(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ミキサによりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物の温度を測定する温度測定システムであって、
前記ミキサ内の前記アスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された複数の撮像画像に基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算する演算装置と、を備えており、
前記演算装置は、
複数の前記撮像画像のそれぞれについて、直前に撮像された撮像画像と比較して前記アスファルト混合物の動きの大きさを示す差分を求め、前記差分を数値化した変動値を演算し、前記変動値の時間的変移を示す波形データを生成する画像解析部と、
前記波形データを解析して前記波形データの特徴を示す特性値である特性値dを演算し、前記特性値dに基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算する温度演算部と、を備えており、
前記温度演算部は、前記特性値dとして、所定時間内の前記変動値の最大値、所定時間内の複数のピークの平均値、所定時間内の振幅の平均値、又は、所定時間内のピークの数を演算し、前記特性値dが大きくなるほど前記アスファルト混合物の温度tが高くなるように、前記温度tを演算するアスファルト混合物の温度測定システム。
ミキサによりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて、前記ミキサ内の前記アスファルト混合物の温度を測定する温度測定方法であって、
前記ミキサ内の前記アスファルト混合物を撮像装置によって所定の時間間隔で撮像する第1のステップと、
前記撮像装置により撮像された複数の撮像画像のそれぞれについて、直前に撮像された撮像画像と比較して前記アスファルト混合物の動きの大きさを示す差分を求め、前記差分を数値化した変動値を演算し、前記変動値の時間的変移を示す波形データを生成する第2のステップと、
前記波形データを解析して前記波形データの特徴を示す特性値である特性値dを演算し、前記特性値dに基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算する第3のステップと、を備えており、
前記第3のステップは、前記特性値dとして、所定時間内の前記変動値の最大値、所定時間内の複数のピークの平均値、所定時間内の振幅の平均値、又は、所定時間内のピークの数を演算し、前記特性値dが大きくなるほど前記アスファルト混合物の温度tが高くなるように、前記温度tを演算することを含むアスファルト混合物の温度測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0036】
《第1実施形態》
以下、本発明のアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を適用した第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、アスファルトプラント1は、新規骨材供給部2、再生骨材供給部3、石粉供給部4、アスファルト供給部5、添加剤供給部6、ミキサ7、温度測定システム8及び測定結果管理装置9等を備えている。新規骨材供給部2は新規骨材を、再生骨材供給部3は再生骨材を、石粉供給部4は石粉を、アスファルト供給部5は新規アスファルトを、添加剤供給部6は再生用添加剤を、各々、ミキサ7に供給する。ミキサ7は、供給された新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を混合してアスファルト混合物を製造する。温度測定システム8は、アスファルトプラント1で製造されたアスファルト混合物の出荷温度を測定する。測定結果管理装置9は、アスファルト混合物の温度の測定結果を管理する。アスファルトプラント1で製造されたアスファルト混合物は、トラック10に積載され、道路の工事現場へ運搬される。なお、
図1中において、骨材、石粉、新規アスファルト、添加剤等の流れを実線で示し、画像データや制御信号等の流れを破線で示す。
【0037】
新規骨材供給部2は、ホットビン21及び新規骨材計量槽22を有する。新規骨材とは、アスファルト混合物の骨材としては未使用の砕石や砂等である。ホットビン21には、特に図示しないドライヤ及びスクリーン等を経由して、新規骨材が供給される。ホットビン21の内部は、例えば、5つの区画に分割されており、各々の区画は、貯蔵ビン21aを構成する。新規骨材は、ドライヤによって加熱して乾燥された後、スクリーンによって粒度に応じた分類ごとにふるい分けられ、粒度に応じた分類ごとに5つの貯蔵ビン21aのいずれかに貯蔵される。
【0038】
各々の貯蔵ビン21aに貯蔵された新規骨材は、適宜、貯蔵ビン21aの放出口21bが開状態となることにより、新規骨材計量槽22に放出される。新規骨材計量槽22に投入された新規骨材は、新規骨材計量槽22に設けられた計量装置(図示せず)によって累積的に計量される。新規骨材計量槽22に投入された新規骨材の重量が目標量に達したら、ホットビン21は、新規骨材計量槽22からの指示を受けて、各々の貯蔵ビン21aの放出口21bを閉状態とする。そして、新規骨材計量槽22によって計量された新規骨材は、ミキサ7に供給される。
【0039】
再生骨材供給部3は、サージビン31及び再生骨材計量槽32を有している。再生骨材とは、舗装廃材等に含まれる骨材をリサイクルして利用するものであり、骨材と、当該骨材に付着した旧アスファルトとから構成される。サージビン31には、舗装廃材を破砕機により破砕し、再生ドライヤにより加熱して乾燥させた再生骨材が供給される。サージビン31は、保温機能を備えており、再生ドライヤで加熱された再生骨材を保温した状態で貯蔵する。サージビン31に貯蔵された再生骨材は、適宜、サージビン31の放出口31aが開状態となることにより、再生骨材計量槽32に放出される。再生骨材計量槽32に投入された再生骨材は、再生骨材計量槽32に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。再生骨材計量槽32に投入された再生骨材の重量が目標量に達したら、サージビン31は、再生骨材計量槽32からの指示を受けて放出口31aを閉状態とする。そして、再生骨材計量槽32によって計量された再生骨材は、ミキサ7に供給される。
【0040】
石粉供給部4は、石粉サイロ41及び石粉計量槽42を有する。石粉は、アスファルト混合物の粘度を高め、かつ骨材としてアスファルト混合物の空隙を充填する。石粉サイロ41に貯蔵された石粉は、石粉サイロ41の放出口41aが開状態となることにより、石粉計量槽42に放出される。石粉計量槽42に投入された石粉は、石粉計量槽42に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。石粉計量槽42に投入された石粉の重量が目標量に達したら、石粉サイロ41は、石粉計量槽42からの指示を受けて、石粉サイロ41の放出口41aを閉状態とする。そして、石粉計量槽42によって計量された石粉は、ミキサ7に供給される。
【0041】
アスファルト供給部5は、アスファルトタンク51及びアスファルト計量槽52を有する。保温機能を有するアスファルトタンク51に貯蔵された新規アスファルトは、アスファルトタンク51の放出口51aが開状態となることにより、アスファルト計量槽52に放出される。アスファルト計量槽52に投入された新規アスファルトは、アスファルト計量槽52に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。アスファルト計量槽52に投入された新規アスファルトの重量が目標量に達したら、アスファルトタンク51は、アスファルト計量槽52からの指示を受けて、アスファルトタンク51の放出口51aを閉状態とする。そして、アスファルト計量槽52によって計量された新規アスファルトは、ミキサ7に供給される。
【0042】
添加剤供給部6は、添加剤タンク61及び添加剤計量槽62を有する。添加剤は、再生骨材に含まれる劣化した旧アスファルトの針入度等を回復する。添加剤タンク61に貯蔵された再生用添加剤は、添加剤タンク61の放出口61aが開状態となることにより、添加剤計量槽62に放出される。添加剤計量槽62に投入された再生用添加剤は、添加剤計量槽62に設けられた計量装置(図示せず)によって計量される。添加剤計量槽62に投入された再生用添加剤の重量が目標量に達したら、添加剤タンク61は、添加剤計量槽62からの指示を受けて、添加剤タンク61の放出口61aを閉状態とする。そして、添加剤計量槽62によって計量された再生用添加剤は、ミキサ7に供給される。なお、添加剤供給部6が、添加剤計量槽62に代えて、再生用添加剤の流量を計測する流量計を備えていてもよく、この流量計を用いてミキサ7に供給する再生用添加剤を計量してもよい。
【0043】
ミキサ7は、混合槽71と、混合槽71内で回転駆動される一対の混合羽根72とを備えている。混合槽71は、新規骨材供給部2、再生骨材供給部3、石粉供給部4、アスファルト供給部5及び添加剤供給部6から投入された新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を貯留する。一対の混合羽根72は、水平方向において平行に配置されており、回転軸の外周に設けられた羽根により、新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を混合槽71内で混ぜ合わせ、アスファルト混合物を製造する。混合槽71の下部には、開閉自在な放出口71aが設けられており、この放出口71aは、アスファルト混合物の出荷時に開放される。
【0044】
アスファルトは、温度に応じて粘度が変化する。アスファルトを主体とするアスファルト混合物も温度に応じて粘度が変化し、温度が低いほど粘度が高くなる。アスファルトプラント1から出荷されたアスファルト混合物は、道路に敷きならすのに適した粘度が得られるように、所定の敷きならし温度(例えば、110°C以上)で道路に敷きならされる。そのため、アスファルト混合物を出荷する際には、季節や天候、工事現場までの輸送時間等に基づいてアスファルト混合物の温度低下を予測し、アスファルト混合物が工事現場に輸送されて、道路への敷きならしが開始されるときに所定の敷きならし温度となるように出荷温度が設定される。アスファルト混合物の出荷温度は、混合される再生骨材、新規骨材及びアスファルトの温度によって調整される。
【0045】
アスファルト混合物の温度測定システム8は、アスファルト混合物の出荷温度として、ミキサ7内のアスファルト混合物の温度を測定する。これにより、出荷前にアスファルト混合物の温度を測定することができるので、出荷温度が不適正なアスファルト混合物の出荷を防ぐことができる。また、出荷前のアスファルト混合物の温度を測定することで、アスファルトプラント1の異常を早期発見することができる。例えば、測定した温度が設定した出荷温度よりも低い場合、あるいは高い場合には、新規骨材供給部2または再生骨材供給部3のドライヤの故障や、サージビン31及びアスファルトタンク51等の保温機能の故障等を早期発見することができる。
【0046】
本出願の発明者らは、温度によってアスファルトの粘度が変化するという上記の性質に基づき、ミキサ7内でのアスファルト混合物の温度に応じて、当該アスファルト混合物の動きの激しさが変化することを見出した。特に、同じ種類のアスファルト混合物であっても、低い温度と高い温度とでは、ミキサ7の混合羽根72で掻き混ぜることにより生じるアスファルト混合物の動きの激しさが異なる。具体的には、低い温度では粘度が高いためアスファルト混合物の動きが小さく且つ遅くなるのに対し、高い温度では粘度が低いためアスファルト混合物の動きが大きく且つ速くなる。そして、アスファルト混合物を撮像した画像における定点の領域について考えると、上記のようなアスファルト混合物の動きは、当該定点領域に生じたアスファルト混合物の波動として捉えることができる。本実施形態では、こうした知見に基づいて、アスファルト混合物の動きを波動として取得し、当該波動のパターン(すなわち後述の波形データ)に基づいてアスファルト混合物の温度測定を行う。
【0047】
温度測定システム8は、ミキサ7のアスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像し、撮像された複数の撮像画像に基づいて、アスファルト混合物の温度を演算する。より具体的には、撮像された複数の撮像画像間に生じる変化に基づいて、アスファルト混合物の温度を演算する。このような手法によってアスファルト混合物の温度を測定するために、温度測定システム8は、撮像装置81及び演算装置82を備えている。
【0048】
撮像装置81は、モノクロ画像又はカラー画像の動画撮影に対応した、いわゆるデジタルカメラである。撮像装置81は、ミキサ7の斜め上方から混合槽71内のアスファルト混合物を撮像可能なようにミキサ7の周囲に固定されており、混合槽71内のアスファルト混合物を定点で撮像することが可能となっている。本実施形態の撮像装置81は、ミキサ7内のアスファルト混合物の波動を撮像するために、例えば、1秒間に60フレーム(60fps)のフレームレートで高速動画撮影を行う。撮像装置81と演算装置82とは、有線又は無線によって接続されており、撮像された動画は、逐次に撮像装置81から演算装置82に出力される。なお、撮像装置81のフレームレートは、上記の60fpsに限定されず、任意の値とすることができる。例えば、撮像装置81が、1秒間に120フレーム(120fps)の動画を撮像可能であってもよい。
【0049】
演算装置82は、画像解析部821と、温度演算部822と、データベース823と、を備えている。画像解析部821は、撮像装置81から入力された動画の各フレーム画像に対して画像解析処理を行う。温度演算部822は、画像解析部821の画像解析処理の結果に基づいて、アスファルト混合物の温度を演算する。データベース823は、温度演算部822によるアスファルト混合物の温度の演算に用いられる複数のマスタ−データ823
1〜823
nを格納している。
【0050】
画像解析部821は、撮像装置81から入力された複数のフレーム画像に対し、ミキサ7の混合羽根72が撮像されない領域に観測エリアを設定し、この観測エリア内の画像をフレーム画像から切り出す。
図2は、フレーム画像の一例として、フレーム画像F1を示している。このフレーム画像F1において、2点鎖線で示す2本の線L1、L2は、一対の混合羽根72、72の回転軸の中心を示している。一対の混合羽根72、72は、線L1、L2を中心に回転して、新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤を混合する。画像解析部821は、このフレーム画像F1に対し、混合羽根72が撮像されない領域、例えば、一対の混合羽根72の間の領域に観測エリアOaを設定し、設定した観測エリアOa内の画像を切り出す。
【0051】
画像解析部821は、複数のフレーム画像のそれぞれについて、直前に撮像されたフレーム画像との間で観測エリアOaを比較して差分を求める。ここで、アスファルト混合物の動作が激しいほど(動きが大きく且つ速いほど)、観測エリアOaにおいて変化が生じる画素が多く、アスファルト混合物の動作が緩やかなほど(動きが小さく且つ遅いほど)、観測エリアOaにおいて変化が生じる画素が少ない。このため、本実施形態では、複数のフレーム画像のそれぞれについて差分を求める。以下、これをフレーム画像間の差分算出という。すなわち、画像解析部821は、1枚目のフレーム画像と2枚目のフレーム画像の観測エリアOaについて差分算出を行い、次に2枚目のフレーム画像と3枚目のフレーム画像の観測エリアOaについて差分算出を行い、順次に複数のフレーム画像間で観測エリアOaの差分算出を行う。
【0052】
画像解析部821は、複数のフレーム画像の観測エリアOaについて行われた差分算出の結果に基づいて、差分画像を生成する。具体的には、例えば、1枚目のフレーム画像の観測エリアOaと、2枚目のフレーム画像の観測エリアOaとの差分に基づいて、2枚目のフレーム画像の観測エリアOaが、直前に撮像された1枚目のフレーム画像の観測エリアOaに対して変化している画素を第1画素として特定し、変化していない画素を第2画素として特定する。そして、第1画素と第2画素とを、例えば白色と黒色とで二値化した差分画像を生成する。
図3は、差分画像の一例として、差分画像Diを示している。この差分画像Diにおいて、黒色の画素が第1画素を示し、白色の画素が第2画素を示す。
【0053】
次いで、画像解析部821は、生成した差分画像に基づいて、差分の大きさ、すなわち、アスファルト混合物の動きの大きさを表す変動値を算出する。画像解析部821は、例えば、差分画像の第1画素の数を算出し、算出した当該画素数に基づいて変動値を演算する。この変動値は、差分画像の第1画素(
図3における黒色の画素)の数が多いほど大きくなるように演算される。
【0054】
画像解析部821は、複数のフレーム画像間の差分算出、差分画像の生成及び変動値の演算によって、複数の変動値からなる数値群を取得し、この変動値の時間的変移を示す波形データを生成する。
図4は、波形データの一例として、波形データWd1を示している。波形データWd1は、縦軸が変動値、横軸が時間を示している。波形データWd1から、ミキサ7の混合作業に応じて、周期的にアスファルト混合物が波動していることが分かる。
【0055】
温度演算部822は、波形データを解析し、当該波形データの特徴を示す特性値dを求める。本実施形態の温度演算部822は、例えば、所定時間内の波形データから、変動値の最大値を含む所定幅の範囲内に含まれるピークの平均値を求め、この平均値を特性値dとする。上述したように、アスファルト混合物は温度が高くなると粘度が低くなるため、アスファルト混合物の動きが大きくなる。そのため、アスファルト混合物の動きの大きさを表す変動値のピークの平均値を特性値dとして用いれば、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。ここで、所定時間の一例としては、特に限定されないが、
図4に示す例では800単位時間である。一単位時間は撮像装置81のフレームレートに依存し、例えば、撮像装置81のフレームレートが60fpsの場合には、一単位時間は1/60secであり、800単位時間は約13.3secとなる。
【0056】
例えば、
図5に示す例では、温度演算部822は、所定時間内の波形データWd1から、変動値の最大値P1を特定し、最大値P1を含む最大値幅W1を設定する。この最大値幅W1は、予め設定した値を用いてもよいし、アスファルト混合物の種類や、ミキサ7の回転速度等に応じて設定してもよい。温度演算部822は、最大値幅W1内に含まれる変動値のピーク(例えば、P1〜P5)の平均値を演算し、平均値を特性値dとする。例えば、変動値のピークP1〜P5の平均値が「10100」であった場合、この平均値が特性値dとなる。
【0057】
なお、波形データWd1から変動値のピークの平均値を求める場合、最大値幅W1を設定せずに、例えば、最大値から数個(例えば、5個)のピークの平均値を求めてもよい。また、平均値に代えて、波形データWd1における変動値の最大値自体を特性値dとして用いてもよい。
【0058】
温度演算部822は、波形データの特性値dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。具体的には、温度演算部822は、まず、データベース823から、製造中のアスファルト混合物の種類及びミキサ7の回転速度に適合するマスターデータを複数のマスターデータ823
1〜823
nの中から選択する。このマスターデータ823
1〜823
nには、
図6に示すように、波形データの特徴を変動値の大きさによって示す特性値データと、アスファルト混合物の温度データとが登録されており、この特性値データと温度データとは対応付けられている。このマスターデータ823
1〜823
nは、アスファルト混合物の種類と、ミキサ7の回転速度との組み合わせごとに予め実測されたデータであり、特性値データが大きいほど、すなわち、アスファルト混合物の動きが大きいほどアスファルト混合物の温度データが高くなっている。なお、このマスターデータ823
1〜823
nは、撮像装置81と同じフレームレートを有する撮像装置を用いて実測される。そして、温度演算部822は、選択したマスターデータ(例えば、
図6のマスターデータ)を参照し、波形データWd1から求めた特性値dが「11600」のときには、アスファルト混合物の温度tが「170°C」であると特定する。また、特性値dが「8700」のときには、アスファルト混合物の温度tが「140°C」であると特定する。
【0059】
なお、特性値dが選択したマスターデータに登録されていない場合には、温度演算部822は、まず、マスターデータから、特性値dよりも小さい特性値データnと、この特性値データnに対応する温度データmと、特性値dよりも大きい特性値データn1と、この特性値データn1に対応する温度データm1とを抽出する。次いで、下記の数式(2)を用いて、特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tを演算する。なお、数式(2)は、本発明の数式(1)に相当する。
【0061】
但し、上記の(2)式において、n及びn1は、マスターデータに登録されている特性値データであり、nは、波形データから解析された特性値dよりも小さな第nの特性値データであり、n1は、当該特性値dよりも大きな第n1の特性値データである。また、m及びm1は、マスターデータに登録されているアスファルト混合物の温度のデータであり、mは、第nの特性値データに対応する第mの温度データであり、m1は、第n1の特性値データに対応する第m1の温度データである。
【0062】
例えば、特性値dが、
図5の波形データWd1から求めたd=10100である場合、
図6に示すマスターデータから、特性値dよりも小さい特性値データnは9800、特性値データnに対応する温度mは150°C、特性値dよりも大きい特性値データn1は10800、特性値データn1に対応する温度m1は160°Cとなる。マスターデータから求めたこれらの値を上記の数式(2)に代入して演算すると、特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tは、153°Cとなる。
【0063】
測定結果管理装置9は、いわゆるパーソナルコンピュータと、パーソナルコンピュータに接続されたディスプレイと、キーボード及びマウス等の入力装置と、プリンタ等から構成されている。測定結果管理装置9は、温度測定システム8から出力されたアスファルト混合物の温度tを、製造ロット番号等と対応付けた出荷温度としてデータ管理プログラムにより管理する。また、測定結果管理装置9は、ユーザの操作に応じて、管理している出荷温度等のデータをディスプレイに表示する。さらに、測定結果管理装置9は、アスファルト混合物を出荷する際に、アスファルト混合物の種類と、出荷量と、出荷温度等が記載された出荷伝票を印刷する。出荷伝票は、アスファルト混合物とともに工事現場に納入される。
【0064】
次に、
図7に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。ミキサ7は、新規骨材供給部2、再生骨材供給部3、石粉供給部4、アスファルト供給部5及び添加剤供給部6から、新規骨材、再生骨材、石粉、新規アスファルト及び再生用添加剤が供給されると、一対の混合羽根72、72を回転させて混合し、アスファルト混合物を製造する。温度測定システム8は、ミキサ7による混合開始から所定時間が経過したら、撮像装置81により混合槽71内のアスファルト混合物の撮像を開始する(ステップS1)。撮像装置81により撮像されたアスファルト混合物の動画は、逐次に演算装置82に出力される。
【0065】
演算装置82の画像解析部821は、撮像装置81から入力された動画の複数のフレーム画像に観測エリアOaを設定し、観測エリアOa内の画像を切り出す(ステップS2)。画像解析部821は、複数のフレーム画像のそれぞれについて、直前に撮像されたフレーム画像との間で観測エリアOaの差分算出を行う。画像解析部821は、複数のフレーム画像の観測エリアOaについて行われた差分算出(ステップS3)の結果に基づいて、直前に撮像された1枚目のフレーム画像の観測エリアOaに対して変化している第1画素と、変化していない第2画素とで二値化した差分画像を生成する(ステップS4)。次いで、画像解析部821は、生成した差分画像の第1画素の数に基づいて変動値を算出する(ステップS5)。
【0066】
画像解析部821は、複数のフレーム画像間の差分算出、差分画像の生成及び変動値の演算を行うことにより、複数の変動値からなる数値群を取得し、これらの変動値の時間的変移を示す波形データWd1を生成する(ステップS6)。
【0067】
温度演算部822は、波形データWd1を解析し、当該波形データWd1の特徴を示す特性値dを求める(ステップS7)。温度演算部822は、例えば、所定時間内の波形データWd1から、変動値の最大値を含む所定幅の範囲内に含まれるピークの平均値を求め、この平均値を特性値dとする。
【0068】
温度演算部822は、データベース823から選択したマスターデータを参照して、特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tを特定する(ステップS8)。なお、特性値dが選択したマスターデータに登録されていない場合には、温度演算部822は、上記の数式(2)を利用して、特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tを演算する。
【0069】
演算装置82は、アスファルト混合物の温度tの測定結果を測定結果管理装置9に出力する(ステップS9)。測定結果管理装置9は、温度測定システム8から出力されたアスファルト混合物の温度tを、製造ロット番号等と対応付けた出荷温度としてデータ管理プログラムにより管理する。また、測定結果管理装置9は、アスファルト混合物の種類と、アスファルト混合物の出荷量と、出荷温度等が記載された出荷伝票を印刷する。出荷伝票は、トラック10に積載されたアスファルト混合物とともに工事現場に納入される。
【0070】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト混合物の温度測定システム8、温度測定方法及びアスファルトプラント1によれば、ミキサ7内のアスファルト混合物を撮像する撮像装置81と、撮像装置81によって撮像された動画に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する演算装置82と、を備えており、演算装置82は、複数のフレーム画像間に生じた変化に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。このように、アスファルト混合物を撮像装置81により撮像して温度を測定するので、従来のスポット温度計に比べて粉塵や水蒸気、汚れの付着による影響を受けにくくなる。また、複数のフレーム画像間に生じた変化に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算するので、サーモグラフィ等で表面温度を測定する場合よりも精度よく温度tを測定することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、演算装置82は、複数のフレーム画像のそれぞれについて、直前に撮像されたフレーム画像と比較して差分を求め、差分を数値化した変動値を演算し、変動値の時間的変移を示す波形データWd1を生成する画像解析部821と、波形データWd1に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する温度演算部822と、を備えている。上述したように、本実施形態の波形データはアスファルト混合物の波動のパターンを示しているので、波形データWd1に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算することにより、アスファルト混合物の波動のパターンに基づいてアスファルト混合物の温度tを演算することができる。したがって、サーモグラフィ等で表面温度を測定する場合よりも精度よく温度tを測定することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、温度演算部822は、波形データWd1を解析して波形データの特徴を示す特性値dを演算し、この特性値dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。これにより、波形データWd1自体からアスファルト混合物の温度tを演算する場合よりも処理負荷を軽減することができる。また、波形データの特徴を示す特性値dのみからアスファルト混合物の温度tを演算するので、波形データの特徴的ではない部分を除外して演算することができ、アスファルト混合物の温度tを精度よく測定することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、温度演算部822は、波形データWd1の特徴を示す特性値である特性値データと、特性値データに対応付けられたアスファルト混合物の温度である温度データと、を有するマスターデータ823
1〜823
nを備えており、温度演算部821は、演算された特性値dと、マスターデータとに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。このように、マスターデータ823
1〜823
nを予め備えているので、低い処理負荷で迅速にアスファルト混合物の温度tを演算することができる。また、マスターデータ823
1〜823
nは、アスファルト混合物の種類と、ミキサ7の回転速度との組み合わせごとに予め実測されたデータであるため、実測値に基づいて、アスファルト混合物の温度tを精度よく測定することができる。さらに、アスファルト混合物は、使用するアスファルトの種類や、骨材等との混合割合、再生用添加剤の添加量等によって、温度に対する粘度の特性が異なっている。そのため、アスファルト混合物の種類又はミキサ7の回転速度ごとに複数のマスターデータ823
1〜823
nを備えることにより、より精度よくアスファルト混合物の温度を測定することができる。また、マスターデータ823
1〜823
nは、アスファルト混合物の温度特性に合わせて、特性値データが大きいほど、温度データが高くなっている。したがって、マスターデータ823
1〜823
nを用いることにより、アスファルト混合物の温度測定を精度よく行うことができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、温度演算部822は、波形データWd1のピークに基づいて、特性値dを演算する。上述したように、本実施形態の波形データはアスファルト混合物の波動のパターンを示しているが、波動のパターンを最も特徴的に示すのが波形データのピークである。したがって、波形データWd1のピークに基づいて、特性値dを演算することにより、アスファルト混合物の波動のパターンに基づいてアスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、特性値dとして、単位時間内の変動値の複数のピークの平均値を用いる。上述したように、アスファルト混合物は温度が高くなると粘度が低くなるため、アスファルト混合物の動きが大きくなる。そのため、アスファルト混合物の動きの大きさを表す変動値のピークの平均値を特性値dとして用いれば、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、画像解析部821は、フレーム画像においてミキサ7の混合羽根72を含まない領域に観測エリアOaを設定し、観測エリアOa内の差分を求める。これにより、フレーム画像全体の差分を求める場合よりも処理負荷を軽減することができるので、アスファルト混合物の温度測定を迅速に行うことができる。
【0077】
《第2実施形態》
次に、本発明のアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を適用した第2実施形態を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、温度演算部822による特性値dの算出方法とデータベースの内容が上述の第1実施形態と異なるが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0078】
本実施形態では、波形データの波形の振幅の差に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。アスファルト混合物は、粘度によって動きの大きさと、動きが収まるまでに要する時間とが変化する。具体的には、アスファルト混合物の粘度が低い場合には、当該アスファルト混合物の動きが大きくなると共にその動きの収束が早くなるため、振幅の大きさが大きくなる。これとは反対に、アスファルト混合物の粘度が高い場合には、当該アスファルト混合物の動きが小さくなると共に当該動きの収束が緩やかに(遅く)なるので、振幅の大きさが小さくなる。本実施形態では、この点に着目し、所定時間内の波形データの波形の振幅に基づいてアスファルト混合物の温度tを演算する。
【0079】
図8は、本実施形態で用いる波形データの一例として、波形データWd2を示している。温度演算部822は、波形データWd2から、ピークと、このピークに連なるボトムとを含む振幅を抽出し、ピークの変動値とボトムの変動値との差を振幅値として演算する。具体的には、温度演算部822は、波形データWd2からは4個の振幅A1〜A4を抽出し、各振幅A1〜A4のピークとボトムとの変動値の差を振幅値Ad1〜Ad4として演算する。そして、温度演算部822は、振幅値Ad1〜Ad4の平均値を特性値dとして演算する。例えば、振幅値Ad1〜Ad4の平均値が「8480」であった場合、この平均値が特性値dとなる。
【0080】
温度演算部822は、振幅値の平均値からなる波形データWd2の特性値dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。具体的には、温度演算部822は、まず、データベース823から、製造中のアスファルト混合物の種類及びミキサ7の回転速度に適合するマスターデータを複数のマスターデータ823
1〜823
nの中から選択する。このマスターデータ823
1〜823
nには、
図9に示すように、波形データWd2の特徴を振幅の大きさによって示す特性値データと、アスファルト混合物の温度データとが登録されており、この特性値データと温度データとは対応付けられている。このマスターデータ823
1〜823
nは、アスファルト混合物の種類と、ミキサ7の回転速度との組み合わせごとに予め実測されたデータであり、特性値データが大きいほど、すなわち、アスファルト混合物の動きが大きいほどアスファルト混合物の温度データが高くなっている。なお、このマスターデータ823
1〜823
nは、第1実施形態と同様に、撮像装置81と同じフレームレートを有する撮像装置を用いて実測される。そして、温度演算部822は、選択したマスターデータ(例えば、
図9のマスターデータ)を参照し、波形データWd2から求めた特性値dが「9640」のときには、アスファルト混合物の温度tが「170°C」であると特定する。また、特性値dが「6820」のときには、アスファルト混合物の温度tが「140°C」であると特定する。
【0081】
なお、特性値dが選択したマスターデータに登録されていない場合には、温度演算部822は、まず、マスターデータから、特性値dよりも小さい特性値データnと、この解析値データnに対応する温度データmと、特性値dよりも大きい解析値データn1と、この特性値データn1に対応する温度データm1とを抽出する。次いで、上記の数式(2)を用いて、特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tを演算する。例えば、特性値dが「8480」であった場合、
図9に示すマスターデータと、上記の数式(2)を用いることで、アスファルト混合物の温度tとして、「153.4°C」を演算することができる。
【0082】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト混合物の温度測定システム8、温度測定方法及びアスファルトプラント1によれば、特性値dとして、波形データWd2から求めた振幅を用いるので、アスファルト混合物の動きの大きさ及び当該動きの収束の早さに基づいて、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。また、振幅の平均値を用いるので、時間の経過によって波動が変化した場合でも、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。なお、振幅の平均を特性値dとして用いたが、振幅の最大値を特性値dとして用いてもよい。
【0083】
《第3実施形態》
次に、本発明のアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を適用した第3実施形態を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、温度演算部822による特性値dの算出方法とデータベースの内容が上述の第1実施形態と異なるが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0084】
本実施形態は、アスファルト混合物は、温度が低く粘度の高いときには、ミキサ7の混合羽根72と同じ周期の波動パターンを示すが、粘度が低くなると混合羽根72で押し出されて混合羽根72の周期よりも短い周期の波動のパターンを示し、周期(すなわちアスファルト混合物の動きの速さ)が異なることに着目した算出方法である。具体的には、波形データにおいて所定時間内に含まれる変動値のピークの数(所定時間あたりの周波数)を求め、この周波数を特性値dとする。
【0085】
図10は、本実施形態で用いる波形データの一例として、波形データWd3を示している。温度演算部822は、波形データWd3から、所定幅の範囲に含まれるピークの数を求める。具体的には、所定幅の範囲に含まれるピークとして、例えば、変動値の最大値(例えば、
図10では「10100」)と、変動値の最小値(例えば、
図10では「0」)とを求め、この最大値と最小値との中間値(例えば、
図10では「5050」)以上のピークの個数をカウントする。また、ピークの数を求めるための所定時間は、動画撮影のフレームレートと、ミキサ7の作動時間とに基づいて設定する。例えば、本実施形態において、動画撮影のフレームレートを60fpsとし、ミキサ7の作動時間を30秒とした場合、この30秒間に撮像されるフレーム画像の数である「1800」を所定時間とする。
図10に示す波形データWd3では、800単位時間までしか図示していないため、便宜上、600単位時間内のピーク数(20個)をカウントし、そのカウント値を3倍した値(60個)を所定時間内に含まれるピークの数として求めた。本実施形態では、このピーク数「60」が特性値dとなる。
【0086】
温度演算部822は、所定時間あたりのピークの数からなる波形データWd3の特性値dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。具体的には、温度演算部822は、まず、データベース823から、製造中のアスファルト混合物の種類及びミキサ7の回転速度に適合するマスターデータを複数のマスターデータ823
1〜823
nの中から選択する。このマスターデータ823
1〜823
nには、
図11に示すように、波形データWd3の特徴を所定時間内に含まれるピークの数によって示す特性値データと、アスファルト混合物の温度データとが登録されており、この特性値データと温度データとは対応付けられている。このマスターデータ823
1〜823
nは、アスファルト混合物の種類と、ミキサ7の回転速度との組み合わせごとに予め実測されたデータであり、特性値データが大きいほど、すなわち、アスファルト混合物の波動の周期が短いほど(アスファルト混合物の動きが速いほど)、アスファルト混合物の温度データが高くなっている。なお、このマスターデータ823
1〜823
nは、第1実施形態と同様に、撮像装置81と同じフレームレートを有する撮像装置を用いて実測される。そして、温度演算部822は、選択したマスターデータ(例えば、
図11のマスターデータ)を参照し、波形データWd3から求めた特性値dが「62.6」のときには、アスファルト混合物の温度tが「180°C」であると特定する。また、特性値dが「57.2」のときには、アスファルト混合物の温度tが「130°C」であると特定する。
【0087】
なお、特性値dが選択したマスターデータに登録されていない場合には、温度演算部822は、まず、マスターデータから、特性値dよりも小さい特性値データnと、この特性値データnに対応する温度データmと、特性値dよりも大きい特性値データn1と、この特性値データn1に対応する温度データm1とを抽出する。次いで、上記の数式(2)を用いて、特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tを演算する。例えば、特性値dが「60」であった場合、
図11に示すマスターデータと、上記の数式(2)を用いることで、アスファルト混合物の温度tとして、「155.4°C」を演算することができる。
【0088】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト混合物の温度測定システム8、温度測定方法及びアスファルトプラント1によれば、特性値dとして、波形データWd3から求めた、所定時間に含まれるピークの数を用いるので、アスファルト混合物の波動の周期(すなわちアスファルト混合物の動きの速さ)に基づいて、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。
【0089】
《第4実施形態》
次に、本発明のアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を適用した第4実施形態を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、温度演算部822による特性値dの算出方法とデータベースの内容が上述の第1実施形態と異なるが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0090】
本実施形態は、波形データをフーリエ変換して求めた波形の特性、すなわち、アスファルト混合物の波動の特性を特性値dとして、アスファルト混合物の温度を演算する。周知のように、フーリエ変換は、波形データを複数の正弦波の組み合わせとして捉え、波形データを複数の正弦波に分解することができる。本実施形態では、波形データをフーリエ変換により複数の正弦波に分解し、それぞれの正弦波から振幅及び角周波数を取得し、角周波数配列を波形データの特性値dとして用いる。以下では、フーリエ変換を用いて波形データから角周波数配列を取得する手法について説明する。
【0091】
図12に示す複雑な波形データWd4は、
図13に示すように、正弦波(sin波)Wd4a、Wd4b及びWd4cを合成されて作られている。そのため、波形データWd4をフーリエ変換して分解すると、正弦波Wd4a、Wd4b及びWd4cを得ることができる。正弦波は、周知のとおり、「r sin ω x」で表すことができる。なお、「r」は振幅、「ω」は角周波数を示す。本実施形態の温度演算部822は、
図14に示すように、波形データWd4をフーリエ変換して取得した正弦波Wd4a、Wd4b及びWd4cから、振幅r及び角周波数ωを求め、角周波数配列を求める。例えば、正弦波Wd4aの振幅r及び角周波数ωは、「振幅5」及び「角周波数2」となる。また、正弦波Wd4bの振幅r及び角周波数ωは、「振幅4」及び「角周波数5」となる。同様に、正弦波Wd4cの振幅r及び角周波数ωは、「振幅3」及び「角周波数7」となる。この角周波数配列は、
図15に示すように、縦軸を振幅、横軸を角周波数としたグラフG1によって表すことができる。すなわち、正弦波Wd4a、Wd4b及びWd4cの角周波数配列は、{0,5,0,0,4,0,3,0}となる。
【0092】
温度演算部822は、角周波数配列からなる波形データWd4の特性値dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。具体的には、温度演算部822は、まず、データベース823から、製造中のアスファルト混合物の種類及びミキサ7の回転速度に適合するマスターデータを複数のマスターデータ823
1〜823
nの中から選択する。このマスターデータ823
1〜823
nには、
図16に示すように、波形データの特徴を示す角周波数配列からなる特性値データと、アスファルト混合物の温度データとが登録されており、この解析値データと温度データとは対応付けられている。このマスターデータ823
1〜823
nは、アスファルト混合物の種類と、ミキサ7の回転速度との組み合わせごとに予め実測されたデータである。なお、このマスターデータ823
1〜823
nは、第1実施形態と同様に、撮像装置81と同じフレームレートを有する撮像装置を用いて実測される。
【0093】
温度演算部822は、波形データWd4から求めた特性値dと、選択したマスターデータの特性値データとの類似度を演算し、当該特性値dに最も類似する特性値データに対応する温度データをアスファルト混合物の温度tとする。なお、特性値dと特性値データとの類似度の演算の手法は、例えば、上述の特性値dと特性値データとの間のユークリッド距離を求める方法を例示することができる。なお、類似度の演算の手法は、上記に特に限定されず、Jaccardの類似度、プログラミング言語に含まれる配列の類似性を求める関数、例えば、similar()等を用いてもよい。
【0094】
以下では、アスファルト混合物の実際の波形データの角周波数配列からなる特性値dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを求める例について説明する。
図17は、本実施形態で用いる波形データの一例として、波形データWd5を示している。温度演算部822は、この波形データWd5をフーリエ変換して7個の正弦波に分解し、各正弦波の振幅r及び角周波数ωを求め、角周波数配列からなる特性値dを取得する。具体的には、波形データWd5の角周波数配列は、
図18のグラフG2に示すように、例えば、{0,5,1,3,4,3,2,1}となり、この角周波数配列が波形データWd5の特性値dとなる。
【0095】
温度演算部822は、波形データWd5の特性値dに最も類似する特性値データを特定してアスファルト混合物の温度tを演算する。ここでは、一例として、温度データが「170°C」、「160°C」、「150°C」の特性値データを用いた算出例を示す。温度データが「170°C」、「160°C」、「150°C」のときの特性値データのグラフG3a〜G3cを、
図19(A)、(B)及び(C)に示す。温度演算部822は、
図20に示すように、例えば、配列の類似性を求める関数であるsimilar()を利用し、
図18に示す波形データWD5の特性値dと、
図19(A)、(B)及び(C)に示す特性値データの角周波数配列とをそれぞれ比較する。その結果、特性値dとの類似度が最も高い角周波数配列を有する特性値データとして、「150°C」の特性値データを算出することができる。なお、予め多数の特性値データを備えておくことで、アスファルト混合物の温度tの算出精度はより高まる。また類似度の算出アルゴリズムを洗練させることにより、温度間の算出も可能になる。
【0096】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト混合物の温度測定システム8、温度測定方法及びアスファルトプラント1によれば、特性値dとして、波形データWd5をフーリエ変換して求めた角周波数の異なる複数の正弦波の振幅からなる配列(角周波数配列)を用いる。また、温度演算部822は、解析値dと、複数のマスターデータの解析値データとの類似度を演算し、類似度の最も高い特性値データの温度データをアスファルト混合物の温度とする。このように、アスファルト混合物の波形データから波動の特性を表す角周波数配列を求め、この角周波数配列を利用してアスファルト混合物の温度tを演算するので、アスファルト混合物の波動の特性に基づいて、アスファルト混合物の温度tを精度よく演算することができる。
【0097】
《第5実施形態》
次に、本発明のアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を適用した第5実施形態を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、温度演算部822による特性値dの算出方法とデータベースを備えていない点で上述の第1実施形態と異なるが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0098】
本実施形態は、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムを利用した学習済みモデルを利用して、波形データの特性値dからアスファルト混合物の温度tを求める。具体的には、本実施形態の温度演算部822は、
図21に示すように、学習済みモデルとしてニューラルネットワークNNWを備えている。このニューラルネットワークNNWは、任意の温度のアスファルト混合物から取得した波形データをフーリエ変換して得られた角周波数配列からなる特性値データと、当該特性値データに対応付けられたアスファルト混合物の温度を示す温度データとを教師データとして用いて機械学習により生成されており、アスファルト混合物の波動の変化を示す特性値dを入力とし、アスファルト混合物の温度tを出力とするモデルである。
図22は、ニューラルネットワークNNWの機械学習時の状態を示す。なお、教師データとして入力される特性値データは、撮像装置81と同じフレームレートを有する撮像装置を用いて実測される。
【0099】
本実施形態の温度演算部822は、アスファルト混合物の波動を示す波形データをフーリエ変換し、角周波数配列からなる特性値dを演算する。次いで、
図23に示すように、温度演算部822が当該特性値dを学習済みのニューラルネットワークNNWに入力すると、当該ニューラルネットワークNNWは当該特性値dに対応するアスファルト混合物の温度tを推定して出力する。
【0100】
このように、本実施形態によれば、アスファルト混合物の波動を示す特性値データと、アスファルト混合物の温度データとを教師データとして用いて機械学習により生成された学習済みのニューラルネットワークNNWを備えている。そして、このニューラルネットワークNNWに、波形データを解析して演算した特性値dを入力すると、アスファルト混合物の温度tが出力される。したがって、上記の第1〜第4実施形態のように、多数のマスターデータを備えていなくても、特性値dから温度tを求めることができる。また、ニューラルネットワークNNWの機械学習を多数の教師データを用いて行うことで、アスファルト混合物の温度tを精度よく算出することができる。
【0101】
なお、ニューラルネットワークNNWの教師データとして、角周波数配列からなる解析値データを用いたが、これに限定されない。例えば、第1〜第4実施形態で用いた特性値データのいずれかを教師データとして用いて学習済みのニューラルネットワークNNWを生成し、第1〜第4実施形態の特性値dをニューラルネットワークNNWに入力したときに、温度tが出力されるようにしてもよい。これによれば、波形データの特徴を示す様々な特性値データを教師データとして機械学習した学習済みモデルによって、アスファルト混合物の温度tを精度よく求めることができる。
【0102】
なお、上記実施形態では、撮像装置81として、高速動画撮影が可能なデジタルカメラを用いたが、これに代えて、1秒間に複数枚(例えば、60枚以上)の静止画が連写可能なデジタルカメラを用いてもよい。この場合には、画像解析部821により各撮像画像間で差分算出を行い、波形データを生成する。
【0103】
また、ミキサ7の斜め上方から撮像装置81によりアスファルト混合物を撮像したが、
図24に示すように、混合槽71の上部の側面に開口部71bを形成し、この開口部71bを通してアスファルト混合物を撮像してもよい。また、
図25に示すように、開口部71bに透明部材71cを嵌合した窓部71dを形成し、この窓部71dを通してアスファルト混合物を撮像してもよい。透明部材71cは、可視光が透過可能な部材であり、例えば、ガラス、プラスチック、アクリル、レジン、塩化ビニール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ハイブリッドガラス等を用いることができる。本実施形態では、透明部材71cは、強化ガラスで構成されている。また、透明部材71cは、これに限定されず、赤外線が透過可能な材料であってもよい。これらによれば、ミキサ7への骨材の投入時に発生する粉塵や、骨材とアスファルトとの混合時に発生する水蒸気等による撮像装置81への悪影響を小さくすることができる。
【0104】
また、特性値dは、波形データの特徴を示すものであれば、上述したものに限定されない。例えば、アスファルト混合物の動きの速さを表す特性値dとして、波形データのピークの間隔の平均値や波形データの急峻性(例えばボトムからピークへの立ち上がりの傾き)等を用いてもよい。
【0105】
上記の各実施形態の温度測定システム8では、ミキサ7内のアスファルト混合物の複数の撮像画像のそれぞれについて、直前に撮像された撮像画像と比較して差分を求め、この差分を数値化した変動値を演算し、変動値の時間的変移を示す波形データを生成するとともに、生成した波形データに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算している。しかしながら、本発明は、上記の各実施形態のような温度測定システム8には限定されない。すなわち、ミキサ7内のアスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像し、撮像された複数の撮像画像に生じた変化に基づいてアスファルト混合物の温度tを演算するものであれば本発明の温度測定システムに含まれる。
【0106】
例えば、本発明の別の例を用いた温度測定システムとしては、ミキサ7内のアスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像し、撮像された複数の撮像画像に対して画像解析処理を行い、画像解析処理の結果に基づいて、アスファルト混合物の流動速度を演算し、この流動速度からアスファルト混合物の温度tを演算してもよい。より具体的には、複数の撮像画像のうちの一の撮像画像から、アスファルト混合物内の特徴点を抽出し、この一の撮像画像以降に撮像された複数の撮像画像において特徴点を追跡する。そして、アスファルト混合物の流動速度として、特徴点の追跡結果に基づいて、特徴点の所定時間あたりの移動距離dを演算し、この演算された移動距離dに基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する。本発明の別の例を用いた温度測定システムによれば、アスファルト混合物の流動速度、すなわち、アスファルト混合物の粘度に基づいて温度tを測定するので、従来のスポット温度計や、サーモグラフィ等の表面温度を測定する温度計に比べ、より精度よくアスファルト混合物の温度tを測定することができる。
【0107】
さらに、新規骨材と再生骨材とを混合する混合ラインを備えたアスファルトプラント1に、温度測定システム8を設ける例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、新規骨材のみのラインに温度測定システム8を適用してもよい。
【課題】粉塵や水蒸気等の影響を受けずに、アスファルト混合物の温度を精度よく測定することができるアスファルト混合物の温度測定システム、アスファルトプラント及びアスファルト混合物の温度測定方法を提供する。
【解決手段】ミキサ7によりアスファルトと骨材とを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント1において、ミキサ7内のアスファルト混合物の温度を測定する温度測定システム8は、ミキサ7内のアスファルト混合物を所定の時間間隔で撮像する撮像装置81と、撮像装置81によって撮像された複数の撮像画像に基づいて、アスファルト混合物の温度tを演算する演算装置82と、を備えており、演算装置82は、複数の撮像画像間に生じた変化に基づいて、前記アスファルト混合物の温度tを演算する。