(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741368
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 59/02 20060101AFI20200806BHJP
B65B 11/12 20060101ALI20200806BHJP
B65B 65/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
B65B59/02
B65B11/12
B65B65/00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-112491(P2016-112491)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-218172(P2017-218172A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101867
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 寿武
(72)【発明者】
【氏名】前田 啓一
(72)【発明者】
【氏名】増田 康弘
【審査官】
蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−190125(JP,U)
【文献】
実開昭63−104326(JP,U)
【文献】
実開昭63−126207(JP,U)
【文献】
特開平10−139020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/02
B65B 11/12
B65B 65/00
F16H 21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主駆動源からの駆動力を複数の作動部材にそれぞれ伝達してそれら複数の作動部材を駆動し、それら作動部材の動作をもって製品を包材で包む構成を備えた包装装置において、
前記作動部材の少なくとも一つを特定作動部材とし、
あらかじめ設定した長さに固定することができるとともに、この固定した状態を解除して伸縮自在となる駆動ロッドを備え、
前記特定作動部材は、あらかじめ設定した長さに固定した状態の前記駆動ロッドを介して前記主駆動源からの駆動力を伝達され、一方、前記駆動ロッドの固定した状態を解除して伸縮自在とすることで、前記主駆動源を停止したまま、当該駆動ロッドの伸縮動作をもって移動可能となる構成であることを特徴とした包装装置。
【請求項2】
前記駆動ロッドは、
前記主駆動源からの駆動力を前記特定作動部材へ伝達する動力伝達経路に組み込まれ、
前記動力伝達経路の上流側又は下流側の一方に一端が連結されるとともに、他端に開口する中空部が内部に形成された外筒ロッド部材と、
前記動力伝達経路の上流側又は下流側の他方に一端が連結されるとともに、前記外筒ロッド部材の中空部内に他端から挿入され当該中空部内で摺動自在な内ロッド部材と、
前記外筒ロッド部材の中空部から露出する前記内ロッド部材の部位に形成した係合部と、
前記外筒ロッド部材に組み込まれ、前記内ロッド部材の係合部に係脱自在なストッパと、を備え、
前記ストッパが前記係合部に係合する状態では、前記外筒ロッド部材に対して前記内ロッド部材が摺動できない固定状態が形成され、一方、前記ストッパによる前記係合部への係合が解除された状態では、前記外筒ロッド部材に対して前記内ロッド部材が摺動自在となることを特徴とする請求項1の包装装置。
【請求項3】
前記外筒ロッド部材に組み込まれ、前記ストッパを作動して、該ストッパを前記係合部に係合させ、またその係合させた状態を解除するストッパ駆動手段を備えたことを特徴とする請求項2の包装装置。
【請求項4】
前記係合部は、前記内ロッド部材に形成した周溝であり、
前記ストッパは、前記周溝に嵌って、前記内ロッド部材の前記外筒ロッド部材に対する摺動を規制する係止部を有し、
前記ストッパ駆動手段は、前記内ロッド部材に形成した周溝に前記係止部が嵌合する位置と、当該係止部が当該周溝から離間する位置との間で、前記ストッパを移動させる駆動シリンダ又は駆動モータであることを特徴とする請求項3の包装装置。
【請求項5】
あらかじめ設定した製品供給位置へ製品供給部材の駆動により製品を供給するとともに、当該製品供給位置の上方に設定した包材供給位置へ包材供給部材の駆動によりシート状の包材を供給配置し、
次に、製品供給位置に供給された製品を第1エレベータの駆動により上昇させ、その上昇させる過程で製品の上面および前後側面に包材を巻き付け、
次に、製品の後ろ側面から下方に延出している包材を、胴折り部材の駆動によって製品の下面に折り込み、
次に、製品搬送部材の駆動により製品を下流側へ搬送するとともに、その搬送する過程で製品の前側面から下方に延出している包材を製品の下面に折り込んで、包材による製品の胴巻き状態を形成し、
且つ、前記製品搬送部材の駆動に伴い、製品の左右側方へ突き出している包材の延出部を、製品の後ろ側および前側から折り込んで、製品の左右側方のそれぞれに、上側フラップと下側フラップとを形成し、
次に、前記製品搬送部材の駆動に伴い、製品の左右側方へ突き出している下側フラップを、製品の下側から上側へ折り込み、
次に、製品を第2エレベータの駆動により上昇させ、その上昇させる過程で製品の左右側方へ突き出している上側フラップを、製品の上側から下側へ折り込んで、製品の上包み包装を形成する包装装置において、
前記製品供給部材、包材供給部材、第1エレベータ、胴折り部材、製品搬送部材および第2エレベータの全部または一部が、前記主駆動源からの駆動力によって駆動する前記作動部材であって、
さらに、これら製品供給部材、包材供給部材、第1エレベータ、胴折り部材、製品搬送部材および第2エレベータの全部または一部の少なくとも一つを前記特定作動部材としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載した包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主駆動源からの駆動力を複数の作動部材にそれぞれ伝達してそれら複数の作動部材を駆動し、それら作動部材の動作をもって製品を包材で包む構成を備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製品をシート状の包材で上包み包装するための包装装置として、特許文献1に開示された構成の包装装置が知られている。この包装装置は、箱製品を包装紙で上包み包装する機能を備えている。すなわち、同文献1の第1図に示すように、箱製品(8)はプッシャー(12)によりエレベーター(3)の載置台(10a,10b)へ供給配置される。次に、エレベータ(3)が上昇し、その動作の過程で上方に配置されていた包装紙が、箱製品(8)の上面から両側面にかけて押圧接される。続いて、胴巻包装部(4)に設けた底折板(50)によって包装紙(7)が箱製品(8)の底面に折り込まれて、筒状に胴巻きされる。さらに、箱製品(8)はプッシャー(57)により移送路(5)を搬送され、最後にエレベーター(58)で上方に持ち上げられる。それら搬送および持ち上げの過程で、箱製品(8)を胴巻している包装紙(7)の延出部が折り込まれ、上包み包装が完成する。なお、括弧内の符号は、同文献1の図面に付された符号である。
【0003】
上述した従来の包装装置は、主駆動源である原動機(22)からの駆動力を、カム軸(19)を含む動力伝達機構を介して、プッシャー(12)、エレベータ(3)、底折板(50)、プッシャー(57)、エレベーター(58)等の作動部材に伝達して、それら作動部材を駆動する構成となっている。このように、一つの主駆動源により複数の作動部材を駆動する構成は、複数の作動部材をそれぞれ個別の駆動源により駆動する構成のものに比べ、駆動源の制御系統を簡素化でき、しかも各作動部材の動作タイミングを機械的に調整した後は、各作動部材の動作タイミングにズレが生じにくため高速運転にも適しているという利点がある。
【0004】
一方、運転中に包装不良が生じたときは、当該包装不良の製品に接する作動部材を後退させたり、僅かな距離だけ前進させたりして、その包装不良製品を包装経路から除去可能な状態を作り出す作業が必要となる。
しかし、一つの主駆動源により複数の作動部材を駆動する構成の包装装置では、包装不良製品に接する作動部材のみならず、主駆動源により駆動される作動部材が連動して後退動作や僅かな距離の前進動作といった緊急動作を行うため、包装経路において正常な包装動作の途中にある製品が、そのような作動部材の緊急動作に伴い損傷したり、その後の包装動作を継続することができなくなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭59−9404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みなされたもので、主駆動源からの駆動力を複数の作動部材にそれぞれ伝達してそれら複数の作動部材を駆動する構成の包装装置において、包装不良が生じた際に、主駆動源を作動させずに、包装不良製品を包装経路から除去可能な状態を作り出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、主駆動源からの駆動力を複数の作動部材にそれぞれ伝達してそれら複数の作動部材を駆動し、それら作動部材の動作をもって製品を包材で包む構成を備えた包装装置において、
作動部材の少なくとも一つを、伸縮自在な駆動ロッドを介して主駆動源からの駆動力を伝達される特定作動部材とし、
駆動ロッドは、あらかじめ設定した長さに固定した状態で、主駆動源からの駆動力を作動部材に伝達し、一方、当該固定状態を解除して伸縮自在とすることで、主駆動源を停止したまま、当該伸縮動作をもって特定作動部材を移動可能とする構成としたことを特徴とする。
【0008】
このように、本発明は、駆動ロッドの固定状態を解除して伸縮自在とすることで、主駆動源を停止したまま、当該伸縮動作をもって特定作動部材が移動可能となるので、他作動部材を動かすことなく、包装不良が生じた製品を包装経路から取り除くことができる。したがって、包装経路において正常な包装動作の途中にある製品を損傷させることなく復旧作業を行い、その後の包装動作を継続させることが可能となる。
【0009】
ここで、駆動ロッドは、
主駆動源からの駆動力を特定作動部材へ伝達する動力伝達経路に組み込まれ、
動力伝達経路の上流側又は下流側の一方に一端が連結されるとともに、他端に開口する中空部が内部に形成された外筒ロッド部材と、
動力伝達経路の上流側又は下流側の他方に一端が連結されるとともに、外筒ロッド部材の中空部内に他端から挿入され当該中空部内で摺動自在な内ロッド部材と、
外筒ロッド部材の中空部から露出する内ロッド部材の部位に形成した係合部と、
外筒ロッド部材に組み込まれ、内ロッド部材の係合部に係脱自在なストッパと、を備え、
ストッパが係合部に係合する状態では、外筒ロッド部材に対して内ロッド部材が摺動できない固定状態が形成され、一方、ストッパによる係合部への係合が解除された状態では、外筒ロッド部材に対して内ロッド部材が摺動自在となる構成とすることができる。
【0010】
このように構成すれば、係合部へストッパを係合させるだけで、駆動ロッドの固定状態を簡単かつ確実に形成することができ、一方、係合部へのストッパの係合状態を解除するだけで簡単に駆動ロッドが伸縮自在となるため、包装不良が発生したときも簡単な操作で迅速に復旧作業を行うことが可能となる。
【0011】
さらに、本発明は、外筒ロッド部材に組み込まれ、ストッパを作動して、該ストッパを係合部に係合させ、また当該係合状態を解除するストッパ駆動手段を備えた構成とすることもできる。
【0012】
このように構成すれば、ストッパ駆動手段の駆動により簡単に係合部へのストッパの係合又はその解除を実行することができ、包装不良発生時の復旧作業について、いっそう作業性が向上する。
【0013】
ここで、例えば、係合部は、内ロッド部材に形成した周溝で構成することができる。また、ストッパは、その周溝に嵌って、内ロッド部材の外筒ロッド部材に対する摺動を規制する係止部を有する構成とすることができる。そして、ストッパ駆動手段は、内ロッド部材に形成した周溝に係止部が嵌合する位置と、当該係止部が当該周溝から離間する位置との間で、ストッパを移動させる駆動シリンダ又は駆動モータで構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、駆動ロッドの固定状態を解除して伸縮自在とすることで、主駆動源を停止したまま、当該伸縮動作をもって特定作動部材が移動可能となるので、他作動部材を動かすことなく、包装不良が生じた製品を包装経路から取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装装置による包装動作の流れを示す工程図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る包装装置による包装動作を説明するための模式図である。
【
図3】
図2に続く、本発明の実施形態に係る包装装置による包装動作を説明するための模式図である。
【
図4】特定作動部材としての胴折り部材を駆動するための機構を示す正面図である。
【
図5】特定作動部材としての製品搬送部材を駆動するための機構を示す正面図である。
【
図6】伸縮自在な駆動ロッドの構成を示す斜視図である。
【
図7】(a)(b)は伸縮自在な駆動ロッドの構成を示す正面断面図、(c)(d)は内ロッド部材に形成した係合部と、外筒ロッド部材に組み込まれたストッパおよびストッパ駆動手段を拡大して示す一部切欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る包装装置による包装動作の流れを示す工程図であり、
図2および
図3は各工程における包装動作を説明するための模式図である。まず、これらの図面を参照して、本発明の実施形態に係る包装装置による包装動作を説明する。
【0017】
まず、あらかじめ設定した製品供給位置1Aへ、製品供給部材の駆動により製品1が供給されるとともに、当該製品供給位置1Aの上方に設定した包材供給位置2Aへ、包材供給部材の駆動によりシート状の包材2が供給配置される(
図1の工程A,B、
図2(a)参照)。
【0018】
次に、製品供給位置1Aに供給された製品1を第1エレベータの駆動により上昇させ、その上昇過程で製品1の上面および前後側面に包材2を巻き付ける(
図1の工程C、
図2(b)参照)。
【0019】
続いて、製品1の後ろ側面から下方に延出している包材2を、胴折り部材10の駆動によって製品1の下面に折り込む(
図1の工程D、
図2(c)参照)。
その後、製品搬送部材の駆動により製品1を下流側へ搬送する(
図1の工程E)。その搬送過程で、製品1の前側面から下方に延出している包材2が製品1の下面に折り込まれ、包材2による製品1の胴巻き状態が形成される(
図1の工程F、
図3(a)参照)。
なお、胴折り部材10および製品搬送部材については、後ほどさらに詳細に説明する。
【0020】
製品搬送部材の駆動に伴い、製品1の左右側方へ突き出している包材2の延出部2aは、製品1の後ろ側および前側から折り込まれる(
図1の工程G,H、
図3(a)参照)。これにより、製品1の左右側方のそれぞれに、上側フラップ2bと下側フラップ2cが形成される。
さらに、製品搬送部材の駆動に伴い、製品1の左右側方へ突き出している下側フラップ2cが製品1の下側から上側へ折り込まれる(
図1の工程I、
図3(b)参照)。
次に、製品1を第2エレベータの駆動により上昇させ、その上昇過程で製品1の左右側方へ突き出している上側フラップ2bを、製品1の上側から下側へ折り込んで、製品1の上包み包装を形成する(
図1の工程J、
図3(c)参照)。
【0021】
実施形態に係る包装装置は、上述した動作を行う各作動部材のうち、包材2供給部材を除く各作動部材(製品供給部材、第1エレベータ、胴折り部材10、製品搬送部材および第2エレベータ)が、電動モータなどの主駆動源からの駆動力によって駆動する構成となっている。さらに、これら主駆動源からの駆動力によって駆動する複数の作動部材のうち、実施形態では、胴折り部材10と製品搬送部材が、伸縮自在な駆動ロッドを介して主駆動源からの駆動力を伝達される特定作動部材を構成している。
【0022】
図4は特定作動部材としての胴折り部材を駆動するための機構を示す正面図である。
同図に示すように、胴折り部材10は、水平往復移動する平板で構成され、製品1の後ろ側面から下方に延出している包材2を製品1の下面に折り込む機能を有している。この胴折り部材10は、カム11、カム従動部材12、駆動ロッド30、揺動部材13を含む駆動力伝達機構を介して、主駆動源からの駆動力が伝達され、水平方向に往復移動する。カム11は、主駆動源からの駆動力により回転する主軸100に装着され、主軸100と一体に回転する。カム11にはカム従動部材12が係合し、カム11が一回転したとき、カム従動部材12が支軸12aを中心に一定の角度範囲で往復して揺動するカム機構を構成している。
カム従動部材12の往復揺動動作は駆動ロッド30を介して揺動部材13に伝えられる。そして、揺動部材13は、カム従動部材12の往復揺動動作に連動して、支軸13aを中心に一定の角度範囲で往復して揺動する。この揺動動作に伴い、揺動部材13に連結した胴折り部材10が水平方向に往復移動する。
【0023】
図5は特定作動部材としての製品搬送部材を駆動するための機構を示す正面図である。
同図に示すように、製品搬送部材20は、製品1の後面を押圧して当該製品1を搬送する機能を有している。この製品搬送部材20は、回転駆動アーム21、駆動ロッド30、揺動部材22を含む駆動力伝達機構を介して、主駆動源からの駆動力が伝達され、水平方向に往復移動する。回転駆動アーム21は、主駆動源からの駆動力により回転する主軸100に装着され、主軸100と一体に回転する。
回転駆動アーム21の回転動作は駆動ロッド30を介して揺動部材22に伝えられる。そして、揺動部材22は、回転駆動アーム21の回転動作に連動して、支軸22aを中心に一定の角度範囲で往復して揺動する。この揺動動作に伴い、揺動部材22に連結した製品搬送部材20が水平方向に往復移動する。
なお、揺動部材22には、包材2の延出部2aを後方からサイド折りするための包材サイド折り部材23も連結している。
【0024】
駆動ロッド30は、あらかじめ設定した長さに固定した状態で、主駆動源からの駆動力を胴折り部材10や製品搬送部材20に伝達する。一方、当該固定状態を解除して伸縮自在とすることで、主駆動源を停止したまま、当該伸縮動作をもって胴折り部材10や製品搬送部材20を移動可能とする機能を有している。
【0025】
図6および
図7は、伸縮自在な駆動ロッド30の構成を示している。
これらの図に示すように、駆動ロッド30は、外筒ロッド部材31、内ロッド部材32、ストッパ組込みブロック33およびストッパ34を含んでいる。
【0026】
外筒ロッド部材31は、動力伝達経路の上流側又は下流側の一方に一端31aが連結される。本実施形態では、
図4および
図5に示すように動力伝達経路の下流側にある揺動部材13に外筒ロッド部材31の一端31aが連結されている。
外筒ロッド部材31の内部には、軸方向に延びる中空部31bが形成してあり、この中空部31bは外筒ロッド部材31の他端31cに開口している。
【0027】
内ロッド部材32は、動力伝達経路の上流側又は下流側の他方に一端32aが連結される。本実施形態では、
図4および
図5に示すように動力伝達経路の上流側にあるカム従動部材12や回転駆動アーム21に内ロッド部材32の一端32aが連結されている。
内ロッド部材32は、外筒ロッド部材31の中空部31b内に他端31cから挿入され当該中空部31b内で摺動自在となっている。
【0028】
内ロッド部材32には、係合部としての周溝32bが形成してある。この周溝32bは、外筒ロッド部材31の中空部31bから露出する任意の部位に形成してある。
また、外筒ロッド部材31の他端開口部には、ストッパ組込みブロック33が固定してあり、同ブロック33の内部に形成した中空部33aが、外筒ロッド部材31の中空部31bと同軸上に連通させてある。
【0029】
さらに、ストッパ組込みブロック33には、中空部33aと交叉する方向に移動するストッパ34が組み込んである。すなわち、ストッパ34は、ストッパ組込みブロック33を介して外筒ロッド部材31に組み込まれている。
このストッパ34には、
図7(c)(d)に拡大して示すように、ストッパ組込みブロック33の中空部内でストッパ34と対向して周溝32bを配置したとき、当該周溝32bに係脱自在な湾曲凹状をした係止部34aが形成してある。
図7(c)は、内ロッド部材32の周溝32bにストッパ34の係止部34aが係合した状態を示しており、この係合状態では外筒ロッド部材31に対して内ロッド部材32が摺動できない固定状態が形成される(
図7(a)参照)。一方、
図7(d)は、内ロッド部材32の周溝32bに対するストッパ34の係合が解除された状態を示しており、この係合解除状態では
図7(b)に示すように、外筒ロッド部材31に対して内ロッド部材32が摺動自在となる。
【0030】
さらに、ストッパ組込みブロック33には、ストッパ駆動手段としての駆動シリンダ35が組み込んである。すわなち、駆動シリンダ35は、ストッパ組込みブロック33を介して外筒ロッド部材31に組み込まれている。この駆動シリンダ35は、図示しない制御装置により制御されてストッパ34を駆動し、内ロッド部材32の周溝32bにストッパ34の係止部34aを係合させたり、その係合状態を解除させたりする機能を有している。
【0031】
次に、
図4および
図5に戻り、運転中に包装不良が生じたときの操作について説明する。
例えば、
図4に示した胴折り部材10により、下方に延出している包材2を製品1の下面に折り込む際、包材2や製品1に対して胴折り部材10が噛み込んで包装不良が生じたときは、主駆動源が緊急停止される。同様に、
図5に示した製品搬送部材20により、製品1を搬送している際、当該製品1が搬送軌道からずれて搬送できなくなったときにも、主駆動源が緊急停止される。
【0032】
その後、包装不良や搬送不良が生じている箇所を突き止め、当該箇所の作動部材(胴折り部材10や製品搬送部材20)に主駆動源からの駆動力を伝達する駆動ロッド30を伸縮自在とする。具体的には、駆動シリンダ35を操作して、内ロッド部材32の周溝32bに対するストッパ34の係合を解除する。これにより、外筒ロッド部材31に対して内ロッド部材32が摺動自在となるので、内ロッド部材32を摺動させる。この摺動操作により作動部材(胴折り部材10や製品搬送部材20)を移動させて製品1から引き離すことができる。このとき、主駆動源は停止させてあるので、主駆動源の駆動力で駆動される他の作動部材は停止したままである。
【0033】
このように、製品1の包装不良や搬送不良が生じた際に、主駆動源を作動させずに、包装不良製品1を包装経路から除去可能な状態を作り出すことができるので、包装経路において正常な包装動作の途中にある製品1を損傷させることなく、包装不良製品1を包装経路から除去してその後の包装動作を継続することができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、上述した実施形態に示した構成の上包み包装装置に限らず、主駆動源からの駆動力を複数の作動部材にそれぞれ伝達してそれら複数の作動部材を駆動し、それら作動部材の動作をもって製品1を包材2で包む構成を備えた種々の包装装置に適用することができる。
【0035】
上述した実施形態において、
図1および
図2に示す包装動作を実行するための装置の全体構造や各構成部材については公知であるため、図面に示しての詳細な説明は省略した(例えば、特許文献1の特公昭59−9404号公報を参照)。
【0036】
上述した実施形態においては、胴折り部材10と製品搬送部材20を特定作動部材として、それを駆動するための機構に駆動ロッド30を組み込んだが、これら以外の作動部材を任意に選択して特定作動部材とし、同部材を駆動するための機構に駆動ロッド30を組み込むこともできる。
【0037】
また、ストッパ駆動手段としては、駆動シリンダ35に替えて駆動モータを適用することもできる。一方、ストッパ駆動手段を組み込むことなく、ストッパ34を手動で移動させたり固定させたりする構成とすることもできる。その場合は、ボルト・ナット機構などの締結手段をストッパ34に付加すればよい。
【符号の説明】
【0038】
1:製品、2:包材、2a:延出部、2b:上側フラップ、2c:下側フラップ、
1A:製品供給位置、2A:包材供給位置、
100:主軸、
10:胴折り部材、11:カム、12:カム従動部材、12a:支軸、13:揺動部材、13a:支軸、
20:製品搬送部材、21:回転駆動アーム、22:揺動部材、22a:支軸、23:包材サイド折り部材、
30:駆動ロッド、31:外筒ロッド部材、31a:一端、31b:中空部、31c:他端、32:内ロッド部材、32a:一端、32b:周溝(係合部)、33:ストッパ組込みブロック、33a:中空部、34:ストッパ、34a:係止部、35:駆動シリンダ