(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741808
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】改良された制御システムを備えるアイスクリーム等の製造および小出し用の機械
(51)【国際特許分類】
A23G 9/16 20060101AFI20200806BHJP
A23G 9/28 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
A23G9/16
A23G9/28
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-30999(P2019-30999)
(22)【出願日】2019年2月22日
(62)【分割の表示】特願2014-210794(P2014-210794)の分割
【原出願日】2014年10月15日
(65)【公開番号】特開2019-76118(P2019-76118A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】MI2013A001696
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510331331
【氏名又は名称】ウゴリーニ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ コラード ウゴリーニ
【審査官】
川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−147587(JP,A)
【文献】
特表2013−536695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイスクリーム等のような食品の製造および小出し用の機械(10)であって、
冷凍回路(13)の円筒形の蒸発器(12)と、該蒸発器と同軸上で回転する電動式ヘリカルミキサ(14)とを収容し、一定量の製品を保持する容器(18)を受け止めるための領域(17)となっている前記機械の前面領域の上方に配置されている小出し出口(16)を介して前記製品を小出しするコック(15)も前面に備えるタブ(11)を含む機械において、
この受け止める領域(17)の背後に、前記機械は、単一のモジュール(20)の形で、前記機械に関する情報を表示する手段(21)と、該機械を操作するための複数のプッシュボタン(22)と、前記受け止める領域の近傍に配置される物体の存在を検出し、物体の存在が検出された場合、コックを介して小出しする準備をするために前記機械を作動させるセンサ(23)と、を備える制御パネルを有し、物体の存在が検出された場合、前記センサは、前記ヘリカルミキサ(14)の回転速度を、0ではない第1の製品保存回転スピードから、第2の製品小出し回転スピードまで、増速させる信号を送信することを特徴とする機械。
【請求項2】
前記モジュール(20)は、その一方の面に前記表示手段、前記操作用プッシュボタン、および前記センサが配置されているプリント回路基板(25)を含み、該基板は、前記小出し出口の下方であり前記受け止める領域の背後である前記機械の前壁(27)の背後に付けられることを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記前壁(27)は、前記表示手段および前記センサと対向している少なくとも部分的に透明である複数の表面(28、29)と、前記プリント回路基板における前記プッシュボタン(22)を操作する見易いタッチキー部品(30)とを含む前記モジュールの前面であることを特徴とする請求項2に記載の機械。
【請求項4】
前記モジュールがリアカバー(31)を含み、前記プリント回路基板を、このリアカバーおよび前記前壁(27)相互間に挟さむ形で囲うことを特徴とする請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記センサは、赤外線反射光学センサであることを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項6】
前記表示手段は、表示装置(21)からなり、前記センサ(23)は、該表示装置の下方であって前記制御パネルの垂直中心線の近傍で、2つの群の操作用プッシュボタン(30)相互間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリーム等の製造および小出し用の機械に関し、特に、製品を混合し冷却するためのタブ(tub)を有し、製品を小出しするための前面のコックを備えたタイプの機械に関する。
【背景技術】
【0002】
これら機械のタブは、通常、冷凍回路の蒸発器と電動式ヘリカルミキサ(motor-driven helical mixer)とを収容する。第1の製品準備段階の間、ミキサは、通常、比較的高速で回転し、一方、第2の維持段階の間、準備が終了したならば、それは、製品の均一な粘度を維持するのに十分な、しかし製品を台無しにすることのない低速で回転する。実際、この第2の段階の間に、過剰な混合速度が、製品を損ない、もはやそれを小出しするのに適さなくする。
【0003】
しかし、小出し推力は、通常、製品をコックの方へ押し進めるヘリカルミキサの回転により、製品に正確に与えられる。特に、比較的濃密な製品の場合、ヘリカルブレード(helical blade)の回転速度は、適切な小出し推力を作るのに十分に高くなければならない。しかし、適切な小出しに必要な速度は、しばしば、製品維持段階に好ましいであろう速度より高い。
【0004】
したがって、小出し時、ミキサの速度を高め、小出しが終了したならば、それから、それを製品維持のために必要な低速に戻るシステムを備えた機械を提供する必要がある。先行技術において提案されている解決策は、機械の構造および内部の配線を複雑にし、よりコストのかかる製造および保守という結果になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の全般的な目的は、改良された小出し制御、および、簡単な構造を備える上述のタイプの機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的に鑑み、見出された考えは、本発明に従い、アイスクリーム等のような食品の製造および小出し用の機械を提供することであり、冷凍回路の円筒形の蒸発器と、蒸発器と同軸上で回転する電動式ヘリカルミキサとを収容し、一定量の製品を保持する容器を受け止めるための領域となっている機械の前面領域の上方に配置されている小出し出口を介して製品を小出しするコックも前面に備えるタブを含む機械において、この受け止める領域の背後に、機械は、単一のモジュールの形で、機械に関する情報を表示する手段と、機械を操作するための複数のプッシュボタンと、受け止める領域の近傍に配置される物体の存在を検出し、物体の存在が検出された場合、コックを介して小出しする準備をするために機械を作動させるセンサと、を備える制御パネルを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の革新的原理および先行技術と比較したその利点をより明確に説明するためにこれらの原理を適用した実施例が、添付図面を用いて以下に説明される。図中
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に従った機械の制御モジュールの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図を参照すると、
図1は、全体を10で示されアイスクリーム等のような食品の製造および小出し用の機械を示す。その機械は、冷凍回路13における円筒形の蒸発器12と、その蒸発器と同軸上で回転する(シリンダ12の内側、および/または、外側)電動式ヘリカルミキサ14と、を収容する既知のタブ11を含む。
【0010】
タブ11も、小出し出口16を介して製品を小出しするコック15を前面に有する。そのコックは、小出しを実施するために下げられ、即ち、押圧される制御レバーを備えたタイプであることが好都合である。既知のように、そのミキサは、その回転が、通常、シリンダに沿って輪状に押され、機械の後方から前方へ押し進められる製品を混合する効果を生じるように構成され、配置される。従って、その製品は、シリンダおよびミキサの前端部の前に通常、配置されているコックの方へ押し進められる。小出し出口16は、一定量の製品を受け入れるために操作者により小出し出口の下方に配置される容器18(例えば、アイスクリームコーン、もしくは、ウェハース、カップ、即ち、上部が開口した同様な容器)を受け止めるための領域となっている機械の前方領域17の上方に配置されている。受け止める領域17の下方には、機械は、必要ならば、容器を配置し散らされた製品の飛沫を捕集するために棚部19を含み得ることが好都合である。
【0011】
受け止める領域17の背後には、機械は、(
図2により明確に分かるように)単一のモジュール20の形で、機械に関する情報を表示する手段21と、機械を操作するプッシュボタン22と、受け止める領域の近傍に配置される物体の存在を検出するセンサ23とを備える制御パネルを有する。特に、センサ23は、小出し出口の下方に配置される容器18を検出するように設計されている。
【0012】
そのセンサは、赤外線反射タイプである、すなわち、赤外線発光体および対応する受信機を一緒に備えているものが好都合である。
【0013】
物体の存在が検出された場合、センサ23は、それにコックを介して小出しする準備をさせるために機械を作動させる。従って、機械は、例えば(例えば、ミキサが低速で回転している場合)製品保存状態となり、操作者がコックを開く直前に自動的に小出しに適した状態とされ得る。特に、物体の存在を検出したとき、センサは、ヘリカルミキサの回転速度を増速させる信号を送信し、ミキサが製品をコックの方へ押し進める力を増大しかつ小出しを容易にするように、ミキサの回転について電動機24を適切に制御する。また、センサ信号は、小出し状態によって必要ならば、冷凍回路のような他の機械の機能を作動させてもよい。
【0014】
また、
図2で明確に分かるように、モジュール20は、表示手段(表示装置、および、随意に、信号LED(signalling LEDs)を含むことが好都合である)と、操作用プッシュボタン22と、光学センサ23とを有するプリント回路基板25をその前面に含むことが好都合である。また、オン/オフ−プッシュボタンが、設けられてもよい。
【0015】
また、その基板は、機械機能の制御、表示装置の処理、およびボタンにより入力されるコマンドの処理のために適切にプログラムされているマイクロプロセッサ回路のような制御回路(図示せず。例えば、当業者により容易に想像され得るもの)を収容することが好都合である。従って、モジュールは、また、機械における構造上の複雑さおよび配線について大幅な削減状態で、機械の全制御システムからなり得る。電気ケーブル26が、プリント回路基板25を離れ、機械の制御および電力供給のための機械におけるその他の部分に向けられている。
【0016】
好ましくは、そのセンサは、表示装置の下方で、制御パネルの垂直中心線の近傍であって、両端に配置されている2つの群のコマンド用プッシュボタンの相互間に配置される。この位置は、センサによる正確な検出について特に好都合であり、一方それと同時に、プリント回路基板の小さい寸法およびユーザーインターフェースの使い易さを維持することが分かった。
【0017】
その基板は、小出し出口の下方で受け止める領域の背後にある機械の前壁27の背後に付けられることが好都合である。この壁は、好ましくは、モジュール20の前面を形成し、表示手段およびセンサに対向する少なくとも部分的に透明である複数の表面28、29(単純な形の複数の孔の形で)を含む。また、その壁は、プリント回路基板におけるプッシュボタンを操作するための見やすいタッチキー30を含み得る。代替的に、また、プッシュボタンは、複数のタッチキーを備え、壁27における複数の穴部から突出し得る。
【0018】
また、モジュールは、このリアカバー31およびフロントカバー27相互間に挟まれる形でプリント回路25を囲むためのリアカバー31を含むことが好都合である。この方法で、モジュールは、機械の前部内のその取り付け位置に容易に設置可能とされる独立し保護されるシステムとなる。これは、機械における初期段階の組立ておよびその後の保守を容易にし、故障の場合、必要であれば、モジュール全体の交換を、容易にすることができる。
【0019】
現時点で、予め定義された目的がいかに実現されたかが明らかである。特に、本発明の原理により、簡単な構造を備えた機械が得られ、使用者により作動される小出し命令の直前に、小出し状態の迅速な応答および追従を可能にする。
【0020】
明らかに、本発明の革新的原理を適用した実施例における上述の説明は、これらの革新的原理の一例としてもたらされ、したがって、本明細書において請求されている権利の範囲を制限すると見なされてはならない。
【0021】
例えば、機械の外観は、特定の要件に応じて変化されてもよい。他のプッシュボタン、コマンド、および表示手段が、モジュールの前面に、または、機械の他の部分に設けられてもよい。