特許第6741398号(P6741398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741398
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】空調機の化粧シール
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20200806BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F24F1/0007 401D
   E04F13/07 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-53412(P2015-53412)
(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-50758(P2016-50758A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2018年3月9日
【審判番号】不服2019-11613(P2019-11613/J1)
【審判請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-174164(P2014-174164)
(32)【優先日】2014年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【合議体】
【審判長】 平城 俊雅
【審判官】 山田 裕介
【審判官】 山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3053953(JP,U)
【文献】 特開平1−123924(JP,A)
【文献】 特開2009−192749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F1/00
F24F13/20
E04F13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面のリフォームに用いる化粧シールであって、
前記天井面に埋め込まれる天井埋込式空調機のうち、前記天井面に露出している外装部分に貼着される粘着面を有するシール材と、
前記シール材を切り抜き又は切り欠く切れ目であり、少なくとも前記天井埋込式空調機の吸込口および吹出口に対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目と、を備え
前記シール材は、前記外装部分のうち前記吸込口および吹出口以外の部位を全体的に覆い隠す、
空調機の化粧シール。
【請求項2】
前記シール材は、伸縮性を有する、
請求項1に記載の空調機の化粧シール。
【請求項3】
前記切れ目は、スリット状である、
請求項1または2に記載の空調機の化粧シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の化粧シールに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や住人が入居している建物では、内装のリフォームを行う場合がある。例えば、建物に入居していた企業や住人が諸事情により退去した場合、新たな入居者を獲得するために修繕目的等のリフォームを行うことがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−238832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内をリフォームする場合、天井面や壁面、床面の内装材は貼り替え、或いは塗装で対応することになる。一方、天井面に埋め込まれている空調機や照明器具、壁面に設けられているスイッチやコンセント等の電材の化粧プレート、空調機のコントローラ、その他各種の設備類は、表面の黄ばみや傷が著しい場合、部品交換で対応することになる。しかし、天井面に埋め込まれている空調機は、表面を構成する部材だけでも高価であり、電材の化粧プレートのように安価ではない。また、天井面に埋め込まれている空調機の表面を構成する部材の交換工事は、空調機を取り扱う専門の業者が行うので、壁紙の貼り換えや塗装といった内装工事を専門に行う業者とは別に費用の見積や工事のスケジュール調整が必要となる。よって、部品交換が見送られ、リフォーム後も天井面に空調機が黄ばんだまま残っていることがある。
【0005】
そこで、本発明は、天井面に埋め込まれた空調機の表面を含む天井面のリフォームを容易に実現できる空調機の化粧シールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、天井面のリフォームに用いる化粧シールであって、天井面に露出している空調機の外装部分に貼着されるシール材に、空調機の吸込口および吹出口に対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目を設けることにした。
【0007】
詳細には、天井面のリフォームに用いる化粧シールであって、前記天井面に埋め込まれる天井埋込式空調機のうち、前記天井面に露出している外装部分に貼着される粘着面を有するシール材と、前記シール材を切り抜き又は切り欠く切れ目であり、少なくとも前記天井埋込式空調機の吸込口および吹出口に対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目と、を備える。
【0008】
上記化粧シールは、天井面に露出している外装部分に貼着される粘着面を有するシール材で空調機の表面を覆い隠すことにより、空調機の外装の部品を交換する場合よりも容易に天井面のリフォームを実現しようとするものである。しかし、単なる普通のシールを空調機の表面に貼り付けた場合、空調機の吸込口および吹出口が覆われてしまい、空調機の運転に支障がある。この点、上記化粧シールであれば、少なくとも吸込口および吹出口に対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目が設けられているので、空調機の外装部分に貼り付けても空調機の運転に支障は生じない。また、上記化粧シールは、空調機の外観として支配的な部位、すなわち、吸込口および吹出口以外の部位を、部分的あるいは全体的
に覆うことにより、空調機が仮に黄ばんでいてもこれを覆い隠すことができる。
【0009】
なお、前記シール材は、伸縮性を有していてもよい。シール材に伸縮性があれば、丸みを帯びた外装であっても、シールにしわを生じさせることなく空調機の外装に密着させることができる。
【0010】
また、切れ目は、スリット状であってもよい。スリット状の切れ目は直線的なので審美性の観点から好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記化粧シールであれば、天井面に埋め込まれた空調機の表面を含む天井面のリフォームを容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る化粧シールの一例を示した斜視図である。
図2図2は、化粧シールを貼り付ける空調機と化粧シールとを並べて示した図の一例である。
図3図3は、化粧シールの貼り付け方法を示した図の一例である。
図4図4は、変形例に係る化粧シールと空調機とを並べて示した図の一例である。
図5図5は、空調機の外装に貼り付けるシールの剥離紙の切り込みを示した図である。
図6図6は、シールの位置決めにおいて要となる部分の剥離紙が他の部分の剥離紙と切り込みで切り分けられたシールを空調機の外装に貼り付ける作業の手順の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0014】
図1は、実施形態に係る化粧シールの一例を示した斜視図である。化粧シール1は、天井面のリフォームに用いる化粧シールであり、シール材2を備えている。シール材2は、裏面が粘着面になっており、各種の物品に貼着可能である。また、シール材2には、切れ目3が形成されている。なお、シール材2の表面は、天井や壁の色として一般的に使われる無地白色であってもよいが、無地白色以外であってもよい。シール材2の表面に各種の装飾を施した場合、リフォーム後の室内に装飾的効果を付与することができる。切れ目3は、直線的な切れ目となるスリット状のものが審美性の観点から好ましいが、ミシン目状の切れ目であってもよい。
【0015】
図2は、化粧シール1を貼り付ける空調機と化粧シール1とを並べて示した図の一例である。化粧シール1は、例えば、図2に示す空調機10へ貼り付けられる。化粧シール1を貼り付ける空調機10は、天井面に埋め込まれる天井埋込式空調機であり、図2には、空調機10のうち、天井面に露出する外装部分が図示されている。空調機10には、吸込口11Sや吹出口11Fが備わっている。吸込口11Sや吹出口11Fを化粧シール1で覆い隠すことはできないため、化粧シール1には、吸込口11Sに対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目3S、及び、吹出口11Fに対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目3Fが備わっている。
【0016】
図3は、化粧シール1の貼り付け方法を示した図の一例である。化粧シール1を空調機10に貼り付ける場合、例えば、図3に示すように、空調機10の外装部分の各々に貼り
付けるシール4a〜fを化粧シール1の台紙(剥離紙)から各々剥がす。そして、化粧シール1から剥がしたシール4a〜fを、空調機10の外装部分のそれぞれ対応する部位に貼り付ける。化粧シール1から剥がしたシール4a〜fを、空調機10の外装部分のそれぞれ対応する部位に貼り付けることにより、空調機10のうち天井面に露出している外装部分の大部分がシール4a〜fで覆われた状態になる。
【0017】
室内をリフォームする場合、天井面や壁面、床面の内装材は貼り替え、或いは塗装で対応可能である一方、天井面に埋め込まれている空調機の部品を交換することは費用面で難しい場合がある。よって、空調機の外装の黄ばみや傷が著しい場合であっても、外装の部品交換が見送られ、リフォーム後も天井面に空調機が黄ばんだまま残っていることがある。しかし、上記実施形態に係る化粧シール1であれば、空調機10にシール4a〜fを貼り付けることにより、空調機10が仮に黄ばんでいても覆い隠すことができる。また、上記実施形態に係る化粧シール1は、空調機10の外装の部品交換に伴う費用よりも遥かに低価格で提供できる。よって、上記実施形態に係る化粧シール1であれば、天井面に埋め込まれた空調機10の表面を含む天井面のリフォームを低価格で実現することができる。また、天井面に埋め込まれている空調機10の表面を構成する部材の交換工事を伴わないため、空調機10を取り扱う専門の業者に対する費用の見積や工事のスケジュール調整も不要である。従って、上記実施形態に係る化粧シール1を使えば、天井面に埋め込まれた空調機10の表面を含む天井面のリフォームを容易に実現できる。
【0018】
シール材2の素材は如何なるものであってもよいが、外装が平らでない空調機用の場合には伸縮性の素材が好ましい。シール材2に伸縮性があれば、丸みを帯びた外装であっても、各シール4a〜fにしわを生じさせることなく空調機10の外装に密着させることができる。
【0019】
ところで、空調機10の外装は、機種毎に異なる。そこで、化粧シール1に形成する切れ目3は、貼り付け対象の空調機の形状に合わせたものとする。化粧シール1の製造販売に際しては、切れ目3を設けた化粧シール1を空調機の機種毎に予め用意しておいてもよいし、空調機の機種を特定可能な情報を含んだオーダーを受けると、空調機メーカー等から提供されている空調機の図面を基にして切れ目3を設けた化粧シール1を製造してもよい。
【0020】
空調機10の外装のうち、化粧シール1で覆うべき箇所は、例えば、次のような基準で決定することができる。すなわち、化粧シール1で覆うべき箇所としては、視覚的に見えやすい部分が挙げられる。視覚的に見えやすい部分とは、例えば、空調機10の外装を形成するいくつかのパーツの中でも比較的大きいパーツの表面部分が挙げられる。また、化粧シール1で覆うべき箇所としては、リフォームされた天井面と比較して差異が目立ちやすい部分が挙げられる。リフォームされた天井面と比較して差異が目立ちやすい箇所としては、例えば、空調機10の外装を形成するパーツの中でも、空調機10周辺の天井面に比較的近い、空調機10の外装の縁の部分を形づくるパーツの表面部分が挙げられる。
【0021】
一方、化粧シール1で覆うべきでない箇所としては、少なくとも空調機10の吸込口11Sや吹出口11Fが挙げられる他、例えば、光学式のリモコンが付属する空調機の場合にはリモコンの受光部が挙げられ、室内の状態を検知するセンサが外装面に設けられている空調機の場合にはセンサの部分が挙げられる。また、化粧シール1で覆う必要性に乏しい箇所としては、例えば、吸込口11Sに設けられている複雑な形のグレーチング状の部材等が挙げられる。
【0022】
化粧シール1の切れ目3は、上記のような基準に従って選定された箇所を覆うシール4a〜fが出来上がるように形成される。
【0023】
なお、上記実施形態では、空調機10の外装と同様の配置構成の化粧シール1を図示していたが、化粧シール1は、例えば、以下のように変形してもよい。図4は、変形例に係る化粧シール1’と空調機10とを並べて示した図の一例であり、図4(A)に化粧シール1’を、図4(B)に空調機10を示している。図4(A)に示す化粧シール1’の各シールに付されている丸数字が、図4(B)に示す空調機10の外装の各部に付されている丸数字に対応している。上記実施形態に係る化粧シール1は、例えば、図4(A)に示す化粧シール1’のように、空調機10の外装の各部に貼着する各シールが互いに切り分けられていてもよい。そして、互いに切り分けられた各シールに、吸込口11Sに対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目3Sや、吹出口11Fに対応する部位を切り抜き又は切り欠く切れ目3Fが設けられていてもよい。
【0024】
ところで、上記化粧シール1,1’の剥離紙は、例えば、以下のようにカットされていることが好ましい。図5は、空調機10の外装に貼り付けるシールの剥離紙の切り込みを示した図である。空調機10の外装に貼り付けるシールは、例えば、図5に示すように、シールの位置決めにおいて要となる部分の剥離紙5Kが、他の部分の剥離紙5Tと切り込み6で切り分けられていてもよい。シールの位置決めにおいて要となる部分の剥離紙5Kが他の部分の剥離紙5Tと切り分けられていれば、シールを空調機10の外装に貼り付けやすい。
【0025】
図6は、シールの位置決めにおいて要となる部分の剥離紙が他の部分の剥離紙と切り込みで切り分けられたシールを空調機10の外装に貼り付ける作業の手順の一例を示した図である。切り込み6によって剥離紙が切り分けられたシール4を空調機10の外装に貼り付ける場合、例えば、図6に示すように、まず、剥離紙5Kをシール4から剥がす(図6(A))。次に、シール4を空調機10の外装の所定部分に位置合わせしながら仮付けする(図6(B))。次に、剥離紙5Tをシール4から剥がし、シール4を空調機10の外装に貼り付ける(図6(C))。
【0026】
シール4の位置決めにおいて要となる部分の剥離紙5Kが、他の部分の剥離紙5Tと切り込み6で切り分けられていれば、シール4の位置決めが容易である。なお、シール4の位置決めにおいて要となる部分とは、当該部分において位置ずれが生じると当該シール4が規定の貼着部分からはみ出すことになる部分であり、例えば、空調機10の外装の貼着部分の縁のコーナー部分等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0027】
1,1’・・化粧シール:2・・シール材:3,3S,3F・・切れ目:4,4a〜f・・シール:5K,5T・・剥離紙:6・・切り込み:10・・空調機:11S・・吸込口:11F・・吹出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6