【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、特許請求の範囲の独立請求項の特徴を有する、試料取扱い装置、試料識別装置、試料取扱いのためのシステム、診断装置、及び試料取扱いのための方法、によって解決される。好適な実施形態は、単独化された様式で実現することもできるであろうし又は何れかの任意の組み合わせで実現することもできるものであって、従属請求項に記載されている。
【0015】
下記での使用に際し、「有する(have)」、「備える(comprise)」、又は「含む(include)」という用語又はそれらの語の何れかの任意の文法的変化形は、非排他的に使用されている。したがって、これらの用語は、これらの用語によって前置きされる特徴とは別に、更なる特徴がこの文脈で説明されているエンティティに存在していないという状況を言い表すとともに、1つ又はそれ以上の更なる特徴が存在しているという状況も言い表すものとする。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、AにはBとは別に他の要素が何も存在していないという状況(即ち、Aは唯一且つ排他的にBから成るという状況)を言い表すとともに、エンティティAにはBとは別に1つ又はそれ以上の更なる要素、例えば、要素C、要素C及び要素D、又は更にそれ以上の要素など、が存在しているという状況も言い表すものとする。
【0016】
また、「少なくとも1(at least one)」、「1又はそれ以上(one or more)」、又は、或る特徴又は要素が一回若しくはそれ以上存在することを示唆する類似の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を紹介する際に一回に限って使用するつもりであることに留意されたい。下記では、それぞれの特徴又は要素に言及する際、殆どの場合に、それぞれの特徴又は要素が一回又はそれ以上存在することもあるという事実にもかかわらず「少なくとも1」又は「1又はそれ以上」という表現を繰り返すことはしない。
【0017】
また、下記での使用に際し、「好適には(preferably)」、「より好適には(more preferably)」、「特に(particularly)」、「更にとりわけ(more particularly)」、「具体的に(specifically)」、「より具体的に(more specifically)」という用語又は類似の用語は、代替的な実施可能性を制限すること無く、随意的な特徴と関連して使用されている。したがって、これらの用語によって前置きされる特徴は、随意的な特徴であり、特許請求の範囲の権利範囲を如何様にも制限するものではない。当業者には認識される様に、発明は代替的な特徴を使用することによって遂行されてもよい。同様に、「発明の或る実施形態では(in an embodiment of the invention)」又は類似の表現によって前置きされる特徴は、随意的な特徴とされることを意図しており、発明の代替的な実施形態に関して何らの制限も持たず、発明の範囲に関して何らの制限も持たず、またその様なやり方で前置きされる特徴を発明の他の随意的又は非随意的な特徴と組み合わせることの実施可能性に関して何らの制限も持たない。
【0018】
本発明の第1の態様では、試料取扱い装置が開示されている。ここでの使用に際し、「試料取扱い装置(sample handling device)」という用語は、概して、1つ又はそれ以上の試料を同時に取り扱い及び操作することのできる装置をいう。その点で、「取り扱う(handle)」という用語は、概して、試料を、移送する(transporting)、動かす(moving)、位置決めする(positioning)、向き付ける(orientating)、回転させる(rotating)又は操作する(operating)、のうちの1つ又はそれ以上のプロセスを指し、操作するは、例えば、試料を収容している容器を開けるプロセスを含む。その点では、そして下記では、概して、試料を収容している容器と試料それ自体の間に違いはないものとする。したがって、「試料を取り扱う(handling a sample)」と言うとき、試料を収容している容器を取り扱うというプロセスがこの用語によって示唆されるものとする。容器を搬送する搬送体は、更に、試料取扱い装置の一部であってもよいし、又は試料取扱い装置は単に搬送体を取り扱うように構成されていてもよい。
【0019】
発明の更なる態様では、試料識別装置であって、本発明による少なくとも1つの試料取扱い装置を備え、以下により詳細に解説されている少なくとも1つのリーダを更に備えている試料識別装置が開示されている。ここでの使用に際し、「試料識別装置(sample identification device)」とは、概して、少なくとも1つの目的物を識別することのできる装置をいう。その点での使用に際し、「識別する(identifying)」という用語は、概して、目的物の身元、目的物の性質、目的物の数、目的物へ割り当てられている固有情報、又は目的物に関係する何れかの他の情報であって目的物を特徴付ける又は識別する情報、のうちの1つ又はそれ以上を認識するプロセスをいう。一例として、目的物を識別するということには、目的物へ付着されている又は割り当てられている番号であって固有に目的物を識別する又は目的物を特徴付ける番号を読み取ることを含めてもよい。したがって、各々が固有の識別子を有している複数目的物のエンティティが提供されていてもよく、この点においては、目的物を識別するというプロセスは固有識別子を読み取ることを示唆する。更にここでの、また下記での使用に際し、「識別子(identifier)」とは、概して、識別子が付着されている又は割り当てられている目的物を固有に識別する情報を担持することのできる情報担体をいう。一例として、また以下により詳細に要点を述べられている様に、識別子は、具体的には、光学識別子及び/又は非接触電子識別子の様な非接触に読み取ることのできる識別子であってもよい。一例として、識別子は、一次元、二次元、また更には三次元のバーコードを備えていてもよい。追加的又は代替的に、少なくとも1つの識別子は少なくとも1つの無線識別素子(RFID)を備えていてもよい(訳注:原文は「rapid frequency identification device (RFID)」。原文をそのまま訳すと「急速周波数識別素子」となるが、本明細書に記載のような機能を有する「RFID」は通常「radio frequency identification device」の略語である。したがって、原文の「rapid」は「radio」の誤記であると思われる。)。他の実施例も可能である。
【0020】
試料取扱い装置及び試料識別装置は、具体的には、高スループット診断で使用することができ、例えば高スループット診断装置などで使用することができる。高スループット診断装置の考えられる実施例については、以上に言及されている先行技術文献及びそれらに開示されている診断装置及び診断システムを参照することができる。これらのシステムの1つ又はそれ以上には、本発明の中で提案されている試料取扱い装置及び試料識別装置を単純、容易に実施することができるであろう。
【0021】
試料取扱い装置は、搬送体を試料取り扱い装置に磁気的に保持するための少なくとも1つの磁気位置決め装置を備えている。搬送体は、少なくとも1つの容器を搬送するように構成されていてもよい。その点で、磁気位置決め装置とは、概して、目的物へ磁力を及ぼすことによって目的物を保持する、位置決めする、向き付ける、又は回転させる、のうちの1つ又はそれ以上の能力のある装置をいう。「保持する(holding)」という用語は、概して、搬送体の位置を維持する又は搬送体を既定位置に又は一連の位置へ持ってくるプロセスをいい、この点においては、既定位置内に保持されているとき、目的物は取り扱われ又は回転されてもよい。したがって、具体的には、保持するというプロセスは、特には、搬送体の既定位置を保つプロセスを、この既定位置にて搬送体を回転させるというオプションとともに含意してもよい。
【0022】
更にここでの使用に際し、「磁気的に保持する(magnetically holding)」という用語は、概して、1つ又はそれ以上の磁力を使用することによって保持するプロセスをいう。具体的には、磁気的に保持するとは、磁気的に保持される目的物へ1つ又はそれ以上の引力を及ぼすことを含意することもある。
【0023】
更にここでの使用に際し、「搬送体(carrier)」と言う用語は、概して、1つ又はそれ以上の目的物を、これらの目的物を既定の様式で動かす及び/又は向き付けるために支持する又は載せることのできる装置をいう。更に以下により詳細に要点を述べられている様に、搬送体は、一例として、搬送体本体と、搬送体本体へ付着されている及び/又は一体化されている少なくとも1つのレセプタクルを備えていてもよい。搬送体は、一例として、回転対称性を有していてもよい。したがって、一例として、搬送体は、具体的には、回転対称性の円盤であるか又は回転対称性の円盤を備えていてもよい。この型式の搬送体は文献ではしばしば「パック」と呼称されている。パックは、一例として、同心のドリルホール又はボアの様な同心のレセプタクル又は円盤から軸方向に突き出ている同心のレセプタクルを有していてもよい。同じく以下に更に詳細に要点を述べられている様に、搬送体は、具体的には、1つ又はそれ以上の磁性材料、即ち磁気位置決め装置の様な磁石によって引き寄せられることのできる1つ又はそれ以上の材料、で作られていてもよい。
【0024】
更にここでの使用に際し、容器(vessel)とは、概して、1つ又はそれ以上の生物学的標本及び/又は1つ又はそれ以上の液体試料の様な1つ又はそれ以上の試料を受け入れることのできる任意の入れ物(container)をいう。
【0025】
以上に要点を述べられている様に、言葉の上では、多くの場合、試料そのものと試料を収容している容器の間に違いはない。したがって、下記では、試料に言及するときはいつも、随意的に試料は容器に入れられているとしてもよい。容器は、具体的には透明材料、特に剛性のある透明材料、で作られていてもよい。一例として、ガラス容器及び/又は透明プラスチック容器を使用することができる。とはいえ他の型式の容器も使用可能であることを指摘しておきたい。容器は、具体的には、試験管の様な回転対称性の容器であってもよい。したがって下記では、他の型式の容器を使用するというオプションを縛るものではないが、しばしば容器は「試験管(tube)」とも呼称されている。
【0026】
試料識別装置は、搬送体によって搬送される容器へ付着されている少なくとも1つの識別子を読み取るための少なくとも1つのリーダを更に備えている。ここでの使用に際し、「リーダ(reader)」とは、概して、以上に与えられている定義に従う識別子に格納されている少なくとも1件の情報を検出する及び/又は読み取ることのできる装置をいう。リーダは、情報を検出することができ、随意的には、更に、情報に格納されている少なくとも1つの二次的な情報を解読するなどして情報を全体的又は部分的に処理するようになっていてもよい。一例として、情報が符号化されているなら、その場合、情報を読み取るプロセスは情報を復号することを示唆することもある。したがって、識別子を読み取るプロセスは、試料の身元及び/又は容器の身元に関する少なくとも1件の二次的情報を生成するというプロセスを含意することもある。リーダは、具体的には、情報を非接触で読み取るためのリーダであってもよく、例えば光学的リーダ、一例としてバーコードリーダ、より好適にはラインスキャナの様なバーコードスキャナ、などであってもよい。但し、追加的又は代替的に、リーダは更にRFIDリーダの様な他の型式のリーダを含意することもある。
【0027】
少なくとも1つの識別子は搬送体によって搬送される容器へ付着されている。容器を搬送する搬送体は、更に、試料識別装置の一部であってもよい。その点で、「付着されている(attached)」という用語は、概して、識別子を容器へ局所的に割り当てる任意のやり方を指すとしてもよい。したがって、一例として、識別子は、容器の外面又は内面へ付着されていてもよい。但し、追加的又は代替的に識別子は全体的又は部分的に容器へ、例えば容器の少なくとも1つの壁などへ、一体化されていてもよい。識別子は、更に、容器のランダム構造、例えば容器の壁内部の気泡など、を固有識別子として使用するといった様に、容器そのものの一部になっていてもよい。識別子を容器に局所的に割り当てる他のやり方も概して実施可能である。
【0028】
試料取扱い装置及び/又は試料識別装置は、更に、少なくとも1つのコントローラを備えていてもよい。ここでの使用に際し、「コントローラ(controller)」という用語は、概して、システムの動作を制御するように構成されている任意の装置をいう。その点で、「制御する(controlling)」という用語は、概して、或るプロセスに定義された様式又は定義可能な様式で影響を与える又は調整する任意のプロセスをいう。一例として、コントローラは、試料識別装置での一連の動作段階に全体的又は部分的に影響を与えるように適合されていてもよい。コントローラは概してエレクトロニクスの技術で知られている。コントローラは、具体的には、制御プロセスを走らせるため、少なくとも1つのコンピュータ、少なくとも1つのプロセッサ又は少なくとも1つの集積回路、を備えていてもよい。一例として、少なくとも1つマイクロコントローラ又はマイクロコンピュータが備えられていてもよく、及び/又は少なくとも1つの特定用途向け回路(application-specific circuit:ASIC)が備えられていてもよい。コントローラは、具体的には、1つ又はそれ以上のソフトウェア構成要素をその上で走らせるように構成されていて、こうして以下に更に詳細に要点を述べられているソフトウェアプログラミング向けに構成されることができる。したがって、以下に更に詳細に解説されている試料取扱い装置、試料識別装置、及び/又は試料取扱いのための方法は、以下に更に詳細に要点を述べられている様に少なくとも1つのコンピュータプログラムを使用することによって全体的又は部分的にソフトウェア支援型とすることができる。試料取扱い装置及び試料識別装置がそれぞれ独立したコントローラを備えていてもよいし、又は少なくとも1つのコントローラが少なくとも一部を試料取扱い装置のために使用されると共に少なくとも一部を試料識別装置のために使用されるようになっていてもよい。
【0029】
試料識別装置によって備えられているコントローラは、試料取扱い装置で搬送体によって搬送される容器へ付着されている識別子がリーダによって検出可能となるよう、好適にはリーダによって視認可能となるよう、試料取扱い装置及び/又は試料識別装置を制御するように構成されていてもよい。したがって、一例として、コントローラは、搬送体によって搬送される容器が、容器へ付着されている少なくとも1つの識別子がリーダによって読み取り可能となるような特定のやり方で向き付けられ及び/又は方向転換され又は回転されるように、試料取扱い装置を制御するように構成されていてもよい。一例として、少なくとも1つのバーコードは、バーコードリーダの視野内へ入れられるように、例えばバーコードラインスキャナの視野内に入れられるように、なっていてもよい。概して、向き付けは、容器が既定の向きに留まるような永久的向き付けであってもよいし、向き付けは回転を備えていてもよい。
【0030】
リーダは、具体的には、以上に要点を述べられている少なくとも1つの非接触識別子を読み取るように構成されていてもよい。一例として、リーダは、具体的には、バーコードリーダとして及び/又はRFIDタグリーダとして構成されていてもよい。
【0031】
リーダは、具体的には、少なくとも1つの光学的リーダを備えていてもよい。一例として、リーダは、少なくとも1つのバーコードリーダを備えていてもよい。光学的リーダは、一例として、二次元スキャナ又はラインスキャナの様なスキャナであるか又は光学的リーダはスキャナを備えていてもよい。一例として、光学的リーダは、少なくとも1つのラインスキャナ、好適には試料取扱い装置での搬送体の回転軸に平行な線をスキャンするように構成されているラインスキャナであるか又はその様なスキャナを備えていてもよい。したがって、以下に更に詳細に要点を述べられている様に、試料取扱い装置は、搬送体及び/又は搬送体に収容されている容器を、既定のやり方で、例えば回転軸などの周りに、回転させるための少なくとも1つの回転子を備えていてもよい。一例として、回転軸は、容器が回転対称性の容器である場合には、容器の軸に平行であるのが好適である。一例として、少なくとも1つの回転子は、円盤の形状の搬送体又はパックをパックの軸周りに回転させるように構成されていて、その結果、例えば搬送体の中に在る試験管、一例として搬送体のレセプタクルに受け入れられている試験管が試験管の回転軸周りに回転される、というようになっていてもよい。リーダの随意的なラインスキャナは、具体的には、試料取扱い装置での搬送体の回転軸に平行な少なくとも1本の線、例えば試験管の対称の軸の様な容器の対称の軸に平行な少なくとも1本の線、をスキャンするように構成されていてもよい。
【0032】
試料取扱い装置は、試料取扱い装置内で搬送体を回転させるための少なくとも1つの回転子を更に備えていてもよい。ここでの使用に際し、「回転子(rotor)」という用語は、概して、目的物の少なくとも1つの回転軸(axis)又は駆動軸(axle)周りの回転運動をひき起こすように構成されている任意の装置をいう。一例として、回転子は、ホイール、回転円筒、回転駆動軸、回転ローラー、回転ドラム、回転バレル、ベルト、チェーン、など、のうちの1つ又はそれ以上を備えていてもよい。名前の挙げられた装置及び/又は他の装置の組合せも実現可能である。具体的には、回転子は、少なくとも1つのモータによるなどで回転式に駆動させることのできる少なくとも1つの回転対称要素を備えていてもよい。
【0033】
磁気位置決め装置は、具体的には、搬送体を磁力によって回転子へ引き付けるように構成されていてもよい。したがって、具体的には、磁気位置決め装置は、以下に更に詳細に解説される、少なくとも1つの引き寄せ電磁石の様な少なくとも1つの引き寄せ磁石を備えていてもよい。磁気位置決め装置は、回転子の回転運動を搬送体へ、ひいては搬送体に収容されている容器へ、伝達させるように、具体的には、搬送体を回転子へ引き付けてよい。その結果、磁気位置決め装置によって、搬送体は試料取扱い装置内で固定的に保持されるだけでなく、搬送体は更に回転子によって回転させられる及び/又は向け直されるようにするために回転子に向けて引き寄せられることになる。こうして、磁気位置決め装置が搬送体を回転子へ引き付けるのと共に、磁気位置決め装置及び少なくとも1つの回転子の組み合わせ作用によって、試料取扱い装置での試料の向き付けが起こることになる。一例として、回転子は、円周面の様な回転運動を遂行する外面を備えていてもよく、磁気位置決め装置は、搬送体の外周面の様な搬送体の外面が回転子の外周面へ引き付けられるという様に、搬送体を回転子へ引き付けるように構成されていてもよい。それにより、回転子の円周面の運動は搬送体の円周面側へ伝達され、ひいては搬送体そのものへ伝達される。以上に要点を述べられている様に、試料の向き付けは、搬送体及び/又はその中に在る容器を既定の向きに入れることによる向き付けであって、搬送体及び/又は容器が既定の向きに留められる向き付けであってもよいし、又は、搬送体及び/又はその中の容器が回転されるとように向き付けは回転を備えていてもよい。
【0034】
試料取扱い装置は1つ又はそれ以上の回転子を収容していてもよい。具体的には、試料取扱い装置は少なくとも2つの回転子を備えていてもよい。回転子は、具体的には、少なくとも2つの回転子の回転軸が実質的に搬送体の及び/又は容器の回転軸に平行な向きになるように向き付けられていてもよい。こうして、少なくとも2つの回転子は、それらの円周面で以て、搬送体の円周面に異なる2点にて係合することができる。回転子のうち一方が駆動されてもよいし又は両方が駆動されてもよい。
【0035】
以下に更に詳細に要点を述べられている様に、回転子は、磁気位置決め装置と共に当接面を形成し、そこへ搬送体、特にパック、具体的には丸い搬送体が少なくとも部分的に係合してゆき、その結果、当接面が搬送体を部分的に取り囲み、こうして搬送体を位置決めする、というようになっていてもよい。磁気的な引き寄せ力を及ぼすことによって、搬送体を当接面へ引き付けることができる。
【0036】
少なくとも1つの回転子は、概して、少なくとも1つの回転子シャフトと、少なくとも1つのゴム引き部と、を備えていてもよい。したがって、少なくとも1つの回転子シャフトは全体的又は部分的にゴム引きされていてもよい。ここでの使用に際し、「ゴム引きする(rubberize)」という用語は、概して、少なくとも1つの粘着性又は滑りにくい要素又は面を別の要素へ適用する行為をいう。一例として、1つ又はそれ以上のゴムバンド及び/又は1つ又はそれ以上のゴムリング又はOリングが回転子シャフトの周りに円周方向式に付着されていてもよい。
【0037】
少なくとも1つの回転子は、具体的には、少なくとも1つのモータによって駆動されていてもよい。その点で、複数の回転子が提供されている場合、回転子のうち1つ又はそれ以上が駆動されてもよいし、或いは更に回転子全てが駆動されてもよい。一例として、複数の回転子が駆動される場合、回転子の駆動は、例えば複数の回転子を駆動するのに1つの同じモータを使用するなどによって、同期された様式で起こるようになっていてもよい。少なくとも1つのモータは、具体的には、少なくとも1つのステップモータを備えていてもよい。少なくとも1つのモータは、少なくとも1つのギヤ及び/又は少なくとも1つの駆動機構を使用することによって、少なくとも1つの回転子を駆動するようになっていてもよい。一例として、少なくとも1つのモータは少なくとも1つの回転子へ、少なくとも1つの駆動ベルトを介して及び/又は少なくとも1つの他の引張手段を介して、例えば少なくとも1つのチェーンを介するなどして、接続されていてもよい。とはいえ、他の駆動機構も追加的又は代替的に実施可能である。少なくとも1つの引張手段が回転子を駆動するのに使用される場合には、少なくとも1つのベルト及び/又は少なくとも1つのチェーンの様な少なくとも1つの引張手段は、少なくとも1つのベルト張力装置及び/又は少なくとも1つのチェーン張力装置の様な少なくとも1つの張力装置によって張力を掛けられるようになっていてもよく、張力装置は、具体的には、試料取扱い装置及び/又は試料識別装置の一部であってもよい。
【0038】
試料向き付け装置及び/又は試料識別装置と呼称する又はとして具現化することもできる、試料取り扱い装置は、それぞれ更なる要素又は更なる装置を含むこともできる。したがって、一例として、取扱い装置は、搬送体を保持するための少なくとも1つのホールドダウン装置を更に備えていてもよい。ここでの使用に際し、「ホールドダウン装置(holding-down device)」という用語は、概して、搬送体を支持面又は支持ベルト上に保持するといったような目的で、搬送体を既定の平坦位置に保持することのできる任意の要素又は装置をいう。この目的のために、ホールドダウン装置は、少なくとも1つのホールドダウン要素、例えば少なくとも1つのホールドダウン面、ホールドダウン当接要素、又はホールドダウンレバーなど、を備えていてもよい。他の例示としての実施形態も概して実現可能である。ホールドダウン装置は、更に、以下により詳細に要点を述べられている試料取り扱いのためのシステム内で独立に、試料取扱い装置及び/又は試料識別装置から独立して実施されていてもよい。こうして、容器を空の搬送体へ挿入するために及び/又は容器を搬送体から取り出すために、搬送体を平坦位置に保持しておかなくてはならないときはいつも、ホールドダウン装置を使用することができる。したがって、一例として、ホールドダウン装置は、概して、搬送体が浮き上がる又は持ち上がることのないように搬送体の上に部分的に位置付けられる縁部を備えていてもよい。
【0039】
磁気位置決め装置は、以上に述べられている様に、具体的には電気的に切換可能であってもよい。したがって、一例として、磁気位置決め装置は、具体的には、少なくとも1つの電磁石を備えていてもよい。ここでの使用に際し、「電磁石(electromagnet)」という用語は、概して、1つ又はそれ以上の電流によって誘導される磁気に基づく磁石をいう。具体的には、電磁石は、少なくとも1つの電磁石コイルと、随意であるが1つ又はそれ以上のコアであって、具体的には少なくとも1つのコイルを全体的又は部分的に貫通している軟磁性材料及び/又は強磁性材料の様な磁性材料で作られたコアと、を備えていてもよい。
【0040】
具体的には、電磁石は、前記の少なくとも1つのコイルとは別に、少なくとも1つのコアを備えていてもよい。概してここでの使用に際し、「コア(core)」とは、電磁石の分野において一般的な様に、概して、全体的又は部分的に軟磁性材料及び/又は強磁性材料で作られている要素の様な磁性要素であって電磁石のコイル又はソレノイドの中へ全体的又は部分的に挿入されている磁性要素をいう。概してコアは、以下に更に詳細に要点を述べられている様に任意の形状を有することができる。したがって、最も単純な事例では、コアは、単に棒の様な細長く真っ直ぐなコアであるか又はその様なコアを備え、コイルがコアの周りに全体的又は部分的に巻かれていてもよい。コアは、コイルの内に固定的に配置されていてもよいし、又は全体的又は部分的に動かせるようになっていてもよい。代替的に、コアは、更に、異なる形状を提供していてもよい。したがって、以下に更に詳細に要点を述べられている様に、E字形状のコア及び/又はU字形状のコアを使用することもできる。また、少なくとも1つのコイルをその上に配置させているコアは、概して磁場の閉ループを提供するように構成されていてもよく、その場合、コアには1つ又はそれ以上のギャップを存在させるようにしていてもよい。コアは、磁場の閉ループを、単独化された様式で提供していてもよいし、又は同じく全体的又は部分的に軟磁性材料及び/又は強磁性材料で作られている少なくとも1つの搬送体と共に提供していてもよい。したがって、一例として、以下に更に詳細に要点を述べられている様に、屈曲コアの端部が搬送体の方を指していて、搬送体はこれらの端部のうちの2つ又はそれ以上を相互接続し、それにより磁場の閉ループを提供するようになっていてもよい。コア材料として及び/又は搬送体材料として使用することのできる軟磁性材料の一例として鉄が挙げられ得る。但し他の軟磁性材料も実現可能である。
【0041】
以上に要点を述べられているコアは、具体的には、2つ又はそれ以上の腕部を形成している屈曲コアであってもよい。電磁石の少なくとも1つのコイルが、それら腕部のうちの少なくとも1つに、及び/又は特にE字形状コアの事例及び/又はU字形状コアの事例ではコアの背骨部に、配置されていてもよい。具体的には、コアは少なくとも2つの腕部を有することができ、その場合、腕部のうちの少なくとも2つは試料取扱い装置の搬送体の方を指している端部を有している。従って、以上に要点を述べられている様に、搬送体は、少なくとも2つの腕部を好適にも間に僅かなギャップを設けて磁気的に相互接続し、こうして磁気ループを閉じることができる。一例として、端部は、各端部と試料取扱い装置の搬送体の間のエアギャップが10ミリメートルより小さくなるように、好適には5ミリメートルより小さくなるように、例えば0.5ミリメートルから5ミリメートルになるようにして、搬送体の方を指していてもよい。
【0042】
以上に要点を述べられている様に、この閉ループは様々な幾何学形状に実現させることができる。一例として、コアは少なくとも1つのE字形状コアを備えているか又はI字形状コアであり、コアの真ん中の腕部が試料取扱い装置の搬送体の方を指し、真ん中の腕部の互いに反対側の2つの外側腕部も同様に試料取扱い装置の搬送体の方を指しているものであってもよい。
【0043】
追加的又は代替的に、コアは、少なくとも1つのU字形状コアであるか又は少なくとも1つのU字形状コアを備え、U字形状コアの2つの端部、例えばU字の2つの腕部の端部が、試料取扱い装置の搬送体の方を指しているものであってもよい。電磁石の少なくとも1つのコイルは、この場合、例えば、U字形状コアの背骨部に及び/又は一方の腕部又は両方の腕部に配置されていてもよい。様々な幾何学形状が概して実現可能である。
【0044】
以上に要点を述べられている様に、コアは、具体的には、閉じた磁気ループを提供するように設計されていてもよい。その点で、閉じた磁気ループを提供するために、1つ又はそれ以上の更なる要素がコアと相互作用するようになっていてもよい。以上に要点を述べられている様に、試料搬送体自体が、コアの2つ又はそれ以上の腕部又は端部と磁気的に相互接続するために、磁気ループに加わっていてもよい。追加的又は代替的に、試料識別装置の上述の回転子が、全体的又は部分的に、磁気ループに加わっていて、更に磁気ループを閉じるのを支援していてもよい。従って、以上に要点を述べられている様に、少なくとも1つの試料識別装置は少なくとも1つの回転子を有するものとすることができる。少なくとも1つの回転子は、全体的又は部分的に、コアの少なくとも1つの端部と試料取扱い装置の搬送体の間に位置付けられていてもよい。回転子は、全体的又は部分的に、軟磁性材料及び/又は強磁性材料の様な磁性材料で作られていてもよい。一例として、先と同様に、鉄が使用されていてもよい。とはいえ、代わりに、回転子は、全体的又は部分的に、非磁性ステンレス鋼又はアルミニウムの様な非磁性材料で作られていてもよい。後者は、磁力からのより急速な解放又はより急速なスイッチオフを可能にさせるためには好適であろう。但し他の材料も実現可能である。
【0045】
本発明の更なる態様では、試料取扱いのためのシステムが開示されている。システムは、本発明による少なくとも1つの試料取り扱い装置、例えば上述の実施形態の何れか1つによるもの及び/又は以下に更に詳細に開示されている実施形態の何れか1つによるものなど、を備えている。システムによって備えられている試料取扱い装置は、システムの一部である試料識別装置の一部であってもよい。とはいえ、追加的又は代替的に、システムは、試料識別装置の一部ではなく異なる目的に使用される1つ又はそれ以上の試料取扱い装置、を備えていてもよい。したがって、一例として、1つ又はそれ以上の試料取扱い装置は、容器が搬送体から取り出され1つ又はそれ以上の容器ラックへ移されるといった様に保存位置へ移されるシステムのステーションに設けられていてもよい。試料取扱い装置は、この実施形態では、具体的には、容器がラック内でそれらのバーコード及び/又は識別子が正面にくるような既定のやり方で向き付けられるようにするといった様に、容器を既定の様式で向き付けるために使用することができる。とはいえ、他の実施形態も実現可能である。
【0046】
システムは、少なくとも1つの容器を搬送するための少なくとも1つの搬送体を更に備えている。試料取扱い装置、試料識別装置、及び搬送体及び/又は容器の更なる詳細については、以上に与えられている開示を参照することができる。
【0047】
以上に要点を述べられている様に、搬送体は全体的又は部分的に磁性材料で作られていてもよい。搬送体は、全体的又は部分的に、少なくとも1つの磁気的に軟らかい材料又は少なくとも1つの強磁性材料のうちの1つ又はそれ以上で作られていてもよい。先と同じく、一例として、例えば鉄などの磁鉄材料が挙げられる。搬送体は、具体的には、回転対称性を有していてもよい。したがって、一例としては、以上に要点を述べられている様に、搬送体は具体的にはパックの様な回転対称性の円盤とすることができる。搬送体は、概して、容器を受け入れるための少なくとも1つのレセプタクルを備えていてもよい。レセプタクルの更なる詳細及び随意的な実施形態については、以上に与えられている開示を参照することができる。
【0048】
システムは、レセプタクルに受け入れられる少なくとも1つの容器を更に備えることができる。容器の随意的な実施形態については、以上に与えられている実施形態の1つ又はそれ以上を参照することができる。具体的には、容器は少なくとも1つの試験管であるか又は少なくとも1つの試験管を備えていてもよい。容器は、搬送体の上側でレセプタクルから突き出ていてもよい。ここでの使用に際し、「上側(upper side)」と言う用語は、概して、搬送体の通常の使用時に重力が搬送体へ作用する方向に対比して反対方向をいう。したがって、一例として、搬送体は、平坦な下側の様な下側と、上側と、を有していて、上側には容器が上側で搬送体から突き出るように少なくとも1つのレセプタクルが配置されていてもよい。
【0049】
システムは、複数の搬送体を移送するための少なくとも1つの移送装置を更に備えることができる。したがって、一例として、移送装置は、1つ又はそれ以上の容器が各搬送体に配置された状態で複数の搬送体を次々に及び/又は並行してシステムの複数のステーションの間で移送するように適合されていてもよい。したがって、一例として、システムは、分析ステーション、調製ステーション、評価ステーション、計測ステーション、保存ステーション、などの様な、様々なステーションを備えることができる。よって、上述の試料取扱い装置及び/又は試料識別装置はシステムの1つのステーションとして使用されてもよいし、又は複数のこれらの試料取扱い装置及び/又は識別装置が提供されている場合にはシステムの複数のステーションとして使用されてもよい。したがって、以上に要点を述べられている様に、システムは、少なくとも1つの試料取扱い装置を有する少なくとも1つの試料識別装置を備えることができ、随意的には、試料識別装置の一部ではなく他の目的に使用される少なくとも1つの試料取扱い装置を更に備えていてもよい。
【0050】
移送装置は、一例として、ベルト形状の移送装置を提供していてもよく、及び/又は例えば搬送体を動き回らせることによって及び/又は搬送体を方向転換させることによって搬送体を移送するように構成されている1つ又はそれ以上のアクター(訳注:原文「one or more actors configured to...」。ここでの「actor(s)」は「・・・ような役割を果たす物(機構)」または「・・・のように働く物」などの意味であると解される。「actor」のこのような用法を一語で適切に表す周知の訳語は見当たらないため、本翻訳文では「アクター」と訳す)を有する別の型式の移送装置を提供していてもよい。追加的又は代替的に使用することのできる一例として、移送装置は、更に、搬送体を磁気的に移送するように構成されている磁気移送装置を提供することができる。移送装置は、上述の随意的な少なくとも1つのコントローラによって作動するように及び/又は制御されるように設計されていてもよい。
【0051】
本発明の更なる態様では、複数の試料の少なくとも1つの特性を識別するための診断装置が開示されている。概してここでの使用に際し、「診断装置(diagnostics device)」という用語は、概して、少なくとも1つの診断動作、具体的には生体外診断動作(in-vitro-diagnostic operation、「試験管内の診断動作」とも)、を遂行することのできる装置をいう。診断装置は、複数の試料の少なくとも1つの特性を識別するように適合されている。具体的には、少なくとも1つの特性が試料の各々について検出され及び/又は計測されてよい。「特性(property)」という用語は、診断装置の文脈では、概して、例えば物理的手段、化学的手段、又は生物学的手段などによって計測され得る試料の任意の特性をいう。一例として、少なくとも1つの特性は、少なくとも1つの電気的に計測可能な特性、少なくとも1つの光学的に計測可能な特性、少なくとも1つの色、少なくとも1つの透明度、少なくとも1つの屈折率、など、であるか又はそれを備えていてもよい。また、少なくとも1つの特性は、検出されるべき少なくとも1つの検体の様な検出されるべき少なくとも1つの成分の含量及び/又は濃度であるか又はそれを備えていてもよい。少なくとも1つの特性を識別するための診断装置は、少なくとも1つの診断動作を遂行するように構成されている少なくとも1つの計測装置を備えていてもよい。試料取扱いのためのシステムを除いて、診断装置の考えられる実施形態については、以上に言及されている先行技術文献を参照することができる。
【0052】
診断システムは、本発明による少なくとも1つのシステム、例えば上述の実施形態の1つ又はそれ以上によるもの及び/又は以下に更に詳細に開示されている実施形態の1つ又はそれ以上によるものなど、を備えている。従って、診断システムは、本発明による少なくとも1つの試料取扱い装置と、少なくとも1つの搬送体と、を備えている。以上に要点を述べられている様に、診断システムによって備えられている少なくとも1つの試料取扱い装置は、診断システムの一部である少なくとも1つの試料識別装置の一部であってもよい。とはいえ、追加的又は代替的に、診断システムは、更に、試料識別装置の一部ではない少なくとも1つの試料取扱い装置を備えていてもよい。診断装置は、更に、試料に係る少なくとも1つの分析動作を遂行するように構成されている少なくとも1つの分析装置を備えている。分析装置の考えられる実施形態については、概して、先行技術を参照することができる。一例として、分析装置は、試料中の、特には各試料中の、少なくとも1つの検体の存在及び/又は濃度を検出するように適合されていてもよい。
【0053】
本発明の更なる態様では、試料を取り扱うための方法が開示されている。方法は、具体的には、例えば以上に開示されている実施形態の1つ又はそれ以上及び/又は以下に更に詳細に開示されている実施形態の1つ又はそれ以上などのような、本発明の試料取り扱い装置、試料識別装置、システム、又は診断装置、のうちの1つ又はそれ以上を活用することができる。方法は、具体的には、高スループット診断装置で使用されてもよい。方法は、下記に論じられている方法段階を備えている。その点で、方法段階は所与の順序で遂行されてもよい。とはいえ、異なる順序も実施可能である。また、方法段階の各々を1回だけ遂行すること又は繰り返し式に遂行することも実施可能である。また、方法段階の2つ又はそれ以上が繰り返し遂行されてもよい。また、方法は、ここに掲げられていない追加の方法段階を備えていてもよい。また、方法段階の2つ又はそれ以上が、全体的又は部分的に、同時に又は時間的に重なり合う様式で遂行されてもよい。
【0054】
方法は、少なくとも下記の段階、即ち、
−少なくとも1つの磁気位置決め装置を使用することによって、試料が中に配置されている少なくとも1つの容器を搬送する搬送体を試料取り扱い装置に磁気的に保持する段階、
を備えている。
【0055】
方法は、更に、下記の段階、即ち、
−少なくとも1つのリーダを使用することによって、搬送体によって搬送される容器へ付着されている少なくとも1つの識別子を読み取る段階、
を備えている。
【0056】
後者の場合には、試料取扱いのための方法は、更に、全体的又は部分的に、試料を識別するための方法として具現化されていてもよく、及び/又は試料を識別する1つ又はそれ以上の段階を備えていてもよい。
【0057】
方法の更なる詳細及び随意的な実施形態については、以上に与えられている試料識別装置の開示を参照することができる。
【0058】
方法は、少なくとも1つの回転子を使用することによって、試料取り扱い装置内で搬送体を向き付ける段階を更に備えていてもよい。以上に論じられている様に、向き付けは搬送体を既定の向きに入れることを含意することもある。とはいえ、追加的又は代替的に、向き付けは、更に、搬送体の回転を含意することもある。具体的には、搬送体を向き付ける段階は、搬送体によって搬送される容器へ付着されている識別子を向き付ける段階を備えていてもよい。一例として、方法は、搬送体を試料取扱い装置へ移送する段階と、回転子を使用することによって、搬送体を試料取り扱い装置内で、識別子がリーダによって読み取り可能になるまで、好適には視認可能になるまで回転させる段階と、最終的に識別子を読み取る段階と、を備えていてもよい。読み取る段階は、搬送体が静止しているときに起こってもよいし、又は搬送体の回転中にさえ起こってもよい。こうして、具体的にはバーコードがその線を円周方向式に向き付けられるようにして使用される場合には、向き付け中にスキャンが起こってもよく、そうすれば試料識別の速度が上がる。
【0059】
上述の装置及び方法は、様々なやり方で改善され具現化されることができる。したがって、以上に要点を述べられている様に、容器は、具体的には、単純なバーの一次元バーコードの様なバーコードをその上に有する試験管であってもよい。バーコードは、一例として、試験管の移送中及び/又は移送後に識別されなくてはならない、ということもある。この目的のため、本発明を使用することによって、試験管は適切なやり方で向き付けられなくてはならない、ということもある。概して、少なくとも1つのリーダを使用することによって、搬送体によって搬送される容器へ付着されている少なくとも1つの識別子を読み取る段階の後に、1つ又はそれ以上の追加の段階が続いていてもよい。よって、一例として、読み取りの後に、試料取り扱い装置内の搬送体が第2の既定の向きに向き付けられるように、方法が遂行されるか又は試料識別装置が設計されていてもよく、第2の既定の向きは読み取りの向きと同一であってもよいし、又は読み取りの向きとは異なっていてもよい。従って、一例として、識別子を読み取る段階の後に、搬送体は、少なくとも1つの回転子によって、少なくとも1つの識別子が特定の既定方向に向くよう向け直されるようになっていてもよい。これは、少なくとも1つの容器を上述の分析装置の様なシステムの別のステーションへ既定の向きで移動させるのに使用することができる。また、具体的に分析装置では、診断装置及び/又は方法は、例えば少なくとも1つの試験管をパックから抜き取るなどによって、少なくとも1つの容器が少なくとも1つの搬送体から取られるように具現化されていてもよい。上述のホールドダウン装置はこのやり方で設計されていてもよい。そうすると、概して、試料識別装置の少なくとも1つのホールドダウン装置は、少なくとも1つの容器を搬送体から取り出す間中、搬送体を保持するように構成されていてもよい。具体的には、試料取扱い装置、試料識別装置及び/若しくはシステム並びに/又は少なくとも1つの診断装置は、少なくとも1つの容器を搬送体から抜き取るための少なくとも1つの自動抜き取りシステムを備えていてもよい。一例として、具体的に搬送体が試料識別装置のホールドダウン装置に入っているときに搬送体から少なくとも1つの容器を抜き取るためにロボット又はロボットアームが使用されていてもよい。試料識別装置は、特に、上述の向け直しプロセスによって、搬送体がホールドダウン装置に入っているときに少なくとも1つの識別子が既定のやり方で向き付けられるように設計されていてもよい。従って、容器が搬送体から取り出されるとき、容器の識別子は、例えば識別子情報を別のリーダへ提供するために、及び/又は光学的計測の様な他の分析目的の邪魔にならないために、既定方向を向くことができる。一例として、以上に論じられている様に、容器は搬送体から或る既定の向きに取り出され、容器ラックの中へ或る既定の向きで挿入されてもよい。
【0060】
容器、具体的に試験管は、概して、単一ホルダ搬送体、即ちそれぞれが厳密に1つの容器を受け入れる能力のある1つ又はそれ以上の搬送体、に配置されていてもよい。それにより、搬送体の向き付けで、その中に配置されている容器の向き付けが決まることになる。
【0061】
具体的には、試料取扱い装置では、少なくとも1つの搬送体は、磁気位置決め装置及び/又は少なくとも1つの随意的なローラーに近接して位置付けられるようになっていてもよい。したがって、試料取扱い装置は、少なくとも1つの搬送体を試料取扱い装置へと案内するための追加の手段を提供していてもよい。一例として、1つ又はそれ以上のガイドレール及び/又は1つ又はそれ以上の傾斜が、ハウジングに及び/又は試料取扱い装置の他の部分に提供されていてもよい。したがって、一例として、電磁石自体の少なくとも1つのコアが少なくとも1つの搬送体を正確な位置に案内するための傾斜又は案内要素を提供していてもよい。また、少なくとも1つの搬送体は、少なくとも1つの試料取扱い装置へ、例えば前側からの様に直接的に挿入されてもよい。
【0062】
したがって、以上に論じられている様に、試料取扱い装置は少なくとも1つの当接面を備え、そこへ搬送体が、厳密にはパックが、部分的に係合するはずであり、その結果、当接面が搬送体を部分的に取り囲み、こうして搬送体を位置決めするようになっていてもよい。ここでの使用に際し、「当接面(abutment surface)」という用語は、概して、搬送体を試料取り扱い装置に対して位置決めするといった様に搬送体を位置決めするために搬送体と係合することのできる試料取扱い装置の任意の面又は面の組合せをいう。したがって、搬送体の位置決めは、磁気位置決め装置によって及ぼされる磁気的保持力と、随意的及び追加的なものとして、当接面によって及ぼされる機械的案内効果また更には機械的保持効果と、の組合せであってもよい。
【0063】
当接面は、具体的には、複数の面区分を或る角度様式に配列させて備えている面又は湾曲した面の様な、非平坦当接面とすることができる。非平坦当接面の他の実施例も可能であり、本発明で実施することもできる。したがって、一例として、搬送体の矩形又は星形をしている円周面と、当接面の相応に適切で対応している形状と、が構想されるかもしれない。概して、当接面は少なくとも部分的に搬送体の外側の形状に適合するものであってもよい。
【0064】
当接面及び搬送体は、具体的には、当接面と搬送体の間のぴったり合った接続(form-fit connection)が確立されるように構成することができるであろう。搬送体は、磁気位置決め装置によって及ぼされる磁力によって当接面へ押し付けられることになる。
【0065】
以上に要点を述べられている様に、磁気位置決め装置と、随意であるが1つ、2つ、又はそれ以上の回転子とは、当接面の一部を形成していてもよい。また、搬送体を試料取扱い装置へと案内するための上述の手段も同様に当接面の一部を形成していてもよい。具体的には、搬送体が部分的に試料取扱い装置の中へ挿入されるとき及び搬送体が当接面と係合するときに、搬送体の表面と当接面の間の距離が当接面に亘って実質的に一定であるように、当接面は少なくとも実質的に搬送体の外側の湾曲を模した湾曲又は非平坦形状を有するものとすることができる。その点での使用に際し、「実質的に(原文:essentially。なお、原文の他の部分に現れる「substantially」も「実質的に」と訳す場合がある)」という用語は、概して、搬送体の表面と当接面の間の距離が、当接面に亘って5倍より多くは変化しない、好適には4倍以下、3倍以下、又は2倍以下しか変化しない、ということを含み得る。
【0066】
その点で、仮に試料取扱い装置の複数の要素が当接面の一部を形成している場合、必ずしもこれらの要素は全て面全域を提供しなくてはならない又は当接面への全域的寄与を提供しなくてはならないとは限らない。したがって、一例として、回転子については、線形状の垂直方向要素が当接面に寄与することもできるだろう、というのは、一例として、丸い搬送体と丸い回転子との接点は概して線であるからだ。したがって、この実施形態又は他の実施形態の当接面は、複数の要素を相互接続させて有している組み合わせ面か又は複数の要素を孤立させて有していてそれら複数の要素がみな全体で上記搬送体位置決め効果を集約している組み合わせ面であってもよい。
【0067】
好適には、搬送体が試料取扱い装置によって保持されるとき、搬送体は、既定位置に、既定の精度で、例えばずれ量において0.5ミリメートル未満の精度などで、保持されるのが望ましい。具体的には、試料取り扱い装置が、容器を、例えばロボット、把持具、又は容器を搬送体から取り出す別の型式の移動システムによるなどして、既定位置に受け渡すために使用される場合、特に分析システム及び/又は分析装置での受渡しに使用される場合、精度は、典型的には0.5ミリメートルより良くなくてはならない。
【0068】
以上に要点を述べられている様に、少なくとも1つの搬送体は、全体的又は部分的に、磁性材料で作られていてもよい。その点で、搬送体全体が磁性材料で作られていてもよいし、又は搬送体の一部のみがそうであってもよい。従って、一例として、少なくとも1つのパックの様な少なくとも1つの搬送体は、少なくとも1つの磁性材料で作られた少なくとも1つの被覆を備えていてもよい。一例として、以上に要点を述べられている様に、少なくとも1つの搬送体は、円形の盤の形態をしているといったように、回転対称であってもよい。一例として、搬送体の円筒状の殻が全体的又は部分的に磁性材料で作られていてもよい。
【0069】
以上に要点を述べられている様に、磁力によって、パックの様な搬送体は2つ又はそれ以上の垂直方向回転子へ、例えば2つ又はそれ以上の垂直方向駆動軸へ、引き付けられるようになっていてもよい。これらの駆動軸は、一例として、単純にベルト駆動機構を介して駆動されていてもよい。概して、この実施形態又は他の実施形態では、少なくとも1つの回転子は少なくとも1つのパックの様な少なくとも1つの搬送体の回転運動を摩擦力によって推進するように設計されていてもよい。その結果、少なくとも1つの搬送体は自身の垂直方向軸周りに回り始める。
【0070】
本発明による装置及び方法は、以上に要点を述べられている様に、具体的には、少なくとも1つのバーコードの様な少なくとも1つの識別子を、搬送体ひいては容器の適切な向き付けによって向き付けるために使用することができ、少なくとも1つの識別子のスキャン若しくは一般的には読み取りが回転中に起こるようになっていてもよい。こうして、試験管上のバーコードのスキャンが回転中に起こることになる。バーコード若しくは一般的には識別子が検出されたら、搬送体は識別子が所望の向きの方を指すまで更に回転されることになる。続いて、試験管の様な容器は、設置されるために、パックの様な搬送体から取り出されることになる。以上に要点を述べられている様に、この目的のために試料取扱い装置は少なくとも1つのホールドダウン装置を提供することができる。
【0071】
こうして、本発明による試料取扱い装置、試料識別装置、並びにシステム、診断装置及び方法は、技術的に単純な試料取扱い、試料識別、及び/又は試料向き付けのやり方を提供する。識別及び/又は向き付けは、高速で起こるようにしてもよく、そうすると高スループットシステムへ容易に一体化できるだろう。また、搬送体及び/又は容器を回転要素へ押圧するのに押し出し要素又は押圧要素は必要とされないという事実に因り、本発明による装置及びシステムの全体構築体積は従来の装置及びシステムに比べ小さくすることができる。また、本発明の概念を実施するのに必要となる部品の数を従来の装置及び方法に勝って少なくすることができ、その結果、システムの費用を全般的に抑えることができる。
【0072】
以上に要点を述べられている様に、発明は、全体的又は部分的に、コンピュータ制御様式に具現化することもできる。具体的には、同じく以上に要点を述べられている様に、少なくとも1つのコントローラは、1つ又はそれ以上のソフトウェア機能を実施するように設計されていてもよい。一例として、少なくとも1つの回転子を駆動するためのステップモータの回転運動及び/又は制御はコンピュータ制御型であってもよい。
【0073】
そういうわけで、発明は、更に、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されたときにここに開示されている実施形態の1つ又はそれ以上での本発明による方法を遂行するためのコンピュータ実施可能命令を含むコンピュータプログラムを開示し提案している。具体的には、コンピュータプログラムはコンピュータ可読データ担体上に記憶されていてもよい。こうして、具体的には、以上に指示されている方法段階のうちの1つ、1つより多く、また更には全てが、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって、好適にはコンピュータプログラムを使用することによって、遂行されることになる。
【0074】
発明は、更に、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されたときにここに開示されている実施形態の1つ又はそれ以上での本発明による方法を遂行するために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を開示し提案している。具体的には、プログラムコード手段はコンピュータ可読データ担体上に記憶されていてもよい。
【0075】
また、発明は、データ構造を記憶させたデータ担体であって、コンピュータ又はコンピュータネットワークへ、例えばコンピュータ又はコンピュータネットワークの稼働メモリ又は主メモリへローディングした後に、ここに開示されている実施形態の1つ又はそれ以上による方法を実行することができるデータ構造を記憶させたデータ担体を開示し提案している。
【0076】
発明は、更に、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されたときにここに開示される実施形態の1つ又はそれ以上による方法を遂行するために、プログラムコード手段を機械可読担体上に記憶させたコンピュータプログラム製品を提案し開示している。ここでの使用に際し、コンピュータプログラム製品は取引できる製品としてのプログラムをいう。製品は、概して、紙のフォーマットで存在するとか又はコンピュータ可読データ担体上に存在するなど、任意のフォーマットで存在していてよい。具体的には、コンピュータプログラム製品はデータネットワークを介して流通させることができる。
【0077】
最後に、発明は、ここに開示されている実施形態の1つ又はそれ以上による方法を遂行するために、コンピュータシステム又はコンピュータネットワークによって読み出すことのできる命令を格納している変調データ信号を提案し開示している。
【0078】
発明のコンピュータ実装型の態様に関し、ここに開示されている実施形態の1つ又はそれ以上による方法の方法段階の1つ又はそれ以上、また更には方法段階全ては、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって遂行されるのが好適である。こうして、概して、データの提供及び/又はデータの操作を含む方法段階の何れかがコンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって遂行されてもよい。概して、これらの方法段階は、方法段階のうち、典型的には試料を提供する段階といった様な手による作業を要する方法段階及び/又は実際の計測を遂行する特定の態様を除いた何れかを含み得る。
【0079】
具体的には、本発明は、更に、
−少なくとも1つのプロセッサを備えているコンピュータ又はコンピュータネットワークであって、プロセッサは本記述中に説明されている実施形態の1つによる方法を遂行するように適合されている、コンピュータ又はコンピュータネットワーク、
−コンピュータロード可能データ構造であって、データ構造がコンピュータ上で実行されている間は本記述中に説明されている実施形態の1つによる方法を遂行するように適合されているコンピュータロード可能データ構造、
−コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータ上で実行されている間は本記述中に説明されている実施形態の1つによる方法を遂行するように適合されているコンピュータプログラム、
−コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されている間は本記述中に説明されている実施形態の1つによる方法を遂行するためのプログラム手段を備えているコンピュータプログラム、
−上記実施形態によるプログラム手段を備えているコンピュータプログラムであって、プログラム手段はコンピュータにとって可読である記憶媒体上に記憶されている、コンピュータプログラム、
−記憶媒体であって、データ構造が記憶媒体上に記憶されていて、データ構造はコンピュータ又はコンピュータネットワークの主ストレージ及び/又は稼働ストレージへロードされた後に本記述中に説明されている実施形態の1つによる方法を遂行するように適合されている、記憶媒体、
及び、
−プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段は、コンピュータ上又はコンピュータネットワーク上で実行された場合に本記述中に説明されている実施形態の1つによる方法を遂行するために、記憶媒体上に記憶させることができる又は記憶されている、コンピュータプログラム製品、
を開示している。
【0080】
本発明の知見を要約すると、以下の実施形態が好適である。
【0081】
(実施形態1)
試料取り扱い装置、特に高スループット診断装置での使用のための試料取扱い装置であって、試料取り扱いステーションは試料取り扱い装置内で搬送体を磁気的に保持するための少なくとも1つの磁気位置決め装置を備え、搬送体は少なくとも1つの容器を搬送するように構成されている。
【0082】
(実施形態2)
上記実施形態による試料取扱い装置において、搬送体を試料取扱い装置内で回転させるための少なくとも1つの回転子を更に備えている試料取扱い装置。
【0083】
(実施形態3)
上記実施形態による試料取扱い装置において、磁気位置決め装置は搬送体を磁力によって回転子へ引き付けるように構成されている、試料取扱い装置。
【0084】
(実施形態4)
上記2つの実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、試料取扱い装置は少なくとも2つの回転子を備え、磁気位置決め装置は、少なくとも部分的に、少なくとも2つの回転子の間に位置付けられている、試料取扱い装置。
【0085】
(実施形態5)
上記3つの実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、少なくとも1つの回転子は、少なくとも1つの回転子シャフトと、少なくとも1つのゴム引き部と、を備えている、試料取扱い装置。
【0086】
(実施形態6)
上記4つの実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、少なくとも1つの回転子は、少なくとも1つのモータによって、好適には少なくとも1つのステップモータによって、好適には少なくとも1つの回転子へ少なくとも1つの駆動ベルトを介して接続されている少なくとも1つのモータによって、駆動される、試料取扱い装置。
【0087】
(実施形態7)
搬送体を保持するための少なくとも1つのホールドダウン装置、を更に備えている上記実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置。
【0088】
(実施形態8)
上記実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、磁気位置決め装置は少なくとも1つの電磁石を備えている、試料取扱い装置。
【0089】
(実施形態9)
上記実施形態による試料取扱い装置において、電磁石は、少なくとも1つのコアと、コア上に配置されている少なくとも1つのコイルと、を備えている、試料取扱い装置。
【0090】
(実施形態10)
上記実施形態による試料取扱い装置において、コアは少なくとも2つの腕部を有し、少なくとも2つの腕部は試料取扱い装置の搬送体の方を指す端部を有している、試料取扱い装置。
【0091】
(実施形態11)
上記2つの実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、コアはE字形状コアを備え、コアの真ん中の腕部は試料取扱い装置の搬送体の方を指しており、真ん中の腕部の互いに反対側の2つの外側腕部もまた試料取扱い装置内の搬送体の方を指している、試料取扱い装置。
【0092】
(実施形態12)
上記3つの実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、コアはU字形状コアを備えていて、好適にはU字形状コアの2つの端部は試料取扱い装置の搬送体の方を指しており、好適には電磁石の少なくとも1つのコイルはU字形状コアの背骨部に配置されている、試料取扱い装置。
【0093】
(実施形態13)
上記5つの実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、試料識別装置の少なくとも1つの回転子は、全体的又は部分的に、コアの少なくとも1つの端部と試料取扱い装置の搬送体の間に位置付けられていて、回転子は、全体的又は部分的に、磁性材料で作られている、試料取扱い装置。
【0094】
(実施形態14)
上記実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置において、試料取り扱い装置は、少なくとも1つの当接面であって当接面が部分的に搬送体を取り囲み搬送体を位置決めするように搬送体が係合することのできる当接面、を更に備えている、試料取扱い装置。
【0095】
(実施形態15)
試料識別装置であって、
−上記実施形態の何れか1つによる少なくとも1つの試料取扱い装置と、
−搬送体によって搬送される容器へ付着されている少なくとも1つの識別子を読み取るための少なくとも1つのリーダと、
を備えている試料識別装置。
【0096】
(実施形態16)
少なくとも1つのコントローラを更に備えている上記実施形態による試料識別装置において、コントローラは、試料取扱い装置の搬送体によって搬送される容器へ付着されている識別子がリーダによって検出可能となるように、好適にはリーダによって視認可能となるように、試料取扱い装置を制御するように構成されている、試料識別装置。
【0097】
(実施形態17)
試料識別装置に関する上記実施形態の何れか1つによる試料識別装置において、リーダは、少なくとも1つの非接触識別子を読み取るためのリーダ、好適にはRFIDタグ又はバーコードの少なくとも1つのためのリーダ、である、試料識別装置。
【0098】
(実施形態18)
試料識別装置に関する上記実施形態の何れか1つによる試料識別装置において、リーダは、少なくとも1つの光学的リーダ、より好適には少なくとも1つのバーコードリーダ、を備えている、試料識別装置。
【0099】
(実施形態19)
上記実施形態による試料識別装置において、光学的リーダは、ラインスキャナ、好適には試料取扱い装置の搬送体の回転軸に平行な線をスキャンするように構成されているラインスキャナ、である、試料識別装置。
【0100】
(実施形態20)
試料取扱い装置に関する上記実施形態の何れか1つによる少なくとも1つの試料取扱い装置を備えている、試料取扱いのためのシステムであって、少なくとも1つの容器を搬送するための少なくとも1つの搬送体、を更に備えているシステム。
【0101】
(実施形態21)
上記実施形態によるシステムにおいて、試料取扱い装置は、搬送体を試料取り扱い装置の位置に対して位置決めするため、搬送体の少なくとも1つの面、例えば搬送体の少なくとも1つの円周面など、と係合するように構成されている少なくとも1つの当接面を備えている、システム。
【0102】
(実施形態22)
システムは、試料識別装置に関する上記実施形態の何れか1つによる少なくとも1つの試料識別装置を備えている。
【0103】
(実施形態23)
システムに関する上記実施形態の何れか1つによるシステムにおいて、搬送体は磁性材料で作られている、システム。
【0104】
(実施形態24)
システムに関する上記実施形態の何れか1つによるシステムにおいて、搬送体は、全体的又は部分的に、少なくとも1つの磁気的に軟らかい材料又は少なくとも1つの強磁性材料のうちの1つ又はそれ以上で作られている、システム。
【0105】
(実施形態25)
システムに関する上記実施形態の何れか1つによるシステムにおいて、搬送体は回転対称性の円盤である、システム。
【0106】
(実施形態26)
システムに関する上記実施形態の何れか1つによるシステムにおいて、搬送体は容器を受け入れるための少なくとも1つのレセプタクルを備えている、システム。
【0107】
(実施形態27)
レセプタクル内に受け入れられている少なくとも1つの容器、を更に備えている上記実施形態によるシステム。
【0108】
(実施形態28)
上記実施形態によるシステムにおいて、容器は試験管である、システム。
【0109】
(実施形態29)
上記2つの実施形態の何れか1つによるシステムにおいて、容器は搬送体の上側でレセプタクルから突き出ている、システム。
【0110】
(実施形態30)
システムに関する上記実施形態の何れか1つによるシステムであって、複数の搬送体を移送するための少なくとも1つの移送装置、を更に備えているシステム。
【0111】
(実施形態31)
複数の試料の少なくとも1つの特性を識別するための診断装置であって、診断システムはシステムに関する上記実施形態による少なくとも1つのシステムを備えていて、診断装置は試料に係る少なくとも1つの分析動作を遂行するように構成されている少なくとも1つの分析装置を更に備えている。
【0112】
(実施形態32)
試料を取り扱うための方法、特に高スループット診断装置での使用のための方法であって、
−少なくとも1つの磁気位置決め装置を使用することによって、試料が中に配置されている少なくとも1つの容器を搬送する搬送体を試料取扱い装置内で磁気的に保持する段階、
を備えている、方法。
【0113】
(実施形態33)
上記の項による方法であって、
−少なくとも1つのリーダを使用することによって、搬送体によって搬送される容器へ付着されている少なくとも1つの識別子を読み取る段階、
を更に備えている、方法。
【0114】
(実施形態34)
上記2つの実施形態の何れか1つによる方法において、試料取扱い装置に関する上記実施形態の何れか1つによる試料取扱い装置及び/又は試料識別装置に関する上記実施形態の何れか1つによる試料識別装置が使用されている、方法。
【0115】
(実施形態35)
方法に関する上記実施形態の何れか1つによる方法において、方法は、下記の段階、即ち、
−少なくとも1つの回転子を使用することによって、搬送体を試料取扱い装置内で向き付ける段階、
を更に備えている、方法。
【0116】
(実施形態36)
上記実施形態による方法において、搬送体を向き付ける段階は、搬送体によって搬送される容器へ付着されている少なくとも1つの識別子を向き付ける段階を備えている、方法。
【0117】
(実施形態37)
上記実施形態による方法において、方法は、搬送体を試料取扱い装置へ移送する段階と、回転子を使用することによって、搬送体を試料取扱い装置内で識別子が読み取り可能となるまで回転させる段階と、識別子を読み取る段階と、を備えている、方法。
【0118】
(実施形態38)
実施形態14による試料取扱い装置において、当接面は角度をつけられている、試料取扱い装置。
【0119】
(実施形態39)
実施形態38による試料取扱い装置において、当接面は搬送体との線接触を提供する形状をしている、試料取扱い装置。
【0120】
(実施形態40)
実施形態38又は実施形態39による試料取扱い装置において、当接面は互いに対して傾斜している少なくとも2つの面部分を備えている、試料取扱い装置。
【0121】
(実施形態41)
実施形態30によるシステムにおいて、移送装置は搬送体のための移送面とボビンとを有し、当接面によって画定されている、試料取扱い装置での搬送体のための受渡し位置は、2つのボビンの中間に置かれている、システム。
【0122】
次に続く好適な実施形態の説明では、発明の更なる随意的な特徴及び実施形態が、より詳細に、望ましくも従属請求項と関連付けて、開示されている。その中で、それぞれの随意的な特徴は、当業者には認識される様に、単独化された様式に実現されることもあれば何れかの任意の実施可能な組合せに実現されることもある。発明の範囲は好適な実施形態によって制限されない。実施形態は図に概略的に描かれている。その中で、これらの図における同一の符号は同一の要素又は機能的に匹敵する要素を指す。