(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体は、前記幅方向に沿って伸縮可能になっており、
前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートとを有しており、
前記外装体は、少なくとも前記腹側部に、前記ウエスト開口部寄りに形成され前記幅方向に伸縮する第1伸縮領域と、該第1伸縮領域よりも前記股下部側に位置し、前記幅方向の伸縮応力が該第1伸縮領域よりも大きい第2伸縮領域とを有しており、
前記外層シートは、前記背側部及び前記腹側部のそれぞれに、前記ウエスト開口部の周縁端に沿って肌対向面側に折り返された外層折り返し部を有しており、
前記背側部における前記外層折り返し部は、その前記股下部側の端部が、前記吸収性本体の肌対向面上に接合されており、
前記腹側部における前記外層折り返し部は、該外層折り返し部と相対向する部材に接合された接合部と、該接合部よりも股下部側に位置し、該外層折り返し部と相対向する部材に接合されていない非接合部とを有しており、
前記接合部の前記股下部側の端部が、前記第1伸縮領域に位置しており、
前記内層シートは、前記腹側部に、前記吸収性本体の前記長手方向の端部より外方において肌対向面側に折り返された、内層折り返し部を有しており、
前記内層折り返し部は、少なくとも前記股下部側の端部が、該内層折り返し部と相対向する部材と接合されている、パンツ型使い捨ておむつ。
前記外層シートにおける、前記吸収性本体の非肌対向面側に位置する非折り返し部及び前記外層折り返し部が、前記弾性部材の収縮により、前記長手方向に沿う襞を複数形成するようになされており、
前記非接合部の前記長手方向の長さが、前記外層折り返し部の襞の頂点と、前記非折り返し部の襞の頂点との間の前記外装体の厚み方向に沿う長さよりも長い、請求項2に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
前記外装体は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した複数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されている伸縮シートを備え、
前記伸縮シートは、前記弾性フィラメントが、前記幅方向と一致するように前記外装体に備えられている、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び2には、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1が示されている。おむつ1は、
図1に示すように、おむつ1の着用状態において着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側部に配される背側部Bと、これらの間に位置する股下部Cとを有している。おむつ1は、着用者の前後方向に対応する方向、即ち腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる方向に対応する長手方向Xと、これに直交する幅方向Yとを有している。おむつ1は、
図2に示すように、長手方向Xに延びる、該おむつ1を幅方向Yに2等分する長手方向中心線CLに対して左右対称に形成されている。
【0012】
おむつ1は、吸収体23を有する吸収性本体2を幅方向Yの中央部に備えると共に、該吸収性本体2の非肌対向面側、即ち該吸収性本体2よりも着用者の身体から遠い側に配された外装体3を備えている。吸収体23は、腹側部Aと背側部Bとの間にわたっており、液保持性の吸収性コア(図示せず)と、その外面に接触してこれを包むコアラップシート(図示せず)とを含んで構成されている。外装体3は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外装体3の長手方向Xに沿う両側縁部どうしが、ホットメルト接着剤等の接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されて、一対のサイドシール部S,S、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部WH、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部LH(一方のみ図示)が形成されている。
【0013】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば表面シート)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0014】
吸収性本体2は、
図2に示す如きおむつ1の展開且つ伸長状態において、平面視長方形形状をなし、腹側部Aから背側部Bにわたって長手方向Xに延在しており、その長手方向を展開且つ伸長状態におけるおむつ1の長手方向Xに一致させて、外装体3の幅方向Yの中央部に配置され、接着剤により外装体3に接合されている。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1をサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態をいう。
【0015】
吸収性本体2は、
図3に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート21、非肌対向面を形成する液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性の裏面シート22、及び両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23を具備しており、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収性本体2の長手方向Xの全長は、吸収体23のそれと略同じであり、吸収体23の長手方向の前後に位置する両端縁は、吸収性本体2の長手方向の前後に位置する両端縁と同位置にある。表面シート21及び裏面シート22としては、それぞれ、この種の吸収性物品に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができ、裏面シート22としては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
【0016】
吸収体23は、
図2に示す如き平面視において長手方向Xに長い長方形形状をなし、腹側部Aから背側部Bにわたって長手方向Xに延在している。本実施形態における吸収体23は、長手方向Xの両端部の位置が、吸収性本体2の長手方向Xの両端部の位置と略一致している。
【0017】
図2に示すように、吸収性本体2の肌対向面における長手方向Xに沿う両側部には、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の防漏カフ形成用シートから構成された一対の防漏カフ26,26が設けられている。各防漏カフ26は、長手方向Xに伸長状態で配された糸状の防漏カフ形成用弾性部材(不図示)を1本以上具備しており、該弾性部材がおむつ1の着用時に収縮することによって少なくとも股下部Cで起立する。
【0018】
外装体3は、
図2に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1の外形を形作っており、外装体3の周縁は、その状態のおむつ1の輪郭線、即ち腹側部A、股下部C及び背側部Bそれぞれの輪郭線を形成している。外装体3は、
図2に示すように、股下部Cにおいて、外装体3の長手方向Xに沿う両側縁部が幅方向Yの中央に向かって凸の円弧状に湾曲しており、長手方向Xの中央域が幅方向Yの内方に向けて括れている。
【0019】
外装体3は、
図2〜
図5に示すように、おむつ1の外面即ち非肌対向面を形成する外層シート31と、外層シート31の肌対向面側に配置された内層シート36と、これら両シート31,36間に配された複数の弾性部材41,46とを有している。弾性部材41,46は、幅方向Yに沿って配されている(
図1参照)。本実施形態において外装体3は、長手方向Xにおいて吸収性本体2よりも外方側に位置する胴周り弾性部材41と、同方向Xにおける吸収性本体2の両端部よりも内方側に位置する弾性部材46とを有している(
図5参照)。長手方向Xに吸収性本体2と重なる位置に配された弾性部材46は、該吸収性本体2と厚み方向に重なる領域で、細かく分断する等の処理によって弾性伸縮性を発現しないように配されていてもよい。外装体3は、腹側部A及び背側部Bそれぞれに、糸状又は帯状の弾性部材41,46が幅方向Yに伸長状態で複数本配され、それら複数本の弾性部材41,46は長手方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。このように、弾性部材41,46が、その弾性伸縮性が発現される状態で配されていることにより、ウエスト開口部WHの開口縁部には、その全周にわたって実質的に連続した環状のウエストギャザー(襞)が形成される。
【0020】
外装体3は、腹側部A及び背側部Bそれぞれに、ウエスト開口部WH寄りに形成され幅方向Yに伸縮する第1伸縮領域40と、該第1伸縮領域40よりも股下部C側に位置し幅方向Yに伸縮する第2伸縮領域45とを有している。第2伸縮領域45は、幅方向Yの伸縮応力が第1伸縮領域40よりも大きい。幅方向Yの伸縮応力は、幅方向Yに収縮する応力であり、各伸縮領域40,45の前記伸縮応力の大小関係は、下記に記載の〔伸縮応力の測定方法〕により確認することができる。各伸縮領域40,45は、幅方向Yに伸縮性を発現している領域であり、前記の弾性部材41,46を配することによって形成されている。第1伸縮領域40に配された弾性部材を第1弾性部材41といい、第2伸縮領域45に配された弾性部材を第2弾性部材46という。第1伸縮領域40は複数の第1弾性部材41を有し、第2伸縮領域45は複数の第2弾性部材46を有している。本実施形態において、第1伸縮領域40は、長手方向Xにおいてウエスト開口部の周縁端WEと吸収体23の端部23aとの間に位置しており、第2伸縮領域45は、該吸収体23の端部23aよりも股下部C側に位置している。外装体3は、少なくとも腹側部Aに、第1及び第2伸縮領域40,45を有していればよい。
【0021】
〔伸縮応力の測定方法〕
上述したおむつ1を例に挙げて説明すると、おむつ1のサイドシール部Sを引き剥がして、おむつ1を展開状態とし、その展開状態のおむつ1から吸収性本体2を取り除く。次に、吸収性本体2を取り除いた伸長させた状態の外装体3から、伸縮応力の測定対象部位を、平面視長方形形状の測定サンプルとして切り出す。先ず、長手方向Xにおいて、最もウエスト開口部WH側に位置する第1弾性部材41よりもウエスト開口部WH側に5mm離間した位置と、最も股下部C側の第1弾性部材41よりも股下部C側に5mm離間した位置との間の領域を切り出し、これを第1伸縮領域40の測定サンプルとする。長手方向Xにおいて、最もウエスト開口部WH側に位置する第1弾性部材41と、ウエスト開口部WHとの間の長さが5mm未満である場合、第1伸縮領域40の測定サンプルは、ウエスト開口部WHの周縁端から切り出す。次に、最もウエスト開口部WH側に位置する第2弾性部材46よりもウエスト開口部WH側に5mm離間した位置と、最も股下部C側に位置する第2弾性部材よりも股下部C側に5mm離間した位置との間の領域を切り出し、これを第2伸縮領域45の測定サンプルとする。長手方向Xにおいて、最も股下部C側に位置する第2弾性部材と、レッグ開口部との間の長さが5mm未満である場合、第2伸縮領域45の測定サンプルは、レッグ開口部の周縁端から切り出す。また、最も股下部C側に位置する第1弾性部材と、最もウエスト開口部側に位置する第2弾性部材46との間隔が10mm未満である場合、該間隔を二等分する中央線を、第1伸縮領域40と第2伸縮領域との境界線とし、これら両領域の測定サンプルを該境界線で切り出すこととする。
切り出した各測定サンプルに関し、おむつ1の長手方向(X方向)に対応する方向の長さと、幅方向(Y方向)に対応する方向の長さ、即ちサイドシール部S,S間の全長とを測定しておく。次に、測定サンプルを、該測定サンプルの幅方向(Y方向)と引張方向とが一致するように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製の「RTA−100」等)のチャック間に固定する。チャック間距離は、100mmとする。そして、チャック間に測定サンプルを固定し、300mm/minの速度で、チャック間距離を、測定サンプルの伸長度が80となる長さまで増大させた後、測定サンプルの伸長度が71となる長さまで減少させたときの引張り荷重(N)を測定し、これを測定サンプルの応力(N)とする。測定サンプルの伸長度は、サイドシール部S,S間の幅方向(Y方向)の全長を100としたとき、該全長に対する、幅方向に伸長させた測定サンプルの幅方向の長さの比率である。即ち、伸長度100の測定サンプルの幅方向の長さは、サイドシール部S,S間の幅方向(Y方向)の全長と等しい。例えば、前記全長が350mmである場合、伸長度80の測定サンプルの幅方向の長さは280mmであり、伸長度71の測定サンプルの幅方向の長さは250mmである。そして、得られた応力(N)を予め測定した長手方向(X方向)の長さで除して得られる値を、当該測定サンプルの伸縮応力(N/mm)とする。
【0022】
外層シート31及び内層シート36は、
図3に示すように、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおいて、ウエスト開口部の周縁端WEに沿って肌対向面側に折り返されている。外層シート31において、吸収性本体2の非肌対向面側に位置する部分を外層非折り返し部33といい、ウエスト開口部の周縁端WEに沿って肌対向面側に折り返された部分を外層折り返し部32という。また、内層シート36において、吸収性本体2の非肌対向面側に位置する部分を内層非折り返し部38といい、吸収性本体2の長手方向Xの端部より外方において肌対向面側に折り返された部分を内層折り返し部37という。長手方向Xに沿う断面視において、外装体3の非肌対向面側から、外層非折り返し部33、内層非折り返し部38、内層折り返し部37、及び外層折り返し部32がこの順で、外装体3の厚み方向に沿って配されている(
図3〜
図5参照)。
【0023】
背側部Bにおける外層折り返し部32bは、その股下部C側の端部が、吸収性本体2の肌対向面上に接合されている。背側部Bにおいて外層折り返し部32bは、
図4に示すように、長手方向Xにおける吸収性本体2の背側部B側の端部を被覆しており、その被覆した部分において、外層折り返し部32bと、表面シート21の肌対向面とが接合部55を介して接合されている。この外層折り返し部32bと、表面シート21とを接合する接合部を背側接合部55ともいう。背側接合部55は、接着剤等の公知の接合手段により形成されている。
【0024】
腹側部Aにおける外層折り返し部32aは、該外層折り返し部32aと相対向する部材に接合された接合部50と、該接合部50よりも股下部C側に位置し、該外層折り返し部32aと相対向する部材に接合されていない非接合部53とを有している。本実施形態において、「外層折り返し部32aと相対向する部材」は内層シート36であり、より具体的には内層折り返し部37aである(
図3及び
図5参照)。外層折り返し部32aの股下部C側の端部53aが、吸収性本体2の腹側部A側の端部よりも股下部C側に位置する場合、幅方向Yにおいて吸収性本体2が配された位置において、外層折り返し部32aは、内層シート36及び吸収性本体2と相対向する。また、幅方向Yにおいて吸収性本体2が配されていない位置において、外層折り返し部32aは、内層シート36と相対向する。本実施形態において、接合部50は、外層折り返し部32aと内層折り返し部37aとを接合している(
図3参照)。この接合部50を、以下、腹側接合部50ともいう。長手方向Xにおいて、腹側接合部50より股下部C側には非接合部53が配されている。
【0025】
腹側接合部50の股下部C側の端部50aは、第1伸縮領域40に位置している。本実施形態における腹側接合部50は、その全体が第1伸縮領域40の範囲内に位置している。腹側接合部50の股下部C側の端部50aの位置は、第1伸縮領域40において最も股下部C側に位置する第1弾性部材41と同じ位置であってもよい。以下、腹側接合部50の股下部C側の端部50aを、単に下方端部50aともいう。
【0026】
腹側部Aの外層折り返し部32aでは、前記の非接合部53が、外層折り返し部32aと相対向する内層折り返し部37aから離間するように動く可動部となる。特に、接合部50の股下部C側の端部50aが、第1伸縮領域40に位置していると、外層折り返し部32aは、該端部50aよりも股下部C側の非接合部53の部分が、内層折り返し部37aから容易に離間する。前述したように、外装体3は、弾性部材41,46の伸縮によって、長手方向Xに延びる襞が形成されるが、外層折り返し部32aの非接合部53は、内層折り返し部37aから離間し得るので、該襞に対する追従性が低く、
図6に示すように、着用状態において着用者の肌Eに対する密着性が高い。これにより、外層折り返し部32aの非接合部53と、肌Eとの間に隙間が生じ難くなり、腹側部Aにおける股下部C側からウエスト開口部WHへの尿や軟便の漏れを効果的に防ぐことができる。他方、内層折り返し部37a、内層非折り返し部38a、及び外層非折り返し部33aが、前記の襞を形成するため、襞による通気性を確保することができる。
【0027】
おむつ1において、腹側部Aの外層折り返し部32aは非接合部53を有しているが、背側部Bの外層折り返し部32bは、相対向する内層折り返し部37bから離間し得る可動部を有していない。したがって、おむつ1は、前記の可動部の有無によって、腹側部Aと背側部Bとを識別することができる。例えば、おむつ1を着用する際に、ウエスト開口部WHからおむつ1の内側を目視すると、背側部Bでは外層折り返し部32bに襞が形成されている一方、腹側部Aでは非接合部53が略平坦な面を形成しているので、容易に腹側部Aと背側部Bを目視で識別することができる(
図7参照)。また、暗室でおむつを交換する場合や、目の不自由な人がおむつを着用する場合は、ウエスト開口部近傍の外層折り返し部32に触れることで、襞が形成された外層折り返し部32bと、襞が形成されていない外層折り返し部32aとを識別することができる(以下、識別効果ともいう)。このようにおむつ1では、腹側部A及び背側部Bにおける外装体3の外観を異ならせることなく、腹側部Aと背側部Bとを識別することができ、おむつ1の履き間違えを効果的に防止することができる。その結果、おむつ1では、外装体3全体の外観に統一感を付与することができるので、おむつ独特の印象が薄れて、着用者がおむつを履くことに抵抗感を感じ難くなる。
【0028】
前記の襞と着用者の肌Eとの間に該非接合部53を容易に介在させて、尿や軟便の漏れ防止効果をより向上させる観点から、下方端部50aが、長手方向Xにおいて、ウエスト開口部の周縁端WEと吸収体23の端部23aとの間に位置していることが好ましい(
図3参照)。
上記と同様の観点から、長手方向Xにおけるウエスト開口部の周縁端WEと吸収体23の端部23aとの間の長さをL3(
図3参照)とし、ウエスト開口部の周縁端WEと腹側接合部50の下方端部50aとの間の長さをL5(
図3参照)としたとき、L3及びL5の長さは以下の範囲であることが好ましい。
前記L3に対する前記L5の比率L5/L3は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、また好ましくは0.85以下、より好ましくは0.75以下であり、また好ましくは0.01以上0.85以下、より好ましくは0.03以上0.75以下である。
前記L3(
図3参照)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上であり、また好ましくは130mm以下、より好ましくは150mm以下であり、また好ましくは10mm以上150mm以下、より好ましくは15mm以上100mm以下である。
前記L5(
図3参照)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また好ましくは95mm以下、より好ましくは128mm以下であり、また好ましくは2mm以上128mm以下、より好ましくは5mm以上95mm以下である。
【0029】
非接合部53の股下部C側の端部53aは、長手方向Xにおいて、ウエスト開口部の周縁端WEと吸収体23の端部23aとの間に位置していることが好ましい。斯かる構成により、非接合部53が吸収体23と重ならず、吸収体23に尿等の排泄物を円滑に吸収させることができる。
上記と同様の観点から、ウエスト開口部の周縁端WEと非接合部53の股下部C側の端部53aとの間の長さ、即ち腹側部Aにおける外層折り返し部32aの長手方向Xの長さをL7(
図3参照)としたとき、当該L7は以下の範囲内であることが好ましい。
前記L3に対する前記L7の比率L7/L3は、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.06以上であり、また好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下であり、また好ましくは0.02以上1以下、より好ましくは0.06以上0.98以下である。
前記L7(
図3参照)は、好ましくは4mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは130mm以下であり、また好ましくは4mm以上130mm以下、より好ましくは8mm以上100mm以下である。
【0030】
腹側接合部50は、接着剤等の公知の接合手段によって形成される。本実施形態の腹側接合部50は、溶着よって形成されている。斯かる構成により、腹側部Aにおけるウエスト開口部WH近傍、より具体的には接合部50における剛性を低くし、外層折り返し部32aを柔軟にして、肌触りを良好にすることができる。溶着による腹側接合部50は、超音波溶着装置等の公知の手段によって形成することができる。
【0031】
本実施形態では、複数の腹側接合部50が、幅方向Yに沿って間欠的に形成されている。これに代えて、腹側接合部50は、幅方向Yに連続した状態で形成されていてもよい。
【0032】
外層非折り返し部33及び外層折り返し部32は、
図8に示すように、外装体3における弾性部材41,46の収縮により、長手方向Xに沿う襞を複数形成するようになされている。本実施形態において、外層非折り返し部33aと、内層非折り返し部38a、内層折り返し部37a及び外層折り返し部32aとは、弾性部材41から離れる方向に膨らむように変形して、襞を形成している。非接合部53を指先等で触れ易くして、該非接合部53を知覚し易くする観点から、非接合部53の長手方向Xの長さをL9(
図3参照)、外装体3の厚み方向Zにおける、外層折り返し部32aの襞の頂点t1と、外層非折り返し部33aの襞の頂点t2との間の長さをL10(
図8参照)としたとき、L9はL10よりも長いことが好ましい。上記と同様の観点から、L9及びL10の長さは以下の範囲であることが好ましい。
前記L10(
図8参照)に対する前記L9(
図3参照)の比率はL9/L10は、好ましくは1以上、より好ましくは1.05以上であり、また好ましくは64以下、より好ましくは38以下であり、また好ましくは1以上64以下、より好ましくは1.05以上38以下である。
前記L9(
図3参照)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは128mm以下、より好ましくは97mm以下であり、また好ましくは2mm以上150mm以下、より好ましくは9mm以上100mm以下である。
前記L10(
図8参照)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは2mm以上10mm以下、より好ましくは2.5mm以上8mm以下である。前記L10の測定方法を以下に示す。腹側接合部50における幅方向Yに沿う断面視において、任意の外層折り返し部32aの襞、及び該襞と幅方向Yに隣り合う外層非折り返し部33aの襞の組み合わせを2組選択し、外層折り返し部32aの襞の頂点t1と、外層非折り返し部33aの襞の頂点t2との間の長さを、マイクロスコープ(KEYENCE社製VH-Z 20 UR)を用いて測定し、これらの平均値を前記のL10とする。前記断面視により測定し難い場合には、大きさ25mm×25mm、厚み2mmのアルミプレートを、その中心が襞の各頂点に一致するように置き、非接触式レーザー変位計(KEYENCE社製レーザーヘッドLK−2100、変位計RV 3-55 R)を用い、サンプルの厚みを測定する。厚み測定時の圧力は0.5g/cm
2とする。
【0033】
第1伸縮領域40は、第2伸縮領域45よりも幅方向Yの伸縮応力が小さい。このように、第1及び第2伸縮領域の伸縮応力の大小関係を満たす観点から、第1及び第2弾性部材41,46は、下記の構成(1)〜(3)のいずれか、又はこれら2以上を組み合わせて具備することが好ましい。
構成(1):第1弾性部材41の太さは、第2弾性部材46の太さよりも細い。
構成(2):第1弾性部材41の伸長倍率が、第2弾性部材46の伸長倍率よりも低い。
構成(3):長手方向Xにおける第1弾性部材41間の間隔が、同方向Xにおける第2弾性部材46間の間隔よりも長い。
【0034】
第1伸縮領域40及び第2伸縮領域45は、前記の構成(1)〜(3)に基づき、以下の方法により特定される。
ウエスト開口部の周縁端WEから股下部C側に向かって順次、前記構成(1)の弾性部材の太さ、前記構成(2)の弾性部材の伸長倍率、又は前記構成(3)の弾性部材間の間隔を測定する。
前記構成(1)については、測定対象とする弾性部材f2の太さが、直前に測定した弾性部材f1の太さよりも太くなった場合、ウエスト開口部の周縁端WEに最も近い弾性部材から、前記の直前に測定した弾性部材f1までの領域を第1伸縮領域として特定する。また、前記の測定対象とする弾性部材f2から最も股下部C側に位置する弾性部材までの領域を第2伸縮領域として特定する。「弾性部材の太さ」は、弾性部材の非伸長状態における太さをいい、弾性部材が糸状である場合には、その断面の直径で表すものである。弾性部材が複数の弾性繊維の束で構成されている場合には、外装体から弾性部材を一定の長さ(例:100mm)で切り出したものをサンプルとし、該サンプルの長さとその質量から、単位長さ当りの重さを「弾性部材の太さ(繊度)」として表してもよい。
【0035】
前記構成(2)については、測定対象とする弾性部材f2の伸長倍率が、直前に測定した弾性部材f1の伸長倍率よりも高くなった場合、ウエスト開口部の周縁端WEに最も近い弾性部材から、前記の直前に測定した弾性部材f1までの領域を第1伸縮領域として特定し、前記の測定対象とする弾性部材f2から最も股下部C側に位置する弾性部材までの領域を第2伸縮領域として特定する。伸長倍率の測定を以下に示す。先ず、おむつを弾性部材の伸縮方向に最大に伸長させた状態にして、外層シート上から弾性部材に油性ペンを用いて、該伸縮方向に一定間隔L
0(例:100mm)をあけて2つの印を付ける。この際、油性ペンのインクが、外層シートから浸み込むため、弾性部材に前記印を付すことができる。次いで、おむつにおける弾性部材から、前記2つの印間を切り出す。この切り出した弾性部材の長さL
1を非伸長状態で測定する。次いで、下記式〔1〕により、伸長倍率を求める。
伸長倍率(%)=(L
0/L
1)×l00・・・〔1〕
【0036】
前記構成(3)については、ウエスト開口部の周縁端WE側に配置された弾性部材に比して、長手方向Xにおける弾性部材間の間隔が小さい弾性部材を特定し、該特定した弾性部材から最も股下部C側に位置する弾性部材までの領域を第2伸縮領域として特定する。また、前記の特定した弾性部材のウエスト開口部の周縁端WE側に隣り合う弾性部材から、最もウエスト開口部の周縁端WE側に位置する弾性部材までの領域を第1伸縮領域として特定する。
【0037】
外層折り返し部32aの非接合部53と着用者の肌Eとの密着性を向上させる観点から、第1及び第2伸縮領域40,45の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
長手方向Xにおける第1伸縮領域40の長さをL12とし、ウエスト開口部の周縁端WEと腹側接合部50の下方端部50aとの間の長さをL5としたとき、L5に対するL12の比率L12/L5は、好ましくは1.0以上5.0以下、より好ましくは1.2以上4.0以下である。
長手方向Xにおける第2伸縮領域45の長さをL14としたとき、非接合部53の長手方向Xの長さL9に対するL14の比率L14/L9は、好ましくは1.0以上20以下、より好ましくは1.5以上18以下である。
長手方向Xにおける第1伸縮領域40の長さL12は、好ましくは10mm以上50mm以下、より好ましくは12mm以上45mm以下である。
長手方向Xにおける第2伸縮領域45の長さL14は、好ましくは15mm以上100mm以下、より好ましくは18mm以上90mm以下である。
【0038】
外層折り返し部32aの非接合部53を、該非接合部53と相対向する部材から離間させ易くする観点から、腹側部Aにおける内層折り返し部37aは、少なくとも股下部C側の端部が、該内層折り返し部37aと相対向する部材と接合されていることが好ましい。本実施形態において、内層折り返し部37aは、該内層折り返し部37aと相対向する内層非折り返し部38a及び吸収性本体2の表面シート21に、接合部52を介してそれぞれ接合されている(
図3参照)。内層折り返し部37aと、これと相対向する部材とを接合する接合部52は、接着剤等の公知の接合手段により形成される。
【0039】
前記の非接合部53を柔軟性を高めて、肌触りや装着感を向上させる観点から、外層シート31の坪量は、好ましくは30g/m
2以下、より好ましくは20g/m
2以下であり、外層シート31の強度を確保する観点から、外層シート31の坪量は、好ましくは11g/m
2以上、より好ましくは15g/m
2以上である。また、外層シート31の肌触りや装着感と強度の両立の観点から、好ましくは11g/m
2以上30g/m
2以下、より好ましくは15g/m
2以上20g/m
2以下である。
【0040】
外層シート31、又は内層シート36等の、外装体3を構成するシートとしては、各種製法による不織布を用いることができ、例えばスパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、メルトブローン不織布、又はこれらの積層不織布等が挙げられる。
【0041】
本実施形態の腹側部A及び背側部Bにおいて、外層折り返し部32aの色と、内層折り返し部37aの色とは同系色である。「同系色」とは、同系統の色であって、色相が同じ又は近似する色を意味する。色相が近似するか否かは、下記の〔色相の判定方法〕により確認される。非接合部53の視認性を高めて、前記の識別効果を向上させる観点から、少なくとも腹側部Aにおいて、外層折り返し部32と内層折り返し部37との色が互いに異なっていることが好ましい。「色が互いに異なっている」とは、外層折り返し部32aのH(色相)の平均段階値と、内層折り返し部37のH(色相)の平均段階値との差が±20ポイント超であることを意味する。H(色相)の平均段階値は、下記の〔色相の判定方法〕により測定される。
【0042】
〔色相の判定方法〕
画像解析ソフト(例えば、Wayne Rasband社製の「Image J」)を用いて、外層折り返し部及び内層折り返し部のカラーデジタル画像における各画素のH(色相)を測定する。H(色相)は、8ビットの信号により0〜255の256段階で表したときの平均段階値とする。外層折り返し部のH(色相)の平均段階値と、内層折り返し部のH(色相)の平均段階値との差が±20ポイント以内である場合を、「色相が近似する」と判断する。前記H(色相)は1周すると元の色に戻る関係で、H(色相)の平均段階値0とH(色相)の平均段階値255とは大変近い色味となることを意味する。例えば、H(色相)の平均段階値が5であった場合、それと色相が近似するとは、H(色相)の平均段階値が、241〜255又は0〜25であることを意味する。
【0043】
おむつ1について更に説明すると、
図1及び
図2に示すように、レッグ開口部LHそれぞれの開口縁部を形成するレッグ縁部LSには、糸状又は帯状の1本又は複数本のレッグギャザー形成用のレッグ弾性部材49が伸長状態で配されており、これによってレッグ開口部LHそれぞれの開口縁部には、その全周にわたって実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成される。外装体3における弾性部材41,46,49は、いずれも外装体3を構成する外層シート31と内層シート36との間に接着剤等の接合手段により挟持固定されている。
【0044】
吸収体23における吸収性コアの主体をなす吸収性材料としては、この種の吸収性物品において吸収体の材料として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、親水化処理された合成繊維、吸水性ポリマー等が挙げられる。吸収性コアの典型的な形態として、木材パルプ等の親水性繊維の繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたものを例示できる。
【0045】
おむつ1において、コアラップシートは、吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の全域を被覆している。コアラップシートは連続した1枚のシートであってもよく、吸収性コアの肌対向面を被覆する1枚の肌側コアラップシートと、該肌側コアラップシートとは別体で、吸収性コアの非肌対向面を被覆する1枚の非肌側コアラップシートとを含んで構成されていてもよい。コアラップシートとしては、紙、各種不織布、開孔フィルム等の液透過性シートを用いることができる。吸収性コアとコアラップシートとの間は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により接合されていてもよい。
【0046】
上述した実施形態において伸縮領域40,45は、外層シート31及び内層シート36との間に複数の弾性部材41,46を配することで伸縮性を有していたが、外層シート31及び内層シート36との間にシート状の弾性部材を配していてもよい。また、外層シート31及び内層シート36のいずれか一方又は双方が幅方向Yに収縮する伸縮シートで構成されていてもよい。伸縮シートとしては、各種公知のものを用いることができ、例えば、特開2008−179128号公報に記載の伸縮シート、特開2007−22066号公報に記載の伸縮シート、同公報に記載の伸縮性不織布の製造方法により製造される伸縮性不織布、特開平10−29259号公報に記載の積層シート等を用いることもできる。
【0047】
例えば特開2008−179128号公報に記載の伸縮シートを用いた伸縮可能な外装体を有するおむつの実施形態は以下に述べるとおりである。
図1ないし
図8に示す実施形態においては、おむつ1の外装体は、外層シート31と、外層シート31の肌対向面側に配された内層シート36と、外層シート31と内層シート36との間に配された複数の弾性部材41,46とを有していたが、これに代えて、
図9に示す伸縮シートからなる外装体を用いることができる。
図9に示す伸縮シート130は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した複数の弾性フィラメント131が、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布132,133に接合されているものである。
【0048】
各弾性フィラメント131は、第1及び第2の不織布132,133と接合している。第1の不織布132と第2の不織布132は、同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。ここでいう同種の不織布とは、不織布の製造プロセス、不織布の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、不織布の厚みや坪量等がすべて同じである不織布どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には異種の不織布であるという。また「弾性」とは、伸ばすことができ、且つ元の長さに対して100%伸ばした状態(元の長さの200%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの125%以下の長さまで戻る性質をいう。
【0049】
各不織布132,133はいずれも伸長可能なものである。各不織布132,133は、弾性フィラメント131の延びる方向と同方向に伸長可能になっている。伸長可能とは、(イ)不織布132,133の構成繊維自体が伸長する場合と、(ロ)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたり、繊維のたるみが引き伸ばされたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。
【0050】
各不織布132,133は、弾性フィラメント131と接合される前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。あるいは、弾性フィラメント131と接合される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメント131と接合された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものであってもよい。不織布を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。
【0051】
各弾性フィラメント131は、伸縮シート130の全長にわたって実質的に連続している。弾性フィラメント131は弾性樹脂を含んでいる。各弾性フィラメント131は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。ただし、伸縮シート130の製造条件の不可避的な変動に起因して、意図せず弾性フィラメント131が交差することは許容される。各弾性フィラメント131は、互いに交差しない限り、直線状に延びていてもよく、あるいは蛇行しながら延びていてもよい。
【0052】
伸縮シート130を用いて上述した第1伸縮領域及び第2伸縮領域を形成するためには、例えば、伸縮シート130のうち、第1伸縮領域及び第2伸縮領域に対応する領域に配する弾性フィラメント131の太さや材質等を適宜調整すればよい。
【0053】
伸縮シート130は、弾性フィラメント131が、おむつ1の幅方向Yと一致するように外装体3に備えられている。この場合、外装体3は、伸縮シート130のみから構成されていてもよく、あるいは伸縮シート130と他のシート、例えば非伸縮シートとの積層体から構成されていてもよい。
【0054】
外装体3が、伸縮シート130と非伸縮シートとの積層体から構成されている場合には、伸縮シート130を伸長させた状態下に非伸縮シートと接合することが好ましい。特に、伸縮シート130と非伸縮シートとは、おむつ1の長手方向Xに沿って延び且つ幅方向Yに間隔を置いて形成された接合部によって間欠的に接合されていることが好ましい。このような接合を行うことで、伸縮シート130の弛緩状態において、隣り合う接合部間で非伸縮シートが伸縮シート130から離間して、長手方向Xに延びる空間Gが両シート間に形成されるようになる。その結果、外装体3は、非伸縮シートの側に長手方向Xに延びる規則的な襞が形成される。この襞は、外装体3の肌触りの向上に寄与する。外装体の肌触りを一層向上させる観点から、非伸縮シートが着用者の身体に近い側に位置し且つ伸縮シート130が着用者の身体から遠い側に位置するように、外装体3がおむつ1に組み込まれることが好ましい。
【0055】
以上の外装体3を備えたおむつによっても、先に説明した実施形態のおむつ1と同様の効果が奏される。なお、上述した伸縮シート130は、伸長可能な2枚の不織布132,133の間に弾性フィラメント131が配された構造のものであったが、これに代えて伸長可能な1枚の不織布の一面に弾性フィラメント131が配された構造の伸縮シートを用いてもよい。この場合、弾性フィラメント131は露出した状態になっている。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば上述した実施形態のおむつは、内層シート36がウエスト開口部の周縁端WEに沿って肌対向面側に折り返されていたが、内層シート36は、折り返されていなくともよい。この場合、外層シート31は、内層シート36の長手方向Xの端縁から延出し、内層シート36の肌対向面側に折り返される。
また、上述した実施形態のおむつは、展開且つ伸長状態において、外装体3が腹側部A、股下部C及び背側部Bにわたって連続していたが、外装体3は、着用者の背側に配される背側外装体と腹側に配される腹側外装体とに分割されたものであってもよい。この場合、吸収性本体が、背側外装体と腹側外装体との間に架け渡して固定される。
更に、上述した実施形態において、第2伸縮領域45は、長手方向Xにおける吸収体23の端部23aよりも股下部C側に位置していたが、第2伸縮領域45の一部が、該吸収体23の端部23aよりもウエスト開口部の周縁端WE側に位置していてもよい。
【0057】
上述した実施形態に関し、更に以下の使い捨ておむつを開示する。
<1>
吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体は、前記幅方向に沿って伸縮可能になっており、
前記外装体は、少なくとも前記腹側部に、前記ウエスト開口部寄りに形成され前記幅方向に伸縮する第1伸縮領域と、該第1伸縮領域よりも前記股下部側に位置し、前記幅方向の伸縮応力が該第1伸縮領域よりも大きい第2伸縮領域とを有しており、
前記外層シートは、前記背側部及び前記腹側部のそれぞれに、前記ウエスト開口部の周縁端に沿って肌対向面側に折り返された外層折り返し部を有しており、
前記背側部における前記外層折り返し部は、その前記股下部側の端部が、前記吸収性本体の肌対向面上に接合されており、
前記腹側部における前記外層折り返し部は、該外層折り返し部と相対向する部材に接合された接合部と、該接合部よりも股下部側に位置し、該外層折り返し部と相対向する部材に接合されていない非接合部とを有しており、
前記接合部の前記股下部側の端部が、前記第1伸縮領域に位置している、パンツ型使い捨ておむつ。
【0058】
<2>
前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する非肌対向面側の外層シートと、該外層シートの肌対向面側に配された内層シートと、該外層シートと該内層シートとの間に前記幅方向に沿って配された複数の弾性部材とを有している、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<3>
前記外装体は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した複数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されている伸縮シートを備え、
前記伸縮シートは、前記弾性フィラメントが、前記幅方向と一致するように前記外装体に備えられている、前記<1>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<4>
前記接合部の前記股下部側の端部が、前記長手方向において、前記ウエスト開口部の周縁端と前記吸収体の端部との間に位置している、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<5>
前記長手方向における前記ウエスト開口部の周縁端と前記吸収体の端部との間の長さをL3とし、前記ウエスト開口部の周縁端と前記接合部の下方端部との間の長さをL5としたとき、
前記L3に対する前記L5の比率L5/L3が0.01以上0.85以下、好ましくは0.03以上0.75以下である、前記<4>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<6>
前記非接合部の前記股下部側の端部が、前記長手方向において、前記ウエスト開口部の周縁端と前記吸収体の端部との間に位置している、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<7>
前記長手方向における前記ウエスト開口部の周縁端と前記吸収体の端部との間の長さをL3とし、前記ウエスト開口部の周縁端と前記非接合部の前記股下部側の端部との間の長さをL7としたとき、
前記L3に対する前記L7の比率L7/L3が0.02以上1以下、好ましくは0.06以上0.98以下である、前記<6>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<8>
前記接合部が、溶着によって形成されている、前記<1>〜<7>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<9>
前記外層シートにおける、前記吸収性本体の非肌対向面側に位置する非折り返し部及び前記外層折り返し部が、前記弾性部材の収縮により、前記長手方向に沿う襞を複数形成するようになされており、
前記非接合部の前記長手方向の長さが、前記外層折り返し部の襞の頂点と、前記非折り返し部の襞の頂点との間の前記外装体の厚み方向に沿う長さよりも長い、前記<1>〜<8>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<10>
前記非接合部の前記長手方向の長さをL9とし、前記外装体の厚み方向における、前記外層折り返し部の襞の頂点と前記外層非折り返し部の襞の頂点との間の長さをL10としたとき、
前記L10に対する前記L9の比率L9/L10が1以上64以下、好ましくは1.05以上38以下である、前記<9>に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<11>
前記第1伸縮領域における前記弾性部材の太さが、前記第2伸縮領域における前記弾性部材の太さよりも細い、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<12>
前記第1伸縮領域における前記弾性部材の伸長倍率が、前記第2伸縮領域における前記弾性部材の伸長倍率よりも低い、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<13>
前記内層シートは、前記腹側部に、前記吸収性本体の前記長手方向の端部より外方において肌対向面側に折り返された、内層折り返し部を有しており、
前記内層折り返し部は、少なくとも前記股下部側の端部が、該内層折り返し部と相対向する部材と接合されている、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<14>
前記外層シートの坪量が、30g/m
2以下であり、好ましくは11g/m
2以上30g/m
2以下、より好ましくは15g/m
2以上20g/m
2以下である、前記<1>〜<13>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
<15>
前記内層シートは、前記腹側部に、前記吸収性本体の前記長手方向の端部より外方において肌対向面側に折り返された、内層折り返し部を有しており、
少なくとも前記腹側部において、前記外層折り返し部と前記内層折り返し部との色が互いに異なっている、前記<1>〜<14>のいずれか1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。