(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6741886
(24)【登録日】2020年7月29日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】装置及び装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20200806BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20200806BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
H05K1/14 A
H05K3/36 B
H05K3/34 507C
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-570133(P2019-570133)
(86)(22)【出願日】2018年6月21日
(65)【公表番号】特表2020-524409(P2020-524409A)
(43)【公表日】2020年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2018066502
(87)【国際公開番号】WO2019002059
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2019年12月18日
(31)【優先権主張番号】17177821.0
(32)【優先日】2017年6月26日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ボアムファ マリウス イオシフ
(72)【発明者】
【氏名】クネープケンス フランシスクス アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】モースコプス バスティアーン ウィルヘルムス マリア
(72)【発明者】
【氏名】フェルハヘン リエコ
(72)【発明者】
【氏名】パレロ ヨナサン アラムブラ
(72)【発明者】
【氏名】ファン アベーレン フランク アントン
【審査官】
ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−039064(JP,A)
【文献】
特開2007−027538(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0206405(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0175330(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 3/34
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
少なくとも2つの電子部品が配置された構成基板と、
を有し、
前記構成基板の厚さ全体に亘って少なくとも1つの開口が形成され、前記少なくとも1つの開口は、前記少なくとも2つの電子部品の間の空間に形成され、
前記構成基板は、はんだ接合を用いて前記ベース基板に結合された、装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの電子部品のそれぞれは、発光ダイオード素子を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開口は、前記構成基板の厚さと少なくとも等しい幅を持つ、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口は、50マイクロメートルと300マイクロメートルとの間の幅を持つ、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口はスリットを有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記構成基板はシリコン基板を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記構成基板の厚さ全体に亘って複数の開口が形成され、前記複数の開口は、前記少なくとも2つの電子部品の間の空間において少なくとも一本の略直線上に配置された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
それぞれがはんだ接合により前記ベース基板に結合され、それぞれが発光ダイオード素子のアレイを配置された、構成基板のアレイを有し、各前記構成基板において、前記発光ダイオード素子の間の複数の空間において前記構成基板の厚さ全体に亘り複数の開口が形成された、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置を持つ処置光源を有する、パーソナルケア装置。
【請求項10】
前記パーソナルケア装置は皮膚処置装置又は毛処置装置である、請求項9に記載のパーソナルケア装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置を製造する方法であって、
ベース基板を備えるステップと、
構成基板を備えるステップと、
前記構成基板上に少なくとも2つの電子部品を配置するステップと、
前記少なくとも2つの電子部品の間の空間において前記構成基板の厚さ全体に亘って少なくとも1つの開口を形成するステップと、
前記構成基板と前記ベース基板との間にはんだ接合を形成するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの開口を形成するステップは、ウェットプラズマエッチング工程、ドライプラズマエッチング工程、レーザ切断工程、超音波穿孔工程、機械穿孔工程、高圧水穿孔工程又は切断工程、サンドブラスト工程、研磨ウォータージェット加工工程、及び放電加工工程のうち少なくとも1つを用いて前記少なくとも1つの開口を形成するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記はんだ接合を形成するステップは、リフローはんだ付け工程を用いてはんだ接合を形成するステップを有する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの開口を形成するステップは、リソグラフィー沈着工程又は構成基板を切り取る工程の間に実行される、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの電子部品のそれぞれは、発光ダイオード素子を有する、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を持つ装置、及び更に詳細には、はんだ付け工程を用いて形成される装置に関する。本発明はまた、電子部品を持つ装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、多くの技術分野で用いられている。斯かる電子部品は、しばしば装置に組み込まれ、他の電子部品や電子システムにおける電源と接続される。幾つかの装置においては、電子部品は、印刷回路基板(PCB)上に形成された電気コネクタ(例えば導電線)を用いて電子部品を力学的に支持し電気的に接続する、PCB上に配置され得る。電子部品は、適切な電気的な接続(例えばはんだ付け接合)を用いてPCB上の電気コネクタに接続されるか、又はそれ自体がPCBにはんだ付けされるか若しく装着され得る中間構成基板に装着されるか若しくは該基板上に形成され得る。
【0003】
幾つかの場合において、例えば電子部品がPCBにはんだ付けされた中間構成基板上に装着された例においては、リフロー(reflow)はんだ付け工程が用いられ得る。リフローはんだ付けは、粉状のはんだと溶剤との混合物であるはんだペーストの使用を必要とする。はんだペーストは、ともに接続されるべき面(例えば構成基板及びPCBの面)の間に塗布され、これら面を互いに一時的に接着する。これらの集合体(又ははんだペースト)が次いで加熱されて、はんだを溶かし、それにより接続されるべき面の間の永続的な電気的接続を生成する。リフローはんだ付け工程の間、はんだペーストのなかの揮発性の溶媒が脱ガスさせられる。接続されるべき面の間のはんだ接合内に捕捉された気体は、不完全で不均一なはんだ接合をもたらし得、熱的及び電気的な影響をもたらし、電子部品及び該電子部品を有する装置が設置されるべき装置の性能に影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品を有する装置が組み込まれ得る装置のタイプの一例は、パーソナルケア装置である。毛処置装置(例えばシェーバ、トリマ、脱毛器及び光脱毛器)、皮膚処置装置及び口腔処置装置のようなパーソナルケア装置はいずれも、ユーザの身体の一部を処置するために用いられる電子部品を含み得る。ここで前述したように電子部品を持つ装置において不完全で不均一なはんだ接合によって装置の性能が影響を受け得る、パーソナルケア装置の特定のタイプは、高エネルギー光パルスを生成するため高強度の発光ダイオードのアレイを備えた処置光源を有する、光脱毛器又はその他の種類の皮膚処置装置である。発光ダイオードと該発光ダイオードが装着されるPCBとの間の不完全で不均一なはんだ接合は、該発光ダイオードにより生成される光強度の低下、及び該発光ダイオードから該PCBへの熱の伝達の低下に導き得る。低下した光強度は、該装置の処置効率に影響を及ぼし、低下した熱の伝達は、発光ダイオードへの熱的な損傷のリスクを増大させる。
【0005】
上述したように、電子部品を基板にはんだ付けする工程又は基板をPCBにはんだ付けする工程の間、はんだ接合内に捕捉された気体の生成が、電子部品の最適でない電気的及び熱的接続をもたらし、電子部品の熱的及び/又は電気的特性に影響を及ぼし得る。それ故、電子部品を接続する改善された方法、及び電子部品の改善された接続を持つ装置に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ベース基板と、少なくとも2つの電子部品が配置された構成基板と、を有し、前記構成基板の厚さ全体に亘って少なくとも1つの開口が形成され、前記少なくとも1つの開口は、前記少なくとも2つの電子部品の間の空間に形成され、前記構成基板は、はんだ接合を用いて前記ベース基板に結合された、装置が提供される。
【0007】
該少なくとも2つの電子部品の間の空間において構成基板に形成された少なくとも1つの開口は、はんだ付け工程の間に、該少なくとも1つの開口を介して、はんだペーストからの揮発性溶媒の容易な脱ガスを可能とする。揮発性溶媒が、はんだ付け工程の間に該少なくとも1つの開口を介して容易に脱ガスすることができるため、はんだ接合内の揮発性溶媒の捕捉が防止又は低減され、はんだ接合の均一性が改善され、ベース基板に対する電子部品の熱的及び電気的接続が改善される。ベース基板ではなく構成基板(例えば印刷回路基板であっても良い)において該少なくとも1つの開口を形成することは、PCB及び導電線のようなPCB上の部品に損傷が引き起こされない点、及び該装置の製造工程においてPCB上の電子部品を配置する間に該少なくとも1つの開口が該PCBにおける電子部品の配置を妨げない点において、有利である。更に、該少なくとも1つの開口は、例えばリソグラフィー沈着工程又は構成基板を切り取る工程の間のような、構成基板の製造の工程の間に形成されても良い。このようにして、該少なくとも1つの開口及び該装置全体を形成する工程が、よりコスト効率が良く、効率的なものとなり得る。
【0008】
本発明による装置の一実施例においては、前記少なくとも2つの電子部品のそれぞれは、発光ダイオード素子を有する。特に、構成基板上に、発光ダイオード素子のアレイが備えられても良い。本実施例においては、構成基板が、該アレイにおける比較的多数の発光ダイオード素子を担持する比各区的大きな面積を持つ場合であっても、構成基板における少なくとも1つの開口が、ベース基板と構成基板との間の均一なはんだ接合を生成することを可能とする。このことは、発光ダイオード素子のアレイに亘る均一な光強度、及び発光ダイオード素子のアレイに亘る発光ダイオード素子とベース基板との間の均一な熱伝導に帰着する。構成基板上に配置された複数の発光ダイオード素子(LED)を持つ装置は、光脱毛装置のようなパーソナルケア装置において用いられ得る。
【0009】
本発明による装置の一実施例においては、前記少なくとも1つの開口は、前記構成基板の厚さと少なくとも等しい幅を持つ。前記少なくとも1つの開口は、50マイクロメートルと300マイクロメートルとの間の幅を持っても良い。本発明による装置の特定の実施例においては、前記少なくとも1つの開口はスリットを有する。該少なくとも1つの開口の形状、幾何及びサイズを適切に選択することにより、はんだ付け工程の間に脱ガスしはんだ接合部から抜け出ることができる気体の量が最適化され得る。
【0010】
本発明による装置の特定の実施例においては、前記構成基板はシリコン基板を有しても良い。シリコン基板は、例えば接地への共通の電気的接続のような、ベース基板と構成基板上に配置された少なくとも2つの電子部品との間の、共通の電気的接続を形成する。シリコン基板は、該シリコン基板を製造するためのリソグラフィー工程の間の前記少なくとも1つの開口の形成を可能とする。
【0011】
本発明による装置の更なる実施例においては、前記構成基板の厚さ全体に亘って複数の開口が形成され、前記複数の開口は、前記少なくとも2つの電子部品の間の空間において少なくとも一本の略直線上に配置される。構成基板において複数の開口を利用することにより、はんだ付け工程の間に脱ガスしはんだ接合部から抜け出ることができる気体の量、及びそれにより、構成基板とベース基板との間のはんだ接合の均一性が、増大させられ得る。開口を直線上に又は略直線上に形成することは、開口形成工程を簡素化し、コストを削減し得る。
【0012】
本発明による装置の更なる実施例においては、該装置は、それぞれがはんだ接合により前記ベース基板に結合され、それぞれが発光ダイオード素子のアレイを配置された、構成基板のアレイを有し、各前記構成基板において、前記発光ダイオード素子の間の複数の空間において前記構成基板の厚さ全体に亘り複数の開口が形成される。本実施例においては、発光ダイオード素子のアレイが配置された各構成基板は、LEDアレイ要素を形成し、該LEDアレイ要素のアレイは、光脱毛装置又はその他のタイプの皮膚処置装置における処置光源としての使用に適したものとなり得るLEDアレイを形成する。本実施例においては、各LEDアレイ要素は、個々のはんだ接合によってベース基板に電気的及び熱的に接続され、該はんだ接合は、LEDアレイ要素の構成基板の厚さ全体に亘り形成された複数の開口の結果、高い均一性を持つ。斯くして、該LEDアレイは全体として、均一な光強度及び高い効率を提供する。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、以上に説明された本発明による装置を持つ処置光源を有するパーソナルケア装置を提供する。該パーソナルケア装置は、毛除去装置又は毛成長低減装置、特に光脱毛装置のような、皮膚処置装置又は毛処置装置であっても良い。
【0014】
第3の態様によれば、本発明は、本発明による装置を製造する方法であって、ベース基板を備えるステップと、構成基板を備えるステップと、前記構成基板上に少なくとも2つの電子部品を配置するステップと、前記少なくとも2つの電子部品の間の空間において前記構成基板の厚さ全体に亘って少なくとも1つの開口を形成するステップと、前記構成基板と前記ベース基板との間にはんだ接合を形成するステップと、を有する方法を提供する。
【0015】
本発明による方法により装置を製造することは、少なくとも2つの電子部品の間の空間における構成基板における少なくとも1つの開口の形成が、構成基板とベース基板との間のはんだ接合を形成する後続するステップの間に、該少なくとも1つの開口を介したはんだペーストからの揮発性溶媒の容易な脱ガスを可能とするため、有利である。揮発性の溶媒は、はんだ接合を形成するステップの間に該少なくとも1つの開口を介して容易に脱ガスすることができるため、はんだ接合内の揮発性溶媒の捕捉が防止又は低減され、これによりはんだ接合の均一性が改善され、ベース基板に対する電子部品の熱的及び電気的接続が改善される。本発明による方法の他の利点は、シリコン基板のようなむき出しの構成基板の厚さ全体に亘り少なくとも1つの開口を形成するステップが、種々の導電線及びその他の構成要素を含むPCBのようなベース基板において斯かる開口を形成するよりも、コストが小さいという点である。これに加えて、少なくとも1つの開口が構成基板に形成される場合、はんだ接合を形成するステップの直前のベース基板に対する構成基板の整列が、かなり容易となる。
【0016】
本発明による方法の一実施例においては、前記少なくとも1つの開口を形成するステップは、ウェットプラズマエッチング工程、ドライプラズマエッチング工程、レーザ切断工程、超音波穿孔工程、機械穿孔工程、高圧水穿孔工程又は切断工程、サンドブラスト工程、研磨ウォータージェット加工工程、及び放電加工工程のうち少なくとも1つを用いて前記少なくとも1つの開口を形成するステップを有する。
【0017】
本発明による方法の更なる実施例においては、前記はんだ接合を形成するステップは、リフローはんだ付け工程を用いてはんだ接合を形成するステップを有する。リフローはんだ付け工程は、一般にはんだ付け工程の間にはんだペーストからの脱ガスを引き起こさせられ、少なくとも1つの開口を介して出ていくことができるような、揮発性溶媒として用いられても良い。
【0018】
本発明による方法の更に他の実施例においては、前記少なくとも1つの開口を形成するステップは、リソグラフィー沈着工程又は構成基板を切り取る工程の間に実行される。少なくとも1つの開口を形成するステップを、構成基板の製造を含む他の工程と組み合わせることにより、製造コストが維持され、製造工程の効率が最適化され得る。
【0019】
本発明による方法の更なる実施例においては、前記少なくとも2つの電子部品のそれぞれは、発光ダイオード素子を有する。特に、発光ダイオード素子のアレイが、前記構成基板に配置されても良い。本実施例においては、構成基板が、アレイにおいて比較的多数の発光ダイオード素子を担持する比較的大きな表面積を持つ場合であっても、該構成基板における少なくとも1つの開口が、ベース基板と構成基板との間の均一なはんだ接合を生成することを可能とする。このことは、発光ダイオード素子のアレイに亘る均一な光強度、及び発光ダイオード素子のアレイに亘る発光ダイオード素子とベース基板との間の均一な熱伝導に帰着する。
【0020】
本発明の他の特徴は、本発明による装置及び方法の好適な実施例を以下の説明から明らかとなるであろう。
【0021】
本発明の更なる理解のため、及び本発明がどのように実行されるかを更に明確に示すため、単に例としてのみ、添付図面への参照が為される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】それぞれが電子部品を配置されベース基板に接続された複数の構成基板を持つ本発明による装置の一例の模式的な図である。
【
図2】電子部品を配置された
図1の装置の構成基板の1つの一例の模式的な図である。
【
図3】ベース基板に接続され電子部品が配置された構成基板を持つ本発明による装置の一例の模式的な図である。
【
図4】本発明によるパーソナルケア装置の一例の図である。
【
図5】
図3の装置のような本発明による装置を製造する本発明による方法の一例のフロー図である。
【
図6】
図4のパーソナルケア装置のような本発明によるパーソナルケア装置を製造する方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上述したように、幾つかのはんだ付け工程の間、はんだ物質のなかに気体が生成されて、該気体がはんだ接合のなかに閉じ込められ、斯くしてはんだ接合が不均一に形成されることをもたらし、該はんだ接合により電気的に接続された電子部品及び該電子部品が中に装着された装置の不完全な機能に導くことがあり得る。比較的小さな占有面積(即ち比較的小さなはんだ付けされるべき接触面積)を持つ電子部品が基板にはんだ付けされる場合には、はんだ付け工程の間に形成された気体は、該電子部品の側面に沿って脱出することが可能であり得る。しかしながら、はんだ付け工程が比較的大きな電子部品を接続するために用いられる場合、又は電子部品が配置された構成基板を接続するために用いられる場合、該電子部品又は構成基板の側面に沿って気体が脱出することができず、はんだ接合に閉じ込められることとなり得る。それ故本発明者は、はんだ付けされる面間のはんだ接合に、気体が閉じ込められない、又は最小限の量の気体しか閉じ込められないように、はんだ付け工程が実行されることができるようにする方法を提案する。
【0024】
本発明は、広範な技術に適用され得るが、ここで議論される本発明が適用され得る技術の分野の一例は、パーソナルケア装置の分野である。具体的には、本発明は、例えば光脱毛器としても知られるIPL(intense pulsed light)装置、又はその他のタイプの処置光源を持つ皮膚処置装置のような、毛除去又は毛成長低減装置の分野において用途を見出し得る。既知の光脱毛器は、毛を処置するための光の高強度のパルスを生成するために、キセノン閃光電球のような高強度の光源を用いるが、発光ダイオード(LED)を用いて処置光パルスを生成することが提案されてきている。斯かる構成においては、例えば基板(ここでは構成基板又はLEDアレイ基板と示される)上に複数のLED素子がアレイ状に配置され、該基板が次いで、はんだ接合を用いて、印刷回路基板(PCB)のようなベース基板に装着されても良い。LED素子のアレイが配置された該構成基板は、配置された個々のLED素子に比べて、比較的大きなものとなり得る。それ故、構成基板とベース基板との間にはんだ接合を形成する工程の間にはんだ物質に形成された気体は、はんだ接合に閉じ込められることとなり得る。
【0025】
図面を参照すると、
図1は、本発明による装置100の模式的な図を示している。装置100は、パーソナルケア装置のような装置における使用のための装置、特に処置光源であっても良い。装置100は、本例においては印刷回路基板(PCB)である、ベース基板102を含む。複数の構成基板104が、はんだ接合を用いて、それぞれベース基板102に装着される。例えば、各構成基板104は、リフローはんだ付け工程によって形成された個々のはんだ接合により、ベース基板102に装着されても良い。本例においては、各構成基板104は、該基板上に配置された電子部品106のアレイを持ち、これらアレイが、以下に議論されるように、構成基板104に装着されるか又は構成基板104上に形成されても良い。構成基板104と該基板上に配置された電子部品106のアレイとの組み合わせは、「構成基板要素」と示され得る。
図1に示された例においては、各電子部品106は、LEDタイルのような発光ダイオード(LED)素子を有し、部品アレイ要素は、「LEDアレイ要素」を構成する。図示された例においては、9個の構成基板104が、ベース基板102に装着され、各構成基板104は、該基板上に配置された9個の電子部品(例えばLEDタイル)106を持つ。ベース基板102の形状、構成基板104の数及び配置、並びに構成基板104のそれぞれにおける電子部品106の数及び配置は、
図1の例において示されたものとは異なっても良いことは、理解されるであろう。同様に、本例における電子部品106はLEDタイル106を有するが、本発明の他の例においては、電子部品106は他のいずれのタイプのものであっても良い。
【0026】
幾つかの例においては、電子部品106は、構成基板104上に物質がリソグラフィー的に堆積させられる工程の一部として、構成基板104上に形成されても良い。構成基板104上への電子部品106の形成の当該方法は、特にLED素子を有する
図1の例において用いられ得る。他の例においては、電子部品106は、構成基板104上に形成されても良いし、又は他の既知の手法を用いて構成基板104上に接続、載置、装着若しくは配置されても良い。
【0027】
構成基板104は、いずれの適切な材料から形成されても良い。例えば、構成基板104は、シリコンから形成されても良い。構成基板104上に配置された各電子部品106は、図示されていない例えば金の配線による別個の電気的な接続によって、個別にアドレスされても良い。構成基板104上の全ての電子部品106は、
図1の例においては構成基板104によって、共通の電気的な接地接続を共有しても良い。
【0028】
図2は、
図1に示された装置100の1つの構成アレイ要素200(即ち電子部品106のアレイが配置された構成基板104)の模式的な図を示す。
図2における構成基板104は、該基板を貫通する複数の開口202を持つ。これら開口は、
図1には明確には示されていない。開口202は貫通穴であり、
図3に明確に示されているように、該開口を通して、構成基板104の一方の主側から反対側の主側への通路を形成する。換言すれば、開口202は、構成基板104の厚さt全体を通って延在する。
図2の例においては、構成基板104は該基板を通る28個の開口を含むが、他の例において形成される開口の数は、より多くても良いし又は少なくても良い。例えば、構成基板104を通る単一の開口のみが形成されても良い。
【0029】
開口202は、電子部品106間の空間に形成される。即ち、開口202は、電子部品106間の領域において構成基板104を通って形成される。このようにして、電子部品106により占有されない構成基板104の領域に開口202が形成され、それ故開口202の位置は電子部品106の機能に悪影響を与えない。開口202は、
図2に示された例におけるように、電子部品106間の空間において中央に配置される必要はない。幾つかの例においては、開口202は、隣接する電子部品より特定の電子部品106の近くに配置されても良い。
【0030】
図示された例においては、開口202は、電子部品106間において直線上に又は略直線上に形成されている。当該配置で開口を形成することは、製造効率の点で利益をもたらし得る。しかしながら、代替として開口202は他の何らかの態様で配置されても良いことは、理解されるであろう。
【0031】
図3は、
図1の装置100の一部の断面図を示す。
図3に示される装置100は、ベース基板102及び構成基板104を有する。構成基板104は、該基板上に配置された少なくとも2つの電子部品106を持つ。該構成基板の厚さ全体を通して、少なくとも1つの開口202が形成される。
図3に示された例においては、該構成基板は厚さtを持つ。少なくとも1つの開口202は、少なくとも2つの電子部品106の間の空間に形成される。構成基板104は、はんだ接合302によりベース基板102に結合される。
【0032】
電子部品106の間の空間の位置において、構成基板104に開口202を形成することにより、開口202は、電子部品106の熱的又は電気的な態様に干渉する又は悪影響を与えないことを確実にするよう、正確に位置決めされることができる。例えばベース基板102ではなく構成基板104に開口202を形成する更なる利点は、構成基板104とベース基板102との間の電気的な接続が悪影響を受けないことである。更に、開口202は、例えばベース基板(例えばPCB)102ではなく構成基板104に形成されるため、開口202は、例えば個々の構成基板104が、より大きなウェハから切り出される(即ち切断される)間に、製造工程において早期に生成され得る。構成基板104において開口202を生成する工程を、例えば構成基板104をウェハから切り出すことのような該基板の製造工程と組み合わせることにより、装置100の全体の製造工程が簡素化され、製造コストが削減される。
【0033】
上述したように、リフローはんだ付け工程のようなはんだ付け工程が、構成基板104をベース基板102に装着するために用いられる場合、はんだ接合302を形成するためのはんだ付け工程の間に、はんだ物質における揮発性溶媒の脱ガスが生じ得る。構成基板104を通る開口202は、はんだ物質から脱ガスした揮発性溶媒が、はんだ付け工程の間にはんだ接合302から抜け出すための通路を提供する。このようにして、構成基板104とベース基板102との間のはんだ接合302にトラップされる気体の量が低減され、はんだ接合302の均一性が影響を受けない(即ち低減される)か又は最小限の量しか影響を受けない。
図3において、矢印は、はんだ付け工程の間に気体が流れはんだ接合302から抜け出す、とり得る方向を示す。
【0034】
少なくとも1つの開口202は、幾つかの実施例においては、少なくとも2つの電子部品106の間の空間に嵌合することが可能となるよう、可能な限り大きく形成されても良い。このことは、はんだ付け工程の間にはんだ接合302に生成された気体が開口202を介して抜け出ることが可能となる見込みを増大させる。幾つかの実施例においては、少なくとも1つの開口202は、構成基板104の厚さtに少なくとも等しい幅を持つ。ここでもまた、このことははんだ付け工程の間に気体が抜け出す見込みを増大させるが、構成基板104の構造的な完全性を確実にする。勿論、少なくとも2つの電子部品106間の空間が比較的大きい実施例においては、開口202の幅は比較的大きくても良く、少なくとも2つの電子部品106間の空間が比較的小さい実施例においては、開口202の幅は比較的小さくても良い。幾つかの実施例においては、少なくとも1つの開口202は、50マイクロメートルと300マイクロメートルとの間の幅を持っても良い。幾つかの実施例においては、少なくとも1つの開口202の幅は、50マイクロメートルと200マイクロメートルとの間、又はより好適には50マイクロメートルと100マイクロメートルとの間であっても良い。従って、構成基板104は、対応する50マイクロメートルと300マイクロメートルとの間、より好適には50マイクロメートルと200マイクロメートルとの間、更に好適には50マイクロメートルと100マイクロメートルとの間の幅を持っても良い。
【0035】
開口202は、いずれの適切な形状のものであっても良い。製造の容易さのため、少なくとも1つの開口202は、略円形の断面を有しても良い。本実施例においては、構成基板104を通る、略円筒形の貫通穴が形成され得る。幾つかの実施例においては、少なくとも1つの開口202は、スリットを有しても良い。スリットの形をとる少なくとも1つの開口202を形成することは、はんだ付け工程の間にはんだ接合320から気体が通って抜け出すことが可能である大きな領域がある点において、円形の開口に比べて有利となり得る。
【0036】
上述したように、構成基板104は、シリコン基板を有しても良い。比較的薄いシリコン基板は、特に脆弱であり、損傷に弱いものとなり得ることが知られている。それ故、シリコン基板はしばしば、より強く耐久性のあるものとなり得る、それ故シリコン基板又は該基板に装着された部品に対して損傷を引き起こすことなく取り扱うことが容易なものとなり得る、集積回路パッケージを形成するようパッケージングされる。パッケージングされると、構成基板(即ちシリコン基板)に開口を形成することは困難である。しかしながら本発明においては、構成基板104は剥き出しでパッケージングされていない基板であり、それ故構成基板104に開口202を形成することが可能であり、ベース基板102に開口202を形成するよう試みる必要はない。
【0037】
図面に示された実施例のような幾つかの実施例においては、複数の開口202は、構成基板104の厚さ全体を通って形成されても良い。上述したように、複数の開口202は、少なくとも1本の直線又は略直線に配置されても良い。複数の開口202が構成基板104を通って形成される幾つかの実施例においては、開口202は種々の形状及び/又はサイズを持っていても良い。例えば、複数の開口202のうち1つ以上が円形であり、該複数の開口のうち1つ以上がスリットとして形成されても良い。構成基板104における特定の位置において形成されるべき開口202のサイズ及び/又は形状の選択は、構成基板104上にある又は構成基板104上に形成若しくは装着されるべき電子部品106の性質(例えばサイズ、形状及び数)に基づくものであっても良い。
【0038】
以上に議論された装置100は、種々の態様で実装され得る。本発明の一態様によれば、装置100は、
図4に示されたパーソナルケア装置400のようなパーソナルケア装置に組み込まれても良い。パーソナルケア装置400は、ユーザの皮膚の或る領域からの毛を取り除く又は毛の成長を妨げるため、皮膚の当該領域に高強度パルス光を発する光脱毛器である。しかしながら、装置100は他のタイプのパーソナルケア装置にも組み込まれ得ることは、理解されるであろう。
【0039】
パーソナルケア装置400は、
図1に単に模式的に示されている、処置光源404を有する。処置光源404は、以上に議論され
図1及び3に示されたように、LEDアレイ素子のアレイを有する装置100を有する。特に、
図1、2及び3に示されるように、処置光源404は、それぞれがはんだ接合302によりベース基板102に接続され、それぞれが発光ダイオード素子(又はLEDタイル)の形をとる電子部品106のアレイを配置された、構成基板104のアレイを有し、各構成基板104において、複数の開口202は、発光ダイオード素子の間の複数の空間において構成基板104の厚さ全体を通る複数の開口202が形成されている。パーソナルケア装置400は、幾つかの実施例においては、毛の成長を低減させる又は防止する毛処置装置であって良い。幾つかの実施例においては、パーソナルケア装置400は更に、ハンドル部402又はユーザによって保持されるのに適したサイズの筐体を有しても良い。パーソナルケア装置402は勿論、
図4に示されていない他の特徴及び構成要素を含んでも良い。例えば、該パーソナルケア装置は、該装置の他の構成要素を含む筐体アセンブリを有しても良い。該筐体アセンブリは、ハンドル部402を有しても良い。筐体アセンブリが装置100を収容しても良いし、又は装置100が当業者には一般的な態様で筐体アセンブリへと組み立てられても良い。使用時には、皮膚の一部が処置光源404にさらされるよう、ユーザが該ユーザの手でハンドル部402を保持しても良い。
【0040】
本発明の他の態様は、装置100のような本発明による装置を製造する方法に関する。
図5は、装置100を製造する本発明による方法500の一例のフロー図である。方法500は、ステップ502において、ベース基板102を備えるステップを有する。該ベース基板は、PCBを有しても良い。ステップ504において、方法500は、構成基板104を備えるステップを有する。幾つかの例においては、構成基板104はシリコン基板を有しても良い。方法500は、ステップ506において、少なくとも2つの電子部品106を構成基板104に配置するステップを有する。電子部品106は、幾つかの例においては、構成基板104上に形成又は構築されても良い。ステップ508において、該方法は、少なくとも2つの電子部品106の間の空間において、構成基板104の厚さ全体を通る少なくとも1つの開口202を形成するステップを有する。
【0041】
方法500は、ステップ510において、構成基板104とベース基板102との間にはんだ接合302を形成するステップを有する。ステップ502乃至ステップ510は、
図5において特定の順序で表されているが、方法500のステップは異なる順序で実行されても良いことは明らかであろう。例えば、少なくとも1つの開口を形成するステップ(ステップ508)は、構成基板104に少なくとも2つの電子部品を配置するステップ(ステップ506)に先立って実行されても良い。
【0042】
本発明による方法の幾つかの実施例においては、ステップ510において、以上に概説されたように、リフローはんだ付け工程を用いてはんだ接合が形成されても良い。
【0043】
少なくとも2つの電子部品106のそれぞれは、幾つかの実施例においては、発光ダイオード(LED)素子を有する。
【0044】
少なくとも1つの開口は、幾つかの態様で形成され得る(ステップ508)。幾つかの実施例においては、該少なくとも1つの開口は、ウェットプラズマエッチング工程、ドライプラズマエッチング工程、レーザ切断工程、超音波穿孔工程、機械穿孔工程、高圧水穿孔工程又は切断工程、サンドブラスト工程、研磨ウォータージェット加工工程、及び放電加工工程のうち少なくとも1つを用いて形成されても良い。構成基板104を通る開口202を生成する他の好適な方法が利用されても良く、斯かる方法は当業者には一般的であろう。
【0045】
少なくとも1つの開口202を形成するステップ508は、リソグラフィー沈着工程又は構成基板104を切り取る工程の間に実行されても良い。換言すれば、少なくとも1つの開口202は、材料が構成基板104にリソグラフィー的に沈着させられる間に形成されても良い。このようにして、開口202は、構成基板104又は構成基板104上の部品の他の特徴をも形成する工程において形成されることができ、構成基板104の製造工程を簡略化する。更に、リソグラフィー沈着工程は、構成基板104がベース基板102に装着される前に実行されるため、斯かるリソグラフィー沈着工程によって開口202を形成することにより、構成基板104を取り扱い操作することが容易となり得る。斯くして、装置100の他のいずれの要素に対しても、損傷が引き起こされるリスクが低くなる。
【0046】
本発明の更なる態様は、本発明によるパーソナルケア装置を製造する方法に関する。
図6は、
図4に示されたパーソナルケア装置400のようなパーソナルケア装置を製造する方法600の例のフロー図である。方法600は、ステップ602において、以上に議論された方法500により装置100を製造するステップを有する。ステップ604において、方法600は、パーソナルケア装置400の筐体アセンブリに装置100を組み立てるステップを有する。
【0047】
図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する変形が理解され実行され得る。請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又はその他のユニットが、請求項に列記された幾つかのアイテムの機能を実行しても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。