特許第6742403号(P6742403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6742403アレナウイルス科およびコロナウイルス科のウイルス感染を処置するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742403
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】アレナウイルス科およびコロナウイルス科のウイルス感染を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20200806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200806BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   A61K31/706
   A61P43/00 111
   A61P31/12
【請求項の数】48
【全頁数】209
(21)【出願番号】特願2018-513840(P2018-513840)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-531227(P2018-531227A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】US2016052092
(87)【国際公開番号】WO2017049060
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】62/219,302
(32)【優先日】2015年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/239,696
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, マイケル オニール ハンラハン
(72)【発明者】
【氏名】フェン, ジョイ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マックマン, リチャード エル.
(72)【発明者】
【氏名】レイ, エードリアン エス.
(72)【発明者】
【氏名】シーゲル, ダスティン
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−521903(JP,A)
【文献】 特表2013−541519(JP,A)
【文献】 特表2013−535453(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/002877(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/078778(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/116755(WO,A1)
【文献】 特表2013−537907(JP,A)
【文献】 特表2017−534614(JP,A)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012年,Vol.22,pp.2705-2707
【文献】 NATURE,2016年 3月17日,Vol.531,pp.381-385
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00〜 9/72
31/00〜31/80
33/00〜33/44
47/00〜47/69
A61P 1/00〜43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IVの化合物:
【化270】
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または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NH−で、任意選択で置きかえられることができ、
11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、NHまたはOHで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NH−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化271】
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c)
【化272】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化273】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)および
d)以下の式の基:
【化274】
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(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、-Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化275】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化276】
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であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)Z、または−SOであり、
は、炭素環または複素環である)
からなる群から選択され、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、そして
nはそれぞれ、独立して、0、1または2である]
を含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置するための組成物。
【請求項2】
がHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112
b)
【化277】
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および
c)
【化278】
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(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化279】
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から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
が、
【化280】
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(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化281】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
が、
【化282】
[この文献は図面を表示できません]
【化283】
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(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化284】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
が、
【化285】
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(式中、Q3bはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
3bがそれぞれ、Oであり、Rがそれぞれ、独立して
【化286】
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(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)
である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
が、
【化287】
[この文献は図面を表示できません]
である、請求項1または3から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
が、
【化288】
[この文献は図面を表示できません]
である、請求項1、3または5のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
が、
【化289】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択される)
である、請求項1または3のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
が、C〜Cアルキルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
が、
【化290】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)
である、請求項1または3のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
が、
【化291】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択される)
である、請求項1、3または12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
が、C〜Cアルキルである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
が、C〜Cアルキルである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
が、
【化292】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)
である、請求項1、3または12に記載の組成物。
【請求項17】
が、C〜Cアルキルである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
が、C〜Cアルキルである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
が、
【化293】
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からなる群から選択される、請求項1、3、5、9または12のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
が、
【化294】
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【化295】
[この文献は図面を表示できません]
である、請求項1、3、5、9または12のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
式IVの前記化合物が、
【化296】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
式IVの前記化合物が、
【化297】
[この文献は図面を表示できません]
【化298】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
式IVの前記化合物が、
【化299】
[この文献は図面を表示できません]
【化300】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
式IVの前記化合物が、
【化301】
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または薬学的に許容されるその塩である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
薬学的に許容される担体または添加剤をさらに含む、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、コルチコステロイド、抗炎症シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレノ受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動薬、粘液溶解剤、高張食塩水、およびArenaviridaeウイルス感染を処置するための他の薬物、またはそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの他の治療剤またはその組成物と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの他の治療剤が、リバビリン、ファビピラビル(T−705またはアビガンとしても公知である)、T−705一リン酸塩、T−705二リン酸塩、T−705三リン酸塩、ST−193、およびそれらの混合物である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記Arenaviridae感染が、Arenaviridaeウイルスによって引き起こされる、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記Arenaviridae感染が、ラッサウイルスによって引き起こされる、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
前記Arenaviridae感染が、フニンウイルスによって引き起こされる、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
前記Arenaviridae感染が、Josiah、NL、z148、Macenta、AVおよびCSFから選択される株によって引き起こされるラッサウイルスによって引き起こされる、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
Arenaviridaeポリメラーゼが阻害される、請求項1から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、請求項1から24のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項34】
ヒトにおけるラッサウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、請求項1から24のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項35】
請求項1から24に記載されている化合物から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩、立体異性体、水和物、溶媒和物、立体異性体の混合物もしくは互変異性体の、1つまたは複数の個々の投与量単位、およびヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染の処置においてそれらを使用するための指示を含む、ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染を処置するためのキット。
【請求項36】
Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置するための組成物であって、以下の構造:
【化339】
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を有する化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、組成物。
【請求項37】
前記化合物が、
【化340】
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または薬学的に許容されるその塩である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
薬学的に許容される担体または添加剤をさらに含む、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が、コルチコステロイド、抗炎症シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレノ受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動薬、粘液溶解剤、高張食塩水、およびCoronaviridaeウイルス感染を処置するための他の薬物、またはそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの他の治療剤またはその組成物と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項40】
前記Coronaviridae感染が、Coronaviridaeウイルスによって引き起こされる、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項41】
前記Coronaviridae感染が、SARS、MERS、229E、NL63、OC43およびHKU1から選択されるCoronaviridaeウイルスによって引き起こされる、請求項36または37に記載の組成物
【請求項42】
前記Cornaviridae感染が、SARSウイルスによって引き起こされる、請求項36または37のいずれかに記載の組成物。
【請求項43】
前記Cornaviridae感染が、MERSウイルスによって引き起こされる、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項44】
Coronaviridaeポリメラーゼが阻害される、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項45】
ヒトにおけるCoronaviridaeウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、請求項36または37に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項46】
ヒトにおけるSARSウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、請求項36または37に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項47】
ヒトにおけるMERSウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、請求項36または37に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項48】
請求項36または37に記載されている化合物から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩、立体異性体、水和物、溶媒和物、立体異性体の混合物もしくは互変異性体の、1つまたは複数の個々の投与量単位、およびヒトにおけるCoronaviridaeウイルス感染の処置においてそれらを使用するための指示を含む、ヒトにおけるCoronaviridaeウイルス感染を処置するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法§119(e)の下、2015年9月16日に出願された米国仮特許出願62/219,302号および2015年10月9日に出願された米国仮出願62/239,696号の利益を主張する。前述の出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、Arenaviridaeウイルス感染を処置するための方法および化合物、特にラッサウイルスおよびフニンウイルスを処置するための方法およびヌクレオシドおよびそのプロドラッグに関する。本発明は、一般に、Coronaviridaeウイルス感染を処置するための方法および化合物、特にSARSウイルスおよびMERSウイルスを処置するための方法およびヌクレオシドおよびそのプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0003】
ラッサウイルスは、Arenaviridaeファミリーに属する、分節ネガティブセンスRNAウイルスである。アレナウイルスは、血清学的交差反応性、系統関係および地理的分布に基づいて、旧世界および新世界ウイルス群にさらに分類される(Wulff、1978年;Bowen、1997年)。新世界アレナウイルス群は、北米(すなわち、ホワイトウォーターアロヨ(WWAV)ウイルス、タミアミ(TAMV)ウイルスおよびベアキャニオン(BCNV)ウイルス)および南米(すなわち、タカリベ(TACV)ウイルス、フニン(JUNV)ウイルス、マチュポ(MACV)ウイルス、ガナリト(GTOV)ウイルスおよびサビア(SABV)ウイルス)に蔓延しているウイルスを含む。旧世界の群は、アフリカ、欧州およびアジアに蔓延しているアレナウイルスを含む(すなわち、リンパ球性脈絡髄膜炎(LCMV)ウイルスおよびラッサ(LASV)ウイルス)。世界中に移動しているMus domesticusおよびM.musculusとの関連性のために世界中に分布しているLCMVを除くと、アレナウイルスの地理的発生は保有宿主となるげっ歯類の種の範囲により限定されている(Salazar-Bravo、2002年)。LASVの保有宿主は、サハラ以南のアフリカにおける風土病性の、Mastomys属のげっ歯類である(Salazar−Bravo、2002年)。少なくとも7種のアレナウイルスが、ヒトにおいて重症な出血性発熱を引き起こすことが公知であり、それらの中には、それぞれ、西アフリカ、アルゼンチン、ボリビア、ベネズエラおよびブラジルにおいて流行している、LASV、JUNV、MACV、GTOVおよびSABV、ならびにそれぞれザンビアおよびボリビアを起源とする最近発見されたルジョ(LUJV)ウイルスおよびチャパレ(CHAPV)ウイルスがある(Breise、2009年;Delgado、2008年)。
【0004】
ラッサウイルス(LASV)は西アフリカに特有であり(endemic)、年間、推定で300,000〜500,000人が感染している(McCormick、1987年)。伝播は、感染したげっ歯類(Mastomys natalensis)またはウイルスが混入しているげっ歯類の排泄物との接触により起こり、ヒトからヒトへの伝播が、とりわけ病院の環境内で、立証されている(McCormick、1987年)。LASVにより引き起こされる疾患は、潜在性感染から、多臓器不全と関連する中程度から重症な出血性発熱の範囲に及ぶ。LASV感染に伴う死亡率は様々であり、入院した場合、約2%〜15%の範囲となり、ある大流行するシナリオでは50%を超える恐れがある(McCormick、1987年;Fisher-Hoch、1995年)。出現率および関連罹患率および死亡率が高いにもかかわらず、ヒトにおけるLASV感染を処置するための承認を受けている治療法は存在しない。支持療法およびリバビリンの早期投与が、現在の標準治療である。
【0005】
LASVは、最初に単球、マクロファージおよび樹状細胞に感染し、全身的に広がり、内臓の感染に至る一次ウイルス血症をもたらす。ウイルスの複製は、炎症性サイトカインレベルの上昇および凝固障害の発症をもたらし、血管漏出、血液量減少性ショックおよび多臓器不全を生じる(Hensley、2011年)。
【0006】
アレナウイルスの複製は、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質NPによってカプシド封入され、かつウイルスリボヌクレオタンパク質(RNP)を含むゲノムRNAからなるウイルスRNA鋳型を利用するLポリメラーゼタンパク質によって触媒される(Buchmeier、2007年)。複製は、宿主細胞へウイルスが進入してから開始され、宿主細胞において、ウイルスRNPに会合するLポリメラーゼが、各ゲノムRNA分節LおよびSの3’−末端に位置しているゲノムプロモーターから転写を開始する。一次転写事象により、それぞれ、NPおよびS分節およびL分節からアンチゲノム配向でコードされるLポリメラーゼmRNAが合成される。転写は、ゲノム間領域(IGR)内のステム−ループ(SL)構造の遠位部で終了する。アレナウイルスは、細胞mRNAのキャップ構造を獲得するキャップスナッチング(cap snatching)戦略を利用して翻訳を促進する。キャップスナッチングは、NPのキャップ結合活性を補因子とするLポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性によって媒介され、キャップされた非ポリアデニル化mRNAを産生する。続いて、Lポリメラーゼは、レプリカーゼモードを採り、IGRを通過して移動し、完全長相補的アンチゲノムRNA(agRNA)を生成する。このagRNAは、それぞれ、GPCおよびS分節およびL分節からのゲノム配向でコードされるZ mRNAの合成、および完全長ゲノムRNA(gRNA)の合成のための鋳型として働く(Buchmeier、2007年;Franze-Fernandez、1987年;Meyer、1993年;Qi、2010年;Lelke、2010年;Morin、2010年)。
【0007】
1960年代半ばに最初に同定されたヒトコロナウイルスは、生涯のある時に大部分のヒトに感染する共通ウイルスであり、一般に、軽度から中程度の上気道および胃腸管の疾病を引き起こす。「中東呼吸器症候群コロナウイルス」(MERS−CoVまたはMERS)と呼ばれる新規なコロナウイルスが、2012年にサウジアラビアで最初に報告され、他の国のいくつかに広がっている。重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因となるコロナウイルスであるSARS−CoVは、2002年に中国で最初に認知され、2002年および2003年に世界中での大流行をもたらした。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
Arenaviridaeウイルスファミリーによって引き起こされる感染を処置するための方法および化合物が提供される。
【0009】
治療有効量の式Iの化合物:
【化1】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
はそれぞれ、Hまたはハロゲンであり、
、R、RまたはRはそれぞれ、独立して、H、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであるか、
または隣接炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になった場合、−O(CO)O−であるか、もしくはそれらが結合している環炭素原子と一緒になった場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
c)
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキルおよび−CH−(C〜C)シクロアルキルから選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される);ならびに
d)以下の式の基:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択され、
は、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、OR11またはSR11であり、
またはR10はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、OR11またはSR11であり、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
nはそれぞれ、独立して、0、1または2であり、
、R、R、R、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい]
を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0010】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物のラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、多形体、擬多形体、アモルファス形態、水和物もしくは溶媒和物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む。
【0011】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することにより、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置するステップを含む。
【0012】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することにより、ラッサウイルス感染を処置することを必要とするヒトにおいて、ラッサウイルス感染を処置するステップを含む。
【0013】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することにより、フニンウイルス感染を処置することを必要とするヒトにおいて、フニンウイルス感染を処置するステップを含む。
【0014】
別の実施形態では、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む、治療有効量の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0015】
別の実施形態では、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、少なくとも1つの追加の治療剤と組み合わせて含む、治療有効量の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0016】
別の実施形態では、本方法は、
a)式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを含む第1の医薬組成物、および
b)感染性Arenaviridaeウイルスに対して活性な少なくとも1つの追加の治療剤を含む第2の医薬組成物
を含む、治療有効量の組合せ医薬品(pharmaceutical agent)を投与するステップを含む。
【0017】
別の実施形態では、本出願は、Arenaviridae RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する方法であって、Arenaviridaeウイルスに感染している細胞を有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルと接触させるステップを含む方法を提供する。
【0018】
別の実施形態では、Arenaviridaeウイルスによって引き起こされるウイルス感染を処置するための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルの使用が提供される。
【0019】
治療有効量の式Iの化合物:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
はそれぞれ、Hまたはハロゲンであり、
、R、RまたはRはそれぞれ、独立して、H、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであるか、
または隣接炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になった場合、−O(CO)O−であるか、もしくはそれらが結合している環炭素原子と一緒になった場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
c)
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキルおよび−CH−(C〜C)シクロアルキルから選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される);ならびに
d)以下の式の基:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択され、
は、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、OR11またはSR11であり、
またはR10はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、OR11またはSR11であり、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
nはそれぞれ、独立して、0、1または2であり、
、R、R、R、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい]
を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0020】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物のラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、多形体、擬多形体、アモルファス形態、水和物もしくは溶媒和物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、それを必要とする哺乳動物に投与するステップを含む。
【0021】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することにより、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置するステップを含む。
【0022】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することにより、MERSウイルス感染を処置することを必要とするヒトにおいて、MERSウイルス感染を処置するステップを含む。
【0023】
別の実施形態では、本方法は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することにより、SARSウイルス感染を処置することを必要とするヒトにおいて、SARSウイルス感染を処置するステップを含む。
【0024】
別の実施形態では、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む、治療有効量の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0025】
別の実施形態では、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、少なくとも1つの追加の治療剤と組み合わせて含む、治療有効量の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0026】
別の実施形態では、本方法は、
a)式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを含む第1の医薬組成物、および
b)感染性Coronaviridaeウイルスに対して活性な少なくとも1つの追加の治療剤を含む第2の医薬組成物
を含む、治療有効量の組合せ医薬品を投与するステップを含む。
【0027】
別の実施形態では、本出願は、Coronaviridae RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する方法であって、Coronaviridaeウイルスに感染している細胞を有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルと接触させるステップを含む方法を提供する。
【0028】
別の実施形態では、Coronaviridaeウイルスによって引き起こされるウイルス感染を処置するための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルの使用が提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
治療有効量の式Iの化合物:
【化263】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
はそれぞれ、Hまたはハロゲンであり、
、R、RまたはRはそれぞれ、独立して、H、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであるか、
または隣接炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になった場合、−O(CO)O−であるか、もしくはそれらが結合している環炭素原子と一緒になった場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化264】
[この文献は図面を表示できません]
c)
【化265】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化266】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキルおよび−CH−(C〜C)シクロアルキルから選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される);ならびに
d)以下の式の基:
【化267】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化268】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化269】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択され、
は、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、OR11またはSR11であり、
またはR10はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、OR11またはSR11であり、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
nはそれぞれ、独立して、0、1または2であり、
、R、R、R、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい]
を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法。
(項目2)
前記化合物が、式IVの化合物:
【化270】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20ヘテロシクリル、C〜C20置換ヘテロシクリル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、
11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化271】
[この文献は図面を表示できません]
c)
【化272】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化273】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)および
d)以下の式の基:
【化274】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、-Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化275】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化276】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択される]
である、項目1に記載の方法。
(項目3)
がHである、項目1に記載の方法。
(項目4)
が、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112
b)
【化277】
[この文献は図面を表示できません]
および
c)
【化278】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化279】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)
からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
が、
【化280】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化281】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である、項目1に記載の方法。
(項目6)
が、
【化282】
[この文献は図面を表示できません]
【化283】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化284】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である、項目1、3または4のいずれかに記載の方法。
(項目7)
が、
【化285】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Q3bはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)
である、項目1に記載の方法。
(項目8)
3bがそれぞれ、Oであり、Rがそれぞれ、独立して
【化286】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)
である、項目7に記載の方法。
(項目9)
が、
【化287】
[この文献は図面を表示できません]
である、項目1または4から7のいずれかに記載の方法。
(項目10)
が、
【化288】
[この文献は図面を表示できません]
である、項目1、4または6のいずれかに記載の方法。
(項目11)
が、
【化289】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択される)
である、項目1または4のいずれかに記載の方法。
(項目12)
が、C〜Cアルキルである、項目11に記載の方法。
(項目13)
が、
【化290】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)
である、項目1または4のいずれかに記載の方法。
(項目14)
が、
【化291】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択される)
である、項目1、4または13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
が、C〜Cアルキルである、項目14に記載の方法。
(項目16)
が、C〜Cアルキルである、項目14に記載の方法。
(項目17)
が、
【化292】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)
である、項目1、4または13に記載の方法。
(項目18)
が、C〜Cアルキルである、項目17に記載の方法。
(項目19)
が、C〜Cアルキルである、項目18に記載の方法。
(項目20)
が、
【化293】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される、項目1、4、6、10または13のいずれかに記載の方法。
(項目21)
が、
【化294】
[この文献は図面を表示できません]
【化295】
[この文献は図面を表示できません]
である、項目1、4、6、10または13のいずれかに記載の方法。
(項目22)
式IVの前記化合物が、
【化296】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目1に記載の方法。
(項目23)
式IVの前記化合物が、
【化297】
[この文献は図面を表示できません]
【化298】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目1に記載の方法。
(項目24)
式IVの前記化合物が、
【化299】
[この文献は図面を表示できません]
【化300】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目1に記載の方法。
(項目25)
式IVの前記化合物が、
【化301】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目24に記載の方法。
(項目26)
薬学的に許容される担体または添加剤をさらに含む、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目27)
コルチコステロイド、抗炎症シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレノ受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動薬、粘液溶解剤、高張食塩水、およびArenaviridaeウイルス感染を処置するための他の薬物、またはそれらの混合物からなる群から選択される、治療有効量の少なくとも1つの他の治療剤またはその組成物を投与するステップをさらに含む、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記少なくとも1つの他の治療剤が、リバビリン、ファビピラビル(T−705またはアビガンとしても公知である)、T−705一リン酸塩、T−705二リン酸塩、T−705三リン酸塩、ST−193、およびそれらの混合物である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記Arenaviridae感染が、Arenaviridaeウイルスによって引き起こされる、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記Arenaviridae感染が、ラッサウイルスによって引き起こされる、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目31)
前記Arenaviridae感染が、フニンウイルスによって引き起こされる、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目32)
前記Arenaviridae感染が、Josiah、NL、z148、Macenta、AVおよびCSFから選択される株によって引き起こされるラッサウイルスによって引き起こされる、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目33)
Arenaviridaeポリメラーゼが阻害される、項目1から25のいずれかに記載の方法。
(項目34)
ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染の処置に使用するための、項目1から25のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル。
(項目35)
ヒトにおけるラッサウイルス感染の処置に使用するための、項目1から25のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル。
(項目36)
ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、項目1から25のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの使用。
(項目37)
ヒトにおけるラッサウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、項目1から25のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの使用。
(項目38)
項目1から25に記載されている化合物から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステル、立体異性体、水和物、溶媒和物、立体異性体の混合物もしくは互変異性体の、1つまたは複数の個々の投与量単位、およびヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染の処置においてそれらを使用するための指示を含むキット。
(項目39)
治療有効量の式Iの化合物:
【化302】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
はそれぞれ、Hまたはハロゲンであり、
、R、RまたはRはそれぞれ、独立して、H、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであるか、
または隣接炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になった場合、−O(CO)O−であるか、もしくはそれらが結合している環炭素原子と一緒になった場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数は、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化303】
[この文献は図面を表示できません]
c)
【化304】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化305】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキルおよび−CH−(C〜C)シクロアルキルから選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)および
d)以下の式の基:
【化306】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化307】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化308】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択され、
は、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、OR11またはSR11であり、
またはR10はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、OR11またはSR11であり、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
nはそれぞれ、独立して、0、1または2であり、
、R、R、R、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい]
を投与するステップを含む、Cornaaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Cornaaviridae感染を処置する方法。
(項目40)
前記化合物が、式IVの化合物:
【化309】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20ヘテロシクリル、C〜C20置換ヘテロシクリル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、
11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化310】
[この文献は図面を表示できません]
c)
【化311】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化312】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される);ならびに
d)以下の式の基:
【化313】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、-Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化314】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化315】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択される]
である、項目39に記載の方法。
(項目41)
がHである、項目39に記載の方法。
(項目42)
が、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112
b)
【化316】
[この文献は図面を表示できません]
および
c)
【化317】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化318】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)
からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目43)
が、
【化319】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化320】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である、項目39に記載の方法。
(項目44)
が、
【化321】
[この文献は図面を表示できません]
【化322】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化323】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である、項目39、41または42のいずれかに記載の方法。
(項目45)
が、
【化324】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Q3bはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)
である、項目39に記載の方法。
(項目46)
3bがそれぞれ、Oであり、Rがそれぞれ、独立して
【化325】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)
である、項目45に記載の方法。
(項目47)
が、
【化326】
[この文献は図面を表示できません]
である、項目39または42から45のいずれかに記載の方法。
(項目48)
が、
【化327】
[この文献は図面を表示できません]
である、項目39、42または44のいずれかに記載の方法。
(項目49)
が、
【化328】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択される)
である、項目39または42のいずれかに記載の方法。
(項目50)
が、C〜Cアルキルである、項目49に記載の方法。
(項目51)
が、
【化329】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)
である、項目39または42のいずれかに記載の方法。
(項目52)
が、
【化330】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択される)
である、項目39、42または51のいずれかに記載の方法。
(項目53)
が、C〜Cアルキルである、項目52に記載の方法。
(項目54)
が、C〜Cアルキルである、項目52に記載の方法。
(項目55)
が、
【化331】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)
である、項目39、42または51に記載の方法。
(項目56)
が、C〜Cアルキルである、項目55に記載の方法。
(項目57)
が、
【化332】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される、項目39、42、44、48または51のいずれかに記載の方法。
(項目58)
が、
【化333】
[この文献は図面を表示できません]
【化334】
[この文献は図面を表示できません]
である、項目39、42、44、48または51のいずれかに記載の方法。
(項目59)
式IVの前記化合物が、
【化335】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目39に記載の方法。
(項目60)
式IVの前記化合物が、
【化336】
[この文献は図面を表示できません]
【化337】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目39に記載の方法。
(項目61)
式IVの前記化合物が、
【化338】
[この文献は図面を表示できません]
【化339】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目39に記載の方法。
(項目62)
式IVの前記化合物が、
【化340】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである、項目61に記載の方法。
(項目63)
薬学的に許容される担体または添加剤をさらに含む、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目64)
コルチコステロイド、抗炎症シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレノ受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動薬、粘液溶解剤、高張食塩水、およびCoronaviridaeウイルス感染を処置するための他の薬物、またはそれらの混合物からなる群から選択される、治療有効量の少なくとも1つの他の治療剤またはその組成物を投与するステップをさらに含む、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目65)
前記Coronaviridae感染が、Coronaviridaeウイルスによって引き起こされる、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目66)
前記Coronaviridae感染が、SARS、MERS、229E、NL63、OC43およびHKU1から選択されるCoronaviridaeウイルスによって引き起こされる、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目67)
前記Cornaviridae感染が、SARSウイルスによって引き起こされる、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目68)
前記Cornaviridae感染が、MERSウイルスによって引き起こされる、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目69)
Coronaviridaeポリメラーゼが阻害される、項目39から62のいずれかに記載の方法。
(項目70)
ヒトにおけるCoronaviridaeウイルス感染の処置に使用するための、項目39から62のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル。
(項目71)
ヒトにおけるSARSウイルス感染の処置に使用するための、項目39から62のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル。
(項目72)
ヒトにおけるMERSウイルス感染の処置に使用するための、項目39から62のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル。
(項目73)
ヒトにおけるCoronaviridaeウイルス感染の処置に有用な医薬の調製に使用するための、項目39から62のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの使用。
(項目74)
項目39から62に記載されている化合物から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステル、立体異性体、水和物、溶媒和物、立体異性体の混合物もしくは互変異性体の、1つまたは複数の個々の投与量単位、およびヒトにおけるCoronaviridaeウイルス感染の処置においてそれらを使用するための指示を含むキット。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、ビヒクル処置マウスおよび化合物32処置マウスにおける、感染後の体重変化を示すグラフである。
【0030】
図2図2Aおよび図2Bは、ビヒクル処置マウスおよび化合物32処置マウスにおける、感染後、2日目および5日目における肺組織のウイルス負荷を示すグラフである。
【0031】
図3図3A〜Fは、SARS−CoVに感染したマウスの全身プレチスモグラフィーを示すグラフである。
【0032】
図4-1】図4Aは、ビヒクル処置サルおよび化合物32処置サルにおける、感染後の体重変化を示すグラフである。
【0033】
図4-2】図4Bは、ビヒクル処置サルおよび化合物32処置サルにおける、感染後の体温変化を示すグラフである。
【0034】
図4-3】図4Cは、ビヒクル処置サルおよび化合物32処置サルにおける、感染後の呼吸数変化を示すグラフである。
【0035】
図5図5は、処置群による、組織におけるウイルスRNAの濃度を示すグラフである。ウイルス負荷は、qRT−PCRにより測定した。
【発明を実施するための形態】
【0036】
I.定義
別段明記しない限り、本明細書で使用する以下の用語および句は、以下の意味を有することが意図されている。
【0037】
商標名が本明細書において使用されている場合、本出願人らは、商標名の製品およびその商標名の製品の活性医薬成分(複数可)を独立して含むことを意図している。
【0038】
本明細書で使用する場合、「本発明の化合物」または「式Iの化合物」は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を意味する。同様に、単離可能な中間体に関すると、句「式(数字)の化合物」は、その式の化合物および薬学的に許容されるその塩を意味する。
【0039】
「アルキル」は、ノルマル、二級、三級または環式炭素原子を含有する炭化水素である。例えば、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルキル)、1〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)を有することができる。好適なアルキル基の例には、以下に限定されないが、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、およびオクチル(−(CHCH)が含まれる。
【0040】
「アルコキシ」は、上で定義されているアルキル基が、酸素原子を介して親分子に結合している、式−O−アルキルを有する基を意味する。アルコキシ基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルコキシ)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C〜C12アルコキシ)または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルコキシ)を有することができる。好適なアルコキシ基の例には、以下に限定されないが、メトキシ(−O−CHまたは−OMe)、エトキシ(−OCHCHまたは−OEt)、およびt−ブトキシ(−O−C(CHまたは−OtBu)などが含まれる。
【0041】
「ハロアルキル」は、アルキル基の1個または複数の水素原子がハロゲン原子で置きかえられている、上記で定義したアルキル基である。ハロアルキル基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20ハロアルキル)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C〜C12ハロアルキル)または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)を有することができる。好適なハロアルキル基の例には、以下に限定されないが、−CF、−CHF、−CFH、および−CHCFなどが含まれる。
【0042】
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素sp二重結合を有するノルマル、二級、三級または環式炭素原子を含有する、炭化水素である。例えば、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルケニル)、2〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)または2〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルケニル)を有することができる。好適なアルケニル基の例には、以下に限定されないが、エチレンまたはビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、シクロペンテニル(−C)および5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)が含まれる。
【0043】
「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素sp三重結合を有するノルマル、二級、三級または環式炭素原子を含有する、炭化水素である。例えば、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルキニル)、2〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキン(alkyne))または2〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキニル)を有することができる。好適なアルキニル基の例には、以下に限定されないが、アセチレン(acetylenic)(−C≡CH)、およびプロパルギル(−CHC≡CH)などが含まれる。
【0044】
「アルキレン」とは、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子から、2個の水素原子を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有する、飽和の分岐鎖または直鎖または環式炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルキレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルキレンラジカルには、以下に限定されないが、メチレン(−CH−)、1,1−エチル(−CH(CH)−)、1,2−エチル(−CHCH−)、1,1−プロピル(−CH(CHCH)−)、1,2−プロピル(−CHCH(CH)−)、1,3−プロピル(−CHCHCH−)、および1,4−ブチル(−CHCHCHCH−)などが含まれる。
【0045】
「アルケニレン」とは、親アルケンの同じまたは2個の異なる炭素原子から、2個の水素原子を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有する、不飽和の分岐鎖または直鎖または環式炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルケニレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルケニレンラジカルには、以下に限定されないが、1,2−エチレン(−CH=CH−)が含まれる。
【0046】
「アルキニレン」とは、親アルキンの同じまたは2個の異なる炭素原子から、2個の水素原子を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有する、不飽和の分岐鎖または直鎖または環式炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルキニレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアルキニレンラジカルには、以下に限定されないが、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC≡C−)および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡C−)が含まれる。
【0047】
「アミノ」とは、一般に、式−N(X)を有するアンモニアの誘導体と見なすことができる窒素ラジカルを指し、「X」はそれぞれ、独立して、H、置換または無置換アルキル、置換または無置換カルボシクリル、置換または無置換ヘテロシクリルなどである。窒素のハイブリダイゼーションは、ほぼspである。アミノの非限定タイプには、−NH、−N(アルキル)、−NH(アルキル)、−N(カルボシクリル)、−NH(カルボシクリル)、−N(ヘテロシクリル)、−NH(ヘテロシクリル)、−N(アリール)、−NH(アリール)、−N(アルキル)(アリール)、−N(アルキル)(ヘテロシクリル)、−N(カルボシクリル)(ヘテロシクリル)、−N(アリール)(ヘテロアリール)、−N(アルキル)(ヘテロアリール)などが含まれる。用語「アルキルアミノ」とは、少なくとも1つのアルキル基で置換されているアミノ基を指す。アミノ基の非限定例には、−NH、−NH(CH)、−N(CH、−NH(CHCH)、−N(CHCH、−NH(フェニル)、−N(フェニル)、−NH(ベンジル)、−N(ベンジル)などが含まれる。置換アルキルアミノとは、一般に、本明細書で定義されている少なくとも1つの置換アルキルが、アミノ窒素原子に結合している、上で定義されているアルキルアミノ基を指す。置換アルキルアミノの非限定例には、−NH(アルキレン−C(O)−OH)、−NH(アルキレン−C(O)−O−アルキル)、−N(アルキレン−C(O)−OH)、−N(アルキレン−C(O)−O−アルキル)などが含まれる。
【0048】
「アリール」は、親の芳香族環系の単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導される、芳香族炭化水素ラジカルを意味する。例えば、アリール基は、6〜20個の炭素原子、6〜14個の炭素原子または6〜10個の炭素原子を有することができる。典型的なアリール基には、以下に限定されないが、ベンゼン(例えば、フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、およびビフェニルなどから誘導されるラジカルが含まれる。
【0049】
「アリールアルキル」とは、炭素原子、通常、末端炭素原子またはsp炭素原子に結合している水素原子の1個が、アリールラジカルで置きかえられている、非環式アルキルラジカルを指す。典型的なアリールアルキル基には、以下に限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、および2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれる。アリールアルキル基は、7〜20個の炭素原子を含むことができ、例えばアルキル部分は1〜6個の炭素原子であり、アリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0050】
「アリールアルケニル」とは、炭素原子、通常、末端炭素原子またはsp炭素原子、それだけではなくsp炭素原子にも結合している水素原子の1個が、アリールラジカルで置きかえられている、非環式アルケニルラジカルを指す。アリールアルケニルのアリール部分は、例えば、本明細書において開示されているアリール基のいずれかを含むことができ、アリールアルケニルのアルケニル部分は、例えば、本明細書において開示されているアルケニル基のいずれかを含むことができる。アリールアルケニル基は、8〜20個の炭素原子を含むことができ、例えばアルケニル部分は2〜6個の炭素原子であり、アリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0051】
「アリールアルキニル」とは、炭素原子、通常、末端炭素原子またはsp炭素原子、それだけではなくsp炭素原子にも結合している水素原子の1個が、アリールラジカルで置きかえられている、非環式アルキニルラジカルを指す。アリールアルキニルのアリール部分は、例えば、本明細書において開示されているアリール基のいずれかを含むことができ、アリールアルキニルのアルキニル部分は、例えば、本明細書において開示されているアルキニル基のいずれかを含むことができる。アリールアルキニル基は、8〜20個の炭素原子を含むことができ、例えばアルキニル部分は2〜6個の炭素原子であり、アリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0052】
アルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、カルボシクリルなどに関連する用語「置換されている」、例えば、「置換アルキル」、「置換アルキレン」、「置換アリール」、「置換アリールアルキル」、「置換ヘテロシクリル」および「置換カルボシクリル」は、1個または複数の水素原子が、非水素置換基でそれぞれ独立して置きかえられている、アルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、カルボシクリルをそれぞれ意味する。典型的な置換基には、以下に限定されないが、−X、−R、−O、=O、−OR、−SR、−S、−NR、−N、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NHC(=O)R、−OC(=O)R、−NHC(=O)NR、−S(=O)−、−S(=O)OH、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR、−P(=O)(O、−P(=O)(OH)、−P(O)(OR)(O)、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−C(O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NR、−C(S)NR、−C(=NR)NRが含まれ、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン:F、Cl、BrまたはIであり、Rはそれぞれ、独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分である。アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基もまた同様に置換されていてもよい。別段示さない限り、用語「置換されている」が、2つまたはそれより多い置換可能な部分を有するアリールアルキルなどの基と共に使用される場合、この置換基は、アリール部分、アルキル部分またはそれらの両方に結合することができる。
【0053】
「プロドラッグ」は、ヒト身体へ投与されると、ある化学的経路または酵素経路により、生物学的に活性な親薬物に変換される、薬物の生物学的に不活性な誘導体として、製薬分野で定義されている。
【0054】
当業者は、式I〜IVの化合物の置換基および他の部分は、許容される安定な医薬組成物に製剤化することができる、薬学的に有用な化合物をもたらすのに十分に安定な化合物を提供するために選択されるべきであることを認識している。このような安定性を有する式I〜IVの化合物は、本発明の範囲内に収まるものとして企図される。
【0055】
「ヘテロアルキル」とは、1個または複数の炭素原子が、O、NまたはSなどのヘテロ原子で置きかえられている、アルキル基を指す。例えば、親分子に結合しているアルキル基の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)で置きかえられている場合、生じるヘテロアルキル基は、それぞれ、アルコキシ基(例えば、−OCHなど)、アミン(例えば、−NHCH、−N(CHなど)またはチオアルキル基(例えば、−SCH)である。親分子に結合していないアルキル基の非末端炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)で置きかえられている場合、生じるヘテロアルキル基は、それぞれ、アルキルエーテル(例えば、−CHCH−O−CHなど)、アルキルアミン(例えば、−CHNHCH、−CHN(CHなど)またはチオアルキルエーテル(例えば,−CH−S−CH)である。アルキル基の末端炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)で置きかえられている場合、生じたヘテロアルキル基は、それぞれ、ヒドロキシアルキル基(例えば、−CHCH−OH)、アミノアルキル基(例えば、−CHNH)またはアルキルチオール基(例えば、−CHCH−SH)である。ヘテロアルキル基は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有することができる。C〜Cヘテロアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するヘテロアルキル基を意味する。
【0056】
「複素環」または「ヘテロシクリル」には、本明細書で使用する場合、例として、および非限定的に、Paquette, Leo A.; Principles of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A. Benjamin、New York、1968年)、特に第1、3、4、6、7および9章;The Chemistry of Heterocyclic Compounds、ASeries of Monographs(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在)、特に13、14、16、19および28巻;およびJ.Am. Chem. Soc.(1960年)82巻:5566頁に記載されている、そのような複素環が含まれる。本発明の特定の一実施形態では、「複素環」は、1個または複数(例えば1個、2個、3個または4個)の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)で置きかえられている、本明細書で定義されている「炭素環」を含む。用語「複素環」または「ヘテロシクリル」には、飽和環、部分不飽和環、および芳香族環(すなわち、複素芳香族環)が含まれる。置換ヘテロシクリルには、例えば、カルボニル基を含む、本明細書において開示されている置換基のいずれかで置換されている複素環式環が含まれる。カルボニル置換ヘテロシクリルの非限定例は、
【化15】
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である。
【0057】
複素環の例には、例として、および非限定的に、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄が酸化されているテトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル(indazoly)、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシンドリル、ベンゾオキサゾリニル、イサチノイル、およびビス−テトラヒドロフラニル:
【化16】
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が含まれる。
【0058】
例として、および非限定的に、炭素が結合している複素環は、ピリジンの2、3、4、5もしくは6位、ピリダジンの3、4、5もしくは6位、ピリミジンの2、4、5もしくは6位、ピラジンの2、3、5もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4もしくは5位、イソオキサゾール、ピラゾールもしくはイソチアゾールの3、4もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7もしくは8位において結合している。さらに一層、典型的には、炭素が結合している複素環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルが含まれる。
【0059】
例として、および非限定的に、窒素が結合している複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位において結合している。さらに一層、典型的には、窒素が結合している複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルが含まれる。
【0060】
「ヘテロシクリルアルキル」とは、炭素原子、通常、末端炭素原子またはsp炭素原子に結合している水素原子の1個が、ヘテロシクリルラジカルで置きかえられている(すなわち、ヘテロシクリル−アルキレン部分)、非環式アルキルラジカルを指す。典型的なヘテロシクリルアルキル基には、以下に限定されないが、ヘテロシクリル−CH−、および2−(ヘテロシクリル)エタン−1−イルなどが含まれ、「ヘテロシクリル」部分は、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているものを含めた、上記のヘテロシクリル基のいずれかを含む。当業者は、ヘテロシクリル基は、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、ヘテロシクリルアルキルのアルキル部分に結合することができるが、但し、生じる基は化学的に安定であることを条件とすることをやはり理解する。ヘテロシクリルアルキル基は、3〜20個の炭素原子を含み、例えばアリールアルキル基のアルキル部分は1〜6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は2〜14個の炭素原子である。ヘテロシクリルアルキルの例には、例として、および非限定的に、5員の硫黄、酸素および/または窒素含有複素環(例えば、チアゾリルメチル、2−チアゾリルエタン−1−イル、イミダゾリルメチル、オキサゾリルメチル、チアジアゾリルメチルなど)、6員の硫黄、酸素および/または窒素含有複素環(例えば、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル、モルホリニルメチル、ピリジニルメチル、ピリジジルメチル(pyridizylmethyl)、ピリミジルメチル、ピラジニルメチルなど)が含まれる。
【0061】
「ヘテロシクリルアルケニル」とは、炭素原子、通常、末端炭素原子またはsp炭素原子、それだけではなくsp炭素原子にも結合している水素原子の1個が、ヘテロシクリルラジカルで置きかえられている(すなわち、ヘテロシクリル−アルケニレン部分)、非環式アルケニルラジカルを指す。ヘテロシクリルアルケニル基のヘテロシクリル部分は、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているものを含めた、本明細書に記載されているヘテロシクリル基のいずれかを含み、ヘテロシクリルアルケニル基のアルケニル部分は、本明細書において開示されているアルケニル基のいずれかを含む。当業者は、ヘテロシクリル基は、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、ヘテロシクリルアルケニルのアルケニル部分に結合することができるが、但し、生じる基は化学的に安定であることを条件とすることをやはり理解する。ヘテロシクリルアルケニル基は、4〜20個の炭素原子を含み、例えばヘテロシクリルアルケニル基のアルケニル部分は2〜6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は2〜14個の炭素原子である。
【0062】
「ヘテロシクリルアルキニル」とは、炭素原子、通常、末端炭素原子またはsp炭素原子、それだけではなくsp炭素原子にも結合している水素原子の1個が、ヘテロシクリルラジカルで置きかえられている(すなわち、ヘテロシクリル−アルキニレン部分)、非環式アルキニルラジカルを指す。ヘテロシクリルアルキニル基のヘテロシクリル部分は、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているものを含めた、本明細書に記載されているヘテロシクリル基のいずれかを含み、ヘテロシクリルアルキニル基のアルキニル部分は、本明細書において開示されているアルキニル基のいずれかを含む。当業者は、ヘテロシクリル基は、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、ヘテロシクリルアルキニルのアルキニル部分に結合することができるが、但し、生じる基は化学的に安定であることを条件とすることをやはり理解する。ヘテロシクリルアルキニル基は、4〜20個の炭素原子を含み、例えばヘテロシクリルアルキニル基のアルキニル部分は2〜6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は2〜14個の炭素原子である。
【0063】
「ヘテロアリール」は、環中の少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族ヘテロシクリルを指す。芳香族環に含まれ得る好適なヘテロ原子の非限定例は、酸素、硫黄および窒素を含む。ヘテロアリール環の非限定例には、ピリジニル、ピロリル、オキサゾリル、インドリル、イソインドリル、プリニル、フラニル、チエニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、キノリル、イソキノリル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジルなどを含めた、「ヘテロシクリル」の定義に列記されているそのような芳香族環のすべてが含まれる。
【0064】
「炭素環」または「カルボシクリル」とは、飽和環(すなわち、シクロアルキル)、部分不飽和環(例えば、シクロアルケニル(cycloakenyl)、シクロアルカジエニルなど)または単環として3〜7個の炭素原子、二環として7〜12個の炭素原子および多環として最大で約20個までの炭素原子を有する芳香族環を指す。単環式炭素環は、3〜7個の環原子、さらに一層典型的には、5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として配列されている7〜12個の環原子、またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配列されている9個もしくは10個の環原子を有するか、またはスピロ縮合環を有する。単環式炭素環の非限定例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニルおよびフェニルが含まれる。ビシクロ炭素環の非限定例には、ナフチル、テトラヒドロナフタレン(tetrahydronapthalene)およびデカリンが含まれる。
【0065】
「カルボシクリルアルキル」とは、炭素原子に結合している水素原子の1個が、本明細書に記載されているカルボシクリルラジカルで置きかえられている、非環式アルキル(akyl)ラジカルを指す。典型的であるが非限定的な、カルボシクリルアルキル基の例には、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルおよびシクロヘキシルメチルが含まれる。
【0066】
「アリールヘテロアルキル」とは、水素原子(炭素原子またはヘテロ原子のどちらかに結合され得る)が、本明細書で定義されているアリール基で置きかえられている、本明細書で定義されているヘテロアルキルを指す。アリール基は、ヘテロアルキル基の炭素原子に、またはヘテロアルキル基のヘテロ原子に結合していてもよいが、但し、生じるアリールヘテロアルキル基は、化学的に安定な部分をもたらすことを条件とする。例えば、アリールヘテロアルキル基は、一般式である、−アルキレン−O−アリール、−アルキレン−O−アルキレン−アリール、−アルキレン−NH−アリール、−アルキレン−NH−アルキレン−アリール、−アルキレン−S−アリール、−アルキレン−S−アルキレン−アリールなどを有することができる。さらに、上記の一般式中のアルキレン部分のいずれも、本明細書において定義されているかまたは例示されている置換基のいずれかでさらに置換され得る。
【0067】
「ヘテロアリールアルキル」とは、水素原子が本明細書において定義されているヘテロアリール基で置きかえられた、本明細書で定義されているアルキル基を指す。ヘテロアリールアルキルの非限定例には、−CH−ピリジニル、−CH−ピロリル、−CH−オキサゾリル、−CH−インドリル、−CH−イソインドリル、−CH−プリニル、−CH−フラニル、−CH−チエニル、−CH−ベンゾフラニル、−CH−ベンゾチオフェニル、−CH−カルバゾリル、−CH−イミダゾリル、−CH−チアゾリル、−CH−イソオキサゾリル、−CH−ピラゾリル、−CH−イソチアゾリル、−CH−キノリル、−CH−イソキノリル、−CH−ピリダジル、−CH−ピリミジル、−CH−ピラジル、−CH(CH)−ピリジニル、−CH(CH)−ピロリル、−CH(CH)−オキサゾリル、−CH(CH)−インドリル、−CH(CH)−イソインドリル、−CH(CH)−プリニル、−CH(CH)−フラニル、−CH(CH)−チエニル、−CH(CH)−ベンゾフラニル、−CH(CH)−ベンゾチオフェニル、−CH(CH)−カルバゾリル、−CH(CH)−イミダゾリル、−CH(CH)−チアゾリル、−CH(CH)−イソオキサゾリル、−CH(CH)−ピラゾリル、−CH(CH)−イソチアゾリル、−CH(CH)−キノリル、−CH(CH)−イソキノリル、−CH(CH)−ピリダジル、−CH(CH)−ピリミジル、−CH(CH)−ピラジルなどが含まれる。
【0068】
式I〜IVの化合物の特定の部分(例えば、任意選択で置換されているアリール基)に関連する用語「任意選択で置換されている」とは、ある部分であって、すべての置換基が水素であるか、またはその部分の水素の1個または複数が、「置換されている」の定義で列記されているものなどの置換基によって置きかえられてもよい部分を指す。
【0069】
式I〜IVの化合物の特定の部分(例えば、前記(C〜C)アルキルの炭素原子が、任意選択で、−O−、−S−または−NR−により置きかえられていてもよい)に関連する用語「任意選択で置きかえされている」とは、(C〜C)アルキルのメチレン基の1つまたは複数が、指定した基(例えば、−O−、−S−または−NR−)の0、1つ、2つまたはそれよりも多くにより置きかえられていてもよいことを意味する。
【0070】
アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン部分に関連する用語「非末端炭素原子(複数可)」とは、その部分の第1の炭素原子とその部分の最後の炭素原子との間に介在している部分の炭素原子を指す。したがって、例として、および非限定的に、アルキル部分−CH(C)H(C)HCHまたはアルキレン部分−CH(C)H(C)HCH−において、C原子は、非末端炭素原子と見なされる。
【0071】
ある特定のQおよびQ選択肢は、N(O)(R)またはN(O)(OR)などの窒素酸化物である。この場合に、炭素原子に結合して示されているこれらの窒素酸化物は、それぞれ、
【化17】
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などの電荷分離基(charge separated group)によって表すこともでき、本発明を記載する目的の場合、前述の表示と等価であることを意図している。
【0072】
「連結基」または「連結」は、共有結合または原子鎖を含む化学部分を意味する。連結基には、アルキルオキシ(例えば、ポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)およびアルキルアミノ(例えば、ポリエチレンアミノ、Jeffamine(商標));ならびに二酸エステルおよびアミド(コハク酸エステル、コハク酸アミド、ジグリコ−ル酸エステル、マロン酸エステルおよびカプロアミドを含む)の繰り返し単位が含まれる。
【0073】
「酸素連結している」、「窒素連結している」、「炭素連結している」、「硫黄連結している」または「リン連結している」などの用語は、2つの部分の間の結合が、ある部分における1つより多いタイプの原子を使用することによって形成され得る場合、それらの部分間に形成される結合が指定された原子を介したものであることを意味する。例えば、窒素連結しているアミノ酸は、アミノ酸の酸素原子または炭素原子を介するのではなく、アミノ酸の窒素原子を介して結合している。
【0074】
式I〜IVの化合物の一部の実施形態では、ZまたはZの1つまたは複数は、独立して、窒素連結している天然に存在するα−アミノ酸エステルのラジカルである。天然に存在するアミノ酸の例には、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチンおよびタウリンが含まれる。これらのアミノ酸のエステルは、置換基Rに関して記載されているもの、特にRが、任意選択で置換されている(C〜C)アルキルであるもののいずれかを含む。
【0075】
用語「プリン」または「ピリミジン」塩基は、以下に限定されないが、アデニン、N−アルキルプリン、N−アシルプリン(アシルは、C(O)(アルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル)である)、N−ベンジルプリン、N−ハロプリン、N−ビニルプリン、N−アセチレンプリン、N−アシルプリン、N−ヒドロキシアルキルプリン、N−アリルアミノプリン、N−チオアリルプリン、N−アルキルプリン、N−アルキル−6−チオプリン、チミン、シトシン、5−フルオロシトシン、5−メチルシトシン、6−アザピリミジン(6−アザシトシンを含む)、2−および/または4−メルカプトピリミジン(mercaptopyrmidine)、ウラシル、5−ハロウラシル(5−フルオロウラシルを含む)、C−アルキルピリミジン、C−ベンジルピリミジン、C−ハロピリミジン、C−ビニルピリミジン、C−アセチレンピリミジン、C−アシルピリミジン、C−ヒドロキシアルキルプリン、C−アミドピリミジン、C−シアノピリミジン、C−5−ヨードピリミジン、C−ヨード−ピリミジン、C−Br−ビニルピリミジン、C−Br−ビニルピリミジン(pyriniidine)、C−ニトロピリミジン、C−アミノ−ピリミジン、N−アルキルプリン、N−アルキル−6−チオプリン、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニルおよびピラゾロピリミジニルを含む。プリン塩基は、以下に限定されないが、グアニン、アデニン、ヒポキサンチン、2,6−ジアミノプリンおよび6−クロロプリンを含む。式I〜IIIのプリン塩基およびピリミジン塩基は、塩基の窒素原子を介して、リボース糖またはその類似体に連結している。塩基上の官能性酸素基および窒素基は、必要に応じてまたは所望に応じて保護され得る。好適な保護基は、当業者に周知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt-ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、およびアシル基(アセチルおよびプロピオニルなど)、メタンスルホニル、およびp−トルエンスルホニルを含む。
【0076】
別段の指定がない限り、式I〜IVの化合物の炭素原子は、価数4を有することが意図されている。炭素原子が、結合して価数4を提示する十分な数の可変物を有していない一部の化学構造の表示では、価数4を提示するのに必要な残りの炭素置換基は、水素と仮定するべきである。例えば、
【化18】
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は、
【化19】
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と同じ意味を有する。
【0077】
「保護基」とは、全体として、官能基の特性または化合物の特性をマスクするまたは改変する化合物の部分を指す。保護基の化学部分構造は、幅広く様々である。保護基の機能の1つは、親原薬(parental drug substance)の合成における中間体として働くことである。保護/脱保護のための化学保護基および戦略は、当分野において周知である。「Protective Groups in Organic Chemistry」、TheodoraW. Greene(John Wiley & Sons, Inc.、New York、1991年)を参照されたい。保護基は、所望の化学反応、例えば、化学結合の順番通りのおよび計画的な作製および開裂の効率を支援するため、ある特定の官能基の反応性をマスクするために利用されることが多い。化合物の官能基の保護は、一般的な分析手段によって測定することができる、極性、脂溶性(疎水性)および他の特性などの保護官能基の反応性に加えて、他の物理特性を改変する。化学的に保護されている中間体は、それ自体、生物学的に活性または不活性であってもよい。「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ基(−OH)の保護に有用な、そうした保護基を指す。
【0078】
保護化合物はまた、改変された特性、および一部の場合、細胞膜を介する通過、および酵素分解または隔離(sequestration)に対する抵抗性などのin vitroおよびin vivoでの最適化特性を示し得る。この役割では、所期の治療効果を有する保護化合物は、プロドラッグと呼ばれることがある。保護基の別の機能は、親薬物をプロドラッグに変換することであり、これにより、この親薬物は、in vivoにおいて、プロドラッグの変換の際に放出される。活性なプロドラッグは、親薬物よりも有効に吸収され得るので、プロドラッグは、in vivoで、親薬物よりも高い効力を有し得る。保護基は、化学中間体の場合、in vitroで、またはプロドラッグの場合、in vivoでのどちらかで除去される。化学中間体では、一般に生成物が生理学的に無害である場合にはより望ましいが、脱保護後に得られる生成物、例えばアルコールが生理学的に許容され得るかということは特に重要ではない。
【0079】
用語「キラルの」とは、その鏡像パートナーを重ね合わせることができない特性を有する分子を指す一方、用語「アキラル」とは、その鏡像パートナーに重ね合わせることが可能な分子を指す。
【0080】
用語「立体異性体」とは、同一の化学組成(chemical constitution)を有するが、原子または基の空間配列に関して、異なる化合物を指す。
【0081】
「ジアステレオマー」とは、2つまたはそれよりも多いキラル中心を有する立体異性体であって、それらの分子が互いに鏡像ではない、立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、反応性および生物特性を有する。例えば、式I〜IVの化合物は、Rが、
【化20】
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であり、ZおよびZが異なる場合、キラルなリン原子を有することができる。ZまたはZのどちらかの少なくとも一方もやはり、キラル中心を有する場合、例えば、ZまたはZが窒素連結しているキラルな天然に存在するα−アミノ酸エステルである場合、式I〜IVの化合物は、分子中に2つのキラリティーの中心が存在するので、ジアステレオマーとして存在する。このようなジアステレオマーのすべて、および本明細書に記載されているその使用が、本発明により包含されている。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動、結晶化および/またはクロマトグラフィーなどの高分解能分析手順で分離することができる。ジアステレオマーは、以下に限定されないが、溶解度、化学安定性および結晶化度などの異なる物理属性を有することができ、以下に限定されないが、酵素安定性、吸収および代謝安定性などの異なる生物特性をやはり有し得る。
【0082】
「鏡像異性体」は、相互に重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0083】
量に関して使用される修飾語(modifier)「約」は、確定された値を含み、その文脈によって示されている意味を有する(例えば、特定の量の測定に伴う誤差程度を含む)。
【0084】
用語「処置する」は、本明細書で使用する場合、別段示さない限り、このような用語が該当する障害または状態、あるいはこうした障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の進行を好転させる、緩和する、阻害する、またはそれらを予防することを意味する。用語「処置」とは、本明細書で使用する場合、「処置する」が直前に定義されている通り、処置行為を指す。
【0085】
用語「治療有効量」は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載されている組成物中に存在している式I〜IVの化合物の量であって、こうした組成物を選択した投与経路により投与した場合、処置される被験体の気道および肺の分泌物および組織における、または代替として血流における薬物の所望のレベルを実現して、予期される生理学的応答または所望の生物学的効果をもたらすのに必要な量である。正確な量は、多数の要因、例えば具体的な式I〜IVの化合物、組成物の比活性、用いられる送達デバイス、組成物の物理的特徴、その所期の使用、および疾患状態の重症度、患者の協力などの患者の考えなどに依存し、本明細書において提供されている情報に基づいて、当業者により容易に決定することができる。
【0086】
用語「ノーマルセーライン」は、0.9%(w/v)のNaClを含有している水溶液を意味する。
【0087】
用語「高張食塩水」は、0.9%(w/v)超のNaClを含有している水溶液を意味する。例えば、3%の高張食塩水は、3%(w/v)のNaClを含有する。
【0088】
「反応混合物を形成する」とは、少なくとも2つの個別の化学種が一緒に混じり、反応することができるよう、それらが接触するプロセスを指す。しかし、得られた反応生成物は、添加した試薬間の反応から、または反応混合物中で生成することができる添加した試薬のうちの1つもしくは複数からの中間体から、直接、生成することができることを理解すべきである。
【0089】
「カップリング剤」とは、2つの異なる化合物をカップリングすることができる作用剤を指す。カップリング剤は、触媒的または化学量論的とすることができる。例えば、カップリング剤は、リチウムをベースとするカップリング剤、またはグリニャール試薬などのマグネシウムをベースとするカップリング剤とすることができる。例示的なカップリング剤には、以下に限定されないが、n−BuLi、MgCl、iPrMgCl、tBuMgCl、PhMgClまたはそれらの組合せが含まれる。
【0090】
「シラン」とは、式SiRを有するケイ素含有基を指し、R基はそれぞれ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、フェニルまたは他のケイ素含有基とすることができる。シランが別の化合物に連結している場合、このシランは、「シリル」と称され、式−SiRを有する。
【0091】
「ハロ−シラン」とは、ケイ素原子に連結している少なくとも1つのハロゲン基を有するシランを指す。代表的なハロ−シランは、式ハロ−SiRを有しており、R基はそれぞれ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、フェニルまたは他のケイ素含有基とすることができる。特定のハロ−シランには、Cl−Si(CHおよびCl−Si(CHCHCHSi(CH−Clが含まれる。
【0092】
「非求核性塩基」とは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジンおよびキヌクリジンを含む窒素塩基などの、電子供与体であるルイス塩基を指す。
【0093】
「脱離基」とは、不均一結合開裂の間に、結合性電子対を維持する基を指す。例えば、脱離基は、求核置換反応中に容易に置き換えられる。好適な脱離基には、以下に限定されないが、クロリド、ブロミド、メシレート、トシレート、トリフレート、4−ニトロベンゼンスルホネート、4−クロロベンゼンスルホネート、4−ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシなどが含まれる。当業者は、本発明において有用な他の脱離基を認識している。
【0094】
「脱保護剤」は、保護基を除去することができる任意の作用剤を指す。脱保護剤は、使用される保護基のタイプに依存する。代表的な脱保護剤は、当分野において公知であり、Protective Groups in Organic Chemistry、PeterG. M. WutsおよびTheodora W. Greene、第4版、2006年に見出すことができる。
II.本発明の化合物
【0095】
本発明のある特定の実施形態の詳細をここで参照し、その例は、添付の説明、構造および式に例示されている。本発明は、列挙した実施形態と関連して記載されるが、それらは、本発明をそうした実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されよう。それどころか、本発明は、代替、修正および均等物のすべてに及ぶことが意図されており、これらが本発明の範囲内に含まれ得る。
【0096】
治療有効量の式Iの化合物:
【化21】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
はそれぞれ、Hまたはハロゲンであり、
、R、RまたはRはそれぞれ、独立して、H、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであるか、
または隣接炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になった場合、−O(CO)O−であるか、もしくはそれらが結合している環炭素原子と一緒になった場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化22】
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c)
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキルおよび−CH−(C〜C)シクロアルキルから選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される);ならびに
d)以下の式の基:
【化25】
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(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化26】
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であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化27】
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であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択され、
は、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、OR11またはSR11であり、
またはR10はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、OR11またはSR11であり、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
nはそれぞれ、独立して、0、1または2であり、
、R、R、R、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい]
を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0097】
別の実施形態では、式IIによって表される、治療有効量の式Iの化合物:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
(式中、
、R、R、R、RおよびRは、式Iに関して上で定義されている通りであり、
はそれぞれ、ORまたはハロゲンであり、
は、OR、N(R、N、CN、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである)
を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0098】
式IIの化合物を投与することによる、Arenaviridae感染を処置する方法の一実施形態では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、N、CN、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0099】
式IIの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Arenaviridae感染は、Arenaviridaeウイルスによって引き起こされる。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、ラッサウイルスまたはフニンウイルスである。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、ラッサウイルスである。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、フニンウイルスである。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、Josiah、NL、z148、Macenta、AVおよびCSFから選択される株によって引き起こされるラッサウイルスによって引き起こされる。
【0100】
この実施形態の別の態様では、Arenaviridae感染は、Allpahuayoウイルス(ALLV)、アマパリウイルス(AMAV)、ベアキャニオンウイルス(BCNV)、カタリナウイルス、チャパレウイルス、Cupixiウイルス(CPXV)、ダンデノンウイルス、フレクサルウイルス(FLEV)、ガナリトウイルス(GTOV)、アイピーウイルス(IPPYV)、フニンウイルス(JUNV)、コドコウイルス、ラッサウイルス(LASV)、ラチノウイルス(LATV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ルジョウイルス、マチュポウイルス(MACV)、モバラウイルス(MOBV)、モロゴロウイルス、モペイアウイルス(MOPV)、オリベロスウイルス(OLVV)、パラナウイルス(PARV)、ピキンデウイルス(PICV)、ピンハルウイルス、ピリタルウイルス(PIRV)、サビアウイルス(SABV)、スキナータンクウイルス、タカリベウイルス(TCRV)、タミアミウイルス(TAMV)またはホワイトウォーターアロヨウイルス(WWAV)によって引き起こされる。
【0101】
別の実施形態では、式IIIによって表される、治療有効量の式Iの化合物:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
(式中、
、R、RおよびRは、式IIに関して上で定義されている通りであり、
はそれぞれ、ORまたはFであり、
はそれぞれ、ORである)
を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0102】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の一実施形態では、式IIIのRは、N、CN、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0103】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、式IIIのRは、N、CN、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであり、Rは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化34】
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である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0104】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、式IIIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルであり、RはNHであり、RはHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0105】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Arenaviridae感染は、Arenaviridaeウイルスによって引き起こされる。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、ラッサウイルスまたはフニンウイルスである。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、ラッサウイルスである。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、フニンウイルスである。この実施形態の別の態様では、Arenaviridaeウイルスは、Josiah、NL、z148、Macenta、AVおよびCSFから選択される株によって引き起こされるラッサウイルスによって引き起こされる。
【0106】
この実施形態の別の態様では、Arenaviridae感染(infectoin)は、Allpahuayoウイルス(ALLV)、アマパリウイルス(AMAV)、ベアキャニオンウイルス(BCNV)、カタリナウイルス、チャパレウイルス、Cupixiウイルス(CPXV)、ダンデノンウイルス、フレクサルウイルス(FLEV)、ガナリトウイルス(GTOV)、アイピーウイルス(IPPYV)、フニンウイルス(JUNV)、コドコウイルス、ラッサウイルス(LASV)、ラチノウイルス(LATV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ルジョウイルス、マチュポウイルス(MACV)、モバラウイルス(MOBV)、モロゴロウイルス、モペイアウイルス(MOPV)、オリベロスウイルス(OLVV)、パラナウイルス(PARV)、ピキンデウイルス(PICV)、ピンハルウイルス、ピリタルウイルス(PIRV)、サビアウイルス(SABV)、スキナータンクウイルス、タカリベウイルス(TCRV)、タミアミウイルス(TAMV)またはホワイトウォーターアロヨウイルス(WWAV)によって引き起こされる。
【0107】
別の実施形態では、式IVによって表される、治療有効量の式Iの化合物:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
(式中、Rは式Iに関して上で定義されている通りである)
を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0108】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、Hとすることができる。式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、式Iについて定義されているa)、b)またはc)の基から選択される。
【0109】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化39】
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(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化40】
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を有する基であり、ZはZである)
である。
【0110】
式IVの化合物を投与するステップ含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である。
【0111】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Q3bはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)である。別の実施形態では、Q3bはそれぞれ、Oであり、Rはそれぞれ、独立して
【化44】
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(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)である。
【0112】
一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルとすることができる。一部の実施形態(embodments)では、Re1は、H、C〜Cアルキルまたはベンジルとすることができ、Re2は、HまたはC〜Cアルキルとすることができる。一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、HまたはC〜Cアルキルとすることができる。一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、Hまたはベンジルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、H、メチルまたはベンジルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、Hまたはメチルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、メチルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、Hまたはベンジルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。
【0113】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0114】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化46】
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である。
【0115】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化47】
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(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択される(selected fromthe group of from))である。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、2−エチルブチルである。
【0116】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化48】
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(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)である。
【0117】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択される)である。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、2−エチルブチルである。
【0118】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Rは、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)である。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。
【0119】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化51】
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からなる群から選択される。
【0120】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0121】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、ZおよびZはそれぞれ、
【化53】
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とすることができる。
【0122】
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法であって、R11またはR12が独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルである方法が提供される。別の実施形態では、R11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられ得る。したがって、例として、および非限定的に、部分である−NR1112は、複素環:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
などによって表すことができる。
【0123】
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R11またはR12はそれぞれ、独立して、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルは、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されている方法が提供される。したがって、例として、および非限定的に、R、R、R、R、R11またはR12は、例えば、−CH(NH)CH、−CH(OH)CH2CH3、−CH(NH)CH(CH、−CHCF、−(CHCH(N)CH、および−(CHNHなどの部分を表すことができる。
【0124】
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Arenaviridae感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R11またはR12は、(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい方法が提供される。したがって、例として、および非限定的に、R、R、R、R、R11またはR12は、例えば、−CHOCH、−CHOCHCH、−CHOCH(CH、−CHSCH、−(CHOCH、および−(CHN(CHなどの部分を表すことができる。
【0125】
式Iの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化55】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0126】
式Iの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0127】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0128】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0129】
式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【化63】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0130】
式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Arenaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化64】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0131】
治療有効量の式Iの化合物:
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
[式中、
はそれぞれ、Hまたはハロゲンであり、
、R、RまたはRはそれぞれ、独立して、H、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであるか、
または隣接炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になった場合、−O(CO)O−であるか、もしくはそれらが結合している環炭素原子と一緒になった場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)または−SONR1112
(式中、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化66】
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c)
【化67】
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(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化68】
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から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキルおよび−CH−(C〜C)シクロアルキルから選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される);ならびに
d)以下の式の基:
【化69】
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(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化70】
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であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化71】
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であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)
からなる群から選択され、
は、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、OR11またはSR11であり、
またはR10はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、OR11またはSR11であり、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであり、
nはそれぞれ、独立して、0、1または2であり、
、R、R、R、R11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい]
を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0132】
別の実施形態では、式IIによって表される、治療有効量の式Iの化合物:
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
(式中、
、R、R、R、RおよびRは、式Iに関して上で定義されている通りであり、
はそれぞれ、ORまたはハロゲンであり、
は、OR、N(R、N、CN、S(O)、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである)
を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0133】
式IIの化合物を投与することによる、Coronaviridae感染を処置する方法の一実施形態では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、N、CN、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIのRは、
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0134】
式IIの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Coronaviridae感染は、Coronaviridaeウイルスによって引き起こされる。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、MERSウイルスまたはSARSウイルスである。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、MERSウイルスである。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、SARSウイルスである。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、公知の株から選択される株によって引き起こされるMERSウイルスによって引き起こされる。
【0135】
別の実施形態では、式IIIによって表される、治療有効量の式Iの化合物:
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
(式中、
、R、RおよびRは、式IIに関して上で定義されている通りであり、
はそれぞれ、ORまたはFであり、
はそれぞれ、ORである)
を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0136】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の一実施形態では、式IIIのRは、N、CN、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0137】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、式IIIのRは、N、CN、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであり、Rは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NR1112である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、NHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0138】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、式IIIのRは、CN、メチル、エテニルまたはエチニルであり、RはNHであり、RはHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、CNである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、メチルである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、ORである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Fである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OH、−OC(=O)R11または−OC(=O)OR11である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、OHである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11または
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
である。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、Hである。この実施形態の別の態様では、式IIIのRは、
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0139】
式IIIの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Coronaviridae感染は、Coronaviridaeウイルスによって引き起こされる。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、MERSウイルスまたはSARSウイルスである。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、MERSウイルスである。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、SARSウイルスである。この実施形態の別の態様では、Coronaviridaeウイルスは、公知の株から選択される株によって引き起こされるMERSウイルスによって引き起こされる。
【0140】
別の実施形態では、式IVによって表される、治療有効量の式Iの化合物:
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステル
(式中、Rは式Iに関して上で定義されている通りである)
を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法が提供される。
【0141】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、Hとすることができる。式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、式Iについて定義されているa)、b)またはc)の基から選択される。
【0142】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化83】
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(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である。
【0143】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化85】
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(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して、以下の構造:
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
を有する基であり、ZはZである)
である。
【0144】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Q3bはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)である。別の実施形態では、Q3bはそれぞれ、Oであり、Rはそれぞれ、独立して
【化88】
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(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)である。
【0145】
一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、H、C〜Cアルキルまたはベンジルとすることができ、Re2は、HまたはC〜Cアルキルとすることができる。一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、HまたはC〜Cアルキルとすることができる。一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、Hまたはベンジルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、H、メチルまたはベンジルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、Hまたはメチルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、メチルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。一部の実施形態では、Re1は、Hまたはベンジルとすることができ、Re2は、Hまたはメチルとすることができる。
【0146】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0147】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化90】
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である。
【0148】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化91】
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(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択される)である。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、2−エチルブチルである。
【0149】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化92】
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(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)である。
【0150】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化93】
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(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択される)である。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、2−エチルブチルである。
【0151】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化94】
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(式中、Rは、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択される)である。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルである。
【0152】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化95】
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からなる群から選択される。
【0153】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、Rは、
【化96】
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【化97】
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である。
【0154】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、ZおよびZはそれぞれ、
【化98】
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とすることができる。
【0155】
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法であって、R11またはR12が独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルである方法が提供される。別の実施形態では、R11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられ得る。したがって、例として、および非限定的に、部分である−NR1112は、複素環:
【化99】
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などによって表すことができる。
【0156】
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R11またはR12はそれぞれ、独立して、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルは、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されている方法が提供される。したがって、例として、および非限定的に、R、R、R、R、R11またはR12は、−CH(NH)CH、−CH(OH)CH2CH3、−CH(NH)CH(CH、−CHCF、−(CHCH(N)CH、および−(CHNHなどの部分を表すことができる。
【0157】
別の実施形態では、治療有効量の式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置することを必要とするヒトにおいて、Coronaviridae感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R11またはR12は、(C〜C)アルキルであり、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい方法が提供される。したがって、例として、および非限定的に、R、R、R、R、R11またはR12は、−CHOCH、−CHOCHCH、−CHOCH(CH、−CHSCH、−(CHOCH、および−(CHN(CHなどの部分を表すことができる。
【0158】
式Iの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化100】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0159】
式Iの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化101】
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【化102】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0160】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0161】
式IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
【化106】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0162】
式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0163】
式I〜IVの化合物を投与するステップを含む、Coronaviridae感染を処置する方法の別の実施形態では、本化合物は、
【化109】
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または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルである。
【0164】
本明細書における処置の方法は、新型コロナウイルス2012およびHCoV−EMCとして既に公知である、アルファコロナウイルス229E(HCoV−229E)およびNL63(HCoV−NL63、ニューヘイブンコロナウイルス)、ベータコロナウイルスOC43(HCoV−OC43)、HKU1、SARS−CoV(重症急性呼吸器症候群またはSARSの原因であるコロナウイルス)およびMERS−CoV(中東呼吸器症候群の原因であるコロナウイルス)により引き起こされる感染を含めた、ヒトにおけるコロナウイルス感染を処置する方法を含む。
【0165】
本開示の化合物の名称は、化学化合物を命名するためのACD/Nameソフトウェア(Advanced Chemistry Development,Inc.、Toronto、カナダ)を使用して与えられる。他の化合物またはラジカルは、一般名、または体系的または非体系的名称を用いて命名することができる。本開示の化合物の命名および番号付けは、代表的な式Iの化合物を用いて例示する:
【化110】
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これは、(2S)−2−エチルブチル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエートと命名される。他の本発明の化合物は、以下を含む:
【化111】
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これは、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートと命名され、
【化112】
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これは、(S)−2−エチルブチル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートと命名される。
【0166】
本明細書に記載されている本発明の化合物への言及はいずれも、生理学的に許容されるその塩への言及も含む。本発明の化合物の生理学的に許容される塩の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類(例えば、Na、Li、K、Ca+2およびMg+2)、アンモニウムおよびNR(式中、Rは、本明細書において定義されている)などの、適切な塩基から誘導される塩を含む。窒素原子またはアミノ基の生理学的に許容される塩は、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、および硝酸などと形成される酸付加塩、(b)例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン二スルホン酸、ポリガラクツロン酸、マロン酸、スルホサリチル酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエート、パモエート、サリチル酸、ステアリン酸、フタル酸、マンデル酸、乳酸、エタンスルホン酸、リシン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、およびロイシンなどの有機酸と形成される塩、および(c)元素陰イオン、例えば、塩素、臭素およびヨウ素から形成される塩を含む。ヒドロキシ基の化合物の生理学的に許容される塩には、NaおよびNRなどの好適な陽イオンと組み合わせた、前記化合物の陰イオンが含まれる。
【0167】
式I〜IVの化合物およびその薬学的に許容される塩は、異なる多形体または擬多形体として存在することがある。本明細書で使用する場合、結晶多形とは、結晶性化合物が異なる結晶構造で存在することができることを意味する。結晶多形は、結晶充填の差異(充填多形)、または同じ分子の異なるコンホーマー間の充填の差異(配座多形)に起因し得る。本明細書で使用する場合、結晶擬多形とは、化合物の水和物または溶媒和物が異なる結晶構造で存在することができることを意味する。本発明の擬多形体は、結晶充填の差異(充填擬多形)により、または同じ分子の異なるコンホーマー間の充填の差異(配座擬多形)により、存在することができる。本発明は、式I〜IIIの化合物の多形体および擬多形体、ならびにそれらの薬学的に許容される塩のすべてを含む。
【0168】
式I〜IVの化合物およびその薬学的に許容される塩はまた、アモルファス固体として存在することがある。本明細書で使用する場合、アモルファス固体は、固体中の原子の位置の長距離規則度が存在しない固体である。この定義は、結晶サイズが2ナノメートルまたはそれ未満である場合にも同様に当てはまる。溶媒を含めた添加物を使用すると、本発明のアモルファス形態を作製することができる。本発明は、式I〜IVの化合物のアモルファス形態、およびそれらの薬学的に許容される塩のすべてを含む。
【0169】
治療的使用の場合、本発明の化合物の活性成分の塩は、生理学的に許容される。すなわちそれらは、生理学的に許容される酸または塩基から誘導される塩である。しかし、生理学的に許容されない酸または塩基の塩も、例えば、生理学的に許容される化合物の調製または精製において使用が見出され得る。生理学的に許容される酸または塩基から誘導されたか否かに関わらず、すべての塩が本発明の範囲内にある。
【0170】
最終的に、本明細書における組成物は、本発明の化合物を、その非イオン化形態および両性イオン形態で、ならびに水和物の場合のように化学量論量の水と組み合わせて含むことを理解されたい。
【0171】
式I〜IVおよび薬学的に許容されるそれらの塩の範囲内の化合物の鏡像異性体、ジアステレオマーおよびラセミ混合物、互変異性体、多形体、擬多形体のすべてが、本発明によって包含されることに留意されたい。そのような鏡像異性体およびジアステレオマーのすべての混合物が、本発明の範囲内にある。
【0172】
式I〜IVによって例示される本発明の化合物は、キラル中心、例えばキラル炭素原子またはキラルリン原子を有し得る。したがって、本発明の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマーおよびアトロプ異性体を含めた、すべての立体異性体のラセミ混合物を含む。さらに、本発明の化合物は、いずれかのまたはすべての不斉キラル原子において、富化されたまたは分割された光学異性体を含む。言いかえると、記述から明白なキラル中心は、キラル異性体またはラセミ混合物として提供される。ラセミ混合物とジアステレオマー混合物の両方、およびその鏡像異性体またはジアステレオマーパートナーを実質的に含まない、単離または合成された個々の光学異性体がすべて、本発明の範囲内にある。ラセミ混合物は、例えば、光学活性な付加物、例えば、酸または塩基と形成されたジアステレオマー塩の分離とその後の光学活性な物質に変換して戻すなどの周知の技法により、実質的に光学的に純粋な、それらの個々の異性体に分離される。大部分の場合、所望の出発原料の適切な立体異性体で開始し、立体特異的反応によって、所望の光学異性体を合成する。
【0173】
本明細書で使用される立体化学の定義および慣習は、一般に、S. P. Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984年)McGraw-Hill Book Company、New York;ならびにEliel, E.およびWilen, S.、Stereochemistry of Organic Compounds(1994年)JohnWiley & Sons, Inc.、New Yorkに従う。多くの有機化合物が光学活性な形態で存在する。すなわち、それらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性な化合物の記載において、接頭辞DおよびL、またはRおよびSは、そのキラル中心(複数可)の周りの分子の絶対配置を表すために使用される。接頭辞dおよびl、DおよびL、または(+)および(−)は、化合物による平面偏光の回転の符号を指定するために用いられ、S、(−)または1は、この化合物が左旋性である一方、R、(+)またはdを接頭辞とする化合物は右旋性であることを意味する。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体はまた、鏡像異性体と称されてもよく、このような異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と呼ばれることが多い。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、これらは、化学反応またはプロセスにおける、立体選択または立体特異性がない場合に起こり得る。用語「ラセミ混合物」および「ラセミ体」は、光学活性のない、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
【0174】
本発明の化合物はまた、ある場合、互変異性体として存在することができる。非局在化共鳴構造の1つしか図示されていないことがあるが、このような形態のすべてが、本発明の範囲内にあると企図される。例えば、エン−アミン互変異性体は、プリン、ピリミジン、イミダゾール、グアニジン、アミジンおよびテトラゾール系の場合に存在することができ、それらの可能なすべての互変異性形態が、本発明の範囲内にある。
【0175】
式Iの化合物を含めた、本明細書において与えられている式または構造のいずれも、本化合物の非標識形態および同位体標識形態を表すことがやはり意図されている。同位体標識化合物は、1個または複数の原子が選択された原子質量または質量数を有する原子によって置きかえられていることを除くと、本明細書において与えられている式によって示されている構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位体の例は、以下に限定されないが、H(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Clおよび125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体を含む。本開示の様々な同位体標識化合物、例えば、H、13Cおよび14Cなどの放射活性同位体が組み込まれているもの。このような同位体標識化合物は、薬物または基質の組織分布アッセイを含めた、代謝研究、反応速度研究、ポジトロン放射断層法(PET)もしくは単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)などの検出技法または画像化技法において、あるいは患者の放射活性処置に有用であり得る。
【0176】
本開示は、炭素原子に結合している1〜n個の水素が重水素によって置きかえられている式Iの化合物も含み、ここで、nはその分子中の水素の数である。このような化合物は、代謝への抵抗性が向上していることを示し、したがって、哺乳動物、特にヒトに投与した場合に、式Iのいずれかの化合物の半減期を向上させるのに有用である。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studiesof Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci. 5巻(12号):524〜527頁(1984年)を参照されたい。このような化合物は、当分野において周知の手段により、例えば、1個または複数の水素が重水素により置きかえられている出発原料を用いることにより合成される。
【0177】
本開示の重水素標識したまたは置換した治療用化合物は、分布、代謝および排泄(ADME)に関して、改善されたDMPK(薬物代謝および薬物動態)特性を有し得る。重水素などのより重い同位体による置換は、より大きな代謝安定性、例えばin vivoでの半減期の増加、投与必要量の低減、および/または治療指数の改善を結果として生ずる、ある特定の治療的利点をもたらすことができる。18F標識した化合物は、PETまたはSPECT研究に有用となり得る。この開示の同位体標識化合物およびそのプロドラッグは、同位体標識されていない試薬に代えて、容易に入手可能な同位体標識されている試薬を用いることによって、スキーム中、または以下に記載されている実施例および調製に開示されている手順を実施することにより、一般に調製することができる。この文脈における重水素は、式Iの化合物中の置換基とみなされることが理解される。
【0178】
このようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義することができる。この開示の化合物では、特定の同位体として具体的に表示されていないいずれの原子も、その原子の安定なあらゆる同位体を表すことが意図されている。別段明記しない限り、ある位置が、「H」または「水素」として具体的に表示されている場合、その位置は、その天然存在度の同位体組成で水素を有することが理解される。したがって、この開示の化合物において、重水素(D)として具体的に表示されているいずれの原子も重水素を表すことが意図されている。
【0179】
本明細書に記載されている化合物が、2つ以上の、同じ表示基(designatedgroup)、例えば、「R」または「R」で置換されている場合はいつでも、その基は、同じであってもよく、または異なっていてもよいこと、すなわち基のそれぞれが独立して選択されることが理解されよう。波線
【化112-2】
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は、隣接している部分構造、基、部分または原子への共有結合による結合の部位を示している。
【0180】
式I〜IVの化合物を含めた選択した置換基は、再帰的程度で存在する。本文脈において、「再帰置換基(recursive substituent)」は、ある置換基がそれ自体の別の例を列挙することができることを意味する。そのような置換基の再帰的性質のため、理論的には、任意の所与の実施形態において、多数の化合物が存在し得る。例えば、Rは、R置換基を含む。Rは、Rとすることができる。Rは、Zとすることができる。Zは、Zとすることができ、Zは、Rとすることができるか、またはRを含む置換基を含むことができる。あるいは、ZはZとすることができ、Zは、Rを含む置換基を含むことができる。このような置換基の総数は、所期の化合物の所望の特性により合理的に制限されることを医薬品化学の当業者は理解している。このような特性には、例として、および非限定的に、分子量、溶解度またはlogP、所期の標的に対する活性などの用途特性、および合成の容易さなどの実用的特性などの物理特性が含まれる。
【0181】
例として、および非限定的に、ZおよびRは、ある特定の実施形態では、再帰置換基である。通常、再帰置換基はそれぞれ、独立して、所与の実施形態において、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1または0回、出現し得る。さらに典型的には、再帰置換基はそれぞれ、所与の実施形態において、12回またはそれ未満の回数、独立して出現し得る。さらに一層典型的には、再帰置換基はそれぞれ、所与の実施形態において、3回またはそれ未満の回数、独立して出現し得る。例えば、所与の実施形態において、Zは、0〜8回、出現し、Rは、0〜6回、出現する。さらに一層典型的には、所与の実施形態において、Zは、0〜6回、出現し、Rは、0〜4回、出現する。
【0182】
再帰置換基は、本発明の所期の態様である。医薬品化学の当業者は、このような置換基が多用途であることを理解する。再帰置換基が本発明の一実施形態で存在している程度まで、その総数が上記の通り決定される。
【0183】
本発明の化合物は、当業者に公知の方法によって調製することができる。例えば、本発明の化合物は、米国特許第8,008,264号および米国出願公開第2012/0027752号に記載されている方法に従って調製することができる。
A.化合物の置換形態
【0184】
式I〜IVの化合物は、Rとしてリン酸基を含んでもよく、Rは、以下からなる群から選択される:
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR11)、−SONR1112
(式中、
11またはR12はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、それらのどちらも結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環式環を形成し、前記複素環式環のいずれか1個の炭素原子が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられることができ、
はそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)または−SONRであり、
式中、
Rはそれぞれ、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C〜C20ヘテロシクリル、C〜C20置換ヘテロシクリル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり、
11またはR12のそれぞれの(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルはそれぞれ、独立して、1つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで、任意選択で置換されており、前記(C〜C)アルキルのそれぞれの非末端炭素原子の1個または複数が、−O−、−S−または−NR−で、任意選択で置きかえられていてもよい)、
b)
【化113】
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c)
【化114】
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(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化115】
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から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルおよび−CH−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜CシクロアルキルおよびCFから選択され、
n’は、1、2、3および4から選択される)および
d)以下の式の基:
【化116】
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(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
はそれぞれ、独立して、O、SまたはNRであり、
はそれぞれ、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子からなる炭素環式環を形成し、
はそれぞれ、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)またはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化117】
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であり、
式中、
は、それぞれ独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
はそれぞれ、独立して、R、または以下の式:
【化118】
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であり、
式中、
M1a、M1cおよびM1dはそれぞれ、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SOまたは−SOであり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されている)。
【0185】
炭素環およびZ複素環は、0〜3つのR基で独立して置換されていてもよい。Zは、単環式もしくは二環式炭素環または単環式もしくは二環式複素環を含む、飽和環、不飽和環または芳香族環とすることができる。Zは、3〜10個の環原子、例えば3〜7個の環原子を有することができる。Z環は、3個の環原子を含有する場合、飽和であり、4個の環原子を含有する場合、飽和もしくは一不飽和であり、5個の環原子を含有する場合、飽和、もしくは一不飽和もしくは二不飽和であり、6個の環原子を含有する場合、飽和、一不飽和もしくは二不飽和、もしくは芳香族である。
【0186】
複素環は、3〜7個の環員(2〜6個の炭素原子、ならびにN、O、PおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子)を有する単環、または7〜10個の環員(4〜9個の炭素原子、ならびにN、O、PおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子)を有する二環とすることができる。Z複素環式単環は、3〜6個の環原子(2〜5個の炭素原子、ならびにN、OおよびSから選択される1〜2個のヘテロ原子)を有するか、または5または6個の環原子(3〜5個の炭素原子、ならびにNおよびSから選択される1〜2個のヘテロ原子)を有することができる。Z複素環式二環は、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配列される、7〜10個の環原子(6〜9個の炭素原子、ならびにN、OおよびSから選択される1〜2個のヘテロ原子);またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配列される、9〜10個の環原子(8〜9個の炭素原子、ならびにNおよびSから選択される1〜2個のヘテロ原子)を有する。Z複素環は、安定な共有結合によって、炭素、窒素、硫黄または他の原子を介してQに結合していてもよい。
【0187】
複素環には、例えば、ピリジル、ジヒドロピリジル異性体、ピペリジン、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、s−トリアジニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チオフラニル、チエニルおよびピロリルが含まれる。Zはまた、以下に限定されないが、
【化119】
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などの例も含む。
【0188】
炭素環および複素環は、上で定義されている通り、0〜3つのR基で独立して置換されていてもよい。例えば、置換Z炭素環は、
【化120】
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を含む。
【0189】
置換フェニル炭素環の例は、
【化121】
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を含む。
【0190】
別の実施形態では、式I〜IVの化合物のZは、炭素環または複素環であり、Zは、0〜3つのR基で独立して置換されており、Rは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−CN、−N、−NO、または−ORである。
【0191】
式I〜IVの化合物の
【化122】
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の実施形態は、
【化123】
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(式中、Q3bはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)などの部分構造を含む。この実施形態の別の態様では、Q3bはそれぞれ、Oであり、Rはそれぞれ、独立して
【化124】
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(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)である。この実施形態の別の態様では、一方のQ3b−Rは、NH(R)であり、もう一方のQ3b−Rは、O−Rであり、Rは、
【化125】
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(式中、M12cは2である)である。この実施形態の別の態様では、Q3bはそれぞれ、Oであり、Rはそれぞれ、独立して
【化126】
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(式中、M12cは2である)である。この実施形態の別の態様では、Q3bはそれぞれ、Oであり、Rはそれぞれ、独立して
【化127】
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(式中、M12cは、1であり、Qは、結合、OまたはCRである)である。
【0192】
式I〜IVの化合物の
【化128】
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の他の実施形態は、
【化129】
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(式中、Qはそれぞれ、独立して、OまたはN(R)である)などの部分構造を含む。この実施形態の別の態様では、Qはそれぞれ、Oである。この実施形態の別の態様では、部分構造は、
【化130】
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(式中、Rは、本明細書で定義されているZである)である。
【0193】
式I〜IVの
【化131】
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の別の実施形態は、以下の部分構造:
【化132】
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(式中、Q2cはそれぞれ、独立して、O、N(R)またはSである)を含む。
【0194】
式I〜IVの化合物の
【化133】
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の別の実施形態は、ZまたはZの一方が、RまたはRの一方と一緒になって、−Q−となり、ZまたはZの他方は、式Iaである部分構造を含む。このような実施形態は、
【化134】
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から選択される式Ibの化合物によって表される。
【0195】
式Ibの実施形態の別の態様では、QおよびQはそれぞれ、Oである。式Ibの実施形態の別の態様では、ZまたはZは、Q3b−Rであり、Q、QおよびQ3bはそれぞれ、Oであり、Rは、
【化135】
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(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)である。式Ibの実施形態の別の態様では、ZまたはZは、Q3b−Rであり、Q、QおよびQ3bはそれぞれ、Oであり、Rは、
【化136】
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(式中、M12cは2である)である。式Ibの実施形態の別の態様では、ZまたはZは、Q3b−Rであり、Q、QおよびQ3bはそれぞれ、Oであり、Rは、
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、M12cは、1であり、Qは、結合、OまたはCRである)である。
【0196】
式I〜IVの化合物の
【化138】
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の別の実施形態は、以下の部分構造:
【化139】
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(式中、Zは、フェニルまたは置換フェニルなどの炭素環である)を含む。この実施形態の別の態様では、部分構造は、
【化140】
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(式中、Q3bは、OまたはN(R)であり、フェニル炭素環は、0〜3つのR基で置換されている)である。部分構造のこの実施形態の別の態様では、Rは、
【化141】
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(式中、M12cは、1、2または3であり、Qはそれぞれ、独立して、結合、O、CRまたはSである)である。
【0197】
式I〜IVの
【化142】
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の別の実施形態は、以下の部分構造:
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
を含む。
【0198】
アミノ酸およびラクテート部分のキラル炭素は、RまたはS立体配置のいずれか、またはラセミ混合物とすることができる。
【0199】
式I〜IVの
【化144】
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の別の実施形態は、以下の部分構造:
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Qはそれぞれ、独立して、−O−または−NH−である)である。この実施形態の別の態様では、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルである。この実施形態の別の態様では、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであり、Rは、CHである。この実施形態の別の態様では、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルであり、Rは、CHであり、Qはそれぞれ、−NH−である。この実施形態の別の態様では、ZおよびZは、独立して、窒素連結している、天然に存在するアミノ酸または天然に存在するアミノ酸エステルである。この実施形態の別の態様では、ZおよびZは、独立して、天然に存在する2−ヒドロキシカルボン酸または天然に存在する2−ヒドロキシカルボン酸エステルであり、酸またはエステルは、2−ヒドロキシ基を介してPに連結している。
【0200】
式I〜IVの
【化146】
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の別の実施形態は、以下の部分構造:
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0201】
この実施形態の一態様では、Rはそれぞれ、独立して、(C〜C)アルキルである。この実施形態の別の態様では、Rはそれぞれ、独立して、C〜C20アリールまたはC〜C20置換アリールである。
【0202】
好ましい実施形態では、
【化148】
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は、
【化149】
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から選択される。
【0203】
の実施形態は、エステル、カルバメート、カーボネート、チオエステル、アミド、チオアミドおよびウレア基:
【化150】
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を含む。
B.本発明の化合物の代謝物
【0204】
同様に、本明細書において記載されている化合物のin vivoでの代謝産物が、こうした産物が新規であり、かつ従来技術と比べ自明なものではない限り、本発明の範囲内に収まる。このような産物は、例えば、主に酵素過程による、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、およびエステル化などから生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物をその代謝産物が生じるのに十分な期間、哺乳動物と接触させるステップを含むプロセスにより生成される、新規かつ自明でない化合物を含む。こうした産物は、通常、放射標識されている(例えば、14CまたはH)本発明の化合物を調製する、該化合物をラット、マウス、モルモット、サルなどの動物またはヒトへの検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)で非経口投与する、代謝が起こるのに十分な時間を与える(通常、約30秒から30時間)、および尿、血液または他の生物試料からの化合物の変換産物を単離することよって同定される。これらの産物は標識されているので、容易に単離される(他のものは、代謝物中で生き残るエピトープに結合することが可能な抗体を使用することによって単離される)。代謝物の構造は、従来的な様式、例えば、MSまたはNMR分析によって決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝研究と同じ方法で行われる。変換産物は、別段in vivoで見出されない限り、それら自体が抗arenaviridae活性を有していない場合でさえも、本発明の化合物を治療投与についての診断的アッセイにおいて有用である。
【0205】
代用胃腸分泌液中での化合物の安定性を決定するための処方および方法が公知である。化合物は、本明細書では、代用腸液または胃液中、37℃で1時間、インキュベーションすると、保護基の約50モルパーセント未満しか脱保護されないという、胃腸管中で安定なものとして定義される。単に、本化合物が胃腸管に安定であるから、それらがin vivoで加水分解され得ないということを意味しない。本発明のプロドラッグは、通常、消化器系において安定であるが、消化管腔、肝臓もしくは他の代謝臓器中、または一般に細胞内において、親薬物へと実質的に加水分解され得る。
III.医薬製剤
【0206】
本発明の化合物は、通常の作業に従って選択される、慣用的な担体および添加剤と共に製剤化される。錠剤は、添加剤、流動促進剤、充填剤、および結合剤などを含有する。水性製剤は、無菌形態で調製され、経口投与以外により送達するよう意図されている場合、一般に、等張である。製剤はすべて、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(1986年)において説明されている添加剤などの添加剤を任意選択で含有する。添加剤には、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、EDTAなどのキレート剤、デキストラン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロースなどの炭水化物およびステアリン酸などが含まれる。製剤のpHは、約3〜約11の範囲であるが、通常、約7〜10である。一部の実施形態では、製剤のpHは、約2〜約5の範囲であるが、通常、約3〜4である。
【0207】
活性成分は、単独で投与することが可能であるが、それらを医薬製剤として提供することが好ましいことがある。獣医学的使用およびヒト使用のどちらの場合の、本発明の製剤も、上で定義されている少なくとも1種の活性成分を、上記の製剤のための1種または複数の許容可能な担体、および任意選択で他の治療成分、特に、本明細書において議論されているそのような追加の治療成分と一緒に含む。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合し、かつそのレシピエントにとって生理学的に無害であるという意味において、「許容される」ものでなければならない。
【0208】
製剤には、上記の投与経路に好適な製剤が含まれる。製剤は、単位剤形で提供することが好都合なことがあり、薬学分野において周知の方法のいずれかによって調製してもよい。技法および製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(MackPublishing Co.、Easton、PA)において一般に見出される。このような方法は、活性成分と、1種または複数の補助成分を構成する担体とを合わせるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分と、液体担体もしくは微細化固体担体、またはそれらの両方とを均一かつ密接に合わせ、次に、必要に応じて製品に成形することにより調製される。
【0209】
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別個の単位として提供されてもよく、これらはそれぞれ、粉末もしくは顆粒として、水性液体または非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、あるいは水中油型液状エマルションまたは油中水型液状エマルションとして、所定量の活性成分を含有している。活性成分はまた、ボーラス剤、舐剤またはペースト剤として投与されてもよい。
【0210】
錠剤は、任意選択で1種または複数の補助成分と共に、圧縮または成形により作製される。圧縮錠剤は、任意選択で、結合剤、滑沢剤、不活性賦形剤、保存剤、表面活性剤または分散剤と混合した、粉末または顆粒などの流動形態にある活性成分を、好適な機械で圧縮することにより調製することができる。成形錠剤は、好適な機械で、不活性液状賦形剤により湿潤させた粉末の活性成分の混合物を成形することにより作製することができる。錠剤は、任意選択で、コーティングまたは刻印がされていてもよく、任意選択で、錠剤からの活性成分の遅延放出または制御放出がもたらされるよう、製剤化される。
【0211】
眼または他の外部組織、例えば、口腔および皮膚の感染の場合、本製剤は、例えば、0.075〜20%w/w(例えば、0.6%w/w、0.7%w/wなどの0.1%w/w増分で、0.1%〜20%の間の範囲の活性成分(複数可)を含む)、好ましくは0.2〜15%w/w、最も好ましくは0.5〜10%w/wの量で、活性成分(複数可)を含有している局所用軟膏剤またはクリーム剤として、好ましくは適用される。軟膏剤に製剤化される場合、活性成分は、パラフィン混和性または水混和性の軟膏用基剤のいずれかと共に用いることができる。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム用基剤とともにクリーム剤に製剤化することができる。
【0212】
所望の場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも30%w/wの多価アルコール、すなわちプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)およびそれらの混合物などの、2個またはそれよりも多いヒドロキシル基を有するアルコールを含むことができる。局所用製剤は、皮膚または他の患部から活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含むことが望ましいことがある。こうした皮膚浸透促進剤の例には、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体が含まれる。
【0213】
本発明のエマルション剤の油相は、公知の様式で公知の成分から構成され得る。この相は、単なる乳化剤(他には、エマルジェント(emulgent)としても公知である)を含むことができるが、少なくとも1種の乳化剤と脂肪もしくは油、または脂肪と油の両方との混合物を含むのが望ましい。好ましくは、親水性乳化剤は、安定化剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油と脂肪の両方を含むことも好ましい。安定化剤(複数可)を含むまたは含まない乳化剤(複数可)は、まとめて、いわゆる乳化性ワックスを構成し、油および脂肪と一緒になったワックスは、クリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化性軟膏基剤を構成する。
【0214】
本発明の製剤において使用するのに好適なエマルジェントおよびエマルション安定化剤には、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。本発明の製剤における使用に好適な、さらなるエマルジェントおよびエマルション安定化剤は、Tween(登録商標)80を含む。
【0215】
製剤に好適な油または脂肪の選択は、所望の審美的特性の実現に基づく。クリーム剤は、チューブまたは他の容器からの漏れを回避するのに好適な粘ちょう性を有する、好ましくはべたつきがなく、染みが付かず、かつ洗い流しが可能な製品とすべきである。ジイソアジピン酸エステル、ステアリン酸イソセチル、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルなどの直鎖もしくは分岐鎖の一塩基性または二塩基性アルキルエステル、あるいはCrodamol CAPとして公知の分岐鎖エステルのブレンドが使用されてもよく、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に応じて、単独で、または組み合わせて使用されてもよい。あるいは、白色軟パラフィンおよび/または流動パラフィンなどの融点の高い脂質、または他の鉱物油が使用される。
【0216】
本発明による医薬製剤は、1種または複数の薬学的に許容される担体または添加剤、および任意選択で他の治療剤と一緒にした本発明による組合せを含む。活性成分を含有する医薬製剤は、所期の投与方法に好適な任意の形態とすることができる。経口使用に使用される場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁剤、分散性粉剤・散剤(dispersible powder)または粒剤、エマルション剤、硬質もしくは軟質カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤が調製され得る。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造についての技術分野に公知の任意の方法に従って調製することができ、こうした組成物は、口当たりのよい調製物をもたらすために、甘味剤、着香剤、着色剤および保存剤を含めた、1種または複数の作用剤を含有していてもよい。錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される添加剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤が許容可能である。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性賦形剤、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤、デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤、ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤とすることができる。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または胃腸管における崩壊および吸着を遅延させ、それによってより長期間にわたる作用持続を実現するための、マイクカプセル化を含む公知の技法によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質が、単独またはワックスと共に用いられてもよい。
【0217】
経口使用用製剤はまた、活性成分が不活性固体賦形剤、例えば、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル剤として、あるいは活性成分が、水、またはピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油性媒体と混合されている軟質ゼラチンカプセル剤として、提供されてもよい。
【0218】
本発明の水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に好適な添加剤との混合物中に活性物質を含有する。こうした添加剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁化剤、および天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)などの分散剤または湿潤剤、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が含まれる。水性懸濁剤はまた、p−ヒドロキシ−安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ−安息香酸n−プロピルなどの1種または複数の保存剤、1種または複数の着色剤、1種または複数の着香剤、およびスクロースまたはサッカリンなどの1種または複数の甘味剤を含有してもよい。さらに、懸濁化剤の非限定例には、シクロデキストリンおよびCaptisol(=スルホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン;SEB−ベータ−CD)が含まれる。
【0219】
油性懸濁剤は、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油などの植物油中、または流動パラフィンなどの鉱物油中に、活性成分を懸濁させることにより製剤化され得る。経口懸濁剤は、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有してもよい。上記のものなどの甘味剤、および着香剤を添加して、口当たりのよい経口調製物をもたらすことができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0220】
水を添加することによる、水性懸濁剤の調製に好適な本発明の分散性粉剤・散剤および粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数の保存剤との混合物中に活性成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤は、上で開示されているものによって例示される。さらなる添加剤、例えば甘味剤、着香剤および着色剤も存在してもよい。
【0221】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルションの形態とすることができる。油相は、オリーブ油もしくは落花生油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱物油、またはこれらの混合物とすることができる。好適な乳化剤には、アカシアガムおよびトラガカントガムなどの天然に存在するガム、大豆レシチンなどの天然に存在するホスファチド、脂肪酸から誘導されるエステルまたは部分エステル、モノオレイン酸ソルビタンなどのヘキシトール無水物、およびこれらの部分エステルとモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのエチレンオキシドとの縮合生成物が含まれる。エマルション剤はまた、甘味剤および着香剤を含有してもよい。シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と一緒に製剤化され得る。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、着香剤または着色剤を含有してもよい。
【0222】
本発明の医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁剤などの、無菌の注射可能な調製物の形態であってもよい。この懸濁剤は、上で言及した、そのような好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、公知技術に従って製剤化することができる。無菌の注射可能な調製物はまた、1,3−ブタン−ジオール中の溶液などの、非毒性の非経口として許容される賦形剤または溶媒中の、注射用滅菌液剤または懸濁剤であってもよく、または凍結乾燥粉剤として調製されてもよい。用いることができる、許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油が溶媒または懸濁媒体として慣用的に用いられ得る。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も同様に、注射剤の調製において使用することができる。用いることができる、許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液および高張性塩化ナトリウム溶液がある。
【0223】
単一剤形を生成するための担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与形式に応じて、様々である。例えば、ヒトへの経口投与用の徐放性製剤は、総組成物の約5〜約95%(重量:重量)で変動し得る、適量かつ好都合な量の担体物質を混ぜ合わせた活性物質を約1〜1000mg含有することができる。医薬組成物は、投与のために容易に測定可能な量を供給するよう調製することができる。例えば、静脈内注入用の水性液剤は、約30mL/時の速度で好適な容量の注入を行うことができるために、液剤1ミリリットルあたり約3〜500μgの活性成分を含有することができる。
【0224】
眼への局所投与に好適な製剤には、活性成分にとって好適な担体中、とりわけ水性溶媒中に、活性成分が溶解しているかまたは懸濁している、点眼剤も含まれる。活性成分は、0.5〜20%、有利には0.5〜10%、特に約1.5%w/wの濃度で、このような製剤中に好ましくは存在している。
【0225】
口腔における局所投与に好適な製剤は、風味付けされた基剤、通常、スクロースおよびアカシア、またはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ剤、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤、ならびに好適な液体担体中に活性成分を含む洗口剤を含む。
【0226】
直腸投与用製剤は、例えば、カカオ脂またはサリチレートを含む好適な基剤を含む坐剤として提供され得る。
【0227】
肺内または鼻腔の投与に好適な製剤は、例えば、0.5、1、30、35ミクロンなどの0.1〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有しており、この製剤は、肺胞嚢に到達するよう、鼻道からの急速吸入によってまたは口腔からの吸入によって投与される。好適な製剤には、活性成分の水性または油性液剤が含まれる。エアゾール剤または乾燥粉剤・散剤(dry powder)の投与に好適な製剤は、従来の方法に従って調製することができ、以下に記載されている、Arenaviridae感染の処置または予防において、これまで使用されている化合物などの他の治療剤と共に送達することができる。
【0228】
膣投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、当分野において適切であることが公知であるこうした担体を含有するペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー製剤として提供されてもよい。
【0229】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および製剤を所期のレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性および非水性の無菌注射液剤、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性の無菌懸濁剤が含まれる。
【0230】
製剤は、単位用量または複数回用量の容器中、例えば、密封したアンプルおよびバイアル中で提供され、使用の直前に、無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保管することができる。即時注射液剤および懸濁剤が、既に記載されている種類の無菌の粉剤・散剤、粒剤および錠剤から調製される。好ましい単位投与製剤は、本明細書において上で列挙されている、活性成分の日用量もしくは単位日部分用量(unit daily sub-dose)、またはその適切な分割量を含有するものである。
【0231】
特に上で言及された成分に加え、本発明の製剤は、問題の製剤のタイプに関して、当分野で慣用的な他の作用剤を含むことができ、例えば、経口投与に好適な作用剤は着香剤を含んでもよいことを理解すべきである。
【0232】
本発明は、上で定義されている少なくとも1種の活性成分を、そのための獣医学的担体と一緒に含む獣医学組成物をさらに提供する。
【0233】
獣医学的担体は、組成物を投与する目的にとって有用な物質であり、別段不活性または獣医学的技術分野おいて許容可能であり、かつ活性成分と適合可能な、固体、液体または気体の物質であってもよい。これらの獣医学的組成物は、経口、非経口、または任意の他の所望の経路によって投与することができる。
【0234】
本発明の化合物を使用して、1つまたは複数の本発明の化合物を活性成分として含有する制御放出医薬製剤(「制御放出製剤」)であって、活性成分の放出を制御および調節してより少ない投与頻度を可能にするか、または所与の活性成分の薬物動態もしくは毒性プロファイルが改善される、制御放出医薬製剤を提供する。
IV.投与経路
【0235】
1つまたは複数の本発明の化合物(本明細書では、活性成分と呼ばれる)は、処置される状態に適した任意の経路によって投与される。好適な経路には、経口、直腸、鼻腔、肺、局所(頬側および舌下を含む)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)などが含まれる。好ましい経路は、例えば、レシピエントの状態により様々になり得ることが理解されよう。本発明の化合物の利点は、それらが経口で生体利用可能であること、および経口投与することができることである。
【0236】
Arenaviridae感染を処置するための本発明の方法において、本発明の化合物は、Arenaviridae感染に罹患しているヒト、またはArenaviridae感染に既に罹患しているヒトと接触する恐れがあるヒトに、いずれかの時点に投与することができる。一部の実施形態では、本発明の化合物は、Arenaviridae感染に罹患しているヒトと接触するヒトに予防的に投与することができる。一部の実施形態では、本発明の化合物の投与は、Arenaviridae感染の試験に陽性であるが、Arenaviridae感染の症状をまだ示していないヒトに行うことができる。一部の実施形態では、本発明の化合物の投与は、Arenaviridae感染の症状の開始の際にヒトに行うことができる。
【0237】
活性成分の有効用量は、処置されている状態の性質、毒性、化合物が予防的に(低用量)または活動中のウイルス感染に対して使用されているのかどうか、送達方法、および医薬製剤に少なくとも依存し、従来の用量漸増試験を使用して、臨床医により決定される。有効用量は、1日あたり約0.0001〜約100mg/kg体重、一般には、1日あたり約0.01〜約10mg/kg体重、より一般には、1日あたり約0.01〜約5mg/kg体重、最も一般には、1日あたり約0.05〜約0.5mg/kg体重となることが予期され得る。例えば、約70kgの体重の成人用の毎日の候補用量は、1mg〜1000mg、好ましくは5mg〜500mgの間の範囲となり、単回または複数回用量の形態をとることができる。
【0238】
Arenaviridae感染を処置するための本発明の化合物の有効用量は、その用量が予防的に使用されることになるか、またはArenaviridae感染に既に罹患しているヒトを処置するために使用されることになるかどうかに依存し得る。さらに、この用量は、Arenaviridae感染に罹患しているヒトが、まだ症状を示していないか、またはArenaviridae感染の症状を既に示しているかどうかに依存し得る。予防的処置を受けているヒトと比較して、Arenaviridae感染の試験に陽性のヒトを処置する場合、およびArenaviridae感染の症状を示しているヒトを処置する場合、より多量の用量が必要であり得る。
【0239】
本発明の化合物を投与するための任意の好適な期間が企図される。例えば、投与は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80または90日間を含む、1日間〜100日間とすることができる。投与はまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14週間を含む、1週間〜15週間とすることができる。より長い期間の投与も企図される。投与時間は、本化合物が予防的に投与されているか、またはArenaviridae感染に罹患しているヒトを処置するために投与されているかに依存し得る。例えば、予防的投与は、ヒトがArenaviridae感染に罹患している他のヒトと定期的に接触している間の期間、およびArenaviridae感染に罹患しているヒトと最後に接触した後の好適な期間とすることができる。Arenaviridae感染に既に罹患しているヒトの場合、投与期間は、患者を処置するために必要な任意の長さの時間、およびArenaviridae感染に逆戻りしないことを確実とするため、Arenaviridae感染の試験に陰性であった後の好適な期間とすることができる。
V.併用療法
【0240】
本発明の組成物はまた、他の活性成分と組み合わせて使用される。Arenaviridaeウイルス感染の処置の場合、好ましくは、他の活性治療剤は、Arenaviridaeウイルス感染、特にラッサウイルス感染およびフニンウイルス感染に対して活性である。これらの他の活性治療剤の非限定例は、リバビリン、ファビピラビル(T−705またはアビガンとしても公知である)、T−705一リン酸塩、T−705二リン酸塩、T−705三リン酸塩、ST−193、およびそれらの混合物である。本発明の化合物および組成物はまた、非経口流体(デキストロース食塩水および乳酸リンゲル液を含む)および栄養、抗生物質(メトロニダゾールおよびセフトリアキソンおよびセフロキシムなどのセファロスポリン抗生物質を含む)、および/または抗真菌予防剤、抗発熱および鎮痛薬、鎮吐薬(メトクロプラミドなど)、および/または抗下痢剤、ビタミンおよびミネラルサプリメント(ビタミンKおよび硫酸亜鉛を含む)、抗炎症剤(イブプロフェンなど)、鎮痛薬、ならびに抗マラリア剤(アルテメテルおよびアルテスネート−ルメファントリン併用療法を含む)、腸チフス(シプロフロキサシンなどのキノロン抗生物質、アジスロマイシンなどのマクロライド抗生物質、セフトリアキソンなどのセファロスポリン抗生物質、またはアンピシリンなどのアミノペニシリンを含む)、または細菌性赤痢など、患者集団における他の日常病のための医薬を含む、Arenaviridaeウイルス感染を有する患者に与えられる一般的ケアと一緒に使用することも意図されている。
【0241】
患者への同時または逐次投与のため、単位剤形中に、任意の本発明の化合物を1種または複数の追加の活性治療剤と組み合わせることも可能である。併用療法は、同時または逐次レジメンとして投与されてもよい。逐次投与の場合、組合せは、2回またはそれよりも多い投与で投与されてもよい。
【0242】
本発明の化合物と1種または複数の他の活性治療剤との共投与は、一般に、治療有効量の本発明の化合物と1種または複数の他の活性治療剤とが患者の体内にどちらも存在するよう、本発明の化合物と1種または複数の他の活性治療剤とを同時または逐次投与することを指す。
【0243】
共投与には、単位投与量の1種または複数の他の活性治療剤を投与する前またはその後に、単位投与量の本発明の化合物を投与すること、例えば、1種または複数の他の活性治療剤を投与した数秒、数分または数時間以内に、本発明の化合物を投与することが含まれる。例えば、単位用量の本発明の化合物が初めに投与され、続いて、数秒または数分以内に単位用量の1種または複数の他の活性治療剤が投与され得る。あるいは、単位用量の1種または複数の他の治療剤が最初に投与され、次いで、数秒または数分以内に、単位用量の本発明の化合物を投与することができる。一部の場合、最初に単位用量の本発明の化合物を投与し、ある時間の期間(例えば、1〜12時間)の後に、続いて、単位用量の1種または複数の他の活性治療剤を投与することが望ましいことがある。他の場合、最初に単位用量の1種または複数の他の活性治療剤を投与し、ある時間の期間(例えば、1〜12時間)の後に、続いて、単位用量の本発明の化合物を投与することが望ましいことがある。
【0244】
併用療法は、「相乗作用」および「相乗性」を実現することがある。すなわち、活性成分を一緒に使用した場合に実現される効果が、化合物を個別に使用して生じる効果の総和よりも大きい。相乗効果は、活性成分が、(1)共製剤化されて投与される、もしくは組合せ製剤で同時に送達される場合、(2)個別の製剤として交互に、もしくは並行して送達される場合、または(3)一部の他のレジメンによるものである場合に達成することができる。交互療法で送達される場合、相乗効果は、本化合物が、例えば、個別の錠剤、丸剤もしくはカプセル剤中で、または個別のシリンジ中での異なる注射により、逐次に投与または送達される場合に達成することができる。一般に、交互療法中、有効投与量の各活性成分が逐次、すなわち連続的に投与される一方、併用療法では、有効投与量の2種またはそれよりも多い活性成分が一緒に投与される。相乗的な抗ウイルス効果は、組合せの個々の化合物の、予想される純粋に相加効果よりも大きな抗ウイルス効果があることを意味する。
【0245】
さらに別の実施形態では、本出願は、細胞におけるArenaviridaeポリメラーゼを阻害する方法であって、アレナウイルスに感染している細胞を、有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルと接触させ、これにより、Arenaviridaeポリメラーゼが阻害されることを含む方法を提供する。
【0246】
さらに別の実施形態では、本出願は、細胞におけるArenaviridaeポリメラーゼを阻害する方法であって、アレナウイルスに感染している細胞を、有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステル、ならびに少なくとも1つの追加的な活性治療剤と接触させて、これにより、Arenaviridaeポリメラーゼが阻害されることを含む方法を提供する。
【0247】
さらに別の実施形態では、本出願は、細胞におけるArenaviridaeポリメラーゼを阻害する方法であって、Arenaviridaeウイルスに感染している細胞を、有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステル、ならびに選択された少なくとも1つの追加的な活性治療剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0248】
さらに別の実施形態では、本出願は、ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染を処置する方法であって、治療有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルを患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0249】
さらに別の実施形態では、本出願は、ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染を処置する方法であって、治療有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステル、ならびに少なくとも1つの追加の活性治療剤を患者に投与して、これにより、Arenaviridaeポリメラーゼが阻害されることを含む方法を提供する。
【0250】
さらに別の実施形態では、本出願は、ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染を処置する方法であって、治療有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステル、ならびに少なくとも1つの追加の活性治療剤を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0251】
同様に、式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩、薬学的に許容されるそのエステル、その立体異性体、その立体異性体もしくは互変異性体の混合物を含むキットが提供される。個別の実施形態では、提供される個々のキットは、式II、式II、式IV、ならびに個々の化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31および32(化合物1〜32)、または薬学的に許容されるその塩、薬学的に許容されるそのエステル、その立体異性体、その立体異性体もしくは互変異性体の混合物を含めた、本明細書における式のそれぞれならびにその部分群および実施形態のそれぞれの群から選択される化合物を含む、個々のキットが提供される。一態様では、本キットは、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。本明細書に記載されている個々のキットのそれぞれは、疾患または状態の処置を必要としている被験体(例えば、ヒト)における疾患または状態の処置における本化合物の使用に関するラベルおよび/または指示を含んでもよい。一部の実施形態では、疾患または状態は、ラッサウイルス感染またはフニンウイルス感染を含む、ヒトのArenaviridaeウイルス感染である。他の実施形態では、個別のキットのそれぞれはまた、それを必要とする被験体(例えば、ヒト)における疾患または状態の処置における、式Iの化合物と組み合わせて追加の医薬品を使用することに関する指示を含有してもよい。これらの実施形態のある種において、疾患または状態は、ラッサウイルス感染またはフニンウイルス感染を含む、ヒトのArenaviridaeウイルス感染である。本明細書におけるキットの各々では、キットが、本明細書に記載されている化合物、または薬学的に許容されるその塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、多形体、擬多形体、アモルファス形態、水和物もしくは溶媒和物の個別の用量単位を含む、さらなる実施形態が存在する。個々の投与量単位の例は、丸剤、錠剤、カプセル剤、プレフィルドシリンジまたはシリンジカートリッジ、IVバッグなどを含んでもよく、これらはそれぞれ、治療有効量の対象となる化合物、または薬学的に許容されるその塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、多形体、擬多形体、アモルファス形態、水和物もしくは溶媒和物を含む。一部の実施形態では、本キットは、単回投与量単位を含有してもよく、他の場合、指定されるレジメンまたは期間に必要とされる数の投与量単位などの、複数回投与量単位が存在する。
【0252】
同様に、式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩、薬学的に許容されるそのエステル、その立体異性体、その立体異性体もしくは互変異性体の混合物を含む、製造物品、ならびに容器も提供される。一態様では、製造物品は、式I、式II、式II、式IVおよび個々の化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31および32(化合物1〜32)、または薬学的に許容されるその塩、および容器を含む。個別の実施形態では、製造物品の容器は、バイアル、広口瓶、アンプル、事前ロードされたシリンジ(preloaded syringe)、ブリスター包装、ブリキ板製容器、缶、ボトル、箱または静脈内バッグとすることができる。
同様に、ヒトにおけるArenaviridae感染の処置に使用するための医薬の調製における、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、あるいは化合物1〜32、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルを含めた本明細書における実施例の具体的な化合物の1つの群から選択される化合物を含めた、本明細書における式のそれぞれならびに各部分群およびその実施形態から選択される化合物の使用も、個別の実施形態として提供される。
VI.Arenaviridaeポリメラーゼの阻害方法
【0253】
本発明の別の態様は、本発明の化合物または組成物を用いて、Arenaviridaeを含有していることが疑われる試料を処置するステップを含む、Arenaviridaeポリメラーゼ活性を阻害する方法に関する。
【0254】
本発明の方法を使用して処置することができるArenaviridaeは、通常、霊長類に感染する、一本鎖ネガティブセンスRNAウイルスである。アレナウイルスは、実質的にすべての細胞タイプにおいて増殖することができる。
ラッサウイルスに感染している非ヒト霊長類における研究に基づいて、感染した最初の細胞は、リンパ組織中の樹状細胞であるようである。感染は、肝臓中のクッパ−細胞、ならびに肝臓および副腎中の実質細胞、神経組織を含めた様々な組織中の内皮細胞の感染に進行し、最終的に上皮の感染に進行する。肝炎に至るヒトにおける肝臓感染の証拠も立証されている)(Hensley,L.、2011年、Virology Journal;Yun,N.E.、2012年、Viruses)。
30種の同定されたアレナウイルス属が存在している:Allpahuayoウイルス(ALLV)、アマパリウイルス(AMAV)、ベアキャニオンウイルス(BCNV)、カタリナウイルス、チャパレウイルス、Cupixiウイルス(CPXV)、ダンデノンウイルス、フレクサルウイルス(FLEV)、ガナリトウイルス(GTOV)、アイピーウイルス(IPPYV)、フニンウイルス(JUNV)、コドコウイルス、ラッサウイルス(LASV;6種の株、すなわち、Josiah、NL、z148、Macenta、AVおよびCSF)、ラチノウイルス(LATV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ルジョウイルス、マチュポウイルス(MACV)、モバラウイルス(MOBV)、モロゴロウイルス、モペイアウイルス(MOPV)、オリベロスウイルス(OLVV)、パラナウイルス(PARV)、ピキンデウイルス(PICV)、ピンハルウイルス、ピリタルウイルス(PIRV)、サビアウイルス(SABV)、スキナータンクウイルス、タカリベウイルス(TCRV)、タミアミウイルス(TAMV)またはホワイトウォーターアロヨウイルス(WWAV)。
アレナウイルスのビリオンは、脂質エンベロープによって囲まれているヌクレオカプシドからなる、直径が40から200nmを超えるサイズの不均一なものである。ビリオン内部の電子顕微鏡写真は、構築している間に、ウイルス粒子中に宿主細胞リボソームを組み込むことにより、特有の粒状外観を示す。アレナウイルスのゲノムは、2つの一本鎖RNA分節、すなわち小分節(S)および大分節(L)からなる。どちらのゲノム分節も、アンビセンス遺伝子構成を有しており、反対の配向の2つの遺伝子をコードする。L RNA(約7kb)は、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(L)および小RINGジンクフィンガー結合タンパク質(Z)をコードする。S RNA(約3.4kb)は、糖タンパク質前駆体タンパク質(GPC)および核タンパク質(NP)をコードする。GPCは、翻訳後に開裂して、2つのエンベロープ糖タンパク質GP1およびGP2、ならびに安定シグナルペプチド(SSP)を生じる(Yun, N.E.、2012年、Viruses)。
【0255】
本発明の組成物は、アレナウイルスポリメラーゼの阻害剤として、そのような阻害剤の中間体として働くことができるか、または下記の通り他の利用性を有することができる。この阻害剤は、Arenaviridaeポリメラーゼに固有の形状を有するArenaviridaeポリメラーゼの表面またはその空洞にある位置に結合する。Arenaviridaeポリメラーゼに結合する組成物は、様々な可逆的度合いで結合することができる。実質的に不可逆に結合するそのような化合物は、本発明のこの方法における使用にとって理想的な候補である。一旦、標識されると、実質的に不可逆に結合する組成物は、Arenaviridaeポリメラーゼの検出用プローブとして有用である。したがって、本発明は、Arenaviridaeポリメラーゼを含有していることが疑われる試料中のArenaviridaeポリメラーゼを検出する方法であって、Arenaviridaeポリメラーゼを含有していることが疑われる試料を標識に結合した本発明の化合物を含む組成物により処理するステップ、および標識の活性に及ぼす試料の影響を観察するステップを含む方法に関する。好適な標識は、診断領域において周知であり、安定な遊離ラジカル、フルオロフォア、放射性同位体、酵素、化学発光基および色原体を含む。本明細書における化合物は、ヒドロキシル、カルボキシル、スルフィドリルまたはアミノなどの官能基を使用して、従来の様式で標識される。
【0256】
本発明の文脈内では、Arenaviridaeポリメラーゼの含有が疑われる試料には、天然または人工の物質、例えば生きている生物、組織または細胞培養物、生物物質の試料などの生物試料(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙液、痰、唾液、組織試料など)、実験室試料、食物、水または空気の試料、細胞の抽出物などのバイオ生成物試料、特に、所望の糖タンパク質を合成する組換え細胞などが含まれる。通常、これらの試料は、Arenaviridaeポリメラーゼを産生する生物、多くの場合、Arenaviridaeウイルスなどの病原性生物を含有していることが疑われる。試料は、水および有機溶媒/水混合物を含む、いかなる媒体中にも含有され得る。試料には、ヒトなどの生きている生物、および細胞培養物などの人工物質が含まれる。
【0257】
本発明の処置ステップは、本発明の組成物を試料に添加するステップを含むか、または組成物の前駆体を試料に添加するステップを含む。追加のステップは、上記の任意の投与方法を含む。
【0258】
所望の場合、本組成物を施用した後のArenaviridaeポリメラーゼの活性は、Arenaviridaeポリメラーゼ活性を検出する直接的および間接的な方法を含めた、任意の方法によって観察することができる。Arenaviridaeポリメラーゼ活性を決定する、定量的、定性的および半定量的方法のすべてが企図される。通常、上記のスクリーニング方法の1つが適用されるが、生きている生物の生理的特性の観察など、他のいかなる方法も適用可能である。
【0259】
Arenaviridaeポリメラーゼを含有する生物は、Arenaviridaeウイルスを含む。本発明の化合物は、動物またはヒトにおけるArenaviridae感染の処置または予防において有用である。
【0260】
しかし、ヒトArenaviridaeウイルスを阻害することができる化合物のスクリーニングにおいて、酵素アッセイの結果が、細胞培養物アッセイと相間しないことがあることに留意しておくべきである。したがって、細胞をベースとするアッセイは、一次スクリーニング手段であるべきである。
【0261】
別の実施形態では、本出願は、ヒトにおけるArenaviridaeウイルス感染を処置する方法であって、治療有効量の式I〜IVの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物および/もしくはエステルを患者に投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、Arenaviridae感染は、Arenaviridaeウイルスによって引き起こされる。一部の実施形態では、Arenaviridae感染は、フニンウイルスによって引き起こされる。一部の実施形態では、Arenaviridae感染は、ラッサウイルス株である、Josiah、NL、z148、Macenta、AVまたはCSFによって引き起こされる。一部の実施形態では、Arenaviridaeポリメラーゼが阻害される。
【0262】
本発明の化合物は、Arenaviridae感染に既に罹患しているヒトの処置において使用することができるか、またはArenaviridae感染の機会を低減もしくは予防するために予防的に投与することができる。アレナウイルスに感染した患者の身体検査は、発熱の発生後に、多くの場合、化膿性咽頭炎、両眼の結膜出血、顔の浮腫および全身性腹部圧痛を呈する。肉眼的病理変化は、胸水、肺浮腫、腹水、および胃腸粘膜の出血症状を含むことができる。入院患者に対する死亡率は、5〜10%の間で様々である。
VII.Arenaviridaeポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング。
【0263】
本発明の組成物は、酵素活性を評価するための従来の技法のいずれかによって、Arenaviridaeポリメラーゼに対する阻害活性についてスクリーニングされる。本発明の文脈内では、通常、組成物は、まず、Arenaviridaeポリメラーゼの阻害をin vitroでスクリーニングし、次に、阻害活性を示す組成物をin vivoの活性についてスクリーニングする。約5×10−6M未満、好ましくは約1×10−7M未満のin vitroでのKi(阻害定数)を有する組成物が、in vivo使用に好ましい。
【0264】
有用なin vitroでのスクリーニングが詳細に記載されており、本明細書では、詳細に記載しない。しかし、本実施例は、好適なin vitroアッセイを記載している。

VIII.化合物の調製
【0265】
本発明の化合物は、様々な手段によって調製することができる。例えば、式Vの保護ヌクレオシドは、好適なカップリング条件下、保護ラクトンとヨード置換された塩基との反応によって調製することができる。次に、ヌクレオシドは、部分保護されているヌクレオシドと好適なプロドラッグ部分との反応によりプロドラッグ部分で修飾されて、次に、保護基を除去すると本発明の化合物を得ることができる。
A. ヨード塩基によるヌクレオシドの調製
【0266】
一部の実施形態では、本発明は、式Vの化合物:
【化151】
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を調製する方法を提供する。式Vの化合物を作製する方法は、式Vの化合物を調製するのに好適な条件下で、カップリング剤、ハロ−シラン、式VIの化合物:
【化152】
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および式VIIの化合物:
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
を有する反応混合物を形成するステップを含み、式中、PGはそれぞれ、独立して、ヒドロキシ保護基であるか、あるいは隣接炭素上の2つのPG基は合わされて、−C(R19−基を形成することができ、R10は、Hまたはシリル基であり、R19は、H、C〜Cアルキル、フェニルまたは置換フェニルである。
【0267】
式Vの化合物を作製する方法では、任意の好適なカップリング剤を使用することができる。カップリング剤は、リチウムカップリング剤、ナトリウムカップリング剤、マグネシウムカップリング剤または他のものとすることができる。例えば、カップリング剤は、例えば、n−ブチルリチウム(n−BuLi)、水素化ナトリウム(NaH)、および水素化アルミニウムリチウム(LAHまたはLiAlH)などの脱プロトン化剤とすることができる。カップリング剤はまた、以下に限定されないが、MgCl、iPrMgCl、tBuMgCl、PhMgClまたはそれらの組合せなどの、マグネシウムをベースとするカップリング剤とすることができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、リチウムカップリング剤またはマグネシウムカップリング剤とすることができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、n−BuLi、MgCl、iPrMgCl、tBuMgCl、PhMgClまたはそれらの組合せとすることができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、n−BuLiとすることができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、PhMgClおよびiPrMgClとすることができる。
【0268】
カップリング剤は、任意の好適な量で存在することができる。例えば、カップリング剤は、約1.0、2、3、4、5、6、7、8、9または約10.0当量(mol/mol)などの、式Vの化合物に対して少なくとも1.0当量(mol/mol)の量で存在することができる。カップリング剤はまた、約1.0〜約5.0当量(mol/mol)または約1.0〜約2.0当量(mol/mol)などの、式Vの化合物に対して約1.0〜約10.0当量(mol/mol)の量で存在することができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、式Vの化合物に対して、約1.0〜約5.0当量(mol/mol)量で存在することができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、式Vの化合物に対して、約1.0〜約2.0当量(mol/mol)量で存在することができる。
【0269】
式Vの化合物を作製する方法では、任意の好適なハロ−シランを使用することができる。例えば、ハロ−シランは、フルオロ−シラン、クロロ−シラン、ブロモ−シランまたはヨード−シランとすることができる。シラン部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはフェニルなどの任意の好適な置換基を有することができる。例示的なハロ−シランには、以下に限定されないが、Cl−Si(CHまたはCl−Si(CHCHCHSi(CH−Clが含まれる。一部の実施形態では、ハロ−シランは、クロロ−シランとすることができる。一部の実施形態では、ハロ−シランは、Cl−Si(CHまたはCl−Si(CHCHCHSi(CH−Clとすることができる。一部の実施形態では、ハロ−シランは、TMS−Clとすることができる。
【0270】
10のシリル基は、任意の好適な基とすることができるが、ハロ−シランの選択に依存し得る。例えば、ハロ−シランがTMS−Clである場合、シリル基は、トリメチルシリルとすることができる。
【0271】
ハロ−シランは、任意の好適な量で存在することができる。例えば、ハロ−シランは、約1.0、2、3、4、5、6、7、8、9または約10.0当量(mol/mol)などの、式Vの化合物に対して少なくとも1.0当量(mol/mol)の量で存在することができる。ハロ−シランはまた、約1.0〜約5.0当量(mol/mol)または約1.0〜約2.0当量(mol/mol)などの、式Vの化合物に対して約1.0〜約10.0当量(mol/mol)の量で存在することができる。一部の実施形態では、ハロ−シランは、式Vの化合物に対して、約1.0〜約5.0当量(mol/mol)の量で存在することができる。一部の実施形態では、ハロ−シランは、式Vの化合物に対して、約1.0〜約2.0当量(mol/mol)の量で存在することができる。
【0272】
ヒドロキシ保護基は、ヒドロキシ官能基に好適な任意の保護基とすることができる。代表的なヒドロキシ保護基には、以下に限定されないが、トリメチルシラン(TMS)、t−ブチルジメチルシラン(TBDMS)またはt−ブチルジフェニルシラン(TBDPS)などのシラン、メチル−メトキシ(MOM)、テトラヒドロピラン(THP)、t−ブチル、アリルまたはベンジルなどのエーテル、およびアセチル、ピバロイルまたはベンゾイルなどのエステルが含まれる。一部の実施形態では、ヒドロキシ保護基は、トリメチルシラン(TMS)、t−ブチルジメチルシラン(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシラン(TBDPS)、メチル−メトキシ(MOM)、テトラヒドロピラン(THP)、t−ブチル、アリル、ベンジル、アセチル、ピバロイルまたはベンゾイルとすることができる。一部の実施形態では、ヒドロキシ保護基は、ベンジルとすることができる。
【0273】
1,2−ヒドロキシ基と称される、隣接炭素上のヒドロキシ基は、ケトンとジエーテルとの反応による、アセトニドと呼ばれる環式保護基を形成することができる。例示的なアセトニドには、以下に限定されないが、アセトニドおよびベンジリデンアセタールが含まれる。一部の実施形態では、隣接炭素上のヒドロキシ基のヒドロキシ保護基を組み合わせて、アセトニドを形成することができる。
【0274】
19基が、C〜Cアルキルである場合、R19は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル(sec-buty)、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、セプチルまたはオクチルとすることができる。一部の実施形態では、R19基は、メチルとすることができる。
【0275】
任意の好適な溶媒も、本発明の方法において使用することができる。代表的な溶媒には、以下に限定されないが、ペンタン、ペンタン類、ヘキサン、ヘキサン類、ヘプタン、ヘプタン類、石油エーテル、シクロペンタン類、シクロヘキサン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ハロベンゼン(クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびジフルオロベンゼンなど)、塩化メチレン、クロロホルムアセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフランとすることができる。さらに、代表的な溶媒(solvennt)には、以下に限定されないが、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン類(1.4ジオキサン)、N−メチルピロリジノン(NMP)またはそれらの組合せが含まれる。
【0276】
本方法の反応混合物は、任意の好適な温度とすることができる。例えば、反応混合物の温度は、約−78℃〜約100℃または約−50℃〜約100℃または約−25℃〜約50℃または約−10℃〜約25℃または約0℃〜約20℃とすることができる。一部の実施形態では、反応混合物の温度は、約0℃〜約20℃とすることができる。一部の実施形態では、反応混合物の温度は、約−30℃〜約−10℃とすることができる。
【0277】
本方法の反応混合物は、任意の好適な圧力とすることができる。例えば、本反応混合物は、大気圧にあることができる。反応混合物はまた、大気ガス、または窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガスなどの任意の好適な環境に曝露され得る。
【0278】
本発明の方法は、任意の好適な収率で式Vの化合物を提供することができる。例えば、式Vの化合物は、少なくとも約50%、55、60、65、70、75、80、85、90または少なくとも約95%の収率で調製することができる。
【0279】
本発明の方法は、任意の好適な純度で式Vの化合物を提供することができる。例えば、式Vの化合物は、少なくとも約90、95、96、97、98または少なくとも約99%の純度で調製することができる。一部の実施形態では、式Vの化合物は、少なくとも95%の純度で調製することができる。一部の実施形態では、式Vの化合物は、少なくとも98%の純度で調製することができる。一部の実施形態では、式Vの化合物は、少なくとも99%の純度で調製することができる。
【0280】
一部の実施形態では、本方法は、
式Vの化合物:
【化154】
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を調製するステップを含み、
ここで、この方法は、式Vの化合物を調製するのに好適な条件下で、TMS−Cl、PhMgCl、iPrMgCl、式VIの化合物:
【化155】
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および式VIIの化合物:
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
を有する反応混合物を形成するステップを含む。
【0281】
一部の実施形態では、本発明は、以下の化合物:
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
を提供する。
B.プロドラッグ部分の付加
【0282】
本発明はまた、プロドラッグ部分をヌクレオシドにカップリングさせて、本発明の化合物を得る方法も提供する。一部の実施形態では、本発明は、
式VIIIの化合物:
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
(本方法は、式VIIIの化合物を形成するのに好適な条件下で、カップリング剤、非求核性塩基、式IXの化合物:
【化159】
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および式Xの化合物:
【化160】
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を含む反応混合物を形成するステップを含む)
を調製する方法を提供し、式中、Rはそれぞれ、HまたはPGであり、PG基はそれぞれ、ヒドロキシ保護基であるか、または両方のPG基が合わされて、−C(R19−を形成し、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルであり、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキルまたは−CH−C〜Cシクロアルキルであり、R19は、H、C〜Cアルキル、フェニルまたは置換フェニルであり、LGは、脱離基である。
【0283】
式Vの化合物を作製する方法に関して上で記載した通り、式VIIIの化合物を作製する方法において、任意の好適なカップリング剤を使用することができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、マグネシウムカップリング剤とすることができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、MgCl、iPrMgCl、tBuMgCl、PhMgClまたはそれらの組合せとすることができる。一部の実施形態では、カップリング剤は、MgClとすることができる。
【0284】
式VIIIの化合物を作製する方法では、任意の好適な非求核性塩基を使用することができる。代表的な非求核性塩基には、以下に限定されないが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジンおよびキヌクリジンが含まれる。一部の実施形態では、非求核性塩基は、ジ−イソプロピルエチルアミン(DIPEA)とすることができる。
【0285】
式Vの化合物を作製する方法に関して上で記載した通り、保護基PGは、任意の好適なヒドロキシ保護基とすることができる。例示的な保護基PGは、ベンジルとすることができるか、またはPG基を合わせて、アセトニドを形成することができる。例示的なアセトニドには、以下に限定されないが、アセトニドおよびベンジリデンアセタールが含まれる。一部の実施形態では、隣接炭素上のヒドロキシ基のヒドロキシ保護基を組み合わせて、アセトニドを形成することができる。一部の実施形態では、PG基を合わせて、−C(R19−を形成する。一部の実施形態では、Rはそれぞれ、保護基PGであり、PG基を合わせて、−C(Me)−を形成する。
【0286】
基が、C〜Cアルキルである場合、Rはそれぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、セプチルまたはオクチルとすることができる。一部の実施形態では、R基はそれぞれ、メチルとすることができる。
【0287】
基が、C〜Cアルキルである場合、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、セプチルまたはオクチルとすることができる。一部の実施形態では、R基は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルまたはイソ−ヘキシルとすることができる。R基が、C〜Cシクロアルキルである場合、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルとすることができる。一部の実施形態では、Rは、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルとすることができる。
【0288】
19基が、C〜Cアルキルである場合、R19は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、セプチルまたはオクチルとすることができる。一部の実施形態では、R19基は、メチルとすることができる。
【0289】
脱離基は、任意の好適な脱離基とすることができる。好適な脱離基LGには、以下に限定されないが、クロリド、ブロミド、メシレート、トシレート、トリフレート、4−ニトロベンゼンスルホネート、4−クロロベンゼンスルホネート、4−ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシなどが含まれる。一部の実施形態では、脱離基LGは、4−ニトロフェノキシまたはペンタフルオロフェノキシとすることができる。一部の実施形態では、脱離基LGは、4−ニトロフェノキシとすることができる。
【0290】
一部の実施形態では、Rはそれぞれ、PGであり、PG基は合わされて、−C(R19−を形成し、Rは、C〜Cアルキルであり、R19は、C〜Cアルキルであり、脱離基LGは、4−ニトロフェノキシまたはペンタフルオロフェノキシである。
【0291】
一部の実施形態では、カップリング剤は、MgClであり、非求核性塩基は、ジ−イソプロピルエチルアミンである。
【0292】
一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、
【化161】
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とすることができる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物は
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
とすることができる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
とすることができる。
【0293】
一部の実施形態では、式VIIIの化合物を作製する方法は、式VIIIの化合物:
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
を形成するのに好適な条件下で、
MgCl、DIPEA、式IXの化合物:
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
および式Xの化合物:
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
を含む反応混合物を形成するステップを含む。
【0294】
式VIIIの化合物のR基が、ヒドロキシ保護基PGである場合、本方法は、RのそれぞれがHである式VIIIの化合物を形成するために、保護基を除去する追加のステップを含むことができる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物を調製する方法は、RがそれぞれHである式VIIIの化合物を形成するのに好適な条件下で、脱保護剤、およびR基がそれぞれ保護基PGである式VIIIの化合物を含む第2の反応混合物を形成するステップを含む。脱保護剤は、水素および水素化触媒、または酸などの、保護基PGを除去するための任意の好適な作用剤とすることができる。例えば、保護基PGがベンジルである場合、脱保護剤は、水素および炭素担持白金とすることができる。あるいは、保護基PGが、アセトニドである場合、脱保護剤は酸とすることができる。代表的な酸には、以下に限定されないが、酢酸、氷酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸、および濃塩酸などが含まれる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物を調製する方法は、RがそれぞれHである式VIIIの化合物を形成するのに好適な条件下で、酸、およびR基が合わされて−C(R19−が形成されている式VIIIの化合物を含む第2の反応混合物を形成するステップを含む。一部の実施形態では、酸は、塩酸とすることができる。
【0295】
任意の適切な溶媒を、本発明の方法において使用することができる。代表的な溶媒には、以下に限定されないが、ペンタン、ペンタン類、ヘキサン、ヘキサン類、ヘプタン、ヘプタン類、石油エーテル、シクロペンタン類、シクロヘキサン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ハロベンゼン類(クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびジフルオロベンゼンなど)、塩化メチレン、クロロホルムアセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、溶媒は、アセトニトリルとすることができる。
【0296】
本方法の反応混合物は、任意の好適な温度とすることができる。例えば、反応混合物の温度は、約−78℃〜約100℃または約−50℃〜約100℃または約−25℃〜約50℃または約−10℃〜約25℃または約0℃〜約20℃とすることができる。一部の実施形態では、反応混合物の温度は、約0℃〜約20℃とすることができる。
【0297】
本方法の反応混合物は、任意の好適な圧力とすることができる。例えば、本反応混合物は、大気圧とすることができる。反応混合物はまた、大気ガス、または窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガスなどの任意の好適な環境に曝露され得る。
【0298】
本発明の方法は、任意の好適な収率で式VIIIの化合物を提供することができる。例えば、式VIIIの化合物は、少なくとも約50%、55、60、65、70、75、80、85、90または少なくとも約95%の収率で調製することができる。
【0299】
本発明の方法は、任意の好適な純度で式VIIIの化合物を提供することができる。例えば、式VIIIの化合物は、少なくとも約90、95、96、97、98または少なくとも約99%の純度で調製することができる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、少なくとも95%の純度で調製することができる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、少なくとも98%の純度で調製することができる。一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、少なくとも99%の純度で調製することができる。
【0300】
一部の実施形態では、本発明は、以下の化合物:
【化167】
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を提供する。
IX.
【実施例】
【0301】
実験の詳細を記載する際に、ある特定の略語および頭字語が使用されている。これらの大部分は、当業者によって理解されるが、表1は、これらの略語および頭字語の多くを一覧表示したものを含んでいる。
【表1-1】
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【表1-2】
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【表1-3】
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A.化合物の調製
(実施例1)
(2S)−エチル2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(クロリデートA)
【化168】
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【0302】
エチルアラニンエステル塩酸塩(1.69g、11mmol)を無水CHCl(10mL)に溶解し、この混合物を、N(g)下で0℃に冷却しながら撹拌した。ジクロロリン酸フェニル(1.49mL、10mmol)を加え、次いで、10分間かけてEtNを滴下して加えた。次に、この反応混合物を室温にゆっくりと温め、12時間撹拌した。無水EtO(50mL)を加え、この混合物を30分間、撹拌した。形成した固体を濾過により除去して、濾液を減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜50%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、中間体A(1.13g、39%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.27 (m, 5H), 4.27 (m, 3H), 1.52 (m, 3H), 1.32 (m, 3H). 31PNMR (121.4 MHz, CDCl3) δ 8.2, 7.8.
(実施例2)
(2S)−2−エチルブチル2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(クロリデートB)
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
【0303】
2−エチルブチルアラニンクロロホスホルアミデートエステルBは、エチルアラニンエステルの代わりに2−エチルブチルアラニンエステルを使うことを除いて、クロリデートAと同じ手順を使用して調製した。この物質を粗製にて次の反応に使用した。メタノールまたはエタノールによる処理により、必要なLCMSシグナルを有する置換生成物を形成する。
(実施例3)
(2S)−イソプロピル2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(クロリデートC)
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
【0304】
イソプロピルアラニンクロロホスホルアミデートエステルCは、エチルアラニンエステルの代わりにイソプロピルアラニンエステルを使うことを除いて、クロリデートAと同じ手順を使用して調製した。この物質を粗製にて次の反応に使用した。メタノールまたはエタノールによる処理により、必要なLCMSシグナルを有する置換生成物を形成する。
(実施例4)
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(化合物1)
【化171】
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【0305】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの調製を以下に記載する。
【化172】
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【0306】
市販のラクトール(10g、23.8mmol)をN(g)下で、無水DMSO(30mL)に溶解した。AcO(20mL)を加え、得られた反応混合物を室温で48時間、撹拌した。この反応混合物を氷HO(500mL)に注ぎ、この混合物を20分間、撹拌した。この混合物をEtOAc(3×200mL)により抽出し、次に、合わせた有機抽出物をHO(3×200mL)により洗浄した。有機抽出物を無水MgSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物をCHClに溶解し、ヘキサン中、25%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、ラクトン(9.55g、96%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.30-7.34 (m, 13H), 7.19-7.21 (m, 2H), 4.55-4.72 (m, 6H), 4.47 (s,2H), 4.28 (d, J = 3.9 Hz,1H), 3.66 (m, 2H).LCMS m/z 436.1[M+HO]、435.2[M+OH]− Tr=2.82分。HPLC Tr=4.59[H2中、2〜98%ACN)、2ml/分の流速で5分間。
【化173】
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【0307】
ブロモピラゾール(WO2009/132135に従って調製)(0.5g、2.4mmol)を、N(g)下、無水THF(10mL)に懸濁した。この懸濁液を撹拌し、TMSCl(0.67mL、5.28mmol)を加えた。この混合物を室温で20分間、撹拌し、次に、−78℃に冷却して、その後、n−BuLi(6mL、ヘキサン中、1.6N、9.6mmol)溶液をゆっくりと加えた。この反応混合物を−78℃で10分間、撹拌し、次に、ラクトン(1g、2.4mmol)をシリンジにより加えた。LCMSによって測定して、この反応が完了すると、AcOHを加えて、この反応をクエンチした。この混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、CHClとHOとの混合物(100mL、1:1)に溶解した。有機層を分離し、HO(50mL)により洗浄した。次に、有機層を無水MgSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜50%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、生成物が1:1のアノマー混合物(345mg、26%収率)として得られた。LCMS m/z 553[M+H]。
【化174】
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【0308】
ヒドロキシヌクレオシド(1.1g、2.0mmol)を無水CHCl(40mL)に溶解し、N(g)下、撹拌しながら、この溶液を0℃に冷却した。TMSCN(0.931mL、7mmol)を加え、この混合物をさらに、10分間、撹拌した。この反応物(the reaction)にTMSOTf(1.63mL、9.0mmol)をゆっくりと加え、この混合物を1時間、撹拌した。次に、反応混合物をCHCl(120mL)により希釈し、水性NaHCO(120mL)を加えて、この反応をクエンチした。この反応混合物をさらに10分間、撹拌し、有機層を分離した。水層をCHCl(150mL)により抽出し、合わせた有機抽出物を無水MgSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を最少量のCHClに溶解して、0〜75%のEtOAcおよびヘキサンからなるグラジエントにより溶出させる、シリカゲルクロマトグラフィーに供すると、トリベンジルシアノヌクレオシドがアノマー混合物として得られた。(0.9g、80%)。1H NMR (300 MHz, CD3CN) δ 7.94 (s, 0.5H), 7.88 (s, 0.5H), 7.29-7.43 (m, 13H), 7.11-7.19 (m,1H), 6.82-6.88 (m,1H), 6.70-6.76 (m, 1H), 6.41 (bs, 2H), 5.10 (d, J = 3.9 Hz,0.5H), 4.96 (d, J = 5.1 Hz, 0.5H), 4.31-4.85 (m, 7H), 4.09-4.18 (m, 2H),3.61-3.90 (m, 2H).LCMS m/z 562[M+H]。
【化175】
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【0309】
トリベンジルシアノヌクレオシド(70mg、0.124mmol)を無水CHCl(2mL)に溶解し、N(g)下、−78℃に冷却した。BCl溶液(CHCl中の1N、0.506mL、0.506mmol)を加え、この反応混合物を−78℃で1時間、撹拌した。この反応が、LC/MSによって完了すると、MeOHを加えて、この反応をクエンチした。この反応混合物を室温(room RT)に温め、溶媒を減圧下で除去した。残留物をC18逆相HPLCに供し、HO(0.1%TFA)により5分間、次いで、HO(0.1%TFA)中、35分間かけて、0〜70%MeCNからなるグラジエントにより溶出させ、α−アノマー(20mg、37%)およびβ−アノマー1(20mg、37%)を溶出させた。(α-アノマー) 1HNMR (300 MHz, D2O) δ 7.96 (s, 1H), 7.20 (d,J = 4.8 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 4.56-4.62(m, 1H), 4.08-4.14 (m, 1H), 3.90 (dd, J = 12.9, 2.4 Hz, 1H), 3.70 (dd, J =13.2, 4.5 Hz, 1H). (β-アノマー) 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ7.91 (s, 1H), 7.80-8.00 (br s, 2H), 6.85-6.89 (m, 2H), 6.07 (d, J = 6.0 Hz,1H), 5.17 (br s, 1H), 4.90 (br s, 1H), 4.63 (t, J = 3.9 Hz, 1H), 4.02-4.06 (m,1H), 3.94 (br s, 1H), 3.48-3.64 (m, 2H).LCMS m/z 292.2[M+H]、290.0[M−H]。Tr=0.35分。13C NMR (400 MHZ, DMSO), 156.0, 148.3, 124.3, 117.8, 117.0, 111.2,101.3, 85.8, 79.0, 74.7, 70.5, 61.4.HPLC Tr=1.32分
(実施例5)
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(化合物2)
【化176】
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【0310】
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの調製を、以下に記載する。
【化177】
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【0311】
2−デオキシ−2−フルオロ−4,5−O,O−ジベンジル−D−アラビノース。TFA(13.5mL)中の1’−メトキシ−2−デオキシ−2−フルオロ−4,5−O,O−ジベンジル−D−アラビノース(1.0g、2.88mmol)をHO(1.5mL)により処理し、得られた混合物を5時間、撹拌した。次に、この混合物をEtOAc(100mL)により希釈し、飽和NaHCO(50mL)で処理した。この有機層を分離し、NaCl(50mL)により洗浄して、無水MgSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物をヘキサン中0〜100%EtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィー(80gのSiO Combiflash HP Gold Column)に供すると、2−デオキシ−2−フルオロ−4,5−O,O−ジベンジル−D−アラビノース(695mg、72%)が白色固体として得られた:R=0.52(ヘキサン中の25%EtOAc)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.30 (m, 10H), 5.35 (m, 1H), 4.68-4.29 (m, 7H), 3.70 (d, J = 10.5Hz, 1H), 3.50 (d, J = 10.5 Hz, 2H). 19F NMR (282.2 MHz, CDCl3)δ-207 (m), -211 (m).LCMS m/z 350[M+HO]。
【化178】
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【0312】
(3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロジヒドロフラン−2(3H)−オン。2−デオキシ−2−フルオロ−4、5−O,O−ジベンジル−D−アラビノース(4.3g、12.8mmol)をCHCl(85mL)に溶解し、4Å MS(10g)および二クロム酸ピリジニウム(14.4g、38.3mmol)により処理した。得られた混合物を24時間、撹拌し、次に、セライトバッドにより濾過した。溶出物を減圧下で濃縮し、残留物を、ヘキサン中、0〜100%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィー(120gのSiO HP Gold Combiflash Column)に供すると、(3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロジヒドロフラン−2(3H)−オンが濁りのない油状物として得られた(3.5g、83%):R=0.25(ヘキサン中の25%EtOAc)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.37 (m, 10H), 5.45 (dd, J = 49, 5.7, Hz, 1H), 4.85 (d, J = 11.7Hz, 1H), 4.52 (m, 4 H), 4.29 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 2.08 (dd, J = 15.3, 10.2 Hz,2H). 19F NMR (282.2 MHz, CDCl3) δ-216.LCMS m/z 348[M+HO]。HPLC(6〜98%のMeCN−HOグラジエント、0.05%TFA改変剤(modifier))t=5.29分。Phenomenex Synergi 4m Hydro−RP 80A、50×4.60mm、4ミクロン;2mL/分の流速
【化179】
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【0313】
(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール。THF(1.4mL)中の7−ブロモピロロ[1,2−f][1,2,4]−トリアジン−4−アミン(68mg、0.319mmol)をTMSCl(89μL、0.703mmol)により処理し、この混合物を2時間、撹拌した。次に、この混合物を−78℃に冷却し、nBuLi(ヘキサン中1.0M、1.09mL、1.09mmol)により処理した。この溶液を30分間、撹拌し、次に、THF(1.4mL)中の(3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロジヒドロフラン−2(3H)−オン(106mg、0.319mmol)により、滴下して処理した。得られた混合物を30分間、撹拌し、次に、THF(1.0mL)中のAcOH(83μL、1.44mmol)を加えて、この反応をクエンチした。この混合物を室温に温め、次に、減圧下で濃縮した。この残留物をEtOAc(100mL)により希釈し、飽和NaCl溶液(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中0〜100%EtOAc、次いで、EtOAc中の0〜100%のグラジエント(EtOAc中の20%MeOH)により溶出させるシリカゲルクロマトグラフィー(40gのSiO HP Gold Combiflash Column)に供すると、(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オールが白色固体(68mg、44%、α/β異性体の60/40混合物)として得られた。R=0.32(EtOAc)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.05 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.26 (m,10H), 6.95 (m, 1H), 6.71 (m, 1H), 6.08 (m, 1H), 5.34 (m, 1H), 4.65 (m, 6H),4.71 (m, 2H). 19F NMR (282.2 MHz, CDCl3) δ-211 (m).LCMS m/z 465[M+H]。HPLC(6〜98%のMeCN−HOグラジエント、0.05%TFA改変剤)t=4.37分。(α−異性体)、4.54分。(β−異性体)。
【化180】
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【0314】
(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−カルボニトリル:(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール(195mg、0.42mmol)をMeCN(1.4mL)に溶解し、TMSCN(336μL、2.52mmol)およびIn(OTf)(708mg、1.26mmol)により処理した。この溶液を70℃で18時間、撹拌し、次に、0℃に冷却した。この混合物を飽和NaHCO溶液(20滴)により処理し、次に室温に温め、EtOAc(100mL)およびHO(50mL)により希釈した。この有機層を分離し、飽和NaCl溶液(50mL)により洗浄して、MgSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中0〜100%EtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィー(40gのSiO HP Gold Combiflash Column)に供すると、(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−カルボニトリルが白色固体(110mg、55%、α/β異性体の60/40混合物)として得られた。両方の異性体のデータ:R=0.53(EtOAc)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.01 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.30 (m, 10H), 7.00 (d, J = 4.5 Hz,1H), 6.93 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 4.8Hz, 1H), 5.85 (dd, J = 52, 3.3 Hz, 1H), 5.55 (dd, J = 53, 4.5 Hz, 1H), 4.71 (m,7H), 3.87 (m, 2H), 3.72 (m, 2H). 19F NMR (282.2 MHz, CDCl3)δ-196 (m), -203 (m).LCMS m/z 474[M+H]。HPLC(6〜98%のMeCN−HOグラジエント、0.05%TFA改変剤)t=4.98分。
【化181】
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【0315】
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(2)。(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(110mg、0.23mmol)をCHCl(1.5mL)に溶解し、0℃に冷却した。この反応混合物をBCl(CHCl中1.0M、766μL、0.77mmol)により処理し、2時間、撹拌した。次に、この混合物を−78℃に冷却し、EtN(340μL、2.44mmol)、次いでMeOH(2mL)により処理した後、室温に温めた。この反応物(the reaction)を減圧下で濃縮し、次に、MeOH(3×5mL)により共蒸発させた。次に、この残留物をHO(5mL)に懸濁させて、NaHCO(1g)により処理した。この溶液を10分間、撹拌し、次に、減圧下で濃縮した。この残留物を濾過し、フリットガラス漏斗(粗い)上でMeOH(3×10mL)により洗浄し、溶出物を減圧下で濃縮した。この残留物を、逆相HPLC(0.05%TFA改変剤を含むHO中での6〜98%MeCNのグラジエント)に供すると、(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル2が白色固体(16.8mg、25%)として、およびα−異性体として得られた。β異性体のデータ:R=0.13(EtOAc中10%MeOH)。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.09 (s, 1H), 7.28 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 5.1 Hz, 1H),5.42 (dd, J = 53, 3.3 Hz, 1H), 4.20 (m, 2H), 3.99 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 3.77 (d,J = 3.6 Hz, 1H). 19F NMR (282.2 MHz, CDCl3) δ-197 (m).LCMS m/z 294[M+H]。HPLC(2〜98%のMeCN−HOグラジエント、0.05%TFA改変剤)t=1.49分。
(実施例6)
(2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−5−メチルテトラヒドロフラン−3−オール(化合物3)
【化182】
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【0316】
(2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)−5−メチルテトラヒドロフラン−3−オールの調製を以下に記載する。
【化183】
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【0317】
出発のヌクレオシド(化合物2の合成において記載した通り調製した)(0.355g、0.765mmol)を無水THF(35mL)に溶解し、N(g)下で撹拌しながら0℃に冷却した。塩化メチルマグネシウム(2mL、6mmol)(THF中、3N)溶液を加え、得られた混合物を一晩、撹拌した。酢酸(7mmol)を加えて、この反応をクエンチし、次に、溶媒を減圧下で回転により除去した。この残留物をCHClに再溶解し、この溶液をシリカゲルのプラグに供して、生成物(0.355g)を粗製混合物として単離した。LC/MS(m/z:480、M+1)。この粗製物質を無水CHCl(20mL)に溶解し、N(g)下に置いた。この溶液を撹拌して、メタンスルホン酸(0.2mL、2.74mmol)により処理した。この反応混合物を室温で、12時間、撹拌し、次に、EtN(3.5mmol)を加えることによりクエンチした。この混合物を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、メチル置換ヌクレオシド(0.174g、0.377mmol、44%収率)が、それぞれ、ベータ−アノマーおよびアルファ−アノマーの4:1混合物として得られた。1H NMR (300 MHz, CD3CN) 主アノマーδ 7.87 (s, 1H), 7.27-7.40 (m, 10 H), 6.77 (d, J = 4.5 HZ, 1H),6.70 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 6.23 (br s, 2H), 5.53 (dd, J = 55, 3.3 Hz, 1H),4.42-4.75 (m, 4H), 4.19-4.26 (m, 1H), 3.65-4.00 (m, 3H), 1.74 (d, J = 3.9 Hz,3H). 19F NMR (282.2 MHz, CD3CN) 主アノマー δ -207 (m, 1F).LCMS m/z 463[M+H]。
【化184】
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【0318】
ベンジル化ヌクレオシド物質(0.134g、0.290mmol)、Degussa触媒(0.268g)およびAcOH(30mL)を一緒に混合した。この反応の雰囲気にH(g)を投入し、この反応物(the reaction)を2時間、撹拌した。触媒を濾過により除去して、この混合物を減圧下で濃縮した。残留物を最少量のHOに溶解し、逆相HPLC(C18 hydro RPカラム)に供して、β−アノマー3(0.086g、0.217mmol、57%収率)を単離した。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 7.87 (s, 1H), 7.22 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 4.8 Hz,1H), 5.35 (dd, J = 54, 3.6 Hz, 1H), 3.97-4.10 (m, 2H), 3.81 (dd, J =12.6, 2.1 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 12.6, 4.8 Hz, 1H), 1.65 (d, J = 4.2 Hz,3H). 19F NMR (282.2 MHz, CD3CN) δ-207 (m, 1F).
【0319】
少量のアルファアノマーは以下の通り、特徴付けられた。1H NMR (300 MHz, D2O) δ7.86 (s,1H), 7.26 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.31 (dd, J =54, 3.9 Hz, 1H), 4.39 (ddd, J = 26.1, 9.9, 3.6 Hz, 2H), 4.00 - 4.05 (m,1H), 3.90 (dd, J = 12.3, 2.1 Hz, 1H), 3.66 (dd, J = 12.6, 4.8, 1H), 1.56 (s,3H). 19F NMR (282.2 MHz, CD3CN) δ-198 (dd, J = 54, 26 Hz, 1F).
(実施例7)
(2R)−イソプロピル2−((((2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)−(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(化合物4)
【化185】
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【0320】
ヌクレオシド3(0.011g、0.04mmol)をリン酸トリメチル(2mL)に溶解し、0℃に冷却した。この混合物をN(g)の雰囲気下で撹拌し、1−メチルイミダゾール(0.320mL、5mmol)、次いでアラニニルモノイソプロピル、モノフェノールホスホロクロリデート(phosphorchloridate)C(0.240mL、4.4mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で2時間、撹拌し、次に、LC/MSによりモニタリングしながら、室温にゆっくりと温めた。LCMSによって完了すると、この反応混合物をHO(5mL)により処理し、次に、減圧下で濃縮した。この残留物をCHClに溶解し、ヘキサン中、0〜100%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供した。この生成物画分を採集して濃縮した。この残留物を分取HPLCに供すると、アラニンイソプロピルモノアミデートプロドラッグ4が、異性体の混合物として得られた(4.7mg、0.003mmol、6%)。1H NMR (300 MHz, CD3CN) δ 7.87 (s, 1H), 7.17-7.44 (m, 5 H), 6.71-6.83 (m, 2H), 6.14 (br, s,2H), 5.38 (dd, J = 56, 3.3 Hz, 1H), 4.92-5.01 (m, 1H), 3.86-4.46 (m, 6H), 3.58(m, 1H), 1.73 (m, 3H), 1.18-1.34 (m, 9H).LCMS m/z 552[M+H]。
(実施例8)
(2R)−エチル2−((((2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(化合物5)
【化186】
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【0321】
ヌクレオシド3(0.026g、0.092mmol)をリン酸トリメチル(2mL)に溶解し、0℃に冷却した。この混合物をN(g)下で撹拌し、1−メチルイミダゾール(0.062mL、0.763mmol)、次いでクロリデートA(0.160g、0.552mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で2時間、撹拌し、次に、室温にゆっくりと温めた。HO(5mL)を加えて、この反応をクエンチし、次に、この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物をCHClに溶解し、ヘキサン中、0〜100%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供した。この生成物画分を採集して濃縮した。粗生成物をヘキサン中、0〜100パーセントのEtOAcを使用して溶出した。粗生成物を採集し、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCに供すると、5(2.0mg、4%収率)が得られた。LCMS m/z 538[M+H]。
(実施例9)
((2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(化合物6)
【化187】
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【0322】
ヌクレオシド3(0.022g、0.056mmol)をリン酸トリメチル(1mL)に溶解し、N(g)下で撹拌した。オキシ塩化リン(0.067mL、0.73mmol)を加え、この混合物を2時間、撹拌した。分析用イオン交換カラムによりモニタリングして、80パーセント超のモノホスフェートを形成する時点を決定した。無水DMF(1mL)に溶解した、トリブチルアミン(0.44mL、1.85mmol)およびピロリン酸トリエチルアンモニウム(0.327g、0.72mmol)の溶液を加えた。この反応混合物を20分間、撹拌し、次に、HO中の1N炭酸水素トリエチルアンモニウム溶液(5mL)を加えることによりクエンチした。この混合物を減圧下で濃縮し、この残留物をHO中に再溶解した。この溶液をイオン交換クロマトグラフィーに供すると、表題生成物6(1.7mg、6%収率)が得られた。LCMS m/z 521[M−H]。Tr=0.41。HPLCイオン交換TR=9.40分
(実施例10)
(2R,3R,5S)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(化合物7)
【化188】
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【0323】
(2R,3R,5S)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの調製を、以下に記載する。
【化189】
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【0324】
((3αR,5S,6αR)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノール。アセテート材料(1.2g、5.5mmol)(J. Org. Chem. 1985年、50巻、3547頁、De Bernardoら)をMeOHとTHFの1:1混合物(10mL)に溶解した。pHが13になるまで、NaOH(水性)(10mL)の1N溶液を加えた。この反応混合物を2時間、撹拌し、次に、AcOHを加えることによりpH8〜9に中和した。この混合物をEtOAc(10×30mL)により抽出し、合わせた有機抽出物を無水NaSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中の0〜70%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、所望の生成物(866mg、90%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.84 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.78 (t, J = 4.5 Hz, 1H), 4.38 (m,1H), 3.93-3.54 (m, 2H), 2.04-1.84 (m, 2H), 1.52 (s, 3H), 1.33 (s, 3H).
【化190】
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【0325】
(3αR,5S,6αR)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチル−テトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール。水素化ナトリウム(188mg、7.46mmol)を無水THF(5mL)に溶解し、N(g)下、室温で撹拌した。アルコール(866mg、4.97mmol)を無水THF(3mL)に溶解し、水素化ナトリウム混合物に、5分間かけて小分けにして加えた。得られた混合物を20分間、撹拌し、次に、臭化ベンジル(892μL、7.46mmol)を加えた。この反応物を2時間、撹拌し、次に、氷冷水性NaHCOとEtOAc(30mL)の混合物に注いだ。有機層を分離し、次に、水層をEtOAc(30mL)により再抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜40%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、ベンジルエーテル生成物(912mg、69%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.35-7.27 (m, 5H), 5.86 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.74 (t, J = 4.2 Hz,1H), 4.60 (s, 2H), 4.42 (m, 1H), 3.69-3.53 (m, 2H), 2.10-2.04 (m, 1H),1.83-1.77 (m, 1H), 1.52 (s, 3H), 1.33 (s, 3H).
【化191】
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【0326】
(3R,5S)−5−(ベンジルオキシメチル)−テトラヒドロフラン−2,3−ジオール。ベンジルエーテル(910mg、3.44mmol)を1:1のAcOHおよびHO(20mL)混合物に溶解し、60℃で7時間、撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、この残留物を、ヘキサン中、0〜70%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、ジオール生成物(705mg、91%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.27 (m, 5H), 5.40 (d, J = 3.9 Hz, 0.5H), 5.17 (s, 0.5H),4.67-4.56 (m, 3H), 4.33 (m, 0.5H), 4.24 (d, J = 4.8 Hz, 0.5H), 3.71-3.67 (m,1H), 3.56-3.42 (m, 2H), 2.31-2.22 (m, 1H), 2.08-1.89 (m, 2H).
【化192】
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【0327】
(3R,5S)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−ヒドロキシ−ジヒドロフラン−2(3H)−オン。ジオール(705mg、3.14mmol)をベンゼン(30mL)に溶解し、炭酸銀セライト混合物(3.46g、6.28mmol)により処理した。得られた混合物を、N(g)下、80℃で2時間、撹拌した。次に、この混合物を室温に冷却し、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜70%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、ラクトン生成物(600mg、86%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.27 (m, 5H), 4.75-4.68 (m, 1H), 4.60-4.49 (m, 2H), 3.74-3.54(m, 2H), 2.61-2.35 (m, 2H), 2.38-2.28 (m, 1H).
【化193】
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【0328】
(3R,5S)−3−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−ジヒドロフラン−2(3H)−オン。ラクトン(600mg、2.7mmol)をEtOAc(30mL)に溶解し、酸化銀(626mg、2.7mmol)、次いで臭化ベンジル(387μL、3.24mmol)により処理した。次に、この反応混合物を、N(g)下、50℃で、8時間、撹拌した。次に、追加の酸化銀(300mg)を加え、得られた混合物を50℃で16時間、撹拌した。追加の臭化ベンジル(50uL)および酸化銀(150mg)を加え、この混合物をさらに8時間、撹拌した。この反応混合物を冷却して濾過し、次に、減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜20%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、表題生成物(742mg、88%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.27 (m, 10H), 4.99 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.72 (m, 2H), 4.56(m, 2H), 4.39 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 3.72-3.51 (m, 2H), 2.42-2.25 (m, 2H).
【化194】
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【0329】
(3R,5S)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−オール。7−ブロモピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(607mg、2.85mmol)を無水THF(10mL)に溶解し、Ar(g)下、室温で撹拌した。TMSCl(1.1mL、8.55mmol)を滴下して加え、この混合物を2時間、撹拌した。この反応物を減圧下で濃縮し、次に高真空下で乾燥させた。この残留物をTHF(20mL)に懸濁させて、Ar(g)下、−78℃で撹拌した。ヘキサン中の2.5M n−BuLi溶液(2.28mL、5.7mmol)を10分間かけて、滴下して加え、得られた混合物を60分間、撹拌した。無水THF(7mL)に溶解したラクトン(742mg、2.37mmol)を、上記の混合物に20分間かけて加えた。この反応混合物を2時間、撹拌し、次に、pHが5〜6になるまで、AcOHによりクエンチした。この混合物を室温に温め、次に、EtOAcにより希釈した。この溶液を飽和NaHCO溶液、飽和NaClにより洗浄し、無水NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜80%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、表題生成物(250mg、24%)が得られた。LCMS m/z 447.2[M+H]、445.1[M−H]。
【化195】
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【0330】
(3R,5S)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル。アルコール(250mg、0.56mmol)を無水CHCl(10mL)に溶解し、−15℃でAr(g)下で撹拌した。TMSCN(448μL、3.36mmol)を滴下して加え、この混合物を10分間、撹拌した。10分間かけて、TMSOTf(466μL、2.58mmol)を滴下して加え、得られた混合物を−15℃で90分間、撹拌した。追加のTMSCN(224μL、3当量)およびTMSOTf(202μL、2当量)を加え、撹拌を5時間、継続した。飽和NaHCO水溶液を加えて、この反応をクエンチし、この混合物を10分間、撹拌した。有機層を分離し、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl溶液により洗浄して、無水NaSOにより乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜70%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、表題生成物(150mg、59%)が得られた。LCMS m/z 456.3[M+H]、454.1[M−H]。
【化196】
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【0331】
(2R,3R,5S)2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(7)。ベンジルエーテル(150mg、0.329mmol)を無水CHCl(2mL)に溶解し、この混合物をAr(g)下、−20℃で撹拌した。CHCl中の1M BCl溶液(724μL、0.724mmol)を滴下して加え、得られた混合物を2時間、撹拌した。追加のCHCl中の1M BCl(724μL、0.724mmol)を加え、2時間、撹拌を継続した。次に、この混合物を−78℃に冷却し、EtNとMeOHの2:1混合物(3mL)によりゆっくりと処理した。この混合物を10分間、撹拌し、次に、MeOH(10mL)により処理した。この反応物を室温に温め、次に、減圧下で濃縮した。残留物をMeOHに溶解し、減圧下で濃縮した。残留物を再度、MeOHに溶解し、固体NaHCOにより処理した。この混合物を5分間、撹拌し、次に、この固体を濾過により除去した。この溶液を減圧下で濃縮し、分取HPLCに供すると、所望の生成物7(10mg、11%)が得られた。1H NMR (300 MHz, D2O) δ7.71 (s, 1H), 6.75 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 4.8 Hz, 1H),4.91 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 4.57 (m, 1H), 3.67-3.47 (m, 2H), 2.18 (m, 2H).LCMS m/z 276.1[M+H]、274.0[M−H]。
(実施例11)
(2S)−イソプロピル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(化合物8)
【化197】
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【0332】
ヌクレオシド1(45mg、0.15mmol)を無水リン酸トリメチル(0.5mL)に溶解し、この溶液をN(g)下、0℃で撹拌した。メチルイミダゾール(36μL、0.45mmolをこの溶液に加えた。クロロホスホルアミデートC(69mg、0.225mmol)を無水THF(0.25mL)に溶解し、ヌクレオシド混合物に滴下して加えた。この反応がLCMSによって完了すると、この反応混合物をEtOAcにより希釈し、飽和NaHCO水溶液、飽和NaClにより洗浄し、無水NaSOにより乾燥させて濾過し、減圧下で濃縮した。この残留物を、CHCl中、0〜5%のMeOHにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィー、次いで分取HPLCに供すると、生成物(20.9mg、25%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.95 (m, 1H), 7.31-6.97 (m, 7H), 4.94 (m, 1H), 4.78 (m, 1H), 4.43(m, 3H), 4.20 (m, 1H), 3.80 (d, 1H), 1.30-1.18 (m, 9H). 31PNMR (121.4 MHz, CD3OD) δ 3.8.LCMS m/z 561.0[M+H]、559.0[M−H]。
(実施例12)
(2S)−2−エチルブチル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(化合物9)
【0333】
化合物9は、以下に記載されているいくつかの方法により調製することができる。
手順1
【化198】
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【0334】
化合物8の調製に関する方法と同じ方法に従って、化合物1およびクロリデートBから調製した。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.87 (m, 1H), 7.31-7.16 (m, 5H), 6.92-6.89 (m, 2H), 4.78 (m, 1H),4.50-3.80 (m, 7H), 1.45-1.24 (m, 8H), 0.95-0.84 (m, 6H). 31PNMR (121.4 MHz, CD3OD) δ 3.7.LCMS m/z 603.1[M+H]、601.0[M−H]。
手順2
【化199】
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【0335】
(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート。(2S)−2−エチルブチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(1.08g、2.4mmol)を無水DMF(9mL)に溶解し、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。この反応混合物に、(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(350mg、1.2mmol)を1回で加えた。次に、この反応物に、THF中の塩化t−ブチルマグネシウム溶液(1M、1.8mL、1.8mmol)を10分間かけて滴下して加えた。この反応物を2時間、撹拌し、この時点で、この反応混合物を酢酸エチル(50mL)により希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×15mL)、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液(15mL)により洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中の0〜10%MeOH)により精製すると、(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(311mg、43%、リンにおいて、1:0.4のジアステレオマー混合物)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.85 (m, 1H), 7.34 - 7.23 (m, 2H), 7.21 - 7.09 (m, 3H), 6.94 - 6.84(m, 2H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.46 - 4.33 (m, 2H), 4.33 - 4.24 (m, 1H),4.18 (m, 1H), 4.05 - 3.80 (m, 3H), 1.52 - 1.39 (m, 1H), 1.38 - 1.20 (m, 7H),0.85 (m, 6H). 31P NMR (162 MHz, CD3OD) δ 3.71, 3.65.LCMS m/z 603.1[M+H]、600.9[M−H]。HPLC(8.5分間かけて、0.1%TFA改変剤を含む2〜98%のMeCN−HOグラジエント、1.5mL/分、カラム:Phenomenex Kinetex C18、2.6um 100Å、4.6x100mm)t=5.544分、5.601分
(S)および(R)ジアステレオマーの分離
【0336】
(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートをアセトニトリルに溶解した。得られた溶液をLux Cellulose−2キラルカラムにロードし、アセトニトリル中で平衡にして、定組成のアセトニトリル/メタノール(95:5体積/体積)により溶出した。最初に溶出したジアステレオマーは、17.4分の保持時間を有しており、2番目に溶出したジアステレオマーは、25.0分の保持時間を有した。
【0337】
最初に溶出したジアステレオマーは、(S)−2−エチルブチル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート:
【化200】
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である。
1HNMR(400 MHz, CD3OD) δ 8.05 (s, 1H), 7.36 (d, J= 4.8 Hz, 1H), 7.29 (br t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.19 - 7.13 (m, 3H), 7.11 (d, J =4.8 Hz, 1H), 4.73 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.48 - 4.38 (m, 2H), 4.37 - 4.28 (m,1H), 4.17 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.08 - 3.94 (m, 2H), 3.94 - 3.80 (m, 1H), 1.48(sep, J = 12.0, 6.1 Hz, 1H), 1.34 (p, J = 7.3 Hz, 4H), 1.29 (d, J = 7.2 Hz,3H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 6H). 31PNMR (162 MHz, CD3OD)δ 3.71 (s).HPLC(8.5分間かけて、0.1%TFA改変剤を含む2〜98%のMeCN−HOグラジエント、1.5mL/分、カラム:Phenomenex Kinetex C18、2.6um 100Å、4.6x100mm)t=5.585分。
【0338】
2番目に溶出したジアステレオマーは、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート:
【化201】
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である。
1HNMR(400 MHz, CD3OD) δ 8.08 (s, 1H), 7.36 - 7.28(m, 3H), 7.23 - 7.14 (m, 3H), 7.08 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.71 (d, J = 5.3 Hz,1H), 4.45 - 4.34 (m, 2H), 4.32 - 4.24 (m, 1H), 4.14 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.08 -3.94 (m, 2H), 3.93 - 3.85 (m, 1H), 1.47 (sep, J = 6.2 Hz, 1H), 1.38 - 1.26 (m,7H), 0.87 (t, J = 7.5 Hz, 6H). 31PNMR (162 MHz, CD3OD)δ 3.73 (s).HPLC(8.5分間かけて、0.1%TFA改変剤を含む2〜98%のMeCN−HOグラジエント、1.5mL/分、カラム:Phenomenex KinetexC18、2.6um 100Å、4.6x100mm)t=5.629分。
(実施例13)
(2S)−エチル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(化合物10)
【化202】
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【0339】
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
手順1。クロリデートAによる調製
【化203】
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【0340】
化合物8の調製に関する方法と同じ方法を使用して、化合物1およびクロリデートAから調製した。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ7.95 (m, 1H), 7.32-6.97 (m, 7H), 4.78 (m, 1H), 4.43-4.08 (m,6H), 3.83 (m, 1H), 1.31-1.18 (m, 6H). 31P NMR (121.4 MHz, CD3OD)δ 3.7.LCMS m/z 547.0[M+H]、545.0[M−H]。
手順2。ニトロ−ベンゼン化合物Lによる調製
【化204】
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【0341】
化合物1(50mg、0.17mmol)をNMP−THF(1:1mL)に溶解し、氷浴により冷却した。次に、tBuMgCl(0.257mL、0.257mmol)を5分間かけて加えた。得られた混合物を室温に温め、30分間、撹拌した。次に、THF(2mL)中の化合物L(US20120009147に従い調製、74.6mg、0.189mmol)の溶液を加えた。30分後、この反応混合物をHPLC(水中のアセトニトリル10〜80%)によって精製すると、化合物29が黄色固体として得られた。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH0〜20%のDCM)によりさらに精製すると、化合物29(23mg、2.5:1のジアステレオマー混合物として24%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.76 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.25 - 7.14 (m, 2H), 7.11 - 6.99 (m, 3H),6.87 - 6.72 (m, 2H), 4.70 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.39 - 4.24 (m, 2H), 4.20 (dddd,J = 9.7, 7.9, 5.1, 2.8 Hz, 1H), 4.10 (dt, J = 12.8, 5.5 Hz, 1H), 4.06 - 3.91(m, 2H), 3.72 (ddq, J = 14.3, 9.3, 7.1 Hz, 1H), 1.17 (dd, J = 7.1, 1.0 Hz, 1H),1.14 - 1.06 (m, 5H). 31P NMR (162 MHz, CD3OD) δ 3.73 , 3.68.MS m/z=547(M+1)
(実施例14)
(2S)−エチル2−((((2R,3R,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−4−フルオロ−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(化合物11)
【化205】
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【0342】
化合物11は、化合物8の調製に関する方法と同じ方法を使用して、化合物2およびクロリデートAから調製した。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.91 (m, 1H), 7.33-7.16 (m, 5H), 6.98-6.90 (m, 2H), 5.59 (m, 1H),4.50-4.15 (m, 4H), 4.12-3.90 (m, 3H), 1.33-1.18 (m, 6H). 31PNMR (121.4 MHz, CD3OD) δ 3.8.LCMS m/z 549.0[M+H]、547.1[M−H]。
(実施例15)
(2S,2’S)−ジエチル2,2’−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)ホスホリル)ビス(アザンジイル)ジプロパノエート(化合物12)
【化206】
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【0343】
ヌクレオシド1(14.6mg、0.05mmol)を無水リン酸トリメチル(0.5mL)に溶解し、N(g)下、室温で撹拌した。POCl(9.2μL、0.1mmol)を加え、この混合物を60分間、撹拌した。アラニンエチルエステル塩酸塩(61mg、0.4mmol)、次に、EtN(70μL、0.5mmol)を加えた。得られた混合物を15分間、撹拌した。次に、追加のEtN(70μl、0.5mmol)を加えて、pH9〜10の溶液を得た。この混合物を2時間、撹拌し、次に、EtOAcにより希釈し、飽和NaHCO水溶液、次いで飽和NaCl水溶液により洗浄した。有機層を無水NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。この残留物を分取HPLC(C18カラム)に供すると、生成物12(5.5mg、16%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.13 (s, 1H), 7.41 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 4.8 Hz, 1H),4.78 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.36 (m, 1H), 4.25-4.08 (m, 7H), 3.83 (m, 2H),1.33-1.23 (m, 12H). 31P NMR (121.4 MHz, CD3OD) δ 13.8.LCMS m/z 570.0[M+H]、568.0[M−H]。
(実施例16)
(2S,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−2−エチニル−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオール(化合物13)
【化207】
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【0344】
(2S,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−2−エチニル−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオールの調製を、以下に記載する。
【化208】
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【0345】
ヌクレオシドアルコール(0.6g、1.08mmol)(化合物1合成において記載されている通り調製)を無水THF(8mL)に溶解し、N(g)下に置いた。この反応混合物を撹拌して0℃に冷却し、次に、THF中の0.5Nのエチニルマグネシウムブロミド溶液(17.2mL、17.2mmol)により処理した。この反応混合物を、室温で一晩、撹拌した。AcOH(1.5mL)を加えて、反応をクエンチした。この混合物を減圧下で濃縮し、この残留物をCHClに再溶解した。この溶液を、ヘキサン中の0〜80%EtOAcにより溶出させるシリカゲルのプラグに供すると、粗製混合物として表題生成物が得られた。LCMS m/z 579[M+H]。
【化209】
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【0346】
粗製エチニルアルコール(0.624g、1.08mmol)を無水CHCl(10mL)に溶解し、N(g)下に置いた。この混合物を撹拌し、スルホン酸(0.2mL、2.74mmol)を加えた。この反応混合物を室温で12時間、撹拌した。LCMSによって完了すると、EtN(0.56mL)を加えて、この反応をクエンチした。この反応物を減圧下で濃縮し、この残留物を、ヘキサン中、0〜75%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、エチニルヌクレオシドがアノマー混合物として得られた(0.200g、33%、2ステップ通算)。LCMS m/z 561[M+H]。
【化210】
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【0347】
トリベンジルヌクレオシド(0.650g、1.16mmol)を無水CHCl(30mL)に溶解し、N(g)下、−78℃に冷却した。三臭化ホウ素(CHCl中の1N、5.5mL)溶液を加え、この反応混合物を−78℃で1時間、撹拌した。MeOH(10mL)およびピリジン(2mL)の溶液を加えてこの反応をクエンチし、この混合物を室温に昇温させた。この混合物を減圧下で濃縮し、分取HPLCに供すると、α−アノマー(20mg)およびβ−アノマー13(110mg)が得られた。(β-アノマー) 1HNMR (300 MHz, DMSO) δ 7.81 (s, 1H), 7.76 (br s, 2H),6.80-6.85 (m, 2H), 5.11 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.82(dd, J = 7.2, 4.8 Hz, 1H), 4.62 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 3.95-3.99 (m, 1H),3.85-3.91 (dd, J = 11.4, 5.7 Hz, 1H), 3.61-3.67 (m, 1H), 3.47-3.55 (m, 1H),3.52 (d, J = 0.9 Hz, 1H). (α-アノマー) 1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.80(s, 1H), 7.59 (bs, 2H), 6.80 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 4.2 Hz, 1H),5.00 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.74 (t, J = 5.7 Hz, 1H),4.58 (t, J = 4.5 Hz, 1H), 4.27 (m, 1H), 3.88 (m, 1H), 3.64-3.72 (m, 1H),3.51-3.59 (m, 1H), 3.48 (d, J = 0.6 Hz, 1H).LCMS m/z 291[M+H]。
(実施例17)
(2R,3R,4R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−1,3,4−トリス(ベンジルオキシ)ヘキサン−2,5−ジオール(化合物14)
【化211】
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【0348】
(2R,3R,4R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−1,3,4−トリス(ベンジルオキシ)ヘキサン−2,5−ジオールの調製を以下に記載する。
【化212】
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【0349】
化合物1の合成に由来するトリベンジルアルコール(0.250g、0.453mmol)を無水THF(25mL)に溶解し、N(g)下で撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却し、次に、THF中の3.0Nの塩化メチルマグネシウム溶液(1.2mL、3.62mmol)を加えた。この反応混合物を、室温で一晩、撹拌した。酢酸(1.5mL)を加えて、この反応をクエンチし、次に、この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物をCHClに再溶解し、ヘキサン中、0〜80%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルのプラグに供した。次に、粗生成物(0.452g)をさらに精製することなく次の反応に使用した。LCMS m/z 569[M+H]。
【化213】
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【0350】
粗製メチルヌクレオシド(0.452g、0.796mmol)を無水CHCl(20mL)に溶解し、N(g)下で撹拌した。メタンスルホン酸(0.2mL、2.78mmol)を加え、この反応物を室温で12時間、撹拌した。EtN(0.56mL)を加えて、この反応をクエンチし、次に、この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物を、ヘキサン中、0〜75%のEtOAcにより溶出させるシリカゲルクロマトグラフィーに供すると、生成物がアノマー混合物(0.20g、46%、2ステップ通算)として得られた。LCMS m/z 551[M+H]。
【化214】
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【0351】
トリベンジルヌクレオシド(0.20g、0.364mmol)をAcOH(30mL)に溶解し、Pd/C(Degussa)(400mg)を投入した。この撹拌混合物に、N(g)を3回、勢いよく流し、次に、H(g)を導入して、この反応物をH(g)下で2時間、撹拌した。次に、触媒を濾過によって除去した。この溶液を減圧下で濃縮し、この残留物をHOに再溶解した。この溶液を中性条件下、分取HPLCに供すると、α−アノマーおよびβ−アノマー14が81%収率で得られた。(α-アノマー) 1HNMR (300 MHz, D2O) δ 7.81 (s, 1H), 7.22 (d,1H), 6.75 (d, 1H), 4.47 (d, 1H), 4.25-4.31 (m, 1H), 3.88-4.95 (m, 1H),3.58-3.86 (dd, 2H), 1.50 (s, 3H). (β-アノマー) 1H NMR (300 MHz, D2O) δ 7.91 (s, 1H), 7.26 (d, 1H), 6.90 (d, 1H), 4.61 (d, 1H), 4.00-4.09(m, 2H), 3.63-3.82 (dd, 2H), 1.67 (s, 3H).LCMS m/z 281[M+H]。
(実施例18)
S,S’−2,2’−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)ホスホリル)ビス(オキシ)ビス(エタン−2,1−ジイル)ビス(2,2−ジメチルプロパンチオエート)(化合物15)
【化215】
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【0352】
ヌクレオシド1(0.028g、0.096mmol)をリン酸トリメチル(1mL)に溶解した。この反応物をN(g)下で撹拌し、次に、1H−テトラゾール(0.021g、0.29mmol)により処理した。この反応混合物を0℃に冷却し、ホスファン(Nucleoside Nucleotides, Nucleic acids;14巻;3〜5号;1995年;763〜766頁。Lefebvre、Isabelle;Pompon、Alain;Perigaud、Christian;Girardet、Jean-Luc;Gosselin、Gillesら)(87mg、0.192mmol)を加えた。この反応物を2時間、撹拌し、次に、30%過酸化水素(0.120mL)によりクエンチした。この混合物を30分間、室温で撹拌し、次に、飽和水性チオ硫酸ナトリウム(1mL)により処理した。この混合物を10分間、撹拌した。次に、減圧下で濃縮した。この残留物を分取HPLCに供し、表題生成物15を単離した。1H NMR (300 MHz, CD3CN) δ 7.98 (s, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.81 (d, 1H), 6.44 (bs, 2H), 4.82 (m,2H), 4.47 (m, 1H), 4.24 (m, 2H), 4.00 (m, 4H), 3.80 (bs, 1H), 3.11 (m, 4H),1.24 (s, 9H). 31P NMR (121.4 MHz, CD3CN) δ -1.85 (s).LCMS m/z 661[M+H]。
(実施例19)
S,S’−2,2’−((((2R,3S,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−エチニル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)ホスホリル)ビス(オキシ)ビス(エタン−2,1−ジイル)ビス(2,2−ジメチルプロパンチオエート)(化合物16)
【化216】
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【0353】
化合物16は、出発のヌクレオシドとして化合物13を使用することを除き、化合物15と同じ方法を使用して調製した。1H NMR (300 MHz, CD3CN) δ 7.91 (s, 1H), 6.86 (d, J = 4,8 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 4.5 Hz, 1H),6.29 (bs, 2H), 4.69 (t, J = 2.7 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 4.14-4.33(m, 5H), 3.99-4.07 (m, 4H), 3.53 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 3.11 (q, J = 5.7 Hz, 4H),1.22 (s, 18H).LCMS m/z 658.9[M+]。Tr=2.31
(実施例20)
((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(化合物17)
【化217】
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【0354】
化合物17は、化合物6の調製と同様の手順を使用して、化合物1から調製した。生成物は、ナトリウム塩として単離された。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.76 (s, 1H), 6.88 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 4.4 Hz, 1H),4.86 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.43 (m, 1H), 4.39 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 3.94 (m,1H). 31P NMR (121.4 MHz, D2O) δ -5.4 (d, 1P), -10.8 (d, 1P), -21.1 (t, 1P).LCMS m/z 530[M−H]、531.9[M+H] Tr=0.22分。HPLCイオン交換Tr=9.95分。
(実施例21)
((2R,3S,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−エチニル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(化合物18)
【化218】
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【0355】
化合物18は、化合物6の調製と同様の手順を使用して、化合物13から調製した。生成物は、TEA塩として単離した。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 7.85 (s, 1H), 7.09 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 4.7 Hz, 1H),4.23 (m, 2H), 4.08 (m, 2H), 3.06 (q, J = 7.4 Hz, 20H), 1.14 (t, J = 7.3 Hz,30H). 31P NMR (121.4 MHz, D2O) δ -10.8 (d, 1P), -11.2 (d, 1P), -23.2 (t, 1P).LCMS m/z 530.8[M+H]、Tr=0.46。HPLCイオン交換Tr=9.40分。
(実施例22)
((2R,3S,4R,5S)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(化合物19)
【化219】
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【0356】
化合物19は、化合物6の調製と同様の手順を使用して、化合物14から調製した。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.78 (s, 1H), 6.98 (m, 1H), 6.84 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 4.04 (m,4H), 1.54 (s, 3H). 31P NMR (161 MHz, D2O) δ -10.6 (m), -23.0 (m).LCMS m/z 521.0[M+H]。
(実施例23)
((2R,3R,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−4−フルオロ−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(化合物20)
【化220】
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【0357】
化合物20は、化合物6の調製と同様の手順を使用して、化合物2から調製した。1H NMR (400 MHz, D2O) δ7.78 (s,1H), 6.93 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.45 (dd, J = 53, 4.4Hz, 1H), 4.38-4.50 (m, 2H), 4.13-4.20 (m, 2H). 31P NMR (161MHz, D2O) δ -5.7 (d, 1P), -11.0 (d, 1P),-21.5 (t, 1P).LCMS m/z 533.9.0[M+H]、532.0[M−H] Tr=1.25分。HPLCイオン交換Tr=11.0分。
(実施例24)
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエート(21)
【化221】
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【0358】
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエートの調製を以下に記載する。
(S)−エチル2−アミノ−3−フェニルプロパノエート塩酸塩の調製。
【化222】
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【0359】
L−フェニルアラニン(5g、30mmol)をEtOH(30mL)に溶解した。この反応物に室温でTMSCl(6.915mL、54mmol)を加えた。この反応容器に還流コンデンサを取付け、この反応物を80℃の浴中に置いた。この反応物を、一晩、撹拌した。翌日、この反応物を室温に冷却して、減圧下で濃縮し、得られた残留物をEtOに溶解した。得られたスラリーを濾過して、単離した固体をさらにEtOにより洗浄した。洗浄した固体を高真空下に置くと、実施例の(S)−エチル2−アミノ−3−フェニルプロパノエート塩酸塩(6.86g、99%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.52 (s, 3H), 7.30 (m, 5H), 4.24 (ABX, JAX = 7.8Hz, JBX = 6.2 Hz, 1H), 4.11 (m, 2H), 3.17, 3.05 (ABX, JAB= -14 Hz, JBX = 5.8 Hz, JAX = 7.6 Hz, 2H), 1.09 (t, J =6.8Hz, 3H).
(2S)−エチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエート(化合物D)の調製
【化223】
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【0360】
(S)−エチル2−アミノ−3−フェニルプロパノエート塩酸塩(1.01g、4.41mmol)をDCM(50mL)に溶解した。この溶液を0℃に冷却し、PhOP(O)Cl(0.656mL、4.41mmol)を加え、次いで5分間かけてEtN(1.62mL、11.5mmol)をゆっくりと加えた。冷却浴を除去し、この反応物を室温に温め、80分間かけて撹拌した。p−NOPhOH(0.583g、4.19mmol)、次いでさらなるEtN(0.3mL、2.1mmol)を加えた。反応の進行は、LC/MSによってモニタリングした。反応が完了すると、EtOにより希釈し、得られた固体を濾過により除去した。この濾液を濃縮し、化合物D(1.25g、60%、ジアステレオマーの混合物として)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25gのドライロードカートリッジ、120gカラム;溶離液:100%ヘキサンからヘキサン中55%のEtOAcへの勾配)によって単離した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.17 (m, 2H), 7.33 (m, 2H), 7.09-7.25 (m, 10H), 4.17 (m, 1H), 4.07(m, 2H), 3.08 (m, 1H), 2.84 (m, 1H), 1.14 (m, 3H). 31P NMR(162 MHz, DMSO-d6) δ -1.479 (s), -1.719 (s).MS m/z=471.01[M+1]。
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエート(化合物21)の調製
【化224】
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【0361】
化合物1(0.030g、0.103mmol)をDMF(1mL)に溶解し、次に、THF(0.5mL)を加えた。激しく撹拌しながら、この反応物に、t−BuMgCl(1M/THF、154.5μL、0.154μmol)を滴下して加えた。得られた白色スラリーを室温で30分間、撹拌した。この反応物に、室温でTHF(1mL)中の化合物D(0.058g、0.124mmol)の溶液を滴下して加えた。反応の進行は、LC/MSによってモニタリングした。反応が50%の変換率まで進行すると、この反応物を氷浴中で冷却し、氷酢酸(70μL)によりクエンチした。この反応物を濃縮し、逆相HPLCによって、化合物21(22mg、34%、2.6:1のジアステレオマーの混合物として)を残留物から単離した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.91 (d, J = 4 Hz, 1H), 7.90 (brs, 2H), 7.09-7.30 (m, 8H), 7.01,(t, J = 8.2 Hz, 2H), 6.89 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 6.82 (t, J = 4.4 Hz, 1H), 6.27(m, 1H), 6.14 (m, 1H), 5.34 (m, 1H), 4.62 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.15 (m, 1H),3.78-4.01 (m, 6H), 2.92 (m, 1H), 2.78 (m, 1H), 1.04 (m, 3H). 31PNMR (162 MHz, DMSO-d6) δ 3.69 (s), 3.34 (s).MS m/z=623.0[M+H]。
(実施例25)
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−メチルブタノエート(22)
【化225】
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【0362】
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−メチルブタノエートの調製を以下に記載する。
(2S)−エチル3−メチル−2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)ブタノエート(化合物E)の調製
【化226】
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【0363】
(S)−エチル2−アミノ−3−メチルブタノエート(0.351g、1.932mmol)をDCM(17mL)に溶解した。この溶液を氷浴中で冷却し、PhOP(O)Cl(0.287mL、1.932mmol)を加え、次いで5分間かけてEtN(1.62mL、11.4mmol)をゆっくりと加えた。冷却浴を除去して、この反応物を室温に温め、1時間かけて撹拌した。p−NOPhOH(0.255g、1.836mmol)を加え、反応の進行をLC/MSによりモニタリングした。反応が完了すると、この混合物をEtOにより希釈し、得られた固体を濾過によって除去した。この濾液を濃縮し、化合物E(0.642g、79%、ジアステレオマーの混合物として)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(12gのドライロードカートリッジ、80gカラム;溶離液:100%ヘキサンからヘキサン中55%のEtOAcへの勾配)によって単離した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.48 (t, J = 9.6 Hz, 2H), 7.40 (t, J =7.8 Hz, 2H), 7.20-7.27 (m, 3H), 6.60 (四重線, J = 11.6 Hz,1H), 4.01 (m, 2H), 3.61 (m, 1H), 1.93 (m , 1H), 1.11 (m, 3H), 0.79 (m,6H). 31P NMR (162 MHz, DMSO-d6) δ -0.342 (s), -0.578 (s).MS m/z=422.9[M+H]。
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−メチルブタノエート(化合物22)の調製
【化227】
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【0364】
化合物1(0.040g、0.137mmol)をNMP(1.5mL)に溶解し、次に、THF(0.25mL)を加えた。この溶液を氷浴中で冷却し、激しく撹拌しながら、t−BuMgCl(1M/THF、425.7μL、0.426μmol)を滴下して加えた。氷浴を除去し、得られた白色スラリーを室温で15分間、撹拌した。この反応物に、THF(0.5mL)中の化合物E(0.081g、0.192mmol)の溶液を、室温で滴下して加えた。反応の進行は、LC/MSによってモニタリングした。反応が50%の変換率まで進行すると、この反応物を氷浴中で冷却し、氷酢酸(70μL)によりクエンチした。この反応物を濃縮し、逆相HPLCによって、化合物22(22mg、34%)を残留物から半精製した。この半精製物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(12gのドライロードカートリッジ、40gのカラム;溶離液:100%EtOAcからEtOAc中の10%MeOHに増加)によってさらに精製すると、化合物22(0.034g、43%、1.8:1のジアステレオマー混合物として)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.91 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.88 (brs, 2H), 7.32 (m, 2H), 7.15 (m,3H), 6.90 (t, J = 4.2 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.26 (dd, J = 13.4,6.2 Hz, 1H), 5.87 (四重線. J = 11.2 Hz, 1H), 5.35 (m, 1H),4.64 (m, 1H), 4.25 (m, 2H), 3.93-4.15 (m, 4H), 3.45 (m, 1H), 1.87 (m, 1H),1.09-1.16 (m, 3H), 0.70-0.83 (m ,6H). 31P NMR (162 MHz, DMSO-d6)δ 4.59 (s), 4.47 (s).MS m/z=575.02[M+H]。
(実施例26)
(S)−イソプロピル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(23)
【化228】
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【0365】
(S)−イソプロピル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
【化229】
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【0366】
化合物1(60.0mg、206μmol)をNMP(0.28mL)に溶解した。アルゴン雰囲気下、室温でTHF(0.2mL)、次いでtert−ブチルマグネシウムクロリド(テトラヒドロフラン中の1.0M溶液、0.309mL)を加えた。20分後、THF(0.2mL)中の化合物F(Cho,A.ら J. Med. Chem. 2014年、57巻、1812〜1825頁に従って調製、81mg、206μmol)の溶液を加え、得られた混合物を50℃に温めた。3時間後、この反応混合物を室温に冷却し、分取HPLC(Phenominex Synergi 4u Hydro−RR 80Å 150×30mmカラム、5〜100%アセトニトリル/水のグラジエント)により直接、精製すると、化合物23(44mg、単一ジアステレオマーとして38%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.34 - 7.26 (m, 2H), 7.21 - 7.12 (m, 3H), 6.91 (d, J= 4.6 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 4.92 (七重線, J =6.3 Hz, 1H), 4.80 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.43 - 4.34 (m, 1H), 4.33 - 4.24 (m,1H), 4.18 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.82 (dq, J = 9.7, 7.1 Hz, 2H), 1.27 (dd, J =7.1, 1.0 Hz, 3H), 1.18 (dd, J = 6.3, 4.8 Hz, 6H). 31P NMR (162MHz, CD3OD) δ 3.72 (s).LC/MS:t=1.39分、MS m/z=561.11[M+H];LCシステム:Thermo Accela 1250 UHPLC;MSシステム:Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex 2.6μ XB−C18 100A、50x4.6mm;溶媒:0.1%酢酸を含むACN、0.1%酢酸を含む水;グラジエント:2μl/分で、0分〜2.0分、2〜100%のACN、2.0分〜3.05分、100%のACN、3.05分〜3.2分、100%〜2%のACN、3.2分〜3.5分、2%ACN。HPLC:t=2.523分;HPLCシステム:Agilent 1100series.;カラム:Gemini 5μ C18 110A、50x4.6mm;溶媒:0.1%TFAを含むACN、0.1%TFAを含む水:グラジエント:2mL/分で、0分〜5.0分、2〜98%のACN、5.0分〜6.0分、98%のACN
(実施例27)
(2S)−シクロブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(24)
【化230】
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【0367】
(2S)−シクロブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
(2S)−シクロブチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(化合物G)の調製
【化231】
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【0368】
ジクロロリン酸フェニル(1.49mL、10mmol)を10mLの無水DCMに溶解し、氷浴中、大気圧の窒素下で撹拌した。L−アラニンイソブチルエステル塩酸塩(0.9g、5mmol)を1回で加えた。次に、トリエチルアミン(765μL、5.5mmol)を滴下して加えた。反応物を1時間、撹拌した。さらなるトリエチルアミン(765μL、5.5mmol)を滴下して加え、この反応物を45分間、撹拌した。p−ニトロフェノール(1.25g、9mmol)を1回で加え、30分間、撹拌した。トリエチルアミン(765μL、5.5mmol)を加え、この反応混合物を2時間、撹拌した。次に、追加のp−ニトロフェノール(1.25g、9mmol)およびトリエチルアミン(765μL、5.5mmol)を加え、この反応物をさらに2時間、撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた粗製物をEtOAcにより希釈し、5%クエン酸水溶液により2回、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液により洗浄した。次に、有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製残留物をシリカゲルカラム(ヘキサン中の0〜20〜50%のEtOAc)により精製すると、化合物G(1.48g、ジアステレオマーの混合物として70%の収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.33 - 8.23 (m, 2H), 7.52 - 7.33 (m, 4H), 7.33 - 7.17 (m, 3H), 4.96- 4.85 (m, 1H), 4.07 - 3.96 (m, 1H), 2.27 (m, 2H), 2.07 - 1.91 (m, 2H), 1.83 -1.70 (m, 1H), 1.70 - 1.55 (m, 1H), 1.32 (m, 3H). 31P NMR (162MHz, CD3OD) δ -1.36, -1.59.MS m/z=420.9[M+H]。
(2S)−シクロブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(化合物24)の調製
【化232】
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【0369】
無水DMF2mL中、化合物1(58mg、0.2mmol)を化合物G(101mg、0.24mmol)と混合した。塩化マグネシウム(42mg、0.44mmol)を1回で加えた。この反応混合物を50℃に加熱した。DIPEA(87μL、0.5mmol)を加え、この反応物を50℃で2時間、撹拌した。この反応混合物を室温に冷却し、EtOAcにより希釈し、5%クエン酸水溶液、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液により洗浄した。次に、有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製残留物をシリカゲルカラム(DCM中の0〜2〜5%のMeOH)により精製すると、化合物24(42mg、ジアステレオマーの混合物として37%の収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 7.85 (m, 1H), 7.34 - 7.22 (m, 2H),7.22 - 7.08 (m, 3H), 6.94 - 6.84 (m, 2H), 4.95 - 4.85 (m, 1H), 4.79 (m, 1H),4.46 - 4.34 (m, 2H), 4.34 - 4.24 (m, 1H), 4.19 (m, 1H), 3.81 (m, 1H), 2.27 (m,2H), 2.01 (m, 2H), 1.84 - 1.68 (m, 1H), 1.62 (m, 1H), 1.30 - 1.16 (m,3H). 31P NMR (162 MHz, cd3od) δ 3.70, 3.65.MS m/z=573.0[M+H]。
(実施例28)
(2S)−イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエート(25)
【化233】
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【0370】
(2S)−イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエートの調製を以下に記載する。
(2S)−イソプロピル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエート(化合物H)の調製
【化234】
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【0371】
ジクロロリン酸フェニル(718μL、4.8mmol)を10mLの無水DCMに溶解し、氷浴中、窒素雰囲気下で撹拌した。L−フェニルアラニンイソプロピルエステル塩酸塩(1g、4.1mmol)を1回で加えた。無水DCMをさらに10mL加えた。トリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を滴下して加え、この反応混合物を30分間、撹拌した。次に、さらなるトリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を滴下して加え、この反応混合物を30分間、撹拌した。次に、追加のトリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を滴下して加え、この反応混合物を15分間、撹拌した。次に、p−ニトロフェノール(600mg、4.32mmol)を加えた。次に、冷浴を除去し、この反応混合物を室温に温め、2時間、撹拌した。さらなるp−ニトロフェノール(50mg)およびトリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を加え、この反応混合物を1時間、撹拌した。
【0372】
次に、この反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcにより希釈して、5%クエン酸水溶液により2回、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液により洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラム(ヘキサン中の0〜15%EtOAc)により精製すると、化合物H(1.57g、ジアステレオマーの混合物として68%収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.17 (m, 2H), 7.38 - 7.13 (m, 10H), 7.13 - 7.02 (m, 2H), 4.95 (m,1H), 4.31 (m, 1H), 3.69 (m, 1H), 3.02 (dd, J = 6.1, 1.8 Hz, 2H), 1.21 - 1.08(m, 6H). 31P NMR (162 MHz, cdcl3) δ-2.96, -2.98.MS m/z=485.0[M+H]。
(2S)−イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3−フェニルプロパノエート(化合物25)の調製
【化235】
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【0373】
化合物1(58mg、0.2mmol)と化合物H(116mg、0.24mmol)を混合し、無水DMF2mLを加えた。この反応混合物を、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。THF中の1M tBuMgCl(300μL、0.3mmol)を3分間かけて滴下して加え、次に、この反応混合物を16時間、撹拌した。反応混合物をEtOAcにより希釈し、5%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次に飽和塩化ナトリウム水溶液により洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製残留物をシリカゲルカラム(DCM中の0〜5%のMeOH)により精製すると、化合物25(40mg、ジアステレオマーの混合物として32%収率)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.84 (m, 1H), 7.27 - 7.08 (m, 8H), 7.08 - 6.97 (m, 2H), 6.88 (m,2H), 4.91 - 4.84 (m, 1H), 4.74 (m, 1H), 4.26 (m, 1H), 4.19 - 4.04 (m, 2H), 4.04- 3.91 (m, 2H), 2.97 (m, 1H), 2.82 (m, 1H), 1.14 (m, 3H), 1.06 (m, 3H). 31PNMR (162 MHz, CD3OD) δ 3.63, 3.25.MS m/z=637.0[M+H]。
(実施例29)
(S)−メチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(26)
【化236】
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【0374】
(S)−メチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
【化237】
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【0375】
化合物1(100mg、0.34mmol)をTHF(2mL)に溶解し、氷水浴により冷却した。次に、1M t−BuMgCl(0.52mL、0.77mmol)をゆっくりと滴下して加えた。得られた混合物を30分間、室温で撹拌した。次に、THF(2mL)中の化合物I(WO2012142085に従って調製、219mg、0.52mmol)を5分間かけて加え、得られた混合物を室温で24時間、撹拌した。次に、この反応混合物をEtOAcにより希釈し、氷水浴下で冷却し、水性NaHCO(2mL)により洗浄し、ブラインにより洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中、MeOH 0〜20%)および分取HPLC(水中、アセトニトリル10〜80%)により精製すると、化合物26(12mg、単一ジアステレオマーとして6.6%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86(s, 1H), 7.29 (dd, J = 8.6, 7.2 Hz, 2H), 7.21 - 7.09 (m, 3H), 6.94 - 6.81 (m,2H), 4.79 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.38 (ddq, J = 10.8, 5.3, 2.7 Hz, 2H), 4.33 -4.23 (m, 1H), 4.18 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 3.86 (dq, J = 9.9, 7.1 Hz, 1H), 3.62(s, 3H), 1.27 (dd, J = 7.2, 1.1 Hz, 3H).MS m/z=533(M+1)
(実施例30)
(S)−ネオペンチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(27)
【化238】
[この文献は図面を表示できません]
【0376】
(S)−ネオペンチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
【化239】
[この文献は図面を表示できません]
【0377】
化合物1(100mg、0.34mmol)をTHF(2mL)に溶解し、氷水浴下で冷却した。次に、1M t−BuMgCl(0.52mL、0.77mmol)をゆっくりと滴下して加えた。得られた混合物を30分間、室温で撹拌した。次に、化合物J(WO2012075140に従い調製、248mg、0.52mmol)を5分間かけて加え、得られた混合物を24時間、室温で撹拌し、EtOAcにより希釈し、氷水浴下で冷却し、水性NaHCO(2mL)により処理し、ブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中、MeOH0〜20%)および分取HPLC(水中、10〜80%のアセトニトリル)により精製すると、化合物27(12mg、単一ジアステレオマーとして10%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.36 - 7.24 (m, 2H), 7.23 - 7.10 (m, 3H), 6.96 - 6.85(m, 2H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.38 (tdd, J = 10.0, 4.9, 2.5 Hz, 2H), 4.32- 4.24 (m, 1H), 4.17 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.91 (dq, J = 9.8, 7.1 Hz, 1H), 3.81(d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.69 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 1.31 (dd, J = 7.2, 1.1 Hz,3H), 0.89 (s, 9H).MS m/z=589(M+1)
(実施例31)
(2S)−シクロペンチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(28)
【化240】
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【0378】
(2S)−シクロペンチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
【化241】
[この文献は図面を表示できません]
【0379】
化合物1(100mg、0.34mmol)をTHF(2mL)に溶解し、氷水浴下で冷却した。次に、1M t−BuMgCl(0.52mL、0.77mmol)をゆっくりと滴下して加えた。得られた混合物を30分間、室温で撹拌した。次に、THF(2mL)中の化合物K(WO2012075140に従い調製、247mg、0.52mmol)を5分間かけて加え、得られた混合物を24時間、室温で撹拌し、EtOAcにより希釈し、氷水浴下で冷却し、水性NaHCO(2mL)により処理し、ブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中、0〜20%のMeOH)および分取HPLC(水中、10〜80%のアセトニトリル)により精製すると、実施例28(47mg、27:1のジアステレオマー混合物として23%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.85(s, 1H), 7.33 - 7.22 (m, 2H), 7.14 (tdd, J = 7.6, 2.1, 1.1 Hz, 3H), 6.95 - 6.87(m, 2H), 5.13 - 5.00 (m, 1H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.48 - 4.35 (m, 2H),4.30 (ddd, J = 10.6, 5.7, 3.6 Hz, 1H), 4.19 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 3.78 (dq, J =9.2, 7.1 Hz, 1H), 1.81 (dtd, J = 12.5, 5.9, 2.4 Hz, 2H), 1.74 - 1.49 (m, 6H),1.21 (dd, J = 7.1, 1.2 Hz, 3H).MS m/z=587(M+1)
(実施例32)
(2S)−シクロヘキシル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(29)
【化242】
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【0380】
(2S)−シクロヘキシル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
【化243】
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【0381】
DMF(1mL)中の化合物1(50mg、0.343mmol)、化合物M(US20130143835に従って調製、93mg、0.209mmol)およびMgCl(24.5mg、0.257mmol)からなる混合物に、0℃でジイソプロピルエチルアミン(0.075mL、0.43mmol)を5分間かけて滴下して加えた。得られた混合物を50℃で1時間、撹拌した。次に、この反応混合物を氷水浴により冷却し、1Mクエン酸(0.5mL)により処理して、分取HPLC(水中のACN0〜70%)によって直接、精製すると、化合物29(20mg、ジアステレオマーの混合物として19%)が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.84 (s, 1H), 7.32 - 7.23 (m, 2H), 7.18 - 7.10 (m, 3H), 6.93 - 6.87(m, 2H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.67 (td, J = 8.7, 4.2 Hz, 1H), 4.48 - 4.35(m, 2H), 4.30 (ddd, J = 10.8, 5.7, 3.7 Hz, 1H), 4.20 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 3.88- 3.71 (m, 1H), 1.83 - 1.63 (m, 4H), 1.58 - 1.46 (m, 1H), 1.46 - 1.24 (m, 5H),1.24 (s, 3H). 31P NMR (162 MHz, CD3OD) δ 3.75.MS m/z=601(M+1)
(実施例33)
エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(30)
【化244】
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【0382】
エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプロパノエートの調製が以下に記載されている。
エチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエートの調製
【化245】
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【0383】
THF(30mL)中にトリフェニルホスフィン(6.18g、25.00mmol)を溶解する。次に、DIAD(4.92mL、25.00mmol)を投入し、室温で10分間、撹拌する。THF(20mL)に2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸(5.08g、25.00mmol)を溶解し、この反応混合物に加え、次いでエタノール(2.19mL、37.49mmol)を加える。この反応物を室温で1時間、撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、粗製物を1:1のEtO:ヘキサン(120mL)に溶解した。固体のトリフェニルホスフィンオキシドを濾別し、溶媒を減圧下で除去した。粗製物を最少量のCHClに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサンの0〜50%)により精製すると、エチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(2.71g、47%)が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 4.18 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.49 (s,6H), 1.43 (s, 9H), 1.27 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
エチル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩の調製
【化246】
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【0384】
エチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(2.71g、11.72mmol)をCHCl(25mL)に溶解し、ジオキサン中4N HCl(25mmol)をゆっくりと加え、室温で撹拌した。1時間で、この反応は、TLCによって完了したことが決定された。この溶媒を減圧下で除去し、この粗製物をEtOと2回、共蒸発させて、次に、高真空下に置くと、エチル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩(2.02g、102%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.70 (s, 3H), 4.18 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.46 (s, 6H), 1.21 (t, J =7.1 Hz, 3H).
エチル2−メチル−2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(化合物N)の調製
【化247】
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【0385】
ジクロロリン酸フェニル(0.97mL、6.50mmol)およびエチル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩(1.09g、6.50mmol)をCHCl(50mL)に溶解する。この反応混合物を0℃に冷却し、TEA(1.75mL、12.45mmol)をゆっくりと加える。冷却浴を除去し、この反応混合物を室温で撹拌する。2時間後、アミノ酸の付加が完了したことを31P NMRによって決定した。p−ニトロフェノール(0.860g、6.17mmol)を投入し、次いでTEA(0.87、7.69mmol)を加えた。この反応物を室温で、撹拌した。2時間後、この反応は、LCMSによって完了したことが決定された。この反応物をEtOにより希釈し、TEAHCl塩を濾別した。粗製物を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%のEtOAc/ヘキサン)によって精製すると、化合物N(1.79g、68%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.37 - 8.21 (m, 2H), 7.55 - 7.44 (m, 2H), 7.43 - 7.33 (m, 2H), 7.30- 7.09 (m, 3H), 6.57 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.99 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.39 (s,6H), 1.08 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 31P NMR (162 MHz, DMSO-d6)δ -2.87.LC/MS:t=1.65分、MS m/z=408.97[M+1];LCシステム:Thermo Accela 1250 UHPLC;MSシステム:Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex2.6μ XB−C18 100A、50x3.00mm;溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;グラジエント:1.8mL/分で、0分〜2.4分が2〜100%のACN、2.4分〜2.80分が100%のACN、2.8分〜2.85分が100%〜2%のACN、2.85分〜3.0分が2%ACN。
エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(化合物30)の調製
【化248】
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【0386】
NMP(2.0mL)に化合物1(66mg、0.23mmol)を溶解する。この混合物を0℃に冷却し、tBuMgCl(THF中の1.0M、0.34mL、0.34mmol)をゆっくりと加える。この反応物を0℃で30分間、撹拌し、次に、THF(1.0mL)に溶解した化合物N(139mg、0.34mmol)の溶液を加える。冷却浴を除去し、予め加熱した50℃の油浴中に反応物を置く。2時間後、この反応物を室温に冷却し、酢酸およびメタノールによりクエンチした。この粗製物を濃縮し、改変剤を含まない逆相HPLCにより精製すると、化合物30(32mg、ジアステレオマーの混合物として25%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.89 (m, 3H), 7.31 (q, J = 8.1 Hz, 2H), 7.22 - 7.05 (m, 3H), 6.87(d, J = 4.5, 1H), 6.80 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 11.7, 1H), 5.81 (d, J= 9.7, 1H), 5.35 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.64 (dt, J = 9.0, 5.6 Hz, 1H), 4.24 (m,2H), 4.11 (m, 1H), 4.04 - 3.90 (m, 3H), 1.39 - 1.23 (m, 6H), 1.10 (t, J = 7.1,3H). 31P NMR (162 MHz, DMSO-d6) δ 2.45, 2.41.LC/MS:t=1.03分、MS m/z=561.03[M+1];LCシステム:Thermo Accela 1250 UHPLC;MSシステム:Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex2.6μ XB−C18 100A、50x3.00mm;溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;グラジエント:1.8mL/分で、0分〜2.4分が2〜100%のACN、2.4分〜2.80分が100%のACN、2.8分〜2.85分が100%〜2%のACN、2.85分〜3.0分が2%ACN。
(実施例34)
イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(31)
【化249】
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【0387】
イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプロパノエートの調製が以下に記載されている。
イソプロピル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエートの調製
【化250】
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【0388】
THF(30mL)にトリフェニルホスフィン(6.17g、25.00mmol)を溶解する。次に、DIAD(4.92mL、25.00mmol)を投入し、室温で10分間、撹拌する。THF(20mL)に2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸(5.07g、25.00mmol)を溶解し、この反応混合物に加え、次いでイソプロパノール(1.91mL、25.00mmol)を加える。この反応物を室温で1時間、撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、粗製物を1:1のEtO:ヘキサン(120mL)に溶解した。固体トリフェニルホスフィンオキシドを濾別し、溶媒を減圧下で除去した。粗製物を最少量のCHClに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン0〜50%)により精製すると、イソプロピル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(4.09g、67%)が得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 5.03 (p, J = 6.2 Hz, 1H), 1.48 (s,6H), 1.40 (d, J = 6.2 Hz, 9H), 1.24 (d, J = 6.3 Hz, 6H).
イソプロピル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩の調製
【化251】
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【0389】
イソプロピル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(4.09g、16.67mmol)をCHCl(50mL)に溶解し、ジオキサン中の4N HCl(50mmol)をゆっくりと加え、室温で撹拌する。1時間で、この反応は完了したことがTLCによって決定された。この溶媒を減圧下で除去し、この粗製物をEtOと2回、共蒸発させて、次に、高真空下に置くと、イソプロピル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩(3.06g、101%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.61 (s, 3H), 4.96 (p, J = 6.2 Hz, 1H), 1.44 (s, 6H), 1.22 (d, J =6.2 Hz, 6H).
イソプロピル2−メチル−2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(化合物O)の調製
【化252】
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【0390】
ジクロロリン酸フェニル(0.83mL、5.58mmol)およびイソプロピル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩(1.01g、5.58mmol)をCHCl(50mL)に溶解する。この反応混合物を0℃に冷却し、TEA(1.61mL、11.45mmol)をゆっくりと加える。冷却浴を除去し、この反応混合物を室温で撹拌する。2時間後、アミノ酸の付加が完了したことを31P NMRによって決定した。p−ニトロフェノール(0.74g、5.30mmol)を投入し、次いでTEA(0.81、5.84mmol)を加える。この反応物を室温で、撹拌する。2時間後、この反応は完了したことがLCMSによって決定された。この反応物をEtOにより希釈し、TEAHCl塩を濾別した。粗製物を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%のEtOAc/ヘキサン)によって精製すると、化合物O(1.45g、62%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.42 - 8.19 (m, 2H), 7.55 - 7.43 (m, 2H), 7.39 (dd, J = 8.6, 7.2Hz, 2H), 7.30 - 7.12 (m, 3H), 6.53 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 4.82 (七重線, J = 6.3 Hz, 1H), 1.38 (s, 6H), 1.09 (d, J = 6.3, 6H). 31PNMR (162 MHz, DMSO-d6) δ -2.84.LC/MS:t=1.73分、MS m/z=422.92[M+1];LCシステム:Thermo Accela 1250 UHPLC;MSシステム:Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex2.6μ XB−C18 100A、50x3.00mm;溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;グラジエント:1.8mL/分で、0分〜2.4分が2〜100%のACN、2.4分〜2.80分が100%のACN、2.8分〜2.85分が100%〜2%のACN、2.85分〜3.0分が2%ACN。
イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプロパノエート(化合物31)の調製
【化253】
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【0391】
NMP(2.0mL)に化合物1(66mg、0.23mmol)を溶解する。この混合物を0℃に冷却し、tBuMgCl(THF中の1.0M、0.57mL、0.57mmol)をゆっくりと加える。この反応物を0℃で30分間、撹拌し、次に、THF(1.0mL)に溶解した化合物O(143mg、0.34mmol)の溶液を加える。冷却浴を除去し、予め加熱した50℃の油浴中に反応物を置く。2時間後、この反応物を室温に冷却し、酢酸およびメタノールによりクエンチした。この粗製物を濃縮し、改変剤を含まない逆相HPLCにより精製すると、化合物31(48mg、ジアステレオマーの混合物として37%)が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.88 (m, 3H), 7.30 (td, J = 8.5, 7.0 Hz, 2H), 7.20 - 7.04 (m, 3H),6.87 (d, J = 4.5, 1H), 6.80 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 6.27 (d, 6.1 Hz, 1H), 5.75 (t,J = 9.1 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 4.81 (p, J = 6.3 Hz, 1H), 4.71 -4.50 (m, 1H), 4.23 (m, 2H), 4.11 (m, 1H), 4.03 - 3.83 (m, 1H), 1.37 - 1.23 (m,6H), 1.18 - 1.04 (m, 6H). 31P NMR (162 MHz, dmso) δ 2.47, 2.43.LC/MS:t=1.08分、MS m/z=575.06[M+1];LCシステム:Thermo Accela 1250 UHPLC;MSシステム:Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex2.6μ XB−C18 100A、50x3.00mm;溶媒:0.1ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;グラジエント:1.8mL/分で、0分〜2.4分が2〜100%のACN、2.4分〜2.80分が100%のACN、2.8分〜2.85分が100%〜2%のACN、2.85分〜3.0分が2%ACN。
(実施例35)
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(32)
【化254】
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【0392】
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製を以下に記載する。
(3R,4R,5R)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製。
【化255】
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【0393】
(3R,4R,5R)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オール(15.0g)をMTBE(60.0mL)、KBr(424.5mg)、KHPO水溶液(2.5M、14.3mL)およびTEMPO(56mg)と合わせた。この混合物を約1℃に冷却した。デンプン/ヨウ素試験により示される、出発原料の完全な消費まで、水性漂白溶液(7.9%重量)をゆっくりと小分けにして投入した。層を分離し、水層をMTBEにより抽出した。合わせた有機相をMgSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮すると、生成物が固体として得られた。
(4−アミノ−7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン)の調製
【化256】
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【0394】
N,N−ジメチルホルムアミド(70.27g)中の4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]−トリアジン(10.03g;74.8mmol)の冷溶液に、内容物を約0℃に維持しながら、N−ヨードスクシンイミド(17.01g;75.6mmol)を小分けにして投入した。反応が完了(約0℃で約3時間)すると、内容物を約20〜30℃に維持しながら、この反応混合物を1M水酸化ナトリウム水溶液(11gのNaOHおよび276mLの水)に移した。得られたスラリーを約22℃で1.5時間、撹拌し、次に、濾過した。固体を水(50mL)によりすすぎ、真空下、約50℃で乾燥させると、4−アミノ−7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジンが固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.90 (s, 1H), 7.78 (br s, 2H), 6.98 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 6.82 (d, J= 4.4 Hz, 1H). 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 155.7, 149.1, 118.8, 118.1, 104.4, 71.9.MS m/z=260.97[M+H]。
(4−アミノ−7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン)による(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オールの調製
【化257】
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【0395】
窒素雰囲気下、反応器に、ヨード塩基(iodobase)2(81g)およびTHF(1.6LV)を投入した。得られた溶液を約5℃に冷却し、TMSCl(68g)を投入した。次に、内部温度を約5℃以下に維持しながら、PhMgCl(345mL、THF中の1.8M)をゆっくりと投入した。この反応混合物を約0℃で30分間、撹拌し、次に、約−15℃に冷却した。内部温度を約−12℃未満に維持しながら、iPrMgCl−LiCl(311mL、THF中の1.1M)をゆっくりと投入した。約−15℃で約10分間、撹拌した後、この反応混合物を約−20℃に冷却し、ラクトン1(130g)のTHF(400mL)溶液を投入した。次に、この反応混合物を約−20℃で約1時間、撹拌し、AcOH(57mL)によりクエンチした。この反応混合物を約0℃に温め、水性NaHCO(5重量%、1300mL)によりpH7〜8に調整した。次に、この反応混合物をEtOAc(1300mL)により希釈し、有機層および水層を分離した。有機層を1N HCl(1300mL)、水性NaHCO(5重量%、1300mL)およびブライン(1300mL)により洗浄し、次に無水NaSOにより乾燥させて濃縮乾固させた。MeOHとEtOAcとの混合物からなるグラジエントを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製によって、生成物が得られた。
((2S)−2−エチルブチル2−(((パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート)(SpとRpの混合物)の調製:
【化258】
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【0396】
L−アラニン2−エチルブチルエステル塩酸塩(5.0g、23.84mmol)を約−78 ℃に冷却した塩化メチレン(40mL)と合わせて、ジクロロリン酸フェニル(3.65mL、23.84mmol)を加えた。トリエチルアミン(6.6mL、47.68mmol)を約−78℃で約60分間かけて加え、得られた混合物を3時間、周囲温度で撹拌した。この反応混合物を約0℃に冷却し、ペンタフルオロフェノール(4.4g、23.84mmol)を加えた。トリエチルアミン(3.3mL、23.84mmol)を約60分間かけて加えた。この混合物を周囲温度で約3時間、撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物をEtOAcに溶解し、炭酸ナトリウム水溶液により数回、洗浄して、減圧下で濃縮した。EtOAcおよびヘキサンのグラジエント(0〜30%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮すると、(2S)−2−エチルブチル2−(((パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートが固体として得られた。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.41 - 7.32 (m, 4H), 7.30 - 7.17 (m,6H), 4.24 - 4.16 (m, 1H), 4.13 - 4.03 (m, 4H), 4.01 - 3.89 (m, 1H), 1.59 - 1.42(m, 8H), 1.40 - 1.31 (m, 8H), 0.88 (t, J = 7.5 Hz, 12H). 31P NMR(162 MHz, クロロホルム-d) δ-1.52. 19F NMR (377 MHz, クロロホルム-d) δ-153.63, -153.93 (m), -160.05 (td, J = 21.9, 3.6 Hz), -162.65 (qd, J= 22.4, 20.5, 4.5 Hz).MS m/z=496[M+H]。
表題化合物(SpとRpとの混合物)の調製:
【化259】
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【0397】
ヌクレオシド(29mg、0.1mmol)およびホスホンアミド(60mg、0.12mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)を周囲温度で合わせた。tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1M、0.15mL)をゆっくりと加えた。約1時間後、この反応物を酢酸エチルにより希釈し、クエン酸水溶液(5%重量)、飽和NaHCO水溶液および飽和ブライン溶液により洗浄した。有機相をNaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。メタノールおよびCHClのグラジエント(0〜5%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮すると、生成物が得られた。
(3aR,4R,6R,6aR)−4−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニトリルの調製:
【化260】
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【0398】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(5.8g、0.02mol)、2,2−ジメトキシプロパン(11.59mL、0.09mol)およびアセトン(145mL)の混合物に、周囲温度で硫酸(18M、1.44mL)を加えた。この混合物を約45℃に温めた。約30分後、この混合物を周囲温度に冷却し、炭酸水素ナトリウム(5.8g)および水(5.8mL)を加えた。15分後、この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物を酢酸エチル(150mL)と水(50mL)に溶解した。水層を酢酸エチル(2×50mL)により抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮すると、粗製(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルが得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.84 (s, 1H), 6.93 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 4.6 Hz, 1H),5.40 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 5.00 (dd, J = 6.7, 3.3 Hz, 1H), 4.48 - 4.40 (m, 1H),3.81 - 3.72 (m, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.40 (s, 3H).MS m/z=332.23[M+1]。
(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製:
【化261】
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【0399】
周囲温度で、アセトニトリル(100mL)を(2S)−2−エチルブチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−アミノ)プロパノエート(9.6g、21.31mmol)、基質アルコール(6.6g、0.02mol)、塩化マグネシウム(1.9g、19.91mmol)と合わせた。この混合物を約15分間、撹拌し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.67mL、49.78mmol)を加えた。約4時間後、この反応物を酢酸エチル(100mL)により希釈し、約0℃に冷却して、クエン酸水溶液(5%重量、100mL)と合わせた。有機相をクエン酸水溶液(5%重量、100mL)および飽和塩化アンモニウム水溶液(40mL)、炭酸カリウム水溶液(10%重量、2×100mL)、および飽和ブライン水溶液(100mL)により洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下で濃縮すると、粗生成物が得られた。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.31 - 7.22 (m, 2H), 7.17 - 7.09 (m, 3H), 6.93 - 6.84(m, 2H), 5.34 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 4.98 (dd, J = 6.6, 3.5 Hz, 1H), 4.59 - 4.50(m, 1H), 4.36 - 4.22 (m, 2H), 4.02 (dd, J = 10.9, 5.7 Hz, 1H), 3.91 (dd, J =10.9, 5.7 Hz, 1H), 3.83 (dq, J = 9.7, 7.1 Hz, 1H), 1.70 (s, 3H), 1.50 - 1.41(m, 1H), 1.39 (s, 3H), 1.36 - 1.21 (m, 7H), 0.86 (t, J = 7.4 Hz, 6H).MS m/z=643.21[M+1]。
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(化合物32)の調製
【化262】
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【0400】
粗製アセトニド(12.85g)をテトラヒドロフラン(50mL)と合わせて、減圧下で濃縮した。この残留物をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、約0℃に冷却して、濃HCl(20mL)をゆっくりと加えた。この混合物を周囲温度に温めた。HPLC分析により示される通り出発のアセトニドが消費された後、水(100mL)、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加えた。この混合物を酢酸エチル(100mL)により抽出し、有機相を飽和ブライン水溶液(50mL)により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて減圧下で濃縮した。メタノールおよび酢酸エチルのグラジエント(0〜20%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮すると、生成物が得られた。
B.抗ウイルス活性
【0401】
本発明の別の態様は、ウイルス感染を阻害する方法であって、こうした阻害が必要と疑われる試料または被験体を本明細書の組成物により処置するステップを含む方法に関する。
【0402】
本発明の文脈内では、ウイルスの含有が疑われる試料には、生きている生物などの天然または人工の物質、組織または細胞培養物、生物物質の試料などの生物試料(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙液、痰、唾液、および組織試料など)、実験室試料、食物、水または空気の試料、細胞の抽出物などのバイオ生成物試料、特に、所望の糖タンパク質を合成する組換え細胞などが含まれる。通常、試料は、ウイルス感染を誘発する生物、多くの場合、腫瘍ウイルスなどの病原性生物を含有していることが疑われる。試料は、水および有機溶媒\水混合物を含む、いかなる媒体中にも含有され得る。試料には、ヒトなどの生きている生物、および細胞培養物などの人工物質が含まれる。
【0403】
所望の場合、本組成物を適用した後の本発明の化合物の抗ウイルス活性は、こうした活性を検出する直接的および間接的な方法を含めた、いかなる方法によって観察してもよい。このような活性を決定する、定量的、定性的および半定量的方法のすべてが企図される。通常、上記のスクリーニング方法の1つが適用されるが、生きている生物の生理学的特性の観察など、他のいかなる方法も適用可能である。
【0404】
本発明の化合物の抗ウイルス活性は、公知の標準的なスクリーニングプロトコールを使用して測定することができる。例えば、化合物の抗ウイルス活性は、以下の一般的なプロトコールを使用して測定することができる。
【表6】
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(実施例36)
ラッサウイルスおよびフニンウイルスの抗ウイルス活性および細胞毒性アッセイ
【0405】
ラッサウイルス(LASV)およびフニンウイルス(JUNV)に対する、化合物1、化合物9および化合物32の抗ウイルス活性を測定した。野生型ウイルスを用いて行った研究はすべて、米国陸軍伝染病医学研究所(US Army Medical Research Institute for Infectious Diseases)(USAMRIID)における、バイオセーフティレベル4の封じ込め(BSL−4)で実施した。JUNVの弱毒化株を用いて行った抗ウイルスアッセイは、Utah State UniversityのBSL−2実験室において行った。ラッサウイルスの抗ウイルスアッセイは、HeLa細胞で行った。フニンウイルスの抗ウイルスアッセイは、Vero細胞およびHeLa細胞で行った。
【0406】
抗ウイルスアッセイは、ウイルス複製の尺度として、ウイルス抗原の産生を定量するハイコンテントイメージングシステムを使用して、BSL−4封じ込め内の384または96ウェルプレートで行った。それぞれ0%および100%のウイルスの複製シグナルを決定するために、各プレートに「ウイルスなし」である対照(カラム2)および「1% DMSO」である対照(カラム3)を含めだ。ウイルス抗原の検出に使用した一次抗体は、mm L52−161−6抗GP;LASVおよびmm Y−GQC03_BF11抗GPであり、JUNVおよびDyLight 488抗マウス−IgGは、二次検出抗体として使用した。一次抗体は、ブロッキング緩衝液(3%のBSAを含む1xPBS)中で1000倍に希釈し、アッセイプレートの各ウェルに加えた。アッセイプレートを室温で60分間、インキュベートした。一次抗体を除去し、細胞を1xPBSで3回洗浄した。二次抗体をブロッキング緩衝液で1000倍に希釈し、アッセイプレートの各ウェルに加えた。これらのアッセイプレートを室温で60分間、インキュベートした。核は、1xPBSで希釈したDraq5(Biostatus、Shepshed Leicestershire、英国、カタログ番号DR05500)を使用して染色した。細胞画像は、10xの空気対物レンズを使用する、Perkin Elmer Opera共焦点顕微鏡(Perkin Elmer、Waltham、MA)を使用して取得し、ウェルあたり5枚の画像を収集した。ウイルス特異的抗原は、488nmの波長における蛍光発光を測定することにより定量し、核は、640nmの波長における蛍光発光を測定することにより定量した。すべての抗ウイルスアッセイのZ’値は、0.3超であった。
【0407】
これらの阻害百分率は、各試験濃度について、0%および100%の阻害対照に対して算出し、各化合物のEC50値は、ウイルスの複製を50%阻害する化合物の有効濃度として非線形回帰により決定した。
(実施例37)
フニンウイルスアッセイ−Vero
【0408】
Vero細胞またはVero E6細胞は、100uLのMEM+2%FBS中、ウェルあたり20,000個の細胞で96ウェルプレートに播種した。DMSO中で希釈した化合物は、120uLのMEM+2%FBSと混合した。各試験化合物100uLを96ウェルプレートの2つのウェルに移した。MEM+20%FBS中のウイルス溶液20uLを加え、最終試験濃度を47、4.7、0.47、0.047uMとし、感染多重度は0.003pfu/細胞であった。未処理のウイルス対照が最大細胞変性効果(CPE)(5〜7日間)に接近するまで、試験プレートをインキュベートした。次に、プレートをニュートラルレッド色素で2時間、染色し、次に、クエン酸塩/エタノール緩衝液中に溶出し、540nmで、分光光度計で読み取った。ニュートラルレッド染色により測定される、ウイルス誘発性CPEを50%低減するために必要な試験化合物の濃度として、EC50値を回帰分析により算出する。
(実施例38)
フニンウイルスアッセイ−HeLa
【0409】
HeLa細胞は384ウェルプレートにウェルあたり2000個の細胞を播種し、項目3.2.1に記載されているとおりアッセイプレートに化合物を加えた。アッセイプレートをBSL−4スイートに移し、48時間の期間でウイルス抗原を発現する細胞が約50%になる、JUNV細胞あたり、0.3pfuで感染させた。アッセイプレートを48時間、インキュベートし、ウイルスの複製は、ウイルス糖タンパク質を認識する抗体を使用する免疫染色により定量した。
(実施例39)
ラッサウイルスアッセイ
【0410】
HeLa細胞は384ウェルプレートにウェルあたり2000個の細胞を播種し、項目3.2.1に記載されているとおりアッセイプレートに化合物を加えた。アッセイプレートをBSL−4スイートに移し、48時間の期間でウイルス抗原を発現する細胞が60%超になる、LASV細胞あたり、0.1pfuで感染させた。アッセイプレートを48時間、インキュベートし、ウイルスの複製は、ウイルス糖タンパク質を認識する抗体を使用する免疫染色により定量した。
表2:ラッサウイルスおよびフニンウイルスの抗ウイルスアッセイ
【表2】
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(実施例40)
MERS−CoVおよびSARS−CoV抗ウイルス活性および細胞毒性アッセイ
【0411】
化合物9および化合物32の抗ウイルス活性は、MERSウイルス(MERS−CoV)およびSARSウイルス(SARS−CoV)に対して測定した。
【0412】
抗ウイルスアッセイは、USAMRIID、およびChapel HillのUniversity of North Carolinaで行った。
(実施例41)
MERS−CoV抗ウイルスアッセイ(USAMRIID)
【0413】
384ウェルプレートに播種されたVeroE6細胞、および化合物(Comound)32または化合物9の段階希釈液をHP D300Digital Dispenser(Hewlett−Packard、Palo Alto、CA)を使用する、直接滴定によってアッセイプレートに加えた。プレートをBSL−4スイートに移し、細胞あたり、0.5プラーク形成単位(pfu)の感染多重度で、MERS−CoV(Strain Jordan N3)を感染させた。この感染培養物を48時間、インキュベートした。化合物処理培養物および対照となるビヒクル処理培養物におけるウイルスの複製レベルをMERS−CoVスパイク(S)タンパク質に対する抗体を用いて免疫染色した後、ウイルス特異的抗原のレベルを定量することにより決定した。一次抗体(40069−RP02 rb−HCoV−EMC/2012スパイク(S)タンパク質)は、ブロッキング緩衝液(3%BSAを含む、1xリン酸緩衝食塩水(PBS))で1000倍に希釈し、アッセイプレートの各ウェルに加えた。これらのアッセイプレートを室温で60分間、インキュベートした。一次抗体を除去し、細胞を1xPBSで3回洗浄した。二次検出抗体は、Dylight488(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、カタログ番号405310)とコンジュゲートした、抗ウサギIgGとした。二次抗体をブロッキング緩衝液で1000倍に希釈し、アッセイプレートの各ウェルに加えた。これらのアッセイプレートを室温で60分間、インキュベートした。核は、1xPBSに希釈したDraq5(Biostatus、Shepshed Leicestershire、英国、カタログ番号DR05500)を使用して染色した。細胞は、細胞質区画の検出を増強する、CellMask Deep Red(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、カタログ番号C10046)により対比染色した。細胞画像は、10xの空気対物レンズを使用する、Perkin Elmer Opera共焦点顕微鏡(Perkin Elmer、Waltham、MA)を使用して取得し、ウェルあたり5枚の画像を収集した。ウイルス特異的抗原は、488nmの波長における蛍光発光を測定することにより定量し、核は、640nmの波長における蛍光発光を測定することにより定量した。感染細胞および細胞生存率の割合を定量するために、ハイコンテント画像分析を実施した。EC50値を決定するための用量応答の分析は、曲線当てはめ戦略のための、レーベンバーグ−マーカートアルゴリズムを適用する、GeneData Screenerソフトウェアを使用して実施した。
(実施例42)
MERS−CoVおよびSARS−CoV抗ウイルスアッセイ
【0414】
肺組織から単離したHAE細胞培養物を、空気と液体界面で6週間、培養して、分化を促進した。HAE培養物の頂端表面は、24時間および感染させる前の1時間に、37℃で1時間超、1×PBSで洗浄した。組換えMERS−CoV発現赤色蛍光タンパク質(MERS−CoV RFP)およびSARS−CoV発現緑色蛍光タンパク質(SARS−CoV GFP)を使用して、細胞あたり0.1pfuの感染多重度で、分化したHAE培養物に頂端で感染させた。HAE培養物に感染させるために、頂端の洗液を除去し、ウイルス接種材料を加え、接種した培養物を37℃で2.5時間、インキュベートした。接種材料を除去し、HAE培養物の頂端表面を500μLの1xPBSで3回、洗浄し、残留ウイルスを除去した。10μMから開始する化合物9の5つの3倍段階希釈液を三連で調製し、感染の約30分前に、培養物の基底面側のHAE ALI培地に加えた。ウイルスの複製は、48時間のインキュベーション後に、細胞培養物の蛍光をイメージングすることにより評価した。さらに、ウイルスの複製は、Vero細胞単層におけるプラークアッセイによるHAE頂端洗液中の感染性ウイルスの産生を測定することにより、およびリアルタイムPCRアッセイによる全細胞RNAからのウイルスRNA産生を定量することにより定量した。
表3:MERS抗ウイルスアッセイ
【表3】
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(実施例43)
MERS−CoVおよびSARS−CoVのリアルタイムPCRアッセイ
【0415】
感染の48時間後では、上記の抗ウイルスアッセイに由来する一次HAE培養物を500μLのTRIzol中で収穫した。RNAは、Direct−zol RNA MiniPrepキット(Zymo Research Corporation、Irvine、CA、米国)を使用して精製した。一本鎖cDNAは、55℃でインキュベートした、SuperScript III(Life Technologies、Grand Island、NY、米国)を使用し、各試料について生成した。一本鎖cDNAの生成後、ORF1(ゲノムRNA)およびORF8またはORF9(それぞれ、MERS−CoVおよびSARS−CoVサブゲノムRNA)を以下のプライマー:MERS−CoV:リーダーフォワード(5’−GAA TAG CTT GGC TAT CTC AC−3’)、ORF1リバース(5’−CAC AAT CCC ACC AGA CAA−3’)、ORF8リバース(5’−TTG TTA TCG GCA AAG GAA AC−3’);およびSARS−CoV:リーダーフォワード(5’−AGC CAA CCA ACC TCG ATC TCT TGT−3’)、ORF1リバース(5’−TGA CAC CAA GAA CAA GGC TCT CCA−3’)、ORF9リバース(5’−ATT GGT GTT GAT TGG AAC GCC CTG−3’)を使用して、リアルタイムPCRにより定量した。読取り値は、以下のプライマー:GAPDHフォワード(5’−TGC ACC ACC AAC TGC TTA GC−3’)およびGAPDHリバース(5’−GGC ATG GAC TGT GGT CAT GAG−3’)を使用して、GAPDHに対して正規化した。結果は、ΔΔCt方法{10431}を使用した、処理細胞における、ウイルスORF1およびORF8をコードするRNA(MERS−CoV)/およびORF9をコードするRNA(SARS−CoV)のコピー数の、未処理細胞における該コピー数に対するLog10倍率変化として表す。
(実施例44)
Calu−3 2B4細胞におけるin vitro有効性
【0416】
感染の48時間前に、Calu−3 2B4細胞を、5x10細胞/ウェルで、96ウェル黒色壁クリアボトムプレート中でプレート培養した。感染の24時間前に、培養培地を交換した。化合物32の20mMストック溶液を100%DMSO中で、3倍刻みで段階希釈し、10点の希釈シリーズを得た。MERS−nLUCをDMEM10%FBSおよび1%抗生物質/アンチマイシンで希釈し、0.08の感染多重度(MOI)を実現した。細胞に1時間、薬物希釈液あたり、三連で感染させ、その後に、ウイルスを吸引して、培養物を1回すすぎ、薬物またはビヒクルを含有する新しい培地を加えた。感染の48時間後に、ウイルスの複製を、製造業者のプロトコールに従って、ナノ−ルシフェラーゼアッセイ(Promega)によってSpectramax(Molecular Devices)プレートリーダーで定量した。本発明者らの100%阻害対照の場合、希釈したMERS−nLUCを6分間、短波長UV光(LLC、Upland、CA)に曝露させ、ウイルスが複製する能力を阻害した。本発明者らの0%の阻害対照の場合、細胞は、ビヒクルの存在下で感染させた。DMSOを0.05%の体積基準(v/v)ですべての条件で一定に維持した。状態あたり三連のウェルからの値を平均して対照と比較し、各薬物希釈液に関する、パーセント阻害値を生成した。ウイルスの複製が50%低下した濃度として、EC50値を定義した。データをGraphPad Prism6.0(La Jolla、CA)を使用して分析した。EC50値およびCC50値は、用量−応答(可変勾配)式(4パラメータロジスティック式):Y=底部+(上部−底部)/(1+10^((LogEC50−X)Hill勾配))を使用する、非線形回帰分析によって算出した。「底部」および「上部」の値は、最小および最大のY値によって定義される。ヒル勾配は、用量−応答曲線の急勾配を定義するために使用されるパラメータである。EC50値およびCC50値は、2から4つの独立した実験の平均として算出した。
【表4-1】
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(実施例45)
エステラーゼ欠損(Ces1c−/−)マウスにおける重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS−CoV)に対する皮下での化合物32の評価
【0417】
雄および雌のマウス(25〜28週)は、カルボキシルエステラーゼ1Cが遺伝学的に欠失している(Ces1c−/−)(Jackson Laboratoriesの株014096)。げっ歯類は他の動物種に比べて、血漿中で高いレベルのカルボキシルエステラーゼ活性を発現し、化合物32の血漿での半減期を低減させるので、(Ces1c−/−)マウスを使用した。カルボキシルエステラーゼ1Cの遺伝的欠失により、化合物32の血漿中での安定性が改善され、ヒトおよび他の動物種において観察されるものに類似した薬物動態プロファイルが生じた。
【0418】
この研究デザインは、表4におさめられている。有効性研究は、動物バイオセーフティレベル3(ABSL3)設備で実施した。作業はすべて、実験動物管理評価・認定協会(Association for the Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)および米国農務省(USDA)によって設定されているガイドラインに従い、UNC Chapel Hillの施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認を受けたプロトコールの元で行った。
【表4-2】
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【0419】
群1(ビヒクル)、群2(化合物32 BID25mg/kg)および群3(化合物32 QD50mg/kg)は、ケタミン/キシラジンにより麻酔をかけ、鼻内経路により、10pfuのSARS−CoV/50ulに曝露させた。群4(ビヒクル)および群5(化合物32 BID25mg/kg)は、未感染のままであり、全身プレチスモグラフィー評価の対照として使用した。ビヒクルは、水中の12%のスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(cyclodextin)を含んだ(HCl/NaOHによりpH5.0とした)。0日目に、動物はウイルスに曝露された。感染後、2日目および5日目に、動物の群をイソフルラン(isofluorane)の過量により安楽死させ、肺の大きな左葉を、ガラス製ビーズを含む1mLのDPBSを含む2mLのスクリューキャップ管に入れて、プラークアッセイによって分析するまで、−80℃に凍結した。右肺の下葉を10%緩衝ホルマリンに入れ、組織学的分析まで、4℃で保管した。
【0420】
肺機能の変化は、全身プレチスモグラフィー(WBP、Buxco lung function testing system、Data Sciences International)によって決定した。プレチスモグラフチャンバ内で、30分間の順化後に、11回の呼吸応答およびいくつかの品質管理メトリクス(quality control metrics)を合計150のデータポイントについて、5分間、2秒毎に連続測定した。各パラメータの平均値をDSI Finepointソフトウェア内で決定した。
【0421】
組織学的分析は、ホリマリン固定試料およびパラフィンを埋包した5μmの組織で実施した。肺病理を評価するため、切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。肺中のウイルス抗原は、ポリクローナル抗ヌクレオカプシド抗体(Imgenex)を使用して染色した。スライドは、評価者に対して盲検とし、ウイルス関連肺病理、およびウイルス抗原の空間位置および罹患率(prevalence)を評価した。画像は、Olympus DP71カメラを装備したOlympus BX41顕微鏡を使用してキャプチャーした。
【0422】
ウイルスプラークアッセイを使用して、凍結肺組織から感染性ウイルスを定量した。Vero E6細胞を5×10細胞/ウェルで6ウェルプレートに播種した。肺組織を解凍して、Roche Magnalyzerによりホモジナイズし、組織懸濁物を段階希釈し、この希釈液を使用して、VeroE6細胞に感染させた。感染の72時間後に、プレートを固定して染色し、プラーク数を目視検査により定量した。
【0423】
この研究に関する主要評価項目は、感染後の5日目の肺組織におけるウイルス負荷であった。追加の評価項目には、動物の体重および肺機能の変化を含めた。動物の体重は、生活相(in-life phase)の期間にわたって、毎日記録した。接種後、−1日目、1日目、2日目、3日目および5日目に、全身プレチスモグラフィーを実施し、肺機能を評価した。5日目に、予定した剖検を残りの動物すべてに実施した。全体的な肺病理は、認定獣医病理学者によって評価された。組織病理学的およびウイルス学的分析用に、肺組織を収集した。
【0424】
体重およびウイルス負荷:各研究群の体重の変化および5日目における組織ウイルス負荷を図1図2Aおよび図2Bに示している。図1に示される通り、化合物32により処置された動物は、ビヒクル処置動物と比べて、SARS−CoV感染に関連する体重減少の証拠を示さなかった。感染性ウイルスは、プラークアッセイによって剖検の際に収集された肺組織で測定した。図2Aおよび図2Bに示されている通り、感染性ウイルスは、ビヒクル処置動物に比べて、感染後の2日目および5日目に、化合物32処置動物では有意に低下した。これらのデータは、化合物32が、肺中のSARS−CoVの複製を低減することを示唆している。
【0425】
肺機能測定:SARS−CoV感染マウスにおける肺機能に及ぼす化合物32処置の効果を、全身プレチスモグラフィー(WBP)によって評価した(図3A〜F)。WBPは、ビヒクル処置マウスでは、エンハンスドポーズ値が増加したことを示しており、肺におけるウイルスの複製は、気道抵抗性を増加させたことを示唆している。化合物32を1日2回、25mg/kg、または化合物32を1日1回、50mg/kgのどちらか一方で処置された動物では、エンハンスドポーズ値は、ビヒクル処置動物と比べて低く、mock感染動物とより一層、類似していた。
【0426】
SARS−CoVを感染させたビヒクル処置マウスでは、WBPにより測定される、一息を吐き出す時間の長さ(呼気時間)または息の間の時間(呼気終末休止)は増加しており、苦しい呼吸を示している。図3A〜Fにおいて示されている通り、これらの呼吸パラメータは、化合物32処置動物において低減しており、mock感染動物から得られた値に近い。
(実施例46)
アカゲザルにおける、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS−CoV)に対する、静脈内化合物32の盲検の無作為化、ビヒクル対照評価
【0427】
試験設備において、MERS−CoV分離株であるHCoV−EMC/2012をチャレンジウイルスに使用した。MERS−CoV分離株HCoV−EMC/2012は、Viroscience Laboratory(Erasmus Medical Center、Rotterdam、オランダ)により提供され、2%(体積/体積)FCS(Logan)、1mM L−グルタミン(Lonza)、50U/mLのペニシリンおよび50μg/mLのストレプトマイシン(Gibco)を補充した、DMEM(Sigma)中のVeroE6細胞で増殖させた。実験的にナイーブな雄のアカゲザルを処置群に無作為に割り当て、体重によりバランスをとった。
【0428】
この研究デザインは、表5におさめられている。
【表5】
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【0429】
動物はすべて、接種用の0.9%塩化ナトリウムで希釈した、7×10プラーク形成単位の目標用量のMERS−CoVウイルスに曝露した。動物を、鼻内、眼および気管内投与を含めた、複数の経路により接種した。動物がチャレンジされた日を0日目として表した。
【0430】
バイアスを制御する方法に、実験的盲検化を含めた。具体的には、化合物32もしくはビヒクル処置を施行したか、または日常的に動物の健康を評価した研究職員を、生活相の期間にわたって、すべての動物の群割り当てに実験的に盲検とした。動物の健康の評価を担わない非盲検者は、スポンサーにより提供されたバルクの即時使用製剤から個々の用量を調製した。ビヒクルおよび化合物32の製剤は、物理的外見が同一であった。
【0431】
群1および2において、毎日1回のビヒクル処置を−1日目(ウイルス曝露の1日前)に開始し、7日間、施行した。化合物32またはビヒクルの用量はそれぞれ、1〜2分間の経過で2.0mL/kg体重という容量で伏在静脈に単回のボーラスのゆっくりとしたIV注射として投与した。用量は、0.1mL/kg体重の容量でケタミン(100mg/mL)およびアセプロマジン(10mg/mL)を含有する溶液のIM注射を使用して麻酔をかけた動物に投与した。各動物の体重は、−7日目に得て、これらの体重を化合物32またはビヒクルの投与されるすべての用量に対する、投与容量決定に使用した。
【0432】
この研究に関する主要評価項目は、感染後の6日目の肺組織におけるウイルス負荷であった。生活相の期間にわたって、動物の健康を少なくとも毎日2回、モニタリングし、臨床疾患の徴候を記録した。接種後−7、0、1、3、5および6日目に、臨床検査をすべての動物に対して実施し、体重、体温、呼吸数/分(麻酔下)を決定し、X線、鼻および咽喉のスワブを収集した。血液学、生化学およびサイトカイン分析用に、全血および血清を収集した。6日目に、予定した剖検をすべての動物に実施した。認定獣医病理学者により、全体的な肺病理が点数にされ(病変全体により罹患された肺葉の%として)、肺重量を記録して、肺重量/身体重量比を決定した。組織病理学的およびウイルス学的分析用に、19の組織を収集した。
【0433】
ビヒクル処置動物における疾患徴候は、MERS−COV感染に起因した。化合物32処置動物と比較して、ビヒクル処置動物では、累積的な臨床点数は、かなり一層、高かった。これらの疾患症状は、化合物32処置動物において、それほど顕著ではなかった。
【0434】
体重およびウイルス負荷:体重、体温および呼吸数の変化が、図4A〜Cに示されている。体重および体温は、化合物32処置の存在下または非存在下で、感染の経過中に著しく変化しなかった。呼吸速度は、感染の経過中に増加し、化合物32処置動物に比べて、ビヒクル処置動物では、6日目に一層高くなる傾向があった。
【0435】
組織ウイルス負荷:ウイルスRNAを、剖検時において収集した肺組織および他の器官で測定した。6日目における、各研究群の組織ウイルスRNA濃度の変化を図5に示している。ウイルスは、ビヒクル処置動物においてすべての気道組織に検出された。気道におけるウイルスRNAは、化合物32処置動物において、有意に低減した。ウイルスRNAは、処置動物および未処置動物において、肝臓、脾臓、腎臓および膀胱組織中では、検出限界未満であった。ウイルスRNAは、すべての動物の縦隔リンパ節中で検出されたが、下顎リンパ節中では、たった一匹のビヒクル処置動物でしか検知されなかった。
【0436】
鼻のスワブおよび咽喉のスワブでは、ウイルスは、感染後、1、3、5および6日目に検出された。ビヒクル処置動物と化合物32処置動物との間のウイルス負荷間に差異はなかった。6日目に収集した尿中では、一匹のビヒクル処置動物でウイルスRNAが検出された。白血球数、好中球およびリンパ球の変化は、図5に示されている。
【0437】
本明細書の上で引用されているすべての刊行物、特許および特許文献が、個々に参照により組み込まれているかのごとく、本明細書において参照により組み込まれている。
【0438】
本発明は、様々な特定のおよび好ましい実施形態および技法を参照して記載されている。しかし、当業者は、本発明の精神および範囲内にとどまりながら多数の変更および修正を行うことができることを理解する。
図1
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図2
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図3
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図4-1】
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図4-2】
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図4-3】
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図5
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