(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(H)成分の含有量が、0.1〜5000ppmであり、(A)成分に対する(H)成分の質量比が、0.01〜60である、請求項3又は5記載の繊維製品用処理剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[(A)成分]
(A)成分は、式Iで表される化合物である。
【化2】
(式中、
Aはベンゼン環又はナフタレン環であり;
R
1は、飽和若しくは不飽和で、直鎖若しくは分岐鎖の脂環式又は芳香族C
10−C
30炭化水素残基;1個以上のO及び/又はC(O)基/又はアルコキシ基を含有する、飽和若しくは不飽和で、直鎖若しくは分岐鎖の脂環式又は芳香族C
10−C
30炭化水素残基;又は−Si(C
1−C
6アルキル)
3であるか;又はR
1は、ノニルアルコール、3,5,5−トリメチルーヘキサノール、シス−6−ノネノール、2,6−ノナジエン−1−オール、2−フェニルプロパノール、3−フェニルプロパノール、2−(2−メチルフェニル)−エタノール、シンナミルアルコール、エチルバニリン、4−イソプロピル−シクロヘキサノール、3,3,5−トリメチル−シクロヘキサノール、2−シクロヘキシル−プロパノール、及び2,6−ジメチル−ヘプタン−2−オールから選ばれるアルコールR
1OHの残基であり;
2−又は3−位置におけるR
2は、水素又はメチル基であり;
R
3とR
4は、水素、直鎖若しくは分岐鎖C
1−C
6アルキル若しくはC
1−C
6アルコキシ残基、N及び/又はO原子を含有する五員複素環残基、又はC
1−C
6脂肪族及び/又は芳香族置換基によって置換された五員複素環残基、−OH、−NO
2、−NH
2、−N(C
1−C
6アルキル)
2、−N(ヒドロキシC
1−C
6アルキル)
2、−NHCO
2CH
3又は−NH(複素環)であり;
R
2、R
3及びR
4は、同じ又は異なる基であり;
Xは、−OH、−NHR
6又は−OSi(C
1−C
6アルキル)
3を表し、R
6は水素、飽和若しくは不飽和で、直鎖若しくは分岐鎖のC
1−C
20炭化水素又は任意に置換される芳香族若しくは複素環残基であり、
アクリル系二重結合はE立体配置である。)
【0009】
R
1における、「飽和若しくは不飽和で、直鎖若しくは分岐鎖の脂環式又は芳香族C
10−C
30炭化水素残基」は、1つのR
1基に、脂環式部分の鎖と芳香族部分の鎖との両方を含み得ることを意味する。例えば、このようなR
1としては、所定のアルコールR
1OHの残基、所定のアルデヒドR
1HOのエノール形の基質、又は所定のケトンR
1Oのエノール形の基質が挙げられる。
具体的には、R
1は、3,5,5−トリメチル−ヘキサノール、シス−6−ノネノール、2,6−ノナジエン−1−オール、2−フェニル−プロパノール、3−フェニル−プロパノール、2−(2−メチルフェニル)−エタノール、シンナミルアルコール、4−イソプロピル−シクロヘキサノール、3,3,5−トリメチル−シクロヘキサノール、2−シクロヘキシル−プロパノール、2,6−ジメチル−ヘプタン−2−オール、エチルバニリン、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、3,4,5,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−オール、シトロネロール、ゲラニオール、2,5,7−トリメチル−オクタン−3−オール、2−シス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1オール、6−エチル−3−メチル−5−オクテン−1−オール、3,7−ジメチル−オクト−3,6−ジエノール、3,7−ジメチルオクタノール、7−メトキシ−3,7−ジメチル−オクタン−2−オール、5−エチル−2−ノナノール、6,8−ジメチル−2−ノナノール、2,2,8−トリメチル−7(8)−ノネン−3−オール、4−メチル−3−デセン−5−オール、9−デセン−1−オール、2−メチル−ウンデカノール、10−ウンデセン−1−オール、2−メチル−3−フェニル−3−プロペノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、2−メチル−4−フェニル−ペンタノール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、4−(1−メチルエチル)−ベンゼン−メタノール、4−(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン−2−オール、4−(1−メチルエチル)−2−ヒドロキシ−1−メチルベンゼン、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール、デカヒドロ−2−ナフタレノール、ボルネオール、セドレノール、ファルネソール、フェンキルアルコール、メントール、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール、α−イオノール、テトラヒドロイオノール、2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキサノール、3−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキサノール、4−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキサノール、6,6−ジメチル−ビシクロ[3.3.1]ヘプテ−2−エン−2−エタノール、6,6−ジメチル−ビシクロ[3.1.1]ヘプテ−2−エン−メタノール、p−メンテ−8−エン−3−オール、2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル−メタノール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキシル−メタノール、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、2−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2,6−トリメチル−α−プロピル−シクロヘキサンプロパノール、5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチルシクロペン−3−エニル)ペンテ−4−エン−2−オール、2−エチル−4(2,2,3−トリメチルシクロペン−3−エニル)ブテ−2−エン−1−オール、4−(5,5,6−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプテ−2−イル)−シクロヘキサノール、2−(2−メチルプロピル)−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロピラン、2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−シクロヘキサノール、1−(2−tert−ブチル−シクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、1−(4−イソプロピル−シクロヘキシル)−エタノール、2,6−ジメチル−オクテ−7−エン−2−オール、3,7−ジメチル−オクタ−1,6−ジエン−3−オール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、3−メチル−ブテ−2−エン−1−オール、3−メチル−1−ペンタノール、シス−3−ヘキセノール、シス−4−ヘキセノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエタノール、2−フェニル−エタノール、2−フェノキシ−エタノール、2−メトキシ−4−メチル−フェノール、4−メチル−フェノール、アニシルアルコール、p−トリルアルコール、バニリン及びエチルバニリンからなる群から選ばれるアルコールR
1OHの残基であり得る。
また、具体的には、R
1は、2,6,10−トリメチルウンデセ−9−エナール、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフタレンの、トリデカナール、2−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−エタナール、4−カルボキシアルデヒド−1,3,5−トリメチル−シクロヘキセ−1−エン、1−カルボキシアルデヒド−4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−シクロヘキセ−3−エン、2,6−ジメチル−ヘプテ−5−エナール、デカナール、デセ−9−エナール、デセ−4−エナール、2−メチルデカナール、ウンデセ−10−エナール、ウンデカナール、ドデカナール、2−メチル−ウンデカナール、トリデカナール、ウンデセ−9−エナール、3,7−ジメチル−オクタナール、ジヒドロファルネサール、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタナール、2,6−ジメチル−オクテ−5−エナール、2−[4−(1−メチルエチル)フェニル]−エタナール、3−(3−イソプロピル−フェニル)−ブタナール、2−(3,7−ジメチルオクテ−6−エノキシ)−エタナール、1−カルボキシアルデヒド−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−シクロヘキセ−3−エン、ロンギホルアルデヒド、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセ−2−エン−1−イル)−ブタナール、2−メチル−3−(4−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、4−(1,1−ジメチル−エチル)−ベンゼン−プロパナール、2−[4−(1−メチル−エチル)−フェニル]−プロパナール、α−メチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−プロパナール、3,7−ジメチル−オクテ−6−エナール、2−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−プロピオンアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル)−シクロヘキセ−3−エン−1−カルボキシアルデヒド、α−メチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−プロパナール、1−カルボキシアルデヒド−4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサン、4−(オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン−5−イリデン)−ブタナール、[(3,7−ジメチル−6−オクテニル)−オキシ]−アセトアルデヒド、2−4−ジメチル−シクロヒキセ−3−エン−1−カルボキシアルデヒド、1−カルボキシアルデヒド−2,4−ジメチル−シクロヘキセ−3−エン、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、2−フェニル−プロパナール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド及び2,3,5,5−テトラメチル−ヘキサナールからなる群から選ばれるアルデヒドR
1HOのエノール形の残基であり得る。
【0010】
また、具体的には、R
1は、2−ヘプチル−シクロペンタノン、2,2,6,10−テトラメチルトリシクロ−[5.4.0.0(6,10)]−ウンデカン−4−オン、ベンジルアセトン、カルボン、1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4H−インデン−4−オン、ジメチルオクテノン、2−(ブタン−2−イル)−シクロヘキサノン、2−ヘキシル−シクロペンテ−2−エン−1−オン、2−(1−メチルエチル)−5−メチル−シクロヘキサノン、2−(2−メチルエチル)−5−メチル−シクロヘキサノン、3−メチル−シクロペンタデカノン、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、3−オキソ−2−ペンチル−シクロペンタン酢酸メチルエステル、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタノン及び3−メチル−5−プロピル−シクロヘキセ−2−エン−1−オンからなる群から選ばれるケトンR
1Oのエノール形の残基であり得る。
【0011】
R
1は、好ましくは、デセー9−エニル、エチル、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルーシクロペンテ−3−エニル)−ブテ−2−エニル、3−メチル−5−フェニル−ペンチル、3−(3−イソプロピル−フェニル)−ブテ−1−エニル、1−エトキシ―3−(3−イソプロピル―フェニル)−ブチル、3−(4−tert−ブチル―フェニル)−1−エトキシ−プロピル、メチル、3,7−ジメチル−オクテ−6−エニル、又はフェネチルである。さらに好ましくは、デセー9−エニル、エチル、3,7−ジメチル−オクテ−6−エニル、フェネチルである。
R
3及びR
4は、独立に、水素、直鎖若しくは分岐鎖C
1−C
6アルキル又はC
1−C
6アルコキシ残基であることが好ましく、水素又は直鎖若しくは分岐鎖C
1−C
6アルキルであることがより好ましい。R
3及びR
4は、独立に、さらに好ましくは、水素又は直鎖若しくは分岐鎖C
1−C
4アルキルであり、さらにより好ましくは、水素又は直鎖若しくは分岐鎖C
1−C
3アルキルであり、特に好ましくは、水素、メチル又はエチルであり、最も好ましくは水素である。
【0012】
上記式Iで表される化合物は、特開2000-63328号公報に記載のとおり、公知の標準方法を用いることによって製造することができる。例えば、上記式Iで表される化合物である、(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステルは、以下の手順に従って製造し得る。
350mlのトルエン中の75.0gの(カルブエトキシエチリデン)トリフェニルホスホランの溶液に、氷浴中で冷却しながら、20℃において23.2gのサリチルアルデヒドを滴加する。室温において90分間撹拌した後に、反応混合物をトルエンによって希釈し、水によって中性になるまで洗浄する。有機相を乾燥させ、濾過し、蒸発乾燥させた。得られた黄色油状物をクロマトグラフィーによって精製して、35.5gの無色固体((E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステル)を得る。
(A)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品用処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.002〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。(A)成分の配合量が0.0001質量%以上であると、紫外線の曝露等によるアミン臭の発生抑制効果が期待できる。(A)成分の配合量が1質量%以下であると、製品の香りの質の変化を抑えられる。
【0013】
[(B)成分]
(B)成分は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与する効果(すなわち、繊維製品用処理剤本来の機能)を繊維製品用処理剤組成物へ付与するために配合される。
(B)成分は「エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されていてもよい、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である、カチオン界面活性剤である。
炭素数10〜26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)の炭素数は、17〜26が好ましく、18〜24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性付与効果が良好であり、26以下であると繊維製品用処理剤組成物のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央周辺に存在していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0014】
長鎖炭化水素基は、エステル基(−COO−)及び/又はアミド基(−NHCO−)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、長鎖炭化水素基がその炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
「エステル基(−COO−)又はアミド基(−NHCO−)で分断されている、炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物(以下、本明細書において「アミン化合物」ということがある)」における長鎖炭化水素基の数は1〜3個である。好ましくは2個(2級アミン化合物)又は3個(3級アミン化合物)であり、より好ましくは3個である。
【0015】
アミン化合物としては、下記一般式(B1)で表される化合物が挙げられる。
【化3】
(式中、R
1a〜R
3aはそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH
2CH(Y)OCOR
4a(Yは水素原子又はCH
3であり、R
4aは炭素数7〜21の炭化水素基である)、−(CH
2)
nNHCOR
5(nは2又は3であり、R
5は炭素数7〜21の炭化水素基である)、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH
2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH
3である)、又は、−(CH
2)
nNH
2(nは2又は3である)であり、
R
1a〜R
3aのうちの少なくとも1つは、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH
2CH(Y)OCOR
4a及び/又は−(CH
2)
nNHCOR
5である。)
【0016】
一般式(B1)中、R
1a〜R
3aにおける炭素数10〜26の炭化水素基の炭素数は、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
一般式(B1)における基「−CH
2CH(Y)OCOR
4a」中、Yとしては水素原子が好ましい。R
4aは炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。一般式(B1)で表される化合物中にR
4aが複数存在するとき、該複数のR
4aは互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R
4の炭化水素基は、炭素数8〜22の脂肪酸(R
4aCOOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R
4aのもととなる脂肪酸(R
4aCOOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R
4aのもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10〜0/100が好ましく、90/10〜40/60より好ましく、90/10〜70/30が特に好ましい。
R
4aが不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60〜100/0が好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
【0017】
R
4aのもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)〜(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10〜0/100、より好ましくは90/10〜40/60、特に好ましくは90/10〜70/30である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60〜100/0、より好ましくは70/30〜90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21〜22の脂肪酸が1質量%未満である。
【0018】
一般式(B1)における、基「−(CH
2)
nNHCOR
5」中、nは2又は3であり、nとしては3が好ましい。
R
5は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。一般式(B1)で表される化合物中にR
5が複数存在するとき、該複数のR
5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
R
5としては、R
4aと同様のものが具体的に挙げられる。
【0019】
一般式(B1)において、R
1a〜R
3aのうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10〜26の炭化水素基、−CH
2CH(Y)OCOR
4a及び/又は−(CH
2)
nNHCOR
5)である。R
1a〜R
3aのうち2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
R
1a〜R
3aのうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH
2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH
3である)、又は−(CH
2)
nNH
2(nは2又は3である)であり、炭素数1〜4のアルキル基、−CH
2CH(Y)OH、又は−(CH
2)
nNH
2であることが好ましい。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。−CH
2CH(Y)OHにおけるYは、−CH
2CH(Y)OCOR
4a中のYと同様である。−(CH
2)
nNH
2におけるnは、−(CH
2)
nNHCOR
5中のnと同様である。
【0020】
一般式(B1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(B1−1)〜(B1−8)で表される3級アミン化合物が挙げられる。
【化4】
〔(B1−1)式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基である。(B1−2)〜(B1−8)の各式中、R
9及びR
10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基である。〕
【0021】
R
7及びR
8における炭化水素基としては、前記一般式(B1)のR
1a〜R
3aにおける炭素数10〜26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
R
9及びR
10における炭素数7〜21の炭化水素基としては、前記一般式(B1)のR
4aにおける炭素数7〜21の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、炭素数15〜17のアルキル基及びアルケニル基である。なお、式中にR
9が複数存在するとき、該複数のR
9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0022】
本発明の(B)成分は、アミン化合物の塩であってもよい。塩としては、3級アミン化合物の塩が好ましい。
アミン化合物の塩は、該アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
(B)成分は、アミン化合物の4級化物であってもよい。4級化物としては、3級アミン化合物の4級化物が好ましい。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0023】
一般式(B1)及び(B1−1)〜(B1−8)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
例えば、一般式(B1−2)で表される化合物(以下「化合物(B1−2)」という)と、一般式(B1−3)で表される化合物(以下「化合物(B1−3)」という)とを含む組成物は、一般式(B1)のR
4aの欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(B1−2)/化合物(B1−3)」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(B1−2)の4級化物/化合物(B1−3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
【0024】
一般式(B1−4)で表される化合物(以下「化合物(B1−4)」という)と、一般式(B1−5)で表される化合物(以下「化合物(B1−5)」という)と、一般式(B1−6)で表される化合物(以下「化合物(B1−6)」という)とを含む組成物は、一般式(B1)のR
4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(B1−4)、(B1−5)及び(B1−6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(B1−4)が1〜60質量%、化合物(B1−5)が5〜98質量%、化合物(B1−6)が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(B1−4)が30〜60質量%、化合物(B1−5)が10〜55質量%、化合物(B1−6)が5〜35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(B1−4)、(B1−5)及び(B1−6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(B1−4)の4級化物が1〜60質量%、化合物(B1−5)の4級化物が5〜98質量%、化合物(B1−6)の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(B1−4)の4級化物が30〜60質量%、化合物(B1−5)の4級化物が10〜55質量%、化合物(B1−6)の4級化物が5〜35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(B1−4)、(B1−5)及び(B1−6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30〜99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0025】
一般式(B1−7)で表される化合物(以下「化合物(B1−7)」という)及び一般式(B1−8)で表される化合物(以下「化合物(B1−8)」という)は、一般式(B1)のR
4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(B1−7)/化合物(B1−8)」で表される存在比率が質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
またその4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(B1−7)の4級化物/化合物(B1−8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
【0026】
(B)成分としては、
一般式(B1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(B1−1)〜(B1−8)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(B1−4)〜(B1−6)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
特に、一般式(B1−4)で表される化合物の4級化物と、(B1−5)で表される化合物の4級化物と、(B1−6)で表される化合物の4級化物とを併用することが好ましい。
【0027】
(B)成分は、1種類のアミン化合物、その塩又はその4級化物を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物、例えば、一般式(B1−4)〜(B1−6)で表される化合物の混合物として用いてもよい。
(B)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、繊維製品用処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
【0028】
[(C)成分]
(C)成分は、上記(B)成分以外の、アミノ基、第四級アンモニウム基、アミド結合又はイミド結合を有する化合物である。このような化合物は、分解してアミン臭気を発する物質を生成するか、それ自体アミン臭気を発するものである。
(C)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上からなる混合物(組成物)として用いてもよい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(C)成分は、繊維へ柔軟性、消臭・防臭、抗菌効果等を付与する目的で配合される。(C)成分として、例えば、合成時に使用した、若しくは生成したアミン臭気物質や、分解によりアミン臭物質を発する物質が挙げられる。一般的に、アミノ基、第四級アンモニウム基、アミド結合又はイミド結合を有する化合物のアミン臭の課題は、高pHで顕著であるが、(生分解性カチオン界面活性剤を主基材とする)柔軟剤組成物のように低pH条件下であっても、長期の保存や紫外線の影響により、アミン臭が発生し得る。
(C)成分は、アミノ基、第四級アンモニウム基、アミド結合又はイミド結合を1種のみ有してもよいし、2種以上有してもよい。
【0029】
第四級アンモニウム基を有する化合物としては、窒素原子上の置換基のうちの少なくとも一つが炭素数2以上のアルキル基であり、アルカリ性物質の存在下、又はアルカリ性の環境下でアミンを発生する化合物が挙げられる。その具体例としては、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストラン、アルキルアンモニウム塩の単独重合体又は該単量体と他単量体の共重合体等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
アルキルアンモニウム塩の単独重合体又は該単量体と他単量体の共重合体は、具体的に、MERQUAT100(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0030】
アミド結合を有する化合物としては、例えば次式
【化5】
(式中、R
aは炭素数7〜21の炭化水素基を示し、R
b及びR
cは水素原子、低級アルキル基又は-(CH2CH2O)n-H(nは1〜10の数を示す)を示す)
で表わされる化合物が挙げられ、該アミドはアルカリ条件下で、例えば、求核攻撃を経る加水分解により、アミンを生ずる。その具体例としては、モノ又はジエタノール脂肪酸アミド、モノイソプロパノールアミド等のアルカノールアミド等が挙げられる。
【0031】
アミノ基を有する化合物としては、アミノ変性シリコーン、エタノールアミン、イミダゾリニウム化合物、ベタイン型両性化合物、サルコシネート等が挙げられる。
柔軟剤組成物においては、繊維製品の柔軟性を向上するためにアミノ変性シリコーン、消臭・防臭効果のためにベタイン型両性化合物、抗菌性付与のためにイミダゾリウム化合物を配合することが好ましい。
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ基を導入してなる化合物である。
好ましいアミノ変性シリコーンの構造は、次の一般式(C1):
【化6】
(式中、Rは、それぞれ独立して、―H、―OH、−CH
3及び−Si(CH
3)
3からなる群より選ばれ、Xは、―(CH
2)
a―NH
2、または、―(CH
2)
a―NH(CH
2)
bNH
2であり(aは0〜3の整数であり、bは1〜3の整数である)、nは1〜10,000であり、mは1〜1000である。)
で表される、側鎖Xにアミノ基を導入してなる化合物である。
【0032】
アミノ変性シリコーンは、好ましくは、25℃での動粘度が100〜20000mm
2/s、より好ましくは500〜10000mm
2/sである。25℃での動粘度が100〜20000mm
2/sの範囲であると、高い風合い付与効果が得られ、かつ、繊維製品用処理剤組成物の製造性及び取扱性が容易になる。動粘度は、オストワルト型粘度計で測定することができる。
アミノ変性シリコーンは、好ましくはアミノ当量が400〜8000g/mol、より好ましくは500〜5000g/molであり、さらに好ましくは1200〜4000g/molである。アミノ当量が400〜8000g/molの範囲であると、十分な配合効果を得ることができる。アミノ当量は、アミノ変性シリコーンの重量平均分子量を当該アミノ変性シリコーンに含まれる窒素原子数で割ることにより求めることができる。窒素原子数は元素分析により求めることができる。
アミノ変性シリコーンは、オイルの形態(シリコーンオイル)であってもよく、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として用いることで乳化させたエマルジョン(シリコーンエマルジョン)の形態であってもよい。シリコーンエマルジョンの形態であることが好ましい。
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができる。
シリコーンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社から商品名:SF―8417、BY16−849、BY16−892、FZ−3785又はBY16−890で販売されているものや、信越化学工業株式会社から商品名:KF−864、KF−860、KF−880、KF−8004、KF−8002、KF−867又はKF−869、KF−861、KF―8610で販売されているものなどがあげられる。
【0033】
(C)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品用処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.01〜35質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.05〜10質量%である。(C)成分の好ましい配合量は、配合する化合物の配合目的、効果により異なるが、(C)成分がアミノ変性シリコーンである場合、繊維製品用処理剤組成物(柔軟剤組成物)全体の約0.1〜10質量%が好ましい。(C)成分がアミノ変性シリコーンである場合、より好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは1〜3質量%を繊維製品用処理剤組成物(柔軟剤組成物)中に存在させるのが好ましい。アミノ変性シリコーンの配合量が0.1質量%以上であると、繊維製品の柔軟性向上効果が適切に得られ、アミノ変性シリコーンの配合量が10質量%以下であると、繊維製品用処理剤組成物(柔軟剤組成物)の保存時の黄変及び原料費を抑えることができる。
(A)成分に対する(C)成分の質量比((C)/(A))は、好ましくは2〜3000、より好ましくは10〜1000、さらに好ましくは20〜250である。(C)/(A)が3000より大きくなると、保存後の香気劣化が大きく異臭を感じやすくなる。
【0034】
[(D)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、(D)成分としてノニオン界面活性剤を含有してもよい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、多価アルコール、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるものを用いることができる。
ノニオン界面活性剤の炭素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖は短鎖でも長鎖でも構わないが、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは8〜18である。炭素鎖が直鎖である場合には炭素数6〜14のものが好ましく、より好ましくは8〜12、最も好ましくは8〜10である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、炭素数6〜18のものが好ましく、より好ましくは9〜18、最も好ましくは13である。
原料としては、エクソン化学製エクサール、BASF社製LUTENSOLシリーズ、協和発酵工業製オキソコール、HoechstAG社製GENAPOLシリーズ、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用することができる。また、特にアルコールのアルキレンオキシド付加物の場合には1級アルコールでも2級アルコールでも使用できるが、1級アルコールを用いたほうが組成物の分散性が良好である。炭素数が13のアルコールは、例えばドデセンを原料に製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。
ノニオン界面活性剤の炭素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は18であるものが特に好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。
ノニオン界面活性剤がアルキレンオキサイドを含む場合、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、エチレンオキサイドとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては10〜100モルが好適であり、より好ましくは20〜80モル、特に好ましくは40〜70モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1〜5が好適であり、より好ましくは1〜3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
【0035】
より具体的には、例えばノニルアルコールの平均EO9PO1付加物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO60モル付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60付加物、オレイルアミンの平均EO50付加物、ラウリン酸の平均EO20モル付加物などが挙げられる。日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、エソミンシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズ、BASF社製LUTESOLシリーズなどを使用することができる。
(D)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品用処理剤組成物の総質量に対し、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。ノニオン界面活性剤が配合されると、乳化物中での油溶性成分の乳化分散安定性及び乳化物の凍結復元安定性が向上する。ノニオン界面活性剤の配合量が10質量%以下であれば、繊維製品用処理剤組成物の粘度の上昇を抑えて、使用性の面で良好なものとすることができる。
【0036】
[(E)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物には、粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は繊維製品用処理剤組成物中に0〜1質量%程度配合でき、繊維製品用処理剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0037】
[(F)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、防腐力、殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために、防腐剤を用いることができる。
具体的には、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又はこれらの混合物などが挙げられる。中でも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)、又はこれらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物中、防腐剤の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の総量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましい。防腐剤の配合量が下限値未満であると、防腐剤の添加効果が得られにくく、上限値を超えると、保存安定性が低下するおそれがある。
【0038】
[(G)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、(G)成分としてアンブロキサン(AMBROXANE)を含有してもよい。
(G)成分の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の総量に対して、好ましくは0.1〜5000ppm、より好ましくは0.1〜1000ppm、さらに好ましくは0.1〜500ppmである。
(A)成分に対する(G)成分の質量比((G)/(A))は、好ましくは0.01〜60、より好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは0.1〜8である。(G)/(A)が60よりも大きくなると、保存前後での香気の質変化が大きくなり、(G)/(A)が0.01以上であるとアミン臭の抑制効果がより良好に得られる。
【0039】
[(H)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、(H)成分としてフェニルエチルアルコール(PHENYL ETHYL ALCOHOL)を含有してもよい。
(H)成分の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の総量に対して、好ましくは0.1〜5000ppm、より好ましくは0.1〜1000ppm、さらに好ましくは0.1〜500ppmである。
(A)成分に対する(H)成分の質量比((H)/(A))は、好ましくは0.01〜60、より好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは0.1〜8である。(H)/(A)が60よりも大きくなると、保存前後での香気の質変化が大きくなり、(H)/(A)が0.01以上であるとアミン臭の抑制効果がより良好に得られる。
【0040】
[(I)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、(I)成分として香料組成物を含有してもよい。香料組成物中の香料成分は、特に限定されるものではないが、使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
なお、本発明の繊維製品用処理剤組成物には、(G)成分、(H)成分及び(I)成分以外に、カプセル香料を配合することもできる。
【0041】
[他の任意成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(I)成分以外にも、以下のような成分を含有してもよい。
<染料及び/又は顔料>
染料及び/又は顔料は、繊維製品用処理剤組成物の外観を向上する目的で配合することができる。好ましくは、酸性染料から選ばれる、赤色、黄色系の水溶性染料の1種以上であり、具体的にはアシッドイエロー、アシッドレッド等が挙げられる。
添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
本発明の繊維製品用処理剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
【0042】
<水>
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、好ましくは水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水は、本発明の繊維製品用処理剤組成物中に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上配合される。水の含有割合が前記下限値以上であれば、ハンドリング性が良好となる。
【0043】
<紫外線吸収剤>
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤は、紫外線を防御する効果のある薬剤であり、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出する成分である。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0044】
<抗菌剤>
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、抗菌剤を配合することができる。抗菌剤は、繊維上での菌の増殖を抑え、さらには微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8−オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
【0045】
<その他>
前記の化合物以外に、本発明の繊維製品用処理剤組成物において、香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、ポリスチレンエマルジョンなどの乳濁剤、不透明剤、機能向上剤として、消臭基材、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、ポリビニルピロリドンなどの移染防止剤、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)などの蛍光増白剤、染料固定剤、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの退色防止剤、染み抜き剤、繊維表面改質剤としてセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ケラチナーゼなどの酵素、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与できるものとしてシルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス)、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位からなる非イオン性高分子化合物、例えば互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC−1などの汚染防止剤などを配合することができる。
【0046】
[pH]
本発明の繊維製品用処理剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1〜6の範囲に調整することが好ましく、2〜4の範囲であることがより好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0047】
[粘度]
本発明の繊維製品用処理剤組成物の粘度は特に限定されないが、1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。
【0048】
[製造方法]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の繊維製品用処理剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物が柔軟剤組成物組成物である場合、その調製方法は特に限定されず、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む油相と、(F)成分を含む水相とを、(B)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、必要に応じて、得られた乳化物に他の成分を添加、混合することにより製造することができる。(C)成分は、油相と水相を混合して乳化物を得た後に添加してもよい。
【0049】
[用途・使用方法]
本発明の繊維製品用処理剤組成物の用途は特に限定されないが、洗浄剤組成物、漂白剤組成物、柔軟剤組成物、スプレー式繊維処理剤等に応用することができる。中でも、柔軟剤組成物として応用することが好ましい
本発明の繊維製品用処理剤組成物による繊維製品の処理方法は特に制限されるものではなく、従来知られている洗剤、仕上げ剤(柔軟剤、糊剤等)、スプレー式繊維処理剤等と同様に行うことができる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物により処理され得る繊維製品は、特に制限されるものではなく、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。その素材も、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物が液体柔軟剤組成物である場合、衣類等の繊維製品の処理方法は特に制限されるものではなく、従来知られている柔軟剤と同様に処理できる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行う、又はたらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法があるが、その場合は適度な濃度に希釈して使用される。その場合、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(B)成分の濃度が好ましくは0.01ppm〜1000ppmとなるような量で使用され、さらに好ましくは0.1ppm〜300ppmとなるような量で使用される。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0051】
[(A)成分]
下記のA−1及びA−17を、特開2000-63328の記載に準じて合成し使用した。
・A−1:(E)−3−(2−ヒドロキシフェニル)−アクリル酸デセー9−エニルエステル(特開2000-63328の段落番号0040に記載の化合物)
・A−2:(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−アクリル酸エチルエステル(特開2000-63328の段落番号0038に記載の化合物)
・A−3:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−アクリル酸2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルーシクロペンテ−3−エニル)−ブテ−2−エニルエステル(特開2000-63328の段落番号0041に記載の化合物)
・A−4:(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−アクリル酸2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルーシクロペンテ−3−エニル)−ブテ−2−エニルエステル(特開2000-63328の段落番号0042に記載の化合物)
・A−5:(E)−3−(2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−アクリル酸3−メチル−5−フェニル−ペンチルエステル(特開2000-63328の段落番号0043に記載の化合物)
・A−6:(E)−3−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−フェニル)−ブテ−2−エン酸デセ−9−エニルエステル(特開2000-63328の段落番号0044に記載の化合物)
・A−7:(E)−3−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−フェニル)−ブテ−2−エン酸3−メチル−5−フェニル−ペンチルエステル(特開2000-63328の段落番号0045に記載の化合物)
・A−8:(E)−3−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニオルオキシ)−フェニル]−アクリル酸tert-ブチル−ジメチル−シリルエステル(特開2000-63328の段落番号0046に記載の化合物)
・A−9:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−アクリル酸3−(3−イソプロピル−フェニル)−ブテ−1−エニルエステル(特開2000-63328の段落番号0048に記載の化合物)
・A−10:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−アクリル酸1−エトキシ―3−(3−イソプロピル―フェニル)−ブチルエステル(特開2000-63328の段落番号0051に記載の化合物)
・A−11:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−アクリル酸3−(4−tert−ブチル―フェニル)−1−エトキシ−プロピルエステル(特開2000-63328の段落番号0052に記載の化合物)
・A−12:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチルーアクリル酸エチルエステル(特開2000-63328の段落番号0030に記載の化合物)
・A−13:(E)−3−(2−ヒドロキシーフェニル)−2−メチル−アクリル酸メチルエステル(特開2000-63328の段落番号0031に記載の化合物)
・A−14:(E)−3−(2−ヒドロキシーフェニル)−2−メチル−アクリル酸エチルエステル(特開2000-63328の段落番号0032に記載の化合物)
・A−15:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸3,7−ジメチル−オクテ−6−エニルエステル(特開2000-63328の段落番号0034に記載の化合物)
・A−16:(E)−3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−アクリル酸フェネチルエステル(特開2000-63328の段落番号0035に記載の化合物)
・A−17:3−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−フェニル)−ブテ−2−エン酸エチルエステル(特開2000-63328の段落番号0036に記載の化合物)
【0052】
[(B)成分]
下記のB−1〜B−3を使用した。
・B−1:カチオン界面活性剤(特開2003−12471の実施例4に記載の化合物) B−1は、一般式(B1−4)、(B1−5)及び(B1−6)で表される化合物(各式中、R
9は炭素数15〜17のアルキル基又はアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物である。
・B−2:カチオン界面活性剤(Stepan製、商品名:Stepantex SE-88)
B−2は、一般式(B1−4)、(B1−5)及び(B1−6)で表される化合物(各式中、R
9は炭素数15〜17のアルキル基又はアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物である。
・B−3:カチオン界面活性剤(東南合成(株)製、商品名:HITEX RO16E)
B−3は、一般式(B1−4)、(B1−5)及び(B1−6)で表される化合物(各式中、R
9は炭素数15〜17のアルキル基又はアルケニル基である)をジメチル硫酸で4級化したものを含む組成物である。
【0053】
[(C)成分]
下記のC−1〜C−6を使用した。
・C−1:X52−8369(信越化学社製)アミノ変性シリコーン
・C−2:KF−864(信越化学社製)アミノ変性シリコーン
・C−3:KF−869(信越化学社製)アミノ変性シリコーン
・C−4:SM8904(東レダウコーニング社製)アミノ変性シリコーン
・C−5:MERQUAT100(Nalco社製)ポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウム
・C−6:リポミンAPA168−65E(東邦化学社製)ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドエタノール
【0054】
[(D)成分]
下記のD−1〜D−6を使用した。
・D−1:イソトリデシルアルコールのEO60モル付加物(TA600−75、ライオンケミカル社製)
・D−2:ポリオキシエチレンラウリルエーテルEO40モル(TA400−75、ライオンケミカル社製)
・D−3:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(Exxon Mobil社製Exxal13にエチレンオキサイド(EO)を60モル付加させたもの)
【0055】
[(E)成分]
下記のE−1を使用した。
・E−1:塩化カルシウム(和光純薬株式会社製)
【0056】
[(F)成分]
下記のF−1を使用した。
・F−1:イソチアゾロン液(ケーソンCG/ICP、Rohm &Haas社製)
【0057】
[(G)成分]〜[(I)成分]
下記のG−1、H−1及びI−1を使用した。
・G−1:アンブロキサン
・H−1:フェニルエチルアルコール
・I−1:下記表1に記載の香料組成物
【表1】
【0058】
[繊維製品用処理剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を下記表2〜4で示される実施例・比較例に記載の通り調整して、次の手順により液体柔軟剤組成物を調製した。
・(C−1)、(C−4)、(C−5)成分を使用する例
(A)成分、(B)成分、(D)成分、(G)成分、(H)成分、(I)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、(F)成分をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物及び(E)成分、(C−1)成分、(C−4)成分、(C−5)成分の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(B)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(B)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,500rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(E)成分、次いで(C)成分を添加した。尚、(E)成分は添加前にイオン交換水に溶解し、30%wt水溶液として用いた。また必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpHを3に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の柔軟剤組成物を得た。
・(C−2)、(C−3)、(C−4)成分を使用する例
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(G)成分、(H)成分、(I)成分を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、(F)成分をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物及び(E)成分の合計量を差し引いた残部に相当する。
次に、(B)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(B)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,500rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(E)成分を添加した。尚、(E)成分は添加前にイオン交換水に溶解し、30%wt水溶液として用いた。また必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH3に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の柔軟剤組成物を得た。それぞれ得られた各液体柔軟剤組成物の25℃における粘度(B型粘度計)は、10〜250mPa・sであった。
下記表2〜4で示される実施例・比較例中、(A)〜(I)の各成分の数値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する配合量(質量%)である。
また、下記表2〜4で示される実施例・比較例中の「C/A」は、「(A)成分の質量」に対する「(C)成分の質量」の比を示す。「G/A」「H/A」についても同様である。
【0059】
[評価方法]
上記のとおり調製した繊維製品用処理剤組成物を、PE容器に80mL入れ、アルミホイルで3重に巻いた後、屋外でか、もしくは暗中の25℃恒温槽に2週間静置した。屋外のUV積算量は20MJであった。
<日光曝露品の香気評価>
上記のとおり屋外にて保存した繊維製品用処理剤組成物の香気を、25℃保存サンプルを対照品とし、専門パネラー5名が下記評価基準により評価し、5名の平均をとって下記判定基準により判定した。製品の価値上、△以上を合格とした。下記表2〜4に結果を示す。
<評価基準>
1点:異臭を感じず、対照と比べ変化がない
2点:異臭を感じないが、対照と比べやや変化がある
3点:異臭を感じないが、対照と比べかなり変化がある
4点:異臭を感じ、対照と比べ非常に変化がある
<判定基準>
◎:1〜1.5未満
○:1.5〜2.5未満
△:2.5〜3.5未満
×:3.5〜4
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】