特許第6742401号(P6742401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6742401電気化学セルのガスケットおよびダイアフラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742401
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】電気化学セルのガスケットおよびダイアフラム
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/04 20060101AFI20200806BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20200806BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20200806BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20200806BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20200806BHJP
【FI】
   H01M2/04 F
   H01M2/08 S
   H01M2/34 A
   H01M2/34 B
   H01M10/04 W
   !H01M10/0587
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-509763(P2018-509763)
(86)(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公表番号】特表2018-525793(P2018-525793A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016048262
(87)【国際公開番号】WO2017035173
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2018年4月17日
(31)【優先権主張番号】62/209,163
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/209,145
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/244,663
(32)【優先日】2016年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ツルタ,クニオ
(72)【発明者】
【氏名】マスモト,ケンジン
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0136387(US,A1)
【文献】 特開2006−128121(JP,A)
【文献】 特開平02−288063(JP,A)
【文献】 米国特許第04828939(US,A)
【文献】 米国特許第03939011(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/04
H01M 2/08
H01M 2/34
H01M 10/04
H01M 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルであって、前記電気化学セルの一つの電気接点として機能するように構成された缶であって、活物質を含む缶と、
前記電気化学セルの反対の電気接点として機能するように構成されたダイアフラムであって、圧着部分を含んでおり、前記圧着部分が当該ダイアフラムの厚さを2倍にする折り返し部分を含んでいることを特徴とするダイアフラムと
初期にほぼ円筒形状であるガスケットであって、前記ダイアフラムが前記缶の開口内で前記ガスケットの内側に位置合わせされるガスケットと、を備えており、前記缶の外縁が前記ガスケット上へ圧着されており、前記ガスケットが前記缶の内側に内周を有しており且つ前記缶の外側に外周を有しており、前記外周が圧着後に前記ダイアフラムの外面に沿って延在する薄片部を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記薄片部は、前記圧着の後に、前記ダイアフラムの前記外面に対して略平坦に位置していることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記薄片部は、前記外周に沿って等距離で間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記薄片部は、前記圧着の後に、隣接する薄片部同士が略平行な縁によって形成されたスロットによって分離されるように成形されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記薄片部の側縁は、各々が、前記薄片部の上縁に向かって内側へ傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記ガスケット上に第一の環状突起をさらに備えており、前記第一の環状突起は、前記ダイアフラムを保持するように構成される第二の環状突起よりも前記外周の近くに位置合わせされていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記第一の環状突起は、前記ガスケット上で内向きであることを特徴とする請求項に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記第一の環状突起は、前記ガスケット上で外向きであることを特徴とする請求項に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記缶の内部の破裂板と、前記破裂板と前記ダイアフラムとの間の絶縁体と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記絶縁体は、前記ガスケットと一体化されていることを特徴とする請求項に記載の電気化学セル。
【請求項11】
前記ガスケットは、前記絶縁体と前記ガスケットの本体との間に湾曲部分をさらに備えていることを特徴とする請求項10に記載の電気化学セル。
【請求項12】
前記絶縁体上に前記ダイアフラムの凹部分の内側に嵌合する隆起部分をさらに備えていることを特徴とする請求項10に記載の電気化学セル。
【請求項13】
電気化学セルであって、
前記電気化学セルの一つの電気接点として機能するように構成された缶であって、活物質を含む缶と、
前記電気化学セルの反対の電気接点として機能するように構成されたダイアフラムであって、圧着部分を含んでおり、前記圧着部分が当該ダイアフラムの厚さを2倍にする折り返し部分を含んでいることを特徴とするダイアフラムと
前記ダイアフラムと前記缶の開口との間を密封し、かつ相互接続溶接の間の短絡を防ぐための手段と、を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項14】
電気化学セルを製造する方法であって、
活物質を含む缶の開口上へキャップを取り付けることであって、前記缶が、前記電気化学セルの電気接点として機能するように構成されており、前記缶が、i)前記電気化学セルの反対の電気接点として機能するように構成されているダイアフラムと、ii)初期に、ほぼ円筒形状であるガスケットであって、前記ダイアフラムが前記缶の前記開口内で前記ガスケットの内側に位置合わせされるガスケットと、を備えており、前記ダイアフラムが圧着部分を含んでおり、前記圧着部分が前記ダイアフラムの厚さを2倍にする折り返し部分を含んでいることを特徴としており
前記缶上にショルダを生成するために前記缶の外縁を前記ガスケット上へ圧着することであって、前記ガスケットが、前記缶の内側に内周を有し、かつ前記缶の外側に外周を有しており、前記外周が圧着後に前記ダイアフラムの外面に沿って延在する薄片部を備えており、
前記ダイアフラムの外面に第1の電気相互接続部を作製し、かつ前記缶の前記ショルダに第2の電気相互接続部を作製することと、を含み、前記外面に沿って延びる前記薄片部は、前記第1および第2の電気相互接続部の作製における短絡を防止することを特徴とする方法。
【請求項15】
破裂板を、少なくとも前記ダイアフラムに組み合わせ、かつその後、前記ダイアフラムと破裂板のアセンブリと前記ガスケットとを合わせて組み合わせることをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
絶縁体は、前記ガスケットと一体化されており、かつ前記ガスケットと前記ダイアフラム破裂板アセンブリとを合わせて組み立てることが、前記絶縁体を前記破裂板と前記ダイアフラムとの間に位置合わせすることを含んでいることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記破裂板を少なくとも前記ダイアフラムへ組み合わせる前に、絶縁体を前記ダイアフラムへ組み合わせることをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記破裂板を少なくとも前記ダイアフラムへ溶接することをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記溶接は、レーザ溶接であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月24日に提出された「Gasket for Electrochemical Cell」と題する米国暫定出願第62/209,145号明細書、2015年8月24日に提出された「Diaphragm for Electrochemical Cell」と題する米国暫定出願第62/209,163号明細書および2016年8月23日に提出された「Gasket And Diaphragm For Electrochemical Cell」と題する米国実用特許出願第15/244,663号明細書に対する優先権を主張するものであり、これらの出願は全て、参照によりその全体が開示に含まれ、かつあらゆる目的で本明細書の一部を構成する。
【0002】
合衆国政府の助成による研究または開発に関する陳述
なし。
【0003】
コンパクトディスクによる提出材料の参照による援用
なし。
【0004】
本発明の技術分野
本発明は、概して電池に関し、より具体的には、電気化学電池セル(セル)の構造および構成要素に関する。
【背景技術】
【0005】
関連技術の記載
リチウムイオンセル(Lithium ion cell)は、電気化学セルの1つの類型である。リチウムイオンセルは、概して、活物質(アノード(anode)およびカソード(cathode))と電解質とを含む。これらの材料は、場合によって円筒形でありかつ缶と呼ばれることもあるハウジング内に封入される。缶は、トップキャップ(top cap)と呼ばれることもあるキャップ(蓋、口金)で閉じられる開口を有する。キャップは、ガスケットを用いて密封することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのセル(cell、電池)の構造物は、耐久性がありかつ費用効果の高いものでなければならない。電気自動車用等の用途によっては、何千ものセルが1つのアレイに形成され、車両を推進するための電気エネルギーを合同で提供する。このようなアレイにおけるセルの数に起因して、セルは、生産費用が安価であって、そのサイズおよび重量で可能な限り多くの電気貯蔵容量を提供しなければならず、かつ長い寿命を支える耐久性がなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
セルの重量、コスト、サイズおよび貯蔵容量の段階的改善が、他の用途の中でもとりわけ電気自動車にとって大きな利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、セルのキャップの一例を示す。
図2図2は、セルの第1の例の断面を示す。
図2A図2Aは、図2のセルの一部分を示す斜視図である。
図3図3は、図2のセルの構成要素の例を示す。
図4A図4Aは、図3のガスケットの一部分の断面の一例を示す。
図4B図4Bは、図3のガスケットの断面の別の例を示す。
図5図5は、セルの第2の例の断面を示す。
図5A図5Aは、図5のセルの一部分を示す斜視図である。
図6図6は、図5のセルの構成要素の例を示す。
図7図7は、図6のガスケットの断面を示す。
図8図8は、図1のセルの電気相互接続部の一例を示す。
図9図9は、セルを構成する方法のフローチャートを示す。
図10A図10Aは、セルの別の例の断面を示す。
図10B図10Bは、図10のセルの一部分を示す斜視図である。
図11図11は、製造中のダイアフラムの一例を示す斜視図である。
図12図12は、図11のダイアフラムの断面を示す。
図13図13は、セルを構成する別の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本文書は、改良された電気化学セルおよびその構成要素の例について記述する。幾つかの実施形態において、電気化学セルは、そのトップキャップを密封するガスケットを有し、このガスケットは、設置後は通常プラス接点が付着される場所であるセルの上側の中心面上に拡がっているリーフ部(leaf)または他の延設部を有する冠のような外観を有する。例えば、前記設置が、マイナス接点もまた、缶材上であってトップキャップ上ではないにしてもセルの上部に付着されるように行われる場合、このようなガスケットは、マイナス接点とプラス端子との短絡の可能性を減らすという利点を提供することができる。
【0010】
セルのトップキャップ内に形成されるダイアフラムは、電流遮断デバイス(CIDcurrent interruption device)機能の一部として働き、また、過熱または他のタイプのセル不良に起因して内部圧力が著しく上昇する場合に通気を促進する材料脆弱化も有する。ダイアフラムは、効果的には、単一の材料片から製造されてもよく、かつ数回の操作で最終形状に形成されてもよい。このようなダイアフラムは、その周縁に圧着(crimping、かしめ、クリンピング)に耐えるに足る厚さを提供し、一方で材料脆弱化を比較的容易に形成できるようにするという利点を有することが可能である。
【0011】
実施形態(some implementation、実装)によっては、キャップは、セルのプラス端子として機能するように設計される。したがって、ダイアフラムは、導電材料から製造されるのに対して、ガスケットは、絶縁材料から製造されることが可能である。ダイアフラムは、次に、直接または間接的に、セルの活物質におけるカソードへ接続されることが可能である。例えば、1つまたは複数の電気相互接続部には、セルとの間にプラス接続を確立するためにダイアフラムの外面に作成され得るワイヤボンドが含まれてもよいが、これに限定されない。
【0012】
本明細書本文は、リチウムイオンセルが含まれ得る、但しこれに限定されない電気化学セルに関する。概して、このようなセルは、活物質を保持するためのハウジング(缶形式である場合もある)を有し、ハウジングは、通常トップキャップと称されるものによって閉鎖される。しかしながら、電気化学セルの上部、底部および側面は、通常、幾分任意に画定されてもよい。したがって、本明細書は、缶内の開口を閉じるキャップを広義に参照し、開口がセル上のどこに位置決めされるかを限定していない。こうした理由により、本明細書における上部または底部の言及は、単に例示的なものである。同様に、円筒形の形状因子がしばしば使用されるが、実施形態によっては、他の形状のセルハウジング(cell housing、電池の筐体)が使用されてもよい。
【0013】
図1は、セルのキャップの一例100を示す。キャップは、ダイアフラム104の外縁を包囲するガスケット102を有する。他の構成要素がキャップの一部である可能性もあるが、ここでは単純化を期して図示または説明しない。キャップは、電気化学セルの缶または他のハウジングの開口を閉鎖するように設計される。このような閉鎖は、流体が(例えば、電解液の漏れとして)セルから出ること、または(例えば、汚染物質として)セルに進入することを防止または抑止するシールを提供する。
【0014】
また、図示されているキャップの構成は、圧着動作後のキャップの形状を表すことができる。このような圧着は、キャップが缶の開口内に配置されると行うことができるが、ここでは明確を期して缶を示していない。実施形態によっては、キャップは、セルのプラス端子として機能するように設計される。したがって、ダイアフラムは、導電材料から製造されるのに対して、ガスケットは、絶縁材料から製造されることが可能である。ダイアフラムは、次に、直接または間接的に、セルの活物質におけるカソードへ接続されることが可能である。例えば、1つまたは複数の電気相互接続部(不図示)には、セルとの間にプラス接続を確立するためにダイアフラムの外面に作成され得るワイヤボンドが含まれるが、これに限定されない。
【0015】
ガスケットは、ここではリーフ部(leaf、薄片部、箔部)106を有する。実施形態によっては、リーフ部106は、ガスケット製造の一部として作成される。リーフ部は、スロット108により分離されている。実施形態によっては、リーフ部106は、圧着後に隣接するリーフ部106同士が略平行な縁により形成されるスロットによって分離されるように成形される。例えば、圧着の前、およびガスケットがその現在の外観をとる前に、スロット108は、異なる形状を有してもよい。
【0016】
リーフ部およびリーフ部間のスロットの目的は、ガスケットがダイアフラムの上面に載る際の表面をより平坦にすることにあり得る。例えば、ガスケットの皺および折り皺は回避されるべきである。これは、リーフ部106の外縁の長さとダイアフラムの露出面との関係式として表すことができる。例えば、
ID×π≧L+L+・・・+L
であり、ここで、
ID=ダイアフラム露出領域の内径、
Li=リーフ部iの外縁の長さ、
(i=1,2,...,N、Nは、リーフ部106の数)、である。
【0017】
図2は、セル200の第1の例の断面を示す。セルは、缶202を有し、缶202は、ここでは明確を期してその一部しか示されていないが、内部にセルの活物質を保持するように構成される。例えば、これは、アノードおよびカソード基板の所謂ゼリーロールと、液体電解質とを含んでもよい。缶は、円筒形状を含む、但しこれに限定されない任意の適切な形状を有してもよい。缶202は、電気端子の1つ、例えばセルのマイナス端子として機能するように意図されてもよい。
【0018】
缶202は、その一方の端の近くにショルダ204を有する。実施形態によっては、ショルダ204は、セルの内部を外側から封鎖するように、セルの端を圧着する工程の一部として作製される。ここでは、圧着後に略円形の開口206が存在し、開口は、缶材料の縁208によって画定される。実施形態によっては、ショルダ204は、電気端子をセルに取り付ける予定の場所である。
【0019】
セルは、略円形エレメント(circular element)等のダイアフラム210を有する。実施形態によっては、ダイアフラム210は、圧着部分210Aと、中心部位210Bと、少なくとも部分的にダイアフラム210の周りを延びるスコア210Cとを有する。ダイアフラム210は、セル動作に関わる1つまたは複数の目的を果たすことができる。第1に、先に述べたように、ダイアフラムは、セル用電気端子の一部であってもよい。例えば、缶202がマイナス端子として機能する場合、ダイアフラム210は、プラスの電気端子であってもよい。第2に、ダイアフラム210は、漏れおよび汚染を防止するために缶202の内部を閉鎖するように機能してもよい。第3に、内部圧力が増加する場合、ダイアフラム210は、持ち上がり、これによってCID動作を促進してもよい。第4に、例えばセル内に熱暴走等の望ましくない反応が生じた場合に缶202の内部で圧力が増加すれば、ダイアフラム210は、破裂することによって流体がセルから逃げられるようにし、事実上、セルの換気を促進することができる。例えば、スコア210Cまたは別の材料の脆弱化は、ダイアフラムの破裂を促進することができる。
【0020】
セルは、ダイアフラム210へ直に付着させることができる破裂板(rupture plate)212を有する。破裂板212は、ダイアフラム210の破裂(rupture、破断)を円滑に行うことにおいて1つまたは複数の目的を果たす。例えば、破裂板212は、圧力上昇の間にダイアフラム210の内側にかかる荷重を制御し、これにより、破裂が生じる時間および破裂のパターンを制御してもよい。ここでのセルは、少なくとも部分的に破裂板212とダイアフラム210との間に位置合わせされる絶縁体214を有する。実施形態によっては、絶縁体214は、略円形のエレメントであってもよい。
【0021】
セルは、キャップを適所に保持し、缶202の内容物を密封しかつ製造プロセス中の短絡を低減する、またはなくすように機能するガスケット216を有する。例えば、ガスケット216は、ダイアフラム210と缶202の開口との間を密封する。別の例として、ガスケット216は、相互接続溶接中の短絡を防ぐ。ガスケット216は、圧着後にダイアフラム210上に位置合わせされる幾つかのリーフ部218を有する。リーフ部218は、セルが圧着された後のガスケット材料の望ましくない蓄積を防止することができる。例えば、リーフ部218は、そうでなければ圧着プロセスにおいてダイアフラム上のガスケット材料が圧縮されるにつれて生じる場合もある望ましくないウェーブ、折り重なりまたは束状物(bunching)の発生を減らすことができる。
【0022】
図2Aは、図2におけるセル200の一部分200´を示す斜視図である。ここでは、明確を期して缶を省略している。したがって、本図は、ダイアフラム210の圧着部分210Aを覆うガスケット216と、ダイアフラム210の上面の一部上に延在するリーフ部218と、ダイアフラム210と破裂板212との間の絶縁体214とを示す。具体的には、圧着部210Aは、その場所でダイアフラム210の厚さを略2倍にする折り返し部分を含む。例えば、この缶202は、圧着および/またはシーリングをより効果的にするように機能する。また、この設計は、ガスケット216とは別個の部分である絶縁体214を有するが、これは、絶縁体214が別に製造され、ガスケット216とは異なるプロセス段階で設置され得ることを意味する。
【0023】
図3は、図2におけるセル200の構成要素の例300を示す。構成要素は、明確を期して分離して示されている。すなわち、この例は、構成要素の一部がセルのキャップ内へと最終的に組み立てられる前にどのように見えるかを示している。例えば、ここでは強調のために一番上に示されているガスケット216は、これらの4構成要素の最下部であることが可能であって、他の3つのエレメント(210、214、212)は、次にガスケット216内へ上方から挿入可能である。このような組み立て工程の間、構成要素のうちの1つまたはそれ以上は、例えば本明細書で説明するように外観を変えることができる。別の例として、構成要素のうちの1つまたはそれ以上は、図示された外観をとる前に、ダイアフラムの外縁を折り畳んで圧着部分210Aを形成し得るように処理されていてもよい。
【0024】
本例におけるガスケット216は、略円筒体として形成されている。本例のガスケット216は、実施形態によっては、ガスケット216の本体の周りに延びる縁である第1の周縁302を有する。第1の周縁302は、組み立て後、缶の内側にあることが意図されている。一方で、ガスケット216の第2の周縁304は、セルの製造後、缶202の外側にあることが意図されている。ここで、リーフ部218は、組み立て後の短絡(short、ショート)に対する防護として機能するように、第2の周縁に形成されている。例えば、リーフ部は、第2の周縁に沿って互いに等距離で間隔をおいて配置することが可能である。
【0025】
本例における各リーフ部218は、上縁308により分離される一対の側縁306を含む。実施形態によっては、側縁306は、上縁308に向かって内側に傾斜される。例えば、この設計の目的は、圧着後に、隣接するリーフ部218同士が、互いに略平行である対向する側縁により形成されるスロットによって分離されることを保証することであり得る。別の例として、圧着の前に、上縁308は、第1の周縁302と略平行であってもよい。ガスケット216は、先に述べたように、上縁308がダイアフラムの露出領域(exposed area)の内径との関係式を満たすように設計されることが可能である。
【0026】
ガスケット216は、任意の適切な材料から製造されてもよい。実施形態によっては、ガスケットは、射出成形によって形成される。例えば、ガスケットは、ポリプロピレンを含む、但しこれに限定されないプラスチック材料で製造されることが可能である。
【0027】
ダイアフラム210は、設置時にガスケット216の内部に嵌合するように設計される。実施形態によっては、ダイアフラム210は、金属シートから切断されて、図2に示すもののように、中央部に所望されるプロファイルを生成するように型押しされる。例えば、圧着部分210A(図2A)の下部は、当初主要部分に対して垂直であって、次に、下部は、図2Aに示す形を略とるように、ダイアフラムの主要部の下へ湾曲(bent)または折り畳まれる(fold)ことが可能である。ダイアフラム210は、アルミニウムを含む、但しこれに限定されない任意の適切な導電材料から製造されることが可能である。
【0028】
絶縁体214は、破裂板212の一部とダイアフラム210の一部との間に嵌まることができる。実施形態によっては、別個の絶縁体エレメントが使用される。例えば、絶縁体214は、略L字形断面を有する略環状の形式を有することができる。絶縁体214は、ポリプロピレンを含む、但しこれに限定されないプラスチック材料等の任意の適切な材料で製造されることが可能である。
【0029】
破裂板212は、ダイアフラムの内面に面するように位置合わせされる。実施形態によっては、破裂板212は、1つまたは複数の開口を有する。例えば、破裂板212は、各々が特定の半径を有する円形セグメントとして形成される孔を有してもよい。破裂板212上には、トップキャップアセンブリ(例えば、ダイアフラム)を缶202内部の活物質へ電気接続するためのタブ(不図示)を取り付けることができる。例えば、タブは、カソード層を破裂板212へ接続する。ダイアフラム210は、著しい内部圧力によって跳ね上がると、このタブまたは活物質との他の電気接続を切断することができる。
【0030】
図4Aは、図3におけるガスケット216の一部の断面の一例400を示す。本例において、ガスケット216の略円筒形状は、部分402および404を含む外形を有する。部分402は、当初、缶の長さに略整合され、かつ部分404は、当初、部分402に対して略垂直である。
【0031】
部分402は、本例では内向きである少なくとも1つの第1の環状突起406aを含む。部分402は、第2の環状突起408も含む。例えば、突起408は、ダイアフラムを保持するように構成されることが可能である。突起406aは、突起408より第2の周縁304の近くに位置合わせされることが可能である。ダイアフラムが圧着部分210A(図2A)の終端場所のすぐ内側により厚い部分を有する場合、突起406aは、圧着時に、圧着部位からより厚い部分へと至る傾斜部分に当接してもよい。突起406aは、単に2例を挙げれば、多角形または丸められた形状を有してもよい。圧着プロセスにおいて、突起406aは、ショルダ204(図2)の縁208(図2)に最も近い部分が過度に圧着された(crimp)状態となって非平坦かつ/または非水平の表面を生成する傾向を低減またはなくすことができる。例えば、セルショルダ上へ電気相互接続部(例えば、マイナス端子)を生成すべきであれば、非平坦または非水平の表面は、取付けプロセスを複雑にする可能性がある。したがって、突起406aは、このような問題を低減またはなくすことができる。
【0032】
図4Bは、ガスケット断面の別の例を示す。ここで、断面400は、ガスケット16が部分404、404と、突起408とを有すること、および、リーフ部が第2の周縁304を形成することを示している。しかしながら、本例におけるガスケットは、突起408とは反対側にある環状突起406bを有する。突起406bは、単に2例を挙げれば、多角形または丸められた形状を有することが可能である。例えば、突起408bは、圧着後に缶の圧着部分(例えば、ショルダ)を平坦に保つ手助けをすることができる。
【0033】
図5は、セルの第2の例500の断面を示す。上述の第1の例(例えば、図2)と比較したセル500の1つの特徴は、セル500が絶縁体504と一体化されたガスケット502を有することにある。セル500の明示されていない他の構成要素は、先に述べたものと同一または略同様であり得る。したがって、例えば、本例におけるセル500は、缶202を有し、缶は、ショルダ204と、縁208により画定される開口206とを有することが可能であり、セルは、圧着部分210Aと、中心部位210Bと、スコア210Cとを有するダイアフラム210を有し、セルは、破裂板212を有し、かつガスケット502は、リーフ部218を有する。
【0034】
図5Aは、図5におけるセルの一部分500´を示す斜視図である。圧着プロセスの間、圧着力は、ガスケットおよび、圧着部分210Aにおける、または圧着部分210Aに近いダイアフラムに加わる。この力は、矢印506が略示するように、缶に対して略軸方向である成分を有することが可能である。この力は、矢印508が略示するように、缶に対して略半径方向である成分も有することが可能である。
【0035】
圧着力(例えば、半径方向の矢印508)に起因して、絶縁体504が、圧着プロセスにおいて、その意図された位置から変位し、かつ/またはその意図された形状から変形することになる、という事態が生じる可能性もある。しかし、ガスケットは、変位/変形の発生を減らす、またはなくすことを目的とする1つまたは複数の機能を有することが可能である。したがって、ガスケットは、衝撃吸収機能と考えられるものを備えることができる。実施形態によっては、絶縁体504とガスケットの本体との間に湾曲部分を設けることができる。例えば、部分510を用いて、このような変位/変形に対抗してもよい。
【0036】
絶縁体504は、隆起部分512を有することができる。例えば、隆起部分は、破裂板212とダイアフラム210の主要部分との間に軸方向の絶縁が確実に存在することを目的として設計されてもよい。別の例として、隆起部分は、破裂板と圧着部分210Aとの間に半径方向の絶縁が確実に存在することを目的として設計されてもよい。
【0037】
図6は、図5におけるセルの構成要素の例600を示す。本例において、構成要素には、絶縁体を組み込んでいるガスケット502と、ダイアフラム210と、破裂板212とが含まれる。したがって、本例では、別個の絶縁体が示されていない。図3に関して先に述べたことと同様に、ガスケット502は、本例においてこれら3つの構成要素の最下部であることが可能であって、他の2つのエレメント(210、212)は、次に、ガスケット内へと上から挿入されることが可能である。
【0038】
図7は、図6におけるガスケット502の断面700を示す。ガスケットの明示されていない幾つかの態様は、先に述べたものと同一または略同様であり得る。したがって、例えば、本例におけるガスケット502は、周縁304と、リーフ部218と、突起406および408と、主要部分402および404とを有する。さらに、本例におけるガスケットは、部分510と、隆起部分512とを有する。
【0039】
図8は、セル802の電気相互接続部の一例800を示す。セル802は、リーフ部106を有するガスケットの付いたキャップを含む。実施形態によっては、ガスケットは、(例えば、図5におけるセル500の場合のように)一体化された絶縁体を有し、他の実装において、ガスケットは、(例えば、図2におけるセル200の場合のように)一体化された絶縁体を持たない。セル802は、上にショルダ806が形成された缶804を有する。缶804は、セル802の電気端子の1つ(例えば、マイナス端子)として機能する。セル802は、他の電気端子(例えば、プラス端子)として機能するダイアフラム808も有する。セル802は、ダイアフラム上へ延びるリーフ部810を有するガスケットを有する。
【0040】
図8は、セルの電気相互接続部が、例えば、円筒形セルの反対側の両端ではなく、セル上で互いの近くに形成される構成例を示す。実施形態によっては、多くのセルが1つのモジュールまたは他のハウジング内に集められて電池(電池パックと呼ばれることもある)を形成する。そこでは、個々のセルグループを直列または並列に接続して、モジュールから所望の電力出力を提供することができる。モジュールにおいて、各セルは、電気的接触用にその個々の相互接続部を有する。各ハウジング内部には幾つかのセルが存在し、かつ(モジュールを用いる特定のシステムの生産要求を満たす等のためには)多くのハウジングを組み立てる必要があることから、電気相互接続部の作製は、何千個もの(またはそれ以上の)相互接続部が理想的には短時間で作製される大量製造プロセスの形態を取る可能性がある。プロセスの少なくとも一部は、ロボット溶接等によって自動化することが好ましい場合がある。こうした状況では、例えば、個々の電気端子がセル上で、かつおそらくはその同じ側で互いの近くに作製されれば効果的であり得る。
【0041】
例えば、セル802において、電気相互接続部800をショルダ806上またはその近くに作製することが有利であるのに対して、別の相互接続部(不図示)は、ダイアフラム808上に作製される。しかしながら、ショルダ上に取り付けられる相互接続部800は、ダイアフラム(即ち、反対側の電気端子)の近くになる可能性がある。これにより、短絡のリスクが高まる可能性がある。したがって、セル802のキャップには、リーフ部810を有するガスケットが装備される。リーフ部810は、ダイアフラム808の表面に沿って延在し、よって、相互接続部800を反対側の電気端子から分離する。例えば、これは、短絡の可能性を減らすことができる。別の例として、これは、そうでなければそうなる可能性があるものとは異なるタイプの量産組み立て技術を適用することを可能にし得る。
【0042】
図示されている相互接続部800のサイズおよび形状は、単なる例である。実施形態によっては、異なるタイプの相互接続部を用いることができる。ダイアフラムが有する相互接続部は、相互接続部800と同じタイプであっても、異なるタイプであってもよい。
【0043】
図9は、方法900の一例のフローチャートを示す。まずは、(例えば、図2におけるセル200の場合のような)一体型の絶縁体を有していないガスケットの例について述べる。910では、絶縁体とダイアフラムとが合わせられて組み立てられる。接着剤を塗布することを含む、但しこれに限定されない任意の適切な技術が使用されてもよい。920では、破裂板が絶縁体/ダイアフラムアセンブリへ組み合わされる。溶接または接着剤塗布を含む、但しこれらに限定されない任意の適切な技術が使用されてもよい。930では、ガスケットが、破裂板/絶縁体/ダイアフラムアセンブリに組み合わされる。先行のアセンブリがガスケットの内部に密着し、よって定位置に保持されることを含む、但しこれに限定されない任意の適切な技術が使用されてもよい。このステップにおけるアセンブリは、時としてセルのキャップと称されるものを、製造することができる。
【0044】
940では、キャップが缶の開口の内側に配置される(例えば、上部開口、所謂トップキャップ)。キャップ付きの缶は、次に、圧着によってキャップを缶上に固定され、セルが密封される。圧着により、缶上にショルダが作製されてもよい。950では、セル上に少なくとも1つの電気相互接続部が作製される。これには、ダイアフラムに近いセルのショルダ上に相互接続部を作製することが含まれてもよい。実施形態によっては、相互接続部は、缶上へ溶接される。例えば、レーザ溶接の使用が可能である。
【0045】
他の実装では、ステップを適宜変更することができる。例えば、別個の絶縁体が使用されない場合、ステップ910を省略することができる。一方で、絶縁体がガスケットと一体化されていれば、一体化された絶縁体の他の構成要素に対する提案者の位置合わせも達成するように、別のステップが変更されてもよい。あるいは、別の例として、このような動作は、他の動作の中における別のステップであってもよい。動作は、手動で、かつ/または(例えば、ロボット操作による)自動化動作によって実行されてもよい。
【0046】
セル製造において必要であることもある幾つかのステップは、明確を期して上記では省略されている。例えば、ある方法は、活物質(例えば、ゼリーロール)を調製するステップ、ゼリーロール上に底部絶縁体を設けるステップ、ゼリーロールを缶に挿入するステップ、上部絶縁体を設けるステップ、缶に溝を付けるステップ、ゼリーロールと缶との間にマイナス電気コネクタを作製するステップ、電気コネクタの長さを調整するステップ、缶内に電解質を加えるステップ、初充電を実行するステップ、缶を清浄化するステップ、セル重量を測定して、必要であれば電解質の量を調整するステップ、缶開口にシーリング材を塗布するステップ、キャップとゼリーロールとの間に電気接続部を作製するステップ、プレ圧着を実行するステップ、セルを圧着するステップ、および/または組み立てられたセルを清浄化するステップ、のうちの1つまたはそれ以上を含んでもよい。したがって、ある方法は、図示されているものより多いまたは少ないステップを有してもよい。別の例として、2つ以上のステップは、異なる順序で実行されてもよい。
【0047】
図10Aは、セルの第1の例1000の断面を示す。セルは、缶1002を有し、缶1002は、ここでは明確を期してその一部しか示されていないが、内部にセルの活物質を保持するように構成される。例えば、これは、アノードおよびカソード基板の所謂ゼリーロールと、液体電解質とを含んでもよい。缶1002は、円筒形状を含む、但しこれに限定されない任意の適切な形状を有してもよい。缶1002は、電気端子の1つ、例えばセルのマイナス端子として機能するように意図されてもよい。
【0048】
缶1002は、その一方の端の近くにショルダ1004を有する。実施形態によっては、ショルダ1004は、セルの内部を外側から封鎖するように、セルの端を圧着する工程の一部として作製される。ここでは、圧着後に略円形の開口1006が存在し、開口は、缶材料の縁1008によって画定される。実施形態によっては、ショルダ1004は、電気端子をセルに取り付ける予定の場所である。
【0049】
セル1000は、略円形エレメント等のダイアフラム1100を有する。実施形態によっては、ダイアフラムは、圧着部分1100Aと、中心部位1100Bと、少なくとも部分的にダイアフラムの周りを延びるスコア1100Cと、中心部位と圧着部分との間のより薄い部分1100Dとを有する。ダイアフラム1100は、セル動作に関わる1つまたは複数の目的を果たすことができる。第1に、先に述べたように、ダイアフラム1100は、セル用電気端子の一部であってもよい。例えば、缶1002がマイナス端子として機能する場合、ダイアフラム1100は、プラスの電気端子であってもよい。第2に、ダイアフラム1100は、漏れおよび汚染を防止するために缶1002の内部を閉鎖するように機能してもよい。第3に、内部圧力が増加する場合、ダイアフラム1100は、持ち上がり、これによってCID動作を促進することができる。第4に、例えばセル内に熱暴走等の望ましくない反応が生じた場合に缶1002の内部でしきい値を上回る圧力上昇が生じれば、ダイアフラムは、破裂することによって流体がセルから逃げられるようにし、事実上、セルの換気を促進することができる。例えば、スコア1100Cまたは別の材料脆弱化は、ダイアフラムの破裂を促進することができる。
【0050】
セルは、ダイアフラムへ直に付着することができる破裂板1012を有する。破裂板1012は、ダイアフラム1100の破裂を円滑に行うこと(facilitate)において1つまたは複数の目的を果たすことができる。例えば、破裂板1012は、圧力上昇の間にダイアフラム1100の内側にかかる荷重を制御し、これにより、破裂が生じる時間および破裂のパターンを制御することができる。ここでのセルは、少なくとも部分的に破裂板1012とダイアフラム1100との間に位置合わせされる絶縁体1014を有する。実施形態によっては、絶縁体1014は、略円形のエレメントであってもよい。
【0051】
セルは、キャップを適所に保持し、缶1002の内容物を密封しかつ製造プロセス中の短絡を低減する、またはなくすように機能するガスケット1016を有する。例えば、ガスケット1016は、ダイアフラム1100と缶1002の開口との間を密封している。ガスケット1016は、その時点で、即ち圧着後に、ダイアフラム210上に位置合わせされる幾つかのリーフ部1108を有する。
【0052】
図10Bは、図10Aにおけるセル1000の一部分1000´を示す斜視図である。ここでは、明確を期して缶1002を省略している。したがって、本図は、ダイアフラム1100の圧着部分1100Aを覆うガスケット1016と、ダイアフラム1100の上面の一部上に延在するリーフ部1108と、ダイアフラム1100と破裂板1012との間の絶縁体1014とを示す。圧着部1100Aは、その場所でダイアフラム1100の厚さを略2倍にする折り返し部分を含んでもよい。ここで、圧着部分1100Aは、折り畳み部(fold)1020と、曲げ部(turn)1022と、折り返し部1024とを含む。 例えば、この厚さが増大した缶は、圧着および/またはシーリングをより効果的にするように機能することができる。同時に、公称的に折り返し部分の厚さの半分を有するダイアフラムの残りの部分は、スコア1100Cまたはより薄い部分1100D等のダイアフラム上の他の機能の形成を過度に複雑にしない。
【0053】
ここで、曲げ部1022は、もともとダイアフラムの外面から遠位のダイアフラムの外周であった折り畳み部1020を折り畳むことによって作製される(例えば、折り畳みは、下向きに行われるが、これは、缶の内部が位置決めされる場所に向かうことを意味する)。しかしながら、他の実装では、ダイアフラム1100は、反対方向に折り畳まれてもよく、よって、折り畳み部1020は、ダイアフラム1100の上側部分上に位置合わせされる。
【0054】
実施形態によっては、ガスケット1016は、設置後、部分的にダイアフラム1100を横切って延びるリーフ部1018を有する。例えば、電気相互接続部が缶のショルダへ付着される実装において、リーフ部1018は、その相互接続部とダイアフラムとの短絡を防止または低減し得る。しかしながら、他の実装では、ガスケットは、リーフ部を有していない。線1026は、この場合にガスケット1016がダイアフラム1100の外面上のどこで終わり得るかを略示している。例えば、このガスケット1100は、電気相互接続部が缶のショルダ上ではなく、どちらかと言えばハウジングの他の場所(例えば、円筒缶の底部)に取り付けられる実装において用いることができる。
【0055】
図11は、製造中のダイアフラムの一例1100を示す斜視図である。ダイアフラムは、1つまたは複数の機能が装備される上面1110を有する。実施形態によっては、ダイアフラム1100は、当初均一な厚さを有し、次に、1つまたは複数の部位が薄くされる。例えば、ダイアフラム1100は、CID操作のためのポップアップ動作を促進すること等のために、型押しによりテーパ外形を有してもよい。別の例として、ダイアフラムを破裂させて通気を促進すること等のために、1つまたは複数のスコアが形成されてもよい。
【0056】
ダイアフラムは、この時点では上面に対して略直角に配向されている表面1120も有する。ダイアフラムは、当初平らな円板であってもよく、次に、表面1120は、中間段階においてその現在の位置に折り畳まれている。例えば、表面1120の現行の向きは、型押しおよび/またはスコアリングを実行する際にダイアフラムを保持する場合等、ダイアフラムの取り扱いまたは処理において有用であり得る。
【0057】
図12は、図11におけるダイアフラム1100の断面を示す。この場合、上面1110は、平坦な中心部分1110Aと、テーパ部分1110Bと、折り返し部1110Cと、内面1110Dとを含む。例えば、表面1120の一部は、後に折り返し部1110Cに向かって折り畳まれてもよい。
【0058】
図13は、方法の一例のフローチャートを示す。1310では、ダイアフラムプレートが形成され、例えば、金属(例えば、アルミニウム)シートからブランクが切断される。1320では、ダイアフラムプレートが所望の形状に型押しされる。ある実施形態では、テーパ部分1110B(図12)および/またはスコア1100C(図10Aおよび図10B)が作製される。ダイアフラムは、1320における動作実行時にはその初期形状を有していてもよく、または表面1120(図11)を折り畳むこと等による何らかの方法で作製されていてもよい。1330では、ダイアフラムがその最終形状に折り畳まれる。例えば、折り畳み部1020(図10B)は、曲げ部1022を生成するように折り返し部1024へ向かって折り畳まれてもよい。1340では、絶縁体とダイアフラムとが合わされて組み立てられる。接着剤を塗布することを含む、但しこれに限定されない任意の適切な技術が使用されてもよい。
【0059】
1350では、破裂板が絶縁体/ダイアフラムアセンブリへ組み合わされる。溶接または接着剤塗布を含む、但しこれらに限定されない任意の適切な技術が使用されてもよい。1360では、ガスケットが、破裂板/絶縁体/ダイアフラムアセンブリに組み合わされる。先行のアセンブリがガスケットの内部に密着し、よって定位置に保持されることを含む、但しこれに限定されない任意の適切な技術が使用されてもよい。このステップにおけるアセンブリ(組み立て)は、時としてセルのキャップと称されるものを、製造することができる。
【0060】
1370では、キャップが缶の開口の内側に配置される(例えば、上部開口、所謂トップキャップ)。キャップ付きの缶は、次に、圧着によってキャップを缶上に固定され、セルが密封される。圧着により、缶上にショルダが作製されてもよい。例えば、厚さは、外周をセルの中心に向かって折り畳むことにより生成される。
【0061】
1380では、セル上に少なくとも1つの電気相互接続部が作製される。これには、ダイアフラムに近いセルのショルダ上に相互接続部を作製することが含まれてもよい。実施形態によっては、相互接続部は、缶上へ溶接される。例えば、レーザ溶接の使用が可能である。
【0062】
他の実装では、ステップを適宜変更することができる。例えば、別個の絶縁体が使用されない場合、ステップ1340は、省略されてもよい。一方で、絶縁体がガスケットと一体化されていれば、一体化された絶縁体の他の構成要素に対する提案者の位置合わせも達成するように、別のステップが変更されてもよい。あるいは、別の例として、このような動作は、他の動作の中における別のステップであってもよい。動作は、手動で、かつ/または(例えば、ロボット操作による)自動化動作によって実行されてもよい。
【0063】
セル製造において必要であることもある幾つかのステップは、明確を期して上記では省略されている。例えば、ある方法は、活物質(例えば、ゼリーロール)を調製するステップ、ゼリーロール上に底部絶縁体を設けるステップ、ゼリーロールを缶に挿入するステップ、上部絶縁体を設けるステップ、缶に溝を付けるステップ、ゼリーロールと缶との間にマイナス電気コネクタを作製するステップ、電気コネクタの長さを調整するステップ、缶内に電解質を加えるステップ、初充電を実行するステップ、缶を清浄化するステップ、セル重量を測定して、必要であれば電解質の量を調整するステップ、缶開口にシーリング材を塗布するステップ、キャップとゼリーロールとの間に電気接続部を作製するステップ、プレ圧着を実行するステップ、セルを圧着するステップ、および/または組み立てられたセルを清浄化するステップ、のうちの1つまたはそれ以上を含んでもよい。したがって、ある方法は、図示されているものより多いまたは少ないステップを有してもよい。別の例として、2つ以上のステップは、異なる順序で実行されてもよい。幾つかの実装は、例として説明したものである。
【0064】
以上、1つまたは複数の実施形態を、特定の機能の実行およびその関係性を示す方法ステップを用いて記述した。本明細書における、これらの機能的構成ブロックおよび方法ステップの境界および順序は、説明の便宜上任意に規定したものである。明記された機能および関係性が適正に実行される限り、代替の境界および順序が規定されてもよい。したがって、このような代替の境界または順序は何れも、クレームの精神および範囲に含まれる。さらに、これらの機能的構成ブロックの境界は、説明の便宜上任意に規定したものである。所定の重要な機能が適正に実行される限り、代替の境界が規定される可能性もある。同様に、本明細書においては、フロー図のブロックも、所定の重要な機能性を示すために任意に規定されたものであり得る。
【0065】
使用される範囲において、フロー図のブロックの境界および順序は、別段で規定されていた可能性もあり、しかもなお、所定の重要な機能を実行し得る。したがって、機能的構成ブロックおよびフロー図ブロックおよび順序の双方のこのような代替的規定は、クレームの精神および範囲に含まれる。一般的な当業者の一人であれば、本明細書に記載した機能的構成ブロックおよび他の例示的なブロック、モジュールおよび構成要素が、例示された通りに、または、離散的な構成要素、特定用途向け集積回路、適切なソフトウェアを実行するプロセッサおよびこれらに類似するもの、またはこれらの任意の組合せによって実装可能であることも認識するであろう。
【0066】
本明細書では、1つまたは複数の実施形態を用いて、1つまたは複数の態様、1つまたは複数の特徴、1つまたは複数の概念および/または1つまたは複数の実施例を例示している。装置、製品、機械および/またはプロセスの物理的な実施形態には、本明細書で論じている実施形態のうちの1つまたはそれ以上に関連して記述されている態様、特徴、概念、実施例、他のうちの1つまたはそれ以上が含まれてもよい。さらに、図ごとに、実施形態は、同一または異なる参照数字を使用し得る同一または同様の名称の機能、ステップ、モジュール、他を組み込む場合があり、よって、これらの機能、ステップ、モジュール、他は、同一または同様の機能、ステップ、モジュール、他であっても、異なるものであってもよい。
【0067】
本明細書では、1つまたは複数の実施形態の様々な機能および特徴の具体的な組合せを明示しているが、これらの特徴および機能の他の組合せも同様に可能である。本開示は、本明細書に開示した具体的な例に限定されず、これらの他の組合せを明示的に組み込むものである。
図1
図2
図2A
図3
図4A
図4B
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13