【文献】
LU, Ruiliang at al.,Six small bioactive peptides identified from Lactobacillus GG cultured supernatant,Gastroenterol,2008年,Vol.134, No.4,p.A361
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
皮膚感染の治療及び予防に使用するための局所組成物であって、プロバイオティック細菌から分泌された物質を含有し、実質的にインタクトなプロバイオティック細菌、溶解細菌、又は細菌断片を含まず、前記プロバイオティック細菌が、ラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacilllus rhamnosus GG)である、局所組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明
本発明は、記載された態様及び好ましい特徴の組み合わせが明らかに許されない又は明示的に避けられる場合を除き、そのような組み合わせを含む。
【0011】
本明細書で使用される節の見出しは構成上の目的だけのためであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0012】
プロバイオティック細菌
本発明は、プロバイオティック細菌の使用に関する。プロバイオティクスは一般に、「十分な量で投与された場合に宿主に健康上の利益を与える生きた微生物」として定義される。腸における研究は、宿主組織への病原体付着の排除、競争及び置換を含むメカニズムを介して、病原体によるコロニー形成を抑制するプロバイオティック細菌の能力を実証した。本明細書で用いられる、用語「プロバイオティック細菌」はまた、それらがもはや生きていない場合、例えば熱又は放射線による不活化後の、そのような細菌に言及してもよい。
【0013】
ラクトバチルス・ラムノサス
本発明は特に、ラクトバチルス・ラムノサス種のプロバイオティック細菌に関する。そのような細菌は、当初はラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)の亜種であると考えられたが、後の遺伝的研究によりその独自の種であることが分かった。多くのL.ラムノサス株が知られている。例えば、株I−1720(Pasteur collection Nationale de Cultures de Microorganismes)、AC413、GR−1(Karlsson et al.,BMC microbiology 2012、12:15)、JB−1(Bravo et al.,PNAS 2011 108(38)16050−16055)GG及びLC705(Savijok et al. ,J. Proteome Research 2011 10(8)3460−3474)。L.ラムノサスのその他の株は容易に単離され得る。
【0014】
特に、本発明は、L.ラムノサスGGに関する。L.ラムノサスGG(本明細書ではLGGとも言う)はATCC(
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American
Type Culture Collection))に、受託番号ATCC 53103の下で寄託されている。LGGは1983年にGorbach及びGoldinによって健康な人間の腸管から単離された。
【0015】
組成物
本発明に係る組成物は、プロバイオティック細菌由来の分泌物を含み、又はその分泌物からなる。
【0016】
分泌物とは、プロバイオティック細菌から分泌された物質をいう。当該分泌物は、単一の物質であってもよい。それは2以上の物質の混合物であってもよい。当該分泌物はタンパク質、炭水化物、核酸又は脂質を含んでもよい。分泌物は、プロバイオティック細菌の分泌されたタンパク質及び分泌機構のすべてである、セクレトーム(secretome)を含んでもよい。それはさらに、炭水化物、脂質及び核酸などのタンパク質ではない分子を包含してもよい。
【0017】
本明細書に記載されるいくつかの組成物は、担体中に分泌物を含有する。当該担体は通常、分泌物が溶解、懸濁、希釈、又は混合される溶液である。
【0018】
ある場合には、当該担体は、培養中にプロバイオティック細菌に接触していた培地であってもよい。培地の組成は、例えばプロバイオティック細菌からの物質の分泌によって、培養中に変化しているであろう。当該組成物は、プロバイオティック細菌が増殖した培養培地からなり、又はその培養培地を含む。
【0019】
プロバイオティック細菌の培養に適した培地は当業者によく知られている。本明細書で用いられる用語「培地(media)」及び「培地(medium)」は、微生物、例えば細菌が支持され、生存を維持し、増殖し及び/又は拡大されてもよい液体を含む、任意の栄養素を包含する。当該培地は、細菌の生命を維持するための最小限の栄養素、及び任意に他の栄養素を含んでもよい。培養液中に含まれる代表的な栄養素には、糖、マグネシウム、リン酸、リン及び硫黄が挙げられる。当該培地は、当該技術分野でよく知られた栄養素の組み合わせ、例えばWilkins−Chalgren培養液に作製され、又はそれから改変されてもよい。培地は商業的供給源から得られた予混合であってもよく、又は自家製造されてもよい。
【0020】
プロバイオティック細菌は、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも2週間、又はそれ以上、培地と接触していてもよい。
【0021】
プロバイオティック細菌は、培地中で、又は培地と接触して、好気的又は嫌気的条件下で培養されていてもよい。好ましくはプロバイオティック細菌は、嫌気的条件下で培養された。例えば、培養は10%H
2、10%CO
2、80%N
2の下で行われてもよい。
【0022】
プロバイオティック細菌は、培地中で、プロバイオティック細菌の増殖及び拡大を促進する条件下で培養されていてもよい。そのような条件は当業者によく知られている。例えば、培養は37℃でインキュベートされてもよい。
【0023】
好ましくは当該組成物は、プロバイオティック細菌を含まない。プロバイオティック細菌は、例えば遠心分離及び/又は濾過によって、培地から除去されていてもよい。例えば、細菌は、実質的にすべての細菌が培地から沈降するのに十分な時間、15,000xgでの遠心分離で、培地からそれらを沈降させることによって除去されてもよい。培地は、実質的に全ての細菌を培地から除去するのに適したサイズの孔を有する微孔性フィルターを使用して濾過されてもよい。これらの方法はインタクトな細菌を除去することができ、細菌破片、例えばアポトーシスなどによって細胞溶解を受けた任意の細菌の残骸を除去することもできる。分泌物を含む培地は、溶解処理された培養物からは得られておらず、したがって溶解物からは得られず、かつ得られていない。
【0024】
当該組成物は無菌であってもよい。すなわち、当該分泌物は滅菌処理、例えば放射線照射、熱、化学物質、圧力、又は濾過、あるいはそれらの任意の組み合わせに供された。これは、オートクレーブ処理、X線滅菌又はUV光殺菌を含んでもよい。分泌物を含む培地の場合、当該培地は、プロバイオティック細菌を導入し培養する前に、そしてまた、細菌がその培地から除去された後に、滅菌されていてもよい。
【0025】
ある場合には、分泌物を含有する組成物は、実質的にインタクトな細菌を含まない。当該組成物はまた、溶解細菌又は細菌断片、例えばアポトーシスを受けた細菌を実質的に含まなくてもよい。インタクトな細菌及び/又は溶解細菌又は細菌断片は、分泌物から分離されていてもよい。分離は当該技術分野で知られている任意の好適な方法、例えば遠心分離又は濾過によって行われてもよい。「実質的に含まない」とは、分泌物が、非分泌性の細菌成分、例えば細菌全体、溶解細菌又は細菌断片の最小限の夾雑物を含み、あるいはそれらを含まないことを意味する。したがって、当該組成物は、100%の分泌物、少なくとも99%の分泌物、少なくとも95%の分泌物、少なくとも90%の分泌物、少なくとも85%の分泌物、少なくとも80%の分泌物、少なくとも75%の分泌物、又は少なくとも70%の分泌物を含んでもよい。当該分泌物は、本明細書に記載される非細菌由来の追加の成分、例えば担体溶液、他の活性剤、又は保存剤を含んでもよい。
【0026】
本明細書に記載の組成物は、培地中でプロバイオティック細菌を培養し、培地からプロバイオティック細菌を分離し、そして培地から組成物を調製することによって調製されてもよい。プロバイオティック細菌は嫌気的条件下で培養されてもよい。プロバイオティック細菌は、人体の正常体温を超える温度で培養されてもよい。プロバイオティック細菌は、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃又は41℃で培養されてもよい。好ましくはプロバイオティック細菌は37℃で培養される。プロバイオティック細菌は、培地中で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間又は14日間、培養されてもよい。プロバイオティック細菌又は溶解細菌又は細菌の断片は遠心分離、例えば15000xgでの遠心分離によって培地から分離されてもよい。培地は、濾過によって、プロバイオティック細菌、溶解細菌又は細菌の断片から分離されてもよい。培地は、濾過及び遠心分離の組み合わせによって分離されてもよい。培地は、プロバイオティック細菌が除去される前又は後に、滅菌に供してもよい。例えば、細菌全体、溶解細菌又は細菌断片からの培地の分離後に、当該培地を滅菌に供する。培地は、培地の全容積に対して分泌物の割合が大きくなるように濃縮に供してもよい。濃縮は当該技術分野で知られている任意の方法、例えば蒸発によって行われてもよい。分泌物は、培地から分離されてもよい。担体溶液から物質を分離する任意の方法が使用されてもよい。例えば分泌物は、クロマトグラフィー、結晶化、蒸留、乾燥、電気泳動又は沈殿によって、培地から分離されてもよい。一度培地から単離され、又は培地中で濃縮されて、分泌物は担体に溶解又は希釈されてもよく、あるいは別の方法で本明細書に開示される組成物へと製剤化されてもよい。
【0027】
治療適用
本発明の化合物及び組成物は、広範囲の疾患及び症状の治療に有用である。特にそれらは細菌感染を含む皮膚感染の治療及び予防に有用である。特に、当該化合物及び組成物は黄色ブドウ球菌感染の治療又は予防に有用である。当該化合物及び組成物は特に、軟組織の細菌感染、例えば皮膚感染の治療に有用である。本発明の化合物及び組成物は特に、黄色ブドウ球菌皮膚感染の予防又は治療に有用である。
【0028】
本発明は、感染の予防又は治療に関する。本発明のプロバイオティック組成物は抗感染活性を示す。例えば、細胞への黄色ブドウ球菌の付着を予防することを含む、抗付着活性。したがって、当該組成物は細菌感染を含む感染の予防又は治療、例えば多剤耐性細菌感染、院内細菌感染、抗生物質耐性細菌感染、グラム陰性及び/又はグラム陽性細菌感染による感染の予防又は治療に有用である。
【0029】
本発明の組成物は、ブドウ球菌(Staphylococcus)種、例えば腐性ブドウ球菌(S.saprophytics)、S.キシローサス(S.xylosus)、S.ルグドゥネンシス(S.lugdenensis)、S.シュライフェリ(S.schleiferi)、S.カプラエ(S.caprae)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、S.サプロフィティクス(S.saprophytics)、S.ワーネリ(S.warneri)、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス(S.hominis)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、S.ピロジェネス(S.pyrogenes)、S.サイイバリウ(S.saiivariu)、S.ミュータンス(S.mutans)及びブドウ球菌肺炎(S.pneumonia)による感染の予防に有用である。
【0030】
特に本発明の組成物は、抗ブドウ球菌付着活性を示し、それゆえブドウ球菌感染の予防又は治療に有用である。例えば、本発明の組成物は抗黄色ブドウ球菌活性を示し、それゆえ黄色ブドウ球菌感染の予防又は治療に有用である。
【0031】
感染は、微生物を身体の組織に侵入させる疾患で起こる。これらの微生物及びそれらが産生する毒素の増加は身体の組織と反応し、しばしば感染した宿主による免疫応答を引き起こす。感染は、細菌、ウイルス、ウイロイド、真菌及びその他の寄生虫によって引き起こされ得る。感染は身体の組織、例えば皮膚、腸又は膜のいずれかを介して生じ得る。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のプロバイオティック細菌又は溶解物は腸以外の組織の感染を治療するために使用され、例えばいくつかの実施形態では、本発明に係るプロバイオティック細菌又は溶解物は消化管、食道、胃、腸、直腸又は肛門の感染の治療には使用されない。特に本発明の態様は、体の外表面、及び特に皮膚の感染の治療又は予防に関する。
【0032】
本発明に係る組成物は、皮膚感染の予防又は治療に使用されてもよい。当該感染は細菌、例えば黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌細菌によるものであってもよい。当該組成物は感染因子への曝露と別々に、連続して又は同時に適用されてもよい。好ましくは、当該組成物は感染因子への曝露前に適用される。
【0033】
本発明の組成物は好ましくは細菌感染の予防のために使用される。それらは、対象が感染因子、例えば黄色ブドウ球菌に曝露される前に対象に優先的に投与される。当該対象は、感染因子による感染の危険性があると同定されていてもよい。対象は、当該対象の環境、例えば本発明の因子が存在することが知られている環境におかれているために、あるいは、当該対象の健康状態、例えば開放創の存在又は貧しい免疫健康のために、感染因子による感染の危険性があると同定されてもよい。例えば、当該組成物は、病理細菌が存在することが知られ又は疑われている、病院又はその他の臨床環境で使用されてもよい。
【0034】
ある場合には、患者は外科手術を受けようとしている、又は最近受けている。本明細書に記載の組成物は、病原細菌による開放創、例えば外科的切開又は移植片の感染を予防するために使用されてもよい。
【0035】
ある場合には、対象は感染因子による感染を有さないと判断される。例えば、当該対象は黄色ブドウ球菌感染を有さないと判断され得る。対象が感染を有するかどうかを判断するための方法は、当該技術分野でよく知られており、感染因子の存在について対象から得られた試料の分析を含んでもよい。
【0036】
組成物は、治療される症状によって同時に又は連続のいずれかで、単独で又は他の治療との組み合わせで投与されてもよい。
【0037】
分泌物は、1又は複数の他の薬学的に許容される成分に溶解され、懸濁され、又は混合されてもよい。プロバイオティック細菌又はそれらの溶解物は、リポソーム又は他の微粒子で提示されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、分泌物は薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体中の懸濁液として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、プロバイオティック細菌は凍結乾燥物として提供されてもよい。
【0039】
非治療的適用
本発明はまた、洗浄用品、洗浄剤、表面コーティング、あるいはヒト又は動物の体の治療用でない他の組成物の形態で、抗細菌組成物を提供する。
【0040】
そのような薬剤は表面上の細菌の蓄積を除去し、死滅させ、又は予防し、あるいは細菌の活動又は増殖を抑制するために有用であり得る。当該分泌物は抗細菌組成物として製剤化される。
【0041】
本発明に係る抗菌組成物は、患者もしくは対象への投与、又は治療、又は使用に先立って、生体材料、インプラント及びプロテーゼ(ステント、バルブ、眼、補聴器、胃バンド、義歯、人工関節置換などを含む)、手術器具、あるいは他の医療用機器を処理するために有用で有り得る。当該抗細菌組成物は、コロニー形成又は細菌に曝露しやすい表面、例えば手すり、食品調理面、台所表面もしくは台所用品、テーブル、シンク、トイレ、又はその他の浴室機器を処理するために有用で有り得る。
【0042】
抗細菌組成物は、溶解物に加えて薬剤、例えば洗浄剤、安定化剤、アニオン性界面活性剤、香料、キレート剤、酸、アルカリ、緩衝剤又は洗剤を含有してもよい。そのような薬剤は、例えば細菌を死滅させ又は抑制し、あるいは洗浄された表面の再コロニー形成を予防する、薬剤の抗菌特性を促進し又は強化してもよい。
【0043】
本発明はまた、表面の調製方法であって、当該表面に分泌物を適用することを含む、方法を生み出す。当該方法は病原性微生物による表面のコロニー形成の減少をもたらし得る。
【0044】
製剤
分泌物を単独で使用することは可能であるが、当該物質と担体とを含む製剤として提供することが好ましい。分泌物は、1又は複数の他の成分に溶解され、懸濁され、又は混合されてもよい。ある場合には、分泌物はリポソーム又は他の微粒子で提供される。
【0045】
本明細書に開示される製剤は、医療用、パーソナルケア及び消費者製品を含む、皮膚のケア、創傷ケア、呼吸器ケア、ならびに口腔ケア製剤を含む。
【0046】
製剤は好適には、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳濁液(例えば、水中油型、油中水型)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、洗口剤、滴剤、錠剤(例えば、コーティング錠を含む)、顆粒剤、散剤、ロゼンジ(losenges)、トローチ剤、カプセル剤(例えば、ハード及びソフトゼラチンカプセルを含む)、カシェ剤、丸剤、アンプル、ボーラス、坐剤、ペッサリー、チンキ剤、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、オイル、フォーム、スプレー、ミスト、又はエアロゾルの形態であってもよい。
【0047】
製剤は好適には、1又は複数の活性化合物、ならびに任意に、例えば浸透、透過及び吸収促進剤を含む、1又は複数の他の薬学的に許容される成分を染み込ませた、パッチ、絆創膏、包帯、ドレッシングなどとして提供されてもよい。製剤はまた好適には、デポ剤又はリザーバーの形態で提供されてもよい。
【0048】
いくつかの製剤では、分泌物は1又は複数の薬学的に許容される成分とともに製剤化される。薬学的に許容される成分は、当業者によく知られており、そして、薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤を含むが、これらに限定されない。当該製剤はさらに、他の活性成分、例えば他の治療剤又は予防剤を含んでもよい。
【0049】
本明細書での特定の製品及び製剤は、皮膚ケア又は創傷ケアに適している。「皮膚ケア」とは、皮膚の健康を維持し又は改善するための、あるいは皮膚の外観を改善するための、成人又は幼児の皮膚の治療に有用な製品を含む局所パーソナルケア及び/又はヘルスケア製品を意味する。「創傷ケア」は、創傷の閉鎖もしくは治癒を助けるための、及び/又は、創傷に関連する疼痛もしくは瘢痕を減少させるための、創傷の治療のための製品を含んで、そのような組織又は皮膚の健康を維持し又は改善し、そのような組織又は皮膚を修復し、かつ、そのような組織又は皮膚の炎症、かゆみ及び/又は赤みを低減する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明に係る分泌物は局所投与のために、特に皮膚へ又は皮膚上への使用又は適用のために製剤化される。
【0051】
局所投与に適している製剤は、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、及び油、ならびにパッチ、絆創膏、包帯、ドレッシング、デポ剤、セメント、グル―、及びリザーバーを含む。
【0052】
軟膏は典型的には、当該分泌物、及びパラフィン系又は水混和性基材から調製される。
【0053】
クリームは典型的には、プロバイオティック細菌又は溶解物、及び水中油型クリーム基材から調製される。所望であれば、クリーム基材の水相は、例えば、少なくとも約30%w/wの多価アルコール、すなわち、2以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、及びポリエチレングリコール、ならびにそれらの混合物を含んでもよい。局所製剤は望ましくは、皮膚又は他の患部を通じた活性化合物の吸収又は浸透を促進する化合物を含んでもよい。そのような皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が挙げられる。
【0054】
乳濁液は典型的には、プロバイオティック細菌又は溶解物、及び油相から調製され、それは単に乳化剤(さもなければエマルジェント(emulgent)として知られる)を任意に含んでもよく、あるいはそれは少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油との、又は脂肪もしくは油の両方との混合物を含んでもよい。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。油及び脂肪の両方を含むことも好ましい。共に、安定剤(複数)の有無に関わらず乳化剤(複数)はいわゆる乳化ワックスを構成し、そして当該ワックスは油及び/又は脂肪と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基材を構成する。
【0055】
好適なエマルジェント及び乳濁液安定剤には、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。医薬乳濁液製剤に使用されやすいほとんどの油における活性化合物の溶解度は非常に低くてもよいので、当該製剤に適した油又は脂肪の選択は所望の化粧品特性を達成することに基づく。したがって、クリームは好ましくは、チューブ又はその他の容器からの漏れを避けるために好適な稠度を有する、非グリース状(non−greasy)、非染色及び洗浄可能な製品であるべきである。直鎖又は分岐鎖、一塩基性又は二塩基性アルキルエステル、例えばジイソアジペート(di−isoadipate)、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、あるいはCrodamol CAPとして知られる分岐鎖エステルのブレンドが使用されてもよく、最後の3つが好ましいエステルである。これらは必要とされる特性に応じて、単独で又は組み合わせで使用されてもよい。あるいは、高融点の脂質、例えば白色ワセリン及び/又は流動パラフィンあるいはその他の鉱油を使用することができる。
【0056】
本明細書に記載のいくつかの製品及び製剤は口腔ケアに適している。「口腔ケア」とは、歯、粘膜、下などにおける使用のための製品を含む、口腔もしくはその任意の部分における物質の使用、及び/又は使用のための製品を意味する。口腔ケアの分野における製品及び使用は、例えば歯のホワイトニング、着色予防などを含む歯の美観、ならびに抗歯垢、抗歯肉炎、抗過敏(anti−sensitivity)、虫歯予防、口臭除去、口渇緩和、酸蝕の修復及び予防、活性送達(active delivery)及び保持、感覚の強化及び食感の変化(mouth feel alteration)などを対象としたものを含む。
【0057】
口腔ケアのための製剤には、歯科スプレー、洗口剤、練り歯磨き、ロゼンジ、抗菌洗浄剤、飲料(例えば牛乳、ヨーグルト)、食品(例えばヨーグルト、アイスクリーム、キャンディーバー)、又は粉末食品(例えば粉ミルク)が挙げられる。口腔ケアに適している製剤は、口腔及び/又は頬側投与に適している製剤を含む。
【0058】
経口投与に適している製剤(例えば摂取による)には、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳濁液(例えば、水中油型、油中水型)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、錠剤、顆粒、散剤、カプセル剤、カシュ剤、丸剤、アンプル、ボーラスが挙げられる。
【0059】
頬側投与に適している製剤には、洗口剤、ロゼンジ、トローチ剤、ならびにパッチ、絆創膏、デポ剤、及びリザーバーが挙げられる。ロゼンジは典型的には、風味付けした基剤(flavored basis)中、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカントに、活性化合物を含む。トローチ剤は典型的には、不活性マトリックス中、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアに、活性化合物を含む。洗口剤は典型的には、好適な液体担体中に活性化合物を含む。
【0060】
本明細書に開示されるいくつかの製剤は好適には、1又は複数の本発明に係る分泌物、ならびに任意に、例えば浸透、透過及び吸収促進剤を含む、1又は複数の他の薬学的に許容される成分を染み込ませ、あるいはそれらでコートされた、パッチ、絆創膏、包帯、ドレッシングなどとして提供される。プロバイオティック細菌、溶解物又は培養培地はまた、医療機器、例えばインプラント、補綴、手術器具、手袋、カテーテル、バルブ、ペースメーカーなどのためのコーティングの形態で提供されてもよい。
【0061】
本明細書に開示されるいくつかの組成物及び製剤は呼吸器ケアに適している。「呼吸器ケア」とは、鼻炎、副鼻腔炎、季節性アレルギー、鼻詰まり及び風邪の予防及び治療を含む、症状の治療のための製品を意味する。当該組成物は副鼻腔、気道、喉又は肺を含む呼吸器の細菌感染を予防するために有用で有り得る。ある場合には、そのような製剤は鼻腔内投与又は肺内投与のために製剤化される。
【0062】
担体が液体である鼻腔内投与に適している製剤は、例えば鼻腔用スプレー、点鼻薬を含み、あるいはネブライザーによるエアロゾル投与では、活性化合物の水性又は油性溶液を含む。
【0063】
担体が固体である鼻腔内投与に適している製剤は、例えば約20から約500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗粉末として提供されるものを例として含み、当該製剤は嗅ぎ薬を吸う方法で、すなわち、鼻の近くに保持した粉末の容器から鼻腔を通じた急速な吸引によって投与される。
【0064】
肺内投与に適している製剤(例えば、吸入又は通気療法による)は、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、又はその他の好適なガス、を使用して、加圧パックからエアロゾルスプレーとして提供されるものを含む。
【0065】
本発明に係る組成物及び製剤はさらに、他の活性成分、例えば殺菌剤などの他の抗菌剤を含んでもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明に係る使用のための製剤は、分泌物の少なくとも約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約3.0重量%、約4.0重量%、約5.0重量%、約6.0重量%、約7.0重量%、約8.0重量%、約9.0重量%、約10.0重量%、約11.0重量%、約12.0重量%、約13.0重量%、約14.0重量%、約15.0重量%、約16.0重量%、約17.0重量%、約18.0重量%、約19.0重量%、約20.0重量%、約25.0重量%、約30.0重量%、約35.0重量%、約40.0重量%、約45.0重量%、約50.0重量%を含んでもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、当該製剤は、分泌物の少なくとも約0.01重量%から約30重量%、約0.01重量%から約20重量%、約0.01重量%から約5重量%、約0.1重量%から約30重量%、約0.1重量%から約20重量%、約0.1重量%から約15重量%、約0.1重量%から約10重量%、約0.1重量%から約5重量%、約0.2重量%から約5重量%、約0.3重量%から約5重量%、約0.4重量%から約5重量%、約0.5重量%から約5重量%、約1重量%から10約5重量%の1つを含んでもよい。
【0068】
医薬製剤
本発明に係るプロバイオティック製剤は、臨床使用のための医薬組成物として製剤化されてもよく、薬学的に許容される担体、希釈剤又はアジュバントを含んでもよい。それらは局所投与のために製剤化されてもよい。
【0069】
投与は好ましくは予防上又は治療上有効量であり、これは個体に効果を示すのに十分な量である。投与される実際の量、ならびに投与の速度及び経時変化は、治療されている疾患の性質及び重症度に依存するであろう。治療の処方、例えば投与量の決定などは、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内であり、そして典型的には治療又は予防されることになる疾患、個々の患者の状態、送達部位、投与方法、及び医師に知られているその他の要因を考慮する。上述の技術及びプロトコルの例は、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第20版、2000年、出版、Lippincott,Williams&Wilkinsに見られる。活性化合物及び活性化合物を含有する組成物の適切な用量は患者によって異なり得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0070】
本発明の組成物は薬剤として製剤化されてもよい、すなわち、医薬品として製剤化されてもよい。当該薬剤は、当業者によく知られている他の薬学的に許容される成分を含んでもよく、薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤を含むが、これらに限定されない。当該製剤はさらに、他の活性成分、例えば他の治療剤又は予防剤を含んでもよい。
【実施例】
【0071】
実施例1:材料及び方法
哺乳動物細胞培養
サプリメントミックス(ウシ脳下垂体抽出物0.004mg/ml、上皮成長因子(組換えヒト)0.125ng/ml、インスリン(組換えヒト)5μg/ml、ヒドロコルチゾン0.33μg/ml、エピネフリン0.39μg/ml及びトランスフェリン、ホロ(ヒト)10μg/ml)ならびに0.06mMのCaCl
2(プロモセル、ハイデルベルク、ドイツ)を含む角化細胞基本培地(プロモセル(Promocell)、ハイデルベルク、ドイツ)中で培養された正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)を、モデル系として使用した。これらを、前述のようにT−75培養フラスコ中で5%CO
2の湿潤雰囲気で37℃で定期的に培養した(43)。
【0072】
細菌細胞培養
ラクトバチルス・ラムノサス・ゴルディン及びゴルバッハ(Goldin and Gorbach)(L.ラムノサスGG)(ATCC53103、ATCC、ミドルセックス、UK)を、嫌気的キャビネット(雰囲気、10:10:80、H
2−CO
2−N
2)中でインキュベートされた37℃でWilkins−Chalgren培養液又は寒天(オキソイド(Oxoid)、ベイジングストーク、UK)で、定期的に増殖させた。黄色ブドウ球菌を、前述のようにニュートリエントブロス(Nutrient Broth)(オキソイド、ベイジングストーク、UK)中、37℃で好気的に増殖させた(43)。
【0073】
細菌による角化細胞の処理
細菌(10
8CFU/mlのプロバイオティクス及び10
6CFU/mlの黄色ブドウ球菌)を15,000xgで遠心分離し、0.85%のNaClで2回洗浄し、そして角化細胞基本培地に再懸濁した。この懸濁液を、24ウェルプレートで増殖している5x10
3細胞/cm
2のNHEKに直接添加した。プロバイオティック溶解物を使用する実験のために、LラムノサスGGの10
8CFU/mlの10mlを遠心分離し、洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH=7.4(10mM)に再懸濁し、そしてMSE Soniprep 150を使用して溶解した。試料を0.22μm孔フィルター(ミリポア(Millipore)、ビレリカ、USA)を使用してろ過して、残りの任意の細菌全体を除去した。
【0074】
この溶解物の約100μlを角化細胞(5x10
3細胞/cm
2)を処理するために使用した。いくつかの実験では、細胞を15,000xgで5分間の遠心分離で沈降させ、そしてその無細胞上清(使用済み培養液)を回収し、0.22μm孔フィルター(ミリポア、ビレリカ、USA)を使用して濾過して、残りの任意の細菌全体を除去した。他の実験では、角化細胞の単層を病原体に加えてプロバイオティクス又は溶解物を同時に同時感染させた。別の実験では、黄色ブドウ球菌感染が消費された2、4、6、8及び12時間後に、L.ラムノサスGGの溶解物に細胞を曝露した。すべての実験において角化細胞を分離し、そして(43)に記載のように細胞生存率をトリパンブルー排除アッセイを用いて決定した。
【0075】
細胞培養物中の黄色ブドウ球菌生存率の測定
L.ラムノサスGGの溶解物又は角化細胞が細胞培養物中の黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することができたかどうかを判断するために、角化細胞を24ウェルプレートでコンフルエンスまで増殖させた。これらを黄色ブドウ球菌単独、又は黄色ブドウ球菌に加えてL.ラムノサスGGの溶解物、又は馴化培地に曝露した。別の実験では、細胞を黄色ブドウ球菌による感染後2、4、6、8及び12時間にL.ラムノサスGGの溶解物に曝露した。生存ブドウ球菌の総数を前述のようにコロニーを数えることによって測定した(43)。
【0076】
角化細胞への細菌付着の測定
コンフルエントな角化細胞を細菌に1時間曝露した。次いで細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH=7.4(10mM)(インビトロジェン,ライフテクノロジーズ(Invitrogen,Life Technologies Ltd)、ペイズリー、UK)で3回洗浄して、非付着細菌を除去した。当該細胞をトリプシン処理し、そして連続希釈プレートカウントを行って、付着細菌の数を評価した。選択寒天をブドウ球菌の増殖のために使用した。
【0077】
細菌性拮抗の決定
黄色ブドウ球菌の一晩培養物の10μlアリコートを7mlの軟寒天培地(0.7%の寒天)に接種し、寒天基材で事前に分注されたプレート上に直接加えた。L.ラムノサスGG培養物の微生物又は抽出物それぞれの100μlを黄色ブドウ球菌叢上にスポットした。
【0078】
共培養の結果の決定(競争アッセイ)
L.ラムノサスGGの溶解物及び黄色ブドウ球菌のアリコート(100μl)を10mlのWCB培養液に接種した。培養物のpH及び光学密度を0時間及び24時間で測定した。一定の間隔(本文書に示される)で、細菌を選択寒天を使用して連続希釈プレートカウントによって数えた。
【0079】
統計分析
すべての実験を、各実験につき3つの複製で最低3回行った。生成されたデータを、SPSS(IBM SPSS Statisticsバージョン16.0)プログラムを使用して、一元配置分散分析(one way ANOVA)及び事後Tukey検定(post hoc Tukey test)によって分析した。結果をP<0.05の場合に有意であるとみなした。データを平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表す。
【0080】
実施例2:結果
L.ラムノサスGGは黄色ブドウ球菌の病原性の影響から角化細胞を保護する。
始めに、本発明者らは、角化細胞の生存率がL.ラムノサスGGとのインキュベーションによって影響をうけたかどうかを調査した。しかしながら、24時間のインキュベーション後に、プロバイオティック細菌とインキュベートした角化細胞、対、未処理の角化細胞の対照の生存率に差は無かった(データは示さず)。次に、黄色ブドウ球菌の影響から角化細胞を保護するL.ラムノサスGGの能力を調査した。発明者らの先の知見(43)と一致して、10
6CFU/mlの黄色ブドウ球菌への角化細胞の24時間曝露は、顕著な角化細胞の細胞死をもたらした。しかしながら、病原体及びL.ラムノサスGGと同時にインキュベートされた角化細胞は、病原体単独に感染した単層よりも有意に高いパーセンテージの生存率を有した(57%P=0.01)(
図1)。
【0081】
L.ラムノサスGGの溶解物及び使用済み培養液は黄色ブドウ球菌の影響から角化細胞を保護する。
本発明者らは、黄色ブドウ球菌感染角化細胞に対するプロバイオティック溶解物及び使用済み培養液の影響を調べることによって、生菌がL.ラムノサスGGの保護効果に必要であったかどうかを調査した。溶解物も使用済み培養液のいずれも、角化細胞の生存率に有意に影響しなかった(P>0.05)(データは示さず)。しかしながら、溶解物及び使用済み培養液のいずれも、黄色ブドウ球菌に単独で感染した角化細胞における25%と比較して、処理された角化細胞の生存率はそれぞれ65%及び57.93%であったように、黄色ブドウ球菌の毒性を減少させた(それぞれP=0.006及びP=0.01)(
図2)。
【0082】
L.ラムノサスGG、溶解物は黄色ブドウ球菌の毒性から角化細胞を救うが、使用済み培養液は救わない。
本発明者らは次にL.ラムノサスGGの保護効果のタイミングを、生菌又は溶解物を、黄色ブドウ球菌による角化細胞の感染前又は感染後のいずれかで加えることによって調査した。角化細胞生存率のパーセンテージは、黄色ブドウ球菌に単独で感染した単層よりも、黄色ブドウ球菌による感染に先立って2時間、L.ラムノサスGG又は使用済み培養液に曝露した単層において有意に高かった(P=0.006)。溶解物及び使用済み培養液のいずれも同様の保護のレベルを示した(P=0.005、p=0.004)、(
図3)。感染後の実験では、角化細胞を、生きたL.ラムノサスGG、溶解物、又は使用済み培養液の添加前、2時間、4時間、6時間、8時間及び12時間、黄色ブドウ球菌に曝露した。次いで角化細胞の生存率を黄色ブドウ球菌による感染後24時間で測定した。
図4(A、B)におけるデータは、生きたプロバイオティクス及びその溶解物のいずれも、黄色ブドウ球菌の後に添加された場合、角化細胞を保護することができたことを示す。黄色ブドウ球菌感染後12時間であっても、L.ラムノサスGG又は溶解物は、黄色ブドウ球菌単独で曝露した場合の25%と比較して、細胞のそれぞれ58%及び55%が生存を維持したように(それぞれP=0.003、P=0.01)、依然として角化細胞への保護を示した。しかしながら、L.ラムノサスGGからの使用済み培養液は黄色ブドウ球菌の後に添加された場合、角化細胞に対する保護効果を有さなかった(
図4C)。
【0083】
L.ラムノサスGG溶解物は黄色ブドウ球菌の増殖を抑制するが、使用済み培養液は抑制しない。
ラムノサスGG溶解物がその保護効果を発揮するメカニズムを調査した。本発明者らは、プロバイオティック溶解物が病原体の増殖に対する直接的な影響を有するかどうかを、培養中にそれらを同時に増殖させることによって調査した。競争アッセイは、未処理の培養物と比較して、L.ラムノサスGG溶解物の存在下での角化細胞培養培地中で24時間にわたって黄色ブドウ球菌増殖の有意な減少を示した(P=0.02)(
図5A)。しかしながら、L.ラムノサスGGからの使用済み培養液は黄色ブドウ球菌の増殖に影響を与えなかった(
図5A)。生存ブドウ球菌の総数も、単独で増殖した黄色ブドウ球菌についての8log
10cfu/mlと比較して、溶解物の存在下で5log
10cfu/mlまで有意に減少した(しかし使用済み培養液では減少しなかった)(P=0.02)(
図5B)。さらに、生存ブドウ球菌培養物の総数はL.ラムノサスGG溶解物によって時間とともに減少した(
図5C)。乳酸菌は有機酸を産生し得るので、本発明者らは黄色ブドウ球菌、L.ラムノサスGG溶解物、又は両方に同時に、24時間感染させた角化細胞培地のpHを測定した。しかしながら、処理群間のpHに有意差は無かった(データは示さず)。本発明者らはまた、溶解物単独のpHを測定し、pH=7.2であることを見出し、したがって酸媒介性の影響の可能性を排除した。
【0084】
L.ラムノサスGGは角化細胞への黄色ブドウ球菌の付着を抑制する。
L.ラムノサスGGの生菌、溶解物又は使用済み培養液が角化細胞を保護し得る他のメカニズムは、病原体付着の抑制によるものである。これまでに本発明者らは、付着が黄色ブドウ球菌の毒作用の必要条件であり、そして特定のプロバイオティック、例えばL.ロイテリが角化細胞の結合部位からの病原体の競争的排除によって角化細胞を保護したことを示した(43)。したがって本発明者らは、付着の抑制もL.ラムノサスGG、溶解物又は使用済み培養液の保護メカニズムの一部であると考えた。抑制が角化細胞上の結合部位からの病原体の競争、排除又は置換によるものであったかどうかを判断するために、付着アッセイを行った(
図6A及びBならびに
図7)。本発明者らの結果は、角化細胞を同時感染(競争、P=0.03)、事前曝露(排除、P=0.04)、又は黄色ブドウ球菌による感染を開始した12時間後に適用した場合であっても(置換、P=0.01)、生きたL.ラムノサスGG又は溶解物が病原体の付着を抑制することができたことを実証した。しかしながら、使用済み培養液は、それが病原体より前に又は同時のいずれかで角化細胞に添加された場合にのみ、病原体の付着を抑制した(
図7)。
【0085】
考察
本研究は、腸溶性プロバイオティクス、L.ラムノサスGGが黄色ブドウ球菌の病原性の影響から角化細胞を保護することができたかどうかを検討した。黄色ブドウ球菌及びL.ラムノサスGGを同時に添加することの、角化細胞の生存率への影響を判断するための予備実験は、黄色ブドウ球菌に単独で感染した角化細胞と比較して、プロバイオティックの存在下における生存角化細胞の数の増加によって観察された、顕著な保護効果を示した(
図1)。さらに、プロバイオティックからの溶解物及び使用済み培養液も、黄色ブドウ球菌からの角化細胞の保護を与えたので、L.ラムノサスGGの保護効果は生菌を必要としなかった。
【0086】
L.ラムノサスGG又は溶解物の適用のタイミングは、黄色ブドウ球菌誘導細胞死から角化細胞を保護するプロバイオティクス又は溶解物によって与えられた保護の程度に影響を与えなかった(
図3)。データは、L.ラムノサスGG又は溶解物に事前、事後又は同時曝露された角化細胞が黄色ブドウ球菌誘導細胞死から保護されたことを示す。しかしながら、プロバイオティック使用済み培養液のみが、病原体より前に又は同時のいずれかで添加された場合に、角化細胞を保護した。これらのデータは、黄色ブドウ球菌に対するL.ラムノサスGGの保護効果に関与する少なくとも2つの別個の活動があることを示唆し、1つは使用済み培養液中に含まれ、1つは溶解物中に含まれる。発明者らのデータは、使用済み培養液に含まれる活性がおそらく抗付着効果を有することを示す。これは、以下の観察に基づく。A)黄色ブドウ球菌による感染前又は同時に添加される場合にのみ、L.ラムノサスGG−使用済み培養液が角化細胞への病原体付着を抑制する。B)本発明者らはこれまでに、黄色ブドウ球菌は角化細胞に対して毒性を持つために角化細胞に付着しなければならず、付着を抑制する成分はこの病原体から角化細胞を保護することを示した(43)。C)これに一致して、黄色ブドウ球菌による事前又は同時感染を加えた場合にのみ、使用済み培養液が保護的である。イン・ビトロのその他の研究は、想定されるプロバイオティクス(ラクトバチルス、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus))からの無細胞培養上清(CFCS)が、いくつかの病原体、例えばサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella Typhimurium)、黄色ブドウ球菌及び大腸菌(Escherichia coli)の、Caco−2細胞への付着を抑制することができたことを実証した(11)。
【0087】
ラクトバチルス溶解物による角化細胞の保護は少なくとも2つのメカニズムを含み得る。第一に、当該溶解物は黄色ブドウ球菌の増殖を減少させることができるかもしれない。競争アッセイは、L.ラムノサスGGの溶解物が生存ブドウ球菌の総数を減少させたことを実証した(
図5A、B、C)。加えて、抑制アッセイでは、黄色ブドウ球菌を嫌気的に増殖させたプロバイオティックからの溶解物でチャレンジした場合、抑制域を観察した(表1)。これらのデータは黄色ブドウ球菌の増殖を抑制するLラムノサスGG溶解物の能力を示唆する。これは、黄色ブドウ球菌の増殖及び/又は生存を直接抑制することができるプロバイオティック内の毒性分子(複数)の存在によるものであり得た。黄色ブドウ球菌の生存率にL.ラムノサスGG使用済み培養液の影響がなかったので、この分子(複数)は合成され得るが、分泌され得ない可能性がある。L.ラムノサスGGが静菌性物質を含む場合、これはまた、少なくとも部分的に角化細胞生存アッセイにおけるプロバイオティクスの保護効果を説明することができる。プロバイオティクス、特に乳酸菌はこれまでに、黄色ブドウ球菌増殖に対する強い抑制効果を発揮することが示されている。特定のラクトバチルス株は、バイオフィルムを形成する黄色ブドウ球菌に高度に拮抗することが報告されている(28、30)。他の研究は、プロバイオティクスがバクテリオシンの産生を介して病原体の増殖を抑制することにより腸の健康を改善することができることを報告した(16、48)。また、L.ラムノサスGGは乳酸の産生を介してサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の増殖を抑制することが示された(29)。しかしながら、本研究では発明者らは、L.ラムノサスGGの保護効果の一部として酸産生の関与の証拠を見出すことはできなかった。実際に、この微生物からの溶解物は中性(pH7.2)であったが、それでも黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することができた。
【0088】
【表1】
【0089】
L.ラムノサスGGの生菌又は溶解物が角化細胞を保護できた第二のメカニズムは、病原体付着の抑制によるものである。実際に、本発明者らのデータは、L.ラムノサスGG又はその溶解物の存在下で角化細胞への黄色ブドウ球菌の付着の減少を実証した。本発明者らがこれまでにL.ロイテリについて観察したように、このデータは排除のメカニズムを示唆する(43)。しかしながら、興味深いことに、生存L.ラムノサスGG又はその溶解物も存在する感染に加えられた場合、黄色ブドウ球菌の付着を抑制し、保護の他のメカニズム、すなわちL.ラムノサスGGは角化細胞から病原体を置換することができることを示した(
図7)。同様に、生きたL.ラムノサスGGは腸内で腸細胞から病原体を置換することが示された(47)。しかしながら、発明者らのデータは、生菌の存在が角化細胞からの黄色ブドウ球菌の置換には必要でないことを実証した。重要なことに、発明者らのデータは、病原体の毒性を低減する乳酸菌によって使用されるメカニズムの種依存的な違いを実証した。発明者らの過去の研究は、角化細胞の結合部位から黄色ブドウ球菌を排除することができる生物としてL.ロイテリを強調した(43)。本研究では、発明者らはL.ラムノサスGGは病原体を排除できるだけでなく、病原体の増殖を減少させ、かつ角化細胞から病原体を置換することもできることを示した。もちろん、この置換活性が増殖を抑制するL.ラムノサスGGの能力に関連し得る可能性があり、この点を明らかにするためにさらなる研究が必要とされるであろう。
【0090】
結論として、本発明者らは、L.ラムノサスGGが黄色ブドウ球菌の病原性を抑制する可能性のある新たな薬剤であることを報告する。さらに発明者らのデータは、微生物の溶解物は生菌と同様に黄色ブドウ球菌のコロニー形成を予防することに効果的であるので、皮膚でのL.ラムノサスGGの有用性は、それが皮膚上で増殖し生存できるかどうかによって限定されるものではないことを示す。さらに、当該溶解物は、潜在的に既存の感染症における抗生物質の補助又は代替としてではなく、予防として、例えばハンドウォッシュに有用であり得た。
【0091】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】