特許第6741501号(P6741501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6741501光電センサ用光軸調整治具と光電センサの光軸調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741501
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】光電センサ用光軸調整治具と光電センサの光軸調整方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20200806BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20200806BHJP
   G01J 1/06 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   H01H35/00 E
   G01J1/02 P
   G01J1/06 C
   G01J1/06 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-133975(P2016-133975)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-6234(P2018-6234A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅博
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−035595(JP,A)
【文献】 実公昭48−035497(JP,Y1)
【文献】 実開昭48−049547(JP,U)
【文献】 特開平05−062573(JP,A)
【文献】 特開昭54−036582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
G01J 1/00− 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光側光電センサと受光側光電センサとを有する光電センサの光軸を調整する光軸調整治具であって、
前記投光側光電センサまたは前記受光側光電センサのいずれか一方の光電センサの方向から前記投光側光電センサまたは前記受光側光電センサのいずれか他方の光電センサの受光部または投光部に向けて調整光を照射する光源と、
前記調整光の照射方向に平行な向きの観測窓と、
前記観測窓を介して前記他方の光電センサを観測する確認部と、
前記観測窓から入る像を前記確認部に向けて屈曲させる鏡と、
を備え
前記確認部は、前記他方の光電センサの受光部又は投光部に反射して映る前記光源を確認できるように構成されている、
ことを特徴とする光電センサ用光軸調整治具。
【請求項2】
前記光源の電源を備えている、
請求項1に記載の光電センサ用光軸調整治具。
【請求項3】
前記確認部は、前記一方の光電センサと前記他方の光電センサとを物体を検知する所定位置に配置し、前記一方の光電センサの投光部または受光部の前面に前記光軸調整治具を当てた状態で、前記鏡に映る前記他方の光電センサを確認できるように構成されている、
請求項1又は2に記載の光電センサ用光軸調整治具。
【請求項4】
前記鏡は、ハーフミラーで構成され、
前記光源は、前記ハーフミラーを透過して前記調整光を照射するように構成されている、
請求項1又は2に記載の光電センサ用光軸調整治具。
【請求項5】
前記確認部は、前記鏡に映る像を拡大又は焦点距離を調整する像調整部をさらに備えている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電センサ用光軸調整治具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電センサ用光軸調整治具を用いた光電センサの光軸調整方法であって、
前記一方の光電センサの方向から前記他方の光電センサの方向に向けて前記光源の前記調整光を照射し、
前記確認部から前記他方の光電センサの受光部または投光部に映る前記光源を観測した状態で前記他方の光電センサの姿勢を調整し、前記他方の光電センサの受光部または投光部の中央部に前記光源が位置して見えるように該他方の光電センサの姿勢を調整する、
ことを特徴とする光電センサの光軸調整方法。
【請求項7】
前記他方の光電センサの姿勢を調整する前に、前記他方の光電センサの方向から前記一方の光電センサの方向に向けて前記光源の前記調整光を照射し、前記確認部から前記一方の光電センサの投光部または受光部の中央部に前記光源が位置して見えるように該一方の光電センサの姿勢を調整するようにした、
請求項6に記載の光電センサの光軸調整方法。
【請求項8】
前記他方の光電センサの姿勢を調整する前に、前記一方の光電センサの前面に前記光軸調整治具を当てた状態で、前記確認部から前記他方の光電センサが映るように前記一方の光電センサの姿勢を調整するようにした、
請求項6に記載の光電センサの光軸調整方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光側光電センサと受光側光電センサとを有する光電センサの光軸を調整するための光軸調整治具と、光電センサの光軸調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の場所で物体検知のために光電センサ(透過型光電センサ)が用いられている。光電センサは、投光側光電センサ(以下、単に「投光センサ」ともいう)から照射する光を受光側光電センサ(以下、単に「受光センサ」ともいう)で受光し、投光センサの光が遮られたことで物体を検知している。このため、光電センサの設置時には、投光センサから照射する光の光軸を受光センサで適切に受光できるように光軸調整が必要となる。この光軸調整としては、通常、目視や、水糸を利用した肉眼により、投光センサを受光センサの動作表示ランプが機能する程度の位置に向きを合わせる。そして、受光センサに備えられた動作表示ランプを確認しながら、この動作表示ランプが点灯する位置に受光センサの向きを調整することとで、光軸調整が行われている。
【0003】
一方、限られた範囲で細かく物体を検知するために、複数の光電センサを近接して設けることがある。このような場合、上記した目視や、水糸を利用した肉眼での向き合わせと、動作表示ランプを確認しながら光軸調整する作業では、近接する他のセンサの影響を受ける場合があり、光軸調整に時間を要する。特に、機械式駐車設備の1つである平面往復式機械式駐車設備のように、光電センサの光軸調整精度が要求される場合、光軸調整作業に非常に時間を要する。
【0004】
この種の光電センサに関する先行技術として、検出光を照射する投光部と、この検出光が外部で反射されて戻ってきた戻り光を受ける受光部とを備えた光電センサがある(例えば、特許文献1参照)。この光電センサは、戻り光の光路の向きを変更する光路調整部を内部に有している。
【0005】
また、他の先行技術として、投光器と受光器の両方に治具を取り付け、投光器から発した可視レーザビームを受光器の印的に照射させて光軸を合わせるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−158389号公報
【特許文献2】特開2002−222986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1では、投光部から発した検出光が外部で反射した戻り光を受光部で受けるためには、検出光を反射させる構成が必要で、用途によっては設置できない。しかも、内部に光路調整部などを有しているため、設置完了後に不要となる光路調整部を備えさせるために構造が複雑となりコストが高くなり、利用が難しい場合が生じる。
【0008】
また、上記特許文献2では、投光器及び受光器のそれぞれに精度の高い治具を設置する必要があり、治具の設置のために時間を要する。しかも、投光器と受光器の距離が離れている場合、投光器側で行う角度調整作業と受光器側で行う確認作業に2人の作業者が必要となり、容易に行うことが難しい場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、光電センサの光軸調整を1人でも容易に行うことができる光電センサ用光軸調整治具とその光電センサの光軸調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る光電センサ用光軸調整治具は、投光側光電センサと受光側光電センサとを有する光電センサの光軸を調整する光軸調整治具であって、前記投光側光電センサまたは前記受光側光電センサのいずれか一方の光電センサの方向から前記投光側光電センサまたは前記受光側光電センサのいずれか他方の光電センサの受光部または投光部に向けて調整光を照射する光源と、前記調整光の照射方向に平行な向きの観測窓と、前記観測窓を介して前記他方の光電センサを観測する確認部と、前記観測窓から入る像を前記確認部に向けて屈曲させる鏡と、を備え、前記確認部は、前記他方の光電センサの受光部又は投光部に反射して映る前記光源を確認できるように構成されている。

【0011】
この構成により、投光側光電センサまたは受光側光電センサのいずれか一方の光電センサら調整光を他方の光電センサの方向に発し、確認部から鏡と観測窓を介して、他方の光電センサの受光部または投光部に反射して映る調整光を照射する光源の位置を確認する。そして、他方の光電センサの受光部の適切な位置に光源が映るように、他方の光電センサの姿勢を調整する。このような簡単な操作により、光電センサの光軸調整ができる。

【0012】
また、前記光源の電源を備えていてもよい。このように構成すれば、光源のための電源用配線が外部に必要なく、光軸調整治具の携帯性を向上させることができる。
【0013】
また、前記確認部は、前記一方の光電センサと前記他方の光電センサとを物体を検知する所定位置に配置し、前記一方の光電センサの投光部または受光部の前面に前記光軸調整治具を当てた状態で、前記鏡に映る前記他方の光電センサを確認できるように構成されていてもよい。このように構成すれば、一方の光電センサの投光部または受光部の前面に光軸調整治具を当てて確認部を覗くことで、他方の光電センサの位置を正確に確認することができる。

【0014】
また、前記鏡は、ハーフミラーで構成され、前記光源は、前記ハーフミラーを透過して前記調整光を照射するように構成されていてもよい。このように構成すれば、光源を鏡及び観測窓と同軸上に配置することができ、観測窓を介して調整光をより正確に確認することができる。しかも、全体的にコンパクトに形成することができる。
【0015】
また、前記確認部は、前記鏡に映る像を拡大又は焦点距離を調整する像調整部をさらに備えていてもよい。このように構成すれば、投光側光電センサから離れた位置の受光側光電センサとの間で光軸調整をする場合でも、調整光の位置を適切に確認して光軸調整をすることができる。

【0016】
一方、本発明に係る光電センサの光軸調整方法は、前記いずれかの光電センサ用光軸調整治具を用いた光電センサの光軸調整方法であって、前記一方の光電センサの方向から前記他方の光電センサの方向に向けて前記光源の前記調整光を照射し、前記確認部から前記他方の光電センサの受光部または投光部に映る前記光源を観測した状態で前記他方の光電センサの姿勢を調整し、前記他方の光電センサの受光部または投光部の中央部に前記光源が位置して見えるように該他方の光電センサの姿勢を調整する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「姿勢」は、角度、位置などを含む。
この構成により、一方の光電センサの方向から光源の調整光を他方の光電センサの方向に照射し、確認部から鏡と観測窓を介して他方の光電センサの受光部または投光部に反射して映る調整光を照射する光源の位置を確認する。そして、他方の光電センサの受光部の中央部に光源が映るように、他方の光電センサの姿勢を調整する。これにより、光電センサの光軸調整を適切に行うことができる。

【0017】
また、前記他方の光電センサの姿勢を調整する前に、前記他方の光電センサの方向から前記一方の光電センサの方向に向けて前記光源の前記調整光を照射し、前記確認部から前記一方の光電センサの投光部または受光部の中央部に前記光源が位置して見えるように該一方の光電センサの姿勢を調整するようにしてもよい。このように構成すれば、一方の光電センサと他方の光電センサとが離れているような場合でも、他方の光電センサの姿勢を調整する前に、一方の光電センサの投光部または受光部の中央部に光源が位置して見えるように一方の光電センサの姿勢を容易に調整でき、光電センサの光軸調整を適切に行うことができる。

【0018】
また、前記他方の光電センサの姿勢を調整する前に、前記一方の光電センサの前面に前記光軸調整治具を当てた状態で、前記確認部から前記他方の光電センサが映るように前記一方の光電センサの姿勢を調整するようにしてもよい。このように構成すれば、他方の光電センサの姿勢を調整する前に、一方の光電センサの姿勢を調整することができる。

【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、確認部から鏡と観測窓を介して、投光側光電センサの方向から受光側光電センサの方向に向けて照射された調整光の位置を確認し、受光側光電センサの受光部の適切な位置に調整光が照射されるように受光側光電センサの向きを調整すれば、光電センサの光軸調整が容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す図面であり、(A)は斜視図、(B)は縦断面図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。
図3図3は、本発明の第3実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。
図4図4は、本発明の第4実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。
図5図5は、本発明の第5実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。
図6図6(A)〜(D)は、本発明に係る光電センサの光軸調整方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、光源として発光ダイオード(以下、「LED」という)を例に説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、図1(B)に示すように光軸調整治具10を側面から見た状態において、調整光の照射方向(紙面右方向)を前方向として説明する。
【0022】
(光軸調整治具の第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す図面であり、(A)は斜視図、(B)は縦断面図である。図示するように、この実施形態の光軸調整治具10は、側面視が矩形状のケーシング11を有し、ケーシング11の下部には、光源配置部12が形成されている。この光源配置部12に、光源のLED14を有するLEDライト13が設けられている。この実施形態のLEDライト13は、ケーシング11とは別体で構成されており、前端部にLED14を有し、その後部には電池ケース15と点灯スイッチ16が設けられている。この例の場合、電池ケース15内の電源をボタン電池(図示略)とすることで、全体をコンパクトにできる。また、光源をLEDライト13のLED14とすることで、LED14に電源を接続するための配線なども必要なく、光軸調整治具10の携帯性を向上させることができる。
【0023】
LEDライト13は、ケーシング11から取り外した状態で後端の点灯スイッチ16を押すことで、前端部のLED14が点灯する。LED14を点灯させた状態で、LEDライト13をケーシング11の光源配置部12に挿入することで、光軸調整治具10の前方に光源のLED14から調整光Bを照射させることができる。光源としてLED14を用いることで、比較的小さく絞られた光源として、中心が見つけやすく、調整しやすくできる。
【0024】
上記ケーシング11の上部には、前方に開放された観測窓17が設けられている。観測窓17は、上記調整光Bの照射方向に平行な向きに開放している。観測窓17の後方のケーシング11には、観測窓17を介して見る上記調整光Bを上方へ屈曲させる鏡18と、この鏡18に映る上記調整光Bの像を確認する確認部19とが設けられている。鏡18を約斜め45°に配置することで、確認部19を真上から覗くことで、鏡18を介して観測窓17から水平方向を見ることができる。

【0025】
このような光軸調整治具10によれば、後述するように、投光センサ101の前面にケーシング11の後面が接するように配置することで、投光センサ101の方向から受光センサ103(図6)に向けて、投光センサ101が照射する光の光軸と同軸方向にLED(光源)14の調整光Bを照射することができる。
【0026】
そして、後述するように、確認部19から鏡18を覗くことで、観測窓17を介してLED14が発した調整光Bが受光センサ103の受光部104に映る状態を確認して受光センサ103の姿勢を調整することができる。これにより、後述するように、光電センサの光軸調整を容易に行うことができる。
【0027】
(光軸調整治具の第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。図示するように、第2実施形態の光軸調整治具20は、ケーシング21の内部に電池ケース25と点灯スイッチ26とLED24とを備えさせた例である。ケーシング21の下部には、前後方向に電池ケース25と点灯スイッチ26とが設けられ、ケーシング21の前端部にLED24が設けられている。電池ケース25には、電池25aと接続金具25bとが入れられている。点灯スイッチ26を押すことで、前端部のLED24が点灯する。LED24の上方のケーシング21には、観測窓27が設けられている。観測窓27の後方には、斜めに配置された鏡28が設けられている。鏡28の上方には、確認部29が設けられている。
【0028】
この実施形態の光軸調整治具20によっても、投光センサ101の前面にケーシング21の後面が接するように配置することで、投光センサ101の方向から受光センサ103(図6)に向けて、投光センサ101が照射する光の光軸と同軸方向にLED(光源)24の調整光Bを照射することができる。
【0029】
そして、確認部29から鏡28を覗くことで、後述する図6のように、観測窓27を介してLED24が発した調整光Bが受光センサ103の受光部104に映る状態を確認して受光センサ103の姿勢を調整することができる。これにより、光電センサ100の光軸調整を容易に行うことができる。
【0030】
(光軸調整治具の第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。図示するように、第3実施形態の光軸調整治具30は、鏡38が上記実施形態とは異なる。この実施形態の鏡38は、中央部分に貫通穴38aを有する鏡38で構成されている。
【0031】
そして、ケーシング31の下部に電池ケース35が設けられ、電池ケース35には電池35aと接続金具35bとが入れられている。ケーシング31の上部には、後端部に点灯スイッチ36が設けられ、その前部にLED34が設けられている。LED34の前方に上記鏡38が設けられている。LED34は、鏡38の貫通穴38aの後方に位置するように配置されている。鏡38の上方には、確認部39が設けられており、鏡38の貫通穴38aを除く部分に映る調整光Bを確認することができる。
【0032】
この実施形態の光軸調整治具30によれば、LED34を点灯させることで、鏡38の貫通穴38aを介して観測窓37の中央部分から受光センサ103(図6)に向けて調整光Bを照射することができる。そして、確認部39から鏡38を覗くことで、観測窓37を介してLED34が発した調整光Bが受光センサ103の受光部104に映る状態を確認して受光センサ103の姿勢を調整することができる。これにより、光電センサ100の光軸調整を容易に行うことができる。
【0033】
しかも、第3実施形態の光軸調整治具30によれば、光源であるLED34の照射軸線上で調整光Bの像を確認することになり、上記第1、第2実施形態の光軸調整治具10,20と比べて、より正確に調整光Bを受光センサ103の受光部104の中央部に合せることができる。しかも、光源のLED34を観測窓37の後方線上に配置することができ、全体的にコンパクトに形成することができる。

【0034】
(光軸調整治具の第4実施形態)
図4は、第4実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。第4実施形態の光軸調整治具40は、上記第3実施形態の光軸調整治具30と比べて、鏡48がハーフミラーで構成されている点が異なる。他の構成は上記第3実施形態と同一であるため、同一の構成には第3実施形態の符号に「10」を付加し、その説明は省略する。
【0035】
図示するように、この実施形態の光軸調整治具40は鏡48がハーフミラーで構成され、この鏡48の後方にLED44が配置されている。この実施形態によれば、LED44の調整光Bは、ハーフミラーの鏡48を透過して観測窓47から受光センサ103(図6)に向けて照射される。そして、受光センサ103の受光部104に映る調整光Bの位置を確認部49から鏡48及び観測窓47を介して確認し、受光センサ103の姿勢を調整する。これにより、光電センサ100の光軸調整を容易に行うことができる。
【0036】
この実施形態の光軸調整治具40によっても、観測窓47の中央部分から受光センサ103(図6)に向けて調整光Bを照射することができる。そして、確認部49から鏡48を覗くことで、観測窓47を介してLED44が発した調整光Bが受光センサ103の受光部104に映る状態を確認して受光センサ103の姿勢を調整することができる。これにより、光電センサ100の光軸調整を容易に行うことができる。
【0037】
しかも、第4実施形態の光軸調整治具40によっても、光源であるLED44の照射軸線上で調整光Bの像を確認することになり、上記第1、第2実施形態の光軸調整治具10,20と比べて、より正確に調整光Bを受光センサ103の受光部104の中心に合せることができる。しかも、光源のLED44を観測窓47の後方線上に配置することができ、全体的にコンパクトに形成することができる。

【0038】
(光軸調整治具の第5実施形態)
図5は、第5実施形態に係る光電センサ用光軸調整治具を示す縦断面図である。図示するように、この実施形態の光軸調整治具50は、上記第1実施形態の光軸調整治具10における確認部19の部分の構成が異なる。なお、他の構成は上記第1実施形態と同一であるため、同一の構成には第1実施形態の符号に「40」を付加し、その説明は省略する。
【0039】
図示するように、確認部59の上部には、ケーシング51から上方に突出するように像調整部60がさらに設けられている。この実施形態の像調整部60は、凸レンズ61を有しており、鏡58に映る像を拡大するようにしている。この像調整部60は、凸レンズと凹レンズの組み合わせなどによって焦点距離の調整が可能なようにもできる。他の構成は第1実施形態の光軸調整治具10と同一である。

【0040】
この実施形態の光軸調整治具50によれば、投光センサ101から離れた位置に受光センサ103を設置する場合でも、鏡58に映る像を像調整部60で拡大して適切に確認して光軸調整を容易に行うことができる。また、像調整部60を焦点距離が調整できるようにすれば、視力が弱い場合でもメガネなどを外して裸眼で受光センサ103の受光部104に映る調整光Bの状態を適切に確認して光軸調整を容易に行うことができる。
【0041】
(光電センサの光軸調整方法)
図6(A)〜(D)は、上記第1実施形態に係る光軸調整治具10を用いた光電センサ100の光軸調整方法を示す平面図である。図6(A)〜(C)では、LEDライト13の図示を省略する。図示する光軸調整方法は、投光センサ101の姿勢を調整した後、受光センサ103の姿勢を調整する例である。
【0042】
まず、図6(A)に示すように、投光センサ101の投光部102の前面に光軸調整治具10の後面(背面)を当てる。そして、光軸調整治具10の確認部19から鏡18を覗き、受光センサ103が鏡18の中央部、すなわち、観測窓17の中央部に位置するように投光センサ101の姿勢を調整する。図6(B)は、投光センサ101の姿勢調整が完了した状態を示す。
【0043】
次に、図6(C)に示すように、光軸調整治具10のLED14を点灯させ、投光センサ(投光側光電センサ)101の方向から受光センサ(受光側光電センサ)103の受光部104に向けて調整光Bを照射する。そして、確認部19から鏡18を覗き、観測窓17を介して鏡18に映っている調整光Bの像が受光部104の中央部に位置するように、受光センサ103の姿勢を調整する。つまり、光源の調整光Bを投光センサ101の方向から受光センサ03の受光部104に向けて照射し、確認部19から鏡18と観測窓17を介して、受光センサ103の受光部104に照射された調整光Bの位置を確認し、受光センサ103の姿勢を調整することで光軸調整を行う。これにより、投光センサ101の方向から照射した単光軸の調整光Bが、受光センサ103の受光部104に反射して戻ってくる光の反射を利用することで、容易に光軸調整ができる。
【0044】
このような光軸調整により、図6(D)にも示すように、光軸調整治具10のLED14(光源)の中央部と受光センサ103の受光部104の中央部とが直線的に配置されて、光軸調整治具10の光源から照射された調整光Bが受光センサ103の受光部104に適切に照射されるように姿勢を調整することができる。したがって、光軸調整治具10を用いることで、簡単な操作により、投光センサ101に対する受光センサ103の姿勢(向き、位置)を、直接適正な状態となるように光軸調整することができる。
【0045】
なお、投光センサ101と受光センサ103とが離れている場合には、上記光軸調整治具10を用いて受光センサ103の方向から投光センサ101の方向に向けて同様の調整を先に行い、その後、投光センサ101の方向から光軸調整治具10の光源が受光センサ103の受光部104の中央部に見えるように受光センサ103を角度調整するようにしてもよい。このようにすれば、より精度よく調整することができる。
【0046】
(総括)
以上のように、上記光軸調整治具10,20,30,40,50によれば、投光センサ101と受光センサ103とを有する光電センサ100の光軸調整を、1人の作業者でも適切に光軸調整することが容易に可能となる。このため、透過型及びミラー反射型の光電センサ100の光軸調整のために要する時間と労力を大幅に削減することが可能となる。
【0047】
しかも、光電センサ100の電源が供給されていない状態でも、光電センサ100の光軸調整をできるので、工期の短縮が可能となる。その上、光軸調整のための治具を安価に製造することができ、コストを抑えることもできる。
【0048】
なお、上記した実施形態では、光源として配光を比較的小さく絞ることができるLED14,24,34,44,54を例に説明したが、配光を比較的小さく絞ることができる光源であれば、光源は上記実施形態に限定されるものではない。
【0049】
また、上記した実施形態は一例を示しており、ケーシング11,21,31,41,51の形状、光源(LED14,24,34,44,54)の配置などは本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
10,20,30,40,50 光軸調整治具
11,21,31,41,51 ケーシング
12 光源配置部
13 LEDライト
14,24,34,44,54 LED
15,25,35,45,55 電池ケース
16,26,36,46,56 点灯スイッチ
17,27,37,47,57 観測窓
19,29,39,49,59 確認部
18,28,38,48,58 鏡
25a,35a,45a 電池
38a 貫通穴
60 像調整部
61 凸レンズ
100 光電センサ
101 投光側光電センサ(投光センサ)
102 投光部
103 受光側光電センサ(受光センサ)
104 受光部
B 調整光
図1
図2
図3
図4
図5
図6