(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の中立制御弁は、2つのスプリングを備えており、2つのスプリングの各々は2つの圧力室の圧油から受ける圧力に抗するようにスプールを付勢している。即ち、スプールは、2つの圧力室の油圧及び2つのスプリングの付勢力が釣り合う位置に移動するようになっている。それ故、スプリングの付勢力としては、圧力室の圧油からスプールが受ける荷重に抗することができる程度の大きさが必要である。特許文献1の中立制御弁では、スプールがその軸線方向両端部全体で圧力室の油圧を夫々受けている。それ故、スプールが受ける荷重も非常に大きくなる。そうすると、スプリングも大型化させる必要があり、中立制御弁も必然的に大型化されることになる。
【0007】
そこで本発明は、大型化を抑制することができるニュートラルバルブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のニュートラルバルブは、第1ポート及び第2ポートが形成されるハウジングと、前記ハウジング内に所定方向に移動可能に挿入されて、前記第1ポートと前記第2ポートとを弁通路を介して繋ぐ中立位置、前記中立位置に対して所定方向一方側にあって且つ前記第2ポートと前記弁通路との間を遮断する第1オフセット位置、及び前記中立位置に対して所定方向他方側にあって且つ前記第1ポートと前記弁通路との間を遮断する第2オフセット位置に夫々移動するスプールと、互いに抗するように前記スプールを前記所定方向一方側及び他方側に夫々付勢して、前記スプールを前記中立位置に位置させる第1及び第2付勢部材と、を備え、前記スプールは、その外周部に前記第1ポートの流体圧を受けて所定方向一方に押される第1受圧面と、前記第2ポートの流体圧を受けて所定方向他方に押される第2受圧面とを有し、前記ハウジングは、前記第1ポート及び前記第2ポートの両方から隔てられ、且つ前記スプールの所定方向両端部が夫々配置される第1圧力室及び第2圧力室を夫々有し、前記第1圧力室及び前記第2圧力室は、連通路によって前記弁通路に繋がっているものである。
【0009】
本発明に従えば、スプールの外周面に第1受圧面と第2受圧面を形成することによって、スプールを中立位置から第1オフセット位置及び第2オフセット位置に移動させることができ、ニュートラルバルブとしての機能を発揮させることができる。また、第1圧力室及び第2圧力室が連通路を介して弁通路と繋がっているので、スプールの所定方向両端部で夫々受ける流体圧を打ち消し合わせることができる。これにより、従来技術の中立制御部より小さな力でスプールを作動させることができ、ニュートラルバルブの大型化を抑制することができる。
【0010】
上記発明において、前記スプールは、その外周面の中間部分にその周方向全周に渡って形成される凸部を有し、前記第1受圧面は、前記凸部の所定方向他方に向けて配置され、前記第2受圧面は、前記凸部の所定方向一方に向けて配置されていてもよい。
【0011】
上記構成に従えば、凸部の突出量により2つの受圧面の受圧面積を調整することができ、例えば、突出量を抑えることによって受圧面積を小さくしてスプールに作用する荷重を抑えることができる。
【0012】
上記発明において、前記ハウジングは、前記第1圧力室及び前記第2圧力室のうち少なくとも一方と繋がる第3ポートを有していてもよい。
【0013】
上記構成に従えば、2つのポートにおける液圧の差が大きくなると、液圧が低い方のポートと弁通路とが遮断されるので、液圧が高い方のポートの流体が弁通路を介して第1圧力室及び第2圧力室に導かれる。即ち、第1圧力室及び第2圧力室には、2つのポートにおける流体のうち高圧選択された流体が導かれ、その流体を第3ポートから出力させることができる。これにより、高圧選択機能を有するニュートラルバルブを実現することができる。
【0014】
本発明のバルブアッセンブリは、前述するニュートラルバルブと、流体通路を流れる流体を排出可能であって、前記第3ポートから出力される出力圧に基づいて前記流体の排出量を調整する排出バルブとを備えるバルブアッセンブリであって、前記排出バルブは、前記ニュートラルバルブの前記ハウジングに組み付けられているものである。
【0015】
上記構成に従えば、排出バルブは、ニュートラルバルブのハウジングに組み付けられることによって、2つのバルブを繋ぐ流路をなくす又は短くすることができる。これにより、バルブアッセンブリのコンパクト化を図ることができる。
【0016】
上記発明において、前記排出バルブは、前記出力圧を受圧し、前記出力圧に応じて流体の排出量を変える弁体と、前記出力圧に抗して前記弁体を付勢する排出側付勢部材とを有していてもよい。
【0017】
上記構成に従えば、出力圧に応じて排出量を変えることができる排出バルブをニュートラルバルブに組み付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ニュートラルバルブの大型化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態のバルブアッセンブリ1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するバルブアッセンブリ1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0021】
<油圧式無段変速機>
バルブアッセンブリ1は、ニュートラルバルブ11とカットオフバルブ12とをアッセンブリしたものであり、
図1に示すような油圧式無段階変速機(即ち、HST)2に備わっている。HST2は、油圧閉回路の一例であり、図示しない油圧モータを備えている。HST2は、作動油の流れる方向を切換えることによって油圧モータを正回転及び逆回転させる。また、油圧モータに供給する作動油の流量を変えることによって、油圧モータを無段階で変速させるようになっている。
【0022】
詳細に説明すると、HST2は、油圧ポンプ3、レギュレータ4、及びパイロットポンプ5を更に備えている。油圧ポンプ3は、流体通路である第1油通路8a及び第2油通路8bに接続されており、図示しない駆動装置(例えばエンジンや電動機)によって回転駆動されている。油圧ポンプ3は、駆動されることによって第1油通路8a及び第2油通路8bのうちいずれか一方から作動油を吸引し、他方に作動油を吐出するようになっている。このような機能を有する油圧ポンプ3は、いわゆる可変容量型のポンプであり、斜板3a及びサーボピストン6を有している。油圧ポンプ3は、斜板3aの傾転角を変えることによって、その傾転角に応じた流量の作動油を吐出するようになっている。また、油圧ポンプ3は、いわゆる両傾転型(センターオーバー型)であり、斜板3aは、中立位置から傾転方向一方側及び他方側に傾転可能に構成されており、中立位置から傾転方向一方側及び他方側に夫々傾転させることによって油圧ポンプ3の吐出方向を切換えることができるようになっている。このように構成されている斜板3aは、サーボピストン6に連結されている。
【0023】
サーボピストン6は、その軸線方向一方及び他方に移動可能に構成されており、その両端部は、パイロット室6a,6bに夫々配置されている。サーボピストン6の両端部は、パイロット室6a、6bのパイロット圧を夫々受圧しており、2つのパイロット圧の差圧に応じてその軸線方向一方及び他方に移動する。サーボピストン6の位置が変えることで、それに連結される斜板3aの傾転角が変わり、それに伴って油圧ポンプ3の吐出量及び吐出方向が変わる。即ち、2つのパイロット圧の差圧に応じて油圧ポンプ3の吐出量及び吐出方向が変わるようになっている。以上のように構成される2つのパイロット室6a,6bは、レギュレータ4を介してパイロットポンプ5に繋がっている。
【0024】
パイロットポンプ5は、固定容量ポンプであり、前述する駆動装置に油圧ポンプ3と並列で連結されている。パイロットポンプ5は、駆動装置によって回転駆動させることで、予め定められた所定流量のパイロット油を吐出する。また、パイロットポンプ5は、レギュレータ4に繋がっており、吐出されたパイロット油は、レギュレータ4に流れるようになっている。レギュレータ4は、方向制御弁7を有しており、方向制御弁7は、図示しない操作レバーの操作に応じて動作するようになっている。更に詳細に説明すると、方向制御弁7は、パイロットポンプ5、タンク9、及び2つのパイロット室6a,6bと繋がっている。操作レバーは、中立位置から操作方向一方側及び他方側へと操作可能に構成され、方向制御弁7は、操作レバーに対する操作に応じて、パイロットポンプ5、タンク9、及び2つのパイロット室6a,6bの接続状態を切替えまたそれらの開度を変えるようになっている。
【0025】
このように構成されるHST2では、油圧モータを正回転させる場合、操作レバーが中立位置から操作方向一方側に操作される。そうすると、方向制御弁7は、パイロットポンプ5と第1パイロット室6aとを接続し、またタンク9と第2パイロット室6bとを接続する。そうすると、パイロットポンプ5からのパイロット油が第1パイロット室6aに導かれ、サーボピストン6が所定方向一方に移動する。これにより、斜板3aが中立位置から傾転方向一方側に傾き、油圧ポンプ3から第1油通路8aに作動油が吐出される。吐出された作動油は、第1油通路8aを介して油圧モータの一方のポートに供給され、油圧モータが正方向に回転する。また、方向制御弁7は、操作レバーの操作量に応じた流量のパイロット油を第1パイロット室6aに送る。これにより、斜板3aは、操作レバーの操作量に応じた傾転角に傾き、油圧ポンプ3は、操作レバーの操作量に応じた吐出量の作動油を吐出する。それ故、油圧モータは、操作レバーの操作量に応じた速度で正方向に回転する。
【0026】
他方、油圧モータを逆回転させる場合、操作レバーが中立位置から操作方向他方に操作される。そうすると、方向制御弁7は、パイロットポンプ5と第2パイロット室6bとを接続し、またタンク9と第1パイロット室6aとを接続する。そうすると、パイロットポンプ5からのパイロット油が第2パイロット室6bに導かれ、サーボピストン6が所定方向他方に移動する。これにより、斜板3aが中立位置から傾転方向他方側に傾き、油圧ポンプ3から第2油通路8bに作動油が吐出される。吐出された作動油は、第2油通路8bを介して油圧モータの他方のポートに供給され、油圧モータが逆方向に回転する。また、方向制御弁7は、操作レバーの操作量に応じた流量のパイロット油を第2パイロット室6bに送る。これにより、斜板3aは、操作レバーの操作量に応じた傾転角に傾き、油圧ポンプ3は、操作レバーの操作量に応じた吐出量の作動油を吐出する。それ故、油圧モータは、操作レバーの操作量に応じた速度で逆方向に回転する。
【0027】
更に、油圧モータの回転を停止させる際には、操作レバーが中立位置に戻される。そうすると、方向制御弁7が、2つのパイロット室6a,6bをタンク9に接続し、2つのパイロット室6a,6bとパイロットポンプ5との間が遮断される。これにより、サーボピストン6が中立位置に戻され、それに伴って斜板3aもまた中立位置に戻される。これにより、油圧ポンプ3からの吐出流量を減少させ、2つの油通路8a,8bに流れる作動油の流量がゼロ付近まで抑えられる。更に、油圧モータに供給される作動油の流量をゼロにすべく、HST2は、バルブアッセンブリ1を備えている。
【0028】
<バルブアッセンブリ>
図2に示すようにバルブアッセンブリ1は、バルブブロック8に設けられている。バルブブロック8には、前述する2つの油通路8a,8bが形成され、更にパイロット通路8c(
図1参照)、接続通路8d、挿入孔8e、及びタンク通路8fが形成されている。パイロット通路8cは、方向制御弁7を介して2つのパイロット室6a,6bとパイロットポンプ5とを繋ぐ通路である。パイロット通路8cは、方向制御弁7とパイロットポンプ5との間において接続通路8dと繋がっており、接続通路8dを介して挿入孔8eと繋がっている。挿入孔8eは、バルブアッセンブリ1を挿入して取り付けるための孔であり、所定の軸線L1に沿って延在している。また、挿入孔8eは、接続通路8dの他に2つの油通路8a,8b及びタンク通路8fに繋がっており、タンク通路8fは、タンク9に繋がっている。このように挿入孔8eには、4つの通路8a,8b,8d,8fが繋がり、且つバルブアッセンブリ1が挿入されて取り付けられている。
【0029】
バルブアッセンブリ1は、前述の通りニュートラルバルブ11とカットオフバルブ12とをアッセンブリしたものである。バルブアッセンブリ1は、ニュートラルバルブ11によって2つの油通路8a,8bの間の接続状態を換え、またカットオフバルブ12によって接続通路8dとタンク通路8fとの間の接続状態を換えるようになっている。以下では、ニュートラルバルブ11及びカットオフバルブ12について説明する。
【0030】
<ニュートラルバルブ>
図3にも示すようにニュートラルバルブ11は、ハウジング21と、スプール22と、2つの付勢ばね23,24と備えている。ハウジング21は、大略中空の円柱状に形成されており、バルブブロック8の挿入孔8eに挿入されて螺合されている。ハウジング21は、ハウジング本体21aと、先端側蓋部材21bと、基端側蓋部材21cとを有している。ハウジング本体21aは、大略円筒状に形成されており、軸線L1に沿う軸線方向に延在する内孔31を有している。また内孔31は、2つの領域31a,31bを有しており、第1領域31aは、ハウジング本体21aの先端側に位置し、第2領域31bは、ハウジング本体21aの基端側に位置している。更に、内孔31は、2つの領域31a,31bとの間に高圧選択通路31cも有しており、2つ領域31a,31bは、高圧選択通路31cによって繋がれている。このように形成されているハウジング本体21aは、その先端に開口32aを有しており、その開口32aからスプール22が挿入され、先端側蓋部材21bによってその開口32aが塞がれている。このように第1領域31aには、軸線方向に移動可能にスプール22が収容されている。
【0031】
図3に示すようにスプール22は、大略円筒状に形成されており、その中間部分に凸部22aを有している。凸部22aは、スプール22の残余の部分より半径方向外方に突出しており、スプール22の中間部分においてスプール22の周方向全周にわたって形成されている。また、スプール22には、その軸線に沿って内孔が形成されており、内孔は、2つのばね収容室22b,22cと連通孔22dを有している。2つのばね収容室22b、22cは、スプール22の先端側及び基端側に夫々位置しており、連通孔22dによって繋がっている。また、スプール22には、2つのばね収容室22b,22cの間に2つ貫通孔22eが形成されている。2つの貫通孔22eは、連通孔22dに直交し且つ互いも直交する方向にスプール22を貫通し、スプール22の軸線に垂直な断面において十字形状に配置されている。このように形成される2つの貫通孔22eは、中間部分において連通孔22dに繋がり、その両端においてスプール22の外方に開口している。
【0032】
このように構成されるスプール22は、第1領域31aに収容されており、その軸線方向両端側の外周面をハウジング本体21aの内周面に当接させている。また、スプール22は、第1領域31aより短尺に形成されており、第1領域31aにおいて中立位置(
図2及び
図3参照)から軸線方向一方(後述する
図4参照)及び他方に移動可能に構成されている。また、短尺に形成されることにより、第1領域31aには、スプール22より軸線方向一方側に第1圧力室26が形成され、他方側に第2圧力室27が形成されている。即ち、ハウジング本体21a内には、スプール22の軸線方向一端が配置される第1圧力室26と、スプール22の軸線方向他端が配置される第2圧力室27とが形成されている。更に、ハウジング本体21aには、スプール22の凸部22aを収容すべく凹部33が形成されている。
【0033】
凹部33は、第1領域31aの軸線方向の中間部分に位置し、ハウジング本体21aの内周面において周方向全周にわたって形成されている。凹部33は、軸線方向において凸部22aの長さより長尺に形成されている。他方、凹部33の孔径は、凸部22aの外径と略同一になっており、凸部22aの外周面は、周方向全周にわたってハウジング本体21aの内周面に当接している。これにより、凹部33は、凸部22aによって第1ポート側領域33aと第2ポート側領域33bとに分けられている。第1ポート側領域33a及び第2ポート側領域33bは、共にスプール22の外周面に沿って形成される円環状の空間である。第1ポート側領域33aは、凸部22aより先端側に位置しており、第1ポート34を介して第1油通路8aに繋がっている。また、第2ポート側領域33bは、凸部22aより基端側に位置しており、第2ポート35を介して第2油通路8bに繋がっている。
【0034】
また、第1ポート側領域33aを第1圧力室26から隔て、且つ第2ポート側領域33bを第2圧力室27から隔てるべく、スプール22は、以下のように構成されている。即ち、スプール22の軸線方向両端部の外径が、第1領域31aの孔径と略同一になっており、スプール22の軸線方向両端部がそれらの外周面においてハウジング本体21aの内周面と夫々当接している。これにより、スプール22の軸線方向両端部の各々とハウジング本体21aの内周面との間が夫々封止され、第1ポート側領域33aは、第1圧力室26から隔てられ、第2ポート側領域33bは、第2圧力室27から隔てられている。このように隔てられている2つの領域33a,33bを互いに連通すべく、ハウジング本体21aの内周面に連通溝36が形成され、またスプール22に複数のスリット37が形成されている。
【0035】
連通溝36は、凹部33の軸線方向の中間部分に位置し、ハウジング本体21aの内周面において周方向全周にわたって形成されている。連通溝36は、軸線方向において凸部22aより短尺に形成されており、本実施形態においてスプール22が軸線方向一方及び他方に夫々移動しても常に凸部22aによって覆われている。これにより、連通溝36が2つの領域33a,33bに直接繋がらないようになっており、連通溝36と2つの領域33a,33bとを間接的に繋ぐべく、凸部22aには複数のスリット37,38(例えば、4つのスリット37及び4つのスリット38)が形成されている。
【0036】
スリット37,38は、凸部22aの外周面において軸線方向一端側及び他端側に4つずつ形成されている。本実施形態において、スリット37,38は、共に凸部22aにおいて周方向に等間隔(即ち、約90度の間隔)をあけて配置されている。軸線方向一端側にあるスリット37は、凸部22aの軸線方向一端から軸線方向他方側向かってに延在している。また、スリット37は、凸部22aの軸線方向一端に開口37aを有しており、開口37aを介して第1ポート側領域33aと繋がっている。軸線方向他端側にあるスリット38は、凸部22aの軸線方向他端から軸線方向一方側に向かって延在している。また、スリット38は、凸部22aの軸線方向他端に開口38aを有しており、開口38aを介して第2ポート側領域33bと繋がっている。
【0037】
このように形成されている2つのスリット37,38は、スプール22が
図3に示すような中立位置に位置する状態において、各々の先端側部分にて連通溝36と繋がる。これにより、2つの領域33a,33bは、スリット37,38及び連通溝36を介して互いに繋がり、繋がることによって2つポート34,35が繋がるようになっている。このように、連通溝36は、スリット37,38を介して2つの領域33a,33bを繋いでおり、弁通路39を構成している。
【0038】
また、スリット38の先端部分は、
図4に示すようにスプール22が軸線方向一方に移動すると、やがてハウジング本体21aの内周面に被さるようになっている。このような第1オフセット位置までスプール22が移動することによって、第2ポート側領域33bと弁通路39との間が遮断され、第1ポート34と第2ポート35との連通が解除される。この際、スリット37は、弁通路39と繋がったままとなっており、第1ポート側領域33aと弁通路39との接続は維持されている。即ち、第1ポート34と弁通路39との接続が維持されている。
【0039】
他方、スリット37の先端部分は、スプール22が軸線方向他方に移動すると、やがてハウジング本体21aの内周面に被さるようになっている。このような第2オフセット位置までスプール22が移動することによって、第1ポート側領域33aと弁通路39との間が遮断され、第2ポート35と第1ポート34との連通が解除される。この際、スリット38は、弁通路39と繋がったままとなっており、第2ポート側領域33bと弁通路39との接続は維持されている。即ち、第2ポート35と弁通路39との接続が維持されている。
【0040】
<中立保持機能>
このようにスプール22は、中立位置において2つのポート34,35を連通し(
図3参照)、第1オフセット位置(
図4参照)及び第2オフセット位置に夫々移動することによって2つのポート34,35の連通を解除するようになっている。このように移動するスプール22を中立位置に維持すべく、スプール22における2つのばね収容室22b,22cには、第1付勢ばね23及び第2付勢ばね24が夫々収容されている。第1付勢ばね23及び第2付勢ばね24は、共に圧縮コイルばねである。第1付勢ばね23は、スプール22を軸線方向一方に付勢し、第2付勢ばね24は、スプール22を軸線方向他方に付勢している。このように2つの付勢ばね23,24は、互いに抗するようにスプール22を付勢している。2つの付勢ばね23,24は、略同様に構成されており、略同じ付勢力でスプールを付勢している。
【0041】
また、スプール22では、連通孔22d及び2つの貫通孔22eによって連通路25が構成されており、連通路25によって弁通路39と2つのばね収容室22b,22cが繋がっている。また、2つのばね収容室22b,22cは、第1圧力室26及び第2圧力室27に夫々繋がっており、弁通路39を流れる作動油が連通路25等を通って2つの圧力室26,27に夫々導かれるようになっている。即ち、2つの圧力室26,27が連通路25を介して連通しており、2つの圧力室26,27の油圧が略同一になっている。それ故、スプール22は、軸線方向両側から互いに抗するように略同じ大きさの油圧で押されている。また、スプール22は、凸部22aを除く部分が略同じ外径で形成されている。従って、スプール22は、各圧力室26,27の油圧によって略同じ押圧力で軸線方向の互いに抗する方向に押されており、スプールに作用する2つの押圧力は、互いに相殺されるようになっている。
【0042】
他方、スプール22は、
図3に示すように凸部22aの軸線方向一端が第1受圧面41を構成し、凸部22aの軸線方向他端が第2受圧面42を構成している。第1受圧面41は、第1ポート側領域33aに面しており(即ち、軸線方向他方に向いており)、第2受圧面42は、第2ポート側領域33bに面している(即ち、軸線方向一方に向いている)。スプール22は、第1受圧面41にて第1ポート側領域33aの油圧(即ち、第1油通路8aの油圧)を受圧し、第2受圧面42にて第2ポート側領域33bの油圧(即ち、第2油通路8bの油圧)を受圧している。第1受圧面41及び第2受圧面42は、共に大略円環形状に形成され、各々の受圧面積S
1,S
2は略同一に形成されている。また、第1受圧面41及び第2受圧面42は、油圧を互いに抗する方向(即ち、軸線方向一方及び他方)に受圧している。それ故、スプール22は、それらの差圧に応じて軸線方向一方及び他方に移動するようになっている。
【0043】
このように構成されているニュートラルバルブ11では、2つの付勢ばね23,24の付勢力と、2つの油通路8a,8bの差圧に応じた押圧力(即ち、差圧Δp×受圧面積S(=第1受圧面の面積S
1,第2受圧面の面積S
2))とが釣り合うようにスプール22が位置する。例えば、2つの油通路8a,8bの差圧が所定の範囲内である場合、差圧に応じた押圧力が付勢力に打ち勝つことができず、スプール22が中立位置にて保持される。これにより、2つのポート34,35が弁通路39によって連通している状態が維持される。また、2つの油通路8a,8bのうち油圧が高い方の油通路(
図3では、第1油通路8a)から弁通路39を介して低い方の油通路(
図3では、第2油通路8b)の方に作動油が流れる。そうすると、油圧モータにおける供給側及び排出側のポートの差圧がゼロになり、油圧モータの回転が停止する。
【0044】
このように作動するニュートラルバルブ11において、スプール22を中立位置にて保持できる差圧の範囲(即ち、所定の範囲)は、2つの付勢ばね23,24のばね定数に応じて規定される。つまり、スプール22を中立位置に保持可能な差圧を2つの付勢ばね23,24のばね定数によって調整することができる。2つの付勢ばね23,24のばね定数については、従来技術のスプールは、その軸線方向両側において2つの油通路8a,8bの油圧を受けており、付勢ばねをそれらの押圧力に抗する必要があった。これに対して、ニュートラルバルブ11では、2つの圧力室26,27を連通させることによって、スプール22の軸線方向両側に作用する押圧力が互いに相殺されている。他方、スプール22の中間部分に凸部22aを形成し、凸部22aの受圧面41,42において2つの油通路8a,8bの油圧を互いに抗するように夫々受圧している。これにより、スプール22は、2つの付勢ばね23,24の付勢力と、2つの油通路8a,8bの差圧に応じた押圧力(即ち、差圧Δp×受圧面積S(=S
1,S
2))に応じて位置を変えるようになっている。受圧面積Sは、スプール22の軸線方向両側の受圧面積(π×(スプール22の外径r×1/2)
2)より小さい。それ故、スプール22が2つの受圧面41,42で受ける押圧力は、従来技術のスプールがその軸線方向両側で受ける押圧力より小さい。それ故、ニュートラルバルブ11では、小さな押圧力でスプール22を作動させることができ、その結果付勢ばね23,24のばね定数を低く抑えることができる。即ち、付勢ばね23,24の小型化を図ることができ、ニュートラルバルブ11の大型化を抑制することができる。
【0045】
また、ニュートラルバルブ11では、2つの油通路8a,8bの差圧が所定の範囲外になると、スプール22が第1オフセット位置又は第2オフセット位置に移動する。例えば、第1油通路8aの油圧が第2油通路8bの油圧より高い場合、2つの油通路8a,8bの差圧に応じた押圧力によりスプール22が軸線方向一方に移動し、第1オフセット位置に位置する(
図4参照)。そうすると、スリット38の先端部分にハウジング本体21aの内周面が被さり、第2ポート35と弁通路39との間が遮断され、第1ポート34と第2ポート35との連通が解除される。他方、第2油通路8bの油圧が第1油通路8aの油圧より高い場合、スプール22が軸線方向他方に移動し、第2オフセット位置に位置する。これにより、スリット37の先端部分にハウジング本体21aの内周面が被さり、第1ポート35と弁通路39との間が遮断され、第2ポート35と第1ポート35との連通が解除される。このように、2つのポート34,35の連通が解除されると、2つの油通路8a,8bの差圧が維持され、油圧モータを回転させる際に2つのポート34,35の連通に伴うエネルギー損失を抑えることができる。
【0046】
このようにニュートラルバルブ11は、2つの油通路8a,8bの差圧が所定の範囲内であれば2つの油通路8a,8bを連通する。他方、2つの油通路8a,8bの差圧が所定の範囲外の場合には、2つの油通路8a,8bの間を遮断するようになっている。このような機能を有するニュートラルバルブ11は、更に2つの油通路8a、8bの油圧のうち高い方の油圧を出力する、即ち高圧選択機能を更に有している。この機能について、以下で更に詳細に説明する。
【0047】
<高圧選択機能>
第1領域31aは、第3ポート43を介して高圧選択通路31cに繋がり、更に高圧選択通路31cを介して第2領域31bに繋がっている。また、第3ポート43は、第2圧力室27と繋がっており、第2圧力室27の圧油が第3ポート43から出力されて高圧選択通路31cを介して第2領域31b(より詳しくは、カットオフバルブ12の後述する第3圧力室59)に導かれる。第2圧力室27及び第1圧力室26には、前述の通り、スプール22が第1オフセット位置に位置する状態、又は、スプール22が第2オフセット位置に位置する状態で、2つの油通路8a,8bの油圧のうち高い方の油圧が導かれるようになっている。それ故、ニュートラルバルブ11は、2つの油通路8a,8bの油圧のうち高い方の油圧を第3ポート43から出力する。即ち、ニュートラルバルブ11は、2つの油通路8a,8bの油圧のうち高い方の油圧を第3ポート43から第2領域31bに出力する高圧選択機能を有している。また、第2領域31bには、以下で詳述するカットオフバルブ12の弁体51が挿入されている。
【0048】
<カットオフバルブ>
排出バルブの一例であるカットオフバルブ12は、2つの油通路8a,又は8bの吐出圧に応じて作動するバルブであり、作動することによってパイロットポンプ5からレギュレータ4に流れるパイロット油をタンク9に排出し、斜板3aの傾転角の増加を規制するようになっている。即ち、カットオフバルブ12は、油圧ポンプ3の吐出圧が高くなると、サーボピストン6が受圧するパイロット圧を低下させて吐出流量を規制するようになっている。このような機能を有するカットオフバルブ12は、
図2に示すようにハウジング21をニュートラルバルブ11と共有しており、ニュートラルバルブ11に組み付けられている。また、カットオフバルブ12は、ハウジング21の他に、弁体51と、ばね受け部材52と、第3付勢ばね53とを有している。
【0049】
弁体51は、大略有底円筒状に形成されており、軸線方向に摺動可能に第2領域31bに挿入されている。更に詳細に説明すると、第2領域31bは、小径部54と大径部55とを有しており、小径部54が大径部55より先端側(即ち、軸線方向他方側、即ち高圧選択通路31c側)に位置している。小径部54の孔径は、弁体51の外径と略同一になっており、小径部54に弁体51が摺動可能に挿入されている。また、ハウジング本体21aには、接続ポート56及びタンクポート57が形成されている。接続ポート56は、接続通路8dと繋がり、タンクポート57は、タンク通路8fと繋がっている。更に2つのポート56,57は、小径部54に繋がっており、弁体51の位置によって2つのポート56,57の接続状態が切換わるようになっている。
【0050】
このような機能を有する弁体51は、内孔51a及び3つの貫通孔51b〜51dを有している。内孔51aは、弁体51の軸線に沿って弁体51の軸線方向一端から中間部分まで延在しており、その軸線方向他方側で第1貫通孔51bと繋がっている。第1貫通孔51bは、弁体51において半径方向に延在しており、その両側が弁体51の外周面にて開口している。このように形成される貫通孔51bは、接続ポート56に繋がっており、内孔51aと接続ポート56とを繋いでいる。
【0051】
また、内孔51aは、その中間部分において2つの貫通孔51c,51dと繋がっている。第2貫通孔51c及び第3貫通孔51dは、弁体51において半径方向に延在しており、内孔51a及び各々に対して互いに直交するように交わっている。また、第2貫通孔51c及び第3貫通孔51dは、共に両側が弁体51の外周面にて開口している。このように形成される第2貫通孔51c及び第3貫通孔51dの開口は、ハウジング本体21aの内周面によって塞がれており、弁体51が移動することによってタンクポート57に接続される。即ち、第2貫通孔51c及び第3貫通孔51dは、弁体51が軸線方向他方側の閉位置に位置する際にハウジング本体21aの内周面によって塞がれている(
図2参照)。他方、弁体51が軸線方向一方側の開位置に移動すると、第2貫通孔51c及び第3貫通孔51dは、タンクポート57に繋がる。
【0052】
このように構成されている弁体51では、内孔51a及び3つの貫通孔51b〜51dが排油通路58を構成している。即ち、排油通路58は、弁体51の位置に応じてタンクポート57との接続状態を切換わるようになっており、このように接続状態が切換わることで接続ポート56とタンクポート57の接続状態を切換わるようになっている。このように構成される弁体51は、前述する第3ポート43から出力される出力圧に応じてその位置を変えるようになっている。本実施形態では、弁体51は、軸線方向他端にて出力圧を受圧し、位置を変えるようになっている。
【0053】
より詳細に説明すると、小径部54は、弁体51より軸線方向他方側に第3圧力室59を有している。第3圧力室59は、高圧選択通路31c及び第3ポート43を介して第2圧力室27と繋がっており、第3圧力室59には、ニュートラルバルブ11によって高圧選択された高圧油が導かれる。即ち、第3ポート43から出力される出力圧が第3圧力室59に導かれ、弁体51は、その軸線方向他端にてこの出力圧を受圧する。また、弁体51には、ばね受け部材52及び第3付勢ばね53が設けられており、第3付勢ばね53は、出力圧に抗するようにばね受け部材52を介して弁体51を付勢している。
【0054】
即ち、ばね受け部材52は、大略円筒状に形成されており、その軸線方向他方側の端部にフランジ52aを有している。フランジ52aの外径は、小径部54より大径に形成されており、ばね受け部材52は、小径部54より大径の大径部55に配置されている。また、弁体51の軸線方向一端部は、閉位置において小径部54から大径部55に僅かに突出しており、ばね受け部材52は、その軸線方向他方側の端部を弁体51の軸線方向一端部に当接させている状態で大径部55に配置されている。大径部55は、その軸線方向一方側に開口32bを有しており、この開口32bが基端側蓋部材21cによって塞がれている。また、基端側蓋部材21cは、その軸線を中心とする断面円形状のばね受け凹部21dが形成されており、そこには第3付勢ばね53が収容されている。
【0055】
第3付勢ばね53は、いわゆる圧縮コイルばねであり、その一端部が基端側蓋部材21cに支持されている。また、第3付勢ばねの他端側部分は、ばね受け部材52のフランジ52aから突出する部分に外装され、且つフランジ52aに支持されている。これにより第3付勢ばね53は、弁体51に作用する押圧力に抗した付勢力を弁体51に付与し、弁体51を閉位置へと位置させている。また、弁体51の軸線方向一端側には、第4貫通孔51eが形成されており、第4貫通孔51eは、内孔51aに繋がっている。即ち、第4貫通孔51eは、排油通路58を介して接続ポート56と繋がっている。
【0056】
第4貫通孔51eは、弁体51において半径方向に延在しており、その両側が弁体51の外周面にて開口している。また、小径部54は、第4貫通孔51eに対応する位置、即ち軸線方向一方側に拡径部分54aを有している。拡径部分54aは、残余の部分に比べて拡径しており、弁体51の軸線方向一端側の周りには、拡径部分54aによって大略円環状の空間60が形成されている。第4貫通孔51eは、この空間60を介して大径部55に繋がっており、大径部55が作動油によって満たされている。大径部55の作動油が接続ポート56側へ行き来できることによって、弁体51の軸線方向一方及び他方への動きが許容されている。
【0057】
<カットオフ機能>
このように構成されるカットオフバルブ12は、前述の通り弁体51の軸線方向他端にて第3ポート43からの出力圧を受圧しており、出力圧の大きさに応じて弁体51を移動させる。より詳細に説明すると、弁体51は、出力圧に応じた押圧力(即ち、出力圧P×弁体51の軸線方向他端の面積)、及び第3付勢ばね53の付勢力等、弁体51に作用する力が釣り合う位置に移動する。例えば、油圧ポンプ3から吐出圧が低圧(即ち、制限圧以下)であり、出力圧が制限圧に対応する所定圧未満である場合、弁体51は、
図2に示すような閉位置に位置する。この際には、排油通路58とタンクポート57との間は、遮断されている。即ち、接続ポート56とタンクポート57との間が遮断され、操作レバーの操作量に応じた吐出量の作動油が油圧ポンプ3から吐出される。これにより、操作レバーの操作量に応じた速度で油圧モータを回転させることができる。
【0058】
他方、油圧ポンプ3の吐出圧が高圧(即ち、制限圧以上)になって出力圧が予め定められる所定圧以上となった場合、弁体51は、閉位置から
図5に示すような開位置に移動する。この際には、排油通路58とタンクポート57とが接続される。即ち、接続ポート56とタンクポート57との間が連通し、パイロット通路8cを流れるパイロット油が接続通路8d及びタンク通路8fを介してタンク9へと排出される。それ故、斜板3aの傾転角の増加が規制され、それと共に油圧ポンプ3の吐出圧が制限圧に規制される。その後、操作レバーの操作量の増加をさせても斜板3aの傾転角が維持され、油圧ポンプ3の吐出圧が制限圧以下に規制される。
【0059】
より詳細に説明すると、排油通路58とタンクポート57との間の開度は、弁体51の位置に応じて変わる。即ち、タンク9に排出される排出量は、出力圧に応じて変わる。それ故、操作レバーの操作量を増加させて油圧ポンプ3の吐出圧を増加させようとすると、それに応じてタンク9への排出量が増加する。そうすると、斜板3aの傾転角が減少し、油圧ポンプ3の吐出圧が制限圧に維持される。このようにして、油圧ポンプ3の吐出圧が制限され、油圧モータのトルクが制限される。次にトルクを低下させるべく操作レバーを中立位置の方に戻されると、やがて斜板3aの傾転角が減少し始め、油圧ポンプ3の吐出圧が制限圧以下になる。そうすると、出力圧もまた所定圧以下となり、弁体51が開位置から閉位置の方へと移動し、接続ポート56とタンクポート57との間が遮断される。これにより、操作レバーの操作量に応じた速度で油圧モータを回転させることができる。なお、8dは接続通路、8fはタンク通路、56は接続ポート、57はタンクポートであったが、8dをタンク通路、8fを接続通路とし、56をタンクポート、57を接続ポートとしてもよい。
【0060】
<バルブアッセンブリにおけるその他の作用効果>
このように構成されるバルブアッセンブリ1のニュートラルバルブ11では、スプール22の中間部分に凸部22aを形成し、その凸部22aの受圧面41,42に各油通路8a、8bの油圧を受圧させている。それ故、凸部22aの残余の部分に対する突出量、即ち外形寸法を調整することによって、2つの受圧面41,42の受圧面積S
1,S
2を調整することができる。例えば、突出量を抑えて外形寸法を小さくすることによって、2つの受圧面41,42の受圧面積S
1,S
2を小さくしてスプール22に作用する押圧力を抑えることができる。これにより、ニュートラルバルブ11の更なる小型化を図ることができる。
【0061】
また、バルブアッセンブリ1では、ニュートラルバルブ11に高圧選択機能を持たせており、高圧選択弁を省くことができるようになっている。これにより、カットオフバルブ12をニュートラルバルブ11に組み付けること可能にしている。また、組み付けることによって、高圧選択通路31cを短くすることができ、バルブアッセンブリ1のコンパクト化を図ることができる。また、組付ける際に、本実施形態のようにニュートラルバルブ11及びカットオフバルブ12にハウジング21を共有させることによって、部品点数を低減することができる。
【0062】
<その他の実施形態>
本実施形態では、バルブアッセンブリ1が備わる油圧閉回路としてHST2を例に挙げて説明したが、バルブアッセンブリ1を備える油圧閉回路はHST2に限定されず、他の油圧閉回路(例えば、両ポートに出力できるポンプとシリンダとで構成される油圧閉回路)であってもよい。また、本実施形態では、ニュートラルバルブ11にカットオフバルブ12を組み付けたバルブアッセンブリ1について説明したが、ニュートラルバルブ11及びカットオフバルブ12は、互いに別体で構成されてもよい。この場合、ニュートラルバルブ11及びカットオフバルブ12は、例えば以下のように構成される。即ち、バルブブロック8に形成される異なる2つの挿通孔にスプール22及び弁体51を別々に挿入し、バルブブロック8に形成される高圧選択通路によって第2圧力室27と第3圧力室59とが接続される。これにより、前述するバルブアッセンブリ1と同様の機能を達成することができる。
【0063】
また、ニュートラルバルブ11及びカットオフバルブ12は、必ずしも2つ合せて用いられる必要はなく、ニュートラルバルブ11単独で用いられてもよい。単独で用いられる場合、例えばハウジング21において高圧選択通路31cを形成せずに、中立保持機能だけを有するようにしてもよい。また、本実施形態のニュートラルバルブ11では、第2圧力室27に高圧選択通路31cが繋がっているが、第3ポート43を第1圧力室26側に形成して高圧選択通路31cを第1圧力室26と繋げるようにしてもよい。また、ニュートラルバルブ11に組み付けられるカットオフバルブ12もまた、前述するような構造に限定されない。更に、カットオフバルブ12では、出力圧を弁体51が直接受圧するようになっているが、ロッド等を介して間接的に受圧させるようにしてもよい。また、閉回路では、作動油が使用されているが、作動油に限定されず空気等の他の流体であってもよい。