(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明に係る地域防災情報システム1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る地域防災情報システム1を示す模式図である。この
図1に基づいて、地域防災情報システム1について説明する。
図1に示すように、地域防災情報システム1は、所定の地域Rに設けられた中継機10を備えており、所定の地域Rには、複数の住戸2が建っている。また、所定の地域Rには、中継機10から送信される信号を取得する親機11が設けられた管理部2aが設置されている。管理部2aには、親機11のほかにゲートウェイ12が設けられている。また、地域防災情報システム1は、サーバー14を備えている(
図2参照)。
【0010】
図2は、本発明の実施の形態1に係る地域防災情報システム1における、火災および非常時の共助に関するシステム構成を示す模式図である。
図2に示すように、各住戸2には、住宅用火災警報器3と、移報アダプタ5と、屋外警報装置6と、リモートコントローラ4とが設けられている。このように、地域防災情報システム1は、住宅用火災警報器3と、移報アダプタ5と、屋外警報装置6と、リモートコントローラ4と、中継機10と、親機11と、ゲートウェイ12と、サーバー14とを備えている。なお、各住戸2の住人は、例えば持ち運び可能な情報端末15を所有しており、各住戸2には固定電話16が設置されている。
【0011】
住宅用火災警報器(警報器)3は、火災現象の一例としての煙または熱を感知(検出)すると警報音を発するものであり、住戸2の天井等に1つ以上設置される。また、住宅用火災警報器3は、火災警報信号を送受信する送受信部(図示せず)を有し、煙を感知すると無線により火災警報信号を送信する。同一住戸2内に設置されている住宅用火災警報器3の全ては、いずれかの住宅用火災警報器3から送信された火災警報信号を受信すると警報音を発する。なお、住宅用火災警報器3は、火災検出した状態が所定時間連続して経過した場合に火災確定信号を送信するようにしてもよい。この場合、火災確定信号は火災警報信号と同様に後述する移報アダプタ5および屋外警報装置6を経由して中継機10に送信される。
【0012】
移報アダプタ5は住戸2内に1つ以上設置され、住宅用火災警報器3から送信された火災警報信号等を受信すると屋外警報装置6に火災警報信号等を移報する。移報アダプタ5と屋外警報装置6は無線により送受信してもよいし、有線により接続されていてもよい。
また、移報アダプタ5は、後述する屋外警報装置6に内蔵され、一体となっていてもよい。この場合、屋外にある屋外警報装置6が住宅用火災警報器3から送信された火災警報信号等を無線により受信する。
【0013】
屋外警報装置6(警報装置)は、住戸2の屋外に設けられ、火災確認ボタン(図示せず)、誤報確認ボタン(図示せず)、自身が設置された住戸2のIDを記憶する記憶部(図示せず)、無線信号を送信する送信部(図示せず)を備え、移報アダプタ5からの火災警報信号等を受信すると、自身のIDと共に火災警報信号等を無線送信する。火災確認ボタンは、操作されたときに火災が事実であることを確定するものであり、火災確認ボタンが押下されると、屋外警報装置6は、自身のIDと共に火災確定信号を中継機10に送信するものである。
【0014】
なお、屋外警報装置6は、住宅用火災警報器3から送信された火災警報信号を受信した後、所定の時間火災確定操作もされず、また後述する誤報確定操作もされなかった場合、自発的に火災確定信号を中継機10に送信するように構成されてもよい。また、誤報確認ボタンは、操作されたときに火災警報が誤報であることを確定するものである。誤報が確定すると、屋外警報装置6は、誤報確定信号を中継機10に送信する。なお、IDを記憶する記憶部は、移報アダプタ5に備えられ、火災警報信号等を自身のIDと共に移報アダプタ5から屋外警報装置6に送信されるようにしてもよい。
【0015】
リモートコントローラ4は、住戸2の居住者が所有して、または、住戸2内の任意の場所に固定して、火災又は非常状態等が発生した場合、居住者が自ら操作するものである。非常状態とは、例えば、居住者が体調不良となった状態等をいう。リモートコントローラ4は、火災ボタン4aと非常ボタン4bとを有しており、また、無線信号を送信する送信部(図示せず)を備えている。リモートコントローラ4は、火災が発生した場合には、火災ボタン4aが操作され、非常状態が発生した場合には、非常ボタン4bが操作される。火災ボタン4aは、操作されたときに火災が事実であることを確定するものであり、火災ボタン4aが例えば3秒押下され続けると、リモートコントローラ4は、火災確定信号を送信部から中継機10に送信するものである。そして、リモートコントローラ4に設けられた火災報知部(図示せず)が、火災を報知する。火災報知部は、例えばブザーとLEDとからなり、火災ボタン4aが操作されると、ブザーが鳴動し且つLEDが点滅する。
【0016】
また、非常ボタン4bは、操作されたときに非常状態であることを確定するものであり、非常ボタン4bが押下されると、リモートコントローラ4は、非常警報信号を送信部から中継機10に送信するものである。そして、リモートコントローラ4に設けられた非常報知部(図示せず)が、非常を報知する。非常報知部は、例えばブザーとLEDとからなり、非常ボタン4bが操作されると、ブザーが鳴動し且つLEDが点灯する。更に、火災報知部の報知又は非常報知部の報知が行われているときに、火災ボタン4aと非常ボタン4bとが同時に押下されると、火災報知部の報知又は非常報知部の報知が復旧される。なお、リモートコントローラ4は、自身のIDを記憶する記憶部(図示せず)を備え、送信部から火災確定信号、非常警報信号等の信号を送信する際には、自身のIDと共に送信することで、送信者(リモートコントローラ4の所有者)を特定することができる。また、リモートコントローラ4から信号を送信する場合、近くにある屋外警報装置6を経由してもよい。このとき、リモートコントローラ4のIDを送信してもよいし、屋外警報装置6のIDを送信してもよい。前者の場合は、リモートコントローラ4の所有者(使用者)を特定できるし、後者の場合は、リモートコントローラ4が押された場所を特定できる。もちろん、リモートコントローラ4のIDと屋外警報装置6のIDとの両方を送信してもよい。
【0017】
火災警報信号、火災確定信号及び非常警報信号等の信号は、中継機10、親機11、ゲートウェイ12、通信回線13を経由してサーバー14に送信される。サーバー14は、親機11から取得した通信情報を解析し、通信情報に含まれる信号と識別IDと記憶情報とに基づいて、電子メールを生成する。そして、サーバー14は、後述する端末用サーバー14aに住宅用火災警報器3が作動したことを知らせる相手である一次通報先の住人の情報端末15に電子メール(火災警報信号)を送信させる。その後、電子メール(火災警報信号)を受信した情報端末15を持つ住人により火災が確認され、屋外警報装置6の火災確認ボタンが操作されるとサーバー14に火災確定信号が送信され、サーバー14は、端末用サーバー14aに二次通報先の住人に電子メール(火災確定信号)を送信させる。なお、一次通報先は、例えば、火災警報信号を発信した住戸2を中心とした半径7mの円に囲まれた範囲の住戸2の住人に対して送信し、二次通報先は、一次通報先より範囲を広げて、例えば、火災警報信号(火災確定信号)を発信した住戸2を中心とした半径250mの円に囲まれた範囲の住戸2の住人に対して送信するようにしてもよい。また、二次通報先は、地域Rの全住人としてもよい。
【0018】
中継機10は、所定の地域R内に設けられ、屋外警報装置6から送信される住宅用火災警報器3からの火災警報信号を受信して管理部2aの親機11に送信するものである。また、中継機10は、屋外警報装置6から送信された火災確定信号を受信し、親機11に送信する。更に、中継機10は、リモートコントローラ4から送信された火災確定信号を受信し、親機11に送信する。更にまた、中継機10は、リモートコントローラ4から送信された非常警報信号を受信し、親機11に送信する。中継機10は、例えば地域R内における屋外の支柱等の上部に設置される。なお、屋外警報装置6及びリモートコントローラ4が親機11と送受信可能な距離にある場合、中継機10を経由せずに信号の授受を行うようにしてもよい。
【0019】
親機11は、地域R内において、通信回線13への接続環境が整っている管理部2aに設けられており、中継機10からの火災警報信号、火災確定信号及び非常警報信号等を受信するものである。親機11は、ゲートウェイ12を介して通信回線13に接続される。また、親機11は、移報接点11aを有している。移報接点11aは、閉じられることによって信号を移報する端子であり、移報接点11aが閉じる動作条件はソフトウエアの変更により適宜変更可能である。本実施の形態1において、移報接点11aが閉じる動作条件は、親機11が中継機10から火災確定信号又は非常警報信号を受信することである。
【0020】
音声装置17は、親機11の移報接点11aに接続されており、例えば管理部2aの軒下に設置されている。なお、音声装置17は、有線又は無線で親機11に接続されている。音声装置17は、1つの地域Rに1台以上設けられていてもよいし、設けなくてもよい。音声装置17は、親機11の移報接点11aが閉じたときに警報を鳴動するものであり、例えば音圧が距離1mで110dBの電子式サイレンである。なお、音声装置17は、親機11から送信される信号によって自動で音声を鳴動するものであるが、手動で音声を鳴動することも可能である。
【0021】
なお、リモートコントローラ4の火災ボタン4a、非常ボタン4bが屋外で押下された場合、リモートコントローラ4から送信された非常警報信号は、非常警報信号が届く範囲にある中継機10が受信する。このため、親機11が中継機10から非常警報信号を受信したとき、リモートコントローラ4の非常ボタン4bを押下した人の住戸2の位置とは関係なく、リモートコントローラ4の非常ボタン4bが押下された場所に近い位置に設置された音声装置17が警報を鳴動する。
【0022】
ゲートウェイ12は、親機11が取得した火災警報信号、火災確定信号及び非常警報信号等において、プロトコル変換を行い、通信回線13を経由してサーバー14に火災警報信号、火災確定信号及び非常警報信号等を送信する。なお、ゲートウェイ12は、親機11に内蔵され、一体となっていてもよい。
【0023】
サーバー14は、端末用サーバー14aと固定電話用サーバー14bとを有している。また、サーバー14は後述する記憶手段25を有し、ユーザーテーブル、端末情報テーブル等の複数のテーブルを記憶している。サーバー14は、火災警報信号、火災確定信号、誤報確定信号及び非常警報信号等を受信すると、後述するメッセージテーブルから各信号に対応して記憶している文章に、所定の地域Rに関する情報に基づいて当該信号の発報元情報(名前等)を追記して、電子メールおよび音声メッセージの文章を作成し、記憶している送信先のあて先と共に端末用サーバー14a及び固定電話用サーバー14bに送信し、それぞれにメール送信指示、電話発信指示を出す。端末用サーバー14aは、サーバー14からのメール送信指示に基づいて、所定の地域R内の対象となる住人が所持する情報端末15に電子メールを送信するものである。ここで、情報端末15は、例えば携帯電話又はスマートフォン等であり、電子メールを受信する機能を有するものである。なお、端末用サーバー14aは、クラウドサーバーとしてもよい。また、火災確定信号は、火災入力アダプタ(図示せず)により自動火災報知設備(消防法により設置)から地域防災情報システム1に送信される信号を含む。
【0024】
固定電話用サーバー14bは、サーバー14からの電話発信指示に基づいて、ネットワークを介して、住戸2に設置された固定電話16に電話を掛けてサーバー14から送信されたメッセージを読み上げる。具体的には、固定電話用サーバー14bは、サーバー14にネットワーク等を介して接続されており、サーバー14から送信されたメッセージの文章を音声合成機によって音声メッセージに変換する。そして、固定電話用サーバー14bは、サーバー14から指定された所定の住戸2に設置された固定電話16に電話を掛ける。固定電話用サーバー14bは、住人が電話に出ると、変換された音声メッセージを再生する。なお、通信回線13とネットワークとは、同じネットワークでもよいし、別のネットワークでもよい。
【0025】
なお、端末用サーバー14aと固定電話用サーバー14bはサーバー14と一体としてもよい。また、端末用サーバー14aと固定電話用サーバー14bはサーバー14と別の場所にあってもよく、その場合、サーバー14と端末用サーバー14a、固定電話用サーバー14bは、通信回線13を介して接続されていてもよいし、異なるネットワークを介して接続されていてもよい。
【0026】
なお、固定電話用サーバー14bは、火災確定信号を受信したときのみ、固定電話に電話を掛けてメッセージを読み上げてもよい。また、固定電話用サーバー14bは、非常警報信号を受信したときのみ、固定電話に電話を掛けてメッセージを読み上げてもよい。これにより、仮に火災警報信号が誤報であった場合に、住人に余計な不安感を与えずに済む。この設定は、例えば後述するメッセージテーブルにて行うことができる。
【0027】
また、サーバー14は、火災警報信号を受信したとき、固定電話用サーバー14bに住宅用火災警報器3が作動した住戸2に極めて近い住戸2の固定電話にのみ電話を掛けてメッセージを読み上げるように指示してもよい。これにより、共助ではなく避難誘導が主目的とされる住人に対し、避難誘導を促進することができる。なお、共助ではなく避難誘導が主目的とされる住人とは、例えば情報端末15を所持していない住人であり、例えば高齢者である。また、サーバー14は、固定電話用サーバー14bに対し、火災確定信号又は非常警報信号を受信したときに電話を掛ける住戸2の範囲を、火災警報信号を受信したときに電話を掛ける住戸2の範囲より広げてもよい。これにより、火災が確定した場合又は非常状態が確定した場合に、広範囲の住人に知らせることができる。
【0028】
なお、サーバー14は、火災警報信号を受信してから、所定時間火災確定信号又は誤報確定信号を受信しなかった場合、火災確定と判断するようにしてもよい。これにより、火災時に何らかの理由で火災確定操作が行われなかった場合でも、火災として対処することができる。
【0029】
図3及び
図4は、本発明の実施の形態1に係る地域防災情報システム1における災害監視に関するシステム構成を示す模式図である。まず、災害監視装置105について説明する。本実施の形態1では、
図3及び
図4に示すように、地域防災情報システム1は、更に、災害監視装置105を備えている。災害監視装置105は、所定の地域Rに及ぶ自然災害を監視し、所定の地域Rに自然災害を及ぼすことが予測された場合、予測信号を送信するものである。所定の地域Rには、複数の住戸2が建っている。本実施の形態1では、災害監視装置105は、河川106の異常を監視する装置を含むものである。災害監視装置105は、例えば自治体等の管理者が有している。なお、河川106には、雨量計103と水位計104とが検出装置として設けられている。
【0030】
雨量計103は、河川106の上流側に設けられ、雨による降水量を計測するものである。そして、災害監視装置105は、雨量計103の計測結果に基づいて、河川106の異常を監視するものである。例えば、降水量が所定量より多ければ、河川106が氾濫する可能性が高いと判断される。ここで所定量とは、所定時間当たりの降水量である場合と、降り始めからの総雨量である場合とがあり、それらを総合的に判断するようにしてもよい。
【0031】
水位計104は、河川106に架けられた橋107に設けられ水位を計測するものである。そして、災害監視装置105は、水位計104の計測結果に基づいて、河川106の異常を監視するものである。水位計104は、橋107の欄干107aに設けられているが、橋107の異なる場所に設けられてもよいし、橋107以外に設けられてもよい。例えば、水位が所定値より高ければ、河川106が氾濫する可能性が高いと判断される。さらに、水位の上昇率が高い場合に河川106が氾濫する危険性が高いと判断してもよい。ここで、本実施の形態1では、雨量計103と水位計104とを併用することによって、河川106の異常、例えば河川106の氾濫を高精度に監視しているが、いずれか一方を用いてもよいし、そのほかの検出装置を用いてもよい。また、河川106の氾濫に対する災害監視について示したが、その他の災害、例えば崖崩れ、地震、津波などに対しても、適宜センサ等を設け、同様に対応することができる。また、災害監視については、公共の情報を基に本実施の形態のシステムを使用してもよい。さらに、監視対象とする災害は、一つの地域Rに一つと限定せず、複数の災害を監視するようにしてもよく、この場合、災害によって避難場所を変更することができる。例えば、河川の氾濫や津波等の水害が発生する虞がある場合には、周囲より高い場所が避難場所になるし、崖崩れが発生する虞がある場合には、山や崖から離れた場所が避難場所となる。
【0032】
サーバー14は、
図2、4に示すように、記憶手段25と送信手段24とを有している。記憶手段25は、複数のテーブルを記憶するものであり、例えばユーザーテーブル、端末情報テーブル、メッセージテーブル、避難場所テーブル及び避難完了リストを記憶している。ここで、
図5〜
図10を用いて、記憶手段25が記憶する各テーブル及び避難完了リストについて説明する。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態1におけるユーザーテーブルの一例を示す図である。
図5に示すように、ユーザーテーブルは、住戸2の名称(○○宅等)、住戸2に居住する住人の氏名、住戸2に居住する住人のメールアドレス、住戸2の電話番号、住戸2の住所、住戸2の緯度及び経度が対応付けされたものである。ここで、住戸2に複数の住人が居住している場合は、それぞれの住人の氏名と、それぞれの住人が所有する情報端末15のメールアドレスが、ユーザーテーブルに登録されている。本実施の形態1では、電子メールの送信先が住戸単位で設定されるだけではなく、住人単位でも設定される。これにより、後述する
図9に示す避難完了リストを利用することにより、各住人の避難先が迅速に認識されるため、例えば指定されている避難場所とは異なる避難場所に避難した家族等を探すことが容易となる。サーバー14は、ユーザーテーブルを参照することによって、住戸2の住人の名称に基づいて、メールアドレス、電話番号及び住所等を読み出すことができる。なお、本実施の形態1では、全ての住人が情報端末15を所有している場合について例示しているが、一部の住人が情報端末15を所有していてもよい。この場合、情報端末15を所有していない住人に対しては、固定電話16を使用して、避難情報が伝えられる。
【0034】
図6は、本発明の実施の形態1における端末情報テーブルの一例を示す図である。
図6に示すように、端末情報テーブルは、ID(端末番号)、端末種別及び住戸2の住人の名称が対応付けされたものである。IDは、例えば4桁の数字である。端末種別は、例えば屋外警報装置6又はリモートコントローラ4である。サーバー14は、端末情報テーブルを参照することによって、IDに基づいて、住戸2の住人の名称を読み出すことができる。
【0035】
図7は、本発明の実施の形態1におけるメッセージテーブルの一例を示す図である。
図7に示すように、メッセージテーブルは、警報信号、題名、電子メール用メッセージ及び音声用メッセージが対応づけされたものである。警報信号は、例えば警報器(住宅用火災警報器3)作動及び災害の予測信号である。警報器作動時の信号は、火災警報信号である。予測信号は、所定の地域Rに自然災害を及ぼすことが予測された場合に送信される信号である。題名は、送信される電子メールの題名として表示されるものである。
【0036】
電子メール用メッセージは、住戸2の住人の情報端末15に送信される電子メールに記載されるメッセージである。音声用メッセージは、住戸2の固定電話16に読み上げられるメッセージである。警報器作動によって火災警報信号が送信されたとき(一次通報)の電子メール用メッセージ及び音声用メッセージは、即時火災の有無の確認を促すものである。また、電子メール用メッセージ及び音声用メッセージは、火災が発生した住戸2に応じた避難場所に避難することを促すものである。即ち、電子メール用メッセージ及び音声用メッセージは、避難場所の情報を伝達する。ここで、避難場所の情報とは、避難場所の名称、例えば広域避難所として指定された公園又は小学校等の名称と、避難場所の地図(WebのURL等)等である。また、電子メール用メッセージには、避難が完了したことを確定する確定用リンク(避難完了のURL)が含まれる。ここで、避難完了の操作は、複数の避難場所が指定された場合にいずれかを選択することによって行われてもよいし、情報端末15の位置情報に基づいて行われるものであってもよい。なお、避難場所の情報等は、予測信号が通知された際にも掲載される。
【0037】
予測信号が送信されたときの電子メール用メッセージ及び音声用メッセージは、災害の種類に応じた避難場所に避難することを促すものである。この場合も、電子メール用メッセージ及び音声用メッセージは、避難場所の情報を伝達する。避難場所の情報とは、避難場所の名称、例えば広域避難所として指定された公園又は小学校等の名称と、避難場所の地図(WebのURL等)等である。また、電子メール用メッセージには、避難が完了したことを確定する確定用リンク(避難完了のURL)が含まれる。
なお、電子メール用メッセージには、住人が外出して自宅の住戸2にいない場合に選択する外出中のURLが含まれていてもよい。そうすることで、警報器作動に対する電子メール用メッセージでは、自宅に不在で無事であることが分かると共に、火災確認できないことがサーバー14に情報として伝達されるので、サーバー14は、警報器作動に対する電子メール用メッセージの送信先を追加する等の措置をとることができる。また、災害の予測信号に対する電子メール用メッセージでは、サーバー14が所在場所に応じた避難場所を再検索し、その結果を電子メールに記載して再送信するようにすることができる。このとき、住人の所在場所は、住人の保有する情報端末15が有するGPS等の位置情報検索機能を使用してもよいし、住人が情報端末15を操作して所在場所の町名を入力してもよいし、リストから選択してもよい。このとき、所在場所が、地域Rの外である場合には、その地域の情報に従うように促してもよいし、サーバー14が記憶する避難完了リストに地域R外に所在していることを記憶してもよい。そうすることで、指定の避難場所に避難できず、他の避難場所に避難している住人についても無事であることを速やかに確認することができる。
【0038】
図8は、本発明の実施の形態1における避難場所テーブルの一例を示す図である。
図8に示すように、避難場所テーブルは、町名と、火災警報信号又は予測信号と、避難場所とが対応付けされたものである。
図8では、火災警報信号又は予測信号の欄として、火災、災害の種類の欄が設けられている。信号が火災警報信号の場合、火災の欄が参照され、信号が予測信号の場合、洪水、崖崩れ等の災害の欄が参照される。火災警報信号の場合の避難場所としては、例えば住戸2から最も近い場所の避難所又は最もアクセスし易い避難所等が設定される。予測信号の場合の避難場所としては、例えば河川106から遠く、周囲より高い場所が避難場所として設定される。また、自然災害として、山岳の崖崩れ等が挙げられるが、この場合、例えば山岳のふもとから遠い場所が避難場所として設定される。また、情報端末15の位置検出機能又は中継機10との通信を介したリモートコントローラ4の位置検出機能を用いる場合、避難場所テーブルを用いることによって、滞在場所の町名に応じた避難場所を認識することができる。
【0039】
図9は、本発明の実施の形態1における避難完了リストの一例を示す図である。
図9に示すように、避難完了リストは、住人の氏名と避難場所とが紐付けて登録されるリストである。避難完了リストは、確定用リンクが操作されたときに、住人の氏名と避難場所とが登録される。本実施の形態1において、避難完了リストは、住戸2単位ではなく、住人単位で登録される。これにより、各住人の避難先が迅速に認識されるため、例えば指定されている避難場所とは異なる避難場所に避難した家族等を探すことが容易となる。なお、登録時には、操作用URLより住人自身が必要事項を記入、登録してもよいし、GPS等の機能を利用することにより、自動的に避難した場所を算出してもよい。避難完了リストは、救助者等が所持する情報端末15からも閲覧することができる。これにより、救助者等は、避難が完了した住人が、いずれの避難場所に避難しているかを瞬時に把握することができる。ここでいう避難完了とは、当該住人が避難場所に到着したことを示す。また、同姓同名の住人が存在する場合に区別がつくように、氏名以外の情報も同時に登録させるようにしてもよい。氏名以外の情報とは、例えばメールアドレスなど、住人同士で共通しない情報とすればよい。
【0040】
なお、サーバー14は、Web上の地図にアクセスして、受信した火災警報信号等の端末IDと端末情報テーブルとから設置ユーザーを特定すると共に、ユーザーテーブルに登録された設置ユーザー(住所)の緯度及び経度に基づいて、警報発生場所(発報元)を特定する。
【0041】
送信手段24は、火災警報信号又は予測信号を受信したとき、住戸2の住人が所持する情報端末15に、記憶手段25が記憶する避難場所テーブルから読み出された避難場所の情報を送信するものである。また、送信手段24は、住戸2に設置された固定電話16に電話を掛けて、記憶手段25が記憶する避難場所テーブルから読み出された避難場所の情報を読み上げるものである。
【0042】
次に、サーバー14の動作について説明する。送信手段24は、予測信号等の信号を受信したとき、避難場所テーブルから、発生する恐れのある火災、災害の種類に対応する町名を読み出す。次に、送信手段24は、避難場所テーブルから、町名及び火災、災害の種類に対応する避難場所を読み出す。そして、送信手段24は、メッセージテーブルを用いて、火災警報信号、火災確定信号又は予測信号に対応する電子メール用メッセージを読み出し、避難場所の情報等を付加してメッセージを作成する。例えば、送信手段24が受信した信号が予測信号である場合、「[町名]の近くで[災害の種類]が発生する恐れがあります。直ちに[避難場所]に避難してください。避難場所:[避難場所のURL] 避難完了報告:[避難完了のURL]」となる。ここで、[避難場所]は、避難場所テーブルから読み出されたものである。避難場所のURLは、Webで閲覧可能な避難場所の地図等である。また、避難完了のURLとは、確定用リンクである。更に、送信手段24は、ユーザーテーブルから町名に対応する住所に住戸2を有する住人のメールアドレスを読み出し、電子メールで住人の情報端末15に作成したメッセージを送信する。なお、送信手段24は、固定電話16に対し音声通知を行う。音声通知は、例えば情報端末15を所有していない世帯に対し行われる。
なお、サーバー14は、ユーザーテーブルにおいて登録されている住所だけでなく、住人が所有する情報端末15の位置情報(GPS機能等を利用)や、リモートコントローラ4の位置情報(屋外警報装置6や中継機10を用いて位置を算出)に基づいて、災害発生の可能性がある地域Rに滞在する住人に対して避難を促す電子メールを送信してもよい。
また、電子メール用メッセージには、住人が外出して自宅の住戸2にいない場合に選択する外出中のURLが含まれていてもよい。そうすることで、サーバー14が所在場所に応じた避難場所を再検索し、その結果を電子メールに記載して再送信するようにすることができる。このとき、住人の所在場所は、住人の保有する情報端末15が有するGPS等の位置情報検索機能を使用してもよいし、住人が情報端末15を操作して所在場所の町名を入力してもよいし、リストから選択してもよい。このとき、所在場所が、地域Rの外である場合には、その地域の情報に従うように促してもよいし、サーバー14が記憶する避難完了リストに地域R外に所在していることを記憶してもよい。
【0043】
電子メールを受信した住人は、電子メールを閲覧することによって、避難場所を認識することができる。また、住人が、確定用リンクをクリックすると、サーバー14は、避難完了リストに、確定用リンクを操作した住人の名称と避難場所とを登録する。
なお、火災警報信号又は火災確定信号の場合、端末種別テーブルを利用して、屋外警報装置6または、リモートコントローラ4のIDから火災発生場所を特定し、ユーザーテーブルを利用して、火災発生場所の緯度、経度に基づき火災発生場所からの距離により避難誘導する住人や避難場所を判断してもよい。また、火災警報信号又は火災確定信号の場合、近隣の住戸2の住人に対しては共助を求める内容の電子メールが送信されるため、この電子メールに避難誘導する内容の文章を加え、避難場所と避難完了報告に関する操作を可能としてもよい。
【0044】
本実施の形態1によれば、サーバー14が、火災警報信号又は予測信号を受信したとき、避難場所テーブルから火災警報信号、火災確定信号又は予測信号に応じた避難場所を読み出し、避難場所の情報を送信する。このため、地域R内の住人は、火災及び自然災害毎に適した避難場所を認識することができる。また、避難場所の情報として、避難場所及び案内を示すWEB地図が表示されている場合、避難場所を予め記憶していなくても、WEB地図の案内機能の指示に従うことによって、避難場所に確実に避難することができる。また、本実施の形態1では、火災の場合と自然災害の場合とで、発生時の対応と、避難勧告の規模とが区別されている。発生時の対応として、火災の場合は共助及び避難のいずれもが実施されるのに対し、自然災害の場合は避難が最優先される。また、避難勧告の規模として、火災の場合は近隣が優先されるのに対し、自然災害の場合は地域全体に実施される。これにより、火災及び自然災害のいずれにおいても、適切な対応をとることができる。
【0045】
また、サーバー14は、避難場所の情報と共に、避難が完了したことを確定する確定用リンクを送信し、確定用リンクが操作されたときに、住戸2の住人の名称と避難場所とが避難完了リストに登録される。救助者等が避難完了リストを閲覧することによって、安否確認を迅速に行うことができ、住人がいずれの避難場所に避難したかを検索することができる。
【0046】
なお、災害として、地震、津波、大雨、洪水、土砂崩れ等が想定されるが、地域防災情報システム1は、いずれの災害にも適用することができる。また、避難場所としては、学校、公園等の広場、高台等が挙げられる。なお、本実施の形態1において、避難場所は、避難場所テーブルとして記憶手段25に記憶されているが、ユーザーテーブルに付加して記憶されてもよい。この場合、災害毎に避難場所が記憶されてもよいし、居住地域毎に避難場所が記憶されてもよい。
また、本実施の形態1では、火災警報信号、火災確定信号又は予測信号に基づき電子メールを送信する構成となっているが、これに代えて対象となる住人の情報端末15に専用のアプリが立ち上がるようにしてもよい。専用のアプリであれば操作方法が一目で分かり、使用方法の訓練が不足していても操作することが容易である。
【0047】
火災や災害が発生した場合、適切なタイミングで適切な場所に避難することは、人命に直結する重要事項である。洪水や崖崩れといった災害の場合、被災地域の住人が「避難した方がよいかな?」と感じたときには手遅れとなるケースが多い。
また、住人が避難場所と認識している場所が全ての災害に対応しているとは限らない。例えば、火災や地震が発生した場合の避難場所は、周囲に建物がなく開けた場所が安全であり適所となり、洪水や津波が発生した場合の避難場所は、高所が安全であり適所となる。さらに、大雨により崖崩れが発生した場合の避難場所は、山や崖から離れた場所となる。これらの災害は、単独で発生する場合もあれば、複合的に発生する場合もあり、住人がそれぞれ状況を判断して正しい避難場所を選択することは、困難であるといえる。誤った判断による二次災害(避難後に災害に巻き込まれること)の発生を避けるためには、地域全体の状況を把握した上で、適切なタイミングで適切な避難場所を住人ひとりひとりに通知することが重要である。
本実施の形態1の地域防災情報システムでは、様々な災害に対し、災害毎に、または、複合的に、予測段階(火災は発生後速やかに通知)で、住人ひとりひとりが保有する情報端末15に電子メールが送信される(情報端末15を保有しない住戸2には固定電話16へ音声通知)ため、二次災害の発生を避けることができる。