特許第6741588号(P6741588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6741588撮像および圧力感知のための統合されたコントローラをもつカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741588
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】撮像および圧力感知のための統合されたコントローラをもつカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-563446(P2016-563446)
(86)(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公表番号】特表2017-513601(P2017-513601A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】US2015026757
(87)【国際公開番号】WO2015164301
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】61/983,101
(32)【優先日】2014年4月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スティーガル,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ロウインガー,ジョセフ
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−544150(JP,A)
【文献】 特許第3619845(JP,B2)
【文献】 特開2011−209051(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0005521(US,A1)
【文献】 特開平11−113912(JP,A)
【文献】 米国特許第06248074(US,B1)
【文献】 特開平07−222748(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/170207(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0303914(US,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に挿入できるよう構成された、近位部分および遠位部分をもつ可撓性の細長い部材と;
前記可撓性の細長い部材の遠位部分に結合された基板上に取り付けられることによって前記可撓性の細長い部材の遠位部分に結合されたコントローラと;
前記コントローラと通信する、前記基板上に取り付けられることによって前記可撓性の細長い部材の遠位部分に配置された超音波トランスデューサであって、前記超音波トランスデューサは、複数の超音波トランスデューサから形成されるトランスデューサ・アレイを有する、超音波トランスデューサと;
前記コントローラと通信する、前記基板上に取り付けられることによって前記可撓性の細長い部材の遠位部分に配置された圧力トランスデューサと;
前記コントローラから前記可撓性の細長い部材の近位部分まで延びる複数の導体であって、前記複数の導体は撚りカッドまたはシールドされた撚りトリプレットをなし、前記複数の導体のうち一対の導体は前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報を表わす信号の両方を搬送するよう構成される、導体とを含
前記基板は可撓性の回路を含み、前記圧力トランスデューサは前記可撓性の回路の遠位端に取り付けられ、前記圧力トランスデューサは前記可撓性の回路に形成された複数の伝導性トレースを介して前記コントローラに通信上結合され、
前記トランスデューサ・アレイが前記可撓性の細長い部材の前記遠位部分を取り巻くよう、前記可撓性の回路が前記可撓性の細長い部材の前記遠位部分のまわりに位置され、前記複数の伝導性トレースの一部は前記トランスデューサ・アレイの超音波トランスデューサどうしの間に位置される、
血管内超音波(IVUS)デバイス。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサは、前記細長い部材の軸のまわりに回転されるよう構成された超音波トランスデューサ撮像素子を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサ両方からの情報に基づく信号を前記一対の導体上で通信するよう構成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記圧力トランスデューサは三つのリードを介して前記コントローラに接続する、請求項記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数の導体の遠位部分は前記コントローラに電気的に結合されている、請求項記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数の導体の近位部分は、該複数の導体を患者インターフェース・モジュール(PIM)に接続するよう構成されたコネクタに結合される、請求項記載のデバイス。
【請求項7】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサに隣接して配置される、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
前記圧力トランスデューサは前記超音波トランスデューサより遠位に配置される、請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
前記可撓性の細長い部材は、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤ管腔を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
カテーテルおよびユーザー・インターフェースを有する、血管内超音波(IVUS)撮像および圧力感知システムであって、
前記カテーテルは、
前記カテーテルの遠位部分に結合された基板上に取り付けられることによって前記カテーテルの遠位部分に配置されたコントローラと;
前記コントローラと通信する、前記基板上に取り付けられることによって前記カテーテルの遠位部分に配置された超音波トランスデューサであって、前記超音波トランスデューサは、複数の超音波トランスデューサから形成されるトランスデューサ・アレイを有する、超音波トランスデューサと;
前記コントローラと通信する、前記基板上に取り付けられることによって前記カテーテルの遠位部分に配置された圧力トランスデューサと;
前記コントローラから前記カテーテルの近位部分のほうに延びる複数の導体であって、前記複数の導体は撚りカッドまたはシールドされた撚りトリプレットをなし、前記複数の導体のうち一対の導体は前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす信号を搬送するよう構成される、導体とを有しており、
前記基板は可撓性の回路を含み、前記圧力トランスデューサは前記可撓性の回路の遠位端に取り付けられ、前記圧力トランスデューサは前記可撓性の回路に形成された複数の伝導性トレースを介して前記コントローラに通信上結合され、
前記トランスデューサ・アレイが前記カテーテルの前記遠位部分を取り巻くよう、前記可撓性の回路が前記カテーテルの前記遠位部分のまわりに位置され、前記複数の伝導性トレースの一部は前記トランスデューサ・アレイの超音波トランスデューサどうしの間に位置される、
前記ユーザー・インターフェースは、前記カテーテルと通信し、前記複数の導体によって搬送される信号に基づいて情報を呈示するよう構成され、
デバイス。
【請求項11】
前記超音波トランスデューサは、前記カテーテルの軸のまわりに回転されるよう構成された超音波トランスデューサ撮像素子を有する、請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサ両方からの情報に基づく信号を前記一対の導体上で通信するよう構成されている、請求項10記載のデバイス。
【請求項13】
前記圧力トランスデューサは三つのリードを介して前記コントローラに接続する、請求項12記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概括的には、患者の目標領域を診断的に評価するための撮像および圧力センサー両方のためのコントローラを用いるシステム、デバイスおよび方法に関する。より詳細には、本開示は、たとえば患者の脈管構造のような患者の目標領域を診断的に評価するための血管内超音波(IVUS: intravascular ultrasound)撮像および圧力感知を実行するために共通のコントローラを利用するシステム、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内超音波(IVUS)撮像は、処置のための必要性を判別する、介入を案内するおよび/またはその有効性を評価するために人体内で動脈のような疾病のある血管を評価するための診断ツールとして、インターベンショナル心臓学において広く使われている。IVUS撮像は超音波エコーを使って、関心対象血管の断面画像を形成する。典型的には、IVUSカテーテル上の超音波トランスデューサは、超音波パルスの送信と、反射した超音波エコーの受信の両方を行なう。超音波は容易にたいていの組織および血液を通過するが、組織構造(血管壁のさまざまな層など)、赤血球および他の関心対象特徴から生じる不連続によって部分的に反射される。IVUSカテーテルに患者インターフェース・モジュールによって接続されたIVUS撮像システムは、受領された超音波エコーを処理して、カテーテルが位置しているところの血管の断面画像を生成する。
【0003】
今日一般的に使われている二つの型のIVUSカテーテルがある。ソリッドステートと回転式であり、それぞれ利点と欠点がある。ソリッドステートIVUSカテーテルは、カテーテルの周のまわりに分配され、電子的なマルチプレクサ回路に接続されている超音波トランスデューサ(典型的には64個)のアレイを使う。マルチプレクサ回路は、超音波パルスを送信し、エコー信号を受信するためのアレイ素子を選択する。送受信対のシーケンスを通じて段階的に進めることによって、ソリッドステートIVUSシステムは、機械的に走査されるトランスデューサ素子の効果を合成できるが、部品を動かすことはない。回転する機械要素がないので、トランスデューサ・アレイは血管外傷のリスクを最小限にして、血液および血管組織と直接接触して配置されることができ、ソリッドステート・スキャナは単純な電気ケーブルおよび標準的な取り外し可能な電気コネクタを用いて撮像システムに直接ワイヤ接続されることができる。
【0004】
典型的な回転式IVUSカテーテルでは、関心対象血管の中に挿入されたプラスチック・シース内部で回転する可撓性の駆動シャフトの先端に、圧電セラミック材料から製作された単一の超音波トランスデューサ素子が位置される。トランスデューサ素子は、超音波ビームがカテーテルの軸に概して垂直に伝搬するよう向き付けられる。流体で満たされたシースが、超音波信号がトランスデューサから組織へ、そしてその逆に自由に伝搬することを許しつつ、回転するトランスデューサおよび駆動シャフトから血管組織を保護する。駆動シャフトが回転するので(典型的には毎秒30回転)、トランスデューサは、短いバーストの超音波を発するよう高電圧パルスを用いて定期的に励起される。次いで、同じトランスデューサがさまざまな組織構造から反射される戻りエコーを傾聴する。IVUS撮像システムは、トランスデューサの一回の回転の間に生起する数百のこれらの超音波パルス/エコー取得シーケンスのシーケンスから、血管断面の二次元表示を組み立てる。
【0005】
ソリッドステートIVUSカテーテルは動く部品がないおかげで使うのが簡単だが、回転式IVUSカテーテルから得られる画質には匹敵できない。ソリッドステートIVUSカテーテルを回転式IVUSデバイスと同じ高周波数で動作させることは難しく、ソリッドステートIVUSカテーテルのより低い動作周波数は、より高い周波数の回転式IVUSカテーテルに比べ貧弱な分解能につながる。サイドローブ、格子状ローブ(grating lobes)および貧弱な仰角(elevation)焦点(撮像面に垂直)といった、アレイ・ベースの撮像から生じるアーチファクトもある。これらのアーチファクトは回転式IVUSデバイスでは大幅に低減されるまたは完全に不在である。回転式IVUSカテーテルの画質上の利点にもかかわらず、これら各デバイスはインターベンショナル心臓学においてそれぞれの適所を見出しており、ソリッドステートIVUSは使いやすさが至上である状況において好まれ、回転式IVUSは画質が至上であり、より時間のかかるカテーテル準備が正当化される場合に好まれている。
【0006】
回転式IVUSカテーテルにおいて、超音波トランスデューサは典型的には、トランスデューサを撮像システム・ハードウェアに接続する電気ケーブルを直接駆動することのできる、低電気インピーダンスの圧電セラミック素子である。この場合、単一の対の電気リード(または同軸ケーブル)が、送信パルスを前記システムからトランスデューサに搬送し、受信されたエコー信号を逆にトランスデューサから撮像システムに患者インターフェース・モジュールによって搬送するために使われる。撮像システムにおいてエコー信号は画像に組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0234736号
【特許文献2】米国特許第8,104,479号
【特許文献3】米国特許第5,243,988号
【特許文献4】米国特許第5,546,948号
【特許文献5】米国特許第8,298,156号
【特許文献6】米国特許第8,485,985号
【特許文献7】米国特許出願公開第2013/0303914号
【特許文献8】米国特許出願公開第2013/0131523号
【特許文献9】米国特許第6,641,540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
いくつかのカテーテルは、虚血を起こす病変を含む血管内の狭窄の重傷度を評価するために配置された圧力センサーを利用する。狭窄の重症性を評価するための一つの方法は、圧力センサーを用いて二つの血圧測定を行なうことを含む。狭窄に対して遠位または下流での一つの測定と、狭窄に対して近位または上流での一つの測定である。圧力の差が、狭窄の重症性を示す値を計算するために使用されうる。一般的な処置オプションは、血管形成、アテローム切除およびステント挿入を含む。
【0009】
既存のIVUSカテーテルおよび既存の圧力感知カテーテルは有用な診断情報を送達するものの、患者に導入される必要のあるのが単一のカテーテルだけでありながらヘルスケア提供者が撮像および圧力感知のような複数の方法の診断評価を効率的に実行できるようにする、組み合わされた圧力感知およびIVUSカテーテルが必要とされている。カテーテルが小さな標的エリアにアクセスするのに十分小さなサイズのままであるよう、必要とされるスペースまたは体積を効果的かつ効率的に節約する仕方で一緒に統合された、組み合わされた圧力感知およびIVUSカテーテルも必要とされている。
【0010】
よって、撮像するまたは物理的寸法を決定するための超音波トランスデューサと、血管内の圧力を測定するための圧力センサーとの両方をもつコンパクトで効率的なカテーテルを提供するための改善された装置、システムおよび方法に対する必要性が残っている。
【0011】
本開示は、従来技術における欠点の一つまたは複数に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の実施形態は、血管内超音波システムにおいて使用されるポリマー圧電ミクロ機械加工(micro-machined)超音波トランスデューサにコンパクトかつ効率的な回路アーキテクチャおよび電気インターフェースを提供する。
【0013】
ある例示的側面では、本開示は、近位部分および遠位部分をもつ可撓性の細長い部材と;前記可撓性の細長い部材の遠位部分に結合されたコントローラと;前記コントローラと通信する、前記可撓性の細長い部材の遠位部分に配置された超音波トランスデューサと;前記コントローラと通信する、前記可撓性の細長い部材の遠位部分に配置された圧力トランスデューサと;前記コントローラから前記カテーテルの近位部分まで延びる複数の導体であって、前記複数の導体のうち少なくとも一つの導体は前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報を表わす信号の両方を搬送するよう構成される、導体とを含む血管内超音波(IVUS)デバイスに向けられる。
【0014】
ある側面では、超音波トランスデューサは、前記細長い部材の軸のまわりに回転されるよう構成された超音波トランスデューサ撮像素子を有する。ある側面では、超音波トランスデューサは、複数の超音波トランスデューサから形成されるトランスデューサ・アレイを有する。ある側面では、前記複数の導体は、四リードの電気ケーブルを有し、前記コントローラは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサ両方からの情報に基づく信号を同じワイヤ上で通信するよう構成されている。ある側面では、圧力トランスデューサは三つのリードを介してコントローラに接続する。ある側面では、四リードの電気ケーブルの遠位部分はコントローラに電気的に結合される。ある側面では、四リードの電気ケーブルの近位部分は、該四リードの電気ケーブルを患者インターフェース・モジュール(PIM: patient interface module)に接続するよう構成されたコネクタに結合される。ある側面では、コントローラは、超音波トランスデューサに隣接して配置される。ある側面では、圧力トランスデューサは超音波トランスデューサより遠位に配置される。ある側面では、可撓性の細長い部材は、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤ管腔を有する。
【0015】
ある例示的側面では、本開示は、カテーテルおよびユーザー・インターフェースを有する、血管内超音波(IVUS)撮像および圧力感知システムに向けられる。カテーテルは、該カテーテルの遠位部分に配置されるコントローラと;前記コントローラと通信する、前記カテーテルの遠位部分に配置された超音波トランスデューサと;前記コントローラと通信する、前記カテーテルの遠位部分に配置された圧力トランスデューサと;前記コントローラから前記カテーテルの近位部分のほうに延びる複数の導体であって、前記複数の導体のうち少なくとも一つの導体は前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす信号を搬送するよう構成される、導体とを含む。ユーザー・インターフェースは、前記カテーテルと通信し、前記複数の導体によって搬送される信号に基づいて情報を呈示するよう構成される。
【0016】
ある側面では、超音波トランスデューサは、前記細長い部材の軸のまわりに回転されるよう構成された超音波トランスデューサ撮像素子を有する。ある側面では、超音波トランスデューサは、複数の超音波トランスデューサから形成されるトランスデューサ・アレイを有する。ある側面では、前記ケーブルは、四リードの電気ケーブルを有し、前記コントローラは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサ両方からの情報に基づく信号を同じワイヤ上で通信するよう構成されている。ある側面では、圧力トランスデューサは三つのリードを介してコントローラに接続する。ある側面では、四リードの電気ケーブルの遠位部分はコントローラに電気的に結合される。ある側面では、四リードの電気ケーブルの近位部分は、該四リードの電気ケーブルを患者インターフェース・モジュール(PIM: patient interface module)に接続するよう構成されたコネクタに結合される。
【0017】
ある例示的側面では、本開示は、患者を評価する方法であって:カテーテルの遠位部分に配置された超音波トランスデューサによって捕捉された情報を受領する段階と;カテーテルの遠位部分に配置された圧力トランスデューサによって捕捉された情報を受領する段階と;コントローラにおいて、前記カテーテル上で搬送される、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサからの情報を表わす通信信号を生成する段階と;前記カテーテル上で搬送される、コントローラからの前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす前記通信信号をユーザー・インターフェースに送信する段階とを含む、方法に向けられる。
【0018】
ある側面では、超音波トランスデューサによって捕捉された情報の受領と圧力トランスデューサによって捕捉された情報の受領は同時に実行される。ある側面では、前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす前記通信信号を送信することは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサから受領されるにつれてリアルタイムで信号を送信することを含む。ある側面では、前記生成することは、圧力トランスデューサおよび超音波トランスデューサの一方から受領されたアナログ信号を、前記送信に先立ってデジタル信号に変換することを含む。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態は、必要とされる信号増幅を提供する回路アーキテクチャおよび効率的なパルサー回路を、少数の電気リードを必要とする電気インターフェースとともに確立する。それに関し、少数のリードは、可撓性の細長い部材の限られたスペースの中で、より大きな直径の導体が使用されることを許容し、可撓性の細長い部材の長さに沿って延在する相互接続ケーブルにおける低減されたケーブル減衰および低い電気的損失につながる。さらに、本開示の諸実施形態は、すぐれたケーブル・インピーダンス整合を提供する。それに関し、四リードのインターフェースは、一対の平衡伝送線からなるケーブル設計を容易にする。ここで、各伝送線は、画像中のアーチファクトまたは劣化を引き起こすことがある周波数応答の反射および歪みを最小にするよう、適正に終端される。あるいはまた、四リードのインターフェースは、高電圧DCおよび接地信号が不平衡導体対によって搬送される一方、画像中のアーチファクトまたは劣化を引き起こすことがある周波数応答の反射および歪みを最小にするよう、適正に終端された一つの平衡伝送線からなる代替的なケーブル設計(シールドされた撚りトリプレット(twisted triplet))を容易にする。高電圧DCおよび接地信号ではインピーダンス整合および平衡は重要ではない。
【0020】
さらに、本開示の実施形態は、低い信号結合をも提供する。たとえば、四リードのケーブルは、独立な伝送線をなす対角導体対(diagonal conductor pairs)をもつ「星形カッド(star quad)」において動作されることができる。この構成では、それぞれ差動モード(differential mode)で動作される対角信号対の間の結合は、結合の対称性によって最小にされ、ケーブルによって搬送される複数の信号の間の低い漏話を提供する。また、三つの撚られた導体のうちの二本が平衡伝送線をなし、第三の撚られた導体およびシールドが高電圧DCおよび接地信号を搬送する構成では、シールドされた撚りトリプレット・ケーブル〔三芯ケーブル〕が動作させられることができる。この構成では、差動モードで動作させられる平衡信号対と他の導体との間の結合が対称性により最小化される。
【0021】
さらに、本開示の実施形態は、低い電磁干渉(EMI: electromagnetic interference)を提供する。それに関し、四リードのインターフェースは、一対の平衡伝送線からなるケーブル設計を容易にする。平衡設計は、EMIの放射を禁止するとともに、他の装置からの外部干渉に対してシステムの感受性を低減させる。四リードのインターフェース・ケーブルは、いくつかの事例では、EMIおよび外部干渉への感受性をさらに抑制するために、電気シールド導体とともに被覆される。また、四リードのインターフェース・ケーブルは、一つの平衡信号対および一つの不平衡対からなるシールドされた撚りトリプレットからなるケーブル設計を容易にする。この平衡設計は、EMIの放射を禁止するとともに、他の装置からの外部干渉に対する感受性を低減させ、一方、不平衡対はEMIを生成しにくい低周波信号のみを搬送する。シールドされた撚りトリプレット・ケーブル設計は、EMIおよび外部干渉への感受性をさらに抑制するために、電気シールド導体を含む。
【0022】
本開示の実施形態は、設計の柔軟性、血管内カテーテルおよび/またはガイドワイヤにおいて使うのに好適な小さな集積回路ダイ寸法、低い電力散逸、高い送信電圧および効率的な保護回路をも提供する。たとえば、シリアル通信方式の使用は、PIMとトランスデューサとの間の四リードの物理的なインターフェースを複雑にすることなく、回路設計に柔軟性および高度な機能を追加することを実現可能にする。本稿に記載される回路は、コンパクトな特定用途向け集積回路(ASICまたは本稿で使われるところのコントローラ)において実装され、四リードの電気インターフェースはデバイス面積の小さな部分を消費するだけであるので、システムは、いくつかの実施形態では、たった0.020インチ(0.5mm)の外径をもつカテーテルおよびガイドワイヤにおいて実装されることができる。本稿に記載される回路の実施形態は、カテーテルの遠位端における過度の温度上昇を避けるよう電力散逸を最小にするよう設計される。また、本稿に記載される回路の実施形態は、カテーテルの遠位端における高電圧パルサーであって、PIMベースのパルサー回路に関連する著しいケーブル損失を回避するものを含む。このアプローチは、デバイスの長さに沿って伸びる、PIMをトランスデューサに接続する電気ケーブルを通じて高電圧送信パルスを送ることによって普通なら生成されうるEMIも低減する。さらに、本稿に記載される回路の実施形態は、トランスデューサに加えられる高電圧送信パルスから、敏感な増幅器入力を絶縁するよう、能動的に制御されるアナログ・スイッチを使って効率的な保護回路を実装する。アナログ・スイッチに基づく保護回路設計は、みな単一のコントローラ中に統合される送信器、増幅器、保護およびタイミング回路の間の近接性によって容易にされる。
【0023】
本開示のさらなる側面、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の例示的実施形態は、付属の図面を参照して記述される。
図1】本開示のある実施形態に基づく撮像システムの図的な概略図である。
図2】本開示のある実施形態に基づく撮像デバイスの図的な一部切り欠き斜視図である。
図3図2の撮像デバイスの遠位部分の図的な断面側面図である。
図4】本開示のある実施形態に基づく、図3に示す撮像デバイスの遠位部分の、MEMSコンポーネントおよびコントローラ・コンポーネントを含む諸コンポーネントの図的な側面図である。
図5図4に示したコンポーネントのコントローラ・コンポーネントの図的な底面図である。
図6図4に示したコンポーネントのMEMSコンポーネントの図的な上面図である。
図7】本開示の別の実施形態に基づく撮像デバイスの遠位部分の図的な断面側面図である。
図8】本開示の別の実施形態に基づく撮像デバイスの遠位部分を平坦な構成に配置した図的な概略図である。
図9】本開示の別の実施形態に基づく撮像デバイスの遠位部分を平坦な構成に配置した図的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の原理の理解を促進する目的のため、ここで図面に示した実施形態を参照する。これを記載するために特定的な言辞が使われることになる。にもかかわらず、本開示の範囲に対するいかなる限定も意図されていないことは理解される。記載されるデバイス、システムおよび方法に対するいかなる変更およびさらなる修正も、本開示の原理のいかなるさらなる応用も、本開示が関係する技術分野の当業者に通常思いつくようなものは、完全に考えられており、本開示の範囲内の含まれる。特に、一つの実施形態に関して記述される特徴、コンポーネントおよび/または段階が本開示の他の実施形態に関して記述される特徴、コンポーネントおよび/または段階と組み合わされてもよいことは完全に考えられる。しかしながら、簡潔のため、これらの組み合わせの無数の反復は別個に記載しない。
【0026】
本稿に開示されるシステム、デバイスおよび方法は、超音波トランスデューサを使った撮像および圧力トランスデューサを使った圧力感知の両方を実行することができるシステムに関する。本稿に記載されるところでは、超音波トランスデューサおよび圧力トランスデューサは共通の通常のケーブルおよび他の電気コンポーネントを共有する。カテーテルの長さに沿って伸びるコンポーネントが少なくなることで、そうでない場合に達成できるよりも、カテーテルの全体的な直径がより小さくなりうる。さらに、相異なるIVUS撮像トランスデューサおよび圧力トランスデューサのある製造に比べ、いくつかの製造段階をなくすことができる。
【0027】
図1を参照するに、本開示のある実施形態に基づくIVUS撮像および圧力感知システム100が示されている。本開示のいくつかの実施形態では、IVUS撮像および圧力感知システム100は、圧電ミクロ機械加工超音波トランスデューサ(PMUT: piezoelectric micromachined ultrasound transducer)回転式IVUS撮像および圧力感知システムである。それに関し、IVUS撮像および圧力感知システム100の主要なコンポーネントは、IVUSおよび圧力感知カテーテル102と、PMUTカテーテル互換の患者インターフェース・モジュール(PIM)104と、IVUSおよび圧力コンソールまたは処理システム106と、該IVUSおよび圧力コンソール106によって生成されたIVUS画像および任意の圧力情報またはデータを表示するためのモニタ108である。
【0028】
高レベルでは、IVUSおよび圧力感知カテーテル102は、カテーテルの先端のIVUSトランスデューサから超音波エネルギーを放出する。超音波エネルギーは、IVUSトランスデューサのまわりの組織構造によって反射され、組織からのエコー信号がIVUSトランスデューサによって受信され、増幅される。IVUSおよび圧力感知カテーテル102は、デバイスの先端にある圧力トランスデューサにより患者の目標領域内の圧力を示すデータを検出もする。超音波エネルギーを放出してエコーを受信する間、または間欠的な間隔で、IVUSおよび圧力感知カテーテル102は目標身体領域内、しばしば患者の脈管構造内の圧力を測る。本稿に記載されるところでは、IVUSトランスデューサおよび圧力トランスデューサは、ASICコントローラならびにIVUSおよび圧力感知カテーテルの近位端に向けて延びる同じ通信および電力ケーブルを共有する。
【0029】
PIM 104は、IVUSトランスデューサおよび圧力トランスデューサの動作を制御するために、IVUSおよび圧力コンソール106とIVUSおよび圧力感知カテーテル102との間の信号の通信を容易にする。IVUSトランスデューサの動作を制御することは、IVUSトランスデューサを構成し、送信器回路をトリガーし、IVUSトランスデューサによって捕捉されたエコー信号をIVUSおよび圧力コンソール106に転送するための制御信号を生成することを含む。エコー信号に関しては、PIM 104は受領された信号を回送し、いくつかの実施形態では、コンソール106への信号送信に先立って予備的な信号処理を実行する。そのような実施形態の例では、PIM 104は、データの増幅、フィルタリングおよび/または総合を実行する。ある実施形態では、PIM 104は、IVUSトランスデューサおよび圧力センサー内の回路の動作を支援するために高電圧および低電圧のDC電力を供給もする。同時に、PIM 104は、圧力トランスデューサから受領された圧力データを回送し、いくつかの実施形態では、コンソール106への圧力データの送信に先立って予備的な信号処理を実行する。そのような実施形態の例では、PIM 104は、データの増幅、フィルタリングおよび/または総合を実行する。
【0030】
IVUSおよび圧力コンソール106は、PIM 104によって、IVUSトランスデューサからエコー・データを受領し、圧力トランスデューサから圧力データを受領し、該データを処理してIVUSトランスデューサのまわりの組織の画像を生成し、目標領域内の圧力を評価する。いくつかの事例では、IVUSおよび圧力コンソール106は、得られた圧力測定値に基づいて部分血流予備能(FFR: fractional flow reserve)を計算するよう構成されている。コンソール106は、画像および/またはFFRを含む圧力情報をモニタ108上に表示もしてもよい。
【0031】
FFRは、虚血を引き起こす病変を含む血管における狭窄の重症性を評価するための現在受け入れられている技法である。これは、病変に対して遠位のところで測った、狭窄動脈における最大血流の、正常最大流に対する比として定義される。よって、所与の狭窄についてFFRを計算するためには、二つの血圧測定値が測られる。狭窄に対して遠位または下流での一つの測定と、狭窄に対して近位または上流での一つの測定である。FFRは、近位の圧力測定値に対する遠位の圧力測定値の比の計算である。FFRは、閉塞が血管内の血流を、処置が必要とされる程度に制限するかどうかについての判定を許容する狭窄重傷度の指標を提供する。狭窄がより制約的であるほど、狭窄にまたがっての圧力降下は大きくなり、結果として得られるFFRは小さくなる。FFR測定値は、処置判断をガイドするための判断点として使用できる。健康な血管におけるFFRの正常値は1.00であり、約0.80より低い値は一般に有意であると見なされ、処置を必要とする。一般的な処置オプションは、血管形成、アテローム切除およびステント挿入を含む。
【0032】
のちにより詳細に論じるように、IVUSおよび圧力感知カテーテル102は、PMUT超音波トランスデューサを、カテーテルの遠位先端付近に取り付けられたその付随する回路、四導体電気ケーブルおよび回転インターフェースを支持するための適切な電気コネクタとともに含む。IVUSおよび圧力感知カテーテル102は、カテーテルの遠位先端付近の圧力トランスデューサにより、患者の目標領域内の圧力を示すデータの検出もする。
【0033】
PIM 104は、送信トリガー信号の前記の要求されるシーケンスおよび前記回路の動作を統御するための制御波形を生成し、その同じ導体対を通じて受信された増幅されたエコー信号を処理する。PIM 104は、IVUSおよび圧力感知カテーテル102の動作をサポートするための高電圧および低電圧DC電力供給をも供給する。PIM 104の重要な特徴は、回転インターフェースを横切ってカテーテル102のPMUT回路にDC供給電圧を送達しなければならないということである。この要件は、伝統的な回転式IVUSシステムについて一般的に使われる回転トランスという選択肢をほぼ排除する。トランスは一次側から二次側にAC信号しか伝達できないからである。回転インターフェースを横切ってDC電力を送達するための実際的な選択肢は、スリップリングの使用および/または特許文献1に記載されるアクティブ・スピナー(active spinner)技術の実装を含む。同文献はここに参照によりその全体において組み込まれる。
【0034】
ここで図2を参照するに、本開示のある実施形態に基づく回転式IVUSおよび圧力感知カテーテル102の図的な一部切り欠き斜視図が示されている。それに関し、図2はIVUSおよび圧力感知カテーテル102の構築に関する追加的な詳細を示している。いくつかの点で、このカテーテルは、Volcano社から発売されており特許文献2に記載されているRevolution(登録商標)カテーテルまたは特許文献3、4に開示されるもののような伝統的な回転式IVUSカテーテルに似ている。これらの各文献はここに参照によりその全体において組み込まれる。それに関し、IVUSおよび圧力感知カテーテル102は、撮像コア110および外側カテーテル/シース・アセンブリー112を含む。撮像コア110は、図1のPIM 104への電気的および機械的な結合を提供する回転インターフェース114によって近位端において終端されている可撓性の駆動シャフトを含む。撮像コア110の可撓性の駆動シャフトの遠位端は、PMUTおよび付随回路を含むトランスデューサ筐体116に結合されている。これらについてはのちにより詳細に述べる。カテーテル/シース・アセンブリー112は、回転インターフェースを支持し、カテーテル・アセンブリーの回転要素と非回転要素との間のベアリング面および流体シールを提供するハブ118を含む。ハブ118は、ルアー・ロック・フラッシュ・ポート(luer lock flush port)を含んでおり、これを通じてカテーテルの使用時に空気を押し出してシースの内部管腔を超音波互換流体で満たすために塩水(saline)が注入される。空気は超音波を通しにくいので、塩水または他の同様の流体が典型的には必要とされる。塩水は、回転駆動シャフトのための生体適合な潤滑剤をも提供する。ハブ118は、カテーテル102の遠位部分の音響透明窓124内でトランスデューサ筐体の軸方向の動きを容易にするために伸び縮みさせられる入れ子にされた管状要素を含むテレスコープ122に結合される。いくつかの実施形態では、窓124は、トランスデューサと血管組織との間で最小限の減衰、反射または屈折で超音波を通しやすい材料(単数または複数)から製作された薄壁のプラスチック・チューブ材から構成される。カテーテル/シース・アセンブリー112の近位シャフト126は、テレスコープ122と窓124との間の区間をブリッジし、超音波を伝える必要はないが潤滑のよい内部管腔および最適な硬さを提供する材料または複合材から構成される。
【0035】
ここで図3を参照するに、本開示のある実施形態に基づくカテーテル102の遠位部分の断面側面図が示されている。特に、図3は、撮像コア110の遠位部分の諸側面の分解図を示している。この例示的実施形態では、撮像コア110はその遠位先端において、ステンレス鋼から製作されている筐体116によって終端されている。筐体116は、まるめられたノーズ部分126と、超音波ビーム130が筐体116から出るための撮像切り欠き128と、目標解剖構造内の圧力を検出するための圧力トランスデューサ131のための圧力感知切り欠き129とを備えている。
【0036】
いくつかの実施形態では、撮像コア110の可撓性の駆動シャフト132は、可撓性の駆動シャフトの回転が筐体116にも回転を付与するよう筐体116に溶接または他の仕方で固定されている、二層以上の逆巻きの(counter wound)ステンレス鋼ワイヤから構成される。図示した実施形態では、PMUT MEMS 138は、球状に合焦されたトランスデューサ142を含み、本稿でコントローラとも称される特定用途向け集積回路(ASIC)144を担持する。
【0037】
コントローラ144は、二つ以上の接続を通じてPMUT MEMS 138に電気的に結合されている。それに関し、本開示のいくつかの実施形態では、コントローラ144は、PMUT MEMSに関連付けられた、増幅器、送信器および保護回路を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ144は、PMUT MEMS 138の基板に、非等方的な伝導性接着剤または好適な代替的なチップ間ボンディング法を使ってフリップチップ取り付けされる。一緒に組み立てられたとき、PMUT MEMS 138およびコントローラ144は、筐体116内に取り付けられるコントローラ/MEMSハイブリッド・アセンブリー146をなす。
【0038】
任意的なシールド136をもつ電気ケーブル134は、はんだ140で、コントローラ/MEMSハイブリッド・アセンブリー146に取り付けられる。電気ケーブル134は、可撓性の駆動シャフト132の内部管腔を通じて、撮像コア110の近位端まで延び、そこで図2に示される回転インターフェース114の電気コネクタ部分に終端される。
【0039】
本開示の実施形態は、回転式IVUSカテーテルによって容易に受け入れられることのできる小さなケーブル寸法を維持しながら、回路およびトランスデューサの性能に対する最小限の妥協をもって、幅広い範囲の恩恵をもたらす四線の電気インターフェースを同定する。電気ケーブルについてのそのような構成の一つの実装は、対称的なカッドに撚り合わされて二つの対角導体対として扱われる四本の電気伝導体を使う。実のところ、撚りカッドは、同じサイズの導体の撚り対線に比べ、わずかに大きな円筒スペース(20%大きな直径)を占めるだけである。
【0040】
そのような撚りカッド・ケーブルの実施形態では、一つの対角対の導体は、以下の複数の目的に資する平衡伝送線を提供する:(1)IVUSトランスデューサおよび圧力トランスデューサからのデータまたは情報信号のような平衡した信号を、コントローラ増幅器出力からPIM増幅器入力へ伝導する、(2)平衡した差動信号としての送信トリガー・パルスを、PIM送信トリガー回路からコントローラ上に含まれる送信器およびタイミング回路へ搬送する、(3)(第二の対の接地導体を基準とした)導体対上の共通モード電圧として低電圧DC電力を供給する、(4)コントローラにおける電力散逸を最小にするために必要に応じて増幅器回路をオン・オフするための受信器タイミング信号を提供する、(5)プログラム可能性のような高度な特徴をサポートするためにシリアル通信チャネルを作り出す。第二の対角対の導体は高電圧供給および接地を搬送する。これらの高電圧/接地対は、単にそれらのDC電圧を提供するほかに、トランスデューサに高電力送信パルスを送達するときにパルサー回路によって使用されるべきエネルギーを蓄える、有意な分布キャパシタンスを寄与する。実際上、送信器がトランスデューサへの高電力パルスを生成するようトリガーされるとき、送信器は、平衡した信号として進行波を、高電圧/接地導体対に対して発射する。進行波がPIMに到達すると、PIMは、送信パルスによってその導体対から引き出されたものを補充するために必要とされる電荷を供給する。このケーブル構成は、すべての信号が平衡線路を通じて伝送され、各線が適切な特性インピーダンスで終端されている四線インターフェースを使って、上記の必要とされる機能のすべてを提供する。平衡した終端された伝送線は、EMIの低減された生成および感受性、送信波形の低い歪み、高速通信、増幅器周波数応答の最小限の歪みおよび他の電気的な利点を提供する。いくつかの実施形態では、ケーブルは、信号線をEMIからさらに保護し、信号線から放出される電磁干渉を低減し、さらなる機械的一体性を提供するために、撚りカッドのまわりの任意的なシールドを含む。
【0041】
撚りカッド構成に関連して先述した同じ利点の多くをもたらす、本開示に基づく代替的なケーブル設計は、シールドされた撚りトリプレットである。この場合、撚りトリプレットの二本の導体が、撚りカッドの第一の対の導体について先述した複数の機能に資する。接地導体がシールドのはたらきをする。一方、高電圧は撚りトリプレットの第三の導体によって搬送される。シールドは撚りトリプレットの導体に関して対称的なので、シールドから、増幅器出力を搬送する平衡信号線に結合される差動干渉信号は最小限である。同様に、対称性により、高電圧導体上の干渉の、平衡信号線路への結合は最小限である。さらに、典型的には、送信パルスの間および直後の短い過渡成分のほかは、高電圧信号線への高周波ノイズは非常に少ない。その高周波過渡成分の大半は、関心のある最も早いエコー信号が血管組織から返ってくる時点までには散逸されているであろう。シールドされた撚りトリプレットは、きわめて製造しやすい構成であり、トリプレットは本来的に安定かつ対称的な束であり、シールドがケーブルについての機械的な一体性および外部干渉からの保護を提供する。
【0042】
図示した実施形態では、コントローラ/MEMSハイブリッド・アセンブリー146は、エポキシ148または他のボンディング剤によって筐体116に対して所定位置に固定される。エポキシ148は、筐体116内を伝搬する音響残響を吸収する音響裏打ち材およびコントローラ/MEMSハイブリッド・アセンブリー146にはんだ付けされるところでの電気ケーブル134の応力逃がし材〔ストレイン・リリーフ〕のはたらきをもする。圧力トランスデューサ131は、コントローラ144と、両者の間に延在するリード133を介して電気的に通じている。コントローラ144はそれらのリードを介して圧力トランスデューサに電力を提供する。よって、カテーテルの遠位端に配置されたコントローラ144は、PMUT MEMS 138および圧力トランスデューサ131の両方と通じる。
【0043】
圧力トランスデューサ131は、撮像コア110の外部の圧力を測定するよう取り付けられ、好ましい実施形態では、処置を受けている患者の脈管構造内の圧力を感知するよう構成された圧力センサーである。圧力トランスデューサ131は、センサーからのアナログ信号を処理する、増幅する、あるいは整え、対応するデータ信号をカテーテルの近位端に送信することができるコントローラ144に電気的に接続されている。
【0044】
この実施形態および本稿に開示される他の実施形態について、圧力トランスデューサ131は、任意の型の圧力感応性トランスデューサを少なくとも部分的に囲み、支持する剛性の筐体135を有していてもよい。筐体135は、センサーが、撮像コア110内または撮像コア110上に埋め込まれている間、機能を維持するために、十分に応力抵抗性であることを許容する。たとえば、圧力トランスデューサ131は、容量性センサー、ピエゾ抵抗性圧力トランスデューサ、特許文献5、6、7、8(それぞれここに参照によりその全体において組み込まれる)に開示されるような光ファイバー圧力センサー、シリコン・バックボーンをもつセンサーまたは必要な耐久性および応力抵抗性をもつ他の任意の型の圧力センサーを含んでいてもよい。いくつかの事例では、圧力トランスデューサ131はアレイのまたは複数のセンサー要素を含む(たとえば容量性圧力センサー・アレイ)。いくつかの実施形態では、圧力トランスデューサ131は、センサー膜アセンブリー(sensor diaphragm assembly)を含む。いくつかの実施形態では、センサー膜アセンブリーは、流体圧を測るよう構成された可撓性の膜によって覆われた凹部をもつボディを含む。膜は、膜のまわりの圧力の変動に応答して曲がってもよく、それによりたとえば血圧の変動を反映する。圧力トランスデューサ131は次いで、膜アセンブリーに付与された圧力の変動を測定し、送信することができる。
【0045】
シース112は、シース内の圧力がシース外の圧力と実質的に等しくなることを許容する開端または開口を含む。よって、圧力トランスデューサ131によってシース内で測定される圧力は、シース外部の圧力を示す。
【0046】
ここで図4図6を参照するに、コントローラ/MEMSハイブリッド・アセンブリー146をなすPMUT MEMSコンポーネント138およびコントローラ144の追加的な諸側面が示されている。さらに、図6は、ボンド・パッド182、184および186に接続された三本のリード133を介してコントローラ144に取り付けられた圧力トランスデューサ131を示している。図4図6の実施形態におけるMEMSコンポーネント138はパドル形状のシリコン・コンポーネントであり、圧電ポリマー・トランスデューサ142はMEMSコンポーネント138の遠位端に位置する基板の幅が広くなった部分149に位置している。幅が広くなった部分149の近位に位置する基板の狭い部分が、コントローラ144がMEMSコンポーネント138に取り付けられるところである。それに関し、MEMSコンポーネント138は十個のボンド・パッドを含む。MEMS 138のボンド・パッド150、151、152、154、156および158は、コントローラがMEMS 138上にフリップチップ取り付けされたときにコントローラ144上の六つのボンド・パッド172、170、180、178、176および174とそれぞれ対合するよう構成されている。フリップチップ取り付けは、非等方的な伝導性接着剤、金と金の熱超音波ボンディングおよび/または他の好適な方法を使って達成される。はんだリフローは、いくつかの事例ではこの用途のために便利ではない。コポリマー・トランスデューサ素子は、通常のはんだ付け温度よりかなり低い、たった100°C程度の温度で圧電性消失を受けるからである。非等方的な伝導性接着剤ならば、低い硬化温度を考慮に入れるべく硬化時間を増大させる限り、100°Cより低い温度で硬化させることができる。この実施形態では、ボンド・パッド152、154、156および158はボンド・パッド162、164、166および168に、MEMS基板に含まれる伝導性トレースによって結合され、ボンド・パッド162、164、166および168は、図3に示されるように、電気ケーブル134の四本の導体についての終端のはたらきをする。それに関し、電気ケーブル134の四本の導体は、ボンド・パッド152、154、156および158と電気的に結合されているボンド・パッド162、164、166および168にはんだ付けされるまたは他の仕方で固定的に取り付けられる。他の実施形態では、電気ケーブルの四本の導体は、コントローラ・ボンド・パッド174、176、178および180に直接、はんだ付けされるまたは他の仕方で固定的に取り付けられる。コントローラも、圧力トランスデューサ131に接続可能な三つのボンド・パッド182、184および186を含む。伝導性リードがボンド・パッド182、184および186から、圧力トランスデューサ131上に配置された関連付けられたボンド・パッドへと延びる。
【0047】
ここで図7を参照するに、本開示のもう一つの実施形態に基づく撮像コア200の遠位部分の断面側面図が示されている。撮像コア200は、上記のカテーテル102の撮像コア110と同様であってもよい。それに関し、撮像コア200は、撮像コア110に関して上記で論じたのと同様の特徴および機能を含む。よって、類似の特徴を指すために同じ参照符号を用いている。たとえば、撮像コア200は、IVUSトランスデューサのようなその上に形成されたトランスデューサ142をもつMEMS 138と、該MEMS 138に電気的に結合されたコントローラ144とを含む。しかしながら、図7の例示的な構成では、コントローラ144およびMEMS 138コンポーネントはワイヤボンディングでつながれ、トランスデューサ筐体116に取り付けられ、エポキシ148または他のボンディング剤を用いて所定の位置に固定されて、コントローラ/MEMSハイブリッド・アセンブリー146を形成する。ケーブル134のリードは、この実施形態では、コントローラ144に直接はんだ付けされるまたは他の仕方で電気的に結合される。コントローラ144は、圧力トランスデューサ131に延びるリード133を含む。この構成のいくつかの実施形態では、MEMSコンポーネント138は、図4および図5に示されるパドル形状のデバイスの打ち切りされたバージョンであり、パドルの狭い「柄」の部分が除去されている。ワイヤボンディング手法の一つの利点は、トランスデューサ142を担持するMEMSコンポーネントが、筐体116および撮像コア200の長手軸に関して斜めの角度で取り付けられることができるということである。それにより、超音波ビーム130は、撮像コアの中心長手軸への垂線に関して斜めの角度で伝搬する。この傾斜角は、トランスデューサとカテーテル・シース112との間の空間において反響することができるシース・エコーを減衰させる助けとなり、「撮像および血流速度測定のための装置およびシステム」という名称の米国仮特許出願第61/646,080号および「血管における撮像および血流測定のための超音波カテーテル」という名称の米国特許出願第61/646,074号に開示されるドップラー・カラー流れ画像化も容易にする。各出願の内容はここに参照によってその全体において組み込まれる。
【0048】
図8は、IVUSアレイおよび圧力感知カテーテル600の一部分のもう一つの例示的実施形態を示している。図示されている部分は、本稿に記載されるような撮像および圧力感知カテーテルの遠位端において使用されてもよい。図8は、超音波スキャナ・アセンブリー601の平坦な形を描いている。カテーテル上に配置されるときは、アセンブリー601は円筒形に丸められる。アセンブリー601は、トランスデューサ・アレイ602と、トランスデューサ制御回路604(コントローラ604aおよび604bを含む)と、可撓性回路606に取り付けられた圧力センサー605とを含む。これらの制御回路は、上記で述べたコントローラに対応する。
【0049】
トランスデューサ・アレイ602は、複数の超音波トランスデューサ603を含み、他の実施形態に記載された単一のIVUSトランスデューサを置き換える。トランスデューサ・アレイ602は、任意の数および型の超音波トランスデューサ603を含んでいてもよいが、明確のため、限られた数の超音波トランスデューサが図8に示されている。ある実施形態では、トランスデューサ・アレイ602は、64個の個々の超音波トランスデューサ603を含む。あるさらなる実施形態では、トランスデューサ・アレイ602は、32個の超音波トランスデューサを含む。ある実施形態では、トランスデューサ・アレイ602の超音波トランスデューサ603は、たとえばここに参照によりその全体において組み込まれる特許文献9に開示されるようなポリマー圧電材料を使って微小電気機械システム(MEMS)基板上に製作された圧電ミクロ機械加工超音波トランスデューサ(PMUT)である。代替的な実施形態では、トランスデューサ・アレイは、バルクPZTトランスデューサのような圧電性ジルコン酸トランスデューサ(PZT)、容量性ミクロ機械加工超音波トランスデューサ(cMUT: capacitive micromachined ultrasound transducer)、単結晶圧電材料、他の好適な超音波送受信体および/またはそれらの組み合わせを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ・アレイ602は、圧電ジルコン酸トランスデューサ(PZT)ソリッドステートIVUSイメージング・デバイスの一部をなす。いくつかの実施形態では、カテーテル600は、容量性ミクロ機械加工超音波トランスデューサ(CMUT)および/または圧電ミクロ機械加工超音波トランスデューサ(PMUT)を組み込む。IVUS撮像および圧力検出カテーテル600は、患者インターフェース・モジュール(PIM)104、IVUSおよび圧力コンソールまたは処理システム106および/またはモニタ108(図1)に関連付けられてもよい。
【0051】
例解される実施形態では、64個の超音波トランスデューサ603および少なくとも一つの圧力センサー605をもつアセンブリー601が九つのトランスデューサ制御回路604を含み、そのうち五つが図示されている。他の実施形態では、8個、9個、16個、17個およびそれ以上を含む他の数のトランスデューサ制御回路604を組み込む設計が利用される。いくつかの実施形態では、単一のコントローラがマスター・コントローラであると指定され、電気ケーブル134から直接、信号を受領するよう構成される。残りのコントローラはスレーブ・コントローラである。描かれた実施形態において、マスター・コントローラ604aは、IVUSトランスデューサ603のいずれも直接的に制御せず、圧力トランスデューサ605を駆動する。他の実施形態では、マスター・コントローラ604aは、圧力トランスデューサ605を駆動しつつスレーブ・コントローラ604bと同数のIVUSトランスデューサ603を駆動する、あるいはスレーブ・コントローラ604bに比べて低減された集合のトランスデューサ603を駆動する。図示した実施形態では、単一のマスター・コントローラ604aおよび八個のスレーブ・コントローラ604bが設けられている。各スレーブ・コントローラ604bに八個のトランスデューサが割り当てられる。そのようなコントローラは、駆動できるトランスデューサの数に基づいて、8チャネル・コントローラと称されることがある。
【0052】
マスター・コントローラ604aは、構成データと、電気ケーブル134を介して受領される送信トリガーとに基づいてスレーブ・コントローラ604bのための制御信号を生成し、圧力トランスデューサ601のための制御信号を生成する。マスター・コントローラ604aはまた、スレーブ・コントローラ604bおよび圧力トランスデューサ601からエコー・データを受領し、それを電気ケーブル134上で再送信する。そうするために、いくつかの実施形態では、マスター・コントローラ604aは、エコー増幅器(図示せず)を含む。この構成において、マスター・コントローラ604aは、増幅されていないまたは部分的に増幅されたエコー・データを受領し、電気ケーブル134の導体に沿ってエコー・データを駆動するための必要な増幅を実行する。これは、より大きな高忠実度増幅器のための追加的な余地を提供しうる。
【0053】
ある実施形態では、可撓性の回路606は、構造的な支持を提供し、トランスデューサ制御回路604およびトランスデューサ603および605を物理的に接続する。ある実施形態では、可撓性の回路606はさらに、フィルム層上に形成された伝導性トレース610を含む。伝導性トレース610は、トランスデューサ制御回路604とトランスデューサ603および605との間で信号を搬送し、電気ケーブル134の導体を接続するための一組のパッドを提供する。伝導性トレース610についての好適な材料は、銅、金、アルミニウム、銀、タンタル、ニッケルおよびスズを含み、スパッタリング、プレーティングおよびエッチングといったプロセスによって可撓性回路606に堆積されてもよい。ある実施形態では、可撓性の回路606はクロム接着層を含む。伝導性トレースの幅および厚さは、可撓性の回路606が丸められるときに適正な伝導性および弾力を与えるよう選択される。それに関し、伝導性トレース610の厚さについての例示的な範囲は10〜50μmの間である。たとえば、ある実施形態では、20μmの伝導性トレース610が20μmのスペースによって離間される。伝導性トレース610の幅はさらに、デバイスのパッドのサイズまたはトレースに結合されるべきワイヤの幅によって決定されうる。可撓性の回路のさらなる詳細は、ここに参照によって組み込まれる、2012年12月28日に出願された米国特許出願第61/746,804号に見出すことができる。
【0054】
圧力トランスデューサ601は、カテーテル600上の遠位位置に配置され、IVUSトランスデューサ603の動作に干渉しないよう可撓性回路606の上端にまたは上端より先に配置される。この例において、圧力トランスデューサ601はマスター制御回路604aの制御のもとにある。本稿に記載される他の伝導性トレースと同様の伝導性トレースが、マスター制御回路604aから圧力トランスデューサ601に延びる。圧力トランスデューサ601によって得られるデータまたは情報は、制御回路604aに通信されてもよく、制御回路604aにおいて何らかのレベルの処理、増幅または他の処置を受けてもよく、次いでIVUSトランスデューサ603からの情報に関係する信号と、電気ケーブル134の同じ電気導体上で通信されてもよい。ある側面では、制御回路604aは、伝送前に、IVUSまたは圧力センサー信号の一つまたは複数をデジタイズすることができる。
【0055】
図9は、モノレール圧力感知カテーテル700上の本願で使われる例示的なカテーテルを示している。ここで、コントローラ144を含むカテーテル700と、超音波トランスデューサ・アレイ142と、圧力センサー(単数または複数)131はカテーテル上またはカテーテルのまわりに開示されており、ガイドワイヤ702上で患者の目標領域に進められる。
【0056】
本稿に開示されるデバイスを使う例示的な方法が本稿のすべての教示から推認される。これは、当業者には明らかであろうが、以下の段落に明示的に開示される。カテーテルは、患者の目標領域または関心エリアに向けて血管を通じて進められる。これは、患者の脈管構造の一部をなす目標エリアであってもよいが、患者の身体の他の部分であってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルは、図9におけるガイドワイヤ702のようなガイドワイヤ上で繰り出される。
【0057】
カテーテルが目標領域にきたら、IVUSトランスデューサおよび圧力トランスデューサ・センサーは目標領域に関係する情報を得るために作動させられてもよい。IVUSトランスデューサは、患者の目標領域を撮像するために使われてもよく、圧力トランスデューサは血管内の圧力を測定するために使われてもよい。これはシステムの構成に依存して、同時に行なわれてもよく、あるいは別個の時点で行なわれてもよい。超音波撮像および圧力を表わす信号はトランスデューサからコントローラまたはASICに通信される。圧力または流れ情報は、同じ電気ケーブルを介して伝送されてもよく、同じ導体を介してコントローラからPIMに、最終的にはコンソール106に通信されてもよく、臨床担当者に対してディスプレイ108上で呈示されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波撮像および圧力を表わす情報はコントローラからPIMにリアルタイムで通信される。他の事例では、情報はコントローラに記憶され、のちに送られる。
【0058】
超音波トランスデューサおよび圧力トランスデューサが同じカテーテル上にあるので、本稿のシステム、デバイスおよび方法は、撮像および圧力感知の両方を実行できる。一例では、血管を撮像するためのIVUSプルバックを実行するために、組み合わせカテーテルが使われてもよく、プルバック中にまたは別個の時間期間において、血管内の圧力を感知するために使われてもよい。よって、単一カテーテルを使って、医療人員は、通常得られるよりも、患者の状態に関係する、より多くの情報を受領できうる。さらに、超音波トランスデューサおよび圧力トランスデューサからの信号が、共有される導体および通信ケーブル134内の同じ導体など他の電気コンポーネントを使ってカテーテルに沿って通信されるので、カテーテルは、脈管構造の小さな血管を評価するための小さくて効果的なサイズに維持されることさえできる。単一のカテーテルから得られうる追加的な情報のため、医療人員は、患者をより効率的に評価しうる。いくつかの事例では、評価時間のこの短縮は、実際の処置までの短縮された時間にもつながることがあり、患者にとってのコストを低減する。さらに、共有されるコンポーネントのため、カテーテルの全体的な直径は、通常達成できるよりも小さくできる。さらに、相異なるIVUS撮像トランスデューサおよび圧力トランスデューサのある製造に比べ、いくつかの製造段階をなくすことができる。
【0059】
当業者は、上記の装置、システムおよび方法がさまざまな仕方で修正できることを認識するであろう。よって、当業者は、本開示によって包含される実施形態が上記の個別的な例示的実施形態に限定されないことを理解するであろう。それに関し、例示的実施形態が図示され、記載されてきたが、以上の開示において、幅広い範囲の修正、変更および代替が考えられている。本開示の範囲から外れることなく、そのような変動が上記に対してなされてもよいことが理解される。よって、付属の請求項は、本開示と整合する仕方で広義に解釈されることが理解される。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
近位部分および遠位部分をもつ可撓性の細長い部材と;
前記可撓性の細長い部材の遠位部分に結合されたコントローラと;
前記コントローラと通信する、前記可撓性の細長い部材の遠位部分に配置された超音波トランスデューサと;
前記コントローラと通信する、前記可撓性の細長い部材の遠位部分に配置された圧力トランスデューサと;
前記コントローラから前記カテーテルの近位部分まで延びる複数の導体であって、前記複数の導体のうち少なくとも一つの導体は前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報を表わす信号の両方を搬送するよう構成される、導体とを含む、
血管内超音波(IVUS)デバイス。
〔態様2〕
前記超音波トランスデューサは、前記細長い部材の軸のまわりに回転されるよう構成された超音波トランスデューサ撮像素子を有する、態様1記載のデバイス。
〔態様3〕
前記超音波トランスデューサは、複数の超音波トランスデューサから形成されるトランスデューサ・アレイを有する、態様1記載のデバイス。
〔態様4〕
前記複数の導体は、四リードの電気ケーブルを有し、前記コントローラは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサ両方からの情報に基づく信号を同じワイヤ上で通信するよう構成されている、態様1記載のデバイス。
〔態様5〕
前記圧力トランスデューサは三つのリードを介して前記コントローラに接続する、態様4記載のデバイス。
〔態様6〕
前記四リードの電気ケーブルの遠位部分は前記コントローラに電気的に結合されている、態様4記載のデバイス。
〔態様7〕
前記四リードの電気ケーブルの近位部分は、該四リードの電気ケーブルを患者インターフェース・モジュール(PIM)に接続するよう構成されたコネクタに結合される、態様6記載のデバイス。
〔態様8〕
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサに隣接して配置される、態様1記載のデバイス。
〔態様9〕
前記圧力トランスデューサは前記超音波トランスデューサより遠位に配置される、態様1記載のデバイス。
〔態様10〕
前記可撓性の細長い部材は、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤ管腔を有する、態様1記載のデバイス。
〔態様11〕
カテーテルおよびユーザー・インターフェースを有する、血管内超音波(IVUS)撮像および圧力感知システムであって、
前記カテーテルは、
該カテーテルの遠位部分に配置されたコントローラと;
前記コントローラと通信する、前記カテーテルの遠位部分に配置された超音波トランスデューサと;
前記コントローラと通信する、前記カテーテルの遠位部分に配置された圧力トランスデューサと;
前記コントローラから前記カテーテルの近位部分のほうに延びる複数の導体であって、前記複数の導体のうち少なくとも一つの導体は前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす信号を搬送するよう構成される、導体とを有しており、
前記ユーザー・インターフェースは、前記カテーテルと通信し、前記複数の導体によって搬送される信号に基づいて情報を呈示するよう構成される、
デバイス。
〔態様12〕
前記超音波トランスデューサは、前記細長い部材の軸のまわりに回転されるよう構成された超音波トランスデューサ撮像素子を有する、態様11記載のデバイス。
〔態様13〕
前記超音波トランスデューサは、複数の超音波トランスデューサから形成されるトランスデューサ・アレイを有する、態様11記載のデバイス。
〔態様14〕
前記複数の導体は、四リードの電気ケーブルを有し、前記コントローラは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサ両方からの情報に基づく信号を同じワイヤ上で通信するよう構成されている、態様11記載のデバイス。
〔態様15〕
前記圧力トランスデューサは三つのリードを介して前記コントローラに接続する、態様14記載のデバイス。
〔態様16〕
前記四リードの電気ケーブルの遠位部分は前記コントローラに電気的に結合される、態様14記載のデバイス。
〔態様17〕
前記四リードの電気ケーブルの近位部分は、該四リードの電気ケーブルを患者インターフェース・モジュール(PIM)に接続するよう構成されたコネクタに結合される、態様16記載のデバイス。
〔態様18〕
患者を評価する方法であって:
カテーテルの遠位部分に配置された超音波トランスデューサによって捕捉された情報を受領する段階と;
前記カテーテルの遠位部分に配置された圧力トランスデューサによって捕捉された情報を受領する段階と;
コントローラにおいて、前記カテーテル上で搬送される、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサからの情報を表わす通信信号を生成する段階と;
前記カテーテル上で搬送される、コントローラからの前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす前記通信信号をユーザー・インターフェースに送信する段階とを含む、
方法。
〔態様19〕
超音波トランスデューサによって捕捉された情報の受領と圧力トランスデューサによって捕捉された情報の受領は同時に実行される、態様18記載の方法。
〔態様20〕
前記超音波トランスデューサによって捕捉された情報および前記圧力トランスデューサによって捕捉された情報の両方を表わす前記通信信号を送信することは、前記超音波トランスデューサおよび前記圧力トランスデューサから受領されるにつれてリアルタイムで信号を送信することを含む、態様18記載の方法。
〔態様21〕
前記生成することは、圧力トランスデューサおよび超音波トランスデューサの一方から受領されたアナログ信号を、前記送信に先立ってデジタル信号に変換することを含む、態様18記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9