(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺板材を長手方向にベンディングするベンディング経路に沿って複数設けられ、前記長尺板材の幅方向から前記長尺板材に対して外力を付与しつつ、当該長尺板材をベンディングする成形ロール部と、を備え、
当該成形ロール部は、少なくとも一方の側縁部に接する受けロール部およびこれに対向するベンディングロール部で構成されるロール対を少なくとも一対備え、
前記ベンディングロール部の下側または上側は、側縁部を除いた前記長尺板材を通過させる板材通過領域となっており、
前記ベンディング加工中には、少なくとも一対の前記ロール対を、前記長尺板材の幅方向にスライド移動するとともに、前記長尺板材の法線方向を回転中心として回転移動するように構成されている、
ロール成形部品の製造装置。
前記成形ロール部は、前記ロール対として、一方の側縁部に接して加工する第一ロール対と、当該第一ロール対の下側または上側に位置し、前記長尺板材の他方の側縁部に接して加工する第二ロール対とを備えている、
請求項1または2に記載のロール成形部品の製造装置。
前記成形ロール部は、前記ベンディングロール部の上側または下側に位置し、前記受けロール部および前記ベンディングロール部の回転軸に対して交差する回転軸を有し、一方の前記側縁部を前記第二ロールに向かって曲げる第六ロールをさらに備えている、
請求項6に記載のロール成形部品の製造装置。
幅方向の側縁部が曲がった断面を有し、その幅方向の寸法が長手方向に沿って連続的に変化するとともに、当該長手方向に対して曲げ形状が付与された、ロール成形部品を、請求項1から11のいずれか1項に記載のロール成形部品の製造装置を用いて製造する、ロール成形部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0025】
(実施の形態1)
[航空機用ロール成形部品の一例]
まず、本開示で製造される航空機用ロール成形部品(以下、適宜「ロール成形部品」と略す。)の代表的な一例について、
図1および
図2を参照して具体的に説明する。
【0026】
本実施の形態1では、
図1に示すように、ロール成形部品30として、航空機胴体の製造に用いられる種々の骨格部材のうち、断面方向(横方向)に用いられるフレームを例示する。このロール成形部品30(フレーム)は、全体的に湾曲した形状を有しているとともに、長手方向の中央部は両端部に比べて幅方向の寸法(幅方向の高さ)が徐々に小さくなっている。寸法が小さくなっている部分(可変部分)を含むロール成形部品30の中央部(図中一点鎖線で囲んだ部分)を便宜上、可変幅部30aと称する。
【0027】
図1に示すロール成形部品30は、
図2に示すように、その断面が略Z字状(Z型断面)となっている。すなわち、ロール成形部品30の幅方向の両側縁部30b,30cは互いに逆方向に曲がっている。なお、便宜上、両側縁部30b,30c以外の領域、すなわち、ロール成形部品30の幅方向の中央部については、便宜上、「幅中央部30d」と称し、長手方向の中央部(可変幅部30a)と区別して記載する。
【0028】
図2においては、
図1のI−I線矢視断面図(図中二点鎖線)が
図2上図に対応し、
図1のII−II線矢視断面図が
図2中図に対応し、
図1のIII−III線矢視断面図が
図2下図に対応する。
図2に示す例では、一方の側縁部30bが図中上側に向かって曲がっており、他方の側縁部30cが図中下側に向かって曲がっている。また、一方の側縁部30bは、その最外部が幅中央部30dに向かってさらに曲がっている。便宜上、この最外部の折れ曲がりを「折り返し部30e」と称する。
【0029】
図2上図および
図2下図に示すように、ロール成形部品30の長手方向の両端部は、幅方向の寸法(幅中央部30dの幅)に変化がなく同じ幅H1となっており、一方の側縁部30bの幅も同じ幅W1となっている。これに対して、ロール成形部品30の可変幅部30a(長手方向の中央部)では、一方の側縁部30bの幅W2は、両端部の側縁部30bの幅W1よりも大きくなっており(W2>W1)、その幅方向の寸法(幅中央部30dの幅)H2は、両端部の幅H1よりも小さくなっている(H2<H1)。
【0030】
このように、本実施の形態1に係るロール成形部品30は、幅方向の両側縁部30b,30cが曲がった断面を有し、その幅方向の寸法が長手方向に沿って連続的に変化する(可変幅が付与されている)とともに、当該長手方向に対して曲げ形状(コンター)が付与された構成を有している。なお、ロール成形部品30では、その長手方向の中央部に可変幅が付与されているが、本開示はこれに限定されず、長手方向の端部に与えられてもよい。また、ロール成形部品30では、可変幅部30aは中央部1箇所のみであるが、長手方向に複数の可変幅部が付与されてもよい。また、
図2における上図の幅W1と下図の幅W1とは必ずしも同じ幅でなくてもよい。同様に、上図の幅H1と下図の幅H1とは必ずしも同じ幅でなくてもよい。
【0031】
さらに、本実施の形態1では、ロール成形部品30としてフレームを例示したが、本開示はこれに限定されない。本開示に係るロール成形部品30は、長尺板材をロール成形することにより得られる航空機用の部材であればよく、例えば、ストリンガー、スティフナー、スパー、フロアビーム、リブ、フレーム、ダブラー等の公知の骨格部材を挙げることができる。加えて、本開示で製造されるロール成形部品30は、航空機用の部材に限定されず、自動車分野または建材分野等の他の分野で用いられる、曲げ構造を有する部材にも好適に用いることができる。
【0032】
なお、
図2に示すようにロール成形部品30の一方の側縁部30bは、折り返し部30eを有しているが、このような曲げ構造をリターンフランジと称する。これに対して、他方の側縁部30cは、折り返し部30eを有していないが、このような曲げ構造をシングルフランジと称する。本実施の形態1では、側縁部30bのみがリターンフランジであるが、側縁部30cもリターンフランジであってもよいし、両側縁部30b,30cともにシングルフランジであってもよい。
【0033】
[ロール成形部品の製造装置の構成例]
次に、前述したロール成形部品30を製造する製造装置の代表的な一例について、
図3を参照して具体的に説明する。
【0034】
本実施の形態1に係るロール成形部品30の製造装置(以下、適宜「製造装置」と略す。)は、成形ロール部を除いて具体的な構成は特に限定されない。例えば、
図3に模式的に示すように、本実施の形態1に係る製造装置10は、例えば、長尺板材31を長手方向に搬送する曲線状のベンディング経路11(図中破線で示す)と、このベンディング経路11に沿って複数設けられるロールスタンド12と、ロールスタンド12に搭載される成形ロール部20Aと、を備える構成を挙げることができる。なお、
図3におけるブロック矢印Fは、長尺板材31の搬送方向である。
【0035】
長尺板材31は、製造装置10で加工することによりロール成形部品30となる材料であり、公知の金属製のものを挙げることができる。なお、長尺板材31の長さ、幅、厚さ等の寸法は特に限定されず、製造対象のロール成形部品30に応じて適切な寸法を設定することができる。
図3に示す例では、予め可変幅部30aに対応する部分の幅が小さくなっているが、これに限定されない。
【0036】
ロールスタンド12は、前記の通り、複数のロール部材で構成される成形ロール部20Aを搭載している。成形ロール部20Aの各ロール部材はそれぞれ回転可能であるとともに、後述するように、回転軸方向およびベンディング経路11に交差する方向に対して移動可能に構成されているものを含んでいる。さらに後述するように、成形ロール部20Aを搭載したロールスタンド12が搬送される長尺板材31の幅方向にスライド移動するとともに、長尺板材31の法線方向を回転中心として回転移動する。
図3では、スライド移動をブロック矢印M1で示し、回転移動をブロック矢印M2で示す。なお、回転中心は、長尺板材31のベンディングにおける中立軸付近もしくは一方の側縁部30bないし他方の側縁部30cの面付近であることが好ましいが、可変中では、ロールスタンド12の向きは厳密な意味でのベンディング経路11に直交する方向にせず、略直交方向もしくは直交側に向かう方向となっていてもよい。
【0037】
ロールスタンド12(成形ロール部20A)は、ベンディング経路11に沿って複数設けられていればよいが、
図3に示すように、少なくとも3つ設けられていると好ましい。また、これら複数のロールスタンド12(成形ロール部20A)は、
図3に示すように、長尺板材31の幅方向に対して外力P(矢印で図示)を加えることができる。
【0038】
複数のロールスタンド12が一列に配置されることにより、成形ラインである製造装置10の要部が構成される。成形時には成形対象(材料)である長尺板材31が最初のロールスタンド12の成形ロール部20Aに送り込まれ、その後、次のロールスタンド12の成形ロール部20Aに順次搬送される。これにより、長尺板材31は、搬送方向Fに搬送されることになる。したがって、ベンディング経路11は、一列に配置される複数のロールスタンド12によって形成される長尺板材31が通過する経路(ルート)である。
【0039】
ここで、本実施の形態1では、隣り合う成形ロール部20A同士は、長尺板材31に対して交互に(互いに反対方向となるように)外力Pを加えるように構成されている。これにより、得られるロール成形部品30に良好なコンターを付与することができる。
【0040】
例えば、
図3に示す製造装置10において、ベンディング経路11における搬送方向Fの最も上流側に位置する成形ロール部20Aを「最上流位置成形ロール部20A−1」とする。同様に、ベンディング経路11における搬送方向Fの最も下流側に位置する成形ロール部20Aを「最下流位置成形ロール部20A−3」とする。また、これら最上流位置成形ロール部20A−1および最下流位置成形ロール部20A−3の間に介在する成形ロール部20Aを「中間位置成形ロール部20A−2」とする。なお、説明の便宜上、
図3では、符号20A−1〜20A−3を枠で囲んで図示している。
【0041】
図3に示す例では、紙面上側に向かって中央部が突出するように、ロール成形部品30が湾曲しており、ベンディング経路11も同様に紙面右上側に向かって中央部が突出するように湾曲している。説明の便宜上、突出する中央部に向かう方向を「湾曲外側」とし、その反対側を「湾曲内側」とすれば、製造装置10が備える3つの成形ロール部20Aのうち、最上流位置成形ロール部20A−1および最下流位置成形ロール部20A−3は、いずれも湾曲内側に向かって外力Pを加えている。これに対して、中央位置成形ロール部20A−2は、湾曲外側に向かって外力Pを加えている。それゆえ、
図3に示す製造装置10では、隣り合う成形ロール部20A同士が加える外力Pの方向は交互となっている。
【0042】
なお、製造装置10には、成形ロール部20Aを構成する各ロール部材を回転可能に支持する支持部材、各ロール部材を動作させるロール駆動部、ベンディング経路11に長尺板材31を円滑に送り出すためのガイド部材、搬送用ロール部材等のような公知の機構または部材等が設けられているが、その具体的な説明は省略する。
【0043】
本実施の形態1に係る製造装置10では、成形ロール部20Aは、前述したように複数のロール部材を備えており、この複数のロール部材により所定形状のロール間領域が形成される。また、成形ロール部20Aは、幅方向から長尺板材31に対して外力Pを付与しつつ、両側縁部30b,30c(もしくは一方の側縁部30b)のベンディング加工された形を保つように構成されている。したがって、成形ロール部20Aを構成する各ロール部材の間の配置は、長尺板材31の幅に応じて自動的に調整される。これにより、所定の断面形状を有し、かつ、可変幅部30aを有するロール成形部品30が製造される。
【0044】
[成形ロール部の構成例]
次に、前述した製造装置10が備える成形ロール部20Aの代表的な構成について、
図4を参照して具体的に説明する。
【0045】
図4に示すように、成形ロール部20Aは、合計6個のロール部材(第一ロール201〜第六ロール206)により構成されており、互いに対向する受けロール部21および第一ベンディングロール部22、並びに、これらロール部21,22の下方に位置する第二ベンディングロール部23等を備えている。成形ロール部20Aは、前記の通りロールスタンド12に搭載されているため、
図4では、受けロール部21、第一ベンディングロール部22、および第二ベンディングロール部23の下方にロールスタンド12を模式的に図示している。
【0046】
なお、
図4では、第一ロール201〜第六ロール206を図示する便宜上、長尺板材31(ロール成形部品30)を点線で図示している。点線で図示される長尺板材31に対応する領域は、前述した所定のロール間領域に対応する。また、長尺板材31の両面のうち、受けロール部21に当接する面を表面31aとし、第一ベンディングロール部22に当接する面を裏面31bとしたときに、幅中央部30dの表面31aは図中下側に向き、裏面31bは図中上側に向く。そこで、幅中央部30dにおいて表面31aが向く側を「下側」とし、裏面31bが向く側を「上側」とする。
【0047】
受けロール部21は第一ロール201により構成され、第一ベンディングロール部22は、互いに平行に位置し、かつ、互いの回転軸の位置が異なる第二ロール202および第三ロール203で構成されている。
図4に示すように、第二ロール202および第三ロール203は、いずれも第一ロール201よりもロール面の幅が小さくなっている。第二ロール202は、第一ロール201のロール面の上側に対向し、第三ロール203は、第一ロール201のロール面の下側に対向している。
【0048】
第三ロール203は、第二ロール202よりもロール径が大きくなっている。言い換えれば、第一ベンディングロール部22は、小さなロール径の第二ロール202と大きなロール径の第三ロール203により構成されており、第二ロール202の回転軸と第三ロール203の回転軸とは互いに異なった位置にあるが、第二ロール202における第一ロール201側のロール面と、第三ロール203における第一ロール201側のロール面とは、上下方向に概ね同じ位置となるように設定されている。第三ロール203の下側は、両側縁部30b,30cを除いた長尺板材31(ロール成形部品30)の幅中央部30dを通過させる板材通過領域となっている。
【0049】
受けロール部21(第一ロール201)と第一ベンディングロール部22(第二ロール202および第三ロール203)との一方の側縁部30bを挟み込むことにより、当該側縁部30bにベンディング加工がなされる。ここで、第一ベンディングロール部22を構成する第二ロール202および第三ロール203の間隔は、ベンディング加工中に変化するように構成されている。この点については後述する。
【0050】
第二ベンディングロール部23は、第一ベンディングロール部22の下側に位置し、長尺板材31(ロール成形部品30)の他方の側縁部30cをベンディング加工する。本実施の形態1では、第二ベンディングロール部23は、
図4に示すように、互いに対向する第四ロール204および第五ロール205により構成されている。第四ロール204は、受けロール部21および第一ベンディングロール部22の各回転軸と同方向に沿った回転軸を有し、長尺板材31の表面31aに当接する。また、第四ロール204と第三ロール203との間が前述した板材通過領域となっている。
【0051】
第五ロール205は、前記の通り、第四ロール204に対向して位置している。それゆえ、第四ロール204が長尺板材31の表面31aに当接するのに対して、第五ロール205は、長尺板材31の裏面31bに当接する。また、第五ロール205は、第三ロール203の下側に位置するが、第五ロール205と第三ロール203との間は、前述した板材通過領域とはなっていない。
【0052】
さらに、本実施の形態1では、成形ロール部20Aは、第一ベンディングロール部22の上側に位置する第六ロール206を備えている。第六ロール206は、受けロール部21および第一ベンディングロール部22の回転軸に対して交差する回転軸を有し、一方の側縁部30bを第二ロール202に向かって曲げる。したがって、第六ロール206は、折り返し部30e、もしくは、リターンフランジを形成するためのロール部、あるいは、予め形成されたリターンフランジの角度を修正するためのロール部として機能する。一般に、長尺板材31が長尺方向にベンディングされることで、例えば90°等に曲げられていた部分の角度が90°から開いたり閉じたりする等の変化が生じるおそれがある。そこで、第六ロール206は、このような角度の変化を回避または防止するために設けられる。
【0053】
図4において一点鎖線で示すように、第一ロール201〜第五ロール205の回転軸は、いずれも上下方向に沿って配置しているが、第六ロール206のみ上下方向に直交する方向に沿って配置している。第一ロール201〜第五ロール205の回転軸方向(上下方向)に対して交差する方向であり、かつ、長尺板材31の搬送方向F(
図4では紙面に垂直な方向)に交差する方向を「横断方向」とすれば、第六ロール206の回転軸の方向は横断方向に沿っていることになる。この横断方向は、成形ロール部20Aのロール間領域(特に板材通過領域)を搬送される長尺板材31の幅方向に対応する。
【0054】
図4に示す例では、横断方向は、上下方向および搬送方向Fの双方に直交した方向として図示されるが、横断方向はこれに限定されず、上下方向および搬送方向Fに対して傾斜した状態で交差してもよい。また、第六ロール206の回転軸の方向は横断方向に限定されず、前記の通り、受けロール部21および第一ベンディングロール部22の回転軸に対して交差していれば、横断方向に対して傾斜してもよい。
【0055】
図4においてブロック矢印T1〜T5で示すように、第一ロール201〜第四ロール204、および第六ロール206はいずれも、成形ロール部20Aを搭載するロールスタンド12を基準として、少なくとも横断方向(すなわち、長尺板材31の幅方向)に移動可能となっている。第五ロール205は、ロールスタンド12に対して移動しない構成となっているので、第一ロール201〜第四ロール204および第六ロール206は、いずれも第五ロール205に対して移動可能に構成されているということもできる。
【0056】
第一ロール201〜第四ロール204および第六ロール206のうち、第二ロール202および第六ロール206は、ブロック矢印T2およびT5に示すように上下方向にも移動可能となっている。したがって、第一ロール201、第三ロール203、第四ロール204、および第五ロール205は、いずれも一軸のロール部材であるが、第二ロール202および第六ロール206はいずれも二軸のロール部材となる。
【0057】
第二ロール202が上下方向に移動可能となっていることにより、第二ロール202および第三ロール203の間隔は、ベンディング加工中に変化可能となっている。また、第一ロール201、第二ロール202、および第三ロール203は、ベンディング加工中に、それぞれ独立して横断方向(長尺板材31の幅方向)に沿って移動可能に構成されている(ブロック矢印T1〜T3)。また、ブロック矢印T4に示すように、第四ロール204は、第五ロール205から独立して横断方向(長尺板材31の幅方向)に沿って小さく移動することができる。
【0058】
さらに第六ロール206は、ベンディング加工中に、第三ロール203との間隔を変化可能とするとともに、横断方向(長尺板材31の幅方向)にも移動可能に構成されている。つまり、第六ロール206は、第二ロール202との間に一方の側縁部30bの最外部を挟み込んだ状態で、第三ロール203に近づいたり離れたりすることで、折り返し部30eの角度を調節することができる。
【0059】
第一ロール201〜第六ロール206は、ロールスタンド12(
図3参照)に対して回転可能に設けられているが、これらロール部材の固定方法については特に限定されない。同様に、これら第一ロール201〜第六ロール206を動作させる機構についても特に限定されず、ロール成形の分野で公知の移動機構を採用すればよい。また、第一ロール201〜第六ロール206そのものの具体的な構成も特に限定されず、ロール成形の分野で公知のものを好適に用いることができる。
【0060】
ここで、対向状態にある受けロール部21と第一ベンディングロール部22とをロール対13と称すれば、このロール対13は、
図3および
図4に示すように、長尺板材31の幅方向に対してM1方向にスライド移動が可能であるとともに、長尺板材31の法線方向を回転中心としてM2方向に回転移動が可能である。
【0061】
なお、ロール対13をスライド移動および回転移動させる具体的な構成は特に限定されない。
図4では、成形ロール部20Aを搭載するロールスタンド12を模式的に図示しているが、このロールスタンド12が、スライド移動および回転移動を実行可能な公知の移動機構を備えている構成を挙げることができる。この構成であれば、ロール対13だけでなく、成形ロール部20A全体をスライド移動させたり回転移動させたりすることができる。
【0062】
[ロール成形部品の製造方法]
次に、前記構成の成形ロール部20Aにより長尺板材31に対してコンターとともに可変幅を付与する方法、すなわち、ロール成形部品30の製造方法の一例について、
図1〜
図4に加えて、
図5(A)および
図5(B)を参照して具体的に説明する。
【0063】
まず、
図3において搬送方向Fで示すように、長尺板材31を製造装置10に向けて搬送し、最初のロールスタンド12に長尺板材31の先端を到達させる。このとき長尺板材31は予めZ型断面に成形されているが、
図3では説明の便宜上、長尺板材31を平板状に模式的に図示している。そして、長尺板材31の先端を成形ロール部20Aのロール間領域(
図4の点線領域)に送り込む。なお、
図4、
図5(A)および
図5(B)は、いずれも成形ロール部20Aを搬送方向Fの上流側から見た状態に相当する。
【0064】
長尺板材31がロール間領域に搬送されると、
図5(A)に示すように、長尺板材31の一方の曲げられた側縁部30bは、受けロール部21と第一ベンディングロール部22との間に挟み込まれるとともに、他方の曲げられた側縁部30cは、第二ベンディングロール部23(第四ロール204および第五ロール205)に挟み込まれる。また、両側縁部30b,30c以外の幅中央部30dは、第四ロール204と第三ロール203との間である板材通過領域を通過する。なお、側縁部30bの最外部である折り返し部30eは、第六ロール206および第二ロール202によって挟み込まれるが、場合によっては該当部によって曲げられ、折り返し部30eが形成されてもよい。
【0065】
なお、前記の通り、長尺板材31は予めZ型断面に成形されているが、長尺板材31は完全にはZ型断面に成形されない途中段階の板材であってもよい。この場合、成形ロール部20Aにより、受けロール部21および第一ベンディングロール部22との間で平坦な側縁部30bが曲げられるとともに、第二ベンディングロール部23により平坦な側縁部30bが曲げられる。それゆえ、長尺板材31の搬送が継続することによって、長尺板材31の長手方向に沿って両側縁部30b,30cが互いに反対方向に曲げられて、Z型断面を有するロール成形部品30(航空機用フレーム)が徐々に製造されていく。したがって、Z型断面は、予め成形されてもよいし、成形ロール部20Aにより成形されてもよい。
【0066】
ここで、長尺板材31に対するベンディング加工中に、予め幅広であった幅中央部30dが可変部分にさしかかった際には、受けロール部21および第一ベンディングロール部22が他方の側縁部30cに向かって徐々に移動する(
図1および
図3参照)。これにより、
図5(B)に示す幅中央部30dに対応する部分は可変部として形成されることが可能となる。さらに、一方の側縁部30bの幅も変化している場合には、第一ベンディングロール部22を構成する第二ロール202並びに第六ロール206が第三ロール203から徐々に離れるか徐々に近づくように移動する。これらロール一式はスライド移動かつ回転移動する。これにより、幅が異なっても所定のコンターに曲げることができる。
【0067】
なお、
図1に示すロール成形部品30の可変幅部30aは、
図3にも示すように、大きく可変幅部30a−1,30a−2,30a−3,30a−4に区分することができる。可変幅部30a−1は、幅方向の寸法が一定の大きい状態(幅広)から徐々に小さくなる部分であり、可変幅部30a−2は、幅方向の寸法が一定の小さい状態(幅狭)に変化する部分であり、可変幅部30a−3は、幅方向の寸法が一定の小さい状態(幅狭)から徐々に大きくなる部分であり、可変幅部30a−4は、幅方向の寸法が一定の大きい状態(幅広)に変化する部分である。
【0068】
ロール成形部品30について、可変幅部30a−1から可変幅部30a−2に亘って加工している間には、少なくとも可変幅部30a−2の幅に応じて、第一ロール201、第二ロール202および第三ロール203のT1,T2およびT3の横断方向(横軸、
図4参照)は、スライド移動し続ける。逆に、可変幅部30a−3から可変幅部30a−4に亘って加工している間であっても、同様に、これらロールのT1,T2およびT3の横断方向もスライド移動し続ける。
【0069】
また、
図4、
図5(A)および
図5(B)では、第二ロール202のロール面と第三ロール203のロール面とはほぼ同じ位置となっているが、これに限定されない。第二ロール202のロール面が第三ロール203のロール面より突出してもよい。また、逆に第二ロール202のロール面が第三ロール203のロール面から引き込まれる等すれば、当該部分の角度を補正することが可能になる。
【0070】
本実施の形態1では、前記の通り、成形ロール部20Aは、曲線状のベンディング経路11に沿って複数配置され、当該成形ロール部20Aが備える各ロールは自ら回転するか、あるいは、材料の搬送に伴って回転する。また、ベンディング加工中に、受けロール部21(第一ロール201)と第一ベンディングロール部22(第二ロール202および第三ロール203)とのロール対13が、長尺板材31の幅方向(横断方向)にスライド移動可能になっている。搬送される長尺板材31が成形ロール部20Aに送り込まれると、一方の側縁部30bは受けロール部21および第一ベンディングロール部22の間に介在し、側縁部30b以外の大部分(幅中央部30d)は第一ベンディングロール部22(第三ロール203)の下側で支持される。
【0071】
この状態で、ロール対13(受けロール部21および第一ベンディングロール部22の対)が他方の側縁部30cに向かってスライド移動することで、長尺板材31の幅方向の寸法が徐々に小さくなる。一方、長尺板材31の幅方向の寸法が徐々に大きくなるときには、ロール対13が他方の側縁部30cから離れるようにスライド移動すればよい。なお、図示しないが、ロール対13が、さらに単独で法線方向に回転可能に構成されているとより好ましい。これによりロール対13を可変部に対して常に直交する方向に配置することができる。
【0072】
このような状態で、それぞれのスプリングバック量に応じて、全体をスライドさせるとともに、法線方向を回転中心として回転移動させれば、可変断面を有する部材をロール成形によりベンディングすることが可能となる。その結果、コンターとともに可変幅が付与された航空機用部品を、ストレッチ成形またはプレス成形等によらず容易に製造することができる。
【0073】
しかも、本実施の形態1では、第一ベンディングロール部22を構成する第二ロール202および第三ロール203の間隔が変化可能になっている。それゆえ、例えば、一方の側縁部30bの幅に応じて、ロール対13のスライド移動あるいはスライド移動および回転移動とともに、第二ロール202および第三ロール203の間隔が大きくなるあるいは小さくなるように変化すれば、長尺板材31の幅方向の寸法だけでなく、一方の側縁部30bの曲げ幅も連続的に変化させた状態でベンディングを与えることができる。
【0074】
搬送される長尺板材31に対してコンターとともに可変幅を付与する場合には、少なくとも長尺板材31を曲げる方向の接線に対してロール対13を垂直に設置することになる。ここで、長尺板材31が幅方向に広がりの無い(幅方向に寸法を有さない)完全な「線」であるならば、ロール対13がスライド移動することでコンターを付与できる。しかしながら、実際の長尺板材31は幅方向に広がり有するため、スライド移動だけではコンターを付与できない。そこで、ロール対13に対してスライド移動とともに回転移動を加える。これにより、コンターとともに可変幅が付与されたロール成形部品30を製造することができる。
【0075】
なお、本実施の形態1で製造されるロール成形部品30は、可変幅部30aを有するものであるが、本開示に係るロール成形部品の製造装置10は、可変幅部30aを有さないが曲率の異なるロール成形部品30の製造にも適用可能である。例えば、長尺板材31を曲率R=120で曲げてから、途中でR=115で曲げるような構成のロール成形部品30の製造にも本開示を適用可能である。
【0076】
[変形例]
本実施の形態1では、
図4、
図5(A)および
図5(B)に示すように、成形ロール部20Aが、第一ロール201〜第六ロール206の合計6個のロール部材を備えていたが、本開示はこれに限定されない。成形ロール部20Aの変形例について、
図6並びに
図7(A)および(B)を参照して説明する。
【0077】
例えば、
図6に示すように、第六ロール206を備えていない構成の成形ロール部20Bも本開示に含まれる。前述したように、側縁部30bはリターンフランジではなくシングルフランジであってもよい。そのため、側縁部30bをシングルフランジ化するのであれば、第六ロール206は必須ではない。
【0078】
また、
図7(A)に示すように、第一ベンディングロール部22が第二ロール202aのみで構成されている成形ロール部20Cも本開示に含まれる。例えば一方の側縁部30bの幅を変化させないのであれば、敢えて第二ロール202および第三ロール203を分けて設ける必要がなく、単一の第二ロール202aで構成すればよい。これにより、成形ロール部20Cをより簡素な構成にすることができる。なお、ロール対13に対する回転および全体の回転等については、前述した成形ロール部20A等と同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
また、
図7(B)に示すように、第一ベンディングロール部22が、同じロール径の第二ロール202bおよび第三ロール203aで構成される成形ロール部20Dも本開示に含まれる。第二ロール202bと第三ロール203aとは回転軸が同じであり、例えば、
図7(B)に示すように、第二ロール202bの中心部を中空にして、第三ロール203aの中心部を凸部にして、第三ロール203の凸部を中空部に嵌合させる構成を採用することができる。
【0080】
なお、成形ロール部20Cおよび20Dは、いずれも成形ロール部20Bと同様に第六ロール206を備えていないが、もちろん第六ロール206を備えてもよい。また、図示しないが、成形ロール部20A〜20Dの受けロール部21は単一の第一ロール201のみからなる構成に限定されず、複数のロール部材で構成されてもよい。
【0081】
ここで、本実施の形態1では、ロール対13は、受けロール部21およびこれに対向する第一ベンディングロール部22で構成されているが、ロール対13はこれに限定されず、他のロールで構成されてもよいし、ロール対13が複数設けられてもよい。したがって、成形ロール部20A〜20Dは少なくとも一つのロール対を備えていればよい。例えば、成形ロール部20A〜20Dは、ロール対として、一方の側縁部に接して加工する第一のロール対13だけでなく、この第一のロール対13の下側または上側に位置し、長尺板材31の他方の側縁部に接して加工する第二のロール対を備えてもよい。
図4〜
図7に示す構成であれば、第五ロール205および第六ロール206で第二のロール対(第二ベンディングロール部23)が構成されてもよい。
【0082】
あるいは図示しないが、成形ロール部20A〜20Dは、第一ロール201〜第六ロール206以外のロール部材を備えてもよい。例えば、両側縁部30b,30cがリターンフランジとして形成される場合には、第二ベンディングロール部23の下側に、第六ロール206と同様の折り返し部30e形成用のロール部材を設けてもよい。また、本実施の形態1では、受けロール部21は単一の第一ロール201のみで構成されているが、複数のロール部材で構成されてもよい。同様に、第一ベンディングロール部22も第二ロール202および第三ロール203以外のロール部材を備えてもよいし、第二ベンディングロール部23も、第四ロール204および第五ロール205以外のロール部材を備えてもよい。
【0083】
さらに図示しないが、成形ロール部20A〜20Dが備える第一ロール201〜第六ロール206、あるいは他のロール部材の少なくともいずれかは、
図4〜
図7(A)・(B)に示すように回転軸方向が上下方向に限定されず、回転軸方向が傾斜してもよい。すなわち、第一ロール201〜第六ロール206(あるいは他のロール部材)は、
図4〜
図7(A)・(B)に示すような円柱状(円筒状)であって、その周面で長尺板材31(ロール成形部品30)を挟み込む構成に限定されず、全体断面が台形状または部分断面に台形を含む形状のロール部材であって、傾斜した周面を有する構成であってもよい。
【0084】
このように、本実施の形態1では、成形ロール部は、少なくとも一方の側縁部に接する受けロール部およびこれに対向するベンディングロール部で構成されるロール対を少なくとも一対備え、ベンディングロール部の下側または上側は、側縁部を除いた前記長尺板材を通過させる板材通過領域となっており、記ベンディング加工中には、少なくとも一対の前記ロール対を、前記長尺板材の幅方向にスライド移動するとともに、前記長尺板材の法線方向を回転中心として回転移動するように構成されている。
【0085】
一般に、金属等の材料は、スプリングバックの性質を有するので、長尺板材を曲げるには所望の曲げ量以上の曲げ量を与える必要がある。例えば、航空機用途であれば、幅広の骨格部材ではスプリングバックが小さいが、幅狭の骨格部材では、スプリングバックが大きいといった知見が知られている。このため、長尺板材に同一のコンターを付与するためには、当業者にとっては、幅広の部材と幅狭の部材とのそれぞれでロール対の位置を変える必要が生じることが容易に想到される。
【0086】
それゆえ、同じ製造装置で幅広の部材と幅狭部材との双方を製造しようとすれば、ロール対をスライド移動させなければならない。しかしながら、ロール対がスライド移動するだけでは、ロール対が長尺板材と直交しないため、長尺板材に対して過度な曲げまたは剪断を与えることになる。その結果、長尺板材に対して良好なコンターを付与できないばかりか、ロール対にも過剰な外力が加えられることになる。
【0087】
これに対して、前述した前記構成であれば、ロール対は、スライド移動とともに、長尺板材に直交するように回転することが可能となる。さらに、一部材中で幅方向が可変幅となっているロール成形部品を製造する際には、ロール対を通過する長尺板材の幅に応じてスライド量を変化させるように、ロール対をスライド移動させることができるとともに、可能な限り法線方向を保持しながら円滑に回転移動させることができる。
【0088】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、ロール成形部品の製造装置の構成例として、
図3に示す製造装置10を例示したが、本開示はこれに限定されず、他の構成を採用することができる。ロール成形部品の製造方法の他の構成例について、
図8を参照して具体的に説明する。
【0089】
本実施の形態2に係るロール成形部品30の製造装置40は、
図8に示すように、前記実施の形態1で説明した製造装置10と同様に、例えば、長尺板材31を長手方向に搬送する曲線状のベンディング経路11(図中破線で示す)と、このベンディング経路11に沿って複数設けられるロールスタンド12と、ロールスタンド12に搭載される成形ロール部20Aと、を備えている。
図8では、
図3と同様に、成形ロール部20Aにおけるロール対13のスライド移動をブロック矢印M1で示し、ロール対13の回転移動をブロック矢印M2で示す。
【0090】
なお、製造装置40が備えるロールスタンド12および成形ロール部20Aの具体的な構成は、前記実施の形態1で説明した通りであるので、その説明は省略する。また、成形ロール部20Aは、前述したように、各ロール部材を回転可能に支持する支持部材、各ロール部材を動作させるロール駆動部、ベンディング経路11に長尺板材31を円滑に送り出すためのガイド部材、搬送用ロール部材等を備えている。これらはいずれも公知の機構または部材等であるため、前記実施の形態1と同様に、その具体的な説明は省略する。
【0091】
ここで、前記実施の形態1に係る製造装置10では、成形ロール部20Aは、例えば、3つ設けられている構成であったが、本実施の形態2に係る製造装置40では、成形ロール部20Aは4つ設けられている。
【0092】
このように、4つのロールスタンド12(すなわち4つの成形ロール部20A)が一列に配置されることにより、成形ラインである製造装置40の要部が構成される。また、ベンディング経路11は、一列に配置される複数のロールスタンド12によって形成される長尺板材31が通過する経路(ルート)である。成形時には成形対象(材料)である長尺板材31が最初のロールスタンド12の成形ロール部20Aに送り込まれ、その後、次のロールスタンド12の成形ロール部20Aに順次搬送される。これにより、長尺板材31は、搬送方向Fに搬送されることになる。
【0093】
これら4つのロールスタンド12(成形ロール部20A)は、
図8に示すように、長尺板材31の幅方向に対して外力P(矢印で図示)を加えることができる。そして、本実施の形態2に係る製造装置40では、ベンディング経路11の両端に位置する成形ロール部20Aでは、長尺板材31に対して幅方向に付与する外力Pの方向が、いずれも同一方向となるように設定されている。これに対して、両端に位置する成形ロール部20Aの間に介在する成形ロール部20Aでは、長尺板材31に対して幅方向に付与する外力Pの方向が、両端に位置する成形ロール部20Aによる外力Pとは反対方向となるように設定されている。これにより、得られるロール成形部品30に良好なコンターを付与することができる。
【0094】
例えば、
図8に示す製造装置40において、ベンディング経路11における搬送方向Fの最も上流側に位置する成形ロール部20Aを「最上流位置成形ロール部20A−1」とする。同様に、ベンディング経路11における搬送方向Fの最も下流側に位置する成形ロール部20Aを「最下流位置成形ロール部20A−4」とする。また、これら最上流位置成形ロール部20A−1および最下流位置成形ロール部20A−4の間に介在する2つの成形ロール部20Aについては、上流側から「中間位置成形ロール部20A−2」、並びに、「中間位置成形ロール部20A−3」とする。なお、説明の便宜上、
図8では、
図3と同様に、符号20A−1〜20A−4を枠で囲んで図示している。
【0095】
図8に示す例でも、説明の便宜上、突出する中央部に向かう方向を「湾曲外側」とし、その反対側を「湾曲内側」とすれば、製造装置40が備える4つの成形ロール部20Aのうち、最上流位置成形ロール部20A−1および最下流位置成形ロール部20A−4は、いずれも湾曲内側に向かって外力Pを加えている。これに対して、中央位置成形ロール部20A−2および20A−3は、いずれも湾曲外側に向かって外力Pを加えている。
【0096】
なお、前記実施の形態1で例示した製造装置10においても、ベンディング経路11の両端および中間という位置関係に着目すれば、本実施の形態2に係る製造装置40と同様に、両端に位置する成形ロール部20A(最上流位置成形ロール部20A−1および最下流位置成形ロール部20A−3)が付与する外力Pの方向は、いずれも同一方向となるように設定され、中間に介在する成形ロール部20A(中間位置成形ロール部20A−2)が付与する外力Pの方向は、両端に位置する成形ロール部20Aによる外力とは反対方向となるように設定されていることになる。
【0097】
このように、本開示に係る製造装置においては、ベンディング経路に沿って複数設けられる成形ロール部の数は特に限定されず、前記実施の形態1のように3つであってもよいし、本実施の形態2のように4つであってもよいし、例示しないが5つ以上であってもよいし、2つであってもよい。また、複数の成形ロール部が、長尺板材に対して幅方向に付与する外力の方向も特に限定されず、隣り合う成形ロール部で交互の方向であってもよいし、隣り合う成形ロール部で同一方向であり、その外側に位置する成形ロール部で逆方向であってもよい。
【0098】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。