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特許6742154電解コンデンサ状態をオンラインで監視する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742154
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】電解コンデンサ状態をオンラインで監視する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01G 13/00 20130101AFI20200806BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   H01G13/00 361D
   H01G13/00 361Z
   G01R31/00
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-106013(P2016-106013)
(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公開番号】特開2017-11263(P2017-11263A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2019年2月18日
(31)【優先権主張番号】15173785.5
(32)【優先日】2015年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】モロヴ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フーブ、ロラン
【審査官】 上谷 奈那
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−081278(JP,A)
【文献】 特開昭61−004973(JP,A)
【文献】 特開平09−121472(JP,A)
【文献】 特開2013−092521(JP,A)
【文献】 特開昭64−023168(JP,A)
【文献】 特開平08−248086(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/106681(WO,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサ状態をオンラインで監視する方法であって、
電解コンデンサの両端の電圧リップル及び前記電解コンデンサを通して流れる電流リップルを測定するステップと、
前記電解コンデンサの温度を測定するステップと、
コンデンサ及び固体調整可能抵抗器を備えるコンデンサモデルを使用して、監視される前記電解コンデンサをエミュレートするステップと、
測定リップルの1つを前記コンデンサモデルに適用するステップと、
前記コンデンサモデルによって提供される推定リップルと前記コンデンサモデルに適用されない他の測定リップルとの間の誤差を最小にするために前記固体調整可能抵抗器を調整するステップと、
前記固体調整可能抵抗器の値を使用して前記電解コンデンサの等価直列抵抗を推定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記電解コンデンサの温度及び初期等価直列抵抗の関数として寿命終了限界値を確定するステップと、
前記電解コンデンサの前記等価直列抵抗の推定値と、前記寿命終了限界値とを比較するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンデンサモデルのコンデンサの静電容量は、前記電解コンデンサの公称静電容量に比例する固定静電容量値である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記等価直列抵抗の前記推定値が前記寿命終了限界値を超えている場合、警報信号を発するステップを更に含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
電解コンデンサ状態を監視するシステムであって、
電解コンデンサの両端の電圧リップル及び前記電解コンデンサを通して流れる電流リップルを測定する手段と、
前記電解コンデンサの温度を測定する手段と、
コンデンサ及び固体調整可能抵抗器を備えるコンデンサモデルを使用して、監視される前記電解コンデンサをエミュレートする手段と、
測定リップルの1つを前記コンデンサモデルに適用する手段と、
前記コンデンサモデルによって提供される推定リップルと前記コンデンサモデルに適用されない他の測定リップルとの間の誤差を最小にするために前記固体調整可能抵抗器を調整する手段と、
前記固体調整可能抵抗器の値を使用して前記電解コンデンサの等価直列抵抗を推定する手段と、
を備える、システム。
【請求項6】
前記電解コンデンサの温度及び初期等価直列抵抗の関数として寿命終了限界値を確定する手段と、
前記電解コンデンサの前記等価直列抵抗の推定値と、前記寿命終了限界値とを比較する手段と、
を更に備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
測定された電圧リップルをフィルタリングする手段と、
測定された電流リップルをフィルタリングする手段と、
を更に備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンデンサモデルのコンデンサの静電容量は、前記電解コンデンサの公称静電容量に比例する固定静電容量値である、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記等価直列抵抗の前記推定値が前記寿命終了限界値を超えている場合、警報信号を発する手段を更に備える、請求項6から8までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンデンサモデルによって提供されるリップル推定値と前記コンデンサモデルに適用されない前記他の測定リップルとの間の誤差の確定は、前記コンデンサモデルに適用されない前記他の測定リップルが前記コンデンサモデルによって提供される前記リップル推定値より大きいか否かを時間領域でチェックすることによって実施される、請求項5から9までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記コンデンサモデルによって提供されるリップル推定値と前記コンデンサモデルに適用されない前記他の測定リップルとの間の誤差の確定は、前記コンデンサモデルに適用されない前記他の測定リップルが前記コンデンサモデルによって提供される前記リップル推定値と同様であるか否かを時間領域でチェックすることによって実施される、請求項5から9までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記電解コンデンサを通る前記電流リップルを測定する手段は、前記電解コンデンサを通して流れる電流のスケーリング済みイメージを提供する電流センサから構成される、請求項6から11までのいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包括的には、電解コンデンサ状態をオンラインで監視する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクスの分野において、電解コンデンサは脆弱なコンポーネントとして知られている。電解コンデンサの故障は、コンバーター全体の運転停止状態につながる。
【0003】
電解コンデンサは、長寿命の製品について最も制限的な要因であることが多い。これは、機器によって生じるサービスに対する擾乱を最小にしながら、これらのコンポーネントの適時の置換を可能にする状態監視技術における関心の増加をこの発明者らが認める理由である。
【0004】
電解コンデンサの経年変化を検出するために複数の解決策が提案されてきた。通常、経年変化検出は、電解コンデンサの幾つかのパラメーターの変動を監視することによって行われる。例えば、電解容量値の減少を用いて、電解コンデンサの寿命終了を検出することができ、等価直列抵抗(ESR)の増加を用いて、電解コンデンサの寿命終了を検出することができ、又は、損失因子の増加を用いて、電解コンデンサの寿命終了を検出することができる。パラメーターの推定を、コンデンサの電圧及び電流の測定値を使用して行うことができる。
【0005】
代替的に、幾つかの方法は、電流センサを使用することを回避し、代数計算を使用して電解コンデンサ内の電流を確定するために、例えば、ゲートドライブに対するアクセス、コンバーターのアーキテクチャ、他のセンサからの情報のようなシステムの詳細な知識を必要とする。
【0006】
電解コンデンサのESRは、良質でかつ信頼性のある経年変化の指標である。その理由は、電解質の乾燥によって、ESRが電解コンデンサの寿命中に比較的大幅に増加するからである。
【0007】
高温での動作は電解コンデンサの劣化を加速する。
【0008】
電解コンデンサは、そのESR値が、通常、同じ温度で初期ESR値の2倍と3倍との間になると、経年変化したとみなされると考えられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、低コストで、擾乱に対する回復力があり、再現性のある性能及び十分な予測精度を有し、また、広い範囲のコンデンサ及び動作条件に適用可能である電解コンデンサ状態監視システムを提供することを目的とする。
【0010】
この発明はまた、電解コンデンサ状態のオンライン監視を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、この発明は、電解コンデンサ状態を監視するための方法であって、
電解コンデンサの両端の電圧リップル及び電解コンデンサを通して流れる電流リップルを測定するステップと、
電解コンデンサの温度を測定するステップと、
コンデンサ及び固体調整可能抵抗器を備えるコンデンサモデルを使用して、被監視電解コンデンサをエミュレートするステップと、
測定リップルの1つをコンデンサモデルに適用するステップと、
コンデンサモデルによって提供される推定リップルとコンデンサモデルに適用されない他の測定リップルとの間の誤差を最小にするために固体調整可能抵抗器を調整するステップと、
固体調整可能抵抗器の値を使用して被監視電解コンデンサの等価直列抵抗を推定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0012】
このため、この発明は、電解コンデンサ状態のオンライン監視を実施することを可能にする。
【0013】
オンライン監視は、電解コンデンサがその中に含まれるデバイスの動作を妨げることなく、電解コンデンサ状態を確定することを可能にする。
【0014】
監視方法は、高周波サンプリング用ADC又は特別なサンプリング技法を必要とすることなく、数十kHzで動作する電力コンバーターとともに機能することができる。これは、マイクロコントローラが分析するための低周波コンテンツを有するフィルタリングされた信号を、アナログ前処理が送出するからである。これは、当然、擾乱に対して良好な回復力(resilience)を提供し、その擾乱は、アナログ処理によって、また同様に、マイクロコントローラ上で実行されるアルゴリズムによって大部分フィルタリングされる。
【0015】
特定の特徴によれば、本方法は、
電解コンデンサの温度及び被監視電解コンデンサの初期等価直列抵抗の関数として寿命終了限界値を確定するステップと、
被監視電解コンデンサの等価直列抵抗の推定値を寿命終了限界値と比較するステップと、
を更に含む。
【0016】
このため、この発明は、被監視電解コンデンサが経年変化するにつれて、電解コンデンサの等価直列抵抗が増加し寿命終了値に近づくため、被監視電解コンデンサの経年変化を検出することを可能にする。
【0017】
さらに、電解コンデンサ状態監視は、低コストで、擾乱に対する回復力があり、再現性のある性能及び十分な予測精度を有する。
【0018】
この発明は、広い範囲のコンデンサ及び動作条件に適用可能である。
【0019】
特定の特徴によれば、コンデンサモデルのコンデンサの静電容量は、被監視電解コンデンサの公称静電容量に比例する固定静電容量値である。
【0020】
このため、この発明は、実装するのが簡単で、コンデンサモデル用の調整可能なコンデンサの使用を必要としない。この発明はまた、電解コンデンサが、通常、公称値に関してその静電容量の比較的大きなばらつきを有するにもかかわらず、被監視電解コンデンサに適合させるための監視システムの初期チューニングを回避する。
【0021】
特定の特徴によれば、この発明は、等価直列抵抗の推定値が寿命終了限界値を超えている場合、警報信号を発するステップを更に含む。
【0022】
このため、この発明は、被監視電解コンデンサが寿命終了に達しつつあること、及び、被監視電解コンデンサが完全に故障する前に、メンテンスが実施されるべきであることを合図することを可能にする。
【0023】
また、この発明は、電解コンデンサ状態を監視するシステムであって、
電解コンデンサの両端の電圧リップル及び電解コンデンサを通して流れる電流リップルを測定する手段と、
電解コンデンサの温度を測定する手段と、
コンデンサ及び固体調整可能抵抗器を備えるコンデンサモデルを使用して、被監視電解コンデンサをエミュレートする手段と、
測定リップルの1つをコンデンサモデルに適用する手段と、
コンデンサモデルによって提供される推定リップルとコンデンサモデルに適用されない他の測定リップルとの間の誤差を最小にするために固体調整可能抵抗器を調整する手段と、
固体調整可能抵抗器の値を使用して被監視電解コンデンサの等価直列抵抗を推定する手段と、
を備えることを特徴とする、システムにも関する。
【0024】
このため、この発明は、電解コンデンサ状態のオンライン監視を実施することを可能にする。
【0025】
特定の特徴によれば、本システムは、
電解コンデンサの温度及び被監視電解コンデンサの初期等価直列抵抗の関数として寿命終了限界値を確定する手段と、
被監視電解コンデンサの等価直列抵抗の推定値と、寿命終了限界値とを比較する手段と、
を更に備える。
【0026】
このため、この発明は、被監視電解コンデンサが経年変化するにつれて、電解コンデンサの等価直列抵抗が増加し寿命終了値に近づくため、被監視電解コンデンサの経年変化を検出することを可能にする。
【0027】
さらに、電解コンデンサ状態監視は、低コストで、擾乱に対する回復力があり、再現性のある性能及び十分な予測精度を有する。
【0028】
この発明は、広い範囲のコンデンサ及び動作条件に適用可能である。
【0029】
特定の特徴によれば、本システムは、
測定電圧リップルをフィルタリングする手段と、
測定電流リップルをフィルタリングする手段と、
を更に備える。
【0030】
このため、この発明は、測定電圧リップル及び測定電流リップルにおいて関心の周波数コンテンツを分離する。フィルタリングされた電圧リップルとフィルタリングされた電流リップルとの間の関係は、抵抗器と直列接続のコンデンサから構成される簡単なモデルを使用して近似することができ、抵抗部分は、関心の周波数の領域内で静電容量部分のインピーダンスを強力に支配する。
【0031】
特定の特徴によれば、本システムは、等価直列抵抗の推定値が寿命終了限界値を超えている場合、警報信号を発する手段を更に備える。
【0032】
このため、この発明は、被監視電解コンデンサが寿命終了に達しつつあること、及び、被監視電解コンデンサが完全に故障する前に、メンテンスが実施されるべきであることを合図することを可能にする。
【0033】
特定の特徴によれば、コンデンサモデルによって提供されるリップル推定値とコンデンサモデルに適用されない他の測定リップルとの間の誤差の確定は、コンデンサモデルに適用されない他の測定リップルがコンデンサモデルによって提供されるリップル推定値より大きいか否かを時間領域でチェックすることによって実施される。
【0034】
このため、この発明は、推定ESRの値が、被監視電解コンデンサのESRの実際の値に近づくために増加しなければならないか、減少しなければならないかを判定することを可能にする。
【0035】
さらに、この比較方法は、簡単な手段で実装することができ、FFT等の複雑な計算を必要とすることになる周波数ベースの方法に比べて実装するのが簡単である。
【0036】
特定の特徴によれば、コンデンサモデルによって提供されるリップル推定値とコンデンサモデルに適用されない他の測定リップルとの間の誤差の確定は、コンデンサモデルに適用されない他の測定リップルがコンデンサモデルによって提供される推定値と同様であるか否かを時間領域でチェックすることによって実施される。
【0037】
このため、この発明は、推定ESRのどの値が被監視電解コンデンサのESRの実際の値に最も近いかを判定することを可能にする。
【0038】
さらに、この比較方法は、簡単な手段で実装することができ、FFT等の複雑な計算を必要とすることになる周波数ベースの方法に比べて実装するのが簡単である。
【0039】
特定の特徴によれば、電解コンデンサを通る電流リップルを測定する手段は、電解コンデンサを通して流れる電流のスケーリングされたイメージを提供する電流センサから構成される。
【0040】
この発明の特徴は、例示的な実施の形態の以下の説明を読むことによってより明らかになるであろう。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】この発明による電解コンデンサ状態監視システムのアーキテクチャの例を示す図である。
図2a】この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデル及び比較モジュールの第1の例を示す図である。
図2b】この発明の第2の実現モードによるコンデンサモデル及び比較モジュールの第2の例を示す図である。
図3a】この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデルの第1の例を示す図である。
図3b】この発明の第2の実現モードによるコンデンサモデルの第2の例を示す図である。
図3c】この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデルの第3の例を示す図である。
図3d】調整可能電流源を有するLEDによって調節される感光性抵抗器を使用する固体調整可能抵抗器の例を示す図である。
図3e】この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデル及び比較モジュールの第4の例を示す図である。
図4a】この発明の第1の実現モードによる電解コンデンサ状態監視システムの比較モジュールのアナログ部分の第1の例を示す図である。
図4b】この発明の第2の実現モードによる電解コンデンサ状態監視システムの比較モジュールのアナログ部分の第2の例を示す図である。
図5】この発明の第1及び第2の実現モードによる電解コンデンサ状態監視システムの比較モジュールのデジタル及びフィルタリング部分の例を示す図である。
図6】電解コンデンサ状態監視システムの処理ユニットのアーキテクチャを示す図である。
図7】この発明の第1の実現モードによる電解コンデンサの状態監視のためのアルゴリズムを示す図である。
図8】この発明の第2の実現モードによる電解コンデンサの状態監視のためのアルゴリズムを示す図である。
図9】電解コンデンサ状態を監視するためにこの発明によって提供される信号の曲線及び時間経過図である。
図10】電解コンデンサ状態を監視するためにこの発明によって提供される信号の曲線及び時間経過図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、この発明による電解コンデンサ状態監視システムのアーキテクチャの例を示す。
【0043】
電解コンデンサ状態監視システムは電解コンデンサCの等価直列抵抗を監視する。
【0044】
電解コンデンサ状態監視システムは、数百μFから最大数千μFの静電容量値、及び数十mΩから最大数百mΩの範囲の、20℃で約100Hzで指定される公称ESRを有するコンデンサを監視することができる。
【0045】
この発明は、被監視電解コンデンサCの健康状態を、その寿命期間中のそのESR値の展開から推測する。ESRの初期値に基づいて、この発明は、経年変化した電解コンデンサに対応する寿命終了値を確定する。
【0046】
電解コンデンサCは、そのESRパラメーターがその健康な状態に比べて大幅に増加したとき、すなわち、推定ESRが、ESRの初期値から導出されたESRの寿命終了値、ESRfaultより大きいときに経年変化したとみなされる。通常、ESRの寿命終了値はESRの初期値より2倍又は3倍大きい。
【0047】
ESRの初期値は、幾つかの方法で確定することができる、すなわち、データシートから取出すことができるか又は以前の測定値から推測することができる。代替的に、ESRの初期値は、最初の数時間又は数日の動作中に電解コンデンサ状態監視システムによって確定することができる。
【0048】
温度によってESRの寿命終了値を調整することは、監視されている電解コンデンサの型について、温度の関数としてのESRの展開の知識を必要とする。
【0049】
例えば、監視動作中の計算を回避するため、調整法則が、好ましくは、初期化プロシージャ中に事前計算されるテーブル内に置かれる。テーブルの初期化を幾つかの方法で行うことができる。
【0050】
例えば、テーブルは、電解コンデンサのデータシートに含まれる情報を使用して、又は、電解コンデンサの型の事前特徴付けから得られるデータを使用することによって構築されて、関心の周波数範囲内の、例えば数十kHz、10kHz、又は50kHzの周波数値のESRを考慮しながら、温度に伴う電解コンデンサESRの展開ESR=f(T°)を確定する。
【0051】
例えば、製造公差による誤差を積分することを回避するために、in−situ方法が好ましい。テーブルは、この発明を使用して自己学習することによって、被監視電解コンデンサの最初の数時間又は数日の動作中に構築することができる。この場合、ESRは、この発明では、動作中の少なくとも1つの動作温度点を使用して推定される。
【0052】
次に、曲線当てはめ法、又は幾つかの温度で行われるESRの異なる尺度の間の補間を用いて、所望の分解能を有するテーブルを完成させることができる。例えば、ESRの1つの値が25℃と85℃との間の各℃についてテーブル内に格納される。一般に、電解コンデンサがその中に含まれるデバイス内の温度は、ゆっくり変動し、そのことが、電解コンデンサの熱慣性が大きくても、所与の温度でESRの信頼性のある推定を可能にする。
【0053】
周囲温度における電解コンデンサのESR値は、始動動作に続いて容易に推定することができる。次に、或る時間後、少なくとも別のESR値を、より高い動作温度で得ることができる。数日の期間にわたって、異なる動作点又は異なる動作温度における動作が、他の温度におけるESRの値を推定する新しい機会を提供し、したがって、当てはめの精度を増加させることができる。ここで、自己学習期間の継続時間が、コンデンサ経年変化を示すESR値を組込むことを回避するために制限され、また、高い測定温度について指数関数的に短くあるべきであることが留意されなければならない。
【0054】
同様に、自己学習アプローチは、電力コンバーター内の、したがってその被監視コンデンサ(複数の場合もある)の周囲温度を制御する人工気候室を使用して、工場で実施される較正プロシージャ中に使用することができる。
【0055】
最後に、値ESR(T)が確定されると、対応する値ESRfault(T)は、通常、ESR(T)の2倍又は3倍である。
【0056】
寿命終了基準に達すると、アラームが、電解コンデンサCがその寿命終了に達したこと、及び、メンテナンスプロシージャが必要とされることを合図する。ここで、寿命終了基準に達しても、ESR推定が連続して繰返されることが留意されなければならない。この発明は、DCバス上での電解コンデンサの個々の監視を可能にする。通常、DCバスの高電圧に耐えるため、又は、安全のために、2つ以上の電解コンデンサが直列にグループ化され、ストリングを形成することが一般的である。DCバスについて、必要とされる静電容量値に達するために、幾つかのストリングを並列にグループ化することも一般的である。
【0057】
直列に接続された電解コンデンサについて測定リップル電流が同一であること、並びにストリングごとに1つの処理ユニット及び1つの電流センサしか使用することができないことを考慮に入れて、幾つかの電解コンデンサストリングが存在する場合、幾つかの電解コンデンサ状態監視システムが使用される。
【0058】
この発明は、PCBベースのロゴスキーコイルプローブ(Rogowski coil probe)が使用される場合、非侵入型とすることができる。PCBベースのロゴスキーコイルに似たこうした電流センサの例は、H.L.Votzi, M.Vogelsberger及びH.Ertl「Low-Cost Current Sensor for Power Capacitors Based on a PCB Rogowski-Coil Rogowski Coil Current Transducer」no.May,pp.17-19,2011の論文に開示されている。
【0059】
PCBベースのロゴスキーコイルは、ねじ端子を有する電解コンデンサに特に好適である。
【0060】
PCBベースのロゴスキーコイルセンサの使用を可能にしない電解コンデンサの場合、監視方法は、例えば近距離場近接センサ又はPCB埋め込み式電流変圧器を使用することによって依然として非侵入型である可能性がある。
【0061】
電解コンデンサ状態監視システムは、ESRの推定器を備える。被監視電解コンデンサのESRの推定は、測定リップルと推定リップルとの間の誤差を最小にするようにコンデンサのモデルを調整することによってこの発明に従って実施される。推定ESRは、使用される調整可能なコンデンサモデルの1つのパラメーターである。
【0062】
コンデンサモデルは、有利には、アナログ電子コンポーネントを使用して実装され、関心の周波数範囲内で被監視コンデンサをエミュレートし、電解コンデンサCのインピーダンスはそのESR値によって支配される。
【0063】
コンデンサモデルはコンデンサ及び抵抗器を備える。コンデンサモデルの抵抗器は、例えば、デジタル的に調整可能な抵抗器、又は調整可能な電流源を有するLEDによって調節される感光性抵抗器のような固体調整可能抵抗器である。固体調整可能抵抗器は、電解コンデンサCのESRをエミュレートする。固体調整可能抵抗器の値は、被監視電解コンデンサCのESRに比例する。
【0064】
モデルのコンデンサの静電容量は、調整されず、被監視電解コンデンサの公称静電容量から導出される。
【0065】
コンデンサモデル内を流れる電流は、被監視電解コンデンサ内を流れる電流のスケーリング済みイメージである。
【0066】
例えば、コンデンサモデルのコンデンサは、電解コンデンサCの静電容量値より10000倍低い値を有し、電解コンデンサのESRをエミュレートする固体調整可能抵抗器の値は、電解コンデンサCのESRより10000倍大きい。
【0067】
コンデンサモデル値と電解コンデンサCの静電容量値との間の他のスケーリング係数をこの発明に従って使用することができることが留意されなければならない。
【0068】
10分の数mΩから最大1Ωの範囲のESRは、上述した数値例によれば、例えば100オームのステップによる10kΩの固体調整可能抵抗器を使用することが10mΩの分解能を提供することを示唆する。
【0069】
同様に、コンデンサモデルで使用されるコンデンサは、1000μFの被監視電解コンデンサCについて例えば100nFの小さな値を有する。したがって、例えば、温度に関して安定である等級1セラミックコンデンサを、コンデンサモデルのために使用することができる。これらは、非常に一般的で低コストのコンポーネントである。
【0070】
一定の静電容量による被監視電解コンデンサCの一定の近似が、インピーダンスの推定に対するその寄与が、この発明に従ってフィルタリングされる非常に低い周波数においてより顕著であるため、推定の精度に対して重大な影響を及ぼさないことに留意されたい。
【0071】
電解コンデンサCの電圧は、電圧及びスケーリングセンサ101によって検知されスケーリングされ、バンドパスフィルタ102によってフィルタリングされて、電圧から低周波成分を除去する。Vrippleと名付ける検知されフィルタリングされた電圧は、コンデンサモデル及び比較モジュール104に提供される。電解コンデンサCの電圧は、高いDC電圧プラス数ボルトのリップルである。
【0072】
電圧及びスケーリングセンサ101を幾つかの方法で実装することができる。第1の方法において、電圧及びスケーリングセンサ101は、例えば、電解コンデンサ状態監視システムのグラウンドが電解コンデンサCの負端子を基準にする場合、減衰を実施することによって実装することができる。第2の方法において、電圧及びスケーリングセンサ101は、例えば、増幅器の入力上に高いコモンモード電圧を可能にするために、減衰と、それに続いて差動増幅とを実施することによって実装することができる。第3の方法において、電圧及びスケーリングセンサ101を、例えば、受動フィルタを使用する容量性結合を実施して、それにより高いDC電圧を除去し、それに続いて、リップル振幅に応じて減衰又は利得を施し、それにより、リップルのレベルを、バンドパスフィルタ102に適合する範囲内に入るよう調整することによって実装することができる。
【0073】
第1及び第2の方法において、DC成分及び他の低周波コンテンツが除去されると、リップルの増幅が必要とされる場合がある。
【0074】
電解コンデンサCを通って流れる電流は、センサ109によって検知され、バンドパスフィルタ103によってフィルタリングされて、検知済みの電流から低周波成分を除去する。Irippleと名付ける検知済みでフィルタリング済みの電流は、コンデンサモデル及び比較モジュール104に提供される。
【0075】
増幅しフィルタリングする目的は、測定済みの電流及び電圧をスケーリングしフィルタリングし、次に、関心の周波数帯域内の電圧及び電流を取出すことである。
【0076】
電圧及びスケーリングセンサ101の目的は、以下の処理ステージが受容可能な電圧の範囲内の尺度を提供することである。例えば、電圧及びスケーリングセンサ101は、抵抗分割器によって高電圧コンデンサ電圧の減衰を実施し、電流センサ109は、電解コンデンサCを通って流れる電流に比例する低電圧イメージを送出する。
【0077】
フィルタ102及び103の目的は、ESR推定について重要な情報を全く担持しない低周波擾乱をできる限り排除しながら、ESRによって主に影響を受ける周波数成分を、また同様に、コンデンサのインピーダンスの誘導性領域によって影響を受ける高周波数を分離することである。
【0078】
電解コンデンサの場合、通常の容量性領域はDCから最大数kHzに延在し、一方、寄生直列インダクタンスによる誘導性領域は、通常、数100kHzから始まる。
【0079】
したがって、分析の周波数帯域は、通常、数kHzから最大100kHzに位置する。様々なトポロジを用いて、ローパスフィルタとカスケード接続されたハイパスフィルタに似たバンドパスフィルタを実装することができる。実際には、高周波コンテンツの強い減衰を有することは必要とされない。
【0080】
例えば、1次「ローパス」フィルタを、これらの周波数を減衰させるために使用することができる。ESRの推定の精度をよりよくするために、低周波コンテンツの良好な排除が好ましいため、例えばサレン及びキーフィルタ(Sallen & Key filter)に似た、少なくとも2次「ハイパス」フィルタが使用される。
【0081】
電圧及び電流は、同様のフィルタを有するバンドパスフィルタ102及び103によってフィルタリングされる。
【0082】
電流センサ109が分析の帯域内の帯域幅を修正する場合、バンドパスフィルタ103は、測定電流及び電圧リップルについて同じ帯域幅を提供するように適合される。
【0083】
例えば、DC〜80kHzの平坦な周波数応答を有するホール効果電流センサ、次に、上記の1次減衰を使用すると、電流及び電圧についての両方のハイパスフィルタリングステージは同一であることになる。
【0084】
バンドパスフィルタ103について更なるローパスフィルタリングは全く必要とされず、バンドパスフィルタ102の1次ローパスフィルタは、80kHzで遮断するように構成することができる。
【0085】
代替的に、PCBベースのロゴスキー電流センサが使用される場合、バンドパスフィルタ103用の高周波数フィルタを、センサ自身によって直接操作することができる。
【0086】
T°と記す温度センサは、電解コンデンサCの温度を検知し、プロセッサ100に提供される。電解コンデンサのESR値が温度に依存するため、温度はこの発明に従って考慮に入れられる。
【0087】
電解コンデンサ状態監視システムは、コンデンサモデル及び比較モジュール104を備える。コンデンサモデル及び比較モジュール104は、図2a又は2bを参照してより詳細に開示される。コンデンサモデル及び比較モジュール104の出力は、処理ユニット100に提供される。
【0088】
図2aは、この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデル及び比較モジュールの第1の例を示す。
【0089】
この発明の第1の実現モードによれば、コンデンサモデル及び比較モジュール104は、調整可能コンデンサモデル200及びリップル比較モジュール201を備える。
【0090】
調整可能コンデンサモデル200は、検知され、スケーリングされ、フィルタリングされた電圧Vrippleを処理して、推定電流リップルIestを提供し、推定電流リップルIestはリップル比較モジュール201に提供される。調整可能コンデンサモデル200は、電解コンデンサのESRをエミュレートするデジタル的に調整可能な抵抗器を調整するためのコマンドを処理ユニット100から受信する。調整可能コンデンサモデル200は、図3aを参照してより詳細に開示される。
【0091】
リップル比較モジュール201は、推定電流リップルIestと、検知され、スケーリングされ、フィルタリングされた電流Irippleとを比較し、フィルタリング済みの比較結果を処理ユニット100に提供する。リップル比較モジュール201は、図4a及び図5を参照してより詳細に開示される。
【0092】
図2bは、この発明の第2の実現モードによるコンデンサモデル及び比較モジュールの第2の例を示す。
【0093】
この発明の第2の実現モードによれば、コンデンサモデル及び比較モジュール104は、調整可能コンデンサモデル220及びリップル比較モジュール221を備える。
【0094】
調整可能コンデンサモデル220は、検知され、フィルタリングされた電圧Irippleを処理して、推定電圧リップルVestを提供し、推定電圧リップルVestは、リップル比較モジュール221に提供される。調整可能コンデンサモデル220は、電解コンデンサのESRをエミュレートするデジタル的に調整可能な抵抗器を調整するためのコマンドを処理ユニット100から受信する。調整可能コンデンサモデル220は、図3bを参照してより詳細に開示される。
【0095】
リップル比較モジュール221は、推定電圧リップルVestと、検知され、スケーリングされ、フィルタリングされた電圧Vrippleとを比較し、比較結果をプロセッサ100に提供する。リップル比較モジュール221は、図4b及び図5を参照してより詳細に開示される。
【0096】
図3aは、この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデルの第1の例を示す。
【0097】
コンデンサモデル200のコンデンサCmodelの第1の端子は、コンデンサモデル200の入力Vrippleに接続される。コンデンサモデルCmodelの第2の端子は、電解コンデンサCのESRをエミュレートするデジタル的に調整可能な抵抗器Radjの第1の端子及び抵抗器301に接続される。デジタル的に調整可能な抵抗器Radjの第2の端子はグラウンドに接続される。抵抗器301の第2の端子は、増幅器303の負入力及び抵抗器302の第1の端子に接続される。
【0098】
増幅器303の正入力はグラウンドに接続される。
【0099】
抵抗器302の第2の端子は、増幅器303の出力及び調整可能な抵抗器304の第1の端子に接続される。
【0100】
model及びRadjは、被監視電解コンデンサCのスケーリング済みのモデルを構成する。Radjが正しく調整されると、デジタル的に調整可能な抵抗器Radjを通って流れるリップル電流は、被監視電解コンデンサC内を流れるリップル電流に比例する。こうして、デジタル的に調整可能な抵抗器Radjの両端の電圧降下の尺度を用いて、リップル電流の推定値Iestを確定することができる。
【0101】
コンポーネント303及び306から構成される次の2つのステージは、Radjの両端に現れる電圧降下を測定しスケーリングすることを目的とする(カスケード接続された2つの反転増幅器から構成される)プログラム可能な利得を有する非反転増幅器を構成する。
【0102】
代替として、単一ステージ非反転増幅器を使用することができる。
【0103】
調整可能な抵抗器304は、デジタル的に調整可能な抵抗器Radjの値と無関係にデジタル的に調整可能な抵抗器Radjを通して流れる電流のイメージを得るため、増幅器の利得を調整することを可能にする。
【0104】
デジタル的に調整可能な抵抗器Radjと同じ値を有するように抵抗器304を調整することによって、Radjの可変的な性質が補償される。
【0105】
抵抗器302、301、及び305の値は、デジタル的に調整可能な抵抗器Radjを通して流れる電流を増幅させる一定利得を規定し、それにより、一方で、被監視電解コンデンサC内を流れるリップル電流に対して、デジタル的に調整可能な抵抗器Radjを通して流れる電流の減衰を補償し、他方で、場合によっては、電圧の利得及びスケーリングセンサ101及び電流センサ109を補償する。
【0106】
調整可能な抵抗器304の第2の端子は、増幅器306の負入力及び抵抗器305の第1の端子に接続される。
【0107】
増幅器306の正入力はグラウンドに接続される。
【0108】
抵抗器305の第2の端子は、増幅器306の出力に接続される。
【0109】
増幅器306の出力は推定電流リップルIestを提供する。
【0110】
図3bは、この発明の第2の実現モードによるコンデンサモデルの第2の例を示す。
【0111】
抵抗器350の第1の端子は、コンデンサモデル220の入力に接続される。抵抗器350の第2の端子は、増幅器352の負入力及び電解コンデンサのESRをエミュレートする調整可能な抵抗器Radjの第1の端子に接続される。
【0112】
増幅器352の正入力はグラウンドに接続される。
【0113】
デジタル的に調整可能な抵抗器Radjの第2の端子は、増幅器352の出力及び抵抗器353の第1の端子に接続される。
【0114】
抵抗器360の第1の端子は、コンデンサモデル220の入力Irippleに接続される。抵抗器360の第2の端子は、増幅器361の負入力及びコンデンサモデル200のコンデンサCmodelの第1の端子に接続される。
【0115】
増幅器361の正入力はグラウンドに接続される。
【0116】
コンデンサCmodelの第2の端子は、増幅器361の出力及び抵抗器359の第1の端子に接続される。抵抗器359の第2の端子は、増幅器358の負入力、抵抗器353の第2の端子、及び抵抗器354の第1の端子に接続される。
【0117】
増幅器358の正入力はグラウンドに接続される。
【0118】
抵抗器354の第2の端子は、増幅器358の出力及び抵抗器355の第1の端子に接続される。
【0119】
抵抗器355の第2の端子は、増幅器357の負入力及び抵抗器356の第1の端子に接続される。
【0120】
増幅器357の正入力はグラウンドに接続される。
【0121】
抵抗器356の第2の端子は、増幅器306の第1の端子に接続される。
【0122】
増幅器357の出力は推定電圧リップルVestを提供する。
【0123】
図3cは、この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデルの第3の例を示す。
【0124】
コンデンサモデル200のコンデンサCmodelの第1の端子は、コンデンサモデル200の入力Vrippleに接続される。コンデンサCmodelの第2の端子は、電解コンデンサCのESRをエミュレートするデジタル的に調整可能な抵抗器Radjの第1の端子、及び抵抗器321に接続される。デジタル的に調整可能な抵抗器Radjの第2の端子はグラウンドに接続される。抵抗器321の第2の端子は、増幅器323の正入力に接続される。抵抗器321は、入力オフセット補償のために使用することができるが、0オームに等しくすることができ、すなわち、ワイヤで置換することができる。
【0125】
デジタル的に調整可能な抵抗器Radjは、デジタル的に調整可能なポテンショメーターを使用して実装され、ポテンショメーターのカーソル端子は、2つの他の端子の一方に接続される。
【0126】
増幅器323の負入力は、デジタル的に調整可能なポテンショメーター324のカーソル端子に接続される。デジタル的に調整可能なポテンショメーター324の第2の端子はグラウンドに接続される。デジタル的に調整可能なポテンショメーター324の第3の端子は、抵抗器322の一方の端子に接続される。抵抗器322の他方の端子は、増幅器323の出力に接続される。抵抗器322は、増幅器323の利得を修正するために使用することができるが、必要とされない場合、ヌルに等しくすることができる。
【0127】
増幅器323の出力は、推定リップルIestを提供する。
【0128】
デジタル的に調整可能なポテンショメーター324及びデジタル的に調整可能な抵抗器Radjは、同一のコンポーネントであるか、又はおそらくは、デジタル的に調整可能なデュアルポテンショメーターが使用される場合、同じコンポーネントの一部である。両者は、それらのカーソルとグラウンドに接続されたそれらの端子との間のインピーダンスがデジタル的に調整可能なポテンショメーター324とデジタル的に調整可能な抵抗器Radjとの両方について同一であるように同様にプログラムされる。
【0129】
抵抗器321、322、324及び増幅器323は、デジタル的に調整可能な抵抗器Radjの両端の電圧を測定しスケーリングするために使用される、可変利得を有する非反転増幅器を構成する。
【0130】
図3dは、調整可能電流源を有するLEDによって調節される感光性抵抗器を使用する固体調整可能抵抗器の例を示す。
【0131】
固体調整可能抵抗器R’adjは、調整済みの電流を発光ダイオードLED361に提供する調整可能電流源360によって制御される。LED361によって提供される光は、感光性抵抗器の抵抗値を修正する。
【0132】
図3dの固体調整可能抵抗器はまた、LED及び感光性トランジスタの両方を埋め込む集積回路を備えるリニアオプトカプラであるとすることができる。
【0133】
図3eは、この発明の第1の実現モードによるコンデンサモデル及び比較モジュールの第4の例を示す。
【0134】
コンデンサモデル200のコンデンサCmodelの第1の端子は、コンデンサモデル200の入力Vrippleに接続される。コンデンサモデルCmodelの第2の端子は、電解コンデンサCのESRをエミュレートする固体調整可能抵抗器R’adj1の第1の端子、抵抗器373の第1の端子、及び抵抗器370の第1の端子に接続される。固体調整可能抵抗器R’adj1の第2の端子は、抵抗器373の第2の端子及びグラウンドに接続される。抵抗器370の第2の端子は、増幅器374の負入力及び抵抗器371の第1の端子に接続される。
【0135】
増幅器374の正入力はグラウンドに接続される。
【0136】
抵抗器371の第2の端子は、増幅器374の出力、抵抗器375の第1の端子、及び固体調整可能抵抗器である場合がある調整可能抵抗器R’adj2の第1の端子に接続される。
【0137】
抵抗器373及び375は、同じ値を有し、抵抗器373とR’adj1との並列接続及び抵抗器375とR’adj2との並列接続によってそれぞれ形成される等価抵抗の最大値を調整するために使用される。
【0138】
model、R’adj1、及び抵抗器373は、被監視電解コンデンサCのスケーリングされたモデルを構成する。固体調整可能抵抗器R’adj1が正しく調整されると、抵抗器373に並列に接続される固体調整可能抵抗器R’adj1から構成される分岐内に流れるリップル電流は、被監視電解コンデンサC内を流れるリップル電流に比例する。こうして、固体調整可能抵抗器R’adj1の両端の電圧降下の尺度を用いて、リップル電流の推定値Iestを確定することができる。
【0139】
調整可能抵抗器R’adj2は、固体調整可能抵抗器R’adj1の値と無関係に抵抗器373に並列に接続される固体調整可能抵抗器R’adj1から構成される分岐内に流れる電流のイメージを得るため、増幅器376の利得を調整することを可能にする。
【0140】
固体調整可能抵抗器R’adj1と同じ値を有するように抵抗器R’adj2を調整することによって、R’adj1の可変的な性質が補償される。
【0141】
調整可能抵抗器R’adj2の第2の端子は、増幅器372の負入力、抵抗器375の第2の端子、及び抵抗器372の第1の端子に接続される。
【0142】
増幅器376の正入力はグラウンドに接続される。
【0143】
抵抗器372の第2の端子は、増幅器376の出力に接続される。
【0144】
増幅器376の出力は推定電圧リップルIestを提供する。
【0145】
図4aは、この発明の第1の実現モードによる電解コンデンサ状態監視システムの比較モジュールのアナログ部分の第1の例を示す。
【0146】
電流リップルIrippleは、抵抗器400の第1の端子が接続されるリップル比較モジュール201の第1の入力に提供される。
【0147】
抵抗器400の第2の端子は、比較器401の正入力、比較器405の正入力、及びダイオード404のカソードに接続される。
【0148】
推定リップルIestは、抵抗器402の第1の端子が接続されるリップル比較モジュール201の第2の入力に提供される。
【0149】
抵抗器402の第2の端子は、比較器401の負入力及びダイオード403のカソードに接続される。
【0150】
ダイオード403及び404のアノードは、グラウンドに接続される。
【0151】
比較器405の負入力は、調整可能抵抗器405と直列接続の抵抗器406から構成される電圧基準に接続される。電圧基準は、比較がそれを超えると意味があるレベル、すなわち、電流Irippleが有用な情報を担持するときのレベルを規定する。
【0152】
抵抗器400及びダイオード404並びに抵抗器402及びダイオード403は、信号の正の部分の比較を可能にするため電圧クランプを実施する。比較器401及び405の入力における負電圧は、ダイオード閾値電圧を超えない。
【0153】
図4bは、この発明の第2の実現モードによる電解コンデンサ状態監視システムの比較モジュールのアナログ部分の第2の例を示す。
【0154】
電圧リップルVrippleは、抵抗器458の第1の端子及び比較器452の正入力が接続されるリップル比較モジュール221の第1の入力に提供される。比較器452を用いて、Vrippleが450、451によって生成される電圧基準を上回っているときに信号を生成し、次に、比較を実施することができるときを規定する。
【0155】
抵抗器458の第2の端子は、増幅器459の負入力及び抵抗器457の第1の端子に接続される。抵抗器458、457、460、462に取り囲まれた増幅器459は、Vrippleと推定電圧リップルVestとの間の電圧差を測定するために使用される差動増幅器を構成する。
【0156】
推定電圧リップルVestは、抵抗器460の第1の端子が接続されるリップル比較モジュール221の第2の入力に提供される。
【0157】
抵抗器460の第2の端子は、比較器459の正入力及び抵抗器462の第1の端子に接続される。
【0158】
抵抗器462の第2の端子は、グラウンドに接続される。
【0159】
抵抗器457の第2の端子は、増幅器459の出力、比較器465の正入力、及び抵抗器453の第1の端子に接続される。
【0160】
抵抗器453の第2の端子は、ダイオード454のカソード及び比較器456の負入力に接続される。
【0161】
ダイオード454のアノードは、グラウンドに接続される。
【0162】
抵抗器455の第1の端子は、正電源に接続される。抵抗器455の第2の端子は、比較器456の正入力及び調整可能抵抗器463の第1の端子に接続される。
【0163】
調整可能抵抗器463の第2の端子は、比較器465の負入力及び抵抗器464の第1の端子に接続される。
【0164】
抵抗器464の第2の端子は、負電源に接続される。
【0165】
抵抗器455、463、及び464から構成される抵抗分割器を用いて、増幅器459によって送出される差信号と比較するための、一方は正、一方は負の2つの基準電圧が生成される。その目的は、VrippleとVestが同様であるか否か、すなわち、両者間の差が、抵抗器463によって調整される所定の値を超えないか否かをチェックすることである。
【0166】
比較器465の出力は、抵抗器466の第1の端子に接続される。
【0167】
抵抗器466の第2の端子は、ダイオード467のカソードに接続される。
【0168】
ダイオード467のアノードは、グラウンドに接続される。
【0169】
図5は、この発明の第1及び第2の実現モードによる電解コンデンサ状態監視システムの比較モジュールのデジタル及びフィルタリング部分の例を示す。
【0170】
リップル比較モジュール201又は221のデジタル及びフィルタリング部分の第1の入力は、ANDゲート501の第1の入力が接続される比較器401又は456によって提供される信号を受信する。
【0171】
リップル比較モジュール201又は221のデジタル及びフィルタリング部分の第2の入力は、ANDゲート501の第2の入力が接続される比較器405又は抵抗器466によって提供される信号を受信する。
【0172】
リップル比較モジュール201又は221のデジタル及びフィルタリング部分の第3の入力は、バッファ512の入力が接続される比較器405又は452によって提供される信号を受信する。
【0173】
ANDゲート501の出力は、スイッチ511の第1の端子に接続される。スイッチ511及びバッファ512は、3状態バッファを示す。
【0174】
バッファ512の出力は、スイッチ511を制御する。
【0175】
スイッチ511の出力は、抵抗器513の第1の端子に接続される。
【0176】
抵抗器513の第2の端子は、処理ユニット100と、コンデンサ514の第1の端子とに接続される。コンデンサ514の他の端子は、グラウンドに接続される。
【0177】
バッファ512の入力が論理状態「1」になる、すなわち、3状態バッファがイネーブルされる場合、スイッチ511は閉鎖し、コンデンサ514は、ANDゲート501の出力の論理状態に応じて、抵抗器513を通して充電又は放電する。バッファ512の入力が論理状態「0」になる、すなわち、3状態バッファがディセーブルされる場合、スイッチ511は開口し、コンデンサ514の充電状態は変化しない。
【0178】
図6は、電解コンデンサ状態監視システムの処理ユニットのアーキテクチャを示す。
【0179】
処理ユニット100は、例えば、バス601によってともに接続されるコンポーネント及び図7又は図8で開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ600に基づくアーキテクチャを有する。
【0180】
バス601は、プロセッサ600を、読出し専用メモリROM602、ランダムアクセスメモリRAM603、入出力I/O IFインターフェース605、及びアラームインターフェース606にリンクする。メモリ603は、図7又は図8で開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信することを意図されたレジスタを含む。
【0181】
プロセッサ600は、入出力I/O IFインターフェース605を通して、検知された温度を受信し、アナログ又はデジタルである場合がある信号をデジタル及びフィルタリング部分から出力し、電解コンデンサのESRをエミュレートするデジタル的に調整可能な抵抗器Radjの値を修正するためにコマンド信号を転送する。
【0182】
プロセッサ600は、電解コンデンサの寿命終了を検出すると、例えばLED又はアラーム信号であるアラームモジュール606に指令する。
【0183】
読出し専用メモリ又は場合によってはフラッシュメモリ602は、図7又は図8で開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、処理ユニット100が電源をオンにされると、ランダムアクセスメモリ603に転送する。
【0184】
処理ユニット100は、パーソナルコンピュータ(PC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はマイクロコントローラ等のプログラム可能なコンピューティング機械によって命令のセット又はプログラムを実行することによるソフトウェアで実装することができるか、又はそうでなければ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)等の機械又は専用コンポーネントによるハードウェアで実装することができる。
【0185】
換言すれば、処理ユニット100は、図7又は図8で開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムを処理ユニット100に実施させる、回路要素又は回路要素を含むデバイスを含む。
【0186】
図7は、この発明の第1の実現モードによる電解コンデンサの状態監視のためのアルゴリズムを示す。
【0187】
より厳密には、本アルゴリズムは、処理ユニットのプロセッサ600によって実行される。
【0188】
本アルゴリズムは、例えば、分単位又は時間単位又は日単位の周期性で周期的に実行される。プロセッサ600の内部タイマ、又はソフトウェアによってエミュレートされるタイマを用いて、本アルゴリズムを実行するときがいつであるかを判定することができる。本アルゴリズムはまた、ESRの推定値が必要とされるときにいつでも実行することができる。
【0189】
ステップS700において、本アルゴリズムが開始する。
【0190】
次のステップS701において、プロセッサ600は、リップル比較モジュール201から比較結果を得る。
【0191】
次のステップS702において、プロセッサ600は、ステップS701で得られた比較結果がVcc/2より大きいか否かをチェックする。ここで、Vccは論理電源の電圧レベルである。Vcc/2が、論理レベル「0」に対応する電気レベルと論理レベル「1」に対応する電気レベルとの間の平均電圧であることに留意されたい。
【0192】
ステップS701で得られた比較結果がVcc/2より大きい場合、プロセッサ600は、ステップS704に移動し、電解コンデンサのESRをエミュレートする固体調整可能抵抗器の値を減分する。その後、プロセッサ600は、ステップS705に移動する。
【0193】
ステップS701で得られた比較結果がVcc/2より大きくない場合、プロセッサ600は、ステップS703に移動し、電解コンデンサのESRをエミュレートする固体調整可能抵抗器の値を増分する。その後、プロセッサ600は、ステップS705に移動する。
【0194】
次のステップS705において、本アルゴリズムの以前の実行時に確定された以前の所定の数の値とともにステップS703又はS704において確定された固体調整可能抵抗器の現在の値を考慮することによって、固体調整可能抵抗器の連続する値の平均化が実施される。
【0195】
次のステップS706において、プロセッサ600は、固体調整可能抵抗器の平均値を用いて電解コンデンサのESRを推定する。
【0196】
次のステップS707において、プロセッサ600は、センサT°から温度を得る。電解コンデンサの内部温度を測定することが可能でないため、ケース温度の尺度が、代わりに使用される。例えば、温度センサは、例えば電解コンデンサのパッケージに接着されたサーミスタ、熱電対又は集積化温度センサである。
【0197】
次のステップS708において、プロセッサ600は、初期化プロシージャが終了しているか否かをチェックする。初期化プロシージャが既に終了している場合、プロセッサ600は、ステップS709に移動し、そうでなければ、温度値T及びその温度における推定ESRが初期プロシージャに戻され、それにより、温度の関数としてのESRの様々な寿命終了値、ESRfaultのテーブルが構築される。
【0198】
次のステップS709において、プロセッサ600は、ステップS707で得た温度の関数としての寿命終了ESR値を確定する。値ESRfaultは、有利には、初期化プロシージャ中に確定される事前計算された値を使用することによって確定される。
【0199】
電解コンデンサは、そのESRパラメーターがその健康な状態に比べて大幅に増加したとき、すなわち、推定ESRが、ESRの初期値から導出されたESRの寿命終了値より大きいときに経年変化したとみなされる。通常、ESRの寿命終了値はESRの初期値より2倍又は3倍大きい。
【0200】
ESRの初期値は、幾つかの方法で確定することができる、すなわち、データシートから取出すことができるか又は以前の測定値から推測することができる。代替的に、ESRの初期値は、最初の数時間又は数日の動作中に電解コンデンサ状態監視システムによって確定することができる。
【0201】
次のステップS710において、プロセッサ600は、電解コンデンサのESRの推定値が寿命終了ESR値より大きいか否かをチェックする。
【0202】
電解コンデンサのESRの推定値が寿命終了ESR値より大きい場合、プロセッサ600は、ステップS710に移動する。そうでなければ、プロセッサ600は本アリゴリズムを中断する。
【0203】
ステップS710において、プロセッサ600は、電解コンデンサがその寿命終了に達したこと、及び、メンテナンスプロシージャが必要とされることを示すアラーム信号の転送を指令する。
【0204】
図8は、この発明の第2の実現モードによる電解コンデンサの状態監視のためのアルゴリズムを示す。
【0205】
より厳密には、本アルゴリズムは、処理ユニットのプロセッサ600によって実行される。
【0206】
本アルゴリズムは、例えば、分単位又は時間単位又は日単位の周期性で周期的に実行される。
【0207】
ステップS800において、本アルゴリズムが開始する。
【0208】
次のステップS801において、プロセッサ600は、電解コンデンサのESRをエミュレートする固体調整可能抵抗器に異なる値を転送し、転送されたそれぞれの値について、リップル比較モジュール221から比較結果を得る。
【0209】
次のステップS802において、プロセッサ600は、比較の結果の最大値に対応する固体調整可能抵抗器の値を、その最大値が過去に格納した値より大きい場合に記憶する。
【0210】
ステップS801及びS802を結合することができることがここで留意されなければならない。その場合、結果の最大値に対応する固体調整可能抵抗器の値だけが記憶される。温度もまた、そのステップで測定される。プロセッサ600はセンサT°から温度を得る。
【0211】
電解コンデンサの内部温度を測定することが可能でないため、ケース温度の尺度が、代わりに使用される。例えば、温度センサは、例えば電解コンデンサのパッケージに接着されたサーミスタ、熱電対又は集積化温度センサである。
【0212】
次のステップS803において、プロセッサ600は、格納されたデジタル的に調整可能な抵抗器の値Radjを使用して電解コンデンサのESRを推定する。
【0213】
次のステップS804において、プロセッサ600は、初期化プロシージャが終了しているか否かをチェックする。初期化プロシージャが終了した場合、実行は、ステップS805に対して継続され、そうでなければ、ステップS802で確定された温度値及びステップS803で確定された推定ESRが初期プロシージャに戻され、それにより、温度の関数としての様々なESRfault値のテーブルが構築される。
【0214】
次のステップS805において、プロセッサ600は、ステップS802で確定された温度について、寿命終了ESR値、ESRfaultを確定する。
【0215】
電解コンデンサは、そのESRパラメーターがその健康な状態に比べて著しく増加したときに、すなわち、推定ESRが、ESRの初期値から導出されるESRの寿命終了値より大きいときに、経年変化したとみなされる。通常、ESRの寿命終了値は、ESRの初期値より2倍又は3倍大きい。
【0216】
ESRの初期値は、幾つかの方法で確定することができる、すなわち、データシートから取出すことができるか又は以前の測定値から推測することができる。代替的に、ESRの初期値は、最初の数時間又は数日の動作中に電解コンデンサ状態監視システムによって確定することができる。
【0217】
次のステップS806において、プロセッサ600は、電解コンデンサのESRの推定値が寿命終了ESR値より大きいか否かをチェックする。
【0218】
電解コンデンサのESRの推定値が寿命終了ESR値より大きい場合、プロセッサ600は、ステップS807に移動する。そうでなければ、プロセッサ600は本アリゴリズムを中断する。
【0219】
ステップS807において、プロセッサ600は、電解コンデンサがその寿命終了に達したこと、及び、メンテナンスプロシージャが必要とされることを示すアラーム信号の転送を指令する。
【0220】
図9は、電解コンデンサ状態を監視するためにこの発明によって提供される信号の曲線及び時間経過図である。
【0221】
900で記す曲線は、リップル比較モジュール201から得られる比較結果を示す。
【0222】
各ドットは、意思決定、すなわち、固体調整可能抵抗器の値の増加又は減少のために考えられる値を示す。
【0223】
910で記す曲線は、電解コンデンサのESRをエミュレートするデジタル的に調整可能な抵抗器Radjがとる様々な値を示す。
【0224】
T°で記す曲線は、温度の様々な値を示す。
【0225】
920で記す曲線は、ESRの寿命終了値が現在の温度に関して調整される例を示す。
【0226】
930で記す曲線はESRの推定値を示し、940で記す曲線は、電解コンデンサのESRの推定値が、寿命終了ESR値より大きい場合に高いレベルにセットされるアラーム信号を示す。
【0227】
T°、920、及び930で記す曲線は、監視アルゴリズムの評価ごとに更新される数値である。
【0228】
図10は、電解コンデンサ状態を監視するためにこの発明によって提供される信号の曲線及び時間経過図である。
【0229】
1000で記す曲線は、リップル比較モジュール221から得られる比較結果を示す。
【0230】
1010で記す曲線は、電解コンデンサのESRをエミュレートする固体調整可能抵抗器がとる様々な値を示す。
【0231】
T°で記す曲線は、温度の様々な値を示す。
【0232】
1020で記す曲線は、新しい最大が見出される度にのみ格納され更新される固体調整可能抵抗器の値を示す。
【0233】
1030で記す曲線は、温度の記憶された様々な値を示し、新しい最大が見出される度にのみ更新される。
【0234】
1040で記す曲線は、記憶済みの温度の関数としての、ESRの記憶済みの寿命終了値、ESRfaultを示す。
【0235】
1050で記す曲線はESRの記憶された推定値を示し、1060で記す曲線は、電解コンデンサのESRの推定値が、寿命終了ESR値より大きい場合に高いレベルを有するアラーム信号を示す。
【0236】
1010、T°、1020、1030、1040及び1050で記す曲線は、監視アルゴリズムの評価ごとに更新される数値である。
【0237】
当然のことながら、この発明の範囲から逸脱することなく、上述したこの発明の実施の形態に対して多くの変更を行うことができる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10