特許第6742018号(P6742018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 管清工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6742018-不明水推定方法 図000002
  • 特許6742018-不明水推定方法 図000003
  • 特許6742018-不明水推定方法 図000004
  • 特許6742018-不明水推定方法 図000005
  • 特許6742018-不明水推定方法 図000006
  • 特許6742018-不明水推定方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742018
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】不明水推定方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20200806BHJP
   E03F 5/22 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   C02F1/00 D
   C02F1/00 V
   E03F5/22
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-144970(P2016-144970)
(22)【出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2018-12094(P2018-12094A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年4月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年7月1日発行の第53回下水道研究発表会講演集(発行所:公益社団法人日本下水道協会)に掲載。
(73)【特許権者】
【識別番号】592185666
【氏名又は名称】管清工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 健司
(72)【発明者】
【氏名】飯島 達昭
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 久
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−153462(JP,A)
【文献】 特開2010−048055(JP,A)
【文献】 特開2016−108743(JP,A)
【文献】 特開2011−080347(JP,A)
【文献】 特開2013−174138(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0230384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
E03F 5/22
F04D 15/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水管渠に流入している不明水量を推定する不明水推定方法であって、
前記下水管渠に設けられているポンプ施設のマンホールに設けられたマンホールポンプに供給される駆動電流を検出し、
検出した前記駆動電流に基づき前記マンホールポンプの稼働時間帯を特定して記録し、
記録した前記マンホールポンプの前記稼働時間帯に基づいて所定時間帯の前記マンホールに流れ込む下水流量を決定し、
決定した前記下水流量に基づき前記不明水量を推定するものであり、
前記マンホールポンプに供給される前記駆動電流の検出は、前記ポンプ施設に設けられた制御盤内の、前記マンホールポンプに前記駆動電流を供給するためのケーブル又はコードにクランプ式交流電流センサを接続することにより行われ、
前記下水流量は、前記マンホールポンプの前記稼働時間帯の間の時間と前記マンホールポンプの1回のポンプアップ水量とに基づいて決定される、ことを特徴とする不明水推定方法。
【請求項2】
決定される前記マンホールに流れ込む前記下水流量は、生活排水が排出されない時間帯のものである、ことを特徴とする請求項1記載の不明水推定方法。
【請求項3】
決定される前記マンホールに流れ込む前記下水流量は、同じ時間帯の降雨時と晴天時のものであり、
前記不明水量は、前記降雨時の下水流量から前記晴天時の下水流量を減じることにより推定される、ことを特徴とする請求項1記載の不明水推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールポンプが設けられているマンホールに接続されている下水管路に流入する不明水の流量を推定するための不明水推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分流式下水道では、雨水と汚水を同一の合流管で処理するのではなく、雨水を河川等に放流する雨水管渠と汚水を処理する汚水管渠を構築して雨水と汚水を別々に処理している。したがって、汚水管渠系は基本的には汚水のみを処理できるように設計されているので、例えば損傷している汚水ますから雨水が汚水管内に流入したり、クラックが生じている汚水管から地下水が汚水管内に流入すると、汚水管内の流量が増加し、下水処理場の負荷を増大させたり、場合によっては処理能力を超えた下水が下水処理場に流れ込んで処理場が機能不全になるといった事態も生じ得る。
【0003】
したがって、雨水や地下水といった不明水の流入の有無を確認し、流入がある場合には流入個所を特定して必要な補修等を行うこととなるが、不明水の流入の有無及びその程度の把握は例えば特許文献1に記載されたような流量計をマンホールのインバートに設置して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3061715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたようなフリューム式流量計を用いる場合には超音波水位センサによって水位を計測することにより流量を算出しているが、フリューム式流量計は価格が高く、しかも流量計測個所の管径に合った寸法のフリュームを大量に所持しておく必要があるため、機材の管理が困難である。したがって、不明水調査のように多くの調査個所での流量調査が必要になる場合には、少数の流量計を順番に調査個所に設置しながら流量調査を行うので調査期間が長くなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、下水管渠に流れ込む不明水量を簡単な装置を用いて推定できる不明水推定方法の提供を目的とする。
【0007】
この目的を達成するための本発明の不明水推定方法は、下水管渠に流入している不明水量を推定する不明水推定方法であって、前記下水管渠に設けられているポンプ施設のマンホールに設けられたマンホールポンプに供給される駆動電流を検出し、検出した前記駆動電流に基づき前記マンホールポンプの稼働時間帯を特定して記録し、記録した前記稼働時間帯に基づいて所定時間帯の前記マンホールに流れ込む下水流量を決定し、決定した前記下水流量に基づき前記不明水量を推定するものである。駆動電流の供給によりマンホールポンプは稼動する。マンホールポンプの稼動時間帯と稼働時間帯との間、すなわちマンホールポンプの停止中にマンホール内に1回のポンプアップ水量に相当する下水が流れ込む。したがって、1回のポンプアップ水量をマンホールポンプの停止時間で除して停止時間中の下水量を算出することができ、算出した下水量から不明水量を割り出すことが可能となる。すなわち、下水流量はマンホールポンプの稼働時間帯と稼働時間帯との間の時間とマンホールポンプの1回のポンプアップ水量とに基づいて決定することができる。
【0008】
マンホールポンプに供給される駆動電流の検出は、ポンプ施設に設けられた制御盤内の、マンホールポンプに駆動電流を供給するためのケーブル又はコードにクランプ式交流電流センサを接続することにより行なうことができる。クランプ式交流電流センサは、例えば、駆動電源の周りに発生する磁界をクランプ部分で拾うことにより電流を検出するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の不明水推定方法はマンホールポンプの駆動電流による交流電流センサ又はクランプ電流計を用いて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】不明水の調査把握から対策に至るまでの処理手順を説明する図である。
図2】ポンプ施設を示す図である。
図3】クランプ式交流電流センサを制御装置のケーブルに取り付けた状態を示す図である。
図4】晴天日のクランプ式交流電流センサの検出結果を示すグラフである。
図5】別の晴天日のクランプ式交流電流センサの検出結果を示すグラフである。
図6】雨天日のクランプ式交流電流センサの検出結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1を参照して雨天時浸入水や常時浸入水(地下水や海水など)といった不明水の調査把握から対策に至るまでの処理手順を説明する。
【0012】
不明水の調査にあたっては最初に過去の下水管渠の維持管理履歴を調査(予備調査)して数百ヘクタールの調査実施個所(特定の大ブロック)を選定する(S1)。次に、雨天時や晴天時の下水流量を計測して不明水量を調査し、調査対象の20乃至30ヘクタール程度の中ブロックを絞り込み(S2)、さらに雨天時や晴天時の下水流量を計測して不明水量を調査し、モデル地区としての2乃至5ヘクタール程度の小ブロックを絞り込むが(S3)、特にS2で行われる不明水量の調査は概略的なものであってもよく、図3に示すようなマンホールポンプへの駆動電流の供給時間帯を検出するクランプ式交流電流センサを用いて行うことが可能である。そして、小ブロックを絞り込んだら、下水管内を走行するテレビカメラ車などを用いて損傷個所等を確認し、損傷個所等の程度に基づき補修優先順位を求めて補修個所を算出する(S4)。補修個所が算出されたら補修工事を実施し(S5)、S3と同一の個所で不明水量の調査を再度実施して改善効果を確認する(S6)。これらの調査結果及び改善効果は下水管の維持管理データとして蓄積され(S7)、例えば同じような状況の下水管渠での補修個所の算出に利用される(S8)。
【0013】
次に、図2を参照して本発明に係る不明水推定方法の実施に利用されるポンプ施設の構成を説明する。
【0014】
ポンプ施設1は、地下構造物として、下水管3から流入する下水Aを貯留するマンホール5と、このマンホール5内に設けられた、貯留している下水Aを吐出管7に吐出するための2基のマンホールポンプ9と、吐出管7に吐出された下水Aを圧送する圧送管11と、下水Aの水位の上昇を検出してマンホールポンプ9の作動を開始させる水位上昇検出センサ13と、下水Aの水位の下降を検出してマンホールポンプ9の作動を停止させる水位下降検出センサ15と、を備え、地上設置物として、水位上昇検出センサ13及び水位下降検出センサ15からの検出信号を受け取ってマンホールポンプ9に電力を供給したりマンホールポンプ9への電力の供給を停止したりする制御装置17(制御盤)を備えている。制御装置17とそれぞれのマンホールポンプ9との間には電力ラインを有するケーブル19が接続されている。
【0015】
図3を参照してマンホールポンプ9の稼動状態の検出方法を説明する。
【0016】
不明水推定方法では、まず、マンホールポンプ9の稼動状態を検出する。マンホールポンプ9の稼動状態はケーブル19にクランプ式交流電流センサ21を取り付けてマンホールポンプ9が稼動しているときに流れている駆動交流電流を検出することにより行う。クランプ式交流電流センサ21はそれぞれのケーブル19に取り付けられ、それぞれのクランプ式交流電流センサ21はデータ処理装置23に接続されている。データ処理装置23ではそれぞれのクランプ式交流電流センサ21が検出した交流電流値をディスプレイ25に表示するとともに検出時間情報とともに記録する。なお、1回のポンプアップ時(下水Aの水位が水位上昇検出センサ13位置から水位下降検出センサ15位置まで下がる間)に一対のマンホールポンプ9は交互に作動を繰り返す。
【0017】
晴天日のクランプ式交流電流センサ21の検出結果例を示すグラフである図4、別の晴天日のクランプ式交流電流センサ21の検出結果例を示すグラフである図5、雨天時のクランプ式交流電流センサ21の検出結果例を示すグラフである図6を参照してデータ処理装置23の記録結果から不明水量を推定する方法を説明する。図4乃至図6では駆動電流値を検出している間の時間に1回のポンプアップ量に相当する下水がマンホール5内に流入したことになる。
【0018】
図4ではマンホールポンプ9が午前0時以降午前6時まで作動していない。午前0時あたりではまだ相当の生活排水があるものと考えられるので、午前6時までの間にマンホール5内に下水管3から流れ込んだ下水Aには不明水(具体的には浸入地下水)とともに生活排水も含まれていると考えられる。図5ではマンホールポンプ9が午前1時に1回目の作動を行い、以後は午前5時すぎの2回目の作動まで作動していない。午前1時から午前5時までの間は生活排水がほとんど排出されていないと考えられるので、午前1時から午前5時過ぎまで下水管3からマンホール5内に流れ込んだ下水Aは不明水(具体的には例えば常時浸入水のうちの浸入地下水)だけと考えられる。したがって、不明水量は1回のポンプアップ量を1回目の作動と2回目の作動との間の時間で除して求めることができる。図6では午前11時過ぎから午後3時過ぎまでマンホールポンプ9の停止時間はほぼ30分となっている。これは午前11時過ぎからの降雨による下水管3への雨水の浸入が影響していると考えられる。午前11時から午後3時までの晴天時のマンホールポンプ9の停止時間の平均が例えば2時間であるとすれば、1回のポンプアップ量を30分で除した値から一回のポンプアップ量を120分で除した値を減じた量が不明水量(具体的には雨天時浸入水又は浸入雨水量)だと考えられる。
【符号の説明】
【0019】
1 ポンプ施設
3 下水管
5 マンホール
9 マンホールポンプ
17 制御装置
19 ケーブル
21 クランプ式交流電流センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6