(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記あり得るECG入力のリストに対する使用の頻度及び様式のうちの1つを提供して、前記タイプアヘッドモジュールの予測に影響を与えるように構成された過去のデータをさらに含む、請求項1に記載の装置。
前記メモリにおいて格納されたレポート検査及び編集モジュールであり、前記メモリ内に格納された現在のECG解釈ステートメント及びルールに基づきECGレポートの重症度を更新するように構成され、さらに、オペレータによるアクセス又は編集操作に従ってトリガーされるレポート検査及び編集モジュール、
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
心電計(例えば12誘導診断装置等)は、心電図と呼ばれるレポートを生成する。心電計(ECG)の信号は、心臓の電気的な活動の10秒のスナップショットである。心電図又はECGレポートは、1枚の紙の上にテキストフォーマットでの患者人口統計学及びECG解釈を含み、ECG信号のトレースがその紙の一部に示される。紙の向きは、一般的に、横長である。
【0003】
病院は、典型的には、ソフトウェアアルゴリズムによるECGの自動分析を備える心拍動記録器とも呼ばれる心電計を利用する。アルゴリズムは、ECG信号の測定を行い、さらに、ECG測定値の分析を介してECGレポートの解釈を提供する。解釈は、ステートメントのセットであり、1つのラインあたり1つのステートメントを有し、ECG測定値から検出することができる臨床状態を記述している。この解釈のもと、ECG解釈の総まとめである重症度が含まれる。重症度は、基本的に、「正常」又は「異常」であり、正常と異常との間にいくつか多様性を有する。
【0004】
病院におけるECGレポートに対する一般的なワークフローは、以下のものを含み得る。臨床医がECGテストを要求する。ECG技師又は看護師が、患者のECGを記録する。自動化されたECG解釈を含むECGレポートが、心拍動記録器によって生成される。ECGレポートは、ECG管理システムまで伝達される。ECG解釈は、ECG専門家によって、検査、訂正及び電子工学的に署名される。検査及び訂正は、「洞調律」、「急性心筋梗塞」等、ECG解釈に対する現存するステートメントを加えるか又は削除することを含む。解釈を編集することに加えて、ECG専門家は、「正常なECG」又は「異常なECG」として現れる重症度を更新することを必要とする。患者のケアに関与する他の臨床医は、他のテスト結果と共にECGレポートを検査して、その症状及びテスト結果と一貫した診断を考え出す。
【0005】
1つの問題は、ECGのリーダーがECG解釈に注目し、重症度を更新するのを軽視する傾向である。間違いの1つの例は、異常というステートメントを有するECG解釈が異常の重症度をもたらすが、軽減要素があるために異常というステートメントが正しくなかった場合である。ECG専門家はその解釈を訂正することができるが、重症度を異常から正常に切り替えるためには直接の行動が必要とされるため、専門家は、不注意により又は他の事情で重症度を正しい解釈に変えないことがあり得る。これは、例えば、ECGが異常として列挙されていたために、治療に当たる医師が不必要な心臓病学的受診を開始し得る等、いずれ問題を引き起こし得る。
【0006】
ECG装置の別の問題は、テキストデータを入力することにおける非能率を含む。一部のECGシステムは、長いテキスト選択のリストを、所望される単語又は句を開始する1つ又は2つの文字のみの入力をもつ非常に短いリストに短縮するツールを利用する。これは、ユーザが単語又は句の一部をタイプして、コンピュータが合致するものを選択するか、又は、ユーザがタイプしたテキストを含有する適当な選択肢のセットを与えるオートコンプリート又はオートコレクトのアイデアに類似している。12誘導診断ECGを編集する場合のECG解釈のステートメントの選択において、ステートメントコードにおける文字をタイプすることによって、所望のステートメントに迅速にねらいを定めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の原理によると、心電計(ECG)装置、及び、そのような装置を利用する方法の例証的な実施形態が、本明細書において提供及び記載される。ECG装置は、増強された入力及び出力機構を含んで、電子工学的な編集を加速させ、レポートの精度を改善し、さらに、ユーザのエラーを減らす。一実施形態において、入力文字、過去のデータ及びECG測定基準(例えばコンテキスト)を利用してより迅速に所望のステートメントに狙いを定めながら、長い選択肢のリストを非常に短いリストに減らすためにタイプアヘッドモジュールが利用される。これは、コンテキストベースの選択肢を提供することによって、利用可能な選択肢の空間を減らす。英数字順のタイプアヘッドは、十分な速さで解決策に到達することはない。ECG測定基準は、より速く且つより優れた精度で正しい解決策に到達することができる。
【0017】
特定のECGに存在するECG異常の正しい検出は、ECG波形の複数の部分上での基準の正しい配置に基づき得る。基準は、P波、QRS複合波及びT波を含むECG波形の各部分の開始及び終了を定める。QRS複合波に対する基準、すなわち、QRSの開始と終了との間の持続期間は、QRS持続時間と呼ばれる。QRS持続時間は、右脚ブロック(RBBB)又は左脚ブロック(LBBB)等、多くの伝導システムの異常の解釈における1つの重要な態様である。コンピュータ分析によって基準が正しく配置されない場合、RBBB又はLBBB異常は検出されない。ECG波形上の正しい位置に基準を動かすこと、及び、それらの基準位置を使用して、ECGを再測定することは、異常を間違って見落とすことから、異常を正しく検出することへの解釈の変更をもたらし得る。一実施形態において、例えば基準を動かすためにタッチスクリーンを使用して、基準を動かすことによって、又は、基準選択を行うことによって、コンテキストベースのデータ(更新されたECG測定値)を提供して、タイプアヘッド機能に対する選択肢の空間を減らすことができる。
【0018】
他の実施形態において、ユーザ又はユーザのセットによる使用の頻度が、最も少ないタイピングの量で所望のステートメントを提供することにおける成功率を改善するために利用されてもよい。アルファベット順、解釈ステートメントの使用の頻度、(ECGの特定の特徴が使用される場合に)コンテキストの使用等が全て、ECGを電子工学的に編集する場合に各解釈ステートメントに対する予想される確率を提供するために利用されてもよい。予想される確率又はコンテキストの確率は、例えばECG特徴から得られるアプリケーションに特化した確率を用いて等、これらの因子のうち1つ又は複数の因子に基づきコンピュータで計算することができ、すなわち、特定のECG特徴が高い確率を示す場合に、特定の解釈ステートメントが頻繁に選ばれる。
【0019】
別の実施形態において、自動化されたECG解釈モジュールが、概括重症度を更新するために利用される。ECG解釈は、例えば「洞調律」又は「急性心筋梗塞」等のステートメントのセットから構成される。重症度は、例えば「正常ECG」又は「異常ECG」としてレポート上に現れるECG解釈の要約である。病院のいたるところにいる(ECGを読み取るECG専門家に対立するものとする)ECGレポートの臨床的消費者は、ECG解釈の細かいポイントを理解することなく、その重症度に頼ることが多くある。重症度はECG解釈全体に依存するため、ECG解釈モジュールは、ECGを編集する人間が解釈においてステートメントを削除及び挿入するに従い、概括重症度まで自動的に更新する。
【0020】
本発明は、医療機器の観点から記載されることになるが、本発明の教示ははるかに広範であり、さらに、テキストベースの入力及び/又はレポートベースの出力の装置に対して適用可能であるということが理解されるべきである。一部の実施形態において、本原理は、複雑な生物学的又は機械的システムを追跡若しくは分析することにおいて利用される。特に、本原理は、肺、心臓、胃腸管、排泄器官、血管等、体の全ての領域における手順を含む生物学的システムに対する追跡又は診断手順に適用可能である。図において描かれている要素は、種々のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実行することができ、さらに、組み合わせて単一の要素又は多数の要素にすることができる機能を提供することができる。
【0021】
図において示されている種々の要素の機能は、専用のハードウェア、並びに、適したソフトウェアと共同してソフトウェアを実行する能力を持つハードウェアの使用を介して提供することができる。プロセッサによって提供される場合、その機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共用プロセッサによって、又は、一部を共用することができる複数の個々のプロセッサによって提供することができる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明白な使用は、ソフトウェアを実行する能力を持つハードウェアを排他的に意味するとして解釈されるべきではなく、さらに、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(“DSP”)ハードウェア、ソフトウェアを格納する読み取り専用メモリ(“ROM”)、ランダムアクセスメモリ(“RAM”)、不揮発性記憶装置等を暗示的に含み得る。
【0022】
さらに、本発明の原理、態様及び実施形態、並びに、その特定の例を記載した本明細書における全ての記述は、その構造的同等物も機能的同等物も包含するとして意図される。加えて、そのような同等物は、現在既知の同等物も、将来開発される同等物(すなわち、構造に関係なく同じ機能を行ういかなる開発される要素)も含むということが意図される。従って、例えば、本明細書において示されているブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的なシステムの構成要素及び/又は回路構成要素の概念ビューを表しているということが当業者によって正しく理解されることになる。同様に、いかなる流れ作業図及び流れ図等も、コンピュータ可読記憶媒体において実質的に表すことができ、そのため、コンピュータ又はプロセッサによって、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明白に示されていようとなかろうと、実行することができる種々のプロセスを表しているということが正しく理解されることになる。
【0023】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ若しくはいかなる命令実行システムによる、又は、コンピュータ若しくはいかなる命令実行システムに関連した使用のためのプログラムコードを提供するコンピュータが使用可能な記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセスできるコンピュータプログラムプロダクトの形をとることができる。この記載の目的のため、コンピュータが使用可能な記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、器具若しくは装置による、又は、命令実行システム、器具若しくは装置に関連した使用のためのプログラムを含む、格納する、伝える、伝播する又は運ぶことができるいかなる器具でもあり得る。媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外若しくは半導体のシステム(若しくは器具若しくは装置)又は伝播媒体でもあり得る。コンピュータ可読媒体の例として、半導体又は固体記憶装置、磁気テープ、取外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)読み取り専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク及び光ディスクが挙げられる。光ディスクの最新の例として、コンパクトディスク−読み取り専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−読み/書き(CD−R/W)、Blu−Ray(商標)及びDVDが挙げられる。
【0024】
次に、似ている数字が同じ又は類似の要素を表している図面を参照し、まずは
図1を参照すると、ECGシステム100が、一実施形態に従って例示的に示されている。システム100は、ECG装置又はワークステーション112を含んでもよく、そこから、ECG測定又はテストが行われ且つ監督される。ワークステーション112は、好ましくは、1つ又は複数のプロセッサ114、並びに、プログラム及びアプリケーションを格納するメモリ116を含む。メモリ116は、ユーザがECGレポート136を編集するのを可能にする1つ又は複数のモジュールを含む心電図編集システム152を格納することができる。編集システムは、キー打ち又は入力データを解釈して入力エントリー時間を減らすように構成されるタイプアヘッドモジュール124、ECG用語(又はアプリケーションに応じた他の用語)に対する確率をコンピュータで計算する確率計算モジュール(又は異常予想モジュール)125、並びに、自動的に且つECGレポート136の全体像に基づき重症度を分析及び調整するレポート検査及び編集モジュール128を含む。
【0025】
タイプアヘッドモジュール124は、ECG用語に対するコードを選択する。一実施形態によると、タイプアヘッドモジュール124は、コンテキストデータ126及び過去のデータ132、並びに、メモリ116において格納された(及び/又は、確率モジュール125によってコンピュータで計算された)関連する確率を利用して、ECGに対する編集アプリケーションにおけるテキストフィールドにおいて必要とされる次の単語、句、コード又はカテゴリーを決定する。
【0026】
タイプアヘッドモジュール124は、より長い選択肢のリストを考慮し、インタフェース120にて各文字の入力で、そのリストを非常に短い優先順位がつけられた選択肢のリストに減らす。アプローチから選ぶためのステートメントの数が例えば600等の診断用ECG解釈の選択において、ステートメントコードにおいて文字をタイプすることによって、多くのステートメントコードが類似の文字で始まるということを除いて、所望のステートメントに迅速にねらいを定めることができる。特定のユーザ又はユーザのグループによる使用の頻度(過去のデータ132)及び英数字の予想に加えて、コンテキストデータ126において格納されたアプリケーションに特化したECG特徴を使用することによって、診断用ECG解釈フィールドを容易に、正確且つ迅速に埋めることができる。
【0027】
一実施形態において、タイプアヘッドモジュール124は、ステートメントを加える又はステートメントをコードと交換する(例えば、「洞調律(sinus rhythm)」というステートメントがコード「SR」と交換される)場合に、アルファベット順に且つECG特徴によって作動することになる。重要な機能は、タイプアヘッドモジュール124において格納され、ECG特徴に基づいており、二次的にアルファベット順による。並列リストも提供することができ、1つは第一にアルファベット順に基づき、2つめは、第一にECG特徴に基づく。ECG特徴は、くだんのECGに対してLVHの確率は何であるかを伝えるCornell基準による例えば左室肥大(LVH)電圧等の一般的に使用されるECG基準に基づき得る。
【0028】
タイプアヘッドを編集することにおいて使用するためのECG測定値/特徴の部分的なリストは、以下の非網羅的なリスト、すなわち:
1)左室肥大:Cornell LVH電圧=リードaVR R波振幅+リードV3 S波振幅;
2)亜急性心筋梗塞:Selvester QRSスコア;
3)急性心筋梗塞:STセグメント偏差の和;
4)左脚ブロック:ファジー論理QRS期間且つ後の水平QRS軸;
5)右脚ブロック:ファジー論理QRS期間且つ前の末端QRS軸;
6)第2度AVブロック:グループビーティング(group beating)、すなわち、RR間隔の繰り返しパターン、短、短、長、短、短、長、2:1又は3:1又は4:1のパターン;
7)第3度AVブロック:均一、ランダムPR間隔;等
を含んでもよい。
【0029】
さらなる改良を、過去のデータ132からの使用の頻度のコンピュータ計算に対して提供することができる。使用の頻度は、ユーザ又はユーザのグループに個別化することができる。加えて、変更の頻度は、1つの診断用ステートメントから別のステートメントへのいかなる頻繁な変更も、元のステートメントが現れる毎にリストの上部にて結果として生じるステートメントを置くことができるように、リストを得ることができる。
【0030】
タイプアヘッドモジュール124は、インタフェース120に含まれてもよいグラフィカルなユーザインタフェースと共に機能して、ディスプレイ118においてポップアップメニューを生成する。メニューは、測定値が更新された場合の提案されるステートメントの変更を含んでもよい。一実施形態において、提案は、新たな測定値、及び、以前に測定された値とユーザによって提供された値との間の測定された値における変化に基づきタイプアヘッドモジュール124によって生成されてもよい。
【0031】
別の実施形態において、ユーザによる基準点マーカーの移動(
図2を参照)は、ECG複合波の再測定、及び、ECG装置112における自動化された解釈アルゴリズム/モジュール150による解釈に対する提案される変化を自動的に強制する。これによって、測定が行われるコンテキストが変えられ、コンテキストデータ126に基づくECG特徴の予想を使用して異常の確率を計算する確率コンピュータ計算モジュール125の更新をもたらす。一実施形態において、開始パターンとしてP波、F波又はペースメーカースパイクのうち一部をマークすることは、自動化された解釈アルゴリズム150にユーザ選択を使用させて、形状及びタイミングによって残りの波を検出し、次に、新たな解釈を提供する。これも、測定が行われるコンテキストを変えて、コンテキストデータ126に基づく異常予想モジュール125の予想の更新をもたらす。手動で又はバーチャルリアリティの技術を用いて基準(172〜180、
図2)を単に動かす(例えば、タッチスクリーン等を使用して基準を動かす)ことによって、新たな分析、及び、コンテキストデータ126を特定のシナリオに対してより関連があるように設定する正確な又は最新の解釈を提供することができる。これによって、異常予想モジュール125の予想がより正確になるため、各情報を別々に編集する必要性が減る。
【0032】
本原理は、ECGレポート136におけるECG形態、ECGリズム及びペースメーカーリズムのフィールドの電子工学的な編集において特に有用である。タイプアヘッドモジュール124は、最可能入力を得るためにベイズ確率に基づくECG解釈を使用して予想を行うことができるが、他の技術も利用することができる。
【0033】
メモリ116は、装置112から出力されたレポート136を分析する、並びに、状態変更が認可されるか又は必要とされるかを決定し、次に、査閲者の入力及び監督に従って適切な状態変更を行うように構成されるレポート検査及び編集モジュール128も格納する。
【0034】
レポート検査及び編集モジュール128は、レポートにおけるECG解釈を読み取って、ECG解釈全体に基づき重症度を決定する。1つのシンプルな例は、解釈における各ステートメントはその独自の重症度を有するため、概括重症度に対して、個々の解釈ステートメントの最悪の重症度に等しく設定されることである。模範事例又は所定の基準(ルール)に基づき、モジュール128は、概括重症度を決定することができ、さらに、特定数のステートメント(正常と異常の間のどこかの重症度である「さもなければ正常」と呼ばれるECG解釈)がある場合にECG異常を呼び出してもよい。重症度に対するモジュール128は、レポート136において編集するECG専門家によってステートメントが加えられる、削除される又は変更される毎に重症度を掲載及び更新することができる。
【0035】
ECG装置112は、レポート136を見せるためのディスプレイ118を含み、さらに、他のデータを含むか若しくは示す、又は、ECG装置112を制御するか若しくは管理するためのインタフェースを提供してもよい。ディスプレイ118は、ユーザがECG装置112並びにその構成要素及び機能、又は、システム100内のいかなる他の要素と相互作用するのを可能にすることもできる。これは、ECG装置112からのユーザフィードバック及びECG装置112との相互作用を可能にするためにキーボード、マウス、ジョイスティック、触覚装置、又は、いかなる他の周辺装置若しくは制御装置を含み得るインタフェース120によってさらに促進される。ECG装置112は、好ましくは、レポート136又は他の関係する情報を出力するプリンタ122を含む。ECG装置112は、警報装置、電力接続、他のソフトウェア特徴等、他の特徴及び能力134を含んでもよい。
【0036】
ECG装置112は、測定を行うために患者に接続されることになる複数の電極(又はリード)130を含む。電極130の数及びタイプは、アプリケーション、装置及びテストプロトコルに応じて変わってもよい。
【0037】
図2を参照すると、代表的な心拍動のプロット170が、リードI、II、III、aVR、aVL、aVF、V1、V2、V3、V4、V5、V6のそれぞれに対する平均されたPQRST複合波から構成されている。P波は、最初の2つの縦の点線172と174との間に存在する。これらの線172、174は、P波に対する基準である。T波は、最後の2つの基準178と180(縦の点線)との間に位置し、さらに、QRS複合波は、中間の基準176と178との間に位置している。STセグメントは、QRSの終わりとT波の始めとの間に位置している。この例において、QRS複合波の終わりをマークしている基準は不正確である。正しい配置は、右側の、信号がおおよそ直線になる前の全てのリードにおける共通の信号の屈曲点での配置である。そのほぼ直線が、STセグメントである。
【0038】
本原理によると、代表的な拍動に対するこのタイプの基準提示は、基準(172〜180)を動かして、その基準(172〜180)に関連する波形上でのより優れた又はより正確な配置を提供する能力を含む。代表的な拍動波形に比較された基準位置は、自動化されたECG分析に対する入力であり、自動化されたECG分析は、従って、これらの訂正された基準を使用して、ECG特徴を再測定、再解釈及び再計算し、確率コンピュータ計算モジュール125によってコンピュータで計算される、例えばLBBB、RBBB又はLVHのような可能性がある異常に対するより優れた確率の推定に到達する。
【0039】
図3を参照すると、標準的な診断用10秒12誘導ECGレポート200(レポート136、
図1を参照)が、本原理を実証するために示されている。診断用レポート200は、ボックス206において見られるコンピュータ生成ECG解釈を含む。概括重症度は、ボックス206の底部にて見られる。ボックス206において見られる情報は、典型的には心臓病専門医によって訂正(編集)される部分である。心臓病専門医は、ECGを「読み取り」、そのECGを解釈し、さらに、ボックス206において列挙されているコンピュータ解釈を編集する。ユーザは、いかなるラインをクリックする及びそれを削除することができるか、又は、ユーザは、予め用意されたリストから新たなラインを挿入することができる。新たなラインを挿入する場合、予め用意されたリストの確率順のサブセットを含むポップアップウィンドウが生成され、
図1に関して記載されているように、編集されている特定のECGに対して最も高い確率を有して適用される。
【0040】
レポート200は、心臓の電気的な活動を測定する1つ又は複数の信号トレース203を有するグラフセクション202を含む。レポート200は、患者及び時間データ210、病院/位置データ/オペレータデータ212、患者特異的測定データ214、指標/能力データ216、テストの理由データ217、依頼医師データ218、テスト状態データ220、薬物/処方データ226及び他のデータを提供するパーソナルデータフィールドを含んでもよい。心拍数、並びに、PR間隔、P波期間、QRS期間、QT間隔、P波軸、QRS軸及びT波軸等の一般的に使用される間隔、期間及び角度軸が、ボックス208において提供されている。これらのデータフィールドのうちいずれか又は全てが、本明細書において記載されている本実施形態のタイプアヘッド特徴を利用するように構成されてもよいということに留意されたい。
【0041】
図4を参照すると、ブロック/流れ図が、一実施形態による10秒12誘導ECGに対する用意及び使用を示している。ECGは、臨床医による編集に備えて取得及び分析される。ECG特徴のコンピュータ計算のみがここでは記載されている;が、この能力は、他のテストフィールド又はデータフィールドまで広げることができる。典型的に、自動化されたECG分析は、ECGの解釈も含む。コンピュータアルゴリズムの解釈部分は、
図4において示されていない。ブロック302において、電極が、例えば左胸、足首、手首の上等、患者の皮膚に適用される。ワイヤが、電極をECG取得ハードウェアに接続する。ブロック304において、ECG取得が行われる。コンピュータ処理のために、心臓の電気的な信号を多重チャンネルデジタル波形スナップショットに変えるのに必要とされる電子工学が行われる。
【0042】
ブロック306において、ECGがセグメント分割される。これによって、デジタル波形における心拍動の電気的表示の各位置が決定される。正常な安静時の心拍数は、1分あたり約75拍であるため、心拍動は、およそ1秒あたり1回発生することになる。知られているように、QRS、STセグメント及びT波は、心室の電気的な活動を表し、P波は、心房の電気的な活動を表している。ブロック308において、時間整合及び複合波の平均が、代表的な複合波を決定するために行われる。これは、信号から全ての類似の心拍動又は複合波を切り取ること、それらをそれぞれの上に時間整合させること、及び、それらを共に平均して、低雑音の平均複合波をさらなる処理のために提供することを含む。
【0043】
ブロック310において、基礎測定が、代表的な複合波に対して行われる。これは、
図5による平均された代表的な複合波を測定して、QRS期間、QT間隔等の推定を得ることを含む。ブロック310は、代表的な複合波に関連する波形位置入力、すなわち「基準」を受け取って、基礎ECG測定を改善することもできる。ブロック312において、診断用ECG特徴がコンピュータ計算される。基礎測定から、例えば左室肥大(LVH)の確率等、得られる測定値が計算される。これらは、解釈に対して利用される程度であり;高い確率は、状態(この例においてはLVH)がおそらく存在していることを意味している。あり得る解釈が、ブロック314において例示的に列挙されている。
【0044】
図5を参照すると、代表的な複合波340が示されており、本原理による解釈の対象である。代表的な複合波340は、代表的な複合波に対してコンピュータ計算されるか又は測定される複数の変数及び測定値を示している。
図5において描かれている全ての基礎測定変数は既知であり、分かりやすさのためここでは記載されない。
【0045】
図6を参照すると、ブロック/流れ図が、編集プロセスにおいてユーザを支援するための1つの例示的な実施形態に従ったタイプアヘッドモジュール124(
図1)に対するステップを示している。ブロック402において、臨床医が、その日病院内で取得された不急のECG全てを検査する。小さい病院に対しては、一人の臨床医が、1日のECG全てを読み取り且つ訂正することができる。より大きな病院に対しては、多数の臨床医が、毎日ECGを読み取り且つ訂正するのに割り当てられる。読み取るためのECGのリスト又はECGを有する患者が診断決定に寄与すると仮定すると、検索が、データベースにおける患者のECGに対して行われる。ECGは、データベースにあり、ECGを編集するためのコンピュータアプリケーションにおいて臨床的ユーザに提示される。臨床医は、そのECGを見て、律動(心拍数及びその規則性又は不規則性)を第一に決定する。次に、臨床医は、P、QRS及びTの波の形状を見て、ECGの形状からわかる異常を検出する。ブロック404において、ECG特徴が、洞調律、心房細動、心室性頻拍、LVH、LBBB、RBBB、及び、ECGによって一般的に診断される他の状態のような、考慮中の全ての状態の確率を計算することによって用意される。予め計算された確率は、データベースから得られるか、又は、(例えば確率コンピュータ計算モジュール125、
図1によって)ECG波形及び現存する基礎測定値が与えられると急いで計算される。タイプアヘッドモジュール124が利用されて、ECG特徴を計算するか又はデータベースから検索してもよい。
【0046】
ブロック406において、タイプアヘッドモジュール124は、次に、あり得る解釈ステートメントのリストを確率によって順序付ける。解釈の各ラインは、自動化されたECG分析によって生成される「予め用意された」解釈ステートメントである。解釈においてすでにあるステートメントは、そのリストに含まれない。全てのECG特徴が確率によって選別されて、その患者が有し得る最可能状態/異常を提示する。
【0047】
ブロック408において、患者のECGが編集アプリケーションにおいて提示される。ブロック410において、ECG解釈ステートメントが、ECG特徴及び臨床医の好みの解釈上のステートメント又は他のコンテキスト情報に基づき、確率の順で、好ましくは別のウィンドウにおいて提示される。確率順で列挙されたECGステートメントを、ユーザの入力に基づきユーザに選択肢/予想が提示されるように、編集ウィンドウにおいて提供することができる。
【0048】
ブロック412において、「挿入」のようなユーザの編集行為の後、ECG解釈ステートメントは、ECG特徴、タイプされたテキスト及び他の因子に基づき順序付け直される。例えば、ユーザがタイプ(タイプアヘッド又はオートコンプリーション)し始める場合、ECG解釈に適切な単語を作成するためにタイプされる文字の組み合わせ、及び、ECG特徴に基づく確率が、ポップアップウィンドウにおけるECG解釈ステートメントの並べ替えをもたらす。一実施形態においては、2つのウィンドウ、すなわち、ステートメントの略記又はコードのための1つのウィンドウ、及び、完全なステートメントのための1つのウィンドウがあってもよい。コードは、本原理に従って修正されるタイプアヘッド技術を使用して並べ替えられてもよい。例えば、英数字因子、頻度因子及びコンテキスト因子が利用されて、利用されているコンテキスト又は他の因子に基づき確率/予想を再びコンピュータ計算するか又は定める。これらの因子は、解釈ステートメント又は他のステートメント/入力の並べ替えにおいて利用することができる。コンテキスト因子は、例えば、読み取りしている臨床医がくだんの各ステートメントを実際に使用することになる確率を含んでもよい。各臨床医はそれぞれ独自の好ましい解釈ステートメントのセットを有し得るため、この因子は、それぞれ好みのステートメントが適用可能なステートメントのリストの上部にて現れるのに寄与する。別の実施形態において、求められるテストのセットが与えられると、例えば集中治療部等の病院内の位置、テストを行っている人間の肩書又は地位等を全て、ルックアヘッド特徴における用語の順序付けのための重み付け又は確率に因子として考慮することができる。
【0049】
図7を参照すると、ブロック/流れ図が、どのようにしてECG特徴が、テキストアヘッドアプリケーションにおいてECG解釈ステートメントを整理することに使用するために作成されるかの一例に対するステップを示している。左室肥大(LVH)及び左脚ブロック(LBBB)は、自動化されたECG分析において(及び、心臓病専門医がECGレポートを読み取る場合でさえも)混同することが多くあるため、それら2つの正確な識別を可能にするために共に考慮されるべきである。ECG解釈の多くの他の領域も類似しており、混同点をもたらす。LVH及びLBBBの特徴が、この例において利用されることになる。
【0050】
ブロック502において、ECGデータベースが提供され、好ましくは、多数の患者を含む。LVH又はLBBBの確率を決定するようにECG特徴を設計するために、ECGのデータベースが処理されて、LVH及びLBBBに関連することが多くあるパラメータをコンピュータ計算する。ECGデータベースは、各ECGがLVH、LBBB又はある他の状態のケースであるかどうかを示しているということに対する注解を必要とする。ブロック504において、特徴選択に対するパターン認識技術を使用することによって、LVH及びLBBBに最も強く関連するパラメータが、LVH及びLBBBに対するロジスティック回帰分析モデルにおいて使用されるであろう。ブロック508において、ロジスティック回帰分析モデルは、LBBB及びLVHに対して設計され、(基礎ECG測定値から計算された)強く関連するパラメータを入力として選んで、LVH及びLBBBの可能性に対する確率の推定を提供する。LVHの確率が、特定のECGに対して、例えば1.0に近い等、高い場合、LVHの解釈上のステートメントは、可能性のある異常のリストにおいて高くあるだろう。LVH及びLBBBに対するこれらの確率の推定は、可能性に基づき解釈ステートメントを整理するために使用される多くのECG特徴のうちたった2つを構成するであろう。
【0051】
ブロック510において、ロジスティック回帰分析係数が、新たなECG記録からの測定値に基づきLVH及びLBBB確率のコンピュータ計算を実行するためにコンピュータ計算される。このデータは、
図1のメモリ116におけるコンテキストデータ126に入力される。
【0052】
図8を参照すると、ブロック/流れ図が、レポート及び検査モジュール128(
図1)によって実行されるステップを示している。ブロック602において、ECG解釈が、テストの後にモジュール128に提供される。ブロック604において、モジュール128が、臨床医によるECG解釈へのアクセスによってトリガーされる。ブロック606において、モジュール128はECG解釈を検査し、正常から異常へ、又は、その逆も同様に重症度を変えることになる解釈ステートメント又は解釈ステートメントのセットを探す。
【0053】
例えば、モジュール128は、解釈における各ステートメントがその独自の重症度を有するため、ECG解釈全体又はステートメントの収集に基づき重症度を決定してもよい。すなわち、2つ以上の、さもなければ正常な重症度を提供する解釈ステートメントが、複数の解釈ステートメントのため、異常な重症度として解釈されてもよい。別の例において、重症度は、解釈のうち最悪の重症度に等しく設定することができる。別の例において、概括重症度を、正常と異常との間のどこかである重症度の「さもなければ正常」と呼ばれるステートメントが特定数ある場合に、ECG異常と呼ぶように変えることができる。ブロック606における検査の間、モジュールは、ルール設定を調べて、状態が重症度を変えるために存在しているかどうかを決定する。
【0054】
ブロック608において、モジュール128は、編集しているECG専門家によってステートメントが加えられる、削除される又は変更される毎に重症度を更新する。ブロック610において、レポートが、更新された重症度と共に出力される。
【0055】
付随の特許請求の範囲を解釈する際に、以下のこと、すなわち:
(a)「含む」という用語は、所与の特許請求の範囲に列挙されているもの以外の要素又は行為の存在を除外しない;
(b)要素の前の不定冠詞は、複数のそのような要素の存在を除外しない;
(c)特許請求の範囲におけるいかなる参照番号もその範囲を限定しない;
(d)いくつかの「手段」は、同じアイテム若しくはハードウェア、又は、ソフトウェアにより実行される構造若しくは機能によって表すことができる;さらに、
(e)特に示されていない限り、特定の行為の順序が要求されると意図されない;
ということが理解されるべきである。
【0056】
タイプアヘッド編集のためのECG特徴、及び、レポート解釈のための自動更新に対する好ましい実施形態(例示的であり且つ限定的ではないと意図される)を記載してきたが、修正及び変更を、上記の教示に照らして当業者によって行うことができるということに留意されたい。従って、付随の特許請求の範囲によって概要が延べられているように本明細書において開示される実施形態の範囲内で、本開示の特定の実施形態において変更を行ってもよいということが理解されたい。そのように特許法によって要求される詳細及び特殊性を記載してきたが、専売特許証によって請求されている、さらに、保護されている所望のものが、付随の特許請求の範囲において明記されている。