(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
【0016】
本実施形態の鋳物製造用構造体の原料は、84質量%以上100質量%未満のバージン原料と、再生原料とを含むものである。鋳物製造用構造体は、先ず、有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂を所定配合比で含む鋳物製造用構造体の原料を、原料スラリーの状態で調製する。次に、該原料スラリーを用いた湿式抄造法によって所定形状の繊維積層体を抄造し、脱水、乾燥する。そして、所定の形状にカットした後、質量検査或いは検品等の検査を行って鋳物製造用構造体が製造される。ここで、バージン原料とは、未だ原料スラリーの状態に調製されていないものであり、有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂を所定配合比で含むものである。また、再生原料とは、上記乾燥後、前記カットした後の端材、カット屑、前記検査で出た質量過不足、検査不合格品を由来とする原料を意味する。
【0017】
本実施形態では、バージン原料は、有機繊維の含有量が10質量%以上50質量%以下、無機繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下、無機粒子の含有量が20質量%以上60質量%以下、熱硬化性樹脂の含有量が5質量%以上50質量%以下であり、有機繊維の含有量が20質量%以上40質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上30質量%以下、無機粒子の含有量が30質量%以上60質量%以下、熱硬化性樹脂の含有量が10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、有機繊維の含有量が25質量%以上30質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上10質量%以下、無機粒子の含有量が40質量%以上55質量%以下、熱硬化性樹脂の含有量が15質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0018】
バージン原料における有機繊維の含有量は、添加による効果を十分に発現し、鋳物製造用構造体の成形性及び鋳込み後の鋳物製造用構造体の除去性に優れる観点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることが特に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが特に好ましく、具体的には、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
【0019】
バージン原料における無機繊維の含有量は、鋳物製造用構造体の耐熱性低下に伴う熱収縮を抑制して鋳物の形状保持性を向上させる観点、ガスの発生量を抑制する観点から、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、具体的には、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
【0020】
バージン原料における無機粒子の含有量は、無機粒子の添加による効果を十分に発現し、鋳物製造用構造体の鋳造時の熱間強度を向上させる観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、そして、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが特に好ましい。
【0021】
バージン原料における熱硬化性樹脂の含有量は、鋳物の表面の平滑性を得る観点、鋳物製造用構造体の強度や形状保持性を向上する観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量%以上であることが特に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、20質量%以下であることが特に好ましく、具体的には、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
【0022】
また、本実施形態では、バージン原料は、その繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の80%以上100%未満を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の0%より大きく20%以下を占めていることが好ましく、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の83%以上90%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の10%以上20%以下を占めていることが更に好ましく、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の85%以上90%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の10%以上15%以下を占めていることが特に好ましい。繊維長の度数分布は、HiRes Fiber Quality Analyzer [Code LDA02]繊維長測定器〔OpTest Equipment Inc.社製〕を用いて測定する。
【0023】
また、本実施形態では、再生原料は、再生原料を構成する有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量が15質量%以上78質量%以下、再生原料を構成する無機繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下、再生原料を構成する無機粒子の含有量が20質量%以上60質量%以下であり、有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計の含有量が20質量%以上67質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上30質量%以下、無機粒子の含有量が30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量が30質量%以上57質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上10質量%以下、無機粒子の含有量が40質量%以上55質量%以下であることが更に好ましい。再生原料の配合比率は、熱分析装置(株式会社リガク製の品番TG8120)を用い、測定温度25〜1000℃、昇温速度20℃/分の条件下で熱重量測定TGを行い測定する。再生原料における熱硬化性樹脂は少なくとも一度熱履歴を加えられており、一部硬化が進行しているものであり、バージン原料における熱硬化性樹脂とは性状が異なる。バージン原料であるか再生原料であるかは、鋳物製造用構造体用の原料を水で0.0001質量%以下に分散させたものを、たとえばマイクロスコープなどを用いて観察することで、粉砕工程で少なからず発生する未粉砕物の有無により判別できる。
【0024】
再生原料における有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量は、有機繊維及び熱硬化性樹脂の添加による効果を十分に発現し、鋳物製造用構造体の成形性及び鋳込み後の鋳物製造用構造体の除去性に優れる観点、鋳物の表面の平滑性を得る観点、鋳物製造用構造体の強度や形状保持性を向上する観点から、15質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、そして、78質量%以下であり、67質量%以下であることが好ましく、57質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、15質量%以上78質量%以下であり、20質量%以上67質量%以下であることが好ましく、30質量%以上57質量%以下であることが更に好ましい。
【0025】
再生原料における無機繊維の含有量は、鋳物製造用構造体の耐熱性低下に伴う熱収縮を抑制して鋳物の形状保持性を向上させる観点、ガスの発生量を抑制する観点から、2質量%以上であり、3質量%以上であることが好ましく、そして、50質量%以下であり、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、2質量%以上50質量%以下であり、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
【0026】
再生原料における無機粒子の含有量は、無機粒子の添加による効果を十分に発現し、鋳物製造用構造体の鋳造時の熱間強度を向上させる観点から、20質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、そして、60質量%以下であり、55質量%以下であることが好ましく具体的には、20質量%以上60質量%以下であり、30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが更に好ましい。
【0027】
また、本実施形態では、再生原料は、その繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の60%以上85%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の15%以上40%以下を占めており、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の62%以上83%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の17%以上38%以下を占めていることが好ましく、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の63%以上81%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の19%以上37%以下を占めていることが更に好ましい。繊維長の度数分布は、HiRes Fiber Quality Analyzer [Code LDA02]繊維長測定器〔OpTest Equipment Inc.社製〕を用いて測定する。
【0028】
バージン原料における有機繊維としては、紙繊維、フィブリル化した合成繊維、再生繊維(例えば、レーヨン繊維)等の繊維が挙げられる。有機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、特に、抄造により多様な形態に成形できるほか、脱水後と乾燥後に十分な強度が得られる点から紙繊維を用いることが好ましい。
【0029】
バージン原料における前記紙繊維としては、木材パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ、竹やわらその他の非木材パルプが挙げられる。紙繊維は、これらのバージンパルプ若しくは古紙パルプを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。紙繊維は、入手の容易性、環境保護、製造費用の低減等の点から、特に古紙パルプが好ましい。
【0030】
バージン原料における有機繊維は、鋳物製造用構造体の成形性、表面平滑性、耐衝撃性を考慮すると、平均繊維長が0.3〜2.0mm、特に0.5〜1.5mmであるものが好ましい。
【0031】
バージン原料における無機繊維としては、炭素繊維は、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、天然鉱物繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、金属繊維等の繊維が挙げられる。無機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、特に、鋳造時の熱収縮を抑える点から金属が溶融するような高温でも高強度を有する炭素繊維を用いることが好ましい。
【0032】
バージン原料における前記炭素繊維としては、鋳物製造用構造体の熱分解に伴う収縮を効果的に抑える点から高温でも高強度を有するピッチ系やポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましく、特にPAN系の炭素繊維が好ましい。
【0033】
バージン原料における前記炭素繊維は、鋳物製造用構造体を抄造して脱水する場合の脱水性、鋳物製造用構造体の成形性、均一性の観点から平均繊維長が0.2〜10mm、特に0.5〜8mmであるものが好ましい。
【0034】
バージン原料における無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、黒曜石等の耐火度800〜4000℃、好ましくは1000〜4000℃の無機粒子が挙げられ、耐熱性、鋳物製造用構造体成型時の離型性の点からは黒鉛が好ましい。これらの無機粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い。
【0035】
バージン原料における無機粒子としては、炭素当量が4.2%以下、更には4.0%以下の溶融金属から鋳物を製造する場合は、鋳物製造用構造体に含まれる又は溶融金属の熱による熱分解で生成する炭化物膜が低炭素当量の溶融金属へ溶解するのを防止する点、更には鋳物製造用構造体の外側や中空中子内に鋳物砂を配した場合には、鋳物表面への砂の付着を防止して得られる鋳物の表面平滑性をより向上させる点などから、耐火度800〜2000℃の無機粒子を使用することが好ましい。炭素当量が4.2%以下の溶融金属から鋳物を製造する場合は、軟化時の粘度が高く、溶融金属への炭素皮膜の溶解防止効果が特に高い点から、鋳鉄には黒曜石が好ましく、鋳鋼、ステンレス鋼にはムライト粉が好ましい。
【0036】
バージン原料における無機粒子として、黒曜石と、黒曜石以外の鉱物粒子(以下、鉱物粒子という)とを併用することにより、これを用いた鋳物製造用構造体から製造した鋳物の寸法精度が顕著に向上する。当該鉱物粒子としては、耐火度が1200℃以上のものが好ましく、シリカ(例えば耐火度1650℃以上)、アルミナ(例えば耐火度1700℃以上)、ムライト(例えば耐火度1650℃以上)、マグネシア(例えば耐火度2500℃)、ジルコン(例えば耐火度2000℃以上)、クロマイト(例えば耐火度1950℃以上)、黒鉛(例えば耐火度3300℃以上)等が挙げられる。なお、これらの鉱物粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い。黒曜石と上記鉱物粒子の併用は、炭素当量が4.2%以下、更には4.0%以下の溶融金属から鋳物を製造する場合に、より好ましい。
【0037】
バージン原料における無機粒子として、黒曜石と上記鉱物粒子を併用する場合、鋳物製造用構造体の強度及びそれを用いて製造した鋳物の寸法精度より、黒曜石(1)と黒曜石以外の鉱物粒子(2)の配合比率は、質量比率で、(1)/(2)=10/90〜90/10、更に25/75〜75/25が好ましい。
【0038】
バージン原料における無機粒子の耐火度は、ゼーゲルコーンを用いた測定方法(JIS R2204)で測定される。なお、一般的な黒曜石の耐火度は、1200〜1250℃である。
【0039】
バージン原料における無機粒子は、平均粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましい。黒曜石と上記鉱物粒子を併用する場合も、それぞれ平均粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましい。また、特に、鋳造する溶融金属の鋳込温度に対し±300℃、特に±200℃の耐火度を有する無機粒子が好ましい。
【0040】
バージン原料における無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920を用いて測定された体積累積50%の平均粒子径である。分析条件は下記の通りである。
・測定方法:フロー法
・屈折率:無機粒子よって変動(LA−920添付のマニュアル参照)
・分散媒:イオン交換水+ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1%混合
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
【0041】
バージン原料における熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、常温強度及び熱間強度を維持させると共に、鋳物の表面粗度を向上させるために必要な成分であり、塗型剤を塗布した砂型と同等の表面平滑性が得られ、塗型剤を使用しなくても良いほどである。従来のアルコール系塗型剤等使用時の着火乾燥が困難な有機繊維等を含有する本発明の鋳物製造用構造体に重要な性能である。
【0042】
バージン原料における熱硬化性樹脂には、特に、可燃ガスの発生が少なく、燃焼抑制効果があり、熱分解あるいは炭化後における残炭率が25%以上と高く、鋳造時に炭素皮膜を形成するために良好な鋳肌を得ることができる点からフェノール系樹脂を用いることが好ましい。なお、残炭率は、示査熱分析により還元雰囲気下(窒素雰囲気下)にて1000℃に加熱後の残留質量により求めることができる。
【0043】
バージン原料における前記フェノール樹脂としては、ノボラックフェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールFのフェノール樹脂、尿素、メラミン、エポキシなどで変性した変性フェノール樹脂等が挙げられるが、好ましくはノボラックフェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂、ビスフェノールAのレゾール樹脂又はこれらの変性樹脂である。
【0044】
バージン原料における熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂中、前記ノボラックフェノール樹脂を使用した場合に必要となる硬化剤は、水に溶け易いため、湿式抄造による場合には特に成形体の脱水後に塗工することが好ましい。前記硬化剤には、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることが好ましい。
【0045】
バージン原料における熱硬化性樹脂は、単独で又は二以上を選択して用いることもでき、さらにはアクリル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂等と併用することもできる。
【0046】
本実施形態の鋳物製造用構造体の原料は、84質量%以上100質量%未満の上述したバージン原料と、上述した再生原料とを含むものである。本実施形態の鋳物製造用構造体の原料は、特に、再生原料の繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の60%以上85%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の15%以上40%以下を占めている。その為、再生原料を用いて得られる鋳物製造用構造体の圧縮強度が低下し難く、製品として十分に利用できる。このような観点から、上述したバージン原料を85質量%以上99質量%以下の範囲で配合し、且つ上述した再生原料を1質量%以上15質量%以下の範囲で配合していることが好ましく、上述したバージン原料を89質量%以上98質量%以下の範囲で配合し、且つ上述した再生原料を2質量%以上11質量%以下の範囲で配合していることが更に好ましい。バージン原料の配合量の下限値を上述のようにすることで、鋳物製造用構造体の十分な圧縮強度が得られる。
【0047】
本実施形態の鋳物製造用構造体の原料には、上述したバージン原料及び再生原料に加えて、必要に応じ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂等の紙力強化剤、ポリアクリルアミド系等の凝集剤、着色剤等の他の成分を適宜の割合で添加することができる。鋳物製造用構造体の原料への、上述した紙力強化剤、凝集剤、着色剤等の他の成分の配合量は、0.5質量%以下であることが好ましく、添加する場合にはバージン原料を調製することが好ましい。
【0048】
本実施形態あるいは他の成分を配合する実施形態の鋳物製造用構造体の原料は、水溶性包装物に内包された鋳物製造用構造体用の原料の収容体の形態であってもよい。鋳物製造用構造体を内包する水溶性包装物としては、ビニルアルコール系重合体、カルボン酸系重合体、ポリエステル系重合体およびこれらを変性させたもののいずれか又は少なくとも一つを含むもの、セルロース誘導体、デンプンなどから形成されたもの等が挙げられる。このような収容体の形態であれば、再生原料を収容、保管、使用する際に粉塵が飛散せず、且つ後述する原料スラリーを調製する際に、収容体を開封する手間なく再生原料を分散媒である水に配合できる。
【0049】
次に、本発明の鋳物製造用構造体の製造方法を、その好ましい実施態様として上述した実施形態の鋳物製造用構造体の原料を用いて製造する方法に基づいて説明する。
【0050】
本実施態様の製造方法では、先ず、84質量%以上100質量%未満の上述したバージン原料と、16質量%以下0質量%より多く上述した再生原料とを含む原料スラリーを調製する。そして、その後、該原料スラリーを用いた湿式抄造工程を経て所定形状の繊維積層体を抄造し、脱水、乾燥し、その後、カット工程と検品工程を経て、鋳物製造用構造体を製造する。
【0051】
鋳物製造用構造体の原料スラリーは、分散媒として水を用いている。鋳物製造用構造体の原料スラリーは、鋳物製造用構造体の平面平滑性を向上させる観点から、上述した鋳物製造用構造体の原料を、水に対して1質量%以上5質量%以下の割合で調製したものであることが好ましく、水に対して2質量%以上4質量%以下の割合で調製したものであることが好ましい。
【0052】
鋳物製造用構造体の原料スラリーには、必要に応じて、前記紙力強化材、前記凝集剤、防腐剤等の添加剤を適宜の割合で添加することができる。
【0053】
前記繊維積層体の湿式抄造工程では、例えば、2個で一組をなす割型を突き合わせることにより、当該鋳物製造用構造体の外形に略対応した形状を有し且つ外部に向けて開口するキャビティが内部に形成される金型を用いる。各割型には、外部とキャビティとを連通する多数の連通孔を設けておくとともに、各割型の内面を所定の大きさの網目を有するネットによって被覆しておく。そして、該金型のキャビティ内に、所定量の原料スラリーを圧送ポンプ等を用いて注入する一方で前記連通孔を通して液体分を吸引排出し、前記ネットに原料スラリーの固形分を堆積させる。前記原料スラリーの加圧注入の圧力は、0.01〜5MPa、特に0.01〜3MPaであることが好ましい。
【0054】
次いで、所定量の原料スラリーの注入により、前記ネット上に所定厚みの繊維積層体が形成されたら、原料スラリーの加圧注入を停止し、前記キャビティ内に空気を圧入して繊維積層体を所定の含水率に脱水する。
【0055】
次いで、脱水された前記繊維積層体を乾燥成形する。この乾燥成形工程では、2個で一組の割型を突き合わせることにより成形すべき鋳物製造用構造体の外形に対応した形状を有し且つ外部に向けて開口するキャビティが形成される乾燥型を用いる。そして、該乾燥型を所定温度に加熱し、脱水された前記繊維積層体を該乾燥型内に装填する。
【0056】
次に、弾性を有し伸縮自在で且つ中空状をなす中子、すなわち弾性中子を前記キャビティ内に挿入し、該中子内に加圧流体を供給して該中子を該キャビティ内において膨らませる。そして、前記繊維積層体を該キャビティの形成面に押圧し、該キャビティの内面形状を転写しながら乾燥する。中子には、例えば、ウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー製のものを用いる。
【0057】
前記中子を膨張させる前記加圧流体としては、例えば圧縮空気あるいは加熱空気、油あるいは加熱油、その他各種の液が挙げられる。加圧流体を供給する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜3MPaであることが好ましい。
【0058】
前記乾燥型の加熱温度、すなわち金型温度は、乾燥時間、焦げによる表面性の低下を考慮すると180〜250℃、特に200〜240℃であることが好ましい。
【0059】
前記繊維積層体の乾燥後、前記中子内の前記加圧流体を抜き、該中子を縮ませて当該繊維積層体から取り出す。そして、前記乾燥型を開いて乾燥成形された鋳物製造用構造体の前駆体を取り出す。
【0060】
このようにして得られる鋳物製造用構造体の前駆体は、該鋳物製造用構造体における前記再生原料の割合が、0質量%より多く16質量%以下である。そして、該鋳物製造用構造体の前駆体における前記バージン原料の割合が、84質量%以上100質量%未満である。得られる鋳物製造用構造体の前駆体は、前記再生原料を含んでいるが、該再生原料の繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の60%以上85%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の15%以上40%以下を占めているので、得られる鋳物製造用構造体の圧縮強度が低下し難く、製品として十分に利用できる。このような観点から、得られる鋳物製造用構造体の前駆体は、該鋳物製造用構造体における前記再生原料の割合が1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、且つ該鋳物製造用構造体の前駆体における前記バージン原料の割合が85質量%以上99質量%以下であることが好ましく、該鋳物製造用構造体の前駆体における前記再生原料の割合が2質量%以上11質量%以下であることが更に好ましく、且つ該鋳物製造用構造体の前駆体における前記バージン原料の割合が89質量%以上98質量%以下であることが更に好ましい。
【0061】
このようにして得られる鋳物製造用構造体の前駆体は、その後、カット工程にて、所定の形状にカットされ、検品工程にて質量、或いは検品検査を経て、鋳物製造用構造体が得られる。
【0062】
前記カット工程で得られる端材、カット屑、前記検品工程で得られる質量過不足、検査不合格品は、上述した再生原料として再利用される。
再生原料を含む鋳物製造用構造体用の原料の製造方法について、以下説明する。
【0063】
鋳物製造用構造体用の原料の製造方法は、回収された鋳物製造用構造体の廃材を、回転式粉砕機を用いて乾式粉砕する(粉砕工程)。ここで、前記廃材とは、前記カット工程で得られる端材、カット屑、前記検品工程で得られる質量過不足、検査不合格品等であり、前記乾燥成形工程を経た後で形成されるものを意味する。また、乾式粉砕とは、水分率が1質量%以上20質量%以下の水分率の前記廃材を粉砕することを意味する。
【0064】
前記粉砕工程で用いる回転式粉砕機は、例えば、
図1及び
図2に示すような粉砕機である。
図1及び
図2に示す粉砕機1は、回転軸に複数の回転刃2と粉砕機本体10に固定された固定刃3とで粉砕する粉砕機である。
図1及び
図2に示す粉砕機1は、一軸の回転軸のみを有している。粉砕機1の回転刃2は回転軸方向に間隔を空けて配され、回転軸方向に隣り合う回転刃2,2どうしの間に空隙が設けられている。ここで空隙とは、何ら配されていないスペースを設けていることを意味する。回転刃2は、回転軸に2枚以上10枚以下配されていることが好ましく、
図1及び
図2に示す粉砕機1では、3枚配されている。各回転刃2には、ロータ21の周面に3つのブレード22が配されている。粉砕機本体10に固定された固定刃3は、投入口4の底部近傍における回転方向の前後端それぞれに、回転軸方向に亘って配されている。
図1及び
図2に示す粉砕機1では、3枚の回転刃2は、回転軸方向に一定の間隔を空けて配されている。回転軸方向に隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dは、ブレード22の幅dに対して0.5倍以上5倍以下であることが好ましく、0.8倍以上2倍以下であることが更に好ましい。ブレード22の幅dは1mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることが更に好ましい。ブレード22と固定刃3のクリアランスは0.01mm以上10mm以下であることが好ましく、0.05mm以上5mm以下であることが更に好ましい。
【0065】
前記粉砕工程では、
図1及び
図2に示す粉砕機1を用い、投入口4から、前記カット工程で得られる端材、カット屑、前記検品工程で得られる質量過不足、検査不合格品等を投入して、回転刃2と固定刃3とで粉砕する。
【0066】
次いで、粉砕工程で得られた粉砕物を、直径0.5mm以上3mm以下の開口を有するメッシュを通して回収する(回収工程)。鋳物製造用構造体用の原料の製造方法では、粉砕工程で得られた粉砕物を、吸引し、直径0.5mm以上3mm以下の開口を有するメッシュを通過したものを使用する。
【0067】
鋳物製造用構造体用の原料の製造方法では、前記粉砕工程において、回転軸方向に隣り合う回転刃2,2どうしの間に空隙が設けられているので、前記カット工程で得られる端材、カット屑、前記検品工程で得られる質量過不足、検査不合格品等を、回転刃2と固定刃3とでカットするよりも、回転刃2と固定刃3とで千切るように分断するようになり易い。その為、繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の60%以上85%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の15%以上40%以下を占める再生原料が得られ易くなっている。
【0068】
前記粉砕工程の前処理として、回収された鋳物製造用構造体の廃材を圧縮する圧縮工程を有することが望ましい。圧縮工程を有することで、鋳物製造用構造体の廃材を保管する際に嵩を減らすことができるだけでなく、粉砕工程での粉砕効率を高めることができる。圧縮工程の手段としては鋳物製造用構造体を踏みつける、手で押しつぶす等の人手で行なっても良いし、プレス機などを利用しても良い。
【0069】
また、前記回収工程において回収された粉砕物を、その繊維長によって選別する選別工程を有することが好ましい。即ち、前記回収工程の後工程として、選別工程を有することが好ましい。選別工程を有することで、粉砕物の繊維長を任意に調製できるようになることから、鋳物製造用構造体の圧縮強度の低下を抑制しやすくなる。前記回収工程において回収された粉砕物を、その繊維長によって選別する手段としては、篩などを利用しても良いし、吸引又は送風による粉砕物の飛距離差などを利用しても良い。
【0070】
このように形成された再生原料は、84質量%以上100質量%未満の上述したバージン原料と混合され、上述した原料スラリーに調製される。そして、その後は、上述と同様にして、該原料スラリーを用いた湿式抄造工程を経て所定形状の繊維積層体を抄造し、脱水、乾燥し、その後、カット工程と検品工程を経て、鋳物製造用構造体となる。
【0071】
製造された鋳物製造用構造体の厚さは、用いられる部分に応じて適宜設定することができるが、少なくとも溶融金属と接する部分における厚さが、0.2〜5mm、特に0.4〜2mmであることが好ましい。厚さが0.2mm以上であれば、鋳物砂を充填して造型するときに要する十分な強度が得られ、鋳物製造用構造体の形状機能が維持できるので好ましい。また、厚さが5mm以下であれば、鋳込み時のガス発生量が低減されて鋳物の表面欠陥も発生しにくくなるほか、成形時間も短縮でき、製造費を低減できるので好ましい。
【0072】
製造された鋳物製造用構造体は、鋳造に用いられる前の状態において、圧縮強度が80N以上であることが好ましく、100N以上であることが更に好ましい。ここで、鋳物製造用構造体の圧縮強度とは、
図3に示すように製造された鋳物製造用構造体100を幅300mmに切断し、切断面を横にした状態に配置し、例えばアイコーエンジニアリング株式会社製のテストスタンド(MODEL−1301F)による圧縮強度測定において、圧縮速度20mm/分で、切断面から65mmの位置を、直径31mmの圧縮端子101で押し下げることにより測定される強度を意味する。
【0073】
製造された鋳物製造用構造体は、鋳込み時のガス発生量を極力抑える点から、鋳造に用いられる前の状態において、質量含水率が20%以下、特には15%以下であることが好ましい。
【0074】
製造された鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法としては、上述のようにして得られた所定の鋳物製造用構造体を、鋳物砂内の所定位置に埋設して造型する。鋳物砂には、従来からこの種の鋳物の製造に用いられている通常のものを特に制限なく用いることができる。なお、鋳物砂はバインダーで硬化させなくてもよいが、必要に応じて硬化させてもよい。鋳物製造用構造体が中空中子の場合には中子内に鋳物砂の充填は不要であるが、充填することもできる。
【0075】
そして、注湯口から溶融金属を注ぎ入れ、鋳込みを行う。そして、鋳込みを終えた後は、所定の温度まで冷却し、鋳枠を解体して鋳物砂を取り除き、さらにブラスト処理によって鋳物製造用構造体を取り除いて鋳物を露呈させる。その後、必要に応じて鋳物にトリミング処理等の後処理を施して鋳物を製造する。
【0076】
本発明は上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
【0077】
回収された鋳物製造用構造体の廃材を乾式粉砕する回転式粉砕機としては、
図1及び
図2に示す粉砕機1以外に、回転軸方向に隣り合う回転刃2,2どうしの間に空隙が設けられている回転刃2及び粉砕機本体10に固定された固定刃3を有する粉砕機であればよい。
【0078】
上述した実施形態に関し、さらに以下の鋳物製造用構造体用の原料、鋳物製造用構造体用の原料の収容体、鋳物製造用構造体用の原料スラリー、鋳物製造用構造体、鋳物製造用構造体用の原料の製造方法を開示する。
【0079】
<1>
84質量%以上100質量%未満のバージン原料と、再生原料とを含む鋳物製造用構造体用の原料であって、前記バージン原料は、有機繊維の含有量が10質量%以上50質量%以下、無機繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下、無機粒子の含有量が20質量%以上60質量%以下、熱硬化性樹脂の含有量が5質量%以上50質量%以下であり、前記再生原料は、該再生原料を構成する有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量が15質量%以上78質量%以下、該再生原料を構成する無機繊維の含有量が2質量%以上50質量%以下、該再生原料を構成する無機粒子の含有量が20質量%以上60質量%以下であり、前記再生原料は、その繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の60%以上85%以下を占め、且つ繊維長0.3mm未満の範囲の繊維が全体の15%以上40%以下を占めている鋳物製造用構造体用の原料。
<2>
前記バージン原料は、有機繊維の含有量が20質量%以上40質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上30質量%以下、無機粒子の含有量が30質量%以上60質量%以下、熱硬化性樹脂の含有量が10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、有機繊維の含有量が25質量%以上30質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上10質量%以下、無機粒子の含有量が40質量%以上55質量%以下、熱硬化性樹脂の含有量が15質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい、前記<1>に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<3>
前記バージン原料における有機繊維の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以上であることが特に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが特に好ましく、具体的には、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい、前記<1>又は<2>に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<4>
前記バージン原料における無機繊維の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、具体的には、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<5>
前記バージン原料における無機粒子の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、そして、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが特に好ましい、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<6>
前記バージン原料における熱硬化性樹脂の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量%以上であることが特に好ましく、そして、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、20質量%以下であることが特に好ましく、具体的には、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<7>
前記バージン原料は、その繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の80%以上100%未満を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の0%より大きく20%以下を占めていることが好ましく、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の83%以上90%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の10%以上20%以下を占めていることが更に好ましく、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の85%以上90%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の10%以上15%以下を占めていることが特に好ましい、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<8>
前記再生原料は、該再生原料を構成する有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量が20質量%以上67質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上30質量%以下、無機粒子の含有量が30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量が30質量%以上57質量%以下、無機繊維の含有量が3質量%以上10質量%以下、無機粒子の含有量が40質量%以上55質量%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<9>
前記再生原料における有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、そして、67質量%以下であることが好ましく、57質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、20質量%以上67質量%以下であることが好ましく、30質量%以上57質量%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<10>
前記再生原料における無機繊維の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、そして、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<11>
前記再生原料における無機粒子の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、そして、55質量%以下であることが好ましく具体的には、30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<12>
前記再生原料は、その繊維長の度数分布において、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の62%以上83%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の17%以上38%以下を占めていることが好ましく、繊維長0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維が全体の63%以上81%以下を占め、且つ0.3mm未満の範囲の繊維が全体の19%以上37%以下を占めていることが更に好ましい、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<13>
前記バージン原料における有機繊維としては、紙繊維、フィブリル化した合成繊維、再生繊維(例えば、レーヨン繊維)等の繊維が挙げられ、有機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができ、特に、紙繊維を用いることが好ましい、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<14>
前記バージン原料における前記紙繊維としては、木材パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ、竹やわらその他の非木材パルプが挙げられ、該紙繊維は、これらのバージンパルプ若しくは古紙パルプを単独で又は二種以上を選択して用いることができ、特に、古紙パルプを用いることが好ましい、前記<13>に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<15>
前記バージン原料における有機繊維は、平均繊維長が0.3〜2.0mm、特に0.5〜1.5mmであるものが好ましい、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<16>
前記バージン原料における無機繊維としては、炭素繊維は、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、天然鉱物繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、金属繊維等の繊維が挙げられ、該無機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができ、特に、炭素繊維を用いることが好ましい、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<17>
前記バージン原料における前記炭素繊維としては、ピッチ系やポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましく、特にPAN系の炭素繊維が好ましい、前記<16>に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<18>
前記バージン原料における前記炭素繊維は、平均繊維長が0.2〜10mm、特に0.5〜8mmであるものが好ましい、前記<16>又は<17>に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<19>
前記バージン原料における無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、黒曜石等の耐火度800〜4000℃、好ましくは1000〜4000℃の無機粒子が挙げられ、これらの無機粒子は単独で又は二種以上を併用して用いることができ、特に、黒鉛を用いることが好ましい、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<20>
前記バージン原料における無機粒子としては、耐火度800〜2000℃の無機粒子を使用することが好ましく、鋳鉄には黒曜石が好ましく、鋳鋼、ステンレス鋼にはムライト粉が好ましい、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<21>
前記バージン原料における無機粒子として、黒曜石と、黒曜石以外の鉱物粒子(以下、鉱物粒子という)とを併用し、当該鉱物粒子としては、耐火度が1200℃以上のものが好ましく、シリカ(例えば耐火度1650℃以上)、アルミナ(例えば耐火度1700℃以上)、ムライト(例えば耐火度1650℃以上)、マグネシア(例えば耐火度2500℃)、ジルコン(例えば耐火度2000℃以上)、クロマイト(例えば耐火度1950℃以上)、黒鉛(例えば耐火度3300℃以上)等が挙げられ、これらの鉱物粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<22>
前記バージン原料における無機粒子として、黒曜石と前記鉱物粒子を併用する場合、黒曜石(1)と黒曜石以外の鉱物粒子(2)の配合比率は、質量比率で、(1)/(2)=10/90〜90/10、更に25/75〜75/25が好ましい、前記<21>に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<23>
前記バージン原料における無機粒子は、平均粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましく、黒曜石と前記鉱物粒子を併用する場合も、それぞれ平均粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましく、特に、鋳造する溶融金属の鋳込温度に対し±300℃、特に±200℃の耐火度を有する無機粒子が好ましい、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<24>
前記バージン原料における熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、特に、フェノール系樹脂を用いることが好ましい、前記<1>〜<23>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<25>
前記バージン原料を85質量%以上99質量%以下の範囲で配合し、且つ再生原料を1質量%以上15質量%以下の範囲で配合していることが好ましく、該バージン原料を89質量%以上98質量%以下の範囲で配合し、且つ再生原料を2質量%以上11質量%以下の範囲で配合していることが更に好ましい、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用の原料。
<26>
前記<1>〜<25>に記載の鋳物製造用構造体用の原料を、水溶性包装物に内包している鋳物製造用構造体用の原料の収容体。
<27>
前記鋳物製造用構造体用の原料を内包する前記水溶性包装物としては、ビニルアルコール系重合体、カルボン酸系重合体、ポリエステル系重合体およびこれらを変性させたもののいずれか又は少なくとも一つを含むもの、セルロース誘導体、デンプンなどから形成されたもの等が挙げられる、前記<26>に記載の鋳物製造用構造体用の原料の収容体。
<28>
前記<26>又は<27>に記載の鋳物製造用構造体用の原料の収容体を、水に対して2質量%以上4質量%以下の割合で含有する鋳物製造用構造体用の原料スラリー。
<29>
前記<1>〜<25>に記載の鋳物製造用構造体用の原料を、水に対して2質量%以上4質量%以下の割合で含有する鋳物製造用構造体用の原料スラリー。
<30>
鋳物製造用構造体の前記原料スラリーは、分散媒として水を用いており、該鋳物製造用構造体の原料を、水に対して1質量%以上5質量%以下の割合で調製したものであることが好ましく、水に対して2質量%以上4質量%以下の割合で調製したものであることが好ましい、前記<29>に記載の鋳物製造用構造体用の原料スラリー。
<31>
前記<1>〜<25>に記載の鋳物製造用構造体用の原料から得られる鋳物製造用構造体であって、
前記鋳物製造用構造体における再生原料の割合が0質量%より多く16質量%以下である鋳物製造用構造体。
<32>
前記鋳物製造用構造体の前駆体は、該鋳物製造用構造体における前記再生原料の割合が1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、且つ該鋳物製造用構造体の前駆体における前記バージン原料の割合が85質量%以上99質量%以下であることが好ましく、該鋳物製造用構造体の前駆体における前記再生原料の割合が2質量%以上11質量%以下であることが更に好ましく、且つ該鋳物製造用構造体の前駆体における前記バージン原料の割合が89質量%以上98質量%以下であることが更に好ましい、前記<31>に記載の鋳物製造用構造体。
<33>
84質量%以上100質量%未満のバージン原料と、再生原料とを含む鋳物製造用構造体用の原料の製造方法であって、回収された鋳物製造用構造体の廃材を、回転式粉砕機を用いて乾式粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粉砕物を、直径0.5mm以上3mm以下の開口を有するメッシュを通して回収する回収工程とを有し、前記粉砕工程で用いる回転式粉砕機は、回転軸に複数の回転刃と粉砕機本体に固定された固定刃とで粉砕する粉砕機であり、前記回転刃は回転軸方向に間隔を空けて配され、回転軸方向に隣り合う回転刃どうしの間に空隙が設けられている鋳物製造用構造体用の原料の製造方法。
<34>
前記粉砕工程で用いる回転式粉砕機は、回転軸方向に隣り合う回転刃どうしの間隔は、ブレードの幅に対して0.5倍以上5倍以下であることが好ましく、0.8倍以上2倍以下であることが更に好ましく、ブレードの幅は1mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることが更に好ましく、ブレードと固定刃のクリアランスは0.01mm以上10mm以下であることが好ましく、0.05mm以上5mm以下であることが更に好ましい、前記<33>に記載の鋳物製造用構造体用の原料の製造方法。
<35>
前記粉砕工程の前工程として、回収された鋳物製造用構造体の廃材を圧縮する圧縮工程を有する前記<33>又は<34>に記載の鋳物製造用構造体用原料の製造方法。
<36>
前記回収工程において回収された粉砕物を、その繊維長によって選別する選別工程を有する前記<33>〜<35>の何れか1に記載の鋳物製造用構造体用原料の製造方法。
【実施例】
【0080】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0081】
〔実施例1〕
<原料の準備>
(1)バージン原料の配合
有機繊維:新聞古紙 26質量%
無機繊維:炭素繊維(日本ポリマー産業株式会社製「NPSチョップドファイバー」) 8質量%
無機粒子:黒曜石(キンセイマテック株式会社製「ナイスキャッチフラワー#330」) 48質量%
熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(エア・ウォータ・ベルパール株式会社社製「ベルパール(登録商標)S−890」) 18質量%
(2)再生原料としては、上記(1)のバージン原料で鋳物製造用構造体を製造する際、カット工程で得られる端材及びカット屑、並びに、検品工程で得られる質量過不足品及び検査不合格品を用いた。そして、それらを
図1及び
図2に示す粉砕機1の投入口4に投入して粉砕した。回転軸方向に隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dとブレード22の幅dの比D/dは1であった。その後、粉砕物を、直径0.5mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。
得られた再生原料の配合比率は以下の通りであった。
有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計: 43.0質量%
無機繊維: 9.2質量%
無機粒子: 47.8質量%
再生原料の繊維長の度数分布:
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:71.6%
0.3mm未満の範囲の繊維:28.4%
<原料スラリーの調製>
上述したバージン原料(90質量%)及び上述した再生原料(10質量%)を混合し、水に対して3質量%の割合で分散させた原料スラリーを調製した。
【0082】
<鋳物製造用構造体の抄造成形>
抄造型には、φ50×350mmに対応するキャビティ形成面を有する一対の割型で、当該キャビティ形成面に所定の目開きのネットが配され、キャビティ形成面と外部とを連通する多数の連通孔が形成されたものを用いた。そして、前記原料スラリーをモーノポンプで循環させ、前記抄造型内に所定量のスラリーを加圧注入する一方で、前記連通孔を通じて排水し、所定の繊維積層体を前記ネットの表面に堆積させた。所定量の原料スラリーの注入を完了した後、該繊維積層体が堆積された抄造型内に0.2MPaの加圧エアーを約30秒間供給し、該繊維積層体を脱水した。得られた繊維積層体を抄造型から取り出し、220℃に加熱された乾燥型に移した。乾燥型には、φ50×350mmに対応するキャビティ形成面を有する一対の割型で、該キャビティ形成面と外部とを連通する多数の連通孔が形成されたものを用いた。乾燥成形工程では、前記乾燥型の上方開口部から袋状の弾性中子を挿入し、密閉された該乾燥型内で該弾性中子内に加圧流体(圧縮空気、0.2MPa)を供給して該弾性中子を膨らませた。そして、前記繊維積層体を該乾燥型の内面に押しつけて、該乾燥型の内面形状を転写させつつ該繊維積層体を乾燥した。所定時間(90秒)の加圧乾燥を行った後、前記弾性中子内の加圧流体を抜いて該弾性中子を収縮させて前記乾燥型内から退避させた。そして、得られた成形体を前記乾燥型から取り出して冷却し、端部をカット工程で切断して、実施例1の鋳物製造用構造体を得た。
【0083】
〔実施例2〕
<原料の準備>
(3)バージン原料の配合
有機繊維:新聞古紙 26質量%
無機繊維:炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製「パイロフィル(登録商標)チョップドファイバーTCTR03245E」) 4質量%
無機粒子:黒曜石(キンセイマテック株式会社製「ナイスキャッチフラワー#330」) 52質量%
熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(エア・ウォータ・ベルパール株式会社製「ベルパールS−890」) 18質量%
(4)再生原料としては、上記(3)のバージン原料で鋳物製造用構造体を製造する際、カット工程で得られる端材及びカット屑、並びに、検品工程で得られる質量過不足品及び検査不合格品を用いた。そして、それらを
図1及び
図2に示す粉砕機1の投入口4に投入して粉砕した。回転軸方向に隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dとブレード22の幅dの比D/dは1であった。その後、粉砕物を、直径0.5mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。
得られた再生原料の配合比率は以下の通りであった。
有機繊維及び熱硬化性樹脂の合計: 45.9質量%
無機繊維: 3.1質量%
無機粒子: 51.0質量%
再生原料の繊維長の度数分布:
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:63.9%
0.3mm未満の範囲の繊維:36.1%
<原料スラリーの調製>
上述したバージン原料(90質量%)及び上述した再生原料(10質量%)を混合し、水に対して3質量%の割合で分散させた原料スラリーを調製した。
原料スラリーとして、上述した原料スラリーに変更する以外は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例2の鋳物製造用構造体を得た。
【0084】
〔実施例3〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料を粉砕する粉砕機1の隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dとブレード22の幅dの比D/dは1であった。その後、粉砕物を、直径1.0mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。得られた再生原料の繊維長の度数分布は、以下の通りであった。
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:77.5%
0.3mm未満の範囲の繊維:22.3%
その後は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同様にして、原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例3の鋳物製造用構造体を得た。
【0085】
〔実施例4〕
バージン原料として、実施例2と同じバージン原料を用いた。再生原料を粉砕する粉砕機1の隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dとブレード22の幅dの比D/dは1であった。その後、粉砕物を、直径1.0mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。得られた再生原料の繊維長の度数分布は、以下の通りであった。
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:68.4%
0.3mm未満の範囲の繊維:31.6%
その後は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同様にして、原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例4の鋳物製造用構造体を得た。
【0086】
〔実施例5〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料を粉砕する粉砕機1の隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dとブレード22の幅dの比D/dは1であった。その後、粉砕物を、直径2.0mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。得られた再生原料の繊維長の度数分布は、以下の通りであった。
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:80.5%
0.3mm未満の範囲の繊維:19.4%
その後は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同様にして、原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例5の鋳物製造用構造体を得た。
【0087】
〔実施例6〕
バージン原料として、実施例2と同じバージン原料を用いた。再生原料を粉砕する粉砕機1の隣り合う回転刃2,2どうしの間隔Dとブレード22の幅dの比D/dは1であった。その後、粉砕物を、直径2.0mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。得られた再生原料の繊維長の度数分布は、以下の通りであった。
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:76.3%
0.3mm未満の範囲の繊維:23.7%
その後は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同様にして、原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例6の鋳物製造用構造体を得た。
【0088】
〔実施例7〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料として実施例3で得られた再生原料を用いた。
上述したバージン原料(97質量%)及び上述した再生原料(3質量%)を混合し、水に対して3質量%の割合で分散させた原料スラリーを調製した。
原料スラリーとして、上述した原料スラリーに変更する以外は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例7の鋳物製造用構造体を得た。
【0089】
〔実施例8〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料として実施例3で得られた再生原料を用いた。
上述したバージン原料(85質量%)及び上述した再生原料(15質量%)を混合し、水に対して3質量%の割合で分散させた原料スラリーを調製した。
原料スラリーとして、上述した原料スラリーに変更する以外は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、実施例8の鋳物製造用構造体を得た。
【0090】
〔参考例1〕
実施例1と同じバージン原料のみを用いて原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、参考例1の鋳物製造用構造体を得た。
【0091】
〔参考例2〕
実施例2と同じバージン原料のみを用いて原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、参考例2の鋳物製造用構造体を得た。
【0092】
〔比較例1〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料として実施例3で得られた再生原料を用いた。
上述したバージン原料(80質量%)及び上述した再生原料(20質量%)を混合し、水に対して3質量%の割合で分散させた原料スラリーを調製した。
原料スラリーとして、上述した原料スラリーに変更する以外は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、比較例1の鋳物製造用構造体を得た。
【0093】
〔比較例2〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料を粉砕する粉砕機として、隣り合う回転刃どうしの間隔の無い一軸の回転式粉砕機を用いた。その後、粉砕物を、直径1.0mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。得られた再生原料の繊維長の度数分布は、以下の通りであった。
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:53.1%
0.3mm未満の範囲の繊維:46.9%
その後は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同様にして、原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、比較例2の鋳物製造用構造体を得た。
【0094】
〔比較例3〕
バージン原料として、実施例1と同じバージン原料を用いた。再生原料を粉砕する粉砕機として、隣り合う回転刃どうしの間隔の無い一軸の回転式粉砕機を用いた。その後、粉砕物を、直径5.0mmの開口を有するメッシュを通して回収し、再生原料を得た。得られた再生原料の繊維長の度数分布は、以下の通りであった。
0.3mm以上5.0mm未満の範囲の繊維:59.3%
0.3mm未満の範囲の繊維:40.7%
その後は、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同様にして、原料スラリーを調製し、実施例1の鋳物製造用構造体の製造方法と同じ抄造型及び乾燥型を用いて、比較例3の鋳物製造用構造体を得た。
【0095】
〔評価〕
実施例1〜実施例8の鋳物製造用構造体、参考例1〜参考例2の鋳物製造用構造体及び比較例1〜比較例3の鋳物製造用構造体について、不良現象である鋳物製造用構造体の内面の突起物の有無を目視にて評価した。また、圧縮強度を上述した方法(
図3参照)により評価した。それらの結果を下記表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
表1の結果によれば、実施例1〜実施例8の鋳物製造用構造体は、参考例1〜参考例2の鋳物製造用構造体と同様に、鋳物製造用構造体の内面に突起物の発生が確認できず、見栄えが良く、鋳物製造用構造体を嵌合させる際に影響がない。また、実施例1〜実施例8の鋳物製造用構造体は、比較例1〜比較例3の鋳物製造用構造体と比べて、参考例1〜参考例2の鋳物製造用構造体と同じ程度の圧縮強度が得られる。従って、再生原料を用いて得られた実施例1〜実施例8の鋳物製造用構造体は、製品として十分に利用できる。