特許第6742022号(P6742022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742022
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】ヘアピンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 8/06 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
   A45D8/06
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-126679(P2017-126679)
(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公開番号】特開2019-5494(P2019-5494A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018418
【氏名又は名称】株式会社五力工業
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 益廣
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭08−006456(JP,Y1)
【文献】 米国特許第01580764(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0256702(US,A1)
【文献】 実公昭02−013512(JP,Y1)
【文献】 実公昭05−012809(JP,Y1)
【文献】 特公昭29−004318(JP,B1)
【文献】 特公昭48−035427(JP,B1)
【文献】 実公昭16−009008(JP,Y1)
【文献】 米国特許第01846882(US,A)
【文献】 特許第078499(JP,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/00− 8/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材(1a)の2カ所に、線材中心(P)から直径方向に突出した山部(4a)が線材長手方向に複数連続して形成して、同一方向に波打ち振幅(W)のある波打ち部(4)を形成する波打ち工程(A)と、線材(1a)の両波打ち部(4)の中間にベンダ(6)を押圧して押し曲げて一対の差し込み部(3)とその間の屈曲部(2)とを形成する屈曲工程(D)とを有するヘアピンの製造方法であって、
前記波打ち工程(A)と屈曲工程(D)との間に、ベンダ(6)による押し曲げ方向(U)に対して傾斜した磁着面(7a)を有する磁石(7)に、前記線材(1a)の一対の波打ち部(4)を磁着させて、一対の差し込み部(3)の線材中心(P)を通る面(L)に対して波打ち部(4)の波打ち振幅方向(S)を傾斜させる磁着工程(C)を有し、
前記屈曲工程(D)は、前記線材(1a)の一対の波打ち部(4)の中央線(T)から山部の略4分の1ピッチ(n)ずれた位置をベンダ(6)で屈曲することを特徴とするヘアピンの製造方法。
【請求項2】
前記線材(1a)は長尺線材であって、波打ち工程(A)で波打ち部(4)を形成した後に前記一対の磁石(7)に対向する位置まで移動して定寸に電気溶断器(10)で溶断する溶断工程(B)を有しており、
前記一対の磁石(7)の磁着面(7a)を押し曲げ方向(U)に対して略45度傾斜させて配置していることを特徴とする請求項1に記載のヘアピンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に差し込まれて使用されるヘアピンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の毛髪に差し込むヘアピンとして、差し込み部分に波打ち形状部分を形成したものがある。特許文献1に開示されたものは、毛髪に差し込むための平行な一対の差込体と、差込体の後端部同士を互いに連結する連結体とを有して平面視U字状に構成されたヘアピンにおいて、前記差込体がその側面視において湾曲した湾曲部を有し、この湾曲部は前記差込体の側面視における長手方向中央部よりも後端部側に形成されており、前記差込体には、この差込体が毛髪に差し込まれたときに前記毛髪に係止される係止部が設けられ、この係止部は、前記差込体が複数箇所で折曲されて、前記差込体の側面視における長手方向に直交する方向に突出形成された少なくとも一つの山部により構成され、前記山部を構成するように折曲された箇所のうち最も前記後端部寄りの箇所が前記湾曲部を兼ねている(請求項8)。
【0003】
前記ヘアピンの差込体における複数の折曲は波打ち形状であり、その波打ちの振幅方向は、一対の差込体を通る面に対して直交している、あるいは波打ちの振幅方向を一対の差込体を通る面に対して平行にしている。
また、特許文献2に開示された平面視U字状のヘアピンは、屈曲部から一対の差し込み部が突出されていて、両差し込み部に正対向する波打ち部を形成し、各波打ち部を波打ち振幅方向が一対の差し込み部の線材中心を通る面に対して傾斜させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3074872号
【特許文献2】米国特許第1846882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記前者従来技術のヘアピンは、差込体に波打ち形状部分を有するので、束ねた毛髪に容易に絡めて固定でき、毛髪からの抜け落ちを効果的に防止できるとともに、机面等の平面に対してヘアピンの波打ち部が起立するので、拾い上げ等の取り扱いが容易になる。しかし、波打ち部の振幅方向が差込体を通る面に対して直交している場合は、対向する波打ち部間で毛髪を挟み難いという問題が生じる。また、波打ち部の振幅方向が差込体を通る面に対して平行している場合は、対向する波打ち部間で毛髪を挟み易いが、机面からの拾い上げがやり難いという問題が生じる。
【0006】
また、前記後者従来技術のヘアピンは、一対の差し込み部の山部は正対向して形成されており、毛髪に差し込むときに毛髪が一対の山部に同時に当たると、差し込み抵抗が大きくなりすぎて、差し込み難くなることがある。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたヘアピンの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
発明は、一対の差し込み部の波打ち部の山部を互いに線材長手方向に略半ピッチずれた位置に形成することにより、抜け落ち防止、拾い上げ容易化ができる上に差し込みが容易にできるヘアピンを容易に製作できるようにしたヘアピンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
ヘアピンの製造方法は第1に、線材1aの2カ所に、線材中心Pから直径方向に突出した山部4aが線材長手方向に複数連続して形成して、同一方向に波打ち振幅Wのある波打ち部4を形成する波打ち工程Aと、線材1aの両波打ち部4の中間にベンダ6を押圧して押し曲げて一対の差し込み部3とその間の屈曲部2とを形成する屈曲工程Dとを有するヘアピンの製造方法であって、
前記波打ち工程Aと屈曲工程Dとの間に、ベンダ6による押し曲げ方向Uに対して傾斜した磁着面7aを有する磁石7に、前記線材1aの一対の波打ち部4を磁着させて、一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して波打ち部4の波打ち振幅方向Sを傾斜させる磁着工程Cを有し、
前記屈曲工程Dは、前記線材1aの一対の波打ち部4の中央線Tから山部の略4分の1ピッチnずれた位置をベンダ6で屈曲することを特徴とする。
【0009】
ヘアピンの製造方法は第2に、前記線材1aは長尺線材であって、波打ち工程Aで波打ち部4を形成した後に前記一対の磁石7に対向する位置まで移動して定寸に電気溶断器10で溶断する溶断工程Bを有しており、
前記一対の磁石7の磁着面7aを押し曲げ方向Uに対して略45度傾斜させて配置していることを特徴とする。
【0010】
製造されたヘアピンは第1に、線材1aを平面視略U字状に屈曲して、屈曲部2とこの屈曲部2の両端から連続した一対の差し込み部3とが形成されており、前記各差し込み部3の長手方向中途部に波打ち部4が形成されており、
前記各波打ち部4は、差し込み部3の線材中心Pから直径方向に突出した山部4aが線材長手方向に複数連続して形成されており、波打ち振幅方向Sが一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して傾斜角度αで交差されたヘアピンであって、
前記一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して同側に位置する一方の差し込み部3の山部4aと他方の差し込み部3の山部4bとは、互いに線材長手方向に山部の略半ピッチNずれた位置に配置されている。
【0011】
製造されたヘアピンは第2に、前記各差し込み部3の山部4a、4bは、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて高さhが次第に高く形成されている。
製造されたヘアピンは第3に、前記各差し込み部3の山部4aは、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて山斜面角度Qが次第に急角度に形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、抜け落ち防止及び拾い上げ容易化ができる上に差し込みが容易にできるヘアピンを容易に製作できる。
即ち、ヘアピンの製造方法は第1に、波打ち工程Aと屈曲工程Dとの間に、ベンダ6による押し曲げ方向Uに対して傾斜した磁着面7aを有する磁石7に、前記線材1aの一対の波打ち部4を磁着させて、一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して波打ち部4の波打ち振幅方向Sを傾斜させる磁着工程Cを有し、前記屈曲工程Dは、前記線材1aの一対の波打ち部4の中央線Tから山部の略4分の1ピッチnずれた位置をベンダ6で屈曲するので、差し込み部3の線材中心Pから直径方向に突出した山部4aが線材長手方向に複数連続した波打ち部4を、波打ち振幅方向Sが一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して傾斜角度αで傾斜させて簡単かつ正確に形成することができ、かつ一対の差し込み部3に山部4aの位置が山部の略半ピッチNずれた一対の波打ち部4を簡単かつ容易に形成することができる。
【0013】
ヘアピンの製造方法は第2に、線材1aは長尺線材であって、波打ち工程Aで波打ち部4を形成した後に前記一対の磁石7に対向する位置まで移動して定寸に電気溶断器10で溶断する溶断工程Bを有しており、一対の磁石7の磁着面7aを押し曲げ方向Uに対して略45度傾斜させて配置しているので、線材1aの両端を溶断により丸くすることができ、磁石7の磁着面7aへの磁着が容易にでき、かつ傾斜角度45度の波打ち部4を簡単かつ正確に形成することができる。
【0014】
製造されたヘアピンは第1に、一対の波打ち部4は、差し込み部3の線材中心Pから直径方向に突出した山部4aが線材長手方向に複数連続して形成されており、波打ち振幅方向Sが一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して傾斜角度αで交差され、かつ前記一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して同側に位置する一方の差し込み部3の山部4aと他方の差し込み部3の山部4bとは、互いに線材長手方向に山部の略半ピッチNずれた位置に配置されているので、対向する波打ち部4間で毛髪を確実に挟むことができ、机面等の平面へ載置した時に、波打ち部4が起立することにより拾い上げが容易にでき、かつ毛髪に差し込むときに毛髪が一対の山部に同時に当たることが少なく、差し込みが容易にできる。
【0015】
製造されたヘアピンは第2に、各差し込み部3の山部4a、4bは、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて高さhが次第に高く形成されているので、ヘアピンは毛髪に差し込み易くかつ抜け難くできる。
製造されたヘアピンは第3に、各差し込み部3の山部4aは、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて山斜面角度Qが次第に急角度に形成されているので、ヘアピンは毛髪に差し込み易くかつ抜け難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態を示すヘアピンの平面図である。
図2】同正面図である。
図3】同拡大側面図である。
図4】ヘアピンの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1−3において、ヘアピン1は丸棒状線材を平面視略U字状に形成しており、指で把持可能な平面視円弧形の屈曲部2と、この屈曲部2の両端から連続していて毛髪に差し込まれる一対の平行な差し込み部3とを有しており、この両差し込み部3に波打ち部4が形成されている。
【0018】
前記各波打ち部4は、差し込み部3の長手方向中間部に位置し、丸棒状線材1aの直径方向に山谷(凹凸)の波形状に形成されており、毛髪に差し込んだときに、毛髪に絡まり、抜き抵抗が大きくなる。
前記各波打ち部4は、差し込み部3の線材中心Pから直径方向に突出した山部がそれぞれ線材長手方向に略等ピッチ(2N)で複数連続して形成されている。即ち、一方の波打ち部4は、線材中心Pから半径方向の1方向に突出した山部4aと、その半径方向から周方向に180度変位した半径方向に突出した山部4a’とは線材中心Pから直径方向で直線状に配列されている。他方の波打ち部4は、線材中心Pから半径方向の1方向に突出した山部4bと、その半径方向から周方向に180度変位した半径方向に突出した山部4b’とは線材中心Pから直径方向で直線状に配列されている。
【0019】
各波打ち部4の山部4a、4a’の合計高さ、山部4b、4b’の合計高さが波の振幅Wとなり、直径方向が波打ち振幅方向Sとなっており、この波打ち振幅方向Sが一対の差し込み部3を通る面L(両差し込み部3の中心を通る仮想面)に対して及びその面Lと直交する方向Mに対して傾斜している。
波打ち部4の波打ち振幅方向Sは、従来技術においては一対の差し込み部3を通る面Lと平行であったり、直交したりしていたが、ヘアピン1は一対の差し込み部3を通る面Lに対して傾斜角度αが略45度に設定されている。
【0020】
一対の波打ち部4の波打ち振幅方向Sは、一対の差し込み部3の中心線Vに対して鏡面対称であり、ヘアピン1の先端から見て、図3に示すように「ハ」の字形状になっている。
前記一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して一側(図3のF側)に位置する一方の差し込み部3の山部4aと他方の差し込み部3の山部4bとは、線材長手方向に互いにずれて配置されている。また、面Lに対して他側(図3のG側)に位置する一方の差し込み部3の山部4a’と他方の差し込み部3の山部4b’とは、線材長手方向に互いにずれて配置されている。
【0021】
前記各山部4a、4a’、4b、4b’の長手方向のずれ量は、図2に示すように、山部4aの略半ピッチNであり、一方の差し込み部3の山部が他方の差し込み部3の谷部に略対向する。山部のずれにより、差し込み部3の波打ち部4は、毛髪に差し込むときに毛髪が一対の山部に同時に当たることが少なく、差し込みが容易にでき、また、毛髪に差し込んだときに、直線的な毛髪を曲げながら絡まり、抜き抵抗が大きくなる。
【0022】
前記山部4a、4a’、4bは3連山に形成されているが、山部4b’は4連山に形成され、山部4a、4a’よりも差し込み部3の先端近くまで形成されている。
また、各山部4a、4a’、4b、4b’はそれぞれ同一高さの山が連なるのではなく、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて高さhが次第に高く形成されている。
即ち、山部4a(山部4bも同じ)は差し込み部3の先端側の山高さah1が低く、屈曲部2側の山高さah2が高くなっており、山部4b’(山部4a’も同じ)は差し込み部3の先端側の山高さb’h1が低く、屈曲部2側の山高さb’h2が高くなっており、毛髪に差し込む時に抵抗が少なく、抜くときに抵抗が大きくなるようにしている。
【0023】
さらに、各山部4a、4a’、4b、4b’は、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて高さhが次第に高く形成されていることに関連して、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて山斜面角度Qが次第に急角度に形成され、毛髪に差し込む時に抵抗が少なく、抜くときに抵抗が大きくなるようにしている。
即ち、山部4a(山部4bも同じ)は差し込み部3の先端側の山高さah1が低いので、山斜面角度Q1は緩い角度であり、屈曲部2側の山高さah2が高いので山斜面角度Q2は急な角度となっており(山部4a’も略同様)、山部4b’は差し込み部3の先端側の山高さb’h1が低いので、山斜面角度Q1は緩い角度であり、屈曲部2側の山高さb’h2が高いので山斜面角度Q2は急な角度となっており(山部4bも略同様)、特に山部4b’は他の山部4a、4a’、4b、に比べて1山多いので、差し込み部3の先端側の山部4b’の山斜面角度Q1は最も緩傾斜になっている。
【0024】
前記一対の差し込み部3の先端は、線材1aの直径より大きい球部5が形成されており、毛髪に滑らかに差し込めるようにしている。
図3において、波打ち部4は山部4aが丸棒状線材から2方向(直径方向)に突出していて、波打ち振幅Wが丸棒状線材の直径の例えば4〜5倍になっており、前記波打ち部4の凹凸が毛髪に絡まり抵抗を生じ、山部4aの高さhが、ヘアピン1を机面等の平面J上に載置した場合に差し込み部3を浮き上がらせて、摘み上げ可能な高さとなる。ヘアピン1はF側、G側のどちら側を下にしても、差し込み部3を浮き上がらせることができる。
【0025】
図4において、ヘアピン1の製造方法を示す。
波打ち工程A: 線材1aは長尺丸棒状線材(エンドレス状)であって、波打ち型部8a、8bを有する上下プレス型8A、8B内に挿通し、線材1aの2カ所に同一方向に波打ち振幅W(例えば上下方向に山)のある波打ち部4を形成する。
溶断工程B: 波打ち部4を形成した線材1aを長手方向に移動して、一対の磁石7に一対の波打ち部4が対向するように配置し、線材1aの先端から一定の寸法の位置を電気溶断器10で溶断する。この際、溶断された線材1aの2端部は溶融、表面張力により丸くなり、それぞれ差し込み部3の先端の球部5が形成される。
【0026】
磁着工程C: 前記一対の磁石7は例えば水平面に対して45度傾斜した磁着面7aを有しており、前記溶断工程により後続の線材から溶断された線材1aは、一対の磁石7が近づくことにより線材1aの両波打ち部4が磁着面7aに沿うように磁着され、両波打ち部4が水平面に対して45度傾斜した姿勢に配置される。
屈曲工程D: 一対の磁石7に磁着されている線材1aは、波打ち型部8a、8bの中央線Tが線材1aの長手方向中央Vから連続山部4aの約4分の1ピッチだけずれており、左右一対の磁石7の間に配置された受け部11に対して中央のベンダ6を近づける方向に相対移動することにより、線材1aの長手方向中央Vを屈曲する屈曲成形機を使用している。
【0027】
線材1aの中央Vにベンダ6を押圧し、ベンダ6を磁石7に近づける方向Uに移動して、またはベンダ6の先端を中心に磁石7を磁着面7aがベンダ6に近づく方向に移動しながら、線材1aの中央を押し曲げて屈曲部2を形成する。
前記屈曲工程Dでは、線材1aは一対の波打ち部4が略45度傾斜した磁着面7aに磁着保持されているので、ベンダ6による押し曲げ方向Uは磁着面7a及び波打ち振幅方向Sに対して略45度傾斜しており、その姿勢で線材1aを押し曲げると、波打ち部4は波打ち振幅方向Sが押し曲げ方向Uに対して略45度傾斜した姿勢のまま押し曲げられて、屈曲部2が形成される。
【0028】
また、線材1aの一対の波打ち部4の中央線Tから連続山部4aの約4分の1ピッチnずれた位置をベンダ6で屈曲することになり、一対の波打ち部4の山部4aは互いに略半ピッチNずれて形成される。
取出工程E: 線材1aは屈曲部2が形成されることによりヘアピン1となり、ベンダ6及び磁石7を有する屈曲成形機から取り出される。
【0029】
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1−4に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、各差し込み部3の山部(4a、4b)を、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて高さh(ah1、ah2)を同一にして形成したり、各差し込み部3の山部4a、4bを、差し込み部3の先端側から屈曲部2側にかけて山斜面角度Q(Q1、Q2)を略同一にして形成したり、各山部(4a、4b)の連山ピッチを差し込み部3の先端側で広く、屈曲部2側で狭くしたりしてもよい。
【0030】
また、ヘアピン1は一対の差し込み部3の長さを異ならせたり、差し込み部3を図2の正面視で湾曲形状にしたりしてもよく、各波打ち部4の波打ち振幅方向Sは、一対の差し込み部3を通る面Lに対する傾斜角度αを45度以外の30〜60度にしたりしてもよい。
さらに、山部(4a、4b)の高さh(ah1、ah2)に高低をつけたり、山斜面角度Q(Q1、Q2)に緩急をつける場合は、一対の差し込み部3の線材中心Pを通る面Lに対して同側に位置する一方の差し込み部3の山部4aと他方の差し込み部3の山部4bとを、互いに線材長手方向に略合致させて形成してもよい。
【0031】
さらにまた、ヘアピン1は線材1aを一定寸法に溶断してから、波打ち部4を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 ヘアピン
1a 線材
2 屈曲部
3 差し込み部
4 波打ち部
4a、4b、4a’、4b’ 山部
5 球部
6 ベンダ
7 磁石
7a 磁着面
8A、8B 上下プレス型
8a、8b 型部
10 電気溶断器
11 受け部
A 波打ち工程
B 溶断工程
C 磁着工程
D 屈曲工程
E 取出工程
L 一対の差し込み部の中心を通る面
M 一対の差し込み部を通る面と直交する方向
N 半ピッチ
n 4分の1ピッチ
P 線材中心
Q 山斜面角度
S 波打ち振幅方向
T 中心線
U 押し曲げ方向
W 波打ち振幅
α 傾斜角度
ah1、ah2、b’h1、b’h2 山高さ
図1
図2
図3
図4