(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高解像度テレビジョンの最大の特徴は、高い空間解像度であり、カメラの解像度特性が重要となる。現行のハイビジョンカメラの解像度測定として、
図6に示すように、複数の空間周波数を有する矩形波が空間的に配置されたインメガサイクルチャートを用いる手法が知られている。
【0003】
このインメガサイクルチャートを用いる手法では、波形モニタから矩形波の変調度の空間周波数特性を表すCTF(Contrast Transfer Function)を読み取る。インメガサイクルチャートを用いる手法は、波形モニタから目視で読み取れる手軽さはあるが、サンプリングの位相やカメラノイズの影響で波形の振幅が変動する。また、インメガサイクルチャートを用いる手法は、レンズ中央と周辺でカメラの解像度特性が異なるため、800TVL/phに相当するチャート中央における矩形波応答だけ測定することが多い。さらに、インメガサイクルチャートを用いる手法は、所望の空間周波数特性を得るために撮像画角を正確にチャートサイズにフレーミングする必要があるが、4K/8Kカメラでは広角レンズを使うことが多いので、サイズの大きいインメガチャートが必要になり、非現実的である。
【0004】
そこで、インメガサイクルチャートに代わり、Slanted-edge法が提案されている(特許文献1,2、非特許文献1,2)。このSlanted-edge法は、チャートサイズが比較的小さくてフレーミングが不要な手法であり、僅かに傾いたエッジ画像を撮像して、そのエッジの広がりから、正弦波の変調度の空間周波数特性を表すMTF(Modulation Transfer Function)を算出する。
【0005】
まず、Slanted-edge法では、チャートを撮像したチャート画像からエッジを含む長方形の関心領域(ROI、
図7)を選定する。次に、Slanted-edge法では、ISO12233に準拠したアルゴリズム(非特許文献2)、又は、より精度の高いアルゴリズム(特許文献1、非特許文献1)を用いて、関心領域からエッジを検出する。次に、Slanted-edge法では、関心領域の各画素を、エッジ傾きに沿って、サブピクセルで等間隔に区分した水平軸に投影する。そして、Slanted-edge法では、それぞれの区分けに投影された複数の画素の画素値の平均値を求め、オーバーサンプリング(ISO12233の場合、4倍オーバーサンプリング)されたエッジ広がり関数を求める。さらに、Slanted-edge法では、エッジ広がり関数を微分することで線広がり関数を算出し、線広がり関数をフーリエ変換して絶対値を求めることで、DC成分からサンプリング周波数を超える帯域のMTFを求める。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
[MTF測定装置の構成]
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1を参照し、実施形態に係るMTF測定装置1について説明する。
【0017】
MTF測定装置1は、境界でコントラストの異なるチャートCHを用いて、撮像系の解像度の空間周波数特性を表すMTFを測定する。
図1に示すように、MTF測定装置1は、チャート画像記憶手段10と、ROI画像抽出手段20と、チャート画像指定手段30と、演算手段40と、エッジ傾き情報記憶手段50と、グラフ生成手段70とを備える。ここで、MTF測定装置1は、撮像系2と、表示装置3とを接続する。
【0018】
撮像系2は、例えば、被測定対象となるレンズ、カメラである。
表示装置3は、MTF測定装置1を操作するユーザインタフェースを提供すると共に、撮像系2が撮像したチャート画像を表示する。例えば、表示装置3は、CRT、FPD等のディスプレイである。
【0019】
<チャート画像の撮像及びMTFの測定>
撮像系2によるチャート画像の撮像、及び、MTF測定装置1によるMTFの測定を説明する。
【0020】
まず、操作者は、MTFの測定方向と境界が直交する方向に対し、チャートCHが所定角度傾いた状態で撮像できように、撮像系2及びチャートCHを配置する。例えば、垂直方向のMTFを測定する場合、操作者は、境界を水平方向から所定角度傾いた状態とする。一方、水平方向のMTFを測定する場合、操作者は、境界を垂直方向から所定角度傾いた状態とする。この所定角度は、例えば、数度程度である。本実施形態では、水平方向のMTFを測定することとする。
【0021】
ここで、操作者は、チャートCHを所定角度分傾けて壁面に添付してもよく、撮像系2を所定角度分傾けてもよい。また、操作者は、チャートCHに白黒パターンを所定角度分傾けて配色し、このチャートCHを傾けずに壁面に添付してもよい。
【0022】
このとき、操作者は、撮像系2のMTFを測定したい撮像領域、例えば、中央部分、中央右(左、上、下)部分、右(左)斜め上部分、右(左)斜め下部分等に白黒パターンが位置するように撮像系2又はチャートCHを配置する。
【0023】
次に、操作者は、撮像系2のフォーカスを微調整し、撮像系2でチャートCHを撮像する。すると、MTF測定装置1は、操作者が撮像したチャート画像を記憶すると共に、記憶したチャート画像を表示装置3に表示する。
【0024】
ここで、操作者は、撮像系2がチャートCHにある程度合焦したときのチャート画像を、検出対象チャート画像としてMTF測定装置1に指定する。例えば、操作者は、表示装置3の指定ボタンをタッチペン等のポインティングデバイス(不図示)で押下することで、そのタイミングで表示装置3が表示しているチャート画像を検出対象チャート画像として指定できる。
【0025】
なお、操作者は、撮像した映像に含まれるチャート画像の中から、エッジ傾きの検出に用いる検出対象チャート画像を任意に指定できる。例えば、操作者は、ある程度フォーカスが合焦したときのチャート画像を検出対象チャート画像として指定できる。また、操作者は、撮像した映像の先頭フレームのチャート画像を検出対象チャート画像として指定してもよい。
【0026】
続いて、MTF測定装置1は、検出対象チャート画像より抽出したROI画像からエッジ傾きを検出する。そして、MTF測定装置1は、検出したエッジ傾きを示すエッジ傾き情報を生成及び記憶する。さらに、MTF測定装置1は、生成したエッジ傾き情報を用いてMTFを測定し、MTFの測定結果を示すグラフを操作者に提示する。
【0027】
次に、操作者は、撮像系2のフォーカスを微調整し、撮像系2でチャートCHを撮像する。すると、MTF測定装置1は、新たに撮像したチャート画像を上書き記憶すると共に、上書き記憶したチャート画像を表示装置3に表示する。
【0028】
続いて、MTF測定装置1は、新たに撮像したチャート画像から、同様にROI画像を抽出する。このとき、MTF測定装置1は、新たに撮像したROI画像からエッジ傾きを検出せずに、既に記憶したエッジ傾き情報を流用して、MTFを測定する。そして、MTF測定装置1は、MTFの測定結果を示すグラフを操作者に提示する。つまり、MTF測定装置1は、全てのROI画像から、エッジ傾きを検出するわけでない。
【0029】
操作者は、提示されたグラフを参照しながら、撮像系2の解像度の空間周波数特性が最良になるまで、チャートCHの撮像とMTFの測定とを繰り返す。つまり、操作者は、撮像系2のフォーカスを微調整しながら、チャートCHの撮像及びMTFの測定を繰り返し、最良の空間周波数特性を探索する。そして、操作者は、空間周波数特性が最良になったと判断したとき、チャートCHの撮像及びMTFの測定を終了する。
なお、操作者は、任意のタイミングで撮像を終了することができる。
【0030】
以下、MTF測定装置1の構成について説明する。
チャート画像記憶手段10は、被測定対象の撮像系2で、MTF測定用のチャートCHを撮像した画像(チャート画像)を記憶する。このチャート画像記憶手段10は、異なるフォーカス値で撮像したチャート画像が撮像系2から順次入力され、入力したチャート画像を上書き記憶する。つまり、チャート画像記憶手段10は、新たなチャート画像が撮像系2から入力された場合、既に記憶しているチャート画像を新たなチャート画像で上書きする。例えば、チャート画像記憶手段10は、ハードディスク、メモリ等の一般的な記憶装置である。
【0031】
なお、チャート画像記憶手段10が記憶するチャート画像は、表示装置3が表示すると共に、ROI抽出手段23が読み出す。
【0032】
ROI画像抽出手段20は、チャート画像記憶手段10が記憶するチャート画像から、境界をエッジとして含んだROI画像を抽出する。このROI画像抽出手段20は、ROI指定手段21と、ROI抽出手段23とを備える。
【0033】
ROI指定手段21は、撮像系2が撮像したチャート画像内でROIを指定する。例えば、操作者は、表示装置3が表示しているチャート画像内において、ポインティングデバイスで矩形領域を指定することで、ROI指定手段21がROIの位置及び大きさを取得する。ここで、操作者は、任意のチャート画像内でROIを指定でき、例えば、検出対象チャート画像内でROIを指定できる。そして、ROI指定手段21は、取得したROIの位置及び大きさを示すROI指定情報を生成し、生成したROI指定情報をROI抽出手段23に出力する。
このように、MTF測定装置1は、何れかのチャート画像内でROIを一度指定すれば、他のチャート画像内でROIを指定する必要がないので、操作者の手間を軽減できる。
【0034】
ROI抽出手段23は、チャート画像記憶手段10が記憶するチャート画像から、ROI画像を抽出する。ここで、ROI抽出手段23は、チャート画像記憶手段10からチャート画像を読み出して、読み出したチャート画像からROI画像を抽出する。例えば、ROI抽出手段23は、ROI指定手段21から入力したROI指定情報が示す位置及び大きさでROI画像を抽出する。そして、ROI抽出手段23は、抽出したROI画像をエッジ傾き検出手段41及びエッジプロファイル生成手段61に出力する。
なお、ROI抽出手段23は、新たなROI指定情報がROI指定手段21から入力されるまで、入力済みのROI指定情報を流用することとする。
【0035】
チャート画像指定手段30は、撮像系2が撮像した複数のチャート画像のうち、エッジ傾きの検出対象となるチャート画像である検出対象チャート画像を指定する。例えば、チャート画像指定手段30は、指定ボタンが押下されたときに表示装置3が表示しているチャート画像を、検出対象チャート画像として指定する。そして、チャート画像指定手段30は、検出対象チャート画像が指定された旨をエッジ傾き検出手段41に通知する(検出対象チャート画像指定通知)。
【0036】
演算手段40は、MTFの測定に必要な演算を行うものであり、エッジ傾き検出手段41と、MTF測定手段60とを備える。
【0037】
エッジ傾き検出手段41は、検出対象チャート画像に含まれるROI画像からエッジ傾きを検出し、検出したエッジ傾きに対応したエッジ傾き情報を生成する。つまり、エッジ傾き検出手段41は、チャート画像指定手段30から入力した検出対象チャート画像指定通知に応じて、ROI抽出手段23より入力したROI画像からエッジ傾きを検出する。そして、エッジ傾き検出手段41は、検出したエッジ傾きをエッジプロファイル生成手段61に出力する。
【0038】
例えば、エッジ傾き検出手段41は、チャート画像における水平方向及び垂直方向の軸を2軸とする座標系(xy座標系)において、ROIのxy座標値とその画素値とからエッジ傾きを求める。このエッジ傾きは、例えば、正規累積密度関数によるフィッティングで求めることができる(非特許文献1参照)。このフィッティングは、エッジ傾きを求めるために行うので、画像に完全にフィッティングさせる必要はない。また、フィッティングは、任意の画素構造において行うことができる。
【0039】
エッジ傾き情報記憶手段50は、後記するエッジプロファイル生成手段61が生成したエッジ傾き情報を記憶する。例えば、エッジ傾き情報記憶手段50は、ハードディスク、メモリ等の一般的な記憶装置である。
【0040】
このようにして、MTF測定装置1は、操作者が指定した検出対象チャート画像に含まれるROI画像のみから、エッジ傾き情報を生成する。そして、MTF測定装置1は、検出したエッジ傾き情報を記憶し、記憶したエッジ傾き情報を他のチャート画像でMTFを測定する際に適用する。
【0041】
MTF測定手段60は、ROI抽出手段23から入力したROI画像にエッジ傾き情報記憶手段50のエッジ傾き情報を適用し、Slanted-edge法によりMTFを測定する。このMTF測定手段60は、エッジプロファイル生成手段61と、MTF算出手段63とを備える。
【0042】
エッジプロファイル生成手段61は、エッジ傾き検出手段41から入力したエッジ傾きに沿って、ROI画像の各画素を座標軸上に投影したサブピクセル位置を表す投影情報(エッジ傾き情報)を生成する。そして、エッジプロファイル生成手段61は、生成した投影情報をエッジ傾き情報記憶手段50に書き込む。さらに、エッジプロファイル生成手段61は、投影情報に基づいて複数のチャート画像に含まれるROI画像の各画素の画素値を座標軸上に投影することで、エッジに対する応答を表す関数であるエッジプロファイルを生成する。
【0043】
ここで、エッジプロファイル生成手段61は、検出対象チャート画像に含まれるROI画像のみから投影情報を生成する。つまり、エッジプロファイル生成手段61は、検出対象チャート画像以外の他のチャート画像に含まれるROI画像から投影情報を生成しない。
また、エッジプロファイル生成手段61は、検出対象チャート画像だけでなく、他のチャート画像に含まれるROI画像にも、エッジ傾き情報記憶手段50に記憶した投影情報を適用し、エッジプロファイルを生成する。
その後、エッジプロファイル生成手段61は、生成したエッジプロファイルをMTF算出手段63に出力する。
【0044】
<投影情報及びエッジプロファイルの生成>
図2,
図3を参照して、投影情報及びエッジプロファイルの生成について説明する(適宜
図1参照)。
【0045】
まず、投影情報の生成を説明する。
図2(a)のROI画像の各画素の位置(座標)と、
図2(b)のエッジ傾きθeとが分かれば、エッジeに沿ってROI画像の各画素の画素値をx軸に投影できる。そこで、エッジプロファイル生成手段61は、ROI画像の各画素の中心位置をエッジ傾きθeに沿ってx軸に投影した位置を求める。そして、エッジプロファイル生成手段61は、ROI画像の各画素の中心位置と、投影後のx軸上の位置とを対応づけた投影情報(ルックアップテーブル)を生成し、エッジ傾き情報記憶手段50に記憶する。
【0046】
ここで、エッジ傾きθeが検出対象チャート画像以外の他のチャート画像でも変化しないので、他のチャート画像に含まれるROI画像にも投影情報を適用できる。このため、エッジプロファイル生成手段61は、MTFを測定する際、1回だけ投影情報を生成すればよい。
【0047】
次に、エッジプロファイルの生成を説明する。
図2(b)に示すように、エッジプロファイル生成手段61は、エッジ傾き情報記憶手段50の投影情報を参照して、ROI画像の各画素の中心位置に応じたx軸上の位置に、ROI画像の各画素の画素値を投影する。ここで、エッジプロファイル生成手段61は、検出対象チャート画像だけでなく他のチャート画像に含まれるROI画像で投影を行う際にも、エッジ傾き情報記憶手段50に記憶した投影情報を参照する。
【0048】
そして、エッジプロファイル生成手段61は、
図3に示すように、x座標のビン毎に画素値を平均化し、各ROI画像からエッジプロファイルを生成する。
なお、平均化するx軸のビンのサイズは、画素よりも小さいサイズを用いることとする。例えば、1画素の1/4の幅をビンのサイズとする。
【0049】
図1に戻り、MTF測定装置1の構成について説明を続ける。
MTF算出手段63は、エッジプロファイル生成手段61より入力されたエッジプロファイルから、MTFを算出する。ここで、MTF算出手段63は、ROI画像毎に、一般的なSlanted-edge法を用いて、MTFを算出する。すなわち、MTF算出手段63は、エッジプロファイルを順次微分することで線広がり関数(LSF)を求めた後、離散フーリエ変換を行うことでMTFを算出する。
【0050】
このようにして、MTF算出手段63は、
図2(a)のROI画像から、水平方向のMTFを得ることができる。その後、MTF算出手段63は、算出したMTFをグラフ生成手段70に出力する。
【0051】
グラフ生成手段70は、MTF算出手段63が算出したMTFをグラフ化する。例えば、グラフ生成手段70は、
図4に示すように、横軸に周波数、縦軸にMTFをとった座標に、MTFをプロットする。
その後、グラフ生成手段70は、生成したグラフを表示装置3に出力する。
【0052】
[MTF測定装置の動作]
図5を参照し、MTF測定装置1の動作について説明する(適宜
図1参照)。
ここで、操作者が、撮像系2のフォーカスを微調整し、撮像系2でチャートCHを撮像する。すると、MTF測定装置1は、操作者が撮像したチャート画像を記憶すると共に、記憶したチャート画像を表示装置3に表示することとする。
【0053】
MTF測定装置1は、チャート画像記憶手段10からチャート画像を読み出す(ステップS1)。
【0054】
ROI指定手段21は、ステップS1で読み出したチャート画像内で、操作者からROIの指定を受け付ける。例えば、操作者は、表示装置3が表示しているチャート画像内において、ポインティングデバイスでROIを指定する。そして、ROI指定手段21は、操作者が指定したROIの位置及び大きさを示すROI指定情報を生成する(ステップS2)。
【0055】
ROI抽出手段23は、ステップS1で読み出したチャート画像から、ROI指定情報が示す位置及び大きさのROI画像を抽出する(ステップS3)。
【0056】
チャート画像指定手段30は、操作者から、検出対象チャート画像の指定を受け付ける。例えば、操作者は、表示装置3の指定ボタンが押下されたときに表示装置3が表示しているチャート画像を、検出対象チャート画像として指定する(ステップS4)。
【0057】
エッジ傾き検出手段41は、検出対象チャート画像に含まれるROI画像からエッジ傾きを検出する(ステップS5)。
エッジプロファイル生成手段61は、検出したエッジ傾きに対応したエッジ傾き情報(投影情報)を生成し、生成した投影情報をエッジ傾き情報記憶手段50に記憶する(ステップS6)。
【0058】
エッジプロファイル生成手段61は、ステップS6で記憶したエッジ傾き情報(投影情報)を参照して、エッジプロファイルを生成する。例えば、エッジプロファイル生成手段61は、チャート画像から抽出したROI画像の各画素の画素値を、投影先となる座標軸上のサブピクセル間隔に区分けした各区間で平均化する(ステップS7)。
【0059】
MTF算出手段63は、エッジプロファイル生成手段61が生成したエッジプロファイルから、Slanted-edge法によりMTFを算出する。例えば、MTF算出手段63は、エッジプロファイルを順次微分することで線広がり関数(LSF)を求めた後、離散フーリエ変換を行うことでMTFを算出する(ステップS8)。
【0060】
グラフ生成手段70は、MTF算出手段63が算出したMTFをグラフ化する。例えば、グラフ生成手段70は、横軸に周波数、縦軸にMTFをとった座標に、MTFをプロットする(ステップS9)。
【0061】
ROI抽出手段23は、全チャート画像について、MTFの測定を終了するか否かを判定する。例えば、ROI抽出手段23は、表示装置3の終了ボタンが押下されたか否かにより、MTFの測定を終了するか否かを判定する(ステップS10)。
【0062】
全チャート画像でMTFの測定を終了する場合(ステップS10でYes)、MTF測定装置1は、処理を終了する。
全チャート画像でMTFの測定を終了しない場合(ステップS10でNo)、MTF測定装置1は、ステップS11の処理に進む。
【0063】
MTF測定装置1は、チャート画像記憶手段10から、新たなチャート画像を読み出す(ステップS11)。
ROI抽出手段23は、ステップS11で読み出したチャート画像から、ROI指定情報が示す位置及び大きさのROI画像を抽出し(ステップS12)、ステップS7の処理に戻る。
【0064】
以上の動作により、MTF測定装置1は、検出対象チャート画像に含まれるROI画像のみからエッジ傾きを検出し、検出したエッジ傾きを他のチャート画像でMTFを測定する際に流用するので、時間を要するエッジ傾きの検出を省略できる。さらに、MTF測定装置1は、何れかのチャート画像内でROIを一度指定すれば、他のチャート画像内でROIを指定する必要がない。
【0065】
[作用・効果]
MTF測定装置1は、エッジの位置及び傾きが不変とみなせるとき、時間を要するROIの指定及びエッジ傾きの検出を省略できるので、高速にMTFを測定することができる。
さらに、MTF測定装置1は、投影情報(ルックアップテーブル)を用いて投影を行うので、エッジプロファイルを素早く生成可能となり、高速にMTFを測定することができる。
【0066】
(変形例)
以上、本発明の各実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0067】
前記した実施形態では、MTFの測定結果をグラフとして表示することとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、MTF測定装置は、代表的な空間周波数(例えば、0.37cycle/pixel)のMTFを操作者に提示してもよい。さらに、MTF測定装置は、MTFの測定結果をテキストデータとして出力してもよい。
【0068】
前記した実施形態では、MTF測定装置を独立したハードウェアとして説明したが、本発明は、これに限定されない。
例えば、MTF測定装置を波形モニタに実装し、この波形モニタに放送用ビデオカメラを接続することで、MTFをほぼリアルタイムに算出できる。
また、例えば、コンピュータが備えるCPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェア資源を、MTF測定装置として協調動作させるMTF測定プログラムで実現することもできる。このプログラムは、通信回線を介して配布してもよく、CD−ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。そして、このコンピュータにデジタルカメラを接続し、コンピュータからデジタルカメラの撮像画像を順次キャプチャすることで、高速にMTFを測定することができる。
【0069】
前記した実施形態では、表示装置の指定ボタンを押下することで検出対象チャート画像を指定することとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、操作者が撮像系に取り付けたボタン、スイッチ等の操作手段を操作することで、検出対象チャート画像を指定してもよい。
【0070】
前記した実施形態では、水平方向のMTFを測定することとして説明したが、本発明は、水平方向以外(例えば、垂直方向)のMTFも測定できる。
さらに、本発明は、水平方向、垂直方向等の単方向だけでなく、特開2010−237177号公報のようにMTFを多方向で測定する手法にも適用でき、固定のエッジが複数ある場合、より効果を発揮する。