(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
APがアミノエチルピペラジン(AEP)を表し、Yがアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸及びオクタデカン二酸から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の半結晶ポリアミド。
AEP.6/11、AEP.9/11、AEP.10/11、AEP.12/11、AEP.6/12、AEP.9/12、AEP.10/12、AEP.12/12、AEP.10/11/12及びAEP.12/11/12から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の半結晶ポリアミド。
【発明の概要】
【0013】
本出願人は、少なくとも1つのモノマーが非対称のピペラジン型のジアミンと二酸との縮合から得られる、アミド単位を有するコポリアミドであって、半結晶であり、約150℃以下の融点(Tm
1)及び/又は約60℃以下のTgを有し、調製されるホットメルト接着剤が可撓性又は柔軟性、洗浄、とりわけ機械的洗浄に対する耐性、及び使い易さの特性を有することを可能にするコポリアミドを含む組成物を供給することにより、先行技術のさまざまな問題を解決した。
【0014】
本発明は、したがって、式AP.Yの二酸とジアミンとの縮合から生じる少なくとも1つのモノマーを含む半結晶ポリアミドに関し、ここで、
− APは、次式のピペラジン型の少なくとも1つの非対称のジアミンモノマーを表し:
式中、
R
1はH又は-Z
1−NH
2を表し、Z
1は、最大15個の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル又はアリールを表し、
R
2はH又は-Z
2−NH
2を表し、Z
2は、最大15個の炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル又はアリールを表し、
R
1及びR
2は互いに異なり、かつ
− Yは、脂肪酸の二量体及び/又は三量体を除く少なくとも1つのジカルボン酸を表し、
該半結晶ポリアミドは次の一般式(I):
AP.Y/(A)
m/(Pip.Y’)
n/(B.Y’’)
q(I)
を有し、式中、
− Aは長鎖脂肪族単位を有する少なくとも1つのポリアミドを表し、
− Pipはピペラジンを意味し、Y’は、脂肪酸の二量体又は三量体を除く少なくとも1つのジカルボン酸を表し、YとY’は同一であっても異なっていてもよく、
− Bは、とりわけ、少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオール又はポリアルキレンエーテルポリアミンから得られ、とりわけポリアルキレンエーテルジオール又はポリアルキレンエーテルジアミン、又はそれらの混合物から得られる、少なくとも1つのポリエーテル単位を表し、
− Y’’は、脂肪酸の二量体及び/又は三量体を除く少なくとも1つのジカルボン酸を表し、Y’’は、Y及び/又はY’と同一であっても異なっていてもよく、
− m、n及びq=0又は1であり、
該半結晶ポリアミドは、ISO規格11357−3:2013に準拠するDSCによって決定されて、約150℃以下、とりわけ約130℃以下、特に約120℃以下のTm
1、及び/又は約60℃以下、特に約50℃以下、とりわけ約40℃以下のTgを有する。
【0015】
本明細書の全体にわたり、用語ポリアミド(PA)は、ホモポリアミド又はコポリアミド、すなわちラクタム、アミノ酸及び/又は二酸とジアミンとの縮合生成物を意味する。
【0016】
ポリアミドの説明における用語「モノマー」とは、「繰り返し単位」の意味と解されるべきである。ポリアミドの繰り返し単位が二酸とジアミンとの組み合わせからなる事例は、特別な事例である。それはジアミンと二酸との組み合わせ、すなわち、モノマーに相当するジアミン.二酸の対(等モル量)であると見なされる。これは、個別に、二酸又はジアミンは、単独では重合するには不十分な1つの構造単位にすぎないという事実によって説明される。本発明に従ったポリアミドが、「コモノマー」と呼ばれる少なくとも2つの異なるモノマーを含む、すなわち 少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つのコモノマー(第1のモノマーとは異なるモノマー)とを含む場合には、それらはCOPAと略されるコポリアミドなどのコポリマーを含む。
【0017】
AP.Yに関して:
APは、ピペラジン型の非対称のジアミンモノマーを意味し、すなわち、ピペラジンは水素を有する環の単一の窒素原子のみを有する。
環の他の窒素原子は官能基Z
1NH
2又はZ
2NH
2で置換され、Z
1及びZ
2はアルキルを表す。
【0018】
用語「アルキル」は、本明細書の全体にわたり、直鎖状又は分岐状のアルキルを意味する。有利には、用語アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル並びにそれらの異性体を意味する。
【0019】
Z
1又はZ
2が最大15個の炭素原子を有するアルケン又はアルキンを表す場合は、本発明の範囲内にあるであろう。
【0020】
有利には、用語「シクロアルキル」は、シクロペンタン又はシクロヘキシルを意味する。
【0021】
有利には、用語「アリール」は、フェニル又はビフェニル又はナフタレンを意味する。
【0023】
用語「ジカルボン酸」は、4個及び18個の炭素原子を有する脂肪族酸又は脂環式酸を意味する。
【0024】
例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ブタン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられうる。
【0025】
有利には、カルボン酸は脂肪族であり、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸又はデカン二酸、ウンデカン二酸及びドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸又はオクタデカン二酸を表す。
【0026】
ピペラジン型の非対称のジアミンモノマーは、したがって、環のNH部分又はZ
1又はZ
2が担持する末端NH
2によって、二酸とランダムに反応しうる。
【0027】
この非対称性は、非対称性を伴った縮合生成物を与える。すなわち、縮合生成物は次の繰り返し単位:
又は
又は
又は
[式中、aは2から16までの整数を表す]
又はこれらの混合物で構成される。
【0028】
AP.Yは、したがって、カルボン酸Yのカルボン酸官能基とピペラジン型の非対称のジアミンAPのアミン官能基との重縮合反応から生じるアミド官能基を含む、ポリマーセグメントを意味する。
【0029】
長鎖脂肪族ポリアミドAに関して:
「A」は、次から選択されるモノマーの重合生成物を意味する:
− アミノ酸又はアミノカルボン酸型、好ましくはα,ω−アミノカルボン酸のモノマー;
− 置換されていてもよい、3個から18個の炭素原子を主環上に有する、ラクタム型のモノマー;
− 4個から36個の炭素原子、好ましくは4個から18個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンと、4個から36個の炭素原子、好ましくは4個から18個の炭素原子を有するジカルボン酸との反応から得られる「ジアミン.二酸」型のモノマー;及び
− それらの混合物であって、アミノ酸型のモノマーとラクタム型のモノマーの混合物の場合には異なる数の炭素を有するモノマーを用いた混合物。
【0030】
アミノ酸型のモノマー:
α,ω−アミノ酸の例としては、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸など、4個から18個の炭素原子を有するのもが挙げられる。
【0031】
ラクタム型のモノマー:
ラクタムの例としては、置換されていてもよい、3個から18個の炭素原子を主環上に有するものが挙げられうる。例えばβ,β−ジメチルプロピオラクタム、α,α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム(amylolactam)、ラクタム8とも呼ばれるカプリルラクタム、オエナントラクタム及びラクタム12とも呼ばれるラウリルラクタムが挙げられうる。
【0032】
ラクタム6とも呼ばれるカプロラクタム及びアミノカプロン酸は、アミノ酸又はアミノカルボン酸型のモノマー又はラクタム型のモノマーから除外される。
【0033】
「ジアミン.二酸」型のモノマー:
ジカルボン酸の例としては、Yについて定義したものと同一の二酸が挙げられうる。
【0034】
使用してよいジアミンの例としては、ピペラジン型のものに加えて、アリール及び/又は飽和環式でありうる、4個から36個の原子、好ましくは4個から18個の原子を有する脂肪族ジアミンが挙げられうる。例として、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5−ジアミノヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、ジアミンポリオール、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPMD)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、メタ−キシリレンジアミン、及びビス−p−アミノシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0035】
「ジアミン.二酸」型のモノマーの他の例としては、ヘキサメチレンジアミンと、C6からC18の二酸との縮合から生じるもの、とりわけ次のモノマーが挙げられうる:6.6、6.10、6.11、6.12、6.13、6.14、6.18。デカンジアミンとC6からC18の二酸との縮合から生じるモノマー、とりわけ次のものが挙げられうる:10.10、10.12、10.13、10.14、10.18。
【0036】
有利には、本発明に従って使用されるPAは、少なくとも部分的に生物由来の原料から得られる。
【0037】
用語「再生可能な原料供給源」又は「生物由来の原料」とは、生物由来の炭素又は再生可能な炭素供給源を含む材料を意味する。実際、化石原料から得られる材料とは異なり、再生可能な原料で構成される材料は14Cを含む。「再生可能な炭素供給源の含量」又は「生物由来炭素の含量」は、ASTM規格D6866(ASTM D6866−06)及びASTM規格D7026(ASTM D7026−04)を適用することにより決定される。
【0038】
再生可能なアミノ酸供給源の例としては、次のものが挙げられうる:例えばヒマシ油から生成される11−アミノウンデカン酸、例えばヒマシ油から生成される12−アミノドデカン酸、例えばオレイン酸のメタセシスによって得られるデセン酸から生成される10−アミノデカン酸、例えばオレイン酸から生成される9−アミノノナン酸。
【0039】
再生可能な二酸供給源の例としては、分子(Cx)中の炭素の数xに応じて、次のものが挙げられうる:
− C4:例えばグルコース由来のコハク酸;
− C6:例えばグルコース由来のアジピン酸;
− C7:ヒマシ油由来のヘプタン二酸;
− C9:例えばオレイン酸由来(オゾン分解)のアゼライン酸;
− C10:例えばヒマシ油由来のセバシン酸;
− C11:ヒマシ油由来のウンデカン二酸;
− C12:例えばドデカン酸=ラウリン酸のバイオ醗酵(リッチ油:キャベツヤシ及びココナツ油)に由来するドデカン二酸;
− C13:例えばセイヨウアブラナに見られるエルカ酸に由来(オゾン分解)するブラシル酸;
− C14:例えばミリスチン酸のバイオ醗酵(リッチ油:キャベツヤシ及びココナツ油)によるテトラデカン二酸。
【0040】
再生可能なジアミン供給源の例としては、分子(Cx)中の炭素の数xに応じて、次のものが挙げられうる:
− C4:コハク酸のアミノ化によって得られるブタンジアミン;
− C5:ペンタメチレンジアミン(リシン由来);
並びに上述の再生可能な二酸供給源のアミノ化によって得られるジアミンなど。
【0041】
有利には、Aにおける窒素原子あたりの平均炭素原子数は、6より大きく、特に9より大きい。
【0042】
Pip.Y’に関して:
Pipは、環の2つの窒素が水素を有し、したがって対称の特徴を有するピペラジンを意味する。
【0043】
Y’はYについて定義されたカルボン酸であり、さらには、YとY’は同一の二酸を表しても互いに異なる二酸を表してもよい。
【0044】
有利には、Y’はセバシン酸及びウンデカン二酸から選択される。
【0045】
ポリエーテル単位Bは、とりわけ次のような反応性末端を有するポリエーテル配列に相当しうる:
1)ポリアルキレンエーテルジオール(ポリエーテルジオール)と呼ばれる、脂肪族ジヒドロキシル化α−ωポリオキシアルキレン配列のシアンエチル化及び水素化によって得られる、ポリアルキレンエーテルポリアミンとも呼ばれる、ジアミン鎖端を有するポリオキシアルキレン配列。
2)ポリオキシアルキレンエーテルポリオール(又はポリアルキレンエーテルポリオール)、とりわけ、ポリエーテルジオールとも呼ばれるポリアルキレンエーテルジオール。
【0046】
有利には、本発明の組成物のポリアルキレンエーテルポリオールは、PPG、PTMG又はPEG−PPG混合物から選択され、ポリアルキレンエーテルポリアミンは、主にPPG又はPTMGブロックを有するElastamine(登録商標)又はJeffamine(登録商標)から選択される。
【0047】
Y’’は、Y又はY’について定義されるカルボン酸である。Y、Y’及びY’’はすべて、同一の二酸を表してもよく、又はY、Y’及びY’’の1つが、同一である他の2つとは異なる二酸を表してもよく、又はY、Y’及びY’’は互いに異なっていてもよい。
【0048】
Pip.Y’は、したがって、カルボン酸Yのカルボン酸官能基とピペラジンPipのアミン官能基との重縮合反応から生じるアミド官能基を有するポリマーセグメントを意味する。
【0049】
m、n及びqに関して:
m、n及びqは、各々、互いに独立して、0又は1を表しうる。
【0050】
したがって、m、n及びqは、それが結合するポリマーセグメントの有無のみを表す。
【0051】
よって、例えば、(Pip.Y’)
nにおいてn=0の場合、これはPip.Y’が存在しないことを示し、n=1の場合には、Pip.Y’が存在することを示し、上記定義されるポリマーセグメントを表す。
【0052】
その結果、一般式Iは、m、n及びqの値に応じて、次のポリアミドに相当しうる:
AP.Y又はAP.Y/A又はAP.Y/Pip.Y’又はAP.Y/B.Y’’又はAP.Y/A/Pip.Y’又はAP.Y/A/B.Y’’又はAP.Y/A/Pip.Y’又はAP.Y/Pip.Y’/B.Y’’又はAP.Y/A/Pip.Y’/B.Y’’。
【0053】
融点Tm
1及びTm
2、ガラス転移温度及び結晶化温度Tcは、本明細書の全体にわたり、ISO規格11357−3:2013に準拠する第1の加熱/冷却/第2の加熱のサイクルの後、DSCによって測定される。温度Tm
1は第1の加熱における融点に相当し、温度Tm
2は第2の加熱における融点に相当する。加熱及び冷却の速度は20℃/分である。
【0054】
したがって、本発明者らは、式AP.Yの二酸とジアミンとの縮合、すなわち本発明のポリアミドにおける非対称のピペラジンAPと二酸との縮合から生じる少なくとも1つのモノマーの存在が、それらに非対称の特徴を与え、一方ではそれらを結晶に保ちつつ、すなわち該ポリアミドが非晶質になるのを防ぎつつ、該ポリアミドの融点Tm
1を低下可能にし、他方では、ポリアミドの融点を低下させるための追加的なモノマーの使用を回避することを見出した。
【0055】
言い換えれば、全く同一の所与のTm
1については、非対称のピペラジンをベースとしたモノマーの存在により、6.Y/A又は6.Y/A/A’と比較してピペラジンをベースとしたモノマーがヘキサメチレンジアミンなどの対称なジアミンをベースとしたモノマーで完全に置換されたポリアミドAP.Y/Aと比較して、1つ少ない、又は2つ少ないモノマーの使用が可能となる。
【0056】
一例として、2つの異なるモノマー、すなわちC12二酸と式AEPのジアミンとの縮合から生じるモノマー(AEPはアミノエチルピペラジンを意味する)と、ラクタム12又はアミノドデカン酸からなるモノマーとからなる、AEP.12/12などの本発明のコポリアミドは、結晶化度を保持しつつ、以下の4つのモノマーから生じるモノマーからなる先行技術のコポリアミド(6/6.6/11/12:重量による比率30/20/20/30)とおおよそ同一のTm
1を有する:ラクタム6又はアミノカプロン酸からなるモノマー、C6二酸とC6ジアミンとの縮合から生じるモノマー、C11アミノ酸(アミノウンデカン酸)から生じるモノマー及びラクタム12(ラウリルラクタム)。
【0057】
融点及びガラス転移温度は、式(I)のポリアミド中に存在するさまざまなモノマーに応じて決まる。
【0058】
本発明のポリアミドは、それらの洗浄に対する耐性及び低い融点に起因して、揮発性有機化合物(VOC)を含まない、ホットメルト接着剤(HMA)の調製を可能にする。
【0059】
エンタルピーは、ポリアミド中に存在する結晶の量を反映する。
【0060】
有利には、本発明のポリアミドは、10J/gを上回る、特に20J/gを上回る、特に30J/gを上回る、エンタルピーを有する。
【0061】
有利には、本発明の式(I)の半結晶ポリアミドでは、m+n+qの合計は0に等しく、該ポリアミドは次の一般式(II):
AP.Y (II)
を有し、式中、AP及びYは上記定義される通りであり、
該ポリアミドはDSCにおいて幅広い溶融範囲を示し、再結晶化を示さない。
【0062】
非対称のピペラジンの存在に起因して、式(II)のホモポリアミドは、とりわけ幅広い溶融範囲を伴って、コポリアミドのものと同様の挙動を示す、すなわち溶融ピークTm
1は精密に定められず、それどころか幅広い。
【0063】
それらはまた、再結晶の速度が遅い、すなわち、融点Tm
2は、DSCの第2の加熱では観察されず、さらには、固化する前の溶融状態で非常に粘着性の特性を有し、よって、接着されるアセンブリを保持可能にする。
【0064】
粘着性の本発明のポリアミドは、支持体へのポリアミドの適用を可能にするマットに使用してもよい。ポリアミドは、支持体に接着させるには十分に粘着性であるが、マットに接着させるには十分な粘着性ではない。
【0065】
有利には、式(II)のポリアミドの融点Tm
1は、約130℃以下、特に120℃以下である。
【0066】
有利には、本発明の式(II)の半結晶ポリアミドでは、APはアミノエチルピペラジン(AEP)を表し、Yは、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸及びオクタデカン二酸から選択される。
【0067】
具体的には、本発明の式(II)の半結晶ポリアミドは、AEP.6、AEP.9、AEP.10、AEP.12及びAEP.14から選択される。
【0068】
さらには、本発明の式(II)の半結晶ポリアミドは、室温(すなわち20℃)で、アルコール/水混合物、特にイソプロパノール−水混合物(85/15:v/v)において、少なくとも15%の溶解度を有する。
【0069】
本発明の式(II)のポリアミドの別の利点は、それらが水溶性であることであり、それによって溶媒をベースとしたワニス又は糊の形態で使用することができ、非常に薄い膜の層を生成することができるという利点を与える。
【0070】
有利には、本発明の式(I)の半結晶ポリアミドでは、m+n+qの合計は0とは異なり、これは、m、n又はqの少なくとも1つが1に等しいことを示す。
【0071】
本発明の変形では、本発明の式(I)の半結晶ポリアミドにおいてm+nの合計は0に等しく、q=1であり、よって、該ポリアミドは次の一般式(IIa):
AP.Y/(B.Y’’) (IIa)
を有し、式中、AP、Y、B及びY’’は上記定義される通りである。
【0072】
ポリエーテル単位Bの存在は、ジアミン型の追加的なモノマーを添加する必要なしに、式(II)のポリアミドに対して再結晶の速度を増加可能にする。
【0073】
再結晶の速度の増加は、Tm
2をDSCにおける第2の加熱で観察可能にする。
【0074】
有利には、本発明の式(I)の半結晶ポリアミドでは、m=1であり、n+qの合計は0に等しく、該ポリアミドは次の一般式(III):
AP.Y/A (III)
を有し、式中、AP、Y及びAは、上記定義される通りであり、
該半結晶ポリアミドは再結晶の速度が速い。
【0075】
脂肪族単位Aを有する少なくとも1つの第2のポリアミドを第1のモノマー AP.Yに添加することによって、構造AP.Yのホモポリアミドと比較しても低い融点を有する二元又は三元構造を有するが、再結晶の速度が速いという具体的特徴も有するコポリアミドを得ることを可能にし、アミノピペラジンAPはTgの低下を可能にする。
【0076】
本発明の式(III)のポリアミドは、したがって、急速な再結晶化能力に起因して、迅速なコイルの作製に使用できるという利点を提示する。実際、生成物が粘着性の場合、この用途は直接的には達成できず、生成物は、膜、一般的にはポリエチレンの膜上に堆積させて、次にそれ自体に巻き付け、その後、1から2日間乾燥させた後にポリアミドを取り出し可能にするために巻き解き、次いで再び巻き直さなくてはならず、これは生産コストを増大させる。
【0077】
有利には、本発明の式(III)の半結晶ポリアミドでは、A=A’であり、ラクタム又はアミノ酸の縮合から得られ、特にPA11及びPA12から選択され、該ポリアミドは一般式AP.Y/A’(IIIa)で表される。
【0078】
有利には、本発明の式(IIIa)の半結晶ポリアミドでは、重量比AP.Y/A’は40/60から99/1までである。
【0079】
非対称のピペラジンの存在は、コポリアミド6.Aに対するコポリアミド中に存在するラクタム又はアミノ酸の縮合から得られるポリアミドのモル比を増加可能にする。
【0080】
一例として、6/12コポリアミド(重量比40/60)は125℃の最小Tm
1を有し、110℃の最小Tm
1を得るためにはPA6.6などの第3のモノマーの存在を必要とする(PA6/6.6/12:重量比35/30/35)のに対し、AEP.6/12はすでに、PA12の重量比の増加(70%)に伴って125℃未満のTm
1を有しており、AEP.6/12のTm
1はPA12のモル比を低下させると低下し、とりわけ40%のPA12では102℃である。
【0081】
有利には、式(IIIa)の半結晶ポリアミドは、約130℃以下、特に約115℃以下のTm
1及び/又は約45℃以下、特に35℃以下のTgを有する。
【0082】
有利には、本発明の式(IIIa)の半結晶ポリアミドでは、APはアミノエチルピペラジン(AEP)を表し、Yは、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸及びオクタデカン二酸から選択される。
【0083】
具体的には、本発明の式(IIIa)の半結晶ポリアミドは、AEP.6/11、AEP.9/11、AEP.10/11、AEP.12/11、AEP.6/12、AEP.9/12、AEP.10/12、AEP.12/12、AEP.10/11/12及びAEP.12/11/12から選択される。
【0084】
有利には、本発明の式(III)の半結晶ポリアミドでは、Aは、本発明の式(IIIb):
AP.Y/Cx.Y (IIIb)
によって表されるCx脂肪族ジアミンと脂肪族二酸Yとの縮合から得られる。
【0085】
Cx脂肪族ジアミンは脂肪族ジアミンについて上記定義される通りであり、同様に、脂肪族二酸Yは、上記定義される通りであり、2つの二酸Yは同一であっても異なっていてもよい。
【0086】
有利には、Cx.Yは6.6、6.10、6.12及び6.14から選択される。
【0087】
有利には、式(IIIb)の半結晶ポリアミドでは、AP.Y/Aの重量比は65/35から99/1までである。
【0088】
有利には、式(IIIb)の半結晶ポリアミドは、約150℃以下のTm
1及び/又は約50℃以下、特に35℃以下のTgを有する。
【0089】
有利には、式(IIIb)の半結晶ポリアミドでは、APはアミノエチルピペラジン(AEP)を表し、Yは、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸及びオクタデカン二酸から選択される。
【0090】
有利には、式(IIIb)の2つの酸Yは同一であり、特に式(IIIb)の半結晶ポリアミドは、AEP.6/6.6、AEP.10/6.10、AEP.12/6.12及びAEP.14/6.14から選択される。
【0091】
本発明の変形では、本発明の式(I)の半結晶ポリアミドにおいてm=1、n=0及びq=1であり、よって該ポリアミドは次の一般式(IIIc):
AP.Y/A/(B.Y’’) (IIIc)
を有し、式中、AP、A、Y、B及びY’’は上記定義される通りである。
【0092】
ポリエーテル単位Bの存在は、式(III)のポリアミドに対して、再結晶の速度の増加を可能にする。
【0093】
有利には、本発明の式(I)の半結晶ポリアミドにおいてn=1、m=0及びq=0又は1であり、よって該ポリアミドは次の一般式(IV):
AP.Y/Pip.Y’/(B.Y’’)
q (IV)
を有し、式中、AP、Y、Pip、Y’及びY’’は上記定義される通りである。
【0094】
第1の変形では、Y及びY’は、式(IV)の半結晶ポリアミドにおいて同一であり、q=0であり、該ポリアミドは再結晶の速度が遅い。
【0095】
よって、該ポリアミドは次の一般式(IVa)である。:
AP.Y/Pip.Y’ (Iva)
【0096】
式(IVa)のポリアミドは、ごくゆっくりと再結晶するという利点を有する。
【0097】
有利には、Y及びY’が同一であり、q=0のとき、該ポリアミドは、約150℃以下、とりわけ約130℃以下、特に約120℃以下のTm
1、及び/又は約40℃以下、特に35℃以下のTgを有し、室温(20℃)で、アルコール/水混合物、特にイソプロパノール−水混合物(85/15:v/v)において少なくとも15%の溶解度を有する。
【0098】
Y及びY’が同一である式(IV)のコポリアミドの別の利点は、アミノピペラジンよりも安価であるピペラジンの存在を理由として、該コポリアミドの調製の費用を低減することである。
【0099】
有利には、Y及びY’が同一である式(IV)の半結晶ポリアミドにおけるAP.Y/Pip.Y’の重量比は、40/60から99/1までである。
【0100】
有利には、Y及びY’が同一である式(IV)の半結晶ポリアミドにおいて、APはアミノエチルピペラジン(AEP)を表し、Y=Y’は、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸及びオクタデカン二酸から選択され、特に該半結晶ポリアミドはAEP.10/Pip.10及びAEP12/Pip.12から選択される。
【0101】
第2の変形では、Y及びY’が同一であり、q=1である式(IV)の半結晶ポリアミドにおいて、該ポリアミドは次の一般式(IVb)のものである:
AP.Y/Pip.Y’/B.Y’’ (Ivb)。
【0102】
式(IVb)のポリアミドは、必要な場合に、式(IVa)のポリアミドよりも迅速に再結晶するという利点を有する。
【0103】
第3の変形では、式(IV)の半結晶ポリアミドにおいてY及びY’は異なっており、q=0であり、該ポリアミドは再結晶の速度が遅い。
【0104】
この第3の変形では、該ポリアミドは約100℃以下のTm
1及び/又は約35℃以下のTgを有する。
【0105】
少なくとも2つのジカルボン酸Y及びY’とアミノピペラジンとの組み合わせにより、融点並びにTgをかなり低下させることができる。
【0106】
有利には、この第3の変形では、AP/Pipのモル比は、50/50から20/80まで、特に35/65である。
【0107】
有利には、Y/Y’のモル比は15/85から85/15までである。
【0108】
さらに有利には、この第4の変形では、APはアミノエチルピペラジン(AEP)を表し、Y及びY’は、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサン二酸及びオクタデカン二酸から選択され、特に該半結晶ポリアミドはAEP.10/Pip.10/AEP.12/Pip.12から選択される。
【0109】
第4の変形では、式(IVb)の半結晶ポリアミドにおいて、q=1であり、該ポリアミドは再結晶の速度が速い。
【0110】
有利には、この第4の変形では、BはPEG及びポリアルキレンエーテルポリアミンから選択され、特にJeffamine(登録商標)である。例えば、Huntsman社から市販される製品である、Jeffamine(登録商標)D400、D2000、ED2003、XTJ542。
【0111】
特にJeffamineは、EDR、とりわけEDR148である。
【0112】
本発明のコポリアミドは、必要に応じて、連鎖制限剤(chain limiters)又は連鎖停止剤の存在下で、慣例的に合成される。
【0113】
アミン末端官能基との反応に適した連鎖停止剤は、モノカルボン酸、無水フタル酸などの無水物、モノハロゲン化酸、モノエステル又はモノイソシアネートでありうる。
【0114】
好ましくは、モノカルボン酸が使用される。それらは、酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸(tridecyl acid)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸及びイソ酪酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸;芳香族モノカルボン酸などの脂環式酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸及びフェニル酢酸など;及びそれらの混合物から選択されうる。好ましい化合物は脂肪酸であり、とりわけ、酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸(tridecyl acid)、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸が挙げられる。
【0115】
酸末端官能基との反応に適した連鎖停止剤の中でもとりわけ、モノアミン、一価アルコール、モノイソシアネートが挙げられうる。
【0116】
好ましくは、モノアミンが使用される。それらは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン及びナフチルアミンなどの芳香族モノアミン;及びそれらの混合物から選択されうる。
【0117】
好ましい化合物は、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンである。
【0118】
連鎖制限剤はまた、化学量論の1種類以上のジアミンに対して過剰に導入されるジカルボン酸;あるいは、化学量論の1種類以上の二酸に対して過剰に導入されるジアミンであってもよい。
【0119】
別の態様によれば、本発明は、上記定義されるポリアミドを含む組成物に関する。
【0120】
有利には、上記定義される組成物は、酸化防止剤、UV安定剤、光学的増白剤及びそれらの混合物から選択される添加剤をさらに含む。
【0121】
さらに別の態様によれば、本発明は、上記定義される半結晶ポリアミドを調製するための式AP.Yの二酸とジアミンとの縮合から生じる少なくとも1つのモノマーの使用に関し、該ポリアミドは、約150℃以下、とりわけ約130℃以下、特に約120℃以下のTm
1、及び/又は約60℃以下、特に約50℃以下、とりわけ約40℃以下のTgを有する。
【0122】
別の態様によれば、本発明は、ホットメルト接着剤、特に、薄いシート、膜、顆粒、フィラメント、マット、粉末又は懸濁液を製造するための、上記定義される半結晶ポリアミド又は上記定義される組成物の使用に関する。
【0123】
本発明に従ったフィラメント、顆粒、粉末又は懸濁液を除く接着剤の厚さは、用いられる接着剤の種類に応じて、5から200μm(5から200g/m
2に等しく、これは別の測定単位に相当する)、特に5から100μmであり、例えば薄いシートの厚さは5から30μmであり、膜の厚さは20から100μmであり、マットの厚さは10から50μmである。
【0124】
フィラメントに関しては、表面積の単位あたりの重量ではなく、糸1kmあたりの重量である。
【0125】
粉末に関しては、5種類の粉末が用いられてよく、とりわけ次のものが挙げられる:
・0超から80ミクロン
・0超から120ミクロン
・80から180ミクロン
・80から200ミクロン
・200から500ミクロン
【0126】
懸濁液に関しては、上記粉末を、とりわけ水に、特に40%から50%までの濃度で懸濁させる。
【0127】
有利には、上記定義される半結晶ポリアミド又は上記定義される組成物は、繊維産業との関連で、とりわけ継ぎ目のないスポーツ用品の製造のために用いられる。
【0128】
有利には、ホットメルト接着剤の製造のために上記のように用いられる該組成物は、可塑剤を含まない。
【0129】
本発明は、図面及び本発明に従った実施例を活用してさらに詳細に説明されるが、本発明を限定するのもでは決してない。
【実施例】
【0131】
実施例1:本発明のポリアミドの調製:
本発明のポリアミドは、当業者に知られた技法によって調製され、例えば、本発明のすべての合成の代表である、AEP.10/Pip.10 40/60の合成は以下の通り:
アンカー型のスターラーを備えたガラス反応器に、10.75gのピペラジン、9.36gのN−アミノエチルピペラジン及び39.89gのセバシン酸を入れる。混合物を、真空引きによって、その後連続して4回の窒素の導入によって不活性化する。その後、反応混合物を窒素流下で加熱する。材料の温度が180℃に達したら、攪拌スイッチをオンにする。材料の温度が250℃に達した1時間後、真空(100mbar未満)を適用する。媒体は粘性になり、所望の攪拌トルクに達するまで、合成を停止する。
得られる生成物は黄色かつ半透明である。
【0132】
融点Tm
1及びTm
2、ガラス転移温度(Tg)、エンタルピー及び結晶化温度(Tc)は、ISO規格11357−2(2013)及びISO規格11357−3(2013)に準拠するDSC(示差走査熱量測定)により、次のプロトコルに従って測定される:
1: 20.00℃で平衡化
2: 10.00℃/分の速度で−50.00℃に冷却
3: この温度を5.00分間維持
4: 20.00℃/分の速度で250.00℃に加熱
5: この温度を5.00分間維持
6: 10.00℃/分の速度で−50.00℃に冷却
7: この温度を5.00分間維持
8: 20.00℃/分の速度で250.00℃に加熱。
【0133】
下記に詳述される特徴を有するさまざまなポリアミド、とりわけ次のポリアミド:AEP.Y/A、AEP、及びとりわけ次のポリアミド:AEP.Y、AEP.Y/A、AEP.Y/6.Y、AEP.YPip.Y及びAEP.Y/AEP.Y’/Pip.Y/Pip.Y’を調製した。
【0134】
得られたすべての生成物は、ISO規格307に準拠するが、溶媒を変更して(硫酸の代わりにm−クレゾールを使用し、温度は20℃である)決定されて、0.4を超える固有粘度を有する。
【0135】
実施例2:AEP.Y及びAEP.Y/A(Y=6、9、10、12及びAはA’を表し、A’=11又は12である)
各モノマーの百分率は重量で記載される。
【0136】
実施例3:AEP.Y/A(Y=12及びAはA’を表し、A’=11及び12)
各モノマーの百分率は重量で記載される
【0137】
実施例4:AEP.Y/Cx.Y(Y=6、10、12及び14、Cx=6)
各モノマーの百分率は重量で記載される
【0138】
実施例5:AEP.Y/Pip.Y(Y=10及び12)
各モノマーの百分率は重量で記載される
【0139】
実施例6:B.Y/B.Y’の使用の有無によるAEP.Y/AEP.Y’/Pip.Y/Pip.Y’(Y=10及びY’=12)
各モノマーの比率はモルで記載される。
【0140】
実施例7:本発明のコポリアミドの接着性及び洗浄に対する耐性の試験
●ラミネーター:モデルHP−450M,MS
圧力:1.0kg/cm
2
●接着時間 :25秒
●剥離機 :Hongda張力計
150mm/分での剥離試験
●洗浄サイクル数:2
さまざまな感熱接着剤は、各洗浄について、60℃で1.5時間の2回の機械洗浄に供され、その後、乾燥される。
●布地の種類:
綿(90%綿、10%ポリエステル)
綿の試料は150mmの長さ及び50mmの幅である。
試料に接着させるコポリアミド膜は、40μmの厚さ寸法を有する。
【0141】
結果は次の表に提示される。