特許第6741598号(P6741598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6741598ガラス物品の厚さを測定する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741598
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】ガラス物品の厚さを測定する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
   G01B11/06 H
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-571064(P2016-571064)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公表番号】特表2017-518501(P2017-518501A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】US2015034110
(87)【国際公開番号】WO2015187906
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2018年5月22日
(31)【優先権主張番号】62/007,560
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】アン,チョン ピョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン−ムク
(72)【発明者】
【氏名】トライス,ジェイムズ パトリック
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−049258(JP,A)
【文献】 特開2002−022420(JP,A)
【文献】 特開2001−201318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0033235(US,A1)
【文献】 特表2007−516910(JP,A)
【文献】 特開平04−220508(JP,A)
【文献】 特開昭59−061704(JP,A)
【文献】 特開平01−212303(JP,A)
【文献】 特開2000−221009(JP,A)
【文献】 特開平10−332341(JP,A)
【文献】 特開平04−319643(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0262258(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)導入された光に応答して発せられた蛍光の少なくとも一部がガラス物品の縁部から発せられるように前記ガラス物品に光を導入する工程と、
(b)前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記蛍光を検出する工程であって、前記発せられた蛍光の強度プロファイルが、軸方向の位置の関数としての、前記発せられた蛍光の強度を含む、工程と、
(c)前記強度プロファイルの第1の強度境界および前記強度プロファイルの第2の強度境界を決定する工程と、
(d)前記第1の強度境界と前記第2の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、前記ガラス物品の層の厚さを決定する工程と、
前記ガラス物品の前記縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置において前記工程(b)〜(d)を繰り返すことにより、前記ガラス物品の前記層の厚さプロファイルを決定する工程を更に含み、
前記厚さプロファイルが、前記ガラス物品の前記縁部に沿った横断方向の位置の関数としての、前記ガラス物品の前記層の厚さを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、前記ガラス物品に拡散光を導入することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガラス物品の前記層が第1の層であり、前記ガラス物品が、前記第1の層に隣接した第2の層を含み、前記方法が、前記強度プロファイルの第3の強度境界を決定する工程と、前記第2の強度境界と前記第3の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、前記ガラス物品の前記第2の層の厚さを決定する工程とを更に含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス物品の前記第1の層が第1のガラス組成を有し、前記ガラス物品の前記第2の層が、前記第1のガラス組成とは異なる第2のガラス組成を有し、前記第1のガラス組成の屈折率が、前記第2のガラス組成の屈折率と少なくとも約0.001だけ異なる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の強度境界および前記第2の強度境界の各々が、表面境界または中間境界を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本願は、2014年6月4日に出願された米国特許出願第62/007,560号による優先権を主張するものであり、その全体を参照して本明細書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本開示はガラス物品に関し、より具体的には、ガラス物品の厚さを測定する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは、様々な異なるプロセスを用いて形成され得る。ガラスシートから1枚のガラスを分離するために、ガラスシートが切断され得る。1枚のガラスは、成形されたガラス物品を形成するために(例えば、切断または成形プロセス中に)更に処理され得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において、ガラス物品の1以上の層の厚さを測定する方法およびシステムが開示される。
【0005】
本明細書において、ガラス物品の厚さを測定する方法およびシステムが開示される。
【0006】
本明細書において、導入された光の少なくとも一部がガラス物品の縁部から発せられるように、ガラス物品に光を導入することを含む方法が開示される。ガラス物品の縁部から発せられた光が検出される。発せられた光の強度プロファイルは、軸方向の位置の関数としての、発せられた光の強度を含む。強度プロファイルの第1の強度境界および強度プロファイルの第2の強度境界が決定される。第1の強度境界と第2の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、ガラス物品の層の厚さが決定される。
【0007】
また、本明細書において、(a)ガラス物品に光を導入する工程と、(b)ガラス物品の縁部から発せられた光を検出する工程と、(c)発せられた光の強度プロファイルの強度境界の軸方向の位置を決定する工程とを含む方法が開示される。発せられた光の強度プロファイルは、軸方向の位置の関数としての、発せられた光の強度を含む。複数の異なる横断方向の位置に対応する複数の強度境界の軸方向の位置を決定するために、ガラス物品の縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置において、工程(b)および(c)が繰り返される。複数の強度境界に基づき、ガラス物品の隣接する第1の層と第2の層との間の層境界が決定される。
【0008】
また、本明細書において、ガラス物品の縁部から発せられた光を検出することを含む方法が開示される。発せられた光の第1の強度境界と第2の強度境界との間の距離に基づき、ガラス物品の層の厚さが決定される。
【0009】
また、本明細書において、ガラス物品に光を導入するよう構成された光源を含むシステムが開示される。光検出器は、ガラス物品の縁部から発せられた光を検出するよう構成される。発せられた光の強度プロファイルは、軸方向の位置の関数としての、発せられた光の強度を含む。処理装置は、強度プロファイルの第1の強度境界および強度プロファイルの第2の強度境界を決定し、第1の強度境界と第2の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、ガラス物品の層の厚さを決定するよう構成される。
【0010】
更なる特徴および長所は、以下の詳細な説明で述べられると共に、部分的にはその説明から当業者に自明であり、または、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識される。
【0011】
上記の概要説明および以下の詳細説明は、共に例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲の性質および特徴の理解のための概観または枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部をなすものである。図面は本開示の1以上の実施形態を示しており、明細書と共に、様々な実施形態の原理および作用を説明する役割をするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ガラス構造の例示的な一実施形態の模式的な断面図
図2】厚さ測定システムの例示的な一実施形態の正面図
図3図2の厚さ測定システムの側面図
図4図2図3の厚さ測定システムのブロック図
図5】強度画像の例示的な一実施形態
図6図5の強度画像に対応する強度プロファイルのグラフ
図7】ガラス物品の例示的な一実施形態の各層の厚さプロファイルのグラフ
図8】厚さ測定システムの別の例示的な実施形態の側面図
図9】厚さ測定システムの別の例示的な実施形態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面に示されている例示的な実施形態を参照する。可能な場合には常に、複数の図面を通して、同じまたは類似の部分を指すために同じ参照番号が用いられる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ、例示的な実施形態の原理を説明する際に強調される。
【0014】
様々な実施形態において、ガラス物品は、少なくとも第1の層および第2の層を含む。例えば、第1の層はコア層で構成され、第2の層は、コア層に隣接した1以上のクラッド層で構成される。第1の層および/または第2の層は、ガラス、ガラスセラミック、またはそれらの組合せで構成されるガラス層である。一部の実施形態では、第1の層および/または第2の層は透明なガラス層である。
【0015】
様々な実施形態において、ガラス物品の少なくとも1つの層の厚さを測定するために、厚さ測定システムが用いられる。光源によって、光がガラス物品に導入される。光はガラス物品を通って伝搬し、この光の少なくとも一部が、ガラス物品の縁部から発せられる。ガラス物品の縁部から発せられた光は、光検出器によって検出される。処理装置によって、検出された光の強度プロファイルが解析されて複数の強度境界が決定され、この複数の強度境界に基づき、ガラス物品の少なくとも1つの層の厚さが決定される。
【0016】
図1は、ガラス構造の例示的な一実施形態の模式的な断面図である。ガラス構造は、複数のガラス層を含む積層ガラス構造を有する。ガラス物品は、このガラス構造を含む。一部の実施形態では、ガラス物品は、このガラス構造を有するガラスシート100を含む。従って、ガラスシート100は、複数のガラス層を含む積層シートを含む。積層シートは、図1に示されるように略平面状、または非平面状であり得る。ガラスシート100は、第1のクラッド層104と第2のクラッド層106との間に配設されたコア層102を含む。一部の実施形態では、図1に示されるように、第1のクラッド層104および第2のクラッド層106は外側の層である。別の実施形態では、第1のクラッド層および/または第2のクラッド層は、コア層と外側の層との間に配設された中間層である。
【0017】
コア層102は、第1の主要な表面と、第1の主要な表面とは反対側の第2の主要な表面とを含む。一部の実施形態では、第1のクラッド層104は、コア層102の第1の主要な表面に融着される。それに加えて、またはその代わりに、第2のクラッド層106は、コア層102の第2の主要な表面に融着される。そのような実施形態では、第1のクラッド層104とコア層102との間の界面、および/または第2のクラッド層106とコア層102との間の界面には、いかなる接着材料(例えば、個々のクラッド層をコア層に接着するよう付加または構成された接着剤、コーティング層、または任意の非ガラス材料等)も存在しない。従って、第1のクラッド層104および/または第2のクラッド層106は、コア層102に直に融着されるか、またはコア層102に直に隣接している。一部の実施形態では、ガラスシートは、コア層と第1のクラッド層との間、および/またはコア層と第2のクラッド層との間に配設された1以上の中間層を含む。例えば、中間層は、コア層とクラッド層との界面に(例えば、コア層およびクラッド層の1以上の成分を拡散層に拡散することにより)形成された中間ガラス層および/または拡散層を含む。一部の実施形態では、ガラスシート100は、直に隣接するガラス層間の界面がガラス−ガラス界面であるガラスどうしの積層体(例えば、その場で融着された多層ガラス積層体)を含む。
【0018】
一部の実施形態では、コア層102は第1のガラス組成を有し、第1のクラッド層104および/または第2のクラッド層106は、第1のガラス組成とは異なる第2のガラス組成を有する。例えば、図1に示されている実施形態では、コア層102は第1のガラス組成を有し、第1のクラッド層104および第2のクラッド層106の各々は第2のガラス組成を有する。別の実施形態では、第1のクラッド層は第2のガラス組成を有し、第2のクラッド層は、第1のガラス組成および/または第2のガラス組成とは異なる、第3のガラス組成を有する。
【0019】
一部の実施形態では、コア層102の第1のガラス組成の屈折率は、第1のクラッド層104および/または第2のクラッド層106の第2のガラス組成の屈折率とは異なる。例えば、第1のガラス組成の屈折率は、第2のガラス組成の屈折率と少なくとも約0.001だけ異なる。コア層102と第1のクラッド層104および/または第2のクラッド層106との屈折率の差は、ガラスシート100が導波路(例えば、平面導波路)として作用するのを可能にする。このようにして、本明細書に記載されるように、光がガラスシート100に導入されて、ガラスシートの縁部から発せられることが可能になる。
【0020】
一部の実施形態では、ガラスシート100の縁部から発せられた光の強度は、本明細書に記載されるように、軸方向に不均一である。例えば、光がガラスシート100を通って伝搬する際、光は、より高い屈折率を有するガラス組成を有する層に集中する傾向がある。一部の実施形態では、第1のガラス組成は、第2のガラス組成より高い屈折率を有する。従って、ガラスシート100を通って伝搬する光は、コア層102に集中する傾向があるので、本明細書に記載されるように、コア層の縁部から発せられた光の強度は、第1のクラッド層104および/または第2のクラッド層106の縁部から発せられた光の強度より高い。別の実施形態では、第2のガラス組成は、第1のガラス組成より高い屈折率を有する。従って、ガラスシートを通って伝搬する光は、第1のクラッド層および/または第2のクラッド層に集中する傾向があるので、第1のクラッド層および/または第2のクラッド層の縁部から発せられた光の強度は、コア層の縁部から発せられた光の強度より高い。このコア層の縁部から発せられた光と第1のクラッド層および/または第2のクラッド層の縁部から発せられた光との強度の差を用いて、本明細書に記載されるように、複数の層の厚さを決定することができる。
【0021】
一部の実施形態では、ガラスシート100は、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、または少なくとも約0.3mmの厚さを有する。それに加えて、またはその代わりに、ガラスシート100は、高々約3mm、高々約2mm、高々約1.5mm、高々約1mm、高々約0.7mm、または高々約0.5mmの厚さを有する。一部の実施形態では、ガラスシート100の厚さに対するコア層102の厚さの割合は、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、または少なくとも約0.95である。一部の実施形態では、第2の層(例えば、第1のクラッド層104および第2のクラッド層106の各々)の厚さは、約0.01mm〜約0.3mmである。
【0022】
図1に示されているガラスシート100は3つの層を含むが、本開示には他の実施形態も含まれる。他の実施形態では、ガラスシートは、1層、2層、4層、またはより多い層等の所定の数の層を有し得る。複数の異なる層は、同じまたは異なるガラス組成を有し得る。
【0023】
ガラス物品は、ガラスシート100を参照して説明されるが、本開示には他の実施形態も含まれる。他の実施形態では、ガラス物品は、非平面の三次元形状を有する整形されたガラス物品を含む。例えば、整形されたガラス物品は、ガラスシート100等のガラスシートを、適切な再形成プロセスを用いて整形することによって形成され得る。本明細書においてガラスシート100を参照して記載されるように、ガラス物品の縁部における複数の異なる層から発せられた光の強度の差に基づいて、ガラス物品の複数の異なるガラス層の厚さを決定できる。
【0024】
ガラスシート100は、例えば、フュージョンドロー法、ダウンドロー法、スロットドロー法、アップドロー法、またはフロート法等の適切プロセスを用いて形成され得る。一部の実施形態では、ガラスシート100は、フュージョンドロー法を用いて形成され得る。例えば、ガラスシート100は、米国特許第4,214,886号(その全体を参照して本明細書に組み込む)に記載されているように構成された越流式分配器を用いて形成される。
【0025】
図2および図3は、それぞれ、例えばガラスシート100等のガラス物品の1以上の層の厚さを測定するために用いられ得る厚さ測定システム200の例示的な一実施形態の正面図および側面図であり、図4は、厚さ測定システム200のブロック図である。厚さ測定システム200は、ガラスシートに光を導入するよう構成された光源210を含む。光はガラスシートを通って伝搬し、この光の少なくとも一部がガラスシートの縁部から発せられる。厚さ測定システム200は、ガラスシートの縁部から発せられた光を検出して、検出された光の強度画像を生成するよう構成された光検出器220を含む。一部の実施形態では、厚さ測定システム200は、検出された光の強度画像を解析するよう構成された処理装置230を含む。例えば、処理装置230は、本明細書に記載されるように、強度画像に基づき、検出された光の強度プロファイルを決定、および/または、強度プロファイルの1以上の強度境界を決定するよう構成される。
【0026】
光源210は、例えば、レーザ、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、蛍光灯、白熱灯、またはそれらの組合せ等の適切な照明素子を含む。一部の実施形態では、光源210は、白色光(例えば、約390nm〜約700nmの波長を有する光)を発し、このことは、他の波長の光を発する光源と比較して、光源のコスト低減を補助し得る。それに加えて、またはその代わりに、光源210は、非コリメート光または拡散光を発し、このことは、コリメート光を発する光源(例えば、レーザ)光源と比較して、光源のコスト低減を補助し得る。
【0027】
図2図3に示されている実施形態では、光源210は細長いライトバーを含む。例えば、ライトバーは、ガラスシート100に光を導入するために、ガラスシートの幅に沿って横断方向に延びる。ライトバーは、ライトバーの幅に沿って配設された複数の照明素子を含み得る。
【0028】
一部の実施形態では、厚さ測定システム200は、拡散器240を含む。図2図3に示されるように、拡散器240は、例えば、光源210とガラスシート100との間に配置される。拡散器240は、光源210とは別個であってもよく、または一体であってもよい。例えば、拡散器は、光源の前面に配置されたフィルタまたはレンズを含み得る。拡散器240は、光源210によってガラスシート100に導入される光を拡散するよう構成される。例えば、拡散器240は、拡散器を通過する光を散乱させるレンズまたはフィルタを含む。拡散器240は、例えば、溶融シリカで研磨されたガラス、ホログラフィ拡散器材料、光整形拡散器材料、研磨されたポリカーボネート、またはそれらの組合せ等の適切な拡散材料を含む。拡散器240は、ガラスシート100に導入される光が拡散光となるよう、光源210によって発せられた光を拡散または散乱する。拡散光は、任意の角度でガラスシート100に導入される。一部の実施形態では、拡散光は、均一に配分された角度でガラスシート100に導入される。例えば、拡散光の強度は、横断方向および/または軸方向において略均一である。ガラスシート100に拡散光を導入することは、ガラスシート100の様々な層間における光の移行を高め得る。例えば、ガラスシート100に拡散光を導入することは、光を、(界面に接触せずに1つの層を通って伝搬するのではなく)隣接する層間の界面に向け、より高い屈折率を有する層内に光を集中させるのを補助し得る。
【0029】
光検出器220は、例えば、半導体電荷結合素子(CCD)センサ、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、N型金属酸化物半導体(NMOS)センサ、またはそれらの組合せ等の適切な画像センサを含む。一部の実施形態では、光検出器220は、画像センサを含むカメラで構成される。
【0030】
一部の実施形態では、厚さ測定システム200は、光学ユニット250を含む。図2図3に示されるように、光学ユニット250は、例えば、ガラスシート100と光検出器220との間に配置される。光学ユニット250は、光検出器220とは別個であってもよく、または一体であってもよい。例えば、厚さ測定システムは、光検出器および光学ユニットを含むカメラで構成され得る。光学ユニット250は、ガラスシート100の縁部から発せられた光を光検出器220上に集光するよう構成される。例えば、光学ユニット250は、ガラスシート100の縁部から発せられた光を光検出器220上に集光するよう配置された1以上のレンズを含む。
【0031】
一部の実施形態では、厚さ測定システム200は、遮光部260を含む。図2図3に示されるように、遮光部260は、例えば、光源210と光検出器220との間に配置される。遮光部260は、光検出器220を、ガラスシート100の縁部から発せられたものではない周辺光から遮蔽するよう構成される。例えば、光源210によって発せられた光の一部は、ガラスシートに導入されるのではなく、ガラスシート100から離れる方向に向かう。遮光部260は、ガラスシート100に導入されない光を、そのような光が光検出器220によって検出されないように吸収または反射するのを補助し得る。一部の実施形態では、遮光部260は、遮光バーを含む。例えば、遮光バーは、ガラスシート100の表面に隣接して配置され、ガラスシートの幅に沿って光を遮るよう横断方向に延びる。一部の実施形態では、図2図3に示されるように、遮光部260は、ガラスシート100の第1の表面に隣接して配置された第1の遮光部と、ガラスシートの第1の表面とは反対側の第2の表面に隣接して配置された第2の遮光部とを含む。従って、遮光部260は、ガラスシート100のいずれの表面からも離れる方向に向かう光を遮ることができる。一部の実施形態では、第1の遮光部および第2の遮光部の各々は、遮光バーで構成される。ガラスシート100は、第1の遮光部と第2の遮光部との間に固定されてもよく、これは、ガラスシートの1以上の層の厚さを測定するために、ガラスシートを所定の位置に保持するのを補助し得る。
【0032】
一部の実施形態では、厚さ測定システムは、遮光部と光検出器との間に配置された1以上の補助光源を含む。補助光源は、ガラスシートの表面上の、光が発せられる縁部付近の点に向けられる。例えば、補助光源は、ガラスシートの表面に向かって内側に角度をつけられ、光検出器に隣接したガラスシートの縁部付近の点に向けられる。補助光源からの光は、ガラスシートに接触して散乱する。散乱光の一部が光検出器によって検出され、これは、ガラスシートと周囲の雰囲気(例えば空気)との間の界面におけるコントラストを向上させるのを補助し得る。補助光源は、クラッド層が光を吸収する場合(例えば、クラッド層が暗色のクラッドである場合)に、界面における表面境界を形成するのを補助するために用いられ得る。
【0033】
処理装置230は、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、アナログ回路、デジタル回路、サーバプロセッサ、またはそれらの組合せ等の適切なプロセッサを含む。処理装置230は、単一の装置として、またはネットワーク処理もしくは分散型処理と関連付けられたもの等の複数の装置の組合せとして構成され得る。処理装置230は、例えば、マルチ処理、マルチタスク、並行処理、リモート処理、集中型処理、またはそれらの組合せ等の適切な処理ストラテジーを実施するよう構成される。処理装置230は、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコード、またはそれらの組合せの一部として格納された指示に応答し得るか、またはそれらを実行するよう動作し得る。例えば、処理装置230は、厚さ測定システム200の構成要素(例えば、光源210および/または光検出器220)を制御するよう構成される。一部の実施形態では、処理装置230は、メモリ(例えば、ROMおよび/またはRAM)、ストレージ装置(例えば、ハードドライブ、フラッシュドライブ、CD−ROM、および/またはDVD)、ユーザ入力装置(例えば、キーボード、マウス、および/またはタッチスクリーン)、出力装置(例えば、ディスプレイおよび/または照明)、入出力装置(例えば、ネットワークカードおよび/またはシリアルバス)、オペレーティングシステム(例えば、マイクロソフトウインドウズ(登録商標)オペレーティングシステム)、アプリケーションプログラムおよびデータ、またはそれらの組合せを含む。
【0034】
ガラスシートに導入される光は、偏光(例えば、直線偏光または円偏光)された光であってもよく、または偏光されていない光であってもよい。同様に、光検出器によって検出される光は、偏光(例えば、直線偏光または円偏光)された光であってもよく、または偏光されていない光であってもよい。従って、厚さ測定システム200は、光源および/または光検出器付近に配置された1以上の偏光子を含み得る。
【0035】
一部の実施形態では、図2図3に示されるように、光源210は、ガラスシート100の第1の縁部110に光を導入するために、第1の縁部に隣接して配置される。光は、ガラスシート100を通って伝搬し、ガラスシートの第1の縁部110とは反対側の第2の縁部112から発せられる。光検出器220は、ガラスシート100の第2の縁部112から発せられた光を検出して、検出された光の強度画像を生成するために、第2の縁部に隣接して配置される。図4に示されるように、処理装置230は、検出された光の強度画像を含む画像データを受け取るために、検出器220に動作的に結合される。処理装置230は、画像データに基づき、検出された光の強度プロファイルを決定して、強度プロファイルの1以上の強度境界を決定するために強度プロファイルを解析するよう構成される。
【0036】
一部の実施形態では、発せられた光の強度は、ガラスシートの縁部においてガラスシート100の厚さに対して略平行に延びる軸方向に変化する。例えば、軸方向は、ガラスシートの第1の主要な表面および/または第2の主要な表面に対して略垂直である。従って、ガラスシートが平面状である実施形態では、軸方向は、ガラスシートの平面に対して垂直である。図5は、ガラスシート100の縁部112から発せられた光の検出に応答して光検出器220によって生成される強度画像の例示的な一実施形態を示す。図5において、軸方向は矢印300によって表されている。(例えば、コア層の第1のガラス組成の屈折率は第1のクラッド層および第2のクラッド層の屈折率より大きいため、)図5に示されるように、コア層102の縁部から発せられた光の強度は、第1のクラッド層104および第2のクラッド層106縁部から発せられた光の強度より大きい。この強度の差は、第1のクラッド層104および第2のクラッド層106に対応する比較的暗い領域302と、コア層102に対応する比較的明るい領域304とによって示されている。
【0037】
ガラスシートの導波路効果をモデル化して、ガラスシート100内における光の伝搬を示すことができる。このモデルは、複数の異なるガラス層間の屈折率の差を、複数の異なる層の縁部から発せられた光の得られたコントラスト差と比較するものである。従って、このモデルを用いて、屈折率の差に基づき、強度コントラストのレベルを決定でき、これは、コントラスト差を検出するために適切な画像センサを選択するのを可能にし得る。
【0038】
発せられた光の強度プロファイルは、ガラスシートの縁部に沿った軸方向の位置の関数としての、発せられた光の強度を含む。図6は、図5に示されている強度画像に対応する、発せられた光の強度プロファイルのグラフである。図6に示されている実施形態では、x軸は軸方向の位置を表し、y軸は発せられた光の強度を表す。この強度プロファイルに基づき、コア層102、第1のクラッド層104、および/または第2のクラッド層106の厚さを決定できる。
【0039】
一部の実施形態では、強度プロファイルの強度境界が決定される。例えば、処理装置230は、強度プロファイルを解析して、強度境界を決定する。強度境界は、検出された光の強度の変化を含み、これは、それぞれ異なる屈折率を有する材料間の境界を示す。例えば、強度境界は、それぞれ異なる屈折率を有する材料間の境界を示す、十分に小さい軸方向の距離にわたる十分に大きい強度の変化を含む。一部の実施形態では、強度境界は、空気とガラス材料との間の境界を示す表面境界を含む。従って、表面境界は、ガラスシート100の表面を示す。それに加えて、またはその代わりに、強度境界は、それぞれ異なる屈折率を有するガラス材料(例えば、第1のガラス組成物および第2のガラス組成物)間の境界を示す中間境界を含む。従って、中間境界は、ガラスシート100の隣接する層間の界面を示す。図6に示されている実施形態では、強度境界は、第1の表面境界312、第1の中間境界314、第2の中間境界316、および第2の表面境界318を含む。
【0040】
一部の実施形態では、ガラスシートの層の厚さは、強度プロファイルの強度境界に基づき決定される。例えば、ガラスシートの層の厚さは、隣接する強度境界間の軸方向の距離に基づき決定される。一部の実施形態では、処理装置230は、直に隣接する強度境界間の軸方向の距離を決定して、ガラスシートの層の厚さを算出する。図6に示されている実施形態では、第1のクラッド層104の厚さは、第1の表面境界312と第1の中間境界314との間の軸方向の距離に基づき決定される。それに加えて、またはその代わりに、コア層102の厚さは、第1の中間境界314と第2の中間境界316との間の軸方向の距離に基づき決定される。それに加えて、またはその代わりに、第2のクラッド層106の厚さは、第2の中間境界316と第2の表面境界318との間の軸方向の距離に基づき決定される。従って、ガラスシートの各層の厚さは、層に対応する隣接する強度境界間の軸方向の距離に関係する(例えば、比例する、または等しい)。
【0041】
一部の実施形態では、ガラスシートは、隣接するガラス層間に拡散層を含む。従って、強度境界は、1つのガラス層と拡散層との間の第1の拡散境界と、隣接するガラス層と拡散層との間の第2の拡散境界とを含む。拡散境界は、例えば、約3μm〜約20μmの厚さを有し得る。一部の実施形態では、隣接するガラス層間の中間境界は、第1の拡散境界と第2の拡散境界との間にある。従って、拡散層の一部は、隣接するガラス層の各々に含まれると見なされる。別の実施形態では、第1の拡散境界または第2の拡散境界の一方が中間境界として用いられる。従って、拡散層は、隣接するガラス層の一方に含まれると見なされる。別の実施形態では、第1の拡散境界および第2の拡散境界の各々が中間境界として用いられる。従って、拡散層は、隣接するガラス層間に配設された別個の層であると見なされる。例えば、拡散層の厚さは、隣接するガラス層のいずれとも別に、本明細書に記載されるように決定され得る。様々な実施形態において、たとえ隣接するガラス層間でガラス組成が徐々に変化しても、厚さ測定システムを用いて、複数の異なる層(例えば、複数のガラス層および/または複数の拡散層)の厚さを決定することができる。
【0042】
図5に示されている発せられた光の強度画像、および図6に示されている発せられた光の強度プロファイルは、ガラスシート100の第2の縁部112に沿った特定の横断方向の位置に対応するものである。このように、強度プロファイルに基づき決定される厚さは、特定の横断方向の位置に対応する。横断方向の位置は、ガラスシート100の第2の縁部112に対して略平行に延びる横断方向の位置である。例えば、横断方向は、軸方向に対して略垂直である。
【0043】
一部の実施形態では、ガラスシートの層の厚さプロファイルが決定される。厚さプロファイルは、ガラスシートの縁部に沿った横断方向の位置の関数としての、ガラスシートの層の厚さを含む。例えば、層の厚さプロファイルは、ガラスシートの縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置において、本明細書に記載されるプロセス(例えば、ガラスシートの縁部から発せられた光を検出し、検出された光の強度プロファイルの強度境界を決定し、強度境界に基づき、層の厚さを決定する)を繰り返すことにより決定される。一部の実施形態では、直に隣接する横断方向の位置は、互いに約1mm〜約10mmの距離だけ離間している。
【0044】
一部の実施形態では、複数の層の各々の厚さプロファイルが決定される。例えば、図7は、ガラスシート100の第1のクラッド層104、コア層102、および第2のクラッド層106の各々の厚さプロファイルのグラフである。図7に示されている実施形態では、x軸は横断方向の位置を表し、y軸はそれぞれの層の厚さを表す。一部の実施形態では、ガラスシート100は、長手方向の各縁部に位置するビード部を含む。例えば、ビード部は、横断方向に対して略垂直な長手方向に延びる。ビード部は、ビード部間に設けられたガラスシートの中心領域より厚いガラスシート100の領域を含む。図7に示されるように、本明細書に記載される方法およびシステムは、ガラスシートのビード部および中心領域におけるガラスシート100の1以上の層の厚さを決定できる。
【0045】
一部の実施形態では、光検出器220は、ガラスシート100の第2の縁部112に沿って横断方向に移動される。例えば、光検出器がガラスシート100に対して相対的に移動されるのを可能にするために、光検出器220は、レールまたは可動キャリッジ上に取り付けられる。このようにして、光検出器220はガラスシート100の第2の縁部112に沿って走査する。光検出器220のガラスシート100に対する相対移動は、ガラスシートを静止状態に保ちつつ光検出器を移動させることにより、光検出器を静止状態に保ちつつガラスシートを移動させることにより、または、光検出器とガラスシートとの両方を移動させることにより、行われ得る。第2の縁部112から発せられた光は、ガラスシート100の縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置において検出される。検出された光の強度画像は、複数の異なる横断方向の位置において生成される。検出された光の強度プロファイルの強度境界は、複数の異なる横断方向の位置において決定される。一部の実施形態では、複数の異なる横断方向の位置に対応する複数の強度境界に基づき、層境界が決定される。層境界は、空気とガラスシートの層との間の表面層境界、またはガラスシートの隣接する層間の中間層境界を含む。一部の実施形態では、強度プロファイルの強度境界に基づき、ガラスシートの1以上の層の厚さが、複数の異なる横断方向の位置において決定される。それに加えて、またはその代わりに、ガラスシートの1以上の層の厚さプロファイルが、層境界に基づき決定される。一部の実施形態では、図4に示されるように、処理装置230は、ガラスシート100に対する光検出器の相対移動を制御するために、光検出器220に動作的に結合される。
【0046】
一部の実施形態では、光検出器220は、複数の異なる横断方向の位置の各々において、ガラスシート100の縁部上で停止され、そこに焦点合わせされる。別の実施形態では、光検出器220は、焦点合わせのために停止されることなく、ガラスシート100の縁部に沿って連続的に走査する。光検出器220の焦点合わせは、光検出器とガラスシートとの間の距離を検出して、検出された距離に基づき、光検出器もしくは光学ユニット250を調節すること、並びに/または、明瞭な画像が決定されるまで(例えば、強度境界が明確に定められるまで)、光検出器および/もしくは光学ユニットを調節することを含み得る。
【0047】
一部の実施形態では、ガラスシート100の縁部は、光検出器220に対して垂直ではない。例えば、ガラスシート100の縁部は、不完全さ(例えば、欠けまたはクラック)を含む切断された縁部である。一部の実施形態では、光検出器220は、第1の画像がキャプチャされている間は、(例えば、ガラスシートの第1の表面における)縁部の第1の軸方向の部分に焦点合わせされ、第2の画像がキャプチャされている間は、(例えば、ガラスシートの第2の表面における)縁部の第2の軸方向の部分に焦点合わせされる。光検出器220によってキャプチャされる画像のうちの少なくとも1つにおいて、各強度境界に焦点が合わせられ得る。
【0048】
一部の実施形態では、光検出器は、ガラスシートの縁部に沿って配置された複数の光検出器を含む。それに加えて、またはその代わりに、光学ユニットは、ガラスシートの縁部に沿って配置された複数の光学ユニットを含む。複数の光検出器および/または光学ユニットを用いることで、複数の横断方向の位置において同時に厚さを決定できるようになり、厚さ測定システムの速度を高めることができる。
【0049】
一部の実施形態では、ガラスシート100の縁部から発せられた光の検出中に、光源210が移動される。例えば、ガラスシート100の縁部から発せられた光の検出中に、光源210は、ガラスシート100に対して軸方向に(例えば、平行移動および/または回転によって)相対移動される。ガラスシート100に対する光源210の相対移動は、ガラスシートを静止状態に保ちつつ光源を移動させることにより、光源を静止状態に保ちつつガラスシートを移動させることにより、または、光源とガラスシートとの両方を移動させることにより、行われ得る。一部の実施形態では、光源210は軸方向に振動する。光源210をそのように移動させることは、ガラスシート100に導入される光を分散させて、光を隣接するガラス層間の界面に向けることを補助し得る。一部の実施形態では、図4に示されるように、処理装置230は、ガラスシート100に対する光源の相対移動を制御するために、光源210に動作的に結合される。
【0050】
図8は、厚さ測定システム200aの別の例示的な実施形態を示す。厚さ測定システム200aは、図2図4を参照して本明細書に記載された厚さ測定システム200と類似している。例えば、図8に示されている実施形態では、厚さ測定システム200aは、ガラスシート100に光を導入するよう構成された光源210と、ガラスシート100の第2の縁部212から発せられた光を検出するよう構成された光検出器220とを含む。一部の実施形態では、厚さ測定システム200aは、光源210によってガラスシート100に導入される光を拡散するよう構成された拡散器240を含む。それに加えて、またはその代わりに、厚さ測定システム200aは、ガラスシート100の第2の縁部212から発せられた光を光検出器220上に集光するよう構成された光学ユニット250を含む。図8に示されている実施形態では、光源210は、ガラスシート100の表面に隣接して配置される。従って、光源210は、ガラスシートの縁部に光を導入するのではなく、ガラスシート100の表面に光を導入するよう構成される。
【0051】
一部の実施形態では、図8に示されるように、光源210は、光検出器220から離れる方向に向けられる。例えば、光源210は、ガラスシート100と光検出器220との間に配置され、光検出器から離れる角度であってガラスシートに向かう角度に向けられる。このような構成は、光源210によって発生されて、ますガラスシート100を通過せずに光検出器220に届く光の量を低減するのを補助し得る。光源210によってガラスシート100に導入された光は、本明細書において厚さ測定システム200を参照して記載されたように、ガラスシートを通って伝搬し、第2の縁部112から発せられる。一部の実施形態では、図8に示されるように、光源210は、ガラスシート100のそれぞれ反対側に配置された2つの光源を含む。従って、光は、ガラスシート100の互いに反対側にある第1の表面および第2の表面に導入される。
【0052】
図9は、厚さ測定システム200bの別の例示的な実施形態を示す。厚さ測定システム200bは、本明細書において図2図4を参照して記載された厚さ測定システム200、および本明細書において図8を参照して記載された厚さ測定システム200aに類似している。例えば、図9に示されている実施形態では、厚さ測定システム200bは、ガラスシート100に光を導入するよう構成された光源210と、ガラスシートの第2の縁部212から発せられた光を検出するよう構成された光検出器220とを含む。一部の実施形態では、厚さ測定システム200bは、光源210によってガラスシート100に導入される光を拡散するよう構成された拡散器240を含む。それに加えて、またはその代わりに、厚さ測定システム200bは、ガラスシート100の第2の縁部212から発せられた光を光検出器220上に集光するよう構成された光学ユニット250を含む。図9に示されている実施形態では、光源210は、ガラスシート100の表面に隣接して配置される。従って、光源210は、ガラスシートの縁部に光を導入するのではなく、ガラスシート100の表面に光を導入するよう構成される。
【0053】
一部の実施形態では、図9に示されるように、光源210は、ガラスシート100の表面に対して略垂直に向けられる。例えば、光源210は、ガラスシート100の第1の縁部110と第2の縁部112との間に配置され、ガラスシートの表面に向けられる。一部の実施形態では、光源210は、ガラスシート100内に蛍光を生じさせる光(例えば、紫外(UV)光)を発する。例えば、光源210はUVレーザで構成される。ガラスシート100は、光源210によってガラスシートに導入された光に応答して蛍光を発し、この蛍光は、本明細書において厚さ測定システム200を参照して記載されたように、ガラスシートを通って伝搬し、第2の縁部112から発せられる。一部の実施形態では、図9に示されるように、光源210は、ガラスシート100のそれぞれ反対側に配置された2つの光源を含む。従って、光は、ガラスシート100の互いに反対側にある第1の表面および第2の表面に導入される。
【0054】
一部の実施形態では、方法は、ガラス物品の縁部から発せられた光を検出する工程と、発せられた光の第1の強度境界と第2の強度境界との間の距離に基づき、ガラス物品の層の厚さを決定する工程とを含む。一部の実施形態では、ガラス物品の上記の層は第1の層であり、ガラス物品は、第1の層に隣接した第2の層を含み、本方法は、発せられた光の第2の強度境界と発せられた光の第3の強度境界との間の距離に基づき、ガラス物品の第2の層の厚さを決定する工程を更に含む。それに加えて、またはその代わりに、第2の強度境界は中間境界で構成され、第1の強度境界または第3の強度境界のうちの少なくとも一方は、縁部境界で構成される。それに加えて、またはその代わりに、ガラス物品の層の厚さを決定する工程は、ガラス物品の縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置における層の厚さを決定することを含む。
【0055】
本明細書に記載されたガラス物品は、例えば、LCD、LED、OLED、および量子ドットディスプレイ、コンピュータのモニタ、並びに現金自動支払機(ATM)を含む民生用もしくは市販の電子デバイスのカバーガラスもしくはガラスバックプレーン用途、例えば、携帯電話、パーソナルメディアプレイヤー、およびタブレットコンピュータを含む携帯型電子デバイスのタッチスクリーンまたはタッチセンサ用途、例えば、半導体ウェハを含む集積回路用途、太陽光発電用途、建築用ガラス用途、自動車もしくは車両のガラス用途、市販の電化製品もしくは家電の用途、照明もしくはサイン(例えば、静的もしくは動的なサイン)用途、または、例えば、鉄道および航空宇宙用途を含む輸送の用途を含む、様々な用途に用いられ得る。
【0056】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変形および変更が行われ得ることが、当業者には自明であろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物のみを考慮して限定される。
【0057】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0058】
実施形態1
(a)導入された光の少なくとも一部がガラス物品の縁部から発せられるように前記ガラス物品に光を導入する工程と、
(b)前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記光を検出する工程であって、前記発せられた光の強度プロファイルが、軸方向の位置の関数としての、前記発せられた光の強度を含む、工程と、
(c)前記強度プロファイルの第1の強度境界および前記強度プロファイルの第2の強度境界を決定する工程と、
(d)前記第1の強度境界と前記第2の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、前記ガラス物品の層の厚さを決定する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【0059】
実施形態2
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、前記ガラス物品の第1の縁部に光を導入することを含み、前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記光を検出する前記工程が、前記ガラス物品の前記第1の縁部とは反対側の第2の縁部から発せられた前記光を検出することを含む、実施形態1記載の方法。
【0060】
実施形態3
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、前記ガラス物品に拡散光を導入することを含む、実施形態1または2記載の方法。
【0061】
実施形態4
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、光源を前記ガラス物品に隣接させて配置することを含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態5
前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記光を検出する前記工程中において、前記光源を前記ガラス物品に対して相対的に移動させる工程を更に含む、実施形態4記載の方法。
【0063】
実施形態6
前記ガラス物品の前記縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置において前記工程(b)〜(d)を繰り返すことにより、前記ガラス物品の前記層の厚さプロファイルを決定する工程を更に含み、前記厚さプロファイルが、前記ガラス物品の前記縁部に沿った横断方向の位置の関数としての、前記ガラス物品の前記層の厚さを含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態7
光検出器を、前記ガラス物品の前記縁部に沿った横断方向に、前記ガラス物品に対して相対的に移動させる工程を更に含む、実施形態6記載の方法。
【0065】
実施形態8
前記ガラス物品の前記層が第1の層であり、前記ガラス物品が、前記第1の層に隣接した第2の層を含み、前記方法が、前記強度プロファイルの第3の強度境界を決定する工程と、前記第2の強度境界と前記第3の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、前記ガラス物品の前記第2の層の厚さを決定する工程とを更に含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態9
前記第1の強度境界が表面境界を含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態10
前記第2の強度境界が中間境界を含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態11
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、前記ガラス物品に白色光を導入することを含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施形態12
前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記光が、前記ガラス物品に光を導入する前記工程に応答して発せられた蛍光を含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
実施形態13
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、前記ガラス物品に紫外(UV)光を導入することを含む、実施形態12記載の方法。
【0071】
実施形態14
(a)導入された光の少なくとも一部がガラス物品の縁部から発せられるように前記ガラス物品に光を導入する工程と、
(b)前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記光を検出する工程であって、前記発せられた光の強度プロファイルが、軸方向の位置の関数としての、前記発せられた光の強度を含む、工程と、
(c)前記強度プロファイルの強度境界の軸方向の位置を決定する工程と、
(d)前記ガラス物品の前記縁部に沿った複数の異なる横断方向の位置において前記工程(b)および(c)を繰り返し、前記複数の異なる横断方向の位置に対応する複数の強度境界の軸方向の位置を決定する工程と、
(e)前記複数の強度境界に基づき、前記ガラス物品の隣接する第1の層と第2の層との間の層境界を決定する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【0072】
実施形態15
前記層境界に基づき、前記ガラス物品の前記第1の層および前記第2の層の各々の厚さプロファイルを決定する工程を更に含む、実施形態14記載の方法。
【0073】
実施形態16
前記工程(d)が、前記ガラス物品の前記縁部に沿った前記複数の異なる横断方向の位置において前記工程(b)および(c)を繰り返すために、光検出器を横断方向に、前記ガラス物品に対して相対的に移動させることを含む、実施形態14または15記載の方法。
【0074】
実施形態17
前記ガラス物品の前記第1の層が第1のガラス組成を有し、前記ガラス物品の前記第2の層が、前記第1のガラス組成とは異なる第2のガラス組成を有する、実施形態14〜16のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態18
前記第1のガラス組成の屈折率が、前記第2のガラス組成の屈折率と少なくとも約0.001だけ異なる、実施形態17記載の方法。
【0076】
実施形態19
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、光源を用いて前記ガラス物品に白色光を導入することを含む、実施形態14〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態20
前記ガラス物品に光を導入する前記工程が、UVレーザを用いて前記ガラス物品に紫外(UV)光を導入することを含む、実施形態14〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態21
ガラス物品に光を導入するよう構成された光源と、
前記ガラス物品の縁部から発せられた前記導入された光の少なくとも一部を検出するよう構成された光検出器であって、前記発せられた光の強度プロファイルが、軸方向の位置の関数としての、前記発せられた光の強度を含む、光検出器と、
前記強度プロファイルの第1の強度境界および前記強度プロファイルの第2の強度境界を決定し、前記第1の強度境界と前記第2の強度境界との間の軸方向の距離に基づき、前記ガラス物品の層の厚さを決定するよう構成された処理装置と
を含むことを特徴とするシステム。
【0079】
実施形態22
前記光源によって前記ガラス物品に導入される前記光を拡散するよう構成された拡散器を更に含む、実施形態21記載のシステム。
【0080】
実施形態23
前記ガラス物品の前記縁部から発せられた前記光を前記光検出器上に集光するよう構成された光学ユニットを更に含む、実施形態21または22記載のシステム。
【0081】
実施形態24
前記光検出器を、前記ガラス物品の前記縁部から発せられたものではない周辺光から遮蔽するよう構成された遮光部を更に含む、実施形態21〜23のいずれか1つに記載のシステム。
【0082】
実施形態25
前記ガラス物品の前記縁部が第2の縁部であり、前記光源が前記ガラス物品の前記第2の縁部とは反対側の第1の縁部に光を導入するよう構成されるように、前記光源が前記光検出器とは反対側に配置された、実施形態21〜24のいずれか1つに記載のシステム。
【0083】
実施形態26
前記光源が、細長いライトバーを含む、実施形態21〜25のいずれか1つに記載のシステム。
【0084】
実施形態27
前記光検出器が前記ガラス物品の前記縁部に沿って走査するよう構成されるように、前記光検出器が横断方向に可動である、実施形態21〜26のいずれか1つに記載のシステム。
【符号の説明】
【0085】
100 ガラスシート
102 コア層
104 第1のクラッド層
106 第2のクラッド層
200、200a、200b 厚さ測定システム
210 光源
220 光検出器
230 処理装置
240 拡散器
250 光学ユニット
260 遮光部
312 第1の表面境界
314 第1の中間境界
316 第2の中間境界
318 第2の表面境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9