特許第6742070号(P6742070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742070
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】低透過性カーブポンプホース
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/08 20060101AFI20200806BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20200806BHJP
   B32B 15/02 20060101ALI20200806BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20200806BHJP
   B32B 25/10 20060101ALI20200806BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20200806BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20200806BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   F16L11/08 B
   B32B1/08 B
   B32B15/02
   B32B25/08
   B32B25/10
   B32B27/12
   B32B27/30 D
   B32B27/32 B
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-2869(P2015-2869)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-132384(P2015-132384A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2018年1月5日
(31)【優先権主張番号】61/925,784
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507375203
【氏名又は名称】コンチテック・ユーエスエイ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・ジョセフ・ディマシオ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェイ・スパイデル
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−296772(JP,A)
【文献】 特開2009−236258(JP,A)
【文献】 特開2001−205745(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/089200(WO,A1)
【文献】 特表2004−501991(JP,A)
【文献】 特開2005−188739(JP,A)
【文献】 特表2009−504445(JP,A)
【文献】 特開2007−112916(JP,A)
【文献】 特開平07−266501(JP,A)
【文献】 特表2006−514125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/08
B32B 1/08
B32B 15/02
B32B 25/08
B32B 25/10
B32B 27/12
B32B 27/30
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)28重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含み、さらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む管層と、(b)前記管層の上に配置される障壁層であって、フルオロサーモプラスチックを含む障壁層と、(c)前記障壁層の上に配置される摩擦層であって、28重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第2のニトリルゴムを含み、さらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む摩擦層と、(d)前記摩擦層の上に配置される補強層であって、30パーセントから60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する編組鋼線を含む補強層と、(e)前記補強層の上に配置される被覆層であって、塩素化ポリエチレンを含む被覆層とを含み、
前記フルオロサーモプラスチックが、100℃から275℃の範囲内のピーク融解温度を有する半結晶性フッ素重合体であり、
前記半結晶性フッ素重合体が、180MPaから240MPaの範囲内の曲げ弾性率を有し、また、前記半結晶性フッ素重合体が、8から12の範囲内のメルトフローインデックスを有することを特徴とする、カーブポンプホース。
【請求項2】
前記半結晶性フッ素重合体が、25,000から1,000,000の範囲内の数平均分子量を有し、前記半結晶性フッ素重合体が、5重量パーセント未満の水素含有量を有し、前記半結晶性フッ素重合体が、65重量パーセントから76重量パーセントの範囲内のフッ素含有量を有することを特徴とする、請求項1に記載のカーブポンプホース。
【請求項3】
前記半結晶性フッ素重合体が、ヘキサフルオロプロペン、ビニリデンジフルオライド、およびテトラフルオロエチレンの共重合体化された繰り返し単位を含み、前記半結晶性フッ素重合体内の前記繰り返し単位が、基本的に不規則な配列で分配され、前記ヘキサフルオロプロペンの繰り返し単位が、50重量パーセントから70重量パーセントの範囲内の水準で存在し、前記ビニリデンジフルオライドの繰り返し単位が、10重量パーセントから30重量パーセントの範囲内の水準で存在し、前記テトラフルオロエチレンの繰り返し単位が、10重量パーセントから30重量パーセントの範囲内の水準で存在することを特徴とする、請求項2に記載のカーブポンプホース。
【請求項4】
(a)25重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含む管層と、(b)前記管層の上に配置される繋ぎ層であって、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む繋ぎ層と、(c)前記繋ぎ層の上に配置される障壁層であって、フルオロサーモプラスチックを含む障壁層と、(d)前記障壁層の上に配置される摩擦層であって、15重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第2のニトリルゴムを含み、また、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む摩擦層と、(e)前記摩擦層の上に配置される補強層であって、30パーセントから60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する編組鋼線を含む補強層と、(f)前記補強層の上に配置される被覆層であって、塩素化ポリエチレンを含む被覆層とを含み、
前記フルオロサーモプラスチックが、100℃から275℃の範囲内のピーク融解温度を有する半結晶性フッ素重合体であり、
前記半結晶性フッ素重合体が、180MPaから240MPaの範囲内の曲げ弾性率を有し、また、前記半結晶性フッ素重合体が、8から12の範囲内のメルトフローインデックスを有することを特徴とする、カーブポンプホース。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
給油所や長距離運転手用施設で使用されるような燃料ポンプで使用されるホースには、多様な性能要求が課せられる。例えば、そうしたホースは、強固であり、耐久性があり、柔軟であり、有機溶媒に耐性があり、容積膨張に耐性があり、長寿命を示し、かつ、低いガソリン透過性を有していなければならない。そうした燃料ホースはまた、燃料が漏出するのを防ぐ形で接続具に連結できなければならない。
【0002】
現在、そうしたホースをさらに改良して、ガソリン、ガソホール(10パーセント以上といった相当量のエチルアルコールを含有するガソリン)、ディーゼル燃料、およびバイオディーゼル燃料などの燃料に対してさらに低透過性にするという要求が存在する。これは、ホースを通じて透過する燃料は最終的には蒸発して大気中に漏出するが、これが環境問題となるためである。したがって、そうしたホースは、環境保護庁、カリフォルニア大気資源委員会、および多くの他の政府当局者によって課せられた様々な基準を順守しなければならない。しかし、必要とされるホースの物理的および化学的な特性を損なうことなしに、燃料および特にガソホールによる透過に対するそうしたホースの抵抗性を高めることは、極めて困難な課題であることがわかっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明のカーブポンプホース(燃料ホース)は、ガソリンおよびガソホールによる透過に対して、極めて高水準の抵抗性を示す(10グラム/m/日未満)。これは、強度、耐久性、柔軟性、および容積膨張に対する抵抗性などの、他の重要なホースの特性を損なうことなく達成される。これらのホースはまた、長寿命を示し、また、燃料が漏出するのを防ぐ形で接続具に連結させることができる。
【0004】
本発明は、より具体的には、(a)約28重量パーセントから約50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含み、また、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む管層と、(b)管層の上に配置される障壁層であって、フルオロサーモプラスチックを含む障壁層と、(c)障壁層の上に配置される摩擦層であって、約28重量パーセントから約50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第2のニトリルゴムを含み、さらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む摩擦層と、(d)摩擦層の上に配置される補強層であって、約30パーセントから約60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率(wire pack coverage)を有する編組鋼線を含む補強層と、(e)補強層の上に配置される被覆層であって、塩素化ポリエチレンを含む被覆層と、を含む、カーブポンプホースを開示する。
【0005】
本発明はまた、(a)約25重量パーセントから約50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含む管層と、(b)管層の上に配置される繋ぎ層であって、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む繋ぎ層と、(c)繋ぎ層の上に配置される障壁層であって、フルオロサーモプラスチックを含む障壁層と、(d)障壁層の上に配置される摩擦層であって、約15重量パーセントから約50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第2のニトリルゴムを含み、さらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む摩擦層と、(e)摩擦層の上に配置される補強層であって、約30パーセントから約60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する編組鋼線を含む補強層と、(f)補強層の上に配置される被覆層であって、塩素化ポリエチレンを含む被覆層と、を含む、カーブポンプホースを公開する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】内部の様々な層を示す、本発明のカーブポンプホースの断面図である。
図2】管層と障壁層との間に配置された繋ぎ層を含む、本発明のカーブポンプホースの他の実施形態の断面図である。
図3】摩擦層の上に配置されたワイヤ編組パターンを有する補強層を示す(被覆層は示されていない)図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のカーブポンプホース10が図1に示されており、典型的には、約1.8288cm(0.720インチ)から1.9812cm(0.780インチ)の内径と、約2.8321cm(1.115インチ)から2.9591cm(1.165インチ)の外径とを有する。ホース10は、ホースの径方向およびホース長手軸に対して、管層(芯層)1を有する。管層1は、ホースの最も内側の層である。この管状の内側芯層は、ホースの内腔11を画定し、典型的には、約0.1143cm(0.045インチ)から0.2413cm(0.095インチ)の厚さである。管層は、より典型的には、0.1524cm(0.060インチ)から0.2032cm(0.080インチ)の厚さである。当技術分野では、管状の内側芯層1は、単に「管」かまたは「芯」と呼ばれることが多い。
【0008】
管層1は、約28重量パーセントから約50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含む。第1のニトリルゴムは、典型的には、約30重量パーセントから約45重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有し、より典型的には、約35重量パーセントから約45重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する。多くの場合、第1のニトリルゴムは、約38重量パーセントから約42重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する。管層に利用される第1のニトリルゴムは、約4から10phr(ゴム100重量部に対する重量部)の水準で用いられる過酸化物硬化剤および助剤によって硬化される。
【0009】
例えば、過酸化ジクミル、α,α−bis(t−ブチルペルオキシド)ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1−bis(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−bis(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−bis(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、およびn−ブチル4,4−bis(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどの過酸化物を、ホースの管層に用いられるニトリルゴムを硬化させるのに利用することができる。最も好ましくかつ市販されている過酸化物硬化剤は、Arkema Inc.が提供しているDi−Cup(登録商標)40KEおよびVul−Cup(登録商標)40KEである。一般に、100部のベースポリマーに対し、1部から約10部の過酸化物が利用される。
【0010】
本発明のホースの管層に利用されるニトリルゴムはまた、当業者に知られた慣例的なまたは適切な量で、様々な添加剤を含むことができる。そのような添加剤は、過度に速い硬化を防止するための遅延剤、酸化防止剤、加工助剤、カーボンブラックやシリカなどの補強剤および充填剤、他の無機充填剤、リグニン、などを含むことができ、また、これらに限定されない。補強充填剤は、典型的には、50phrから150phrの範囲内の水準で利用される。
【0011】
管層に使用される第1のニトリルゴムはさらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む。この接着促進剤は、(a)酸化マグネシウム、酸化カルシウム、およびハイドロタルサイトから成る群から選択された少なくとも1種の金属酸化物、ならびに(b)有機オニウム塩またはジアミン塩を含む。金属酸化物は、典型的には、15phrから40phrの範囲内の水準で存在し、また好ましくは、20phrから30phrの範囲内の水準で存在する。
【0012】
有機オニウム塩は、典型的には、ジアミン塩が1phrから4phrの範囲内の水準で存在している状態で、3phrから8phrの範囲内の水準で存在する。有機オニウム塩は、ジアミン塩が2phrから3phrの範囲内の水準で存在している状態で、4phrから6phrの範囲内の水準で存在することが好ましい。管層に使用することができる追加的なニトリルゴム調合物が、米国特許第6,270,901号および米国特許第6,482,522号で説明されている。米国特許第6,270,901号および米国特許第6,482,522号の教示は、本発明のホースの管層に利用することができる様々なニトリルゴム調合物を説明する目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
障壁層2が、管層1から外方に位置する。障壁層は、フルオロサーモプラスチックを含み、典型的には、0.0076cm(0.003インチ)から0.0432cm(0.017インチ)の厚さである。障壁層は、より典型的には、0.0152cm(0.006インチ)から0.0356cm(0.014インチ)の厚さである。フルオロサーモプラスチックは、典型的には、100℃から275℃の範囲内の、また、典型的にはASTM D4591によって定められるように120℃から250℃の範囲内のピーク融解温度を有する、半結晶性フッ素重合体である。多くの場合、半結晶性フッ素重合体は、130℃から200℃の範囲内のピーク融解温度を有する。通常、半結晶性フッ素重合体は、140℃から185℃の範囲内のピーク融解温度を有することが好ましい。典型的には、半結晶性フッ素重合体は、150℃から175℃の範囲内のピーク融解温度を有することがより好ましい。一般に、半結晶性フッ素重合体は、160℃から170℃の範囲内のピーク融解温度を有することが最も好ましい。
【0014】
半結晶性フッ素重合体は、典型的には、25,000から1,000,000の範囲内の数平均分子量、5重量パーセント未満の水素含有量、および65重量パーセントから76重量パーセントの範囲内のフッ素含有量を有する。半結晶性フッ素重合体は、典型的には、ヘキサフルオロプロペン、ビニリデンジフルオライド、およびテトラフルオロエチレンの共重合体化された繰り返し単位を含み、ここで、半結晶性フッ素重合体内の繰り返し単位は、基本的に不規則な配列で分配される。ヘキサフルオロプロペンの繰り返し単位は、典型的には、50重量パーセントから70重量パーセントの範囲内の水準で存在し、この場合、ビニリデンジフルオライドの繰り返し単位は、10重量パーセントから30重量パーセントの範囲内の水準で存在し、また、テトラフルオロエチレンの繰り返し単位は、10重量パーセントから30重量パーセントの範囲内の水準で存在する。
【0015】
半結晶性フッ素重合体内のヘキサフルオロプロペンの繰り返し単位は、55重量パーセントから65重量パーセントの範囲内の水準で存在することが多く、この場合、ビニリデンジフルオライドの繰り返し単位は、15重量パーセントから25重量パーセントの範囲内の水準で存在し、また、テトラフルオロエチレンの繰り返し単位は、15重量パーセントから25重量パーセントの範囲内の水準で存在する。多くの場合、ヘキサフルオロプロペンの繰り返し単位は、57重量パーセントから61重量パーセントの範囲内の水準で半結晶性フッ素重合体内に存在し、この場合、ビニリデンジフルオライドの繰り返し単位は、20重量パーセントから24重量パーセントの範囲内の水準で存在し、また、テトラフルオロエチレンの繰り返し単位は、17重量パーセントから21重量パーセントの範囲内の水準で存在する。
【0016】
半結晶性フッ素重合体は、典型的には、180MPaから240MPaの範囲内の曲げ弾性率を有し、また好ましくは、ASTM D790によって定められるように200MPaから220MPaの範囲内の曲げ弾性率を有する。半結晶性フッ素重合体はまた、典型的には、ASTM D1238により265℃/5kgにおいて定められるように、8から12の範囲内のメルトフローインデックスを有する。米国特許第6,489,420号が、本発明のホースの障壁層2に利用することができる様々な半結晶性フッ素重合体を説明している。米国特許第6,489,420号の教示は、そのようなフルオロサーモプラスチック重合体、およびそのような重合体を合成するのに利用することができる技法を説明する目的のために、本明細書に組み込まれる。
【0017】
摩擦層3は、本発明のホース10において、障壁層2の上に障壁層2から外方に配置される。摩擦層は、典型的には、0.0381cm(0.015インチ)から0.1905cm(0.075インチ)の厚さであり、好ましくは、0.0762cm(0.030インチ)から0.1270cm(0.050インチ)の厚さである。摩擦層3は、典型的には、障壁層2と直接接触する。摩擦層3は、過酸化物硬化ニトリルゴムを含み、また、管層1に使用するのと同じ調合物のものとすることができる。しかし、場合によっては、異なるニトリルゴム調合物を摩擦層に用いるのが望ましいこともある。例えば、ある場合には、低い水準のアクリロニトリル含有量を有するニトリルゴムを用いることが望ましいこともある。
【0018】
本発明のカーブポンプホースは、摩擦層3の上に摩擦層3から外方に配置された、補強層4を有する。図2に示されるように、補強層4は、典型的には、摩擦層3と直接接触する。補強層4は、典型的には真鍮めっきされた鋼線をより合わせることによって形成される。例えば、補強層4は、0.0305cm(0.012インチ)ゲージワイヤの6つのワイヤ端を含んだ24個の組錘(ワイヤの糸巻き)を有する編組機を利用して製造されうる。いかなる場合でも、約30パーセントから約60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有することが、補強層4に使用される編組鋼線にとって重要である。言い換えれば、補強層のワイヤは、摩擦層3の表面領域のうちの30パーセントから60パーセントを覆い、摩擦層3の残りの40パーセントから70パーセントは、編組パターンの窓を通じて露出される。編組鋼線は、典型的には、約32パーセントから約55パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有し、また好ましくは、約35パーセントから約50パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する。編組鋼線は、より好ましくは、約40パーセントから約45パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する。
【0019】
被覆層5は、補強層4から外方に位置する。被覆層5は、典型的には、0.127cm(0.050インチ)から0.254cm(0.1インチ)の厚さであり、また好ましくは、0.1651cm(0.065インチ)から0.2159cm(0.085インチ)の厚さである。被覆層5は、30パーセントから36パーセントの範囲内の塩素含有量を典型的に有する塩素化ポリエチレンを含む。塩素化ポリエチレンは、34パーセントから36パーセントの範囲内の塩素含有量を有することが好ましい。
【0020】
図2に示されるような本発明の他の実施形態では、管層1は、燃料抵抗性および繋ぎ層6への接着に最適化され、この繋ぎ層6は、管層1から外方に、また、障壁層3から内方に配置される。この代替的な設計では、接着促進剤は管層1から除去され、したがって、管層1の燃料抵抗性、体積の増大、およびゴム繋ぎ層6への接着が最適化される。この設計はまた、コスト削減をもたらすことができる。
【0021】
本発明を説明する目的のために、特定の典型的な実施形態および詳細が示されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態および詳細において様々な変更および修正が可能であることは、当業者には理解されるであろう。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
(a)28重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含み、さらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む管層と、(b)前記管層の上に配置される障壁層であって、フルオロサーモプラスチックを含む障壁層と、(c)前記障壁層の上に配置される摩擦層であって、28重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第2のニトリルゴムを含み、さらに、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む摩擦層と、(d)前記摩擦層の上に配置される補強層であって、30パーセントから60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する編組鋼線を含む補強層と、(e)前記補強層の上に配置される被覆層であって、塩素化ポリエチレンを含む被覆層とを含むことを特徴とする、カーブポンプホース。
[形態2]
前記フルオロサーモプラスチックが、100℃から275℃の範囲内のピーク融解温度を有する半結晶性フッ素重合体であり、前記半結晶性フッ素重合体が、25,000から1,000,000の範囲内の数平均分子量を有し、前記半結晶性フッ素重合体が、5重量パーセント未満の水素含有量を有し、前記半結晶性フッ素重合体が、65重量パーセントから76重量パーセントの範囲内のフッ素含有量を有することを特徴とする、形態1に記載のカーブポンプホース。
[形態3]
前記半結晶性フッ素重合体が、ヘキサフルオロプロペン、ビニリデンジフルオライド、およびテトラフルオロエチレンの共重合体化された繰り返し単位を含み、前記半結晶性フッ素重合体内の前記繰り返し単位が、基本的に不規則な配列で分配され、前記ヘキサフルオロプロペンの繰り返し単位が、50重量パーセントから70重量パーセントの範囲内の水準で存在し、前記ビニリデンジフルオライドの繰り返し単位が、10重量パーセントから30重量パーセントの範囲内の水準で存在し、前記テトラフルオロエチレンの繰り返し単位が、10重量パーセントから30重量パーセントの範囲内の水準で存在することを特徴とする、形態2に記載のカーブポンプホース。
[形態4]
前記半結晶性フッ素重合体が、180MPaから240MPaの範囲内の曲げ弾性率を有し、また、前記半結晶性フッ素重合体が、8から12の範囲内のメルトフローインデックスを有することを特徴とする、形態3に記載のカーブポンプホース。
[形態5]
(a)25重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第1のニトリルゴムを含む管層と、(b)前記管層の上に配置される繋ぎ層であって、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む繋ぎ層と、(c)前記繋ぎ層の上に配置される障壁層であって、フルオロサーモプラスチックを含む障壁層と、(d)前記障壁層の上に配置される摩擦層であって、15重量パーセントから50重量パーセントの範囲内のアクリロニトリル含有量を有する第2のニトリルゴムを含み、また、少なくとも1種のフルオロサーモプラスチック接着促進剤を含む第3のニトリルゴムを含む摩擦層と、(e)前記摩擦層の上に配置される補強層であって、30パーセントから60パーセントの範囲内のワイヤ被覆率を有する編組鋼線を含む補強層と、(f)前記補強層の上に配置される被覆層であって、塩素化ポリエチレンを含む被覆層とを含むことを特徴とする、カーブポンプホース。
図1
図2
図3