特許第6742012号(P6742012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6742012アスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6742012
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】アスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/02 20060101AFI20200806BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20200806BHJP
   G01K 13/02 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   E01C19/02
   G01N21/17 A
   G01K13/02
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-12882(P2020-12882)
(22)【出願日】2020年1月29日
【審査請求日】2020年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520002494
【氏名又は名称】株式会社ポイントキャット
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】浅川 眞二
(72)【発明者】
【氏名】宮本 博文
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−198968(JP,A)
【文献】 特開2016−040445(JP,A)
【文献】 特開平10−018215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
E01C 21/00−23/24
G01J 5/00− 5/62
G01K 13/02
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサによりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物の温度を測定する温度測定システムであって、
前記ミキサ内の前記アスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された複数の撮像画像に基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算する演算装置と、を備えており、
前記演算装置は、
前記複数の撮像画像のうちの一の撮像画像から、前記アスファルト混合物内の前記骨材を特徴点として抽出し、前記一の撮像画像以降に撮像された複数の撮像画像において前記特徴点を追跡する画像解析部と、
前記特徴点の追跡結果に基づいて、前記特徴点の所定時間あたりの移動距離dを演算し、演算された前記移動距離dが長くなるほど前記アスファルト混合物の温度tが高くなるように、前記温度tを演算する温度演算部と、を備えているアスファルト混合物の温度測定システム。
【請求項2】
請求項に記載のアスファルト混合物の温度測定システムであって、
前記演算装置は、予め実測された前記特徴点の所定時間あたりの移動距離である移動距離データと、予め実測された前記アスファルト混合物の温度である温度データと、を含むマスターデータを備え、前記マスターデータは、前記移動距離データが長いほど前記温度データが高くなるように、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられており、
前記温度演算部は、前記マスターデータから、演算された前記移動距離dに対応する前記移動距離データを特定し、特定した前記移動距離データに対応付けられている前記温度データに基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算するアスファルト混合物の温度測定システム。
【請求項3】
請求項に記載のアスファルト混合物の温度測定システムであって、
前記温度演算部は、下記式(1)に基づいて前記移動距離dに対応する前記アスファルト混合物の温度tを算出するアスファルト混合物の温度測定システム。
【数1】
但し、上記の(1)式において、
n及びn1は、前記マスターデータが有する前記移動距離データであり、
nは、前記移動距離dよりも短い第nの移動距離データであり、
n1は、前記移動距離dよりも長い第n1の移動距離データであり、
m及びm1は、前記マスターデータが有する前記温度データであり、
mは、前記第nの移動距離に対応する第mの温度データであり、
m1は、前記第n1の移動距離に対応する第m1の温度データである。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のアスファルト混合物の温度測定システムであって、
前記演算装置は、複数の前記マスターデータを備えたデータベースを備えており、
前記複数のマスターデータは、前記アスファルト混合物の種類又は前記ミキサの回転速度ごとに、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられているアスファルト混合物の温度測定システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアスファルト混合物の温度測定システムであって、
前記画像解析部は、前記アスファルト混合物に含まれる前記骨材の輝度又はサイズに基づいて、前記骨材を特徴点として抽出するアスファルト混合物の温度測定システム。
【請求項6】
アスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、
前記アスファルトと前記骨材とを混合するミキサと、
請求項1〜のいずれか一項に記載のアスファルト混合物の温度測定システムと、を備えたアスファルトプラント。
【請求項7】
ミキサによりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物の温度を測定する温度測定方法であって、
前記ミキサ内の前記アスファルト混合物を撮像装置によって所定の時間間隔で撮像する第1のステップと、
前記撮像装置によって撮像された複数の撮像画像のうちの一の撮像画像から、画像解析部によって前記アスファルト混合物内の前記骨材を特徴点として抽出し、前記一の撮像画像以降に撮像された複数の撮像画像において前記特徴点を追跡する第2のステップと、
前記特徴点の追跡結果に基づいて、前記特徴点の所定時間あたりの移動距離dを演算する第3のステップと、
演算された前記移動距離dに基づいて、前記移動距離dが長くなるほど前記アスファルト混合物の温度tが高くなるように、前記温度tを演算する第4のステップと、を備えたアスファルト混合物の温度測定方法。
【請求項8】
請求項に記載のアスファルト混合物の温度測定方法であって、
前記第4のステップは、演算された前記移動距離dと、予め備えているマスターデータと、に基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算するステップを含み、
前記マスターデータは、予め実測された前記特徴点の所定時間あたりの移動距離である移動距離データと、予め実測された前記アスファルト混合物の温度である温度データとを含み、前記マスターデータは、前記移動距離データが長いほど、前記温度データが高くなるように、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられており、
前記ステップは、前記マスターデータから、演算された前記移動距離dに対応する前記移動距離データを特定し、特定した前記移動距離データに対応付けられている前記温度データに基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算するアスファルト混合物の温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物の温度測定システム及び温度測定方法と、温度測定システムを利用したアスファルトプラントと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の舗装材として知られるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントは、加熱して乾燥された骨材と、加熱して液状に溶解されたアスファルトとをミキサにより混合してアスファルト混合物を製造している。アスファルトは、温度に応じて粘度が変化し、温度が低いほど粘度が高くなるため、アスファルトプラントから出荷されたアスファルト混合物は、道路への敷きならしに適した粘度が得られるように、所定の敷きならし温度(例えば、110°C以上)で道路に敷きならされる。そのため、アスファルト混合物の出荷温度は、アスファルト混合物が工事現場に輸送されて、道路への敷きならしが開始されるまでの温度低下を考慮して設定される。
【0003】
アスファルトプラントでは、アスファルト混合物の出荷温度として、ミキサ内のアスファルト混合物の温度を測定している。この出荷温度の測定には、被測定物の表面温度を非接触で測定する赤外線温度計等の放射温度計が用いられている(例えば、特許文献1参照)。赤外線温度計には、被測定物の1点の表面温度を測定するスポット温度計と、被測定物の広い範囲の表面温度を温度分布として測定するサーモグラフィとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−018215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スポット温度計では、アスファルト混合物の部分的な温度しか測定できないため、出荷温度として用いるには信頼性に欠ける。また、スポット温度計の赤外線受光部は直径が数ミリ程度と小さいため、ミキサへの骨材の投入時に発生する粉塵や、骨材とアスファルトとの混合時に発生する水蒸気等の影響を受けやすく、誤測定が発生しやすい。さらに、スポット温度計は、赤外線受光部に粉塵等の汚れが少しでも付着すると正確な温度が測定できなくなるため、定期的に赤外線受光部の清掃を行い、標準温度計と測定温度が一致するようにキャリブレーションを行う必要がある。これに対し、サーモグラフィは、赤外線を受光する光学系がスポット温度計の赤外線受光部よりも大きいため、粉塵や水蒸気、汚れの付着等の影響は受けにくい。しかしながら、サーモグラフィで撮影された熱画像は解像度が低いため、熱画像を色判定して温度を測定すると測定誤差が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、粉塵や水蒸気等の影響を受けずに、アスファルト混合物の温度を精度よく測定することができるアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係るアスファルト混合物の温度測定システムは、ミキサによりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物の温度を測定する温度測定システムであって、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された複数の撮像画像に基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算する演算装置と、を備えており、前記演算装置は、前記複数の撮像画像のうちの一の撮像画像から、前記アスファルト混合物内の前記骨材を特徴点として抽出し、前記一の撮像画像以降に撮像された複数の撮像画像において前記特徴点を追跡する画像解析部と、前記特徴点の追跡結果に基づいて、前記特徴点の所定時間あたりの移動距離dを演算し、演算された前記移動距離dが長くなるほど前記アスファルト混合物の温度tが高くなるように、前記温度tを演算する温度演算部と、を備えている。
【0009】
]上記発明において、前記演算装置は、予め実測された前記特徴点の所定時間あたりの移動距離である移動距離データと、予め実測された前記アスファルト混合物の温度である温度データと、を含むマスターデータを備え、前記マスターデータは、前記移動距離データが長いほど前記温度データが高くなるように、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられており、前記温度演算部は、前記マスターデータから、演算された前記移動距離dに対応する前記移動距離データを特定し、特定した前記移動距離データに対応付けられている前記温度データに基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算してもよい。
【0011】
]上記発明において、前記温度演算部は、下記式(1)に基づいて前記移動距離dに対応する前記アスファルト混合物の温度tを算出してもよい。
【0012】
【数1】
【0013】
但し、上記の(1)式において、n及びn1は、前記マスターデータが有する前記移動距離データであり、nは、前記移動距離dよりも短い第nの移動距離データであり、n1は、前記移動距離dよりも長い第n1の移動距離データであり、m及びm1は、前記マスターデータが有する前記温度データであり、mは、前記第nの移動距離データに対応する第mの温度データであり、m1は、前記第n1の移動距離データに対応する第m1の温度データである。
【0014】
]上記発明において、前記演算装置は、複数の前記マスターデータを備えたデータベースを備えており、前記複数のマスターデータは、前記アスファルト混合物の種類又は前記ミキサの回転速度ごとに、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられていてもよい。
【0016】
]上記発明において、前記画像解析部は、前記アスファルト混合物に含まれる前記骨材の輝度又はサイズに基づいて、前記骨材を特徴点として抽出してもよい。
【0017】
]本発明に係るアスファルトプラントは、アスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、前記アスファルトと前記骨材とを混合するミキサと、上記のアスファルト混合物の温度測定システムと、を備えている。
【0018】
]本発明に係るアスファルト混合物の温度測定方法は、ミキサによりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物の温度を測定する温度測定方法であって、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物を撮像装置によって所定の時間間隔で撮像する第1のステップと、前記撮像装置によって撮像された複数の撮像画像のうちの一の撮像画像から、画像解析部によって前記アスファルト混合物内の前記骨材を特徴点として抽出し、前記一の撮像画像以降に撮像された複数の撮像画像において前記特徴点を追跡する第2のステップと、前記特徴点の追跡結果に基づいて、前記特徴点の所定時間あたりの移動距離dを演算する第3のステップと、演算された前記移動距離dに基づいて、前記移動距離dが長くなるほど前記アスファルト混合物の温度tが高くなるように、前記温度tを演算する第4のステップと、を備えている。
【0020】
]上記発明において、前記第4のステップは、演算された前記移動距離dと、予め備えているマスターデータと、に基づいて、前記アスファルト混合物の温度を演算するステップを含み、前記マスターデータは、予め実測された前記特徴点の所定時間あたりの移動距離である移動距離データと、予め実測された前記アスファルト混合物の温度である温度データとを含み、前記マスターデータは、前記移動距離データが長いほど、前記温度データが高くなるように、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられており、前記ステップは、前記マスターデータから、演算された前記移動距離dに対応する前記移動距離データを特定し、特定した前記移動距離データに対応付けられている前記温度データに基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算してもよい。
【0022】
]上記発明において、前記第4のステップは、下記式(2)に基づいて前記移動距離dに対応する前記アスファルト混合物の温度tを算出してもよい。
【0023】
【数2】
【0024】
但し、上記の(2)式において、n及びn1は、前記マスターデータが有する前記移動距離データであり、nは、前記移動距離dよりも短い第nの移動距離データであり、n1は、前記移動距離dよりも長い第n1の移動距離データであり、m及びm1は、前記マスターデータが有する前記温度データであり、mは、前記第nの移動距離データに対応する第mの温度データであり、m1は、前記第n1の移動距離データに対応する第m1の温度データである。
【0025】
10]上記発明において、前記マスターデータとして、複数のマスターデータを備えており、前記複数のマスターデータは、前記アスファルト混合物の種類又は前記ミキサの回転速度ごとに、前記移動距離データと前記温度データとが対応付けられていてもよい。
【0027】
11]上記発明において、前記第2のステップにおいて、前記複数の撮像画像のうちの一の撮像画像から、前記アスファルト混合物内の特徴点を抽出するステップは、前記アスファルト混合物に含まれる前記骨材の輝度又はサイズに基づいて、前記骨材を特徴点として抽出してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、アスファルト混合物を撮像装置により撮像するので、スポット温度計に比べて粉塵や水蒸気、汚れの付着による影響を受けにくい。また、アスファルト混合物の特徴点の所定時間あたりの移動距離d、すなわち、アスファルト混合物の粘度に基づいて温度を測定することができるので、サーモグラフィで表面温度を測定する場合よりも精度よく温度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施形態に係るアスファルトプラント及び温度測定システムの構成を示す概略図である。
図2図2(a)は、図1に示す撮像装置により撮像したミキサ内のアスファルト混合物のフレーム画像を示し、図2(b)は、図2(a)のフレーム画像から数フレーム後のフレーム画像を示す説明図である。
図3図3は、図1に示すマスターデータの構成を示す表である。
図4図4は、図1に示す温度測定システムの処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、図1に示す混合槽の側面に設けた開口部からアスファルト混合物を撮像する構成を示す断面図である。
図6図6は、図1に示す混合槽の側面に設けた窓部からアスファルト混合物を撮像する構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、アスファルトプラント1は、新規骨材供給部2、再生骨材供給部3、石粉供給部4、アスファルト供給部5、添加剤供給部6、ミキサ7、温度測定システム8及び測定結果管理装置9等を備えている。新規骨材供給部2は新規骨材を、再生骨材供給部3は再生骨材を、石粉供給部4は石粉を、アスファルト供給部5は新規アスファルトを、添加剤供給部6は再生用添加剤を、各々、ミキサ7に供給する。ミキサ7は、供給された新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を混合してアスファルト混合物を製造する。温度測定システム8は、アスファルトプラント1で製造されたアスファルト混合物の出荷温度を測定する。測定結果管理装置9は、アスファルト混合物の温度の測定結果を管理する。アスファルトプラント1で製造されたアスファルト混合物は、トラック10に積載され、道路の工事現場へ運搬される。なお、図1中において、骨材、石粉、新規アスファルト、添加剤等の流れを実線で示し、画像データや制御信号等の流れを破線で示す。
【0031】
新規骨材供給部2は、ホットビン21及び新規骨材計量槽22を有する。新規骨材とは、アスファルト混合物の骨材としては未使用の砕石や砂等である。ホットビン21には、特に図示しないドライヤ及びスクリーン等を経由して、新規骨材が供給される。ホットビン21の内部は、例えば、5つの区画に分割されており、各々の区画は、貯蔵ビン21aを構成する。新規骨材は、ドライヤによって加熱して乾燥された後、スクリーンによって粒度に応じた分類ごとにふるい分けられ、粒度に応じた分類ごとに5つの貯蔵ビン21aのいずれかに貯蔵される。
【0032】
各々の貯蔵ビン21aに貯蔵された新規骨材は、適宜、貯蔵ビン21aの放出口21bが開状態となることにより、新規骨材計量槽22に放出される。新規骨材計量槽22に投入された新規骨材は、新規骨材計量槽22に設けられた計量装置(図示せず)によって累積的に計量される。新規骨材計量槽22に投入された新規骨材の重量が目標量に達したら、ホットビン21は、新規骨材計量槽22からの指示を受けて、各々の貯蔵ビン21aの放出口21bを閉状態とする。そして、新規骨材計量槽22によって計量された新規骨材は、ミキサ7に供給される。
【0033】
再生骨材供給部3は、サージビン31及び再生骨材計量槽32を有している。再生骨材とは、舗装廃材等に含まれる骨材をリサイクルして利用するものであり、骨材と、当該骨材に付着した旧アスファルトとから構成される。サージビン31には、舗装廃材を破砕機により破砕し、再生ドライヤにより加熱して乾燥させた再生骨材が供給される。サージビン31は、保温機能を備えており、再生ドライヤで加熱された再生骨材を保温した状態で貯蔵する。サージビン31に貯蔵された再生骨材は、適宜、サージビン31の放出口31aが開状態となることにより、再生骨材計量槽32に放出される。再生骨材計量槽32に投入された再生骨材は、再生骨材計量槽32に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。再生骨材計量槽32に投入された再生骨材の重量が目標量に達したら、サージビン31は、再生骨材計量槽32からの指示を受けて放出口31aを閉状態とする。そして、再生骨材計量槽32によって計量された再生骨材は、ミキサ7に供給される。
【0034】
石粉供給部4は、石粉サイロ41及び石粉計量槽42を有する。石粉は、アスファルト混合物の粘度を高め、かつ骨材としてアスファルト混合物の空隙を充填する。石粉サイロ41に貯蔵された石粉は、石粉サイロ41の放出口41aが開状態となることにより、石粉計量槽42に放出される。石粉計量槽42に投入された石粉は、石粉計量槽42に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。石粉計量槽42に投入された石粉の重量が目標量に達したら、石粉サイロ41は、石粉計量槽42からの指示を受けて、石粉サイロ41の放出口41aを閉状態とする。そして、石粉計量槽42によって計量された石粉は、ミキサ7に供給される。
【0035】
アスファルト供給部5は、アスファルトタンク51及びアスファルト計量槽52を有する。保温機能を有するアスファルトタンク51に貯蔵された新規アスファルトは、アスファルトタンク51の放出口51aが開状態となることにより、アスファルト計量槽52に放出される。アスファルト計量槽52に投入された新規アスファルトは、アスファルト計量槽52に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。アスファルト計量槽52に投入された新規アスファルトの重量が目標量に達したら、アスファルトタンク51は、アスファルト計量槽52からの指示を受けて、アスファルトタンク51の放出口51aを閉状態とする。そして、アスファルト計量槽52によって計量された新規アスファルトは、ミキサ7に供給される。
【0036】
添加剤供給部6は、添加剤タンク61及び添加剤計量槽62を有する。添加剤は、再生骨材に含まれる劣化した旧アスファルトの針入度等を回復する。添加剤タンク61に貯蔵された再生用添加剤は、添加剤タンク61の放出口61aが開状態となることにより、添加剤計量槽62に放出される。添加剤計量槽62に投入された再生用添加剤は、添加剤計量槽62に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。添加剤計量槽62に投入された再生用添加剤の重量が目標量に達したら、添加剤タンク61は、添加剤計量槽62からの指示を受けて、添加剤タンク61の放出口61aを閉状態とする。そして、添加剤計量槽62によって計量された再生用添加剤は、ミキサ7に供給される。なお、添加剤供給部6が、添加剤計量槽62に代えて、再生用添加剤の流量を計測する流量計を備えていてもよく、この流量計を用いてミキサ7に供給する再生用添加剤を計量してもよい。
【0037】
ミキサ7は、混合槽71と、混合槽71内で回転駆動される一対の混合羽根72とを備えている。混合槽71は、新規骨材供給部2、再生骨材供給部3、石粉供給部4、アスファルト供給部5及び添加剤供給部6から投入された新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を貯留する。一対の混合羽根72は、水平方向において平行に配置されており、回転軸の外周に設けられた羽根により、新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を混合槽71内で混ぜ合わせ、アスファルト混合物を製造する。混合槽71の下部には、開閉自在な放出口71aが設けられており、この放出口71aは、アスファルト混合物の出荷時に開放される。
【0038】
アスファルトは、温度に応じて粘度が変化する。アスファルトを主体とするアスファルト混合物も温度に応じて粘度が変化し、温度が低いほど粘度が高くなる。アスファルトプラント1から出荷されたアスファルト混合物は、道路に敷きならすのに適した粘度が得られるように、所定の敷きならし温度(例えば、110°C以上)で道路に敷きならされる。そのため、アスファルト混合物を出荷する際には、季節や天候、工事現場までの輸送時間等に基づいてアスファルト混合物の温度低下を予測し、アスファルト混合物が工事現場に輸送されて、道路への敷きならしが開始されるときに所定の敷きならし温度となるように出荷温度が設定される。アスファルト混合物の出荷温度は、混合される再生骨材、新規骨材及びアスファルトの温度によって調整される。
【0039】
アスファルト混合物の温度測定システム8は、アスファルト混合物の出荷温度として、ミキサ7内のアスファルト混合物の温度を測定する。これにより、出荷前にアスファルト混合物の温度を測定することができるので、出荷温度が不適正なアスファルト混合物の出荷を防ぐことができる。また、出荷前のアスファルト混合物の温度を測定することで、アスファルトプラント1の異常を早期発見することができる。例えば、測定した温度が設定した出荷温度よりも低い場合、あるいは高い場合には、新規骨材供給部2または再生骨材供給部3のドライヤの故障や、ホットビン21、サージビン31及びアスファルトタンク51等の保温機能の故障等を早期発見することができる。
【0040】
温度測定システム8は、画像処理技術を用いて、ミキサ7内のアスファルト混合物の粘度から温度を測定するシステムであり、撮像装置81及び演算装置82を備えている。撮像装置81は、モノクロ画像又はカラー画像の動画撮影に対応した、いわゆるデジタルカメラである。撮像装置81は、例えば、1秒間に60フレーム(60fps)の高速動画撮影が可能なデジタルカメラであり、ミキサ7の斜め上方から混合槽71内のアスファルト混合物を撮像する。撮像装置81と演算装置82とは、有線又は無線によって接続されており、撮像された動画は、逐次に撮像装置81から演算装置82に出力される。なお、撮像装置81のフレームレートは、上記の60ptsに限定されず、任意の値とすることができる。例えば、撮像装置81が、1秒間に120フレーム(120fps)の動画を撮像可能であってもよい。
【0041】
演算装置82は、画像解析部821と、温度演算部822と、データベース823と、を備えている。画像解析部821は、撮像装置81から入力された動画の各フレーム画像に対して画像解析処理を行う。温度演算部822は、画像解析部821の画像解析処理の結果に基づいて、アスファルト混合物の流動速度を演算し、流動速度に基づいてアスファルト混合物の温度を演算する。データベース823は、温度演算部822によるアスファルト混合物の温度の演算に用いられる複数のマスタ−データ823〜823を格納している。
【0042】
画像解析部821は、画像解析処理として、撮像装置81から入力された複数のフレーム画像のうちの一のフレーム画像から、アスファルト混合物内の特徴点を抽出する。また、画像解析部821は、特徴点を抽出した一のフレーム画像以降のフレーム画像において、特徴点を追跡する。画像解析部821は、アスファルト混合物内の特徴点として、輝度又はサイズ等に基づいて、新規骨材又は再生骨材を特徴点として抽出する。具体的には、特に限定されないが、フレーム画像内で周囲の部分よりも輝度が高く、かつ、サイズが大きな骨材を特徴点として抽出する。なお、画像解析部821が抽出及び追跡するアスファルト混合物内の特徴点は、新規骨材又は再生骨材が有する特徴的な要素であれば、上記の輝度やサイズに限定されない。
【0043】
フレーム画像から骨材を特徴点として抽出して追跡する画像解析処理としては、例えば、顔認識アルゴリズムを骨材向けに改良したものや、R−CNN(Regions with CNN features)や、YOLO(You Only Look Once)、SSD(Single Shot MultiBox Detector)等の既存の物体検知アルゴリズムを用いることができる。或いは、フレーム画像から骨材を特徴点として抽出して追跡する画像解析処理に、物体検知アルゴリズム以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0044】
図2(a)は、撮像装置81により撮像された動画のフレーム画像F1を示し、図2(b)は、フレーム画像F1の数フレーム後に撮像されたフレーム画像F2を示している。図2(a)及び図2(b)において、2点鎖線で示す2本の線L1、L2は、一対の混合羽根72、72の回転軸の中心を示している。一対の混合羽根72、72は、線L1、L2を中心に回転して、新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を混合する。符号B1で示す矩形の枠は、画像解析処理によってアスファルト混合物の流動速度を測定する際に用いる測定範囲枠を示している。この測定範囲枠B1のフレーム画像内における位置及び大きさは、画像解析部821によって予め設定されている。また、符号B2で示す矩形の枠は、画像解析部821により抽出されたアスファルト混合物の特徴点Fpを示す検出枠である。
【0045】
画像解析部821は、図2(a)に示すように、上述した物体検知アルゴリズムを用いて、フレーム画像F1の測定範囲枠B1の中央付近から特徴点Fpを抽出する。画像解析部821は、アスファルトプラント1の作業者が、演算装置82のディスプレイ等によって特徴点Fpの検出状況を確認する際に、特徴点Fpの位置を分かりやすくするために、検出枠B2をフレーム画像F1に重畳して表示する。画像解析部821は、フレーム画像F1以降に撮像されたフレーム画像においても特徴点Fpの抽出を継続し、図2(b)に示すように、特徴点Fpが測定範囲枠B1から出るまで追跡を行う。
【0046】
なお、図2(a)及び図2(b)に示すフレーム画像F1,F2は一例に過ぎず、特にこれに限定されない。例えば、画像解析部821が、フレーム画像の測定範囲枠の中央以外の部分から特徴点Fpを抽出してもよい。また、図2(b)に示す例ではフレーム画像F2において特徴点Fpが左右方向に移動しているが、フレーム画像における特徴点Fpの移動方向も特に限定されない。例えば、撮像装置81の姿勢によっては、フレーム画像において特徴点Fpが上下方向に移動する場合もある。
【0047】
温度演算部822は、アスファルト混合物の流動速度として、特徴点Fpの追跡結果に基づいて、特徴点Fpの所定時間あたりの移動距離を演算する。具体的には、温度演算部822は、測定範囲枠B1内で検出した特徴点Fpが測定範囲枠B1から出るまでを1セクションとし、この1セクション中のフレーム数と、1セクション中の特徴点Fpの移動ピクセル数とに基づいて、1フレームあたりの特徴点Fpの移動距離、すなわち所定時間(1/60秒)あたりの移動距離(ピクセル数)を演算する。なお、この所定時間(1/60秒)は、撮像装置81のフレームレート(本実施形態では60fps)に依存する。より具体的には、温度演算部822は、測定範囲枠B1内で検出された特徴点Fpが測定範囲枠B1から出るまでのフレーム数をFs、このフレームFsの間に特徴点FpがX軸方向に移動したピクセル数をX、Y軸方向に移動したピクセル数をYとし、以下の数式(3)を用いて特徴点Fpの1フレームあたりの移動距離dを求める。
【0048】
【数3】
【0049】
例えば、図2(a)のフレーム画像F1で検出された特徴点Fpが、図2(b)のフレーム画像F2で測定範囲枠B1から出るまでのフレーム数を6フレームとする。また、この6フレームの間に、特徴点FpがX軸方向に移動したピクセル数を120ピクセル、Y軸方向に移動したピクセル数を44ピクセルとする。この場合、特徴点Fpの1フレームあたりの移動距離は、上記数式(3)から21.3ピクセルとなる。
【0050】
温度演算部822は、特徴点Fpの1フレームあたりの移動距離dに基づいてアスファルト混合物の温度tを演算する。具体的には、温度演算部822は、先ず、データベース823から、製造中のアスファルト混合物の種類及びミキサ7の回転速度に適合するマスターデータを複数のマスターデータ823〜823の中から選択する。このマスターデータ823〜823には、図3に示すように、1フレームあたりの特徴点Fpの移動距離データと、アスファルト混合物の温度データとが登録されており、この移動距離データと、アスファルト混合物の温度データとは対応付けられている。このマスターデータ823〜823は、アスファルト混合物の種類と、ミキサ7の回転速度との組み合わせごとに予め実測されたデータであり、特徴点Fpの移動距離データが長いほど、すなわち、アスファルト混合物の粘度が低いほどアスファルト混合物の温度データが高くなっている。なお、このマスターデータ823〜823は、撮像装置81と同じフレームレートを有する撮像装置を用いて実測される。そして、温度演算部822は、選択したマスターデータ(例えば、図3のマスターデータ)を参照し、特徴点Fpの移動距離dが23.6ピクセルのときには、アスファルト混合物の温度tが180°Cであると特定する。また、移動距離dが19.5ピクセルのときには、アスファルト混合物の温度tが130°Cであると特定する。
【0051】
なお、特徴点Fpの移動距離dが選択したマスターデータに登録されていない場合には、温度演算部822は、先ず、マスターデータから、移動距離dよりも短い移動距離データnと、この移動距離データnに対応する温度データmと、移動距離dよりも長い移動距離データn1と、この移動距離データn1に対応する温度データm1とを抽出する。次いで、下記の数式(4)を用いて、移動距離dに対応するアスファルト混合物の温度tを演算する。なお、数式(4)は、本発明の数式(1)、(2)に相当する。
【0052】
【数4】
【0053】
但し、上記の(4)式において、n及びn1は、マスターデータに登録されている1フレームあたりの特徴点Fpの移動距離のデータであり、nは、演算された移動距離dよりも短い第nの移動距離データであり、n1は、当該移動距離dよりも長い第n1の移動距離データである。また、m及びm1は、マスターデータに登録されているアスファルト混合物の温度のデータであり、mは、第nの移動距離データに対応する第mの温度データであり、m1は、第n1の移動距離データに対応する第m1の温度データである。
【0054】
例えば、特徴点Fpの1フレームあたりの移動距離dが、上記数式(3)で求めた21.3ピクセルである場合、図3に示すマスターデータから、移動距離dよりも短い移動距離データnは21.2ピクセル、この移動距離データnに対応する温度データmは150°C、移動距離dよりも長い移動距離データn1は21.9ピクセル、この移動距離データn1に対応する温度データm1は160°Cとなる。マスターデータから求めたこれらの値を上記の数式(4)に代入して演算すると、移動距離dに対応するアスファルト混合物の温度tは、151.4°Cとなる。
【0055】
測定結果管理装置9は、いわゆるパーソナルコンピュータと、パーソナルコンピュータに接続されたディスプレイと、キーボード及びマウス等の入力装置と、プリンタ等から構成されている。測定結果管理装置9は、温度測定システム8から出力されたアスファルト混合物の温度tを、製造ロット番号等と対応付けた出荷温度としてデータ管理プログラムにより管理し、ユーザの操作に応じて管理している出荷温度等のデータをディスプレイに表示する。また、測定結果管理装置9は、アスファルト混合物を出荷する際に、アスファルト混合物の種類と、出荷量と、出荷温度等が記載された出荷伝票を印刷する。出荷伝票は、アスファルト混合物とともに工事現場に納入される。
【0056】
次に、図4に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。ミキサ7は、新規骨材供給部2、再生骨材供給部3、石粉供給部4、アスファルト供給部5及び添加剤供給部6から、新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤が供給されると、一対の混合羽根72、72を回転させて混合し、アスファルト混合物を製造する。温度測定システム8は、ミキサ7による混合開始から所定時間が経過したら、撮像装置81により混合槽71内のアスファルト混合物の撮像を開始する(ステップS1)。撮像装置81により撮像されたアスファルト混合物の動画は、逐次に演算装置82に出力される。
【0057】
演算装置82の画像解析部821は、撮像装置81から入力された動画の複数のフレーム画像のうちの一のフレーム画像から、アスファルト混合物内の特徴点Fpを抽出する。また、画像解析部821は、特徴点Fpを抽出した一のフレーム画像以降のフレーム画像において、特徴点Fpを追跡する(ステップS2)。なお、一つのフレーム画像から異なる複数の特徴点Fpを抽出して、当該複数の特徴点Fpをそれぞれ追跡してもよい。或いは、複数のフレーム画像から異なる特徴点Fpをそれぞれ抽出し、当該複数の特徴点Fpをそれぞれ追跡してもよい。
【0058】
温度演算部822は、測定範囲枠B1内で検出した特徴点Fpが測定範囲枠B1から出るまでを1セクションとし、この1セクション中のフレーム数と、1セクション中の特徴点Fpの移動ピクセル数とに基づいて、上記の数式(3)により、1フレームあたりの特徴点Fpの移動距離、すなわち所定時間(1/60秒)あたりの移動距離d(ピクセル数)を演算する(ステップS3)。なお、上述のステップS2において複数の特徴点Fpを追跡した場合には、このステップS3において、当該複数の特徴点Fpの移動距離の平均値を移動距離dとしてもよい。
【0059】
温度演算部822は、データベース823から選択したマスターデータを参照して、特徴点Fpの1フレームあたりの移動距離dに対応するアスファルト混合物の温度tを特定する(ステップS4)。特徴点Fpの移動距離dが選択したマスターデータに登録されていない場合には、温度演算部822は、上記の数式(4)を利用して、移動距離dに対応するアスファルト混合物の温度tを演算する。なお、上述のステップS2において複数の特徴点Fpを追跡した場合には、このステップS4において、各特徴点Fpの移動距離dから求めた温度のうち、最高温度又は最低温度をアスファルト混合物の温度tとして特定してもよいし、各特徴点Fpの移動距離dから求めた温度の平均を求め、この平均値をアスファルト混合物の温度tとしてもよい。
【0060】
演算装置82は、アスファルト混合物の温度tの測定結果を測定結果管理装置9に出力する。測定結果管理装置9は、温度測定システム8から出力されたアスファルト混合物の出荷温度を、製造ロット番号等と対応付けた出荷温度としてデータ管理プログラムにより管理する。また、測定結果管理装置9は、アスファルト混合物の種類と、アスファルト混合物の出荷量と、出荷温度等が記載された出荷伝票を印刷する(ステップS5)。出荷伝票は、トラック10に積載されたアスファルト混合物とともに工事現場に納入される。
【0061】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト混合物の温度測定システム、温度測定方法及びアスファルトプラント1によれば、ミキサ7内のアスファルト混合物を撮像する撮像装置81と、撮像装置81によって撮像された動画に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する演算装置82と、を備えており、演算装置82は動画の各フレーム画像に対して画像解析処理を行う画像解析部821と、画像解析部821の画像解析処理の結果に基づいて、アスファルト混合物の流動速度を演算し、流動速度に基づいてアスファルト混合物の温度tを演算する温度演算部822と、を備えている。このように、アスファルト混合物を撮像装置81により撮像するので、従来のスポット温度計に比べて粉塵や水蒸気、汚れの付着による影響を受けにくくなる。また、アスファルト混合物の流動速度、すなわち、アスファルト混合物の粘度に基づいて温度tを測定することができるので、サーモグラフィで表面温度を測定する場合よりも精度よく温度tを測定することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、画像解析部821は、複数のフレーム画像のうちの一のフレーム画像から、アスファルト混合物内の特徴点Fpを抽出し、一のフレーム画像以降に撮像された複数のフレーム画像において特徴点Fpを追跡し、温度演算部822は、アスファルト混合物の流動速度として、特徴点Fpの追跡結果に基づいて、特徴点Fpの所定時間あたりの移動距離dを演算し、演算された移動距離dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。このように、アスファルト混合物内の特徴点Fpを抽出して追跡することで、アスファルト混合物の流動速度と、この流動速度に基づくアスファルト混合物の温度tとを精度よく演算することができる。
【0063】
さらに、本実施形態によれば、演算装置82は、特徴点Fpの所定時間あたりの移動距離である移動距離データと、当該移動距離データに対応付けられたアスファルト混合物の温度である温度データと、を有するマスターデータ823〜823を備えており、温度演算部822は、演算された移動距離dと、マスターデータ823〜823とに基づいて、アスファルト混合物の温度を演算する。このように、マスターデータ823〜823を予め備えているので、特徴点Fpの移動距離dからすぐにアスファルト混合物の温度tを特定することができる。また、このマスターデータ823〜823では、移動距離データが長いほど温度データが高くなっているので、アスファルト混合物の温度特性に応じた温度測定を精度よく行うことができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、温度演算部822は、上記式(4)に基づいて移動距離dに対応するアスファルト混合物の温度tを算出する。これにより、マスターデータに登録されていない移動距離dであっても、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。
【0065】
さらに、本実施形態によれば、演算装置82は、複数のマスターデータ823〜823を備えたデータベース823を備えており、複数のマスターデータ823〜823は、アスファルト混合物の種類又はミキサ7の回転速度ごとに、移動距離データと温度データとが対応付けられている。周知のように、アスファルト混合物は、使用するアスファルトの種類や、骨材等との混合割合、添加剤の添加量等によって、温度に対する粘度の特性が異なっている。また、アスファルト混合物の流動速度は、ミキサ7の回転速度にも依存する。そのため、アスファルト混合物の種類又はミキサ7の回転速度ごとに複数のマスターデータ823〜823を備えることにより、より精度よくアスファルト混合物の温度を測定することができる。
【0066】
さらに、本実施形態によれば、アスファルト混合物の特徴点Fpとして、アスファルト混合物に含まれる骨材を用いるので、アスファルト混合物に特徴点となるような異物を混入する必要はなく、異物混入によるアスファルト混合物の品質低下も発生しない。また、画像解析部821は、アスファルト混合物に含まれる骨材の輝度又はサイズに基づいて、骨材を特徴点Fpとして抽出するので、特徴点Fpの追跡が行いやすくなる。
【0067】
なお、上記実施形態では、撮像装置81として、高速動画撮影が可能なデジタルカメラを用いたが、これに代えて、1秒間に60枚程度の静止画が連写可能なデジタルカメラを用いてもよい。この場合には、画像解析部821により各撮像画像を画像解析処理し、特徴点Fpを抽出して追跡する。
【0068】
また、ミキサ7の斜め上方から撮像装置81によりアスファルト混合物を撮像したが、図5に示すように、混合槽71の側面の上部に開口部71bを形成し、この開口部71bを通してアスファルト混合物を撮像してもよい。また、図6に示すように、混合槽71の側面の上部に、開口71bに透明部材71cを嵌合した窓部71dを形成し、この窓部71dを通してアスファルト混合物を撮像してもよい。透明部材71cは、可視光が透過可能な部材であり、例えば、ガラス、プラスチック、アクリル、レジン、塩化ビニール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ハイブリッドガラス等を用いることができる。本実施形態では、透明部材71cは、強化ガラスで構成されている。また、透明部材71cは、これに限定されず、赤外線が透過可能な材料であってもよい。これらによれば、ミキサ7への骨材の投入時に発生する粉塵や、骨材とアスファルトとの混合時に発生する水蒸気等による撮像装置81への悪影響を小さくすることができる。
【0069】
また、特徴点Fpが測定範囲枠B1から出るまでを1セクションとして説明したが、撮像装置81の画角によっては、撮像装置81の撮像範囲から特徴点Fpが出るまでを1セクションとしてもよい。すなわち、測定範囲枠B1を設けずに、画面から特徴Fpが消失するまでを1セクションとしてもよい。
【0070】
さらに、新規骨材と再生骨材とを混合する混合ラインを備えたアスファルトプラント1に、温度測定システム8を設ける例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、新規骨材のみのラインに温度測定システム8を適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…アスファルトプラント
2…新規骨材供給部
3…再生骨材供給部
4…石粉供給部
5…アスファルト供給部
6…添加剤供給部
7…ミキサ
71…混合槽
72…混合羽根
8…温度測定システム
81…撮像装置
82…演算装置
821…画像解析部
822…温度演算部
823…データベース
823〜823…マスターデータ
9…測定結果管理装置
【要約】
【課題】粉塵や水蒸気等の影響を受けずに、アスファルト混合物の温度を精度よく測定することができるアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を提供する。
【解決手段】ミキサ7によりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント1において、ミキサ7内のアスファルト混合物の温度tを測定する温度測定システム8は、ミキサ7内のアスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像する撮像装置81と、撮像装置81によって撮像された複数の撮像画像に基づいて、アスファルト混合物の温度を演算する演算装置82と、を備えており、演算装置82は、複数の撮像画像に対して画像解析処理を行う画像解析部821と、画像解析部821の画像解析処理の結果に基づいて、アスファルト混合物の流動速度を演算し、流動速度に基づいてアスファルト混合物の温度tを演算する温度演算部822と、を備えている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6