特許第6741404号(P6741404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741404
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/02 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
   A45D40/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-141961(P2015-141961)
(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公開番号】特開2017-23198(P2017-23198A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 武
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 友莉亜
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第00593203(GB,A)
【文献】 実開昭58−054214(JP,U)
【文献】 実開平03−047188(JP,U)
【文献】 特開平06−121709(JP,A)
【文献】 実開昭59−59918(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料の繰り出しのために指挿入部が本体に形成され、該指挿入部を通して押し棒を押圧することで押し棒の先端に設けた固形状の組成物である化粧料を本体から繰り出し可能な化粧料容器であって、
前記押し棒は、前部の小径部が後部の大径部より段状に細い径となる概略筒状体であり、
前記本体は、外壁部を形成しており、前記外壁部の先端で内側に入り込んだ状態で内筒が前記外壁部に同軸に配置され、前記外壁部の先端で折り曲げたように、前記外壁部と内筒とを繋ぐ連続部が連続形成され前記外壁部内面と前記内筒外面との間であって前記連続部の後方空間である装着空間形成され、内筒の後端には、前進した押し棒の大径部が当接して移動限になる押し棒規制部が形成され、
前記連続部の後端面に弾発部材の先端が止まり、前記弾発部材の後端が前記大径部の前端面に係止して、前記弾発部材の弾発力で前記押し棒を後端向きに押圧するように、前記弾発部材が前記装着空間に収容され、前記押し棒の小径部は先端が閉じ、かつ先端面に凹所の化粧料の取り付け穴が形成されていると共に、前記取り付け穴には、棒状の化粧料の後端の細径の装着部分が嵌着されていることを特徴とする化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指を利用して化粧料を繰り出せる化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試供品として提供される化粧料容器がある。
【0003】
その種の化粧料容器として、例えば、特許文献1には、一端を塞いだボディの一端面に1又は数回分の口紅(化粧料)を盛って、他端からボディ内に指を差し込んで支持し、口紅を唇に塗るようにした試供用口紅が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、プラスチック製の筒状体を片側だけ塞ぎ、その上に眉墨(化粧料)のペンシルを取り付け、人差し指をその筒状体に差し込み指先感覚で眉を描く化粧道具が開示されている。
【0005】
前記特許文献1〜2の従来の化粧料容器は、双方とも容器の後端から指を挿入して塗布等の作業を行えるものである。
【0006】
しかしながら、前記従来の化粧料容器は、不使用時においては化粧料が容器端面から突出したままとなり、鞄等に収容した持ち運び時に不用意に外部に付着しやすい等、携帯性に問題がある。
【0007】
この場合、前記特許文献1では、キャップを嵌めるなどして化粧料で不用意に汚さないように一応できる。しかしながら、キャップは紛失しやすい等、不便であるので、キャップのない携帯性に優れた構成が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録3068287号公報
【特許文献2】特開平11−89634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、化粧料を押し出し可能で携帯性に優れた化粧料容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、化粧料の繰り出しのために指挿入部が本体に形成され、該指挿入部を通して押し棒を押圧することで押し棒の先端に設けた化粧料を本体から繰り出し可能な化粧料容器であって、
押し棒を後端向きに押圧する弾発部材が本体内に収容されていることを特徴とする化粧料容器である。
【0011】
本発明において、指挿入部の径が15mm(ミリメートル)〜25mm(ミリメートル)であることが好適である。
【0012】
本発明において、弾発部材の荷重が初期50g(グラム)以下、突出時500g(グラム)以下であることが好適である。
【0013】
本発明において、本体内の後端付近に軸心方向に突部が形成されたことが好適である。
【0014】
本発明において、前記本体の先端の開口から化粧料が出没する構成を有し、化粧料が本体内に引っ込んだときに、前記開口を塞ぐ蓋部材を設けたことが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧料容器によれば、本体の指挿入部から、指を挿入して押し棒を押圧することにより化粧料を押し出し可能であり、指を引くと、弾発部材で押し棒が後端向きに押圧されるので、前記化粧料が弾発部材の弾発力で本体内に引っ込み収容されるので、コンパクトになり場所を取らず、携帯性に優れた化粧料容器を提供できるという効果を奏し得る。
【0016】
なお、前記本体の先端の開口から化粧料が出没する構成を有し、化粧料が本体内に引っ込んだときに、前記開口を塞ぐ蓋部材を設けたものにできる。つまり、化粧料が本体内に引っ込んだときに、前記開口を塞ぐ蓋部材として、自動開閉式の蓋部材の構成が可能である。この構成により、未使用時に化粧料が露出することを確実に防止できるので携帯性の向上を更に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の化粧料容器における未使用時(化粧料収容時)の全体説明図で、(a)が後方からの斜視図、(b)が後方からの視図、(c)が正面図、(d)が(b)のD−D線に沿う断面図、(e)が先方からの斜視図、(f)が先方からの視図がある。
図2図1の化粧料容器における使用時(化粧料突出時)の全体説明図で、(a)が先方からの斜視図、(b)が正面図、(c)が(d)のC−C線に沿う断面図、(d)が先方からの視図がある。
図3図1の化粧料容器における押し棒の部品図で、(a)が後方からの斜視図、(b)が後方からの視図、(c)が正面図、(d)が(b)のD−D線に沿う断面図、(e)が先方からの斜視図、(f)が先方からの視図がある。
図4図1の化粧料容器における本体の部品図で、(a)が後方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が正面図、(d)が(a)のD−D線に沿う断面図、(e)が先方からの視図がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1図2は、実施形態に係る化粧料容器の全体図、図3は押し棒、図4は本体の部品図である。
【0020】
図1図2に示すように、化粧料容器は、化粧料10の繰り出しのために指挿入部12が本体(容器本体)14の後部の開口から前部内に渡って形成され、該指挿入部12を通して押し棒16を押圧することで押し棒16の先端に設けた化粧料10を繰り出し可能な化粧料容器であり、押し棒16を後端向きに押圧する弾発部材(スプリング)18が本体14内に収容されているものである。
【0021】
〔化粧料10〕
前記化粧料10は、充実棒状に形成され後端部に細径の装着部分10aが形成されている。前記化粧料10の材質には、各種のワックス、油剤、粉体を主成分とした固形状の組成物を用いることができる。
【0022】
〔押し棒16〕
前記押し棒16は、図3に示すように、前部の小径部16aが後部の大径部16bより段状に細い径となる概略筒状体である。その小径部16aは先端が閉じ、かつ先端面に凹所の化粧料の取り付け穴16cが形成されている。取り付け穴16cには、棒状の化粧料10の後端の細径の装着部分10aが嵌着されている。なお、化粧料10の装着部分は突出する形状に限られず、化粧料の後端に凹所を形成し、前記押し棒16の先端部に突起を形成して、前記凹所に前記突起を装着して固定することもできる。
【0023】
当該大径部16bは後方の解放した空間であり、その大径部16bの内部空間が指を挿入して押し棒16の後端面(大径部16b内の押し圧面)を押すための指挿入部12になっている。指挿入部12の径が15mm〜25mmであることが好適である。図3に示すように、指(破線22で示す)の先端を挿入して大径部16bの後端面16b1も押圧面になる。
【0024】
〔本体14〕
本体14は、図4に示すように、外壁部を形成しており、その先端で内側に入り込んだ状態で内筒14aが同軸に配置され、先端で本体14に折り曲げたように(連続部14c)連続形成している。本体14内面と内筒14a外面との間であって連続部14cの後方空間が弾発部材18の装着空間14c1になる。
【0025】
また、内筒14aの後端が、前進した押し棒16の大径部16bが当接して移動限になるという、押し棒規制部14a1になる(図2(c)、図4参照)。
【0026】
また、本体14の後端内部付近には、内側の軸心方向に突出する突部(アンダーカット)14bが形成される。突部14bは、押し棒16を本体14内に装着した際の抜け止めになる(図1(d)、図4参照)。
【0027】
また、本体14の連続部14cの前端面は、内周側に面取り14dがされている。
【0028】
前記押し棒16が本体14に装着する組み立て時には、図4の矢印F方向に前記押し棒16を押し込む。
【0029】
前記押し棒16が本体14に装着された状態では、図1に示すように、内筒14aの内部に前記押し棒16の小径部16aが装着される。また、前記本体14と内筒14aとの間にコイルスプリングからなる弾発部材18が装着され、前記連続部14cに前記弾発部材18の一端が止まり、一方、弾発部材18の他端が大径部16bの前端面に係止する。
【0030】
〔未使用状態の説明〕
図1に示す状態が、化粧料容器の未使用状態である。本体14に対して弾発部材18の弾発力で化粧料10が引っ込んでいる。この場合、圧縮されていない前記弾発部材18の荷重が初期50gf(グラム重:グラムと同じ)以下となるのが好ましい。この荷重であれば、未使用時に弾発部材18の弾発力で押し棒16が確実に後方に位置して仮に移動時に振動等によっても化粧料10ががたついても前方に露出させないので適切な値となる。
【0031】
〔使用状態の説明〕
図2に示す状態が、化粧料容器の使用状態である。使用者が本体14の指挿入部12に指を挿入して押し棒16を押す。指の力を入れて押し棒16を弾発部材18の弾発力に抗して圧縮させて前進させ、化粧料10を本体14の前端面から突出させる。その際には、圧縮された弾発部材18の弾発力で荷重が500gf(グラム重:グラムと同じ)以下であることが好適である。荷重がそれ以上であると重くなり、使いにくくなるので、指で押す力としてちょうどよい。
【0032】
なお、指の力を抜くと、弾発部材18の弾発力によって押し棒16が後退し、化粧料10が引っ込み、図1の未使用状態になる。
【0033】
実施形態の化粧料容器によれば、本体14の指挿入部12から、指を挿入して押し棒16を押圧することにより化粧料を押し出し可能である。そして、指を引くと、弾発部材18の弾発力で押し棒16が後端向きに押圧されるので、化粧料10が本体14内に引っ込み収容されることから、コンパクトになり場所を取らず、携帯性に優れた化粧料容器を提供できる。
【0034】
また、化粧料としてリップや口紅とすれば、片手で使用できるリップスティックや口紅容器を提供できる
【0035】
また、前記化粧料容器は、化粧料10、本体14、押し棒16、弾発部材18の部品点数4点のシンプルな構造とすることができる。
【0036】
また、前記化粧料容器は、指で直接押すので、指先で塗っているような一体感を得られる。
【0037】
また、前記化粧料容器は、弾発部材18で常に化粧料10が本体14内に収容されるので汚れない。
【0038】
なお、本発明は、種々に変形実施できる。
例えば、前記化粧料容器は、前記本体14の先端の開口から化粧料10が出没する構成を有しているが化粧料10が本体14内に引っ込んだときに、前記開口を塞ぐ蓋部材を設け、自動開閉式の蓋部材の構成にできる。この構成により、未使用時に化粧料が露出することを確実に防止できるので携帯性の向上を更に図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の化粧料容器は、リップスティックや口紅容器等の化粧料容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 化粧料
10a 装着部分
12 指挿入部
14 本体
14a 内筒
14a1 押し棒規制部
14b 突部
14c 連続部
14c1 装着空間
16 押し棒
16a 小径部
16b 大径部
16b1 後端面
16c 取り付け穴
18 弾発部材
22 指を示す二点破線
図1
図2
図3
図4