【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によると、本発明は、医療用薬剤の保管及び送達用使い捨てカセットを提供し、カセットは、
医療用薬剤を格納するカートリッジと、
廃液及び/又は廃ガスを受けとるように配置された廃棄物貯蔵器と、
医療用薬剤を送達するように配置された、注射針又は注射針を取り付けるための注射針取付インターフェイスと、
第1位置と第2位置の間を移動可能であるバルブブロックであって、第1位置は、カートリッジから注射針又は注射針取付インターフェイスへの流れを防止しながら、カートリッジと廃棄物貯蔵器の間の流路を確立し、第2位置は、カートリッジから廃棄物貯蔵器への流体の流れを防止しながら、カートリッジと注射針又は注射針取付インターフェイスとの間の流路を確立する、バルブブロックと
を備え、
カートリッジ、廃棄物貯蔵器、バルブブロック及び注射針又は注射針取付インターフェイスの少なくとも一部は、カセットハウジングの内部に配置されており、バルブブロックは、カセットを操作している使用者がカセットハウジングの内部に配置された部品と直接接触することなしに、第1位置と第2位置との間を移動するように操作可能である。
【0008】
本発明は、医療用薬剤の保管及び送達用の使い捨てカセットに関する。従って、カセットは、医療用薬剤を格納して製造及び販売され、それ故に、医療用薬剤は、医療用薬剤を患者に送達するときまでカセットの中に保管されている。そして、カセットの内部に格納されている医療用薬剤は患者に送達され、その後、カセットは処分される。
【0009】
使い捨てカセットは、カートリッジと、廃棄物貯蔵器と、注射針又は注射針取付インターフェイスと、バルブブロックとを備え、それらの全ては少なくとも一部分がカセットハウジングの内部に配置されている。本文脈において、用語「ハウジング(housing)」は、カセットの内部の空洞を画定し、当該空洞内に配置された多数の部品を実質的に内包する実質的に閉じた部分を意味すると解釈されるべきである。従って、カセットハウジングは、カートリッジと、廃棄物貯蔵器と、バルブブロックと、注射針又は注射針取付インターフェイスの少なくとも一部とを内包し、カートリッジを操作する使用者は、注射針を使用して医療用薬剤が送達されることを許容するためにカセットハウジングから突出する位置にされ得る注射針を除いて、それらの部品と容易に接触できない。
【0010】
カートリッジは、カセットを使用して保管され送達される医療用薬剤を格納する。
【0011】
廃棄物貯蔵器は、廃液及び/又は廃ガスを受容するように配置されている。本文脈において、用語「廃液(waste liquid)」及び「廃ガス(waste gas)」は、患者に送達されず、処分されるべき液体又は気体を意味すると解釈されるべきである。これは、例えば、医療用薬剤の送達前に実行された空打ちの結果生じた気体及び/又は液体を含み得る。そのような廃液及び/又は廃ガスは、毒性又はその他の危険があり得る。従って、廃液及び/又は廃ガスは、制御され安全な方法で処分される必要があるだろう。従って、廃液及び/又は廃ガスがカセットハウジングを離れることと、廃液及び/又は廃ガスがカセットを操作する使用者に接触することとを防ぐために、廃棄物貯蔵器がカセットハウジングの内部に配置されることは有利である。更には、廃棄物貯蔵器の中に格納された廃液及び/又は廃ガスを格納するカセットは、カセットを使用した後に、安全なカセットの処分を実行可能な場所に、安全な方法で輸送され得る。
【0012】
注射針は、医療用薬剤を送達するように配置されている。従って、カセットが医療用薬剤を送達するために操作されるとき、注射針は注射部位に配置され、薬剤は注射部位に注射針を介して送達される。注射針は、カセットに固定されて取り付けられてもよい。代替的には、注射針は、取り外し可能であってもよい。この場合、カセットは、注射針なしに保管されてもよく、注射針は、カセットの内部に格納されている医療用薬剤を送達するために、カセットを操作することが望ましいとき、コネクタ又はカセットの注射針取付インターフェイスに取り付けられてもよい。注射針は、チューブを介して注射針取付インターフェイスに取り付けられた灌流針の形式であってもよいことに留意されたい。この場合、灌流針は、カセットハウジングから一定距離離間して配置されてもよいが、チューブを介してカセットハウジングに流体的に接続されるであろう。ある場合では、そのようなチューブ接続は、薬剤製品の患者組織への注射用の針から離間したその他の貫通接続、例えば、専用の針の使用と置換され得る(例えばSmiths Medical製の)留置ポート(port-a-Cath)のような、直接静脈アクセス用の留置カテーテルへの接続で終わってもよい。
【0013】
バルブブロックは、第1位置と第2位置の間を移動可能である。第1位置は、カートリッジから注射針への流れを防止しながらカートリッジと廃棄物貯蔵器の間の流路を確立する。従って、バルブブロックが第1位置にあるとき、廃液及び/又は廃ガスは、カートリッジから廃棄物貯蔵器まで、確立された流路を介して輸送され得る。同時に、カートリッジから注射針への流体の流れが防がれているため、いかなる流体又は気体が注射針を介してカセットを離れることをも防ぐ。従って、バルブブロックは、好ましくは、空打ちの間、第1位置にあってもよい。
【0014】
第2位置は、カートリッジから廃棄物貯蔵器までの流れを防止しながらカートリッジと注射針の間の流路を確立する。従って、バルブブロックが第2位置にあるとき、医療用薬剤は、カートリッジから、確立された流路及び注射針を介して送達され得る。同時に、カートリッジから廃棄物貯蔵器までの流れが防止されているため、医療用薬剤の服用量の全部が、注射器を介して送達される。従って、バルブブロックは、好ましくは、医療用薬剤を送達又は注射する間に第2位置にあってもよい。
【0015】
バルブブロックは、カセットを操作している使用者がカセットハウジングの内部に配置された部品と直接接触することなしに、第1位置と第2位置との間を移動させられるように操作可能である。従って、カセットを操作している使用者は、カセットハウジングの内部に配置された部品を物理的に及び直接的に取り扱う必要はなくなるであろう。例えば、使用者は、バルブブロックを第1位置と第2位置との間を手動で移動させる必要がなくなる。実際、バルブブロックは、例えば、カセットハウジングの外側に配置された操作機構を用いて、間接的に操作されてもよい。代替的には、カセットハウジングの内部に配置された他の部品がカセットの操作中に移動させられたとき、自動で操作されてもよい。他の代替的には、例えば、カセットハウジングの内側に配置された磁性材料の操作と協働するカセットハウジングの外側に配置された可動式磁石を使用して、又は、カセットハウジングの内部にワイヤレスに操作信号を送信することで、バルブブロックは、接触のない方法で操作され得る。使用者がカセットハウジングの内部に配置された部品に直接接触しないという事実は、使用者が、カセットを使用して保存及び送達される医療用薬剤又は蒸発気と直接接触する危険を大きく減少させる。
【0016】
例えば、バルブブロックは、カセットハウジングを開く又は入る必要なしに、第1位置と第2位置の間を移動するように操作可能であってもよい。この実施形態によれば、カセットを操作する使用者は、バルブブロックが第1及び第2位置の間で移動するように、バルブブロックを操作するために、カセットハウジングを開く又は接近する必要がない。
【0017】
使い捨てカセットは、カセットハウジングの外部に配置された操作機構を更に備えており、前記操作機構は、操作機構を操作することでバルブブロックが第1位置と第2位置との間を移動するように、バルブブロックと接続されている。この実施形態によると、バルブブロックは、操作機構を操作することで操作され得る。操作機構がカセットハウジングの外部に配置されているため、カセットを操作している使用者がカセットハウジングの内部に配置された部品と直接接触し、カセットハウジングを開く又はカセットハウジングに入る必要なく、バルブブロックは操作され得る。
【0018】
バルブブロックは、医療用薬剤を送達するために、カセットの操作中、第1位置と第2位置の間を自動で移動するように配置されてもよい。この実施形態によれば、バルブブロックは、カセットを操作している使用者がバルブブロックを能動的に及び別個に操作することなしに操作され得る。むしろバルブブロックは、医療用薬剤を送達させるために、カセットの操作の必然的な結果として、カセットの操作と同時に操作される。これは、カセットを操作する使用者がカセットハウジングの内部に配置された部品に接触しないことをも効率よく保証する。
【0019】
この文脈において、用語「医療用薬剤を送達するためにカセットを操作すること(operation of the cassette in order to cause medical drug to be delivered)」は、医療用薬剤の実際の送達又は注射のみに渡ると制限されるべきではなく、広い意味で解釈されるべきである。むしろ、カセットに保管された医療用薬剤を送達することが望ましいときに行われる全てのプロセスに渡ると解釈されるべきである。薬剤の実際の送達又は注射から離れて、そのようなプロセスは、例えば、注射用カセットを用意すること、カセットのシールを破ること、医療用薬剤の再構築、注射針を注射部位に移動させること等を含む。
【0020】
この実施形態によれば、バルブブロックの第1位置と第2位置の間の移動は、カセットハウジングの内部に配置された他の部品の移動によって引き起こされてもよく、他の部品の移動は、前述したステップを可能であれば含む、送達プロセスの一部として実行される。それによって、バルブブロックの第1と第2位置の間の移動は送達プロセスと同調することが更に保証される。
【0021】
バルブブロックは、圧縮可能なばねを備えていてもよく、バルブブロックは、前記ばねに蓄えられているエネルギが解放されたとき、第1位置から第2位置へ移動させられてもよい。この実施形態によれば、カセットを製造している間に、エネルギは、圧縮可能なばねに蓄えられる。従って、カセットの保管の間、圧縮可能なばねは負荷下又はエネルギを与えられた状態であり、バルブブロックは、好ましくは第1位置にある。送達プロセスの間の適切な時点において、ばねに蓄えられているエネルギは解放され、それによって、バルブブロックは第2位置に移動し、カートリッジと注射針との間の流路が確立される。ばねに蓄えられているエネルギの解放は、例えば、解放機構を作動させるカセットハウジングの内側を移動する部分によって引き起こされる
【0022】
廃棄物貯蔵器は、柔軟な壁を備えていてもよい。本実施形態によれば、廃棄物貯蔵器は、廃液及び/又は廃ガスが廃棄物貯蔵器に受容されたとき、膨張可能であってもよい。廃棄物貯蔵器は、例えば鞄型であってもよい。
【0023】
廃棄物貯蔵器は、廃液及び/又は廃ガスが廃棄物貯蔵器から離れることを防止しながら、廃液及び/又は廃ガスが、バルブブロックを介して、廃棄物貯蔵器に流入することを許容する、逆止弁を備えていてもよい。本実施形態によれば、廃液及び/廃ガスが廃棄物貯蔵器に一度受容されると、廃液及び/又は廃ガスが廃棄物貯蔵器から離れることは、効率よく防止される。従って、廃液及び/又は廃ガスは、効率よく廃棄物貯蔵器に格納され、廃液及び/又は廃ガスがカセットから漏れ出す危険性は最小化する。更に、注射針を介した廃液及び/又は廃ガスの偶発的な注射の危険も最小化する。
【0024】
逆止弁は、例えば、バネ付勢されていてもよい。この場合、逆止弁を開き、廃液及び/又は廃ガスがバルブブロックを介して廃棄物貯蔵器に流入することを許容するために、バルブブロックに付加されている圧力は、逆止弁に働くバネの力に打ち勝つのに十分である必要がある。
【0025】
代替的に又は追加的に、疎水性部材は、廃棄物貯蔵器の入口に配置されていてもよい。この場合、疎水性部材は、液体と接触したときに膨張する種類であってもよい。前記部材が膨張するとき、前記部材は、廃棄物貯蔵器の入口を遮断し、それによって、更なる液体及び/又は気体の廃棄物貯蔵器への流入は防止される。これには、以下の方法が使用されてもよい。医療用薬剤の送達の前に空打ちが実行されたとき、医療用薬剤の服用量の全てが送達されることを保証するために液体医療用薬剤が廃棄物貯蔵器へと輸送されることを防止しながら、気体又は蒸発気を廃棄物貯蔵器へと向かわせることは望ましいだろう。バルブブロックは、最初に第1位置に位置していてもよく、カートリッジと廃棄物貯蔵器との間の流路を確立する。その後、空打ちが実行され、気体が廃棄物貯蔵器へと輸送される。カートリッジとバルブブロックに存在する全ての気体が廃棄物貯蔵器へと移動し終わるとすぐに、液体薬剤は、疎水性部材に到達する。その結果、前記部材は、膨張し、液体薬剤が廃棄物貯蔵器へと流入することを防止する。これは、カートリッジ内部の圧力を更に増加させ、当該圧力は、例えば、プランジャ押下力及び/又は液体が疎水性部材にいつ接触したかの自動的なフィードバックをこれ故に提供する駆動モータ電流を計測することを通して検出される。その後、バルブブロックは、カートリッジと注射針との間の流路を確立する第2位置に移動させられ、カセットは注射針を介して医療用薬剤を送達する準備ができる。
【0026】
代替的には、空打ちの完了は、他の方法によって検出されてもよい。例えば、カセットを操作している使用者は、カセットの中を目視検査してもよく、液体薬剤がバルブブロックに到達したとき、空打ちが完了したことが確認される。
【0027】
他の代替的には、適切な空打ちは、他の方法によって保証されてもよく、それによって、カセットから空気を解放することを防止し、薬剤の最低量の廃棄を保証する。例えば、カートリッジの内側の1つ又は複数のプランジャの移動は、最適な空打ちを得るために、制限されてもよい。
【0028】
カセットは、好ましくは、空打ちの間において注射針が上方に向く位置に保持されてもよい。それによって、カセットの中に格納されている空気が、空打ちの間、せき止められず、その代わりに廃棄物貯蔵器に流れる。
【0029】
使い捨てカセットは、カセットハウジングの内部に取り付けられたスレッジを更に備えていてもよく、前記スレッジは、医療用薬剤を送達するために、カセットハウジングの内部に取り付けられた部品の移動を引き起こすように配置されている。スレッジは、好ましくは、注射針及び/又はカートリッジによって画定された方向のような、カセットによって画定された長軸方向に沿って移動するように取り付けられてもよい。スレッジは、カセットハウジングの内部でのスレッジの移動を制限するガイドレールの中に又は上に取り付けられてもよい。
【0030】
スレッジは、例えば、薬剤がカセットから送達されるときカセットハウジングの外側へ突出させるように注射針を前進させるために、注射針の移動を引き起こすように配置されていてもよい。代替的に又は追加的に、スレッジは、空打ちの実行及び/又は医療用薬剤の送達のために、カートリッジの内側に配置された1つ又は複数のプランジャの移動を引き起こすように配置されていてもよい。代替的に又は追加的に、スレッジは、薬剤の送達の前に医療用薬剤の再構築を引き起こすために、カートリッジを操作するように配置されていてもよい。
【0031】
スレッジは、ロック機構がロック位置にあるとき、例えば、カセットの使用後において、スレッジの更なる移動を防止するロック機構を備えていてもよい。この実施形態によれば、一度カセットが使用され、カートリッジに格納された医療用薬剤が送達されたとき、スレッジを移動させることは、もはや不可能である。これは、カセットの操作中にスレッジが移動した方向への更なる移動と、逆方向への移動、すなわち、カセットの操作中にスレッジが移動した方向の反対方向への移動とを含む。それによって、カートリッジに格納される医療用薬剤を送達する方法でスレッジを動かすことは不可能であるため、カセットが再使用可能な状態に再び置かれることを防止する。例えば、ロック機構は以下の方法で使用され得る。薬剤の送達が完了したとき、注射針はカセットハウジングの中へ引っ込むことができ、ロック機構は、ロック位置まで移動することができる。注射針は、その後にカセットハウジングの外側に移動することが防止され、それによって、カセットの再使用も防止される。
【0032】
スレッジは、第1位置と第2位置との間のバルブブロックの移動を引き起こすように更に配置されてもよい。この実施形態によると、医療用薬剤の送達を行うために、スレッジがカセットハウジングの内側へ移動するとき、バルブブロックは、第1位置と第2位置との間で自動的に切り替えられる。前述したように、このことは、バルブブロックの移動が送達プロセスのステップと同調することを許容することを保証する。
【0033】
カートリッジは、二室式であってもよく、医療用薬剤の有効成分の乾燥形態は、カートリッジの第1室に保管され、希釈剤は、第2室に保管されている。カートリッジは、有効成分と希釈剤を混合させ、それによって、カセットから送達されるべき再構築された医療用薬剤を得るために、有効成分と希釈剤を接触させるように操作可能であってもよい。そのような二室式カートリッジは、液体医療用薬剤の安定性が低いときに、一般的に使用される。この場合、薬剤が液体ではなく乾燥形態で保管されるとき、医療用薬剤の安定性は相当増加する。有効成分は、例えば、冷凍乾燥形態であってもよく、そうでなければ粉体又はパレット状であってもよい。
【0034】
この実施形態によると、カセットから医療用薬剤を送達することが望ましいとき、有効成分と希釈剤は、最初に集められ混合されるべきであり、それによって、医療用薬剤が液体状で再構築される。これは、シールを破壊すること又は二室式カートリッジの2つの室間の流体的な接続を確立することを含んでもよい。希釈剤は、有効成分を格納している第1室に吸い込まれてもよく、押し込まれてもよい。代替的には、有効成分は、希釈剤を格納している第2室に移動させられてもよい。この混合方法は、有効成分と希釈剤が集められたとき、有効成分と希釈剤をかき混ぜること及び/又は振り動かすことを含んでもよい。
【0035】
二室式カートリッジにおいて、薬剤が再構築されたとき、比較的多量の空気又は気体がカートリッジの中に存在していることがしばしばある。従って、医療用薬剤の再構築の後かつ再構築された医療用薬剤が送達される前に空打ちが実行されることは、非常に重要である。しかしながら、カートリッジに存在する空気又は気体は、毒性があるか、そうでなくても有害であり得る。この場合、空打ちから発生した空気又は気体がカセットハウジングの内側に格納され、及び、カセットを操作している使用者が当該空気又は気体と接触することを防ぐことは非常に重要である。前述したように、本発明によると、これは、空打ちがカセットハウジングの内部に配置された廃棄物貯蔵器に、バルブブロックを介して輸送されることを保証することによって得られる。本発明の第1の態様にかかるカセットは、二室式カートリッジと共に使用することに特に適している。
【0036】
使い捨てカセットは、前記取り外し可能な部分を更に備えていてもよく、当該取り外し可能な部分は、カセットの上に取り付けられているとき、カセットの操作を防止する、つまり、取り外し可能な部分が取り外されたとき、カセットの操作は許容され得る。取り外し可能な部分は完全に取り外し可能であってもよく、そうでなければ、一部取り外し可能であってもよい。後者の場合では、取り外し可能な部分の一部は、カセットハウジングから取り外されてもよく、一方で、取り外し可能な部分のその他の部分は、カセットハウジングに取り付けられたままであってもよい。本実施形態によると、取り外し可能な部分は、医療用薬剤を送達するためにカセットが操作可能である前に、一部又は全部、取り外される。これは、取り外し可能な部分がカセットから取り外されているかを単純に確認することで、カセットを操作している使用者に、カセットが既に使用可能かどうかを容易に検出することを許容する。それによって、同一のカートリッジを二度使用することを偶発的に試みる危険性は、相当に減少する。更に、使用者が、実際に意図するより前に新しいカセットを意図せず作動させることを回避し、更に、その使用の偶発的な試みの危険性は減少する。
【0037】
前記取り外し可能な部分は、例えば、シールの形式でもよく、前記シールは、保管の間、カセットが適切に密閉されることを保証し、カセットが医療用薬剤を送達するために操作されうる前に破られるべきである。
【0038】
医療用薬剤を送達するのにカセットを操作するために、カセットが注射装置に取り付けられるべきである場合、取り外し可能な部分がカセットに取り付けられている限り、取り外し可能な部分は、カセットが注射装置に取り付けられることを防止する。
【0039】
カセットハウジングの内側にこぼれた液体を格納するために、吸収剤は、カセットハウジングの内側に配置されてもよい。この実施形態において、液体が、カートリッジの内側に偶発的にこぼれた場合、吸収剤は、液体を吸収し、これにより、液体がカセットハウジングから離れることを防止し、カセットハウジングの内側に液体を効率的に格納する。従って、カセットを操作している使用者が毒性の又は有害な物質と接触する危険性は、最小化し、使用後にカセットが制御された方法で処分されるとき、そのような物質が適切に取り扱われることを保証する。
【0040】
使い捨てカセットは、注射装置のインターフェイス部と係合するように配置された、1つ又は複数のインターフェイス部を更に備えていてもよく、それによって、注射装置を使用したカセットの操作を許容する。この実施形態によれば、医療用薬剤が送達されることが望ましいとき、カセットは、再使用可能な注射装置に取り付けられる。カセットの操作及び医療用薬剤の送達は、注射装置を使用して制御される。医療用薬剤の送達が完了したとき、カセットは、注射装置から取り外され、適切な方法で処分される。注射装置は、そのとき、その他のカセットを受容する準備ができ、カセットに格納された医療用薬剤を送達する準備ができる。注射装置は、例えば、自動注射装置の形式であってもよい。
【0041】
第2の態様によると、本発明は、
本発明の第1の態様に係る使い捨てカセットを受容するように配置された空洞を画定し、使い捨てカセットを前記空洞に挿入し、又は前記空洞から取り外すことを許容する可動式蓋を備えるハウジングと、
前記空洞に配置された使い捨てカセットのバルブブロックを操作するように配置されたバルブ操作手段と、
医療用薬剤を送達するために、前記空洞に配置された使い捨てカセットのカートリッジと協働するように配置されたカートリッジ操作手段と、
を備える注射装置を提供する。
【0042】
本発明の第2の態様に係る注射装置は、本発明の第1の態様に係る使い捨てカセットを保持し、協働するように適合されている。注射装置は、好ましくは、再使用可能な注射装置である。従って、医療用薬剤の服用量を送達することが望ましいとき、例えば、本発明の第1の態様を参照して前述した方法で、注射装置(つまり、バルブ操作手段及びカートリッジ操作手段によって)を使用することによって、使い捨てカセットは、注射装置の空洞に配置され、カセットは操作される。これにより、使い捨てカセットに格納されている医療用薬剤は、送達される。最終的に、使い捨てカセットは、注射装置から取り除かれ、適切且つ安全な方法で処分される。注射装置は、その後、格納されている医療用薬剤を送達するために、新しい使い捨てカセットを受容する準備ができる。
【0043】
注射装置を使用して、使い捨てカセットを操作することは、前述したように、カセットを操作している使用者が、カセットに格納されている医療用薬剤から発生した液体又は気体と接触する危険性を更に減少させる。
【0044】
バルブ操作手段は、空洞の内側に配置された可動式スレッジを備えていてもよい。本発明の実施形態によれば、可動式スレッジは、カセットの操作中、注射装置の空洞の内側で移動する。可動式スレッジは、スレッジの移動によって、バルブブロックが第1と第2位置の間を移動するように、カセットハウジングの内側のバルブブロックと協働する。可動式スレッジは、例えば、カセットハウジングの外部に配置されたマニピュレータと協働するように配置されてもよい。この場合、バルブブロックは、第1と第2位置の間を、可動式スレッジを使用して、つまりマニピュレータによって機械的に移動する。
【0045】
可動式スレッジは、空洞に配置された使い捨てカセットの注射針を、退避位置と注射針が注射する準備のできる位置との間を移動するように更になっていてもよい。この実施形態によれば、可動式スレッジは、バルブブロックの操作と、注射針の移動を制御する。それによって、バルブブロックの操作と注射針の移動は同調する。
【0046】
注射装置は、バルブ操作手段及び/又はカートリッジ操作手段を操作するためのモータを更に備えていてもよい。これは、医療用薬剤が正確な方法、例えば実質的に一定のペースで送達されることを保証する。この場合、注射装置は、自動注射と呼ばれてもよい。
【0047】
第3の態様によると、本発明は、医療用薬剤の保管及び送達用使い捨てカセットの操作方法を提供し、前記カセットは、医療用薬剤を格納したカートリッジと、廃棄物貯蔵器と、注射針又は注射針取付インターフェイスと、カセットハウジングの内側に配置されたバルブブロックとを備えており、前記方法は、
カートリッジから注射針又は注射針取付インターフェイスへの流れを防止しながら、カートリッジと廃棄物貯蔵器の間の流路を確立する、第1位置にバルブブロックを配置するステップと、
空打ちを実行するためにカートリッジのプランジャを操作し、それにより液体及び/又は気体をカートリッジから廃棄物貯蔵器まで移動させるステップと、
カートリッジから廃棄物貯蔵器への流れを防止しながらカートリッジと注射針又は注射針取付インターフェイスとの間に流路を確立する第2位置に、カセットを操作している使用者がカセットハウジングの内部に配置された部品と直接接触することなく、バルブブロックを移動させ、それによって、カートリッジから注射針を通じた医療用薬剤の送達のためにカセットを準備するステップと
を備える。
【0048】
本発明の第1の態様と組み合わせて説明されたいかなる特徴も、本発明の第2又は第3の態様とも組み合わせ可能であることと、本発明の第2の態様と組み合わせて説明されたいかなる特徴も、本発明の第1又は第3の態様とも組み合わせ可能であることと、本発明の第3の態様と組み合わせて説明されたいかなる特徴も、本発明の第1又は第2の態様とも組み合わせ可能であることとを当業者は容易く認識するであろうことに留意されたい。
【0049】
本発明の第3の態様にかかる方法は、本発明の第1の態様にかかる使い捨てカセットの操作に非常に適している。使い捨てカセットは、好ましくは、以下の方法で操作される。
【0050】
最初に、バルブブロックは、第1位置に配置されており、それによって、カートリッジから注射針への流れを防止しながら、カートリッジと廃棄物貯蔵器との間のバルブブロックを介した流路が確立される。前記方法は、カセットに注射針を取り付けるステップを更に備えていてもよい。
【0051】
その後、カートリッジのプランジャは操作され、それによって、カートリッジに格納されている液体及び/又は気体をバルブブロックに向かう方向に押す。バルブブロックは、第1位置に配置されているため、それによって、液体及び/又は気体は、カートリッジから廃棄物貯蔵器へと輸送される。従って、空打ちが実行され、空打ちの結果生じた気体は、廃棄物貯蔵器に受容される。
【0052】
空打ちが完了したとき、バルブブロックは、第2位置へと移動し、それによって、カートリッジから廃棄物貯蔵器への流れを防止しながら、カートリッジと注射針との間の流路が確立される。カセットを操作している使用者がカセットハウジングの内側に配置されている部品と接触することなく、これは実行される。本発明の第1の態様を参照して前述されたように、カセットに保管されている医療用薬剤又は当該医療用薬剤の蒸発気と使用者が偶発的に接触する危険は、それによって最小化される。更に、毒性の又はその他有害な液体及び/又は気体がカセットから漏れ出す危険もまた、最小化される。
【0053】
バルブブロックが、第2位置に移動し終わったとき、カセットは、医療用薬剤を例えば注射の形式で送達する準備ができている。送達は、カートリッジのプランジャを操作することで実行されてもよい。
【0054】
カートリッジは、二室式カートリッジであってもよく、医療用薬剤の有効成分の乾燥形態がカートリッジの第1室に保管され、希釈剤がカートリッジの第2室に保管されている、前記方法は、
有効成分と希釈剤を接触させるステップと、
有効成分と希釈剤を混合し、それによりカセットから送達されるべき再構築された医療用薬剤を得るステップと
を更に備えてもよい。
【0055】
この実施形態によると、医療用薬剤は、カセットから医療用薬剤が送達される前、好ましくは医療用薬剤がカセットから送達される直前に再構築される。これは、本発明の第1の態様を参照して、既に詳細に説明してある。
【0056】
バルブブロックを移動させるステップは、カセットハウジングの外部に配置された操作機構を操作することを更に備え、前記操作機構は、バルブブロックに接続されている。代替的には、バルブブロックを移動させるステップは、医療用薬剤の注射用のカセットを用意するステップの間に、カセットハウジングの内側に配置された他の部品を移動させることの結果として自動的に実行される。これもまた、本発明の第1の態様を参照して、詳細に前述してある。
【0057】
本発明は、添付の図面を参照して更に詳細に説明されるであろう。