特許第6741352号(P6741352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6741352ワイヤーロープ探傷装置およびワイヤーロープ探傷装置の調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741352
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】ワイヤーロープ探傷装置およびワイヤーロープ探傷装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/83 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
   G01N27/83
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-506702(P2018-506702)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2016059375
(87)【国際公開番号】WO2017163362
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和明
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 文武
(72)【発明者】
【氏名】関 哲朗
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−071603(JP,A)
【文献】 特開平09−290973(JP,A)
【文献】 特開2005−195472(JP,A)
【文献】 特開2010−111456(JP,A)
【文献】 特開平09−184824(JP,A)
【文献】 特開2015−166697(JP,A)
【文献】 特開2012−021857(JP,A)
【文献】 特開2010−256110(JP,A)
【文献】 特開2005−089172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − B66B 7/12
G01N 27/72 − G01N 27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーロープの軸方向のあらかじめ定められた設定区間に主磁路を形成する磁化器と、
前記設定区間内であって、前記磁化器から磁気的に絶縁されて配置され、前記ワイヤーロープの損傷部により発生する漏洩磁束を検出する検出コイルと、
前記ワイヤーロープが走行するガイド溝を有するガイドプレートと、
ガイドローラを含み、前記検出コイルを通過するワイヤーロープおよび前記検出コイルを通過するワイヤーロープに隣接するワイヤーロープの位置を規制する位置規制機構と、
を備え、
前記位置規制機構により、前記検出コイルを通過するワイヤーロープと前記ガイドプレートとの間、および前記検出コイルを通過するワイヤーロープに隣接するワイヤーロープと前記ガイドプレートとの間に一定の間隙を有するよう位置を規制されている
ワイヤーロープ探傷装置。
【請求項2】
前記ガイドプレートは、前記位置規制機構が前記ワイヤーロープと接触する接線との間に一定の間隙を有している
請求項1に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項3】
前記磁化器は、一対の励磁用の永久磁石と、各前記永久磁石の磁極面にそれぞれ配置された強磁性体から成る磁極片とを有し、
前記検出コイルは、前記磁極片同士の間に配置され、
前記ガイドプレートは、各前記磁極片に密着して配置されている
請求項1または2に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項4】
前記位置規制機構は、前記ガイドプレートに対して、前記ワイヤーロープの軸方向の両隣に配置されている
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項5】
前記位置規制機構は、前記検出コイルに対して、前記ワイヤーロープの並び方向の両隣にも配置されている
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項6】
前記位置規制機構において、前記ワイヤーロープとの接触部が、回動可能なローラで構成されている
請求項1から請求項までの何れか1項に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項7】
前記位置規制機構には、U字状の溝が設けられ、前記U字状の溝内を前記ワイヤーロープが摺動しながら通過する
請求項1から請求項までの何れか1項に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項8】
前記位置規制機構を前記ワイヤーロープに押しつける力発生部をさらに備えた
請求項1から請求項までの何れか1項に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項9】
前記力発生部は、弾性体である
請求項に記載のワイヤーロープ探傷装置。
【請求項10】
ワイヤーロープが走行するU字状のガイド溝と、前記ワイヤーロープの軸方向のあらかじめ定められた設定区間に主磁路を形成する磁化器と、前記設定区間内であって、前記磁化器から磁気的に絶縁されて配置され、前記ワイヤーロープの損傷部により発生する漏洩磁束を検出する検出コイルとから構成されたプローブと、前記ワイヤーロープに接触する位置規制機構と、を備えたワイヤーロープ探傷装置の調整方法であって、
前記ガイド溝に係合するガイド溝接触部と、前記位置規制機構のガイドローラまたはガイドブロックに係合するガイドローラ接触部またはガイドブロック接触部とを有する治具によって、前記プローブと前記位置規制機構との相対位置関係を調整する
ワイヤーロープ探傷装置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ、ホイスト、クレーン等に用いられるワイヤーロープの損傷を検出するワイヤーロープ探傷装置およびワイヤーロープ探傷装置の調整方法に関する。以下、ワイヤーロープ探傷装置をロープテスタとも称する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイヤーロープの軸方向に磁化する磁化手段と、この磁化手段によって磁化されるワイヤーロープの部分の近傍に配置され、ワイヤーロープの部分に生じている損傷部から漏洩する漏洩磁束を検出する磁気センサと、ワイヤーロープに対して磁化手段および磁気センサを位置決めさせる位置決め機構とを備えたロープテスタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このロープテスタでは、ワイヤーロープの振動を抑制するために、位置決め機構が、ワイヤーロープの外周の少なくとも3箇所で囲むように接触して回転する回転体からなり、この回転体の回転軸とワイヤーロープのストランドの撚り方向とのなす角度が直角となるように配置された接触部と、この接触部がワイヤーロープに密着する力を生じさせる力発生手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4638935号明細書
【特許文献2】特開2005−154042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、接触部と力発生手段とを備えたロープテスタでは、ロープテスタを通過しているワイヤーロープの振動を低減することができる。しかしながら、複数本のワイヤーロープが並行して配置されている箇所におけるワイヤーロープ探傷測定において、ワイヤーロープ断線箇所検出精度に悪影響を与えるのは、ロープテスタを通過している測定対象のワイヤーロープの振動だけではなく、隣接するワイヤーロープの振動も悪影響を与える。
【0006】
すなわち、ロープテスタの磁化手段によって発生した磁束は、測定対象であるワイヤーロープのみならず隣接するワイヤーロープも通過するため、隣接するワイヤーロープが振動した場合、隣接するワイヤーロープに流れる磁束密度が変動して磁気センサを通過する漏洩磁束密度も変動し、その変動がノイズとなって断線検出精度に悪影響を与えるという問題があった。以下、本明細書では、磁気センサを検出コイルと称する。
【0007】
この問題を解決するために、ロープテスタを複数個並べて各ワイヤーロープの振動を抑制する方法も考えられるが、ワイヤーロープの振動は、張力や表面性状により1本1本異なる。また、この振動抑制方法は、振動の振幅を低減することはできるものの、振動をなくすことは不可能なため、各ワイヤーロープ間および各ロープテスタ間では、必ず相対位置関係が変動する。その結果、隣接するワイヤーロープに流れる磁束量が変動して、断線検出精度に悪影響を与える可能性がある。
【0008】
なお、各ワイヤーロープ間および各ロープテスタ間の相対位置関係を安定させるためには、特許文献2の図1に示されるように、各ロープテスタを複数個並べた上で各々のロープテスタが相対的に動き得ないような構成にすればよいが、最も端に配置されているロープテスタは、ロープテスタが配置されていない側の隣接するワイヤーロープの振動の影響は受けてしまうため、断線検出精度が悪化する。
【0009】
さらなる対策として、測定対象のワイヤーロープの本数と同数のロープテスタを設置すれば課題を解決できるが、ワイヤーロープの本数が多い現場では、必要なロープテスタの台数が多くなり、重量が増加して作業性が低下する可能性がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、測定対象のワイヤーロープと隣接するワイヤーロープとの間隔を保持し、ワイヤーロープと検出コイルとの相対位置関係を安定させることにより、断線検出精度を向上させることができるワイヤーロープ探傷装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るワイヤーロープ探傷装置は、ワイヤーロープの軸方向のあらかじめ定められた設定区間に主磁路を形成する磁化器と、設定区間内であって、磁化器から磁気的に絶縁されて配置され、ワイヤーロープの損傷部により発生する漏洩磁束を検出する検出コイルと、ワイヤーロープが走行するガイド溝を有するガイドプレートと、ガイドローラを含み、検出コイルを通過するワイヤーロープおよび前記検出コイルを通過するワイヤーロープに隣接するワイヤーロープの位置を規制する位置規制機構と、を備え、位置規制機構により、検出コイルを通過するワイヤーロープとガイドプレートとの間、および検出コイルを通過するワイヤーロープに隣接するワイヤーロープガイドプレートとの間に一定の間隙を有するよう位置を規制されているものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るワイヤーロープ探傷装置によれば、検出コイルを通過するワイヤーロープと、検出コイルを通過するワイヤーロープに隣接するワイヤーロープとの間隔は、位置規制機構により保持される。
そのため、測定対象のワイヤーロープと隣接するワイヤーロープとの間隔を保持し、ワイヤーロープと検出コイルとの相対位置関係を安定させることにより、断線検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態1に係るロープテスタを示す斜視図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るロープテスタのガイドプレートを取り外した状態を示す斜視図である。
図3】この発明の実施の形態1に係るロープテスタのプローブの断面を示す模式図である。
図4図3に示した局所的漏洩磁束の流れを示す拡大図である。
図5】この発明の実施の形態1に係るロープテスタを示す側面図である。
図6】この発明の実施の形態1に係るロープテスタを示す立面図である。
図7】この発明の実施の形態1に係るロープテスタの調整作業を行う調整治具を示す斜視図である。
図8図7に示した調整治具による調整作業の様子を示す斜視図である。
図9】この発明の実施の形態1に係る別のロープテスタを示す斜視図である。
図10】この発明の実施の形態2に係るロープテスタを示す斜視図である。
図11】この発明の実施の形態2に係る別のロープテスタを示す斜視図である。
図12】この発明の実施の形態3に係るロープテスタを示す斜視図である。
図13】この発明の実施の形態4に係るロープテスタを示す斜視図である。
図14】この発明の実施の形態4に係るロープテスタをエレベータの巻上機に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係るワイヤーロープ探傷装置およびワイヤーロープ探傷装置の調整方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るロープテスタを示す斜視図である。図1において、ロープテスタ1aは、大きく分けて中央のプローブ2a、プローブ2aを挟んで両端に設けられた位置規制機構4a、4b、およびプローブ2aと位置規制機構4a、4bとを接続する接続部5aから構成され、ワイヤーロープ6a、6b、6cが案内されている。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1に係るロープテスタのガイドプレートを取り外した状態を示す斜視図である。図2において、プローブ2aは、ワイヤーロープ6bが走行するための略U字状のガイド溝7を有するガイドプレート3aを備えている。また、プローブ2aは、磁化器により走行するワイヤーロープ6bの軸方向のあらかじめ定められた設定区間に主磁路を形成するとともに、ワイヤーロープ6bの損傷部により発生する漏洩磁束を検出コイル8により検出するものである。
【0017】
プローブ2aの磁化器は、ワイヤーロープ6bの軸方向の設定区間に主磁路を形成するためのものであり、鉄等の強磁性体を材料とするバックヨーク9と、バックヨーク9の両端上に互いにその極性を逆にして配置された一対の励磁用の永久磁石10a、10bと、各永久磁石10a、10bに対して、バックヨーク9と反対側の磁極面に配置された強磁性体から成る磁極片11a、11bとから構成されている。磁極片11a、11bは、その上部がワイヤーロープ6bの外周曲率に沿うように略U字状となっている。
【0018】
また、漏洩磁束を検出するための検出コイル8は、支持台12に貼りつけられており、支持台12は、永久磁石10a、10b、磁極片11a、11bおよびバックヨーク9により形成される主磁路から磁気的に絶縁されるように、非磁性材料で構成されている。ガイドプレート3aは、ステンレス等の非磁性材の材料からなり、検出コイル8との間に一定の間隙を持たせつつ、磁極片11a、11bのU字状部に概ね密着するように配置され、磁極片11a、11bおよび検出コイル8を保護する機能を果たす。
【0019】
図3は、この発明の実施の形態1に係るロープテスタのプローブの断面を示す模式図である。図3では、ワイヤーロープ損傷部13が、検出コイル8付近を通過するときの磁束の流れの様子を示している。図3において、永久磁石10aから発生した主磁束は、ワイヤーロープ6bを通り、永久磁石10bを経てバックヨーク9を通り、永久磁石10aに戻る。ワイヤーロープ損傷部13付近から発生した局所的漏洩磁束14は、非磁性のガイドプレート3a、検出コイル8および非磁性の支持台12を通り、ワイヤーロープ6bに戻る。
【0020】
図4は、図3に示した局所的漏洩磁束の流れを示す拡大図である。図4において、ワイヤーロープ6bの外側に出た局所的漏洩磁束14は、なるべく短い磁路でワイヤーロープ6bに戻ろうとするため、ワイヤーロープ6bの外側に分布する領域は小さくなる。図4下段のグラフ中、曲線a、b、cは、それぞれ図4上段の一点鎖線a、b、cの位置におけるワイヤーロープ径方向の磁束密度分布を示している。ここで、ワイヤーロープ損傷部13を起点として、ワイヤーロープ軸方向ならびにワイヤーロープ径方向に離れるほど、磁束密度の分布は小さくなる。
【0021】
このことから、ワイヤーロープ6bと検出コイル8との距離が変動すると、磁束密度が変動し、検出する信号の強度が変化することが分かる。また、ワイヤーロープ損傷部13で局所的漏洩磁束14を出すためには、ワイヤーロープ6b内を磁気飽和させる必要がある。磁気飽和していない場合、ワイヤーロープ損傷部13があっても磁束がワイヤーロープ6bから漏洩することはなく、ワイヤーロープ6b内の比較的磁束密度が低い箇所を通過するだけだからである。
【0022】
一方、磁気飽和している場合、ワイヤーロープ損傷部13以外からも磁束が漏洩し、検出コイル8を通過するため、ワイヤーロープ6bが振動すると、検出コイル8を通過する磁束が変動し、ノイズの原因となる。ノイズが大きくなると、検出する信号がノイズに埋もれ、ロープテスタ1aのワイヤーロープ断線箇所検出精度が低下する。また、磁束は、ワイヤーロープ6bのみならず、隣接しているワイヤーロープ6a、6cも通過するため、隣接ワイヤーロープ6a、6cが振動しても、ワイヤーロープ6bと同様にノイズの原因となる。
【0023】
図5は、この発明の実施の形態1に係るロープテスタを示す側面図である。また、図6は、この発明の実施の形態1に係るロープテスタを示す立面図である。以下、図1、2、5、6を用いて、位置規制機構4a、4bについて説明する。
【0024】
位置規制機構4a、4bは、ガイドローラ支持台15a、15bと、ガイドローラ支持台15a、15bに回動可能な状態で支持され、ワイヤーロープ6a、6b、6cを案内する略楕円柱上状の回動可能なガイドローラ16a〜16fで構成されている。
【0025】
ガイドローラ16a〜16fは、凹状に湾曲した外周面を有しており、この外周面の中心部に、回動中心からの距離が最小となる円形を呈した半径最小部17a〜17fを有し、またこの半径最小部17a〜17fの両側に、半径最小部17a〜17fから反対方向へ寄るに従って回動中心からの半径が大きくなる一対の傾斜部を有している。
【0026】
また、プローブ2aのガイドプレート3aのガイド溝7方向および深さ方向に対して直交するように回動軸が設けられている。また、ガイドローラ16a〜16fのうち、中央に配置されているガイドローラ16b、16eの外周部の半径最小部17b、17eの最上部は、ガイドプレート3aのガイド溝7の最下部18よりもわずかに上側となるように配置されている。
【0027】
すなわち、プローブ2aの両側に設けられた位置規制機構4a、4bのガイドローラ16b、16eの外周面の円状を呈する半径最小部17b、17eのうち、ワイヤーロープ6bが接触する側の接線が、ガイドプレート3aとの間に一定の間隔を有している。つまり、ガイドプレート3aを貫通せずにガイドプレート3aのガイド溝7の最下部18を形成する直線とわずかな間隔を有して略平行となるように、位置規制機構4a、4bのガイドローラ16b、16eとガイドプレート3aとが配置されている。
【0028】
また、端に配置されているガイドローラ16a、16cは、中央に配置されているガイドローラ16bと同じ回動軸を持ち、同様にガイドローラ16d、16fは、ガイドローラ16eと同じ回動軸を持つ。ガイドローラ16a、16b、16cおよびガイドローラ16d、16e、16fは、それぞれ回動軸の軸方向に対して、ワイヤーロープ6a、6b、6cの間隔と同じ間隔で配置されており、回動軸の軸方向に動かないよう位置を規制されている。
【0029】
さらに、ガイドローラ16a〜16fの幅部19a〜19fの寸法は、ワイヤーロープ直径の公差の最大値となるように設定されているため、ワイヤーロープ6a、6b、6cは、等間隔、かつまっすぐにガイドローラ16a〜16fおよびガイド溝7を通った状態で、ワイヤーロープ6a、6b、6cの間隔が変動する方向に振動できないよう拘束される。
【0030】
この構成によれば、位置規制機構4a、4bは、ガイドローラ16a〜16fのうち、中央に配置されているガイドローラ16b、16eと測定対象のワイヤーロープ6bとを接触させることにより、プローブ2aのガイドプレート3aと測定対象のワイヤーロープ6bとの間に一定の間隙を設けて非接触とし、ガイドプレート3a上をワイヤーロープ6bが摺動しながら走行するときに発生する振動を防ぐと同時に、ガイドプレート3aの摩耗を防ぐことができる。
【0031】
また、ガイドローラ16a〜16fのうち、両端に配置されているガイドローラ16a、16c、16d、16fと測定対象のワイヤーロープ6bに隣接しているワイヤーロープ6a、6cとを接触させることにより、プローブ2aと隣接するワイヤーロープ6a、6cとの間隔を一定に保って相対位置関係を安定させつつ、隣接するワイヤーロープ6a、6cが振動によってガイドプレート3aの側面に接触して発生する振動を防ぎ、かつガイドプレート3aの摩耗も防ぐこともできる。
【0032】
ここで、位置規制機構4a、4bの効果は、プローブ2aと位置規制機構4a、4bとの相対位置関係が、前述の条件を満たしたときに初めて発揮される。例えば、位置規制機構4a、4bのガイドローラ16b、16eの外周面の円状を呈する半径最小部17b、17eのうち、ワイヤーロープ6bが接触する側の接線が、ガイドプレート3aとの間に一定の間隔を有していない場合について考える。
【0033】
つまり、ガイドプレート3aを貫通せずにガイドプレート3aのガイド溝7の最下部18を形成する直線とわずかな間隔を有して略平行となるように、位置規制機構4a、4bのガイドローラ16b、16eとガイドプレート3aとが配置されていない場合、ガイドプレート3aとワイヤーロープ6bとが接触し、振動が発生してロープテスタ1aの断線検出精度に悪影響を与えると同時に、ガイドプレート3aが摩耗、変形するため、ガイドプレート3aの寿命が短くなり、運用コストが上昇する。
【0034】
また、ガイドローラ16a〜16fのうち、両端に配置されているガイドローラ16a、16c、16d、16fと測定対象のワイヤーロープ6bに隣接しているワイヤーロープ6a、6cとが接触していない場合、接触していないワイヤーロープが拘束されず振動してロープテスタ1aの断線検出精度に悪影響を与える。
【0035】
これに加えて、接触していないワイヤーロープがガイドプレート3aと接触してプローブ2aに振動を発生させ、さらなるロープテスタ1aの断線検出精度の低下を引き起こすと同時に、ガイドプレート3aの摩耗、変形を招き、ガイドプレート3aの寿命が短くなって運用コストが上昇する。これらを防止するために、プローブ2aと位置規制機構4a、4bとの相対位置関係を調整する作業が必要となる。
【0036】
図7は、この発明の実施の形態1に係るロープテスタの調整作業を行う調整治具を示す斜視図である。また、図8は、図7に示した調整治具による調整作業の様子を示す斜視図である。図7では、プローブ2aと位置規制機構4a、4bとの相対位置関係を調整するための調整治具20を示し、図8では、プローブ2aと位置規制機構4a、4bとの相対位置関係を調整する作業内容を示している。この調整作業は、専用の調整治具20を用いて行う。
【0037】
図7において、調整治具20には、ベース板21の中央にガイド溝接触部22、両端にガイドローラ接触部23a〜23dが配置されており、ガイド溝接触部22は、鉄等の強磁性体で構成されている。ガイド溝接触部22およびガイドローラ接触部23a〜23dの先端は、半円柱形状になっており、その半径は、ワイヤーロープの半径と同等に設定されている。また、ガイド溝接触部22の先端の高さは、ガイドローラ接触部23a〜23dの先端よりも高く設定されている。
【0038】
両端に配置されたガイドローラ接触部23a、23bおよび23c、23dは、それぞれワイヤーロープの間隔の2倍の間隔でガイド溝接触部22の長手方向中心軸に対して線対照に配置されている。この状態で、ガイドローラ接触部23a〜23dとベース板21との間、またはガイド溝接触部22とベース板21との間にスペーサを挟むことにより、ガイド溝接触部22の先端の高さとガイドローラ接触部23a〜23dの先端の高さとの上下関係を自由に調整できる構成になっている。
【0039】
図8において、調整作業では、事前に接続部5aから位置規制機構4a、4bを取り外しておくか、または、例えば接続部5aと位置規制機構4a、4bとの接続がねじによる締結である場合は、ねじをゆるめ、位置規制機構4a、4bが可動な状態にしておく。
【0040】
この状態で、調整治具20のガイド溝接触部22をロープテスタ1aのガイドプレート3aのガイド溝7に、ロープテスタ1aの永久磁石による磁力により吸着させつつ、位置規制機構4a、4bのガイドローラ16a、16c、16d、16fの凹状部をそれぞれ調整治具20のガイドローラ接触部23a、23b、23c、23dに押し当てた状態で、位置規制機構4a、4bとプローブ2aとの相対位置関係が変化しないように、位置規制機構4a、4bの位置を固定する。
【0041】
この方法によれば、プローブ2aにおけるガイドプレート3aのガイド溝7と位置規制機構4a、4bのガイドローラ16a〜16fの凹状部との位置関係を、調整治具20のガイド溝接触部22およびガイドローラ接触部23a〜23dの位置関係に合わせて揃えることができるため、プローブ2aと位置規制機構4a、4bとの位置関係を精度よく決めることができる。
【0042】
また、ガイド溝接触部22およびガイドローラ接触部23a〜23dの高さ関係を調整することにより、プローブ2aにおけるガイドプレート3aのガイド溝7とガイドローラ16a〜16fの凹状部との高さ関係を調整でき、ワイヤーロープ6bとガイドプレート3aのガイド溝7との間隙の量を調整できるようになる。
【0043】
これらのプローブ、位置規制機構、接続部、調整治具の構成によれば、プローブと位置規制機構との位置決めを精度よく行うことができる上、その位置精度を持った位置規制機構により、測定対象のワイヤーロープおよび隣接するワイヤーロープの振動を軽減することができると同時に、各ワイヤーロープとプローブのガイドプレートとを非接触にすることができる。
【0044】
これにより、ワイヤーロープと検出コイルとの距離を安定させることができ、かつワイヤーロープとガイドプレートとが接触することによって発生する振動を軽減することができるため、各ワイヤーロープおよび検出コイルを通る磁束密度を安定させることができ、ロープテスタのワイヤーロープ断線箇所検出精度を飛躍的に向上させることができる。また、各ワイヤーロープとガイドプレートとが非接触のため、ガイドプレートの寿命を延ばすことができ、運用コストを下げることができる。
【0045】
また、位置規制機構により間隔が保持されるワイヤーロープの中に、検出コイルを通過しないワイヤーロープが含まれるので、プローブが接触していないワイヤーロープの経路も拘束することができ、検出コイルとワイヤーロープとの相対位置関係の変動を抑制できるため、ワイヤーロープ損傷部の検出精度を向上させることができる。
【0046】
また、位置規制機構において、ワイヤーロープとの接触部が、回動可能なローラで構成されているので、ワイヤーロープとロープテスタとの接触部がすべて摺動部でなくなるため、接触部で発生する振動を低減し、摩耗を防ぐことができる。
【0047】
以上のように、実施の形態1によれば、検出コイルを通過するワイヤーロープと、検出コイルを通過するワイヤーロープに隣接するワイヤーロープとの間隔は、位置規制機構により保持される。
そのため、測定対象のワイヤーロープと隣接するワイヤーロープとの間隔を保持し、ワイヤーロープと検出コイルとの相対位置関係を安定させることにより、断線検出精度を向上させることができる。
【0048】
なお、この実施の形態1では、ワイヤーロープを3本、プローブを1個、ガイドローラを6個としたが、これらの数に限定されることはない。例えば、同時測定したいワイヤーロープの本数が3本の場合、図9のようにプローブを3個、ガイドローラを14個とすれば、この実施の形態で得られた効果と同様の効果を得ることができる。式で表すならば、同時測定したいワイヤーロープの本数をnとした場合、プローブをn個、ガイドローラを4n+2個とすればよい。
【0049】
実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2に係るロープテスタ1bを示す斜視図である。上記実施の形態1では、位置規制機構の各ガイドローラが同じ回動軸を持つとしたが、これに限定されず、図10に示されるように、隣接するワイヤーロープ6d、6fに接触するガイドローラ16i、16jの位置を、プローブ2bの横に配置してもよい。なお、ガイドローラ16jは、ガイドローラ16iの裏側に設けられる。
【0050】
このような構成によれば、ガイドプレート3b至近で隣接するワイヤーロープ6d、6fを拘束することができるため、ワイヤーロープ6d、6fのプローブ2bに対する相対位置関係をさらに安定させることができ、上記実施の形態1と比較して、より高い断線検出精度効果とガイドプレート運用コストの低減効果を得ることができる。
【0051】
図11は、この発明の実施の形態2に係る別のロープテスタ1cを示す斜視図である。図11では、上記実施の形態1と2とを組み合わせたロープテスタ1cを示している。図11において、プローブ2cの両端には、ガイドローラ16k〜16pが配置され、プローブ2cの横には、ガイドローラ16q、16rが同時に配置されている。なお、ガイドローラ16rは、ガイドローラ16qの裏側に設けられる。
【0052】
このような構成によれば、ワイヤーロープ6g、6iを拘束することができるため、ワイヤーロープ6g、6iのプローブ2cに対する相対位置関係をさらに安定させることができ、より高い断線検出精度効果とガイドプレート運用コストの低減効果を得ることができる。
【0053】
実施の形態3.
図12は、この発明の実施の形態3に係るロープテスタ1dを示す斜視図である。上記実施の形態1および2では、位置規制機構におけるワイヤーロープとの接触部には、ガイドローラを配置していた。
【0054】
しかしながら、これに限定されず、ワイヤーロープが樹脂皮膜されている、グリスが表面に塗布されている等により、金属材料との摺動抵抗が小さい場合、または無視できる場合には、図12に示されるように、ガイドローラの代わりに、U字状の溝を備えたガイドブロック24a〜24fを用いてもよい。
【0055】
このような構成によれば、上記実施の形態1および2で挙げた断線検出精度の向上効果とガイドプレートの運用コスト低減効果を得つつ、ロープテスタの部品点数を減らすことができ、コストを削減することができる。
【0056】
実施の形態4.
図13は、この発明の実施の形態4に係るロープテスタ1eを示す斜視図である。また、図14は、この発明の実施の形態4に係るロープテスタ1eをエレベータの巻上機に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0057】
上記実施の形態1〜3において、各ガイドローラまたはガイドブロックがワイヤーロープに押しつけられる力は、プローブの磁石による磁力やロープテスタ1eにかかる重力のワイヤーロープ径方向への分力だった。ここで、各ワイヤーロープの振動を抑制する効果をさらに高めるために、より強い押付力が必要となる場合があり、例えば、弾性体による弾性力の追加が挙げられる。以下、ロープテスタに弾性体を追加した場合の構成例を説明する。
【0058】
図13において、ロープテスタ1eの接続部5bには、2本のガイドシャフト25a、25bが設けられており、2本のガイドシャフト25a、25bは、U溝部26が設けられた係合部27のブッシュ28a、28bに、ガイドシャフト25a、25bの軸方向に動作可能な状態で取り付けられている。
【0059】
また、ガイドシャフト25a、25bの接続部5bとは反対の端には、ガイドシャフト25a、25bがブッシュ28a、28bから抜けるのを防止するため、抜け防止29a、29bが設けられている。2本のガイドシャフト25a、25bの外径側には、それぞれのガイドシャフト25a、25bと同じ中心軸になるよう弾性体30a、30bが配置されている。
【0060】
図14において、2対のベース部31a、31bには、それぞれ取り付け用クランプ部32a、32bとシャフトクランプ部33a、33bとが設けられている。取り付け用クランプ部32a、32bは、取り付け用クランプねじ34a、34bを回すことにより開閉することが可能である。また、シャフトクランプ部33a、33bは、シャフトクランプねじ35a、35bを回すことにより、シャフトクランプ部33a、33bに挿入されたシャフト36の把持、解放が可能である。
【0061】
なお、図13、14では、ガイドシャフト、ブッシュ、弾性体をすべて2本ずつとしたが、2本である必要はなく、1本でも3本以上でもよい。1本の場合、プローブや位置規制機構がガイドシャフトを中心軸として回動可となる可能性があるが、プローブのガイド溝や位置規制機構のガイドローラにより、プローブや位置規制機構がワイヤーロープと平行な向きで固定されるため問題ない。
【0062】
また、3本以上の場合、弾性体の数も増加するのでより大きな押付力を得られる効果がある。ガイドシャフトの配置も制約はなく、ワイヤーロープの並び方向に配置したり、位置規制機構より外側に配置したりすることも可能である。
【0063】
以下、取り付け手順について説明する。まず、2対のベース部31a、31bを、エレベータの巻上機の機械台37に、取り付け用クランプ部32a、32bで機械台37の梁をクランプさせることにより固定する。次に、2つのベース部31a、31bそれぞれのシャフトクランプ部33a、33bにシャフト36を通す。
【0064】
続いて、シャフト36にロープテスタ1eのU溝部26の開口側から、シャフト36がU溝部26に係合するようにロープテスタ1eを取り付ける。最後に、弾性体30a、30bを必要に応じて一時的に押し縮めながら、シャフト36の中心を回転中心として、ロープテスタ1eの各ガイドローラ16s〜16xとワイヤーロープ6j、6k、6lとが接触する角度までロープテスタ1eを回転させ、各ガイドローラ16s〜16xとワイヤーロープ6j、6k、6lとを接触させる。
【0065】
このような構成によれば、弾性体30a、30bの弾性力でワイヤーロープ6j、6k、6lをより強い力で押し付けることができるため、ワイヤーロープの振動抑制効果をより高めることができ、ロープテスタの断線検出精度を向上させることができる。
【0066】
一方で、押付力を大きくした場合、従来ならばロープテスタのプローブのガイドプレートの損耗が早くなり、運用コストが増大する可能性があったが、この実施の形態の場合、各ワイヤーロープとガイドプレートは各ガイドローラによって各ワイヤーロープが拘束されていることにより非接触となっているため、ガイドプレート損耗の加速化を防ぐことができ、運用コストの増大を抑制することができる。
【0067】
なお、上記実施の形態4では、エレベータ巻上機の機械台に取り付ける例を挙げたが、これに限定されず、例えば、エレベータ、ホイスト、クレーン用ワイヤーロープの出荷試験機等、あらゆる設備にこのロープテスタを取り付けることができる。
【0068】
また、上記実施の形態4では、押付力の追加手段として弾性体を挙げたが、弾性体はばね、ゴム、ウレタン等何でもよく、さらに、弾性体以外でもエアシリンダ、モータ等あらゆる力発生部を適用することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14