(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光検出器及び前記焦電変換素子は、オフ状態で前記光検出器を前記焦電変換素子から絶縁し得る同一の選択トランジスタに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
明瞭化のために、同一の要素は様々な図面で同一の参照番号で示されている。更に、記載された実施形態の理解に有用な要素のみが詳述されている。特に、記載されたTFT 紋様センサの基本セルの周辺の制御回路は詳述されておらず、このような制御回路の形成は、本明細書を読む当業者の技能の範囲内である。本明細書では、基本セル、基本セルアレイ又は紋様センサの構造が記載されるとき、「接続され」という用語は、例えば導電性トラックを用いた中間の電子部品が設けられていない直接的な電気接続を示すために使用され、「連結され」という用語は、直接的であってもよく、又は中間部品、例えばトランジスタを介してもよい電気接続を示すために使用されることに更に留意すべきである。
【0019】
図1は、光式TFT 紋様センサ100 の例を示す電気回路図である。センサ100 は複数の同一又は同様の基本取得セル101 を備えており、基本取得セルは、例えばガラスから形成された透明な支持基板の、以下慣例により支持基板の上面と称される表面にTFT 技術で形成されている。簡略化のために、1つのセル101 が
図1に示されている。各セル101 は、光検出器PS、例えば基準電位が与えられる基準ノードGND (例えば接地)に連結されたアノードとセルの容量性センスノードSNに接続されたカソードとを有するフォトダイオードを備えている。例として、光検出器PSはPIN タイプのフォトダイオード又は有機フォトダイオードである。
図1には、容量性センスノードSNの静電容量が、容量性センスノードSNに接続された電極と基準ノードGND に接続された他の電極とを有するコンデンサの形態で点線で示されている。実際、容量性センスノードSNの静電容量は、セルの別の素子の浮遊容量であってもよく、例えば(図示された例では読出しトランジスタRSの浮遊容量が加えられる)フォトダイオードPSの浮遊容量又は特定の静電容量であってもよい。簡略化のために、容量性センスノードSNの静電容量は以下の図面では示されていない。各セル101 は、容量性センスノードSNをセルの導電性出力トラックCLに連結する読出しトランジスタRSを更に備えている。読出しトランジスタRSのコントロールゲートは、読出しトランジスタの制御電位が与えられるノードVG
RSに接続されている。セル101 の出力トラックCLはセンサの出力段階103 に接続されている。この例では、出力段階103 は、反転入力(−)が出力トラックCLに連結されて非反転入力(+)がバイアス電位が与えられるノードV
polに連結された演算増幅器105 を有している。出力段階103 は、入力が演算増幅器105 の出力に連結されたアナログ/デジタル変換器107 (ADC )を更に有している。図示された例では、出力段階は、演算増幅器105 の反転入力(−)と出力との間に制御スイッチ111 と並列にコンデンサ109 を更に有している。
【0020】
センサ100 は、図示されていない照明光源を更に備えている。例として、照明光源は、以下慣例により基板の下面と称される、セル101 と反対の基板の表面の側に配置されている。
【0021】
センサ100 は以下のように作動する。ユーザが、一(又は複数の)指を(セル101 の側で)センサの上面に又は上面の上側に置く。セルと反対の支持基板側に配置されたバックライト光源が、支持基板及びセル101 によって形成された組立体の透明な領域を通して指を照らす。その後、光は、各セル101 のレベルでセルの上側に置かれた指の部分が指の皮膚の隆起に相当するか又は谷に相当するかに応じて可変に減衰して、指によってフォトダイオードPSに向かって後方散乱する。変形例として、光源は指の上側又は指の隣に置かれてもよく、そのため、光は、セルの上側に置かれた指の部分が指の皮膚の隆起に相当するか又は谷に相当するか否かに応じて可変に減衰して、指によってセンサのフォトダイオードPSに向かって透過する。この場合、支持基板は透明でなくてもよい。セル101 の集積期間中、セルの読出しトランジスタRSは非導電性であり、指によって反射した光は、セルのフォトダイオードPSによって電荷に変換される。電荷はセルの容量性センスノードSNに蓄えられる。集積期間の終わりに、光発生した電荷が、(制御スイッチ111 をオンすることによって予めリセットされてもよい)セルの出力トラックCLに読出しトランジスタRSを介して移動して、その結果生じる信号が、出力トラックCLに接続された出力段階103 によって読まれる。読出しトランジスタRSが双方向であるため、新たな集積期間が始まる前にフォトダイオードPSを所定の電位にリセットすることが更に可能である。
【0022】
例として、複数の基本セル101 が同一の出力トラックCLに接続されて、センサの同一の出力段階103 を共有してもよい。セル101 は例えば行列のアレイに配置されて、同一の列のセルは同一の出力トラックCL及び同一の出力段階103 に接続され、異なる列のセルは異なる出力トラックCL及び異なる出力段階103 に接続されている。例として、セル101 は一行毎に同時的に制御可能であり、つまり、同一の行のセル101 は同一の制御トラックに接続されたノードVG
RSを有しており、異なる行のセル101 は異なる制御トラックに接続されたノードVG
RSを有している。
【0023】
図2は、熱式TFT 紋様センサ120 の例を示す電気回路図である。
図2のセンサ120 は
図1のセンサ100 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。センサ120 は、主としてセンサ120 では、センサ100 の光式基本取得セル101 を熱式基本取得セル121 で置き換えている点でセンサ100 とは異なる。
図2のセンサの基本セル121 は、各セル121 で、セルの容量性センスノードSNを基準ノードGND に連結する焦電変換素子PYR でセル101 の光検出器PSを置き換えている点で
図1のセンサの基本セル101 とは異なる。焦電変換素子PYR は典型的には、容量性センスノードSN及び基準ノードGND に夫々接続された2つの導電層間に配置された焦電材料の層を有しており、焦電材料として、例えば窒化アルミニウム(AlN )、酸化亜鉛(ZnO )、焦電係数が40μC/m
2/K程度であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなポリマー、焦電係数が350 μC/m
2/K程度であるPZT タイプのセラミック材料(チタン酸ジルコン酸鉛)又はTGS タイプ若しくはLiTaO
3タイプの結晶成分(硫酸トリグリシン)がある。
【0024】
センサ120 は、バックライト光源を備えていないが、図示されていない熱源を備えている点で
図1のセンサ100 とは更に異なる。例として、熱源は、センサの表面に亘って規則的に分散した抵抗器網を有してもよい。例として、熱源は、基本セル毎に1つの抵抗器を有しており、抵抗器はセルの焦電変換素子の近傍に配置されている。熱源の抵抗器は、好ましくは支持基板の、セル101 と同一の側、つまり支持基板の上面側に配置されている。
【0025】
センサ120 は以下のように作動する。ユーザは、一(又は複数の)指を(セル121 の側で)センサの上面に又は上面の上側に置く。次に、センサの熱源をオンして焦電変換素子PYR を加熱するため、対応するセル121 の容量性センスノードSNに電荷が発生する。熱源がオンされたときに各焦電変換素子PYR によって受ける熱の量は、対応するセルの最上部に皮膚の隆起があるときより、対応するセルの最上部に皮膚の谷があるときにより大きい。実際、セルの最上部に隆起があるとき、皮膚は、セルの最上部に谷があるときより、熱源によって放射される熱のより多くの部分を吸収する。従って、セル121 の最上部に皮膚の谷があるとき、容量性センスノードSNで発生する電荷の量は、セルの最上部に隆起があるときより大きい。セルの読出しトランジスタRSのオフが継続されている集積期間の終わりに、容量性センスノードSNに蓄積された電荷は、読出しトランジスタRSを介してセルの出力トラックCLに移動し、その結果生じる信号が、出力トラックCLに接続された出力段階103 によって読まれる。読出しトランジスタRSが双方向であるため、新たな集積期間が始まる前に容量性センスノードSNをリセットすることが更に可能である。
【0026】
取得中、熱源を制御して熱パルスを発生させ、熱パルスの開始後しばらくしてから、及び/又はこの熱パルスの終了後しばらくしてからセルを読んで、様々なセルの容量性センスノードSNに蓄積された電荷のレベルの均一化を経時的に引き起こす熱平衡化現象を除去することが好ましい。
【0027】
図1の例と同様に、複数の基本セル121 が同一の出力トラックCLに接続されて、センサの同一の出力段階103 を共有してもよい。セル121 は例えば行列のアレイに配置されて、同一の列のセルは同一の出力トラックCL及び同一の出力段階103 に接続され、異なる列のセルは異なる出力トラックCL及び異なる出力段階103 に接続されている。例として、セル121 は一行毎に同時的に制御可能である。そのため、熱源はセル121 を一行毎に加熱すべく制御可能であることが好ましい。このため、セルの読出し中に熱源のオンを同期させることによりセンサを一行毎に走査することが可能になり、ひいては、取得した画像に対する熱平衡化の影響を最小限度に抑えることが可能になる。この場合、熱源は、センサの行に沿って延びている導電性トラック、例えば(例えばモリブデン又はアルミニウム製の)金属トラック、場合によっては透明な金属酸化物(例えばインジウムスズ酸化物)製のトラック、ポリシリコントラック、又は導電性ポリマー製のトラックから形成されてもよい。
【0028】
図1のセンサ100 及び
図2のセンサ120 では、基本取得セル101, 121は電荷読出しセルであり、つまり、セルから読み出す際に、セルの容量性センスノードSNに蓄積された電荷を(セルの読出しトランジスタRSを介して)セルの出力トラックCLに移動させる。電荷読出し取得セルの利点は、電荷読出し取得セルが特に単純である及び/又はコンパクトである(
図1及び2の例ではセル毎に1つのトランジスタ)ということである。このようなセルは、例えばアモルファスシリコン又はインジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物に基づくTFT 技術に特に適しており、この場合、トランジスタは比較的嵩高い。非制限例として、本願に記載されているタイプの紋様センサでは、画素のピッチは典型的に20〜50μmの範囲内の場合があり、そのため、各セルが備え得るトランジスタの数が制限される。
【0029】
図3は、光式TFT 紋様センサ又は熱式TFT 紋様センサ130 の別の例を示す電気回路図である。
図3のセンサ130 は
図1のセンサ100 及び
図2のセンサ120 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図3のセンサ130 は、基本的にセンサ130 では、センサ100 の電荷読出しセル101 又はセンサ120 の電荷読出しセル121 を電圧読出し基本取得セル131 で置き換えている点で
図1のセンサ100 又は
図2のセンサ120 とは異なる。センサ130 は、センサ130 では、センサ100 又はセンサ120 の一又は複数の出力段階103 を一又は複数の出力段階133 で置き換えている点でセンサ100 及びセンサ120 とは更に異なる。センサ130 では、各基本取得セル131 は、セルの容量性センスノードSNとセルの基準電位が与えられる基準ノードGND との間に接続された光電変換素子又は焦電変換素子132 を備えている。例として、変換素子132 は、
図1に関連して記載されたタイプの光変換素子PS、又は
図2に関連して記載されたタイプの熱変換素子PYR である。各セル131 は、リセット電位、例えば基準ノードGND の基準電位に対して正である電位が与えられるノードV
RTに容量性センスノードSNを連結するリセットトランジスタRTを更に備えている。各セル131 は、フォロワソースとして組み立てられてゲートが容量性センスノードSNに接続されているトランジスタSFと、トランジスタSFのソースをセルの出力トラックCLに連結する読出しトランジスタRDとを更に備えている。トランジスタSFのドレインは、基準電位、例えばある電位又は別の電位が与えられるノードV
RT に連結されている。リセットトランジスタRTのコントロールゲートは、このリセットトランジスタの制御電位が与えられるノードVG
RTに接続されており、読出しトランジスタRDのゲートは、この読出しトランジスタの制御電位が与えられるノードVG
RDに接続されている。
【0030】
セル131 の出力トラックCLはセンサの出力段階133 に接続されている。この例では、出力段階133 は、入力が出力トラックCLに連結されて出力がアナログ/デジタル変換器107 (ADC )に連結されている増幅器135 を有している。増幅器135 は任意であり、特に出力トラックCLの電位レベルがアナログ/デジタル変換器107 の入力と適合する場合には省略されてもよい。
【0031】
センサ130 は、交換素子132 が光取得素子である場合には照明光源(不図示)を更に備えており、交換素子132 が焦電取得素子である場合には熱源(不図示)を更に備えている。
【0032】
紋様取得段階中のセンサ130 の基本セル131 の動作を説明する。セルの変換素子132 をまずセルのリセットトランジスタRTを介してリセットする。次に、リセットトランジスタRTをオフし、集積期間中、光発生した電荷又は焦電効果によって発生した電荷がセルの容量性センスノードSNに蓄積する。集積期間の終わりに、容量性センスノードSNの電位はトランジスタSF及び読出しトランジスタRDを介してセルの出力トラックCLに移動する。電位を移動させるために、セルの読出しトランジスタRDをオンする。その後、出力トラックCLの電位を、出力トラックCLに関連付けられた出力段階133 によって読む。
【0033】
電圧読出し取得セルの利点は、電圧読出し取得セルが、
図1及び2に関連して記載されたタイプの電荷読出しセルより高いSN比を与えるということである。
【0034】
図4は、容量式TFT 紋様センサ140 の例を示す電気回路図である。図示された例では、センサ140 は電圧読出しセンサである。センサ140 は、
図3のセンサ130 と共通の素子を備えている。これらの素子は以下に再度記載されない。センサ140 は、基本的にセンサ140 では、センサ130 の光式取得セル又は熱式取得セル131 を容量式基本取得セル141 で交換している点で
図3のセンサ130 とは異なる。この例では、センサ140 は照明光源及び熱源を備えていない。各セル141 は、光変換素子又は焦電変換素子132 を除いて、
図3のセンサのセル131 と同一の素子を備えている。各セル141 は、セルの容量性センスノードSNと、制御信号が与えられるノードCMD との間に接続された基準コンデンサC
REFを更に備えている。各セル141 は、容量性センスノードSNに接続された導電性電極ELを更に備えており、導電性電極ELは、誘電体層で覆われて、ユーザの指の皮膚と共に静電容量を形成するように構成されている。(ユーザの指を受けるように構成された)センサの上面と導電性電極ELとの間の誘電体厚が数ミクロン、例えば10μmを超えないように、導電性電極ELはセンサの上面の近傍に置かれていることが好ましい。
【0035】
センサ140 は以下のように作動する。ユーザは、一(又は複数の)指を(電極ELの側で)センサの上面に又は上面の上側に置く。セル141 によって紋様の像点を取得する際に、セルの容量性センスノードSNをまずセルのリセットトランジスタRTを介してリセットする。次に、リセットトランジスタRTをオフし、その後、制御信号、例えば矩形波電圧又はステップ電圧を与えてセルのノードCMD を制御する。基準静電容量C
REFと電極EL及び指の皮膚の間に形成された静電容量とが容量分割ブリッジを形成している。そのため、電極EL及び皮膚間の静電容量に応じた電位が、セルの容量性センスノードSNに定まる。この電位の値が、電極ELの最上部にユーザの皮膚の隆起があるか又は皮膚の谷があるかに応じて異なる。容量性センスノードSNの電位はトランジスタSF及び読出しトランジスタRDを介してセルの出力トラックCLに移動する。電位を移動させるために、セルの読出しトランジスタRDをオンする。その後、出力トラックCLの電位を、出力トラックCLに関連付けられた出力段階133 によって読む。その後、ノードCMD に与えられたステップ電圧を初期値に戻すことが可能である。
【0036】
記載された実施形態の態様によれば、TFT 技術で形成された紋様センサが提供されており、紋様センサは、例えばガラスから形成された透明な絶縁性の支持基板上に、光検出器、焦電変換素子及び少なくとも1つのTFT を夫々有する複数の基本取得セルを備えている。言い換えれば、センサが指紋又は掌紋の取得中に紋様の光画像及び熱画像を与えるように、各基本セルに光取得素子及び熱取得素子が組み合わせられている。
【0037】
このようなセンサの利点は、直ちに物理的関係がない現象に基づき取得素子を用いて2つの画像を取得するということである。実際、光検出器が光子を受けるときに光検出器は電荷を発生させ、焦電変換素子の温度が変わるときに焦電変換素子は電荷を発生させる。このため、いわゆる「困難な」指紋、つまり、通常のセンサが皮膚の隆起を皮膚の谷とうまく十分に識別しないあるタイプの指の指紋を取得する際に直面する問題をある程度解決することが可能になる。本発明者らは、一般的に、光場で取得するのが困難な紋様を熱場で取得することがより容易になり、逆に熱場で取得するのが困難な紋様を光場で取得するのがより容易になることを実際に観察した。
【0038】
同一の基本セルに光検出器及び焦電変換素子を一体化することにより、光検出器及び焦電変換素子でセルの制御TFT を共有することが可能になり、ひいてはセンサの体積、複雑さ及びコストを制限することが可能になる。
図6,7,8,9及び10に関連して以下に詳述されるように、各基本セルでセルの同一のTFT が光検出器及び焦電変換素子の両方に接続されているため、体積を制限することが可能になることが好ましい。より具体的には、
図6,7及び8の実施形態では、各基本セルで光電変換素子及び焦電変換素子が並列に接続されているため、特に単純でコンパクトな基本セルを得ることが可能になる。
【0039】
図5は、光式及び熱式のTFT 紋様センサ150 の例を示す図である。
図5のセンサ150 は電圧読出しセンサである。
図5のセンサ150 は
図3のセンサ130 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図5のセンサ150 は、基本的にセンサ150 では、センサ130 の光式又は熱式のセル131 を光式及び熱式両方の電圧読出し基本取得セル151 で置き換えている点で
図3のセンサ130 とは異なる。センサ150 では、各基本取得セル151 は、変換素子132 を除いて、センサ130 の基本取得セル131 と同一の素子を備えている。各セル151 は、セルの容量性センスノードSNとセルの基準ノードGND との間に選択トランジスタSW1 と直列に、例えば
図1に関連して記載されたタイプの光検出器PSを更に備えている。図示された例では、光検出器PSは、アノードが基準ノードGND に接続されて、カソードが選択トランジスタSW1 を介して容量性センスノードSNに連結されているフォトダイオードである。各セル151 は、セルの容量性センスノードSNと基準ノードGND との間に選択トランジスタSW2 と直列に、例えば
図2に関連して記載されたタイプの焦電変換素子PYR を更に備えている。図示された例では、焦電変換素子PYR は、基準ノードGND に接続された第1の電極と、選択トランジスタSW2 を介して容量性センスノードSNに連結された第2の電極とを有している。選択トランジスタSW1 のゲートは、この選択トランジスタを制御するための信号が与えられるノードVG
SW1 に連結されており、選択トランジスタSW2 のゲートは、この選択トランジスタを制御するための信号が与えられるノードVG
SW2 に連結されている。
【0040】
センサ150 は、画像を光学的に取得するように構成された照明光源(不図示)と、画像を熱的に取得するように構成された、照明光源とは異なる熱源(不図示)とを更に備えている。
【0041】
前の例と同様に、セル151 は行列のアレイに配置されてもよく、同一の行のセルは同時的に制御され、異なる行のセルは順次的に制御される。更に、
図2の例と同様に、熱源はセル151 を一行毎に加熱すべく制御可能であってもよい。
【0042】
図5の例では、選択トランジスタSW1 及び選択トランジスタSW2 によって、光検出器PS及び/又は焦電変換素子PYR が容量性センスノードSNから絶縁され得る。従って、光画像及び熱画像の2つをセンサによって順次的に得ることが可能になる。光画像の取得中、選択トランジスタSW1 は導電状態であり、選択トランジスタSW2 は非導電状態である。熱画像の取得中、選択トランジスタSW2 は導電状態であり、選択トランジスタSW1 は非導電状態である。センサは、その他の点に関して
図3に関連して記載された方法と同一又は同様に制御されてもよい。この例では、リセットトランジスタRT並びに読出し段階のトランジスタSF及び読出しトランジスタRDが、光変換素子PS及び焦電変換素子PYR の2つによって共有されている。
図5の例は、
図1のセンサの光検出器PSを、
図5の例の選択トランジスタSW1, SW2、光検出器PS及び焦電変換素子PYR から形成された組立体で置き換えることにより、電荷読出しの光式及び熱式のセンサを形成するために適合され得ることに注目すべきである。
【0043】
しかしながら、センサ150 の不利点は、各基本取得セルに2つの選択トランジスタSW1, SW2が設けられているため、追加のコスト及び体積が必要になるということである。
【0044】
図6は、第1の実施形態に係る光式及び熱式のTFT 紋様センサ160 の例を示す電気回路図である。
図6のセンサ160 は電圧読出しセンサである。センサは、
図5のセンサ150 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図6のセンサ160 は、基本的にセンサ160 では、センサ150 の光式又は熱式のセル151 を光式及び熱式両方の基本取得セル161 で置き換えている点で
図5のセンサ150 とは異なる。センサ160 のセル161 は、セル151 の選択トランジスタSW1 及び選択トランジスタSW2 を備えていない点でセンサ150 のセル151 とは異なる。より具体的には、各セル161 では、光検出器PS(及びより具体的には図示された例におけるフォトダイオードPSのカソードノード)が容量性センスノードSNに接続されており、焦電変換素子PYR が容量性センスノードSNに接続されている。言い換えれば、光検出器PS及び焦電変換素子PYR は容量性センスノードSNと基準ノードGND との間に並列に接続されている。従って、この例では、光検出器PS及び焦電変換素子PYR は、容量性センスノードSNに、ひいてはセルのリセットトランジスタRT及びトランジスタSFに直接接続されている。
【0045】
センサ160 は、画像を光学的に取得するように構成された照明光源(不図示)と、画像を熱的に取得するように構成された熱源(不図示)とを更に備えている。照明光源及び熱源は、例えば、紋様取得段階中に選択的にオンされて、その後オフされるために、図示されていない制御回路を介して制御可能である。従って、紋様の熱画像を取得する段階中、照明光源がオフされて、熱源がオンされてもよい。その結果、焦電変換素子PYR のみが、取得される紋様のパターンを表す電荷を発生させることができる。紋様の光画像を取得する段階中、照明光源がオンされて、熱源がオフされてもよい。その結果、光検出器PSのみが、取得される紋様のパターンを表す電荷を発生させることができる。センサ160 は、その他の点に関して
図3に関連して記載された方法と同一又は同様に制御されてもよい。
【0046】
非制限例として、紋様の取得中、以下の制御手順を実行してもよい。
− リセットトランジスタRTを導電状態に設定して、次に非導電状態に設定することにより、容量性センスノードSNをリセットする;
− リセットトランジスタRTをオフした後に熱源をオンして、光源をオフ状態で保持する;
− 熱源をオフして容量性センスノードSNの電位を読んで、紋様の熱画像を与える;
− リセットトランジスタRTを導電状態に設定して、次に非導電状態に設定することにより、容量性センスノードSNをリセットする;
− リセットトランジスタRTをオフした後に光源をオンして、熱源をオフ状態で保持する;及び
− 容量性センスノードSNの電位を読出し、(集積期間後の)紋様の光画像を与える。
【0047】
光画像及び熱画像の取得順序が反転されてもよいことに注目すべきである。
【0048】
光学的な取得及び熱的な取得に適用されるリセット電位レベルは必ずしも同一ではないことに更に注目すべきである。特に、出力信号のレベルの平衡を保ってアナログ/デジタル変換器の使用を最適化するために、異なるリセットレベルが与えられてもよい。
【0049】
光信号及び熱信号の読出しが(一般に頭字語CDS と表される)相関二重サンプリングタイプの読出しであってもよく、この場合、出力値が、有用な信号レベルと出力トラックCLから読み出されたリセットレベルとの差と等しいことに更に注目すべきである。従って、上述した手順及び以下に記載する制御手順では、容量性センスノードSNを夫々リセットした後、リセットレベルの読出しを出力トラックCLを介して行ってもよい。
【0050】
変形例として、熱画像の取得中、熱源は、容量性センスノードのリセット段階の終了前(つまり、リセットトランジスタRTをオフする前)にオンされて、熱源によって引き込まれる電流の一時的影響により起こり得る寄生ノイズを除去してもよい。更に、光画像の取得中、光源は、容量性センスノードのリセット段階の終了前にオンされて、光源によって引き込まれる電流の一時的影響により起こり得る寄生ノイズを除去してもよい。
【0051】
更に、一般に焦電変換素子PYR による熱像点の取得が、光検出器PSによる光像点の取得よりかなり早いことを利用してもよい。非制限例として、熱画像の取得中、(特に熱平衡化により起こり得るコントラストの変化を除去するために)紋様パターンを表す電位の容量性センスノードSNからの読出しを、熱源をオンした後の10〜500 μsの間に行い、光画像の取得中、光検出器の集積時間が10〜50msの範囲内にある。変形例として、熱的な取得中、バックライト光源のオンを継続して、熱的な取得中に光検出器PSによって光発生した電荷を無視してもよい。このため、光源の制御を簡略化することが可能になる。更に、光集積期間中に熱的な取得を行ってもよく、そのため、光画像及び熱画像の取得に必要な総時間を減らすことが可能になる。光集積期間の開始及び終了の際の温度が実際には同一であるので、光集積期間の終了の際に焦電変換素子PYR によって容量性センスノードSNに発生した電荷が実際には無視されてもよい。この場合、熱的な取得中に容量性センスノードSNに焦電変換素子によって発生した電荷が、光集積期間の終了前に熱平衡化の影響によって取り消される時間が確実にあるように、光集積期間の開始の際に、例えば光集積期間の前半に又は光集積期間の終了の少なくとも500 μs前に熱的な取得を行うことが好ましい。
【0052】
非制限例として、紋様の取得中、以下の制御手順を実行してもよい。
− バックライト光源をオンする(バックライト光源は常時オンされてもよい);
− リセットトランジスタRTを導電状態に設定することにより、容量性センスノードSNをリセットする;
− 熱源をオンして、リセットトランジスタRTを非導電状態に設定する;
− (典型的には熱源をオンした後20〜50μsの間に)熱源をオフして、紋様の熱画像を与えるために容量性センスノードSNの電位を読む(光変換素子PSによって光発生した電荷は無視されてもよい);
− 容量性センスノードSNをリセットすることなく光集積を続ける(一方で、アレイの他のセルを読んで熱画像を与えてもよい);及び
− 紋様の光画像を与えるために、典型的にはセルのリセット後10〜50msの間に容量性センスノードSNの電位を読む(セルの温度が実質的に初期状態に戻るので、熱信号は無視されてもよい)。
【0053】
図6のセンサ160 の利点は、
図5のセンサに対して基本セル161 当たりのトランジスタの数が少ないことである。
【0054】
好ましくは、限定することなく、光学的な取得中及び熱的な取得中に容量性センスノードSNに生じる電圧のレベルが同程度であるか、又は両方の場合に少なくとも出力段階に許容可能な電圧レベルの範囲内のままであるように、光検出器PS及び焦電変換素子PYR の寸法(表面積及び/又は厚さ)、バックライト光源の電力、光検出器の集積時間及び熱源の電力が選択されている。非制限例として、基本セルの上側の同一のタイプの皮膚構造(隆起又は谷)では、光学的な取得中に容量性センスノードSNに生じる電圧のレベルが熱的な取得中に容量性センスノードSNに生じる電圧のレベルの0.5 〜2倍の範囲内であるように、上記のパラメータが選択されている。
【0055】
図7は、第1の実施形態に係る光式及び熱式のTFT 紋様センサ170 の別の例を示す電気回路図である。
図7のセンサ170 は電荷読出しセンサである。センサは、
図1のセンサ100 及び
図2のセンサ120 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図7のセンサ170 は、基本的にセンサ170 では、センサ100 の光式セル101 又はセル120 の熱式セル121 を光式及び熱式両方の基本取得セル171 で置き換えている点で
図1のセンサ100 及び
図2のセンサ120 とは異なる。センサ170 のセル171 は、セルの容量性センスノードSNと基準ノードGND との間に並列に接続された光検出器PS及び焦電変換素子PYR を備えている点でセンサ100 のセル101 又はセンサ120 のセル121 とは異なる。従って、この例では、セルの読出しトランジスタRSは、光検出器PS及び焦電変換素子PYR の両方に直接接続されている。読出しトランジスタRSは、光検出器PS及び焦電変換素子PYR によって共有されている。
【0056】
センサ170 は、
図6の例と同様に、画像を光学的に取得するように構成された照明光源(不図示)と、画像を熱的に取得するように構成された熱源(不図示)とを更に備えている。照明光源及び熱源は、例えば、
図6に関連して記載された方法と同一又は同様に、図示されていない制御回路を介して制御可能である。
【0057】
センサ170 の作動は、
図6に関連して記載された方法と同一又は同様であり、センサ170 では基本取得セルが電荷読出しセルである点が異なる。特に、セルの再設定をセルの読出しトランジスタRSを介して行う。
【0058】
図6の例に記載されている構成と同様に、光学的な取得中及び熱的な取得中に容量性センスノードSNに生じる電荷の量が同程度であるように、光検出器PS及び焦電変換素子PYR の寸法(表面積及び/又は厚さ)、バックライト光源の電力、光検出器の集積時間及び熱源の電力が好ましくは選択されている。
【0059】
図8は、第1の実施形態に係る光式及び熱式のTFT 紋様センサ180 の別の例を示す電気回路図であり、センサは、容量式取得手段を更に備えている。
図8のセンサ180 は電圧読出しセンサである。センサは、
図6のセンサ160 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図8のセンサ180 は、基本的にセンサ180 では、センサ160 のセル161 を基本取得セル181 で置き換えている点で
図6のセンサ160 とは異なる。センサのセル181 は、例えば
図4に関連して記載されたタイプの容量式紋様取得手段を備えている点で、センサ160 のセル161 とは異なる。より具体的には、図示された例では、各セル181 は、セルの容量性センスノードSNを光検出器PS及び焦電変換素子PYR に連結する選択トランジスタSWを備えている。より具体的には、各セル181 では、光検出器PS及び焦電変換素子PYR は基準ノードGND と中間ノードn1との間に並列に接続されており、選択トランジスタSWは中間ノードn1と容量性センスノードSNとの間に接続されている。図示された例では、光検出器PSは、アノードが基準ノードGND に接続されて、カソードが中間ノードn1に接続されているフォトダイオードである。選択トランジスタSWのゲートが、選択トランジスタを制御するための信号が与えられるノードVG
SWに接続されている。更に、図示された例では、各セル181 は、セルの容量性センスノードSNと制御信号が与えられるノードCMD との間に接続された基準コンデンサC
REFと、容量性センスノードSNに接続された導電性電極ELとを備えており、導電性電極ELは、誘電体層で覆われて、ユーザの指の皮膚と共に静電容量を形成するように構成されている。変形例として、リセットトランジスタRTはノードV
RT と中間ノードn1との間に接続されてもよい。
【0060】
図8の例では、選択トランジスタSWによって、容量的な取得段階が光学的且つ焦電的な取得段階から絶縁され得る。このため特に、容量的な取得中、光検出器PS及び焦電変換素子PYR の静電容量が、容量性センスノードSNの静電容量を増加させて容量性紋様信号の容量性センスノードSNでの取得を困難にする一因になり得ない。
【0061】
図8の例では、同一の紋様の光画像、熱画像及び容量画像の3つがセンサによって得られてもよい。リセットトランジスタRT並びに読出し段階のトランジスタSF及び読出しトランジスタRDが、容量変換素子、光電変換素子及び焦電変換素子の3つによって共有されている。容量画像の取得中、セル181 の選択トランジスタSWは非導電状態に設定されてもよく、セルは
図4に関連して記載された方法と同一又は同様に制御されてもよい。熱画像及び光画像の取得中、セル181 の選択トランジスタSWは導電状態に設定されてもよく、セルは、
図6に関連して記載された方法と同一又は同様に制御されてもよい。焦電変換素子PYR 及び光検出器PSの静電容量が、容量性センスノードSNの静電容量(特に静電容量C
REF)と比較して一般に比較的大きいことに注目すべきである。従って、選択トランジスタSWが導電状態であるとき、熱信号及び光信号が、容量性センスノードSNの静電容量によって著しく変更されない。変形例として、光検出器PSによる光集積を、容量的に読んでいる間に部分的又は完全に行ってもよく、そのため総紋様取得時間を減らすことが可能になる。
図6に関連して記載されているように、熱情報読出し時間が光検出器の集積時間と比較して無視できると仮定すると、バックライト光源のオンを紋様取得時間全体に亘って更に継続してもよい。
【0062】
非制限例として、紋様の取得中、以下の制御手順を実行してもよい。
− リセットトランジスタRTを導電状態に設定することにより容量性センスノードSNをリセットして、選択トランジスタSWを導電状態に設定することにより中間ノードn1をリセットする;
− 選択トランジスタSWをオフして、光学的且つ熱的な取得段階をセルの残り部分から絶縁する(選択トランジスタSWのオフは、光検出器PSによる光集積期間の開始を示す);
− リセットトランジスタRTをオフして容量性センスノードSNをノードV
RT から絶縁し、容量的な読出し動作に関する基準値を読む;
− 紋様を容量的に読む;
− 容量的な読出し動作の終了前に熱源をオンする;
− 容量的な読出し動作の終了の際に、リセットトランジスタRTをオンして次にオフに戻すことにより、容量性センスノードSNを任意にリセットする;
− 選択トランジスタSWをオンして、熱的な読出し動作及び光学的な読出し動作に関する基準値を読む;
− 光源をオフして容量性センスノードSNの電位を読み、紋様の熱画像を与える(容量的な取得期間及び熱的な取得期間が光学的な取得の集積時間と比較して比較的短いので、光信号が無視されてもよい);
− 容量性センスノードSNをリセットすることなく光集積を続ける(一方で、アレイの他のセルを読んでもよい);及び
− 光検出器の集積期間の終了の際に容量性センスノードSNの電位を読んで光画像を与える(セルの温度が実質的に初期状態に戻るので、熱信号は無視され得る)。
【0063】
図9は、第2の実施形態に係る光式及び熱式のTFT 紋様センサ190 の例を示す電気回路図である。
図9のセンサ190 は電荷読出しセンサである。センサは、
図7のセンサ170 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図9のセンサ190 は、基本的にセンサ190 では、センサ170 のセル171 を基本取得セル191 で置き換えている点で
図7のセンサ170 とは異なる。センサ190 のセル191 は、セル191 では、光検出器PSが基準ノードGND と容量性センスノードSNとの間に直接接続されておらず、基準ノードGND と中間ノードn2との間に接続されており、中間ノードn2は選択トランジスタSWを介して容量性センスノードSNに連結されている点でセンサ170 のセル171 とは異なる。焦電変換素子PYR は容量性センスノードSNに直接接続されている。より具体的には、この例では、光検出器PSは、アノードが基準ノードGND に接続されて、カソードが中間ノードn2に接続されているフォトダイオードである。従って、選択トランジスタSWは、光検出器PS及び焦電変換素子PYR の両方に接続されている。セルの読出しトランジスタRSは、光検出器PS及び焦電変換素子PYR によって共有されている。
【0064】
センサ190 では、選択トランジスタSWによって、各基本取得セルで光検出器PSをセルの残り部分から絶縁することが可能になる。
【0065】
このため、
図5に関連して記載されているようなセル毎に2つの選択トランジスタSW1, SW2が設けられているセンサに対してコスト及び体積を制限しながら、
図7のセンサ170 に対する更なる制御の可能性を提供するという利点がある。更にこのため、光変換素子PS及び熱変換素子PYR のサイズの点で
図7に関連して記載されたタイプのセンサより更に適応性が提供される。
【0066】
非制限例として、紋様の取得中、以下の制御手順を実行してもよい。
− 読出しトランジスタRS及び選択トランジスタSWを導電状態に設定することにより、容量性センスノードSN及び中間ノードn2をリセットする;
− 選択トランジスタSWをオフして光検出器を容量性センスノードSNから絶縁し、読出しトランジスタRSをオフして容量性センスノードSNを出力トラックCLから絶縁する;
− 熱源及び照明光源をオンする(照明光源が実際には常時オンされ、光検出器PSが焦電変換素子から絶縁されてもよいことに注目すべきである);
− 熱源をオフして容量性センスノードSNの電位を読み、紋様の熱画像を与える;
− 光集積を続ける(一方で、アレイの他のセルを読んで熱画像を与えてもよい);及び
− 選択トランジスタSWをオンして、光検出器の集積期間の終了の際に容量性センスノードSNの電位を読んで光画像を与える。
【0067】
図10は、第2の実施形態に係る光式及び熱式のTFT 紋様センサ200 の別の例を示す電気回路図である。
図10のセンサ200 は電圧読出しセンサである。センサは、
図6のセンサ160 と共通の素子を備えている。これらの素子は再度記載されない。
図10のセンサ200 は、基本的にセンサ200 では、センサ160 のセル161 を基本取得セル201 で置き換えている点で
図6のセンサ160 とは異なる。センサ200 のセル201 は、セル201 では、光検出器PSが基準ノードGND と容量性センスノードSNとの間に直接接続されておらず、基準ノードGND と中間ノードn3との間に接続されており、中間ノードn3は選択トランジスタSWを介して容量性センスノードSNに連結されている点でセンサ160 のセル161 とは異なる。焦電変換素子PYR は容量性センスノードSNに直接接続されている。より具体的には、この例では、光検出器PSは、アノードが基準ノードGND に接続されて、カソードが中間ノードn3に接続されているフォトダイオードである。従って、選択トランジスタSWは光検出器PS及び焦電変換素子PYR の両方に接続されている。セルのリセットトランジスタRT、トランジスタSF及び読出しトランジスタRDは、光検出器PS及び焦電変換素子PYR によって共有されている。
【0068】
センサ200 では、選択トランジスタSWによって、各基本取得セルで光検出器PSをセルの残り部分から絶縁することが可能になり、このため、
図5に関連して記載されているようなセル毎に2つの選択トランジスタSW1, SW2が設けられているセンサに対してコスト及び体積を制限しながら、
図6のセンサ160 に対する更なる制御の可能性を提供する。更にこのため、光変換素子PS及び熱変換素子PYR のサイズの点で
図6に関連して記載されたタイプのセンサより更に適応性が提供される。
【0069】
非制限例として、紋様の取得中、以下の制御手順を実行してもよい。
− 照明光源をオンする(この例では、照明光源が常時オンされてもよい);
− リセットトランジスタRTを導電状態に設定することにより、容量性センスノードSNをリセットし、その後、リセットトランジスタRTをオフする;
− 選択トランジスタSWをオンする(その後、前回のリセットから光検出器PSによって光発生した電荷が容量性センスノードSNの静電容量全体に亘って分散する);
− 光検出器の集積期間の終了の際に容量性センスノードSNの電位を読んで光画像を与える;
− リセットトランジスタRT及び選択トランジスタSWを導電状態に設定することにより、中間ノードn3及び容量性センスノードSNをリセットする;
− 選択トランジスタSWをオフして光検出器PSを容量性センスノードSNから絶縁する(これは、光検出器PSの新たな集積期間の開始を定める);
− リセットトランジスタRTをオフする;
− 熱源をオンする;及び
− 熱源をオフして容量性センスノードSNの電位を読んで、紋様の熱画像を与える。
【0070】
変形例として、
図9及び10の例では、光検出器PS及び焦電変換素子PYR が交換されてもよく、つまり、焦電変換素子PYR は中間ノードn2, n3と基準ノードGND との間の選択トランジスタSWの後方に置かれて、光検出器PSは容量性センスノードSNに直接接続されてもよい。焦電変換素子PYR 及び光検出器PSの静電容量夫々の値に応じてこの選択を行ってもよい。
【0071】
具体的な実施形態が述べられている。様々な変更、調整及び改良が当業者に想起される。
【0072】
特に、光紋様センサでは光検出器は、取得される紋様のパターンを表す有用な信号に加えて、特に暗電流及び/又は周辺光によるノイズを発生させる場合があることに留意すべきである。このようなノイズ源を除去するために、上記の実施形態では、無負荷で、つまりセンサに指を置かずにバックライト光源又は照明光源をオンすることなく読んで、(特に暗電流及び寄生周辺光によって)光検出器PSにより発生するノイズを表す画像を取得してもよい。この画像が取得されると、この画像を除去して最終光画像としてもよく、光検出器が焦電変換素子から絶縁されてない場合には最終熱画像としてもよい。
【0073】
更に、上述したように熱式及び光式の2つの異なる読出し動作を行って熱信号を光信号と区別しようとする代わりに、光発生した電荷及び焦電変換素子によって発生した電荷を分離しようとすることなく、これらの電荷の合計を読んで、光信号及び熱信号を組み合わせた画像を取得してもよく、このような方法は特定の困難な紋様の取得に有用になる。例として、
図6,7及び8の実施形態では、まず光源をオンして、次に光集積期間の終了近くに、焦電変換素子が容量性センスノードSNで電荷を発生させるように熱源をオンして、その後、光信号及び熱信号の合計を表す値を容量性センスノードSNから読んでもよい。
【0074】
更に、紋様の取得中に光画像及び熱画像を読む制御方法の例が上述されているが、同一の紋様の複数の光画像及び/又は複数の熱画像を読む代替的な実施形態が提供されてもよい。例として、光集積期間がセンサの全ての行を熱的に読むステップを実行するために必要な時間より数倍長い場合、センサ全体を複数回順次的に走査して複数の熱画像を取得し、その後、センサを最後に走査する際に光画像を取得してもよい。
【0075】
更に、
図9及び10の実施形態では、光検出器PSと焦電変換素子PYR との間の選択トランジスタSWを使用して「グローバルシャッタ」タイプの読出し手順、つまり、光画像の取得中にセンサの全ての光検出器PSが同時的に統合される手順を行ってもよいことが有利である。そのため各基本取得セルでは、焦電変換素子PYR が記憶素子として使用されて、自身の読出しを待機している間に光検出器によって取得された値を記憶してもよい。このような実施形態によって、アレイ全体を読むためにかかる時間と比較して短い集積時間を使用することが可能になり、光源が取得と同期して光ることが有利である。
【0076】
非制限例として、紋様の取得中、以下の制御手順を実行してもよい。
− センサの全てのセルの選択トランジスタSWを導電状態に設定する;
− センサの全てのセルをリセットして、次に選択トランジスタSWを導電状態に設定する;
− センサの光集積期間中、光源をオンする;
− 光集積期間の終了の際に、センサの全てのセルの選択トランジスタSWをオンして(次に、光集積中に光発生した電荷を、焦電変換素子によって形成された静電容量の容量性センスノードSNに移動させ)、その後、選択トランジスタSWをオフする(フォトダイオードの電圧を容量性センスノードSNから独立して印加し続けてもよい);
− 容量性センスノードSNに蓄積された信号のレベルを、センサの全てのセルから、例えば一行毎に読んで光画像を与える;
− 各セルで、光信号を読んだ後、リセットトランジスタRTをオンして選択トランジスタSWをオフのままにすることにより容量性センスノードSNをリセットする;
− 熱源をオンする;及び
− 熱源をオフして容量性センスノードSNの信号を読んで熱画像を与える。
【0077】
更に、上述した実施形態は、他の指紋取得技術、例えば超音波取得技術若しくは電界取得技術、又はRF信号をユーザの皮膚を通して与える技術と組み合わせてもよい。
【0078】
更に、上述した実施形態を適合して、受動的な熱画像の取得を実行するセンサ、つまり能動型熱源が設けられてないセンサを形成することは、当業者の技能の範囲内である。この場合、焦電変換素子PYR によって使用される温度変化は、ユーザが自身の指をセンサに置く及び/又は自身の指をセンサから取り除くときに生じる変化である。このようなセンサは、静的型(センサの表面積が、取得される紋様の表面積と少なくとも等しく、指が取得中にセンサに対して動かない)であってもよく、又は、走査型(センサの表面積が、取得される紋様の表面積より小さく、指が取得中にセンサの前方を通過する)であってもよい。
【0079】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第14/59494 号明細書の優先権を主張している。