軸+側に突出しており、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11とで基板2を挟み込んだ状態で、基板2のZ軸−側の端部が載置されている。
【0030】
つまり、基板2は、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11とで挟み込まれた状態で、第1の樹脂製放熱部材10の爪部10d及び第2の樹脂製放熱部材11の爪部11dと支持部11eとで支持されることになる。
【0031】
係合溝部11fは、支持部11eのZ軸+側の面に形成されており、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11とで基板2を挟み込んだ状態で、第1の樹脂製放熱部材10の係合突部10eが係合されている。これにより、第1の樹脂製放熱部材10に対して第2の樹脂製放熱部材11が位置決めされている。
【0032】
このような第2の樹脂製放熱部材11は、基板2に対してX軸−側に配置された状態で、鉛直部11cの一部が、基板2のX軸−側の面に実装された発熱部品4cを覆うシールドケース13のX軸−側の面や発熱部品4aが配置された領域を基板2を介してX軸−側から覆うように当該基板2と接触する。
【0033】
これにより、発熱部品4aの熱は、基板2を介して第2の樹脂製放熱部材11に伝達される。また、発熱部品4cの熱は、サーマルパッド14、シールドケース13を介して第2の樹脂製放熱部材11に伝達される。
【0034】
このとき、鉛直部11cのX軸+側の面には、図6に示すように、第1の平坦面11g及び第2の平坦面11hを備えているとよい。第1の平坦面11gは、基板2のX軸−側の面に実装された発熱部品4cを覆うシールドケース13のX軸−側の面と略面接触する。
【0035】
第2の平坦面11hは、第1の樹脂製放熱部材10における発熱部品4aを覆うシールドケース13と略面接触する第1の平坦面10fと対向するように配置され、少なくとも発熱部品4aが配置された領域を基板2を介してX軸−側から覆うように当該基板2と略面接触する。
【0036】
これにより、発熱部品4a、4cの熱を効率良く第2の樹脂製放熱部材11に伝達することができる。なお、第1の平坦面11gは、シールドケース13のX軸−側の面の全域を覆うことができる形状であるとよい。また、第2の平坦面11hは、少なくとも発熱部品4aが配置された領域の全域を基板2を介してX軸−側から覆うことができる形状であるとよい。
【0037】
ちなみに、図6では、Z軸−側に向かうに従ってY軸−側に向かうハッチングで第1の平坦面11gを示し、Z軸−側に向かうに従ってY軸+側に向かうハッチングで第2の平坦面11hを示している。
【0038】
カバー部材12は、図1に示すように、カバー本体部12a及び底部12bを備えており、例えば、樹脂製である。カバー本体部12aは、側壁部12c及び天井部12dを備えている。側壁部12cは、筒形状を基本形態としており、図2に示すように、第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11の外側面と隙間を開けて第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11を囲むように配置されている。
【0039】
詳細には、側壁部12cの内周面と第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11の外周面との間には、第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11から側壁部12cに熱が伝達されることを抑制できる隙間が形成されている。つまり、側壁部12cの内周面と第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11の外周面との隙間は、断熱層として機能する。
【0040】
天井部12dは、側壁部12cのZ軸+側の開口部を塞ぐ。底部12bは、側壁部12cのZ軸−側の開口部を覆うように、側壁部12cの下部に固定されている。このようなカバー部材12の内部に、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11とで基板2が挟み込まれた状態で収容されており、第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11がボルト15によって天井部12dに固定されることで、基板2、第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11がカバー部材12に固定されている。
【0041】
また、第1の樹脂製放熱部材10の第2の水平部10bのZ軸−側の面からZ軸−側に突出する係合凸部10hが底部12bのZ軸+側の面に形成された第1の係合凹部12eに係合され、第2の樹脂製放熱部材11の第2の水平部11bのZ軸−側の面からZ軸−側に突出する係合突部(図示を省略)が底部12bのZ軸−側の面に形成された第2の係合凹部12fに係合されることで、基板2、第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11がカバー部材12に固定されている。
【0042】
このように放熱構造3及び電子機器1は、上述のように、第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11の外側面と隙間を開けて第1の樹脂製放熱部材10及び第2の樹脂製放熱部材11を囲むようにカバー部材12の側壁部12cが配置されている。そのため、電子機器1が稼働中にカバー部材12の加熱を抑制することができる。
【0043】
ここで、図7は、発熱部品を覆うシールドケースに伝達された熱をサーマルパッド及び放熱用金属板を介して第1の樹脂製放熱部材に伝達する構成とした電子機器を示す分解図である。なお、図7に示す電子機器100の第1の樹脂製放熱部材10は、後述する放熱フィン10iを省略した構成とされている。
【0044】
図7に示す電子機器100は、サーマルパッド101及び放熱用金属板102を介して第1の樹脂製放熱部材10に発熱部品4a、4bの熱を伝達する構成とされている。そのため、図7に示す電子機器100は、本実施の形態の電子機器1に比べて、必要とするサーマルパッドの数が増加してコストが嵩むと共に、電子機器100の組み立てが煩雑である。また、図7に示す電子機器100は、放熱用金属板102を用いているため、電子機器100を無線通信機器として構成した場合、アンテナ特性に悪影響を及ぼす。
【0045】
一方、本実施の形態の電子機器1は、図7に示す電子機器100に比べて、必要とするサーマルパッドの数を減少させることができ、コストを削減できると共に、電子機器1の組み立てが容易である。また、放熱用金属板102を用いていないため、電子機器1を無線通信機器として構成した場合、アンテナ特性への悪影響を軽減することができる。
【0046】
本実施の形態の放熱構造3は、図2に示すように、さらに第1の通気路16及び第2の通気路17を備えているとよい。詳細には、第1の通気路16は、カバー部材12の下部(例えば、底部12b)に形成された吸気口(第1の吸気口)16a、第1の樹脂製放熱部材10の第2の水平部10bに形成された第1の貫通部16b、第1の樹脂製放熱部材10の第1の水平部10aに形成された第2の貫通部16c、及びカバー部材12の上部(例えば、天井部12d)に形成された排気口(第1の排気口)16dを備えている。
【0047】
このとき、第1の樹脂製放熱部材10とカバー部材12との隙間で空気が発熱部品4から第1の樹脂製放熱部材10に伝えられた熱によって熱せられる。これにより、第1の樹脂製放熱部材10とカバー部材12との隙間で上昇気流が発生する。
【0048】
その結果、電子機器1の外部の空気が吸気口16aから吸気され、第1の貫通部16b、第1の樹脂製放熱部材10とカバー部材12との隙間、及び第2の貫通部16cを通過して排気口16dから排気される。このように第1の通気路16は、第1の樹脂製放熱部材10とカバー部材12との隙間に空気を通過させる構成となっている。
【0049】
第2の通気路17は、第1の通気路16と略等しい構成とされているため、重複する説明は省略するが、カバー部材12の下部(例えば、底部12b)に形成された吸気口(第2の吸気口)17a、第2の樹脂製放熱部材11の第2の水平部11bに形成された第1の貫通部17b、第2の樹脂製放熱部材11の第1の水平部11aに形成された第2の貫通部17c、及びカバー部材12の上部(例えば、天井部12d)に形成された排気口(第2の排気口)17dを備えている。
【0050】
そのため、電子機器1の外部の空気が吸気口17aから吸気され、第1の貫通部17b、第2の樹脂製放熱部材11とカバー部材12との隙間、及び第2の貫通部17cを通過して排気口17dから排気される。このように第2の通気路17は、第2の樹脂製放熱部材11とカバー部材12との隙間に空気を通過させる構成となっている。
【0051】
このような構成により、カバー部材12の内部に熱がこもることを抑制でき、発熱部品4の冷却効率を向上させることができる。ちなみに、図2では、第1の通気路16及び第2の通気路17での空気の流れをハッチングを施した矢印によって示している。
【0052】
このとき、図4に示すように、第1の樹脂製放熱部材10の鉛直部10cにおけるX軸+側の面に放熱フィン(第1の放熱フィン)10iを備えているとよい。放熱フィン10iは、鉛直部10cのX軸+側の面からX軸+側に突出しており、Z軸方向に延在している。このような放熱フィン10iは、第1の通気路16に配置されている。
【0053】
また、図示を省略するが、第2の樹脂製放熱部材11の鉛直部11cにおけるX軸−側の面に放熱フィン(第2の放熱フィン)を備えているとよい。第2の樹脂製放熱部材11の放熱フィンは、鉛直部11cのX軸−側の面からX軸−側に突出しており、Z軸方向に延在している。このような放熱フィンは、第2の通気路17に配置されている。
【0054】
このような構成により、第1の通気路16や第2の通気路17を通過する空気と第1の樹脂製放熱部材10や第2の樹脂製放熱部材11との接触面積を増加させることができ、発熱部品4の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0055】
なお、排気口16d及び17dがカバー部材12の天井部12dに形成されている場合、カバー部材12は、図2などに示すように、排気口16d及び17dとZ軸方向に間隔を開けた状態で当該排気口16d及び17dを覆う蓋部12gを備えているとよい。これにより、ユーザが排気口16d及び17dに触れることを抑制できる。
【0056】
また、放熱構造3は、吸気口16a又は17aから吸気された空気を、第1の樹脂製放熱部材10とカバー部材12との隙間又は第2の樹脂製放熱部材11とカバー部材12との隙間だけでなく、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11との間に導くことができる構成であるとよい。
【0057】
図8は、本実施の形態の電子機器において、電子機器の外部の空気を第1の樹脂製放熱部材と第2の樹脂製放熱部材との間に導く様子を模式的に示す図である。ちなみに、図8では、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11との間に導かれる空気の流れをハッチングを施した矢印によって示している。
【0058】
図8に示すように、第2の樹脂製放熱部材11の鉛直部11cが第1の樹脂製放熱部材10の鉛直部10cに対してZ軸−側に延在しており、第2の樹脂製放熱部材11の支持部11eが第1の樹脂製放熱部材10の第2の水平部10bのZ軸−側の領域まで延在している。
【0059】
そして、カバー部材12の底部12bのZ軸+側の面から誘導壁12hが突出している。誘導壁12hの少なくとも一部は、YZ平面と略平行に配置されており、誘導壁12hのZ軸+側の端部が第2の樹脂製放熱部材11の支持部11eのX軸+側の端部まで到達している。
【0060】
また、第1の樹脂製放熱部材10の鉛直部10cのZ軸−側の端部には、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11との間に空気を導くための貫通部10j及び空洞部10kが形成されている。
【0061】
このような構成により、第1の通気路16の吸気口16aから吸気された空気は、第1の貫通部16bから第1の樹脂製放熱部材10とカバー部材12との隙間に導かれると共に、第1の樹脂製放熱部材10の第2の水平部10b、誘導壁12h及び第2の樹脂製放熱部材11の支持部11eによって貫通部10jに導かれ、当該貫通部10jから空洞部10kに侵入する。
【0062】
つまり、第1の樹脂製放熱部材10の第2の水平部10b、誘導壁12h及び第2の樹脂製放熱部材11の支持部11eは、吸気した空気を第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11との間に導く誘導部として機能する。空洞部10kに侵入した空気は、上昇気流に乗って、第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11との間を通過する。
【0063】
これにより、シールドケース13の熱を放熱でき、発熱部品4の冷却効率をさらに向上させることができる。なお、誘導部の構成は、上述の限りでなく、吸気口16a又は17aから吸気された空気を第1の樹脂製放熱部材10と第2の樹脂製放熱部材11との間に導くことができる構成であればよい。
【0064】
上述した実施の形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0065】
上述した実施の形態の電子機器1は、無線通信機器に限らず、基板2に発熱部品4が実装された電子機器であればよく、その場合、シールドケース13やサーマルパッド14を省略してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 電子機器
2 基板
3 放熱構造
4(4a、4b、4c) 発熱部品
5 カバー部材
10 第1の樹脂製放熱部材
11 第2の樹脂製放熱部材、
12 カバー部材、12c 側壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8