(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属アンカー片(14、217、218)は、前記カバーパネル(119、210)の前記第1の方向に平行な縁部からある距離だけ入り込み、前記カバーパネルの内側領域に限定され、
2つの熱保護ストリップ(54)が、前記金属アンカー片と前記カバーパネルの前記第1の方向に平行な縁部との間の前記カバーパネルの前記第1の周縁領域において前記金属アンカー片(14、218)に続いて前記カバーパネル上に配置され、
前記第1の一連の波形構造の前記2つの波形構造(13)が、前記断熱ブロックの各々の前記アンカー片(14、217、218)の各縁に1つずつ配置される、請求項1に記載のタンク。
前記第1の方向に平行な波形構造(13)と前記第1の方向に平行な前記断熱ブロック(8、202)の縁部との間に、前記第1の波形構造ピッチの実質的に半分に等しいオフセットが存在する、請求項1〜3の何れか一項に記載のタンク。
前記アンカー片(14、217、218)が前記カバーパネルの中央に配置され、前記第1の一連の波形構造の2つの波形構造が前記カバーパネルの中心から等距離に位置する、請求項1〜4の何れか一項に記載のタンク。
前記波形構造金属膜は、長方形の複数の波形構造金属シート(12、224)を含み、各波形構造金属シートは、前記第1の方向に平行な2つの縁部と、前記第2の方向に平行な2つの縁部とを含み、
前記波形構造金属シート(12、224)の前記第2の方向の寸法は、前記第1の波形構造ピッチの偶数倍に等しく、
前記波形構造金属シートの前記第1の方向に平行な2つの縁部は、前記第2の方向において最外端の前記波形構造の外側に位置付けられる波形構造金属シートの平坦部分で終端すると共に、前記カバーパネルの内側領域内の断熱ブロック(8、202)の前記アンカー片(14、217、218)を覆う、
請求項1〜5の何れか一項に記載のタンク。
長方形の各波形構造金属シート(12、224)は、隣接する波形構造金属シートの境界領域に重ね溶接された境界領域を有し、頂部に位置する波形構造金属シートの前記境界領域(66)毎、下の隣接する波形構造金属シートの前記境界領域に溶接され、
下に位置する前記波形構造金属シートの前記境界領域が、前記第1の方向に平行な前記波形構造金属シートの縁に沿って、前記カバーパネルの内側領域における前記断熱ブロックのアンカー片(14、217、218)に溶接されている、請求項6に記載のタンク。
前記第2の方向及び/又は前記第1の方向の波形構造金属シート(12、224)の寸法は、前記第1の波形構造ピッチの2倍に等しい、請求項6又は7に記載のタンク。
前記アンカー片は、前記第1の方向に平行な金属ストリップ(14、218)と、前記第2の方向に平行な金属ストリップ(14、218)とを含み、前記金属ストリップは、前記カバーパネルの内側領域に十字形状を形成する、請求項9に記載のタンク。
前記波形構造金属膜が、長方形の複数の波形構造金属シート(12、224)を含み、各波形構造金属シートが、前記第1の方向に平行な2つの縁部と、前記第2の方向に平行な2つの縁部とを含み、
前記第1の方向の波形構造金属シートの寸法は前記第2の波形構造ピッチの偶数倍に等しく、
前記波形構造金属シートの前記第2の方向に平行な2つの縁部は、前記第1の方向において最外端の前記波形構造の外側に位置付けられる波形構造金属シートの平坦部分で終端すると共に、前記カバーパネルの内側領域内で前記断熱ブロックのアンカー片(14、217、218)を覆う、請求項11〜13の何れか一項に記載のタンク。
前記第1の波形構造ピッチが前記第2の波形構造ピッチに等しく、前記断熱ブロック(8、202)が正方形の輪郭を有する、請求項11〜14の何れか一項に記載のタンク。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある1つの発想は、これらの欠点の少なくともいくつかに対処する膜タンク壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、本発明は、支持構造に組み込まれた密閉断熱タンクを提供し、タンクは、支持構造の1つ以上の支持壁によって支持された1つ以上のタンク壁を備え、そのタンクまたは各タンクは支持構造のそれぞれの支持壁と断熱バリアとによって支持された密閉膜とを備える。
【0006】
断熱障壁は、規則的な長方形の格子パターンで整列された複数の直方体の断熱ブロックを含み、各断熱ブロックは、断熱充填物及びタンクの内側に面したカバーパネルを有し、断熱充填物の反対側のカバーパネルの上面が金属のアンカー片又はストリップを支持する。
【0007】
密閉膜は、第1の一連の平行な波形構造と、平行な波形構造の間に位置しカバーパネルの上面に載置される平坦な部分とを含む波形構造金属膜とで構成され、平行な波形構造は、平行六面体の第1の方向に平行に配置され第1の波形構造ピッチだけ離れ、密閉膜は、例えば、それぞれが断熱障壁の少なくとも1つのアンカー片又はストリップに溶接された複数の波形構造金属シートを含む。
【0008】
長方形のグリッドパターンのピッチは、第1の方向に垂直な第2の方向において第1の波形構造ピッチの2倍に等しく、これは、第1の一連の波形構造が、各断熱ブロックに整列される2つの波形構造を有し、2つの波形構造の間に位置する密閉膜の平坦部が、第1の方向に平行なカバーパネルの縁から幾らかの距離に位置するカバーパネルの内側領域に整列されて、第1の一連の波形構造の2つの波形構造が、第1の方向に平行な内側領域とカバーパネルの縁との間に位置するカバーパネルの縁領域に整列することを意味する。
【0009】
各方向の矩形格子パターンのピッチは、断熱ブロック間の何れのギャップの幅だけ増加しつつも実質的にこの方向の断熱ブロックの寸法に等しい。このギャップの幅は、実質的にゼロであり、いずれにしても断熱ブロックに対して非常に小さい。
【0010】
各断熱ブロックの金属製アンカー片は、少なくともカバーパネルの内側領域に配置され、密閉膜の平坦部分をカバーパネルの内側領域のみにある複数の断熱ブロックのアンカー片に固定することによって、密閉膜が断熱障壁に固定される。
【0011】
したがって、密閉膜は、アンカー片によって断熱ブロックの一部又は各断熱ブロックに但しカバーパネルの内側領域のみに固定される。
【0012】
これらの特徴により、第1の一連の各波形構造、又は第1の一連の波形構造の少なくとも大部分は変形の自由度に関して同様の状況にある。その理由は、波形構造に接する第1の平坦部分が断熱ブロックの内側領域の側に位置しアンカー片に固定されている一方、他の側部の波形構造に接する第2の平坦部分が断熱ブロックの周縁領域に隣接する断熱ブロックの周縁領域、及び2つの断熱ブロック間の界面に、2つの絶縁ブロックの何れか1つに固定されることなく拡がっていることである。言い換えれば、密閉膜の平坦部分は、カバーパネルの内側領域上と、断熱ブロックと隣接する周縁領域との間の界面に交互に配置される。この配置の結果、波形構造密閉金属膜は、第1の一連の何れの波形構造が断熱バリアに固定された一方の側面と、断熱障壁に固定されずに断熱障壁との摺動接触を有している一方の側面とを有する。断熱障壁に固定されていない面は、熱応力及び支持構造体の変形、特に膨らんだ船体の変形の影響下で波形構造の自由度を増加させる。その結果、使用中の波形構造金属膜における応力及び変形の分布がより均一になり、それによって波形構造金属膜の寿命が改善される。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、そのようなタンクは、以下の特徴の1つ又は複数を有することができる。
【0014】
密閉膜がカバーパネルの内側領域のみに固定されている場合には、アンカー片の大きさは変化し得る。一実施形態によれば、アンカー片は、カバーパネルの縁からいくらかの距離で離されてカバーパネルの内側領域に閉じ込められ、第1の一連の波形構造の2つの波形構造は、それぞれの断熱ブロックのアンカー片の各側に1つずつ配置される。言い換えれば、カバーパネルの周縁領域は、アンカー片とカバーパネルの縁との間に位置する。この構成により、金属アンカー片又はアンカーストリップ内の材料を節約することが可能になる。
【0015】
一実施形態によれば、第1の方向に平行な波形構造と第1の方向に平行な断熱ブロックの縁との間の第1の波形構造ピッチの実質的に半分に等しいオフセットが存在する。これらの特徴により、第1の方向に平行な波形構造は、界面から等距離に配置され、特に、下の断熱ブロックが相対的に移動した荷重の場合、これら波形構造の負荷がより軽減される。
【0016】
カバーパネルの内側領域は、カバーパネルの縁から幾分離れて位置し且つこれらの縁に対して中心合わせされているか又は中心から外れていてよい領域である。一実施形態によれば、アンカー片は、カバーパネルの中心に配置され、第1の一連の波形構造の2つの波形構造は、カバーパネルの中心から等距離に位置する。
【0017】
波形構造金属膜は、壁の寸法及び結果として生じる物流上の制約に応じて、1つ又は複数の部品で作製されてもよい。好ましくは、波形構造金属膜は、長方形の複数の波形構造金属シートで構成され、各波形構造金属シートは、第1の方向に平行な2つの縁と、第2の方向に平行な2つの縁とを含む。第2の方向の波形構造金属シートの寸法は第1の波形構造ピッチの偶数倍に等しい。第1の方向に平行な波形構造金属シートの2つの縁は、第1の方向に平行な波形構造の間の波形構造金属シートの平坦部分に実質的に位置し、カバーパネルの内側領域の断熱ブロックのアンカー片を通過する。
【0018】
これらの特徴により、密閉膜をシートの端部でアンカー片に固定することができ、それによって組立がより容易になる。
【0019】
一実施形態によれば、長方形の各波形構造金属シートは、隣接する波形構造金属シートの境界領域にラップ溶接された境界領域を有し、その上に位置する波形構造金属シートの境界領域は下に位置する隣接する波形構造金属シートの境界領域毎に溶接され、その下に位置する波形構造金属シートの境界領域は、第1の方向に平行な波形構造金属シートの縁に沿って、カバーパネルの内側領域内の断熱ブロックのアンカー片に溶接される。
【0020】
一実施形態によれば、第2の方向の波形構造金属シートの寸法は、第1の波形構造ピッチの2倍に等しい。これらの特徴のおかげで、密閉膜の平坦な部分のうちの2つには、アンカー片と一直線に通る矩形のシートの縁が含まれる。したがって、シートの端部でのみ溶接することによって、密閉膜の平坦部分の2つのうち1つ程度で密閉膜をアンカー片に固定することが可能である。
【0021】
金属アンカー片は様々な幾何学的形状を示すことができる。有利には、アンカー片は第1の方向又は第2の方向に平行に延びる金属ストリップを含む。これらの特徴により、アンカー片の幾何形状は、波形構造金属シートの縁との接続に比較的広い領域を提供するのに適している。
【0022】
一実施形態によれば、金属片又はストリップは、カバーパネルの縁からいくらかの距離で離され、カバーパネルの内側領域に閉じ込められ、2つの熱保護ストリップが、金属片又はストリップとカバーパネルの縁との間のカバーパネルの周縁領域において金属片又はストリップに連続してカバーパネル上に配置される。これらの特徴により、波形構造金属シートは、カバーパネルを過度の加熱にさらすことなく、金属片又はストリップ及び熱保護ストリップと完全に突き合わせて溶接することができ、したがって、木材又は耐熱性に乏しい他の材料からカバーパネルを作製することができる。
【0023】
あるいは、密閉膜がカバーパネルの内側領域においてのみ金属片又はストリップに固定されていれば、金属片又はストリップは、カバーパネルの縁領域を含むカバーパネルの全長にわたって延在してもよい。その場合、周縁領域に位置する金属片又はストリップの端部は、カバーパネルの熱保護の単なる別の形態である。
【0024】
一実施形態によれば、アンカー片は、第1の方向に平行な金属ストリップと、第2の方向に平行な金属ストリップとを含み、ストリップは、カバーパネルの内側領域に十字を形成する。これらの特徴のために、アンカー片の幾何形状は、波形構造金属シートの2つの縁との接続のための領域を波形構造金属シートの角のすぐ近くに提供するのに適している。
【0025】
平面の両方向の負荷及び変形を平均化するために、第1の一連の波形構造に対して直角に走る第2の一連の平行な波形構造が、第1の一連の平行な波形構造に関して上述した教示により参照されて同じように実施され得る。
【0026】
対応する実施形態によれば、密閉膜は、平行六面体の断熱ブロックの第2の方向に平行に配置され且つ第2の波形構造ピッチだけ離間した第2の一連の平行な波形構造をさらに含み、密閉膜の平坦な部分は、第2の方向に平行な波形構造間にさらに位置する。断熱ブロックの第1の方向の寸法に実質的に等しい第1の方向における長方形のグリッドパターンのピッチは、第2の波形構造ピッチの2倍に等しく、これは、第2の一連の波形構造が、断熱ブロックの各々に整列された2つの波形構造を備えることを意味する。第2の一連の波形構造の2つの波形構造が、第2の方向に平行な内側領域とカバーパネルの縁との間に位置するカバーパネルの周縁領域に整列される。アンカー片は、カバーパネルの縁からいくらかの距離で離され、カバーパネルの内側領域に閉じ込められ、第2の一連の波形構造の2つの波形構造は、絶縁ブロックのそれぞれのアンカー片の各側に一つずつ位置付けられる。第2の方向に平行な波形構造と第2の方向に平行な断熱ブロックの縁との間の第2の波形構造ピッチの半分に等しいオフセットがある。アンカー片は、カバーパネルの中心に配置され、第2のシリーズの波形構造の2つの波形構造は、カバーパネルの中心から等距離に位置する。第1の方向における波形構造金属シートの寸法は、第2の波形構造ピッチの偶数倍に等しく、第2の方向に平行な波形構造金属シートの2つの縁は、実質的に波形構造の平坦部分に位置する第2の方向に平行な波形構造の間に配置され、カバーパネルの内側領域内の断熱ブロックのアンカー片の上を通過する。下に位置する波形構造金属シートの境界領域は、波形構造金属シートの第2の方向に平行な縁に沿って、カバーパネルの内側領域内の断熱ブロックのアンカー片に溶接される。第1の方向の波形構造金属シートの寸法は、第2の波形構造ピッチの2倍に等しい。第1の波形構造ピッチは第2の波形構造ピッチに等しく、断熱ブロックは四角形の輪郭を有する。
【0027】
断熱ブロックは、様々な方法で製造することができる。一実施形態によれば、各平行六面体の断熱ブロックは、断熱充填物が収容された箱構造を含み、箱構造は、ボトムパネルと、ボトムパネルとカバーパネルとの間に延びるサイドパネルを含む。
【0028】
別の実施形態によれば、各平行六面体の断熱ブロックは、発泡介在ブロックが断熱充填物を形成している、ボトムパネル、及びカバーパネルと、を備える。
【0029】
一実施形態によれば、各タンク壁の密閉膜は、タンクの内側に向かって突出し第1の方向に延びる第1の一連の波形構造と、タンクの内側に向かって突出し第1の方向に垂直な第2の方向に延びる第2の一連の波形構造とを備える。
【0030】
密閉膜の波形構造は様々な方法で形成することができる。いくつかの実施形態によれば、波形構造は、平坦部分に対してタンクの内方に向かって突出するか、又は平坦部分に対してタンクの外方に向かって突出して断熱ブロックのカバーパネルに形成された溝に収容される。
【0031】
一実施形態によれば、第1又は第2のタンク壁の断熱障壁は、タンクの縁角に対向する縁取りブロックの縦面に面した汎用平行六面体断熱ブロックを備え、汎用平行六面体断熱体のそれぞれのカバーパネルの上面が、対応する縁取りブロックのカバーパネルの上面の段差に面する段差、及びカバーパネルの上面の高さと同一平面上にある段差内に一緒に収容されて第1又は第2のタンク壁の密閉膜に対し連続平坦支持体を形成する連結シートを有する。この特徴により、密閉膜の支持体に隙間を生じることなく、縁取りブロックの列と汎用ブロックの第1の列との間の距離を調整することが可能となる。
【0032】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2列の各縁取りブロックと隣接する平行四辺形の断熱ブロックとの間の空間、及び前記縁取りブロックと第1の支持壁との間の空間は、中間断熱充填物を含む。
【0033】
一実施形態によれば、波形構造金属シートは矩形形状を有し、各平行六面体の断熱ブロックは2つの割線アンカーストリップを含み、各アンカーストリップはアンカーストリップに固定された波形構造金属シートのそれぞれの側面に平行に延びている。
【0034】
一実施形態によれば、断熱障壁は2次的な断熱障壁であり、密閉膜は2次密閉膜であり、タンク壁は、2次密閉膜上に配置された1次断熱障壁と、1次断熱障壁によって担持された1次密閉膜とをさらに含む。
【0035】
この場合、好ましくは、第2の断熱障壁の1次保持部材の断熱ブロックの金属アンカー片は、1次保持部材を保持する例えばねじ山付きスタッド又はブシュであり、1次断熱障壁は、一次保持部材に固定された複数の整列された直方体の断熱ブロックを含む。
【0036】
一実施形態によれば、2次密閉膜は、1次保持部材が2次密閉膜の上に突出するように切欠きを含み、2次密閉膜の切欠きの縁が、密閉状態で1次保持部材の全周で2次断熱障壁の断熱ブロックの金属アンカー片に溶接される。好ましくは、これらの切抜きは、矩形シートの縁に形成されるが、矩形シート内に位置する平坦部分でも生成することができる。
【0037】
このようなタンクは、例えば液化ガスを貯蔵するための土地貯蔵設備の一部を形成してもよく、又は陸上又は海上浮遊構造、特にメタンタンカー、LPGタンカー、浮遊貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)、浮遊製品貯蔵積卸(FPSO)装置などのような、様々な種類の装置に組み込まれてもよい。
【0038】
一実施形態によれば、低温液体製品を輸送するための船は、船体と、船体の内部に配置された前述のタンクとを含む。
【0039】
一実施形態によれば、本発明はまた船舶を積卸す方法を提供し、そこで、低温液体製品が、断熱されたパイプを介して浮遊式又は陸地式貯蔵施設から又はそこへ船舶のタンクへ又はタンクから搬送される。
【0040】
一実施形態によれば、本発明はまた上述した船舶を含む低温液体製品の移送システムを提供し、そこで断熱パイプが船舶の船体に設置されたタンクを浮遊地又は陸地に接続するように配置され、システムは低温液状製品を断熱パイプを通して浮遊式又は陸地式の貯蔵施設へ又はそこから船舶のタンクへ又はタンクから流れるようにするためのポンプを備える。
【0041】
添付図面を参照して非限定の図示によって単独で与えられる本発明の多くの特定の実施形態についての以下の説明の過程において、本発明はよりよく理解され、さらなる目的、詳細、特徴及び利点がより明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0043】
これらの図面は、液化ガスを輸送するための船舶の二重船体の内壁からなる支持構造と関連して以下に説明される。このような支持構造は、例えばプリズム状の多面体形状を有する。このような支持構造では、支持構造の縦方向壁1は、船舶の縦方向に平行に延び、船舶の縦方向に垂直な平面内に多角形断面を形成する。縦方向の壁1は、例えば、八角形の幾何学的形状において約135°の角度を形成する縦方向の縁角2で合流する。このような多面体タンクの全体的な構造は、例えば、文献FR−A−3008765の
図1を参照して説明される。
【0044】
縦壁1は、船舶の縦方向に垂直な横方向支持壁3によって船舶の縦方向に離されている。縦壁1と横壁3とは、前縁角4及び後縁角4で合流する。
【0045】
支持構造の各壁1、3は、それぞれのタンク壁を支持する。第1の実施形態によれば、各タンク壁は、ブタン、プロパン、プロペン等を含有する液化石油ガスのような、タンクに貯蔵された−50°〜0℃の平衡温度を有する流体と接触する単一の密閉膜を担持する単一の断熱障壁からなる。
【0046】
慣例により、タンクの要素に適用された形容詞「上方」は、タンクの内側に向けられた要素の部分を指し、形容詞「下方」は、要素の外側に向けられた部分を指し、地球の重力に対するタンク壁の向きに関係しない。同様に、用語「上方」は、タンクのさらに内側に位置する位置を指し、用語「下方」は、支持構造にさらに向かって位置する位置を指し、地球の重力に対するタンク壁の向きに関係しない。
【0047】
図1は、縦壁5と横壁6とをそれぞれ支持する支持構造の縦方向壁1の1つと横断壁3の1つとの間の前又は後縁角4の領域におけるタンク角部を示している。縦タンク壁5及び横タンク壁6は、90°程度の角度を形成するタンクの角構造7で合流する。縦タンク壁5と横タンク壁6とは同様の構造を有するので、縦タンク壁5のみについて説明する。縦タンク壁5の説明は横壁6に対応して適用される。
【0048】
縦タンク壁5の断熱障壁は、縦方向の支持壁1の全体に沿って固定された複数の断熱要素からなる。これらの断熱要素は一緒になって、縦タンク壁5の密閉膜が固定される平坦な表面を形成する。これらの断熱要素は、より具体的には、規則的な長方形のグリッドパターンに整列された複数の汎用断熱要素8を含む。縦タンク壁5の断熱障壁はまた、
図2を参照して以下に説明される、縁角4に沿って配置された縁取り断熱要素9の列を含む。断熱要素8、9は、任意の適切な手段、例えば
図3を参照して説明したようなアンカー部材10を使用して保持構造に保持される。断熱要素8、9は、直線又は波状の平行線を形成するマスチック(図示せず)のビードを介して、縦方向の保持壁に載置される。中間空間11は、縁取り断熱要素9の列の互いに向い合う縁取り断熱要素を分離する。タンクの縁角を形成する2つのタンク壁5及び6の中間空間11が整列する。
【0049】
縦タンク壁5の密閉膜は、重ねて互いに整列された複数の金属シート12からなる。これらの金属シート12は好ましくは長方形である。密閉膜を封止するために、金属シート12は互いに溶接される。好ましくは、金属シート12は例えば厚さ1.2mmのステンレス鋼で作られる。
【0050】
タンクの経験する様々な応力に応答して、特に液化ガスのタンクへの装填に起因する熱収縮に応答して密閉膜が変形することを可能にするために、金属シート12は、タンクの内側に向かう複数の波形構造13を有する。より詳細には、縦タンク壁5の密閉膜は、規則的な長方形パターンを形成する第1の一連の波形構造13と第2の一連の波形構造13とを含む。
図1に示すように、第1の一連の波形構造13は、縁角4に平行であり、第2の一連の波形構造13は、縁角4に対して垂直である。好ましくは、波形構造13は、長方形の金属シートの縁に平行に延在する。1つの一連の波形構造における2つの連続した波形構造13の間の距離は、例えば600mm程度である。
【0051】
角構造7の領域における断熱障壁2の連続性を確実にするために、金属角シート15が溶接されて垂直縁取り断熱要素9上に配置される。これらの金属角シート15は、各タンク壁5及び6の密閉膜の平面にそれぞれ位置する2つの平坦部分16を備える。
【0052】
図2は、
図1の縁取り断熱要素9の分解斜視図を示す。
【0053】
縁取り断熱要素9は、ボトムパネル17と、サイドパネル18と、カバーパネル19とを備える。これらのパネル17、18、19はすべて矩形であり、縁取り断熱要素9の内部空間を画定する。ボトムパネル17及びカバーパネル19は、互いに平行に延び、
図1に示すように支持壁に平行に延びている。サイドパネル18は、ボトムパネル17に対して直角に延びている。サイドパネル18は、縁取り断熱要素9の全周にわたってボトムパネル17とカバーパネル19とを接続している。これらの支持スペーサ20は、縦方向のサイドパネル21と平行に延びている。縦サイドパネル21に直角に延びる横サイドパネル22は、貫通オリフィス23を備えている。これら貫通オリフィス23は、断熱障壁内の不活性ガスの循環を可能にすることを意図している。パネル及び支持スペーサは、任意の適切な手段、例えばねじ、ステープル又は釘によって取り付けられ、断熱充填物24が配置された箱構造を一緒になって形成する。この断熱充填物24は、好ましくは非構造、例えばパーライト又はグラスウールである。
【0054】
ボトムパネル17は、縦サイドパネル21から突出する縦フランジ25を含む。ボトムパネル17はまた、横サイドパネル22の1つから突出する横フランジ26を含む。ボトムパネル17のフランジ25、26は、クリート27を支持する。
図2に示す例では、縦フランジ25の各端部はそれぞれのクリート27を支持し、横フランジ26の中央部分はクリート27を担持する。
図3に示す別の形態では、フランジ26で支持されたクリート27は、縁取り断熱要素9の全幅にわたって延びている。
【0055】
カバーパネル19は、断熱充填物24から離れて向く上面に、横段部28を含む。この横段部28は、横サイドパネル22に整列され、そこからボトムパネル17の横方向フランジ26が突出している。この横段部28は、横フランジ26によって支持されたクリート27に整列されたノッチ65を含む。カバーパネル19を形成するために使用され得る多数の方法がある。
図2に示す実施形態では、異なる大きさの合板の2つのシートが、横段部28を示すカバーパネル19を形成するように重なる。図示されていない一実施形態では、カバーパネルは、横方向段部を形成するためにフライスが形成された合板のシートで作られる。
【0056】
カバーパネル19の上面は、横フライス29及び縦フライス30をさらに含む。横フライス29は、カバーパネル19の幅全体に亘ってカバーパネル19の幅に平行な方向に延びる。横フライス29は、横フランジ26からカバーパネル19の反対側に近く位置する。縦フライス30は、カバーパネル19の全長に亘ってカバーパネル19の長さに平行な方向に延びる。好ましくは、この縦方向フライス30は、カバーパネル19の幅の中心に配置されている。
図2に示す実施形態では、縦方向フライス30はノッチ65に続いて位置している。
【0057】
縦ストリップ31が縦フライス30に収容される。この縦アンカーストリップ31は、カバーパネル19の長さよりも短い長さを有する。熱保護54(
図3に図示)は、縦アンカーストリップ31を含まない縦フライス30の部分に収容されている。
【0058】
同様に、横アンカーストリップ32は、カバーパネル19の横フライス29内に収容されている。しかし、この横アンカーストリップ32は、カバーパネル19の全幅にわたって延びている。横アンカーストリップ32の各端部はタブ33を備える。このタブ33は、カバーパネル19のそれぞれの縦方向側から突出している。
【0059】
縁取り断熱要素9と同様に、各汎用断熱要素8は、上面に、それぞれのミーリングに収容されカバーパネルにネジ止め又はリベット止めされた2つの垂直アンカーストリップ14を含む。アンカーストリップ14は、好ましくは、波形構造13と平行に配置される。アンカーストリップ14は、それらが収容されるフライスの中央部分の上に延在する。熱保護54はフライスの端部に収容される。
【0060】
密閉膜の金属シート12、15は、載置されるアンカーストリップ14、31、32に溶接される。熱保護54は、金属シート12、15がその縁に沿って一緒に溶接されているときの断熱要素8、9への損傷を回避する。熱保護54は、耐熱性材料、例えばガラス繊維系複合材料で作られている。金属シート12、15をアンカーストリップ14、31、32に溶接することにより、密閉膜を断熱障壁に保持することができるが、これによって、それらが溶接されるアンカーストリップ14、31、32に金属シート12、15によって引っ張り荷重が伝達される。
【0061】
タブ33は、横フライス29に連続してカバーパネル19から延びる間隔部分34を含む。このタブは、間隔部分34の反対側の端部からカバーパネル19まで延びる結合部分35をさらに含む。結合部分35はボトムパネル17の方向に延びている。連結部分35は、段部65を示すカバーパネル19の横方向側に面するスロット52を含む。
【0062】
アンカーストリップ31、32は、任意の適切な手段、例えばリベット止めによってカバーパネル19に固定される。横方向アンカーストリップ32は、カバーパネル19の縦方向、例えば1〜数10ミリメートル程度の隙間を示すように固定される。典型的には、リベット留めによる固定の場合、横アンカーストリップ32を固定するリベットが通過するカバーパネル19のオリフィス(図示せず)は、リベットの厚さを超える縦方向寸法を有する。同様に、横アンカーストリップ32は、隙間を持って横フライス29内に収容される。このような隙間により、アンカーストリップ31、32に溶接された密閉膜によってカバーパネル19の縦方向に発生した引っ張り力は、カバーパネル19に実質的に伝達されない。
【0063】
図3は、縦タンク壁5及び横タンク壁6に属する、縦縁取り断熱要素36と横縁取り断熱要素37とを示す詳細図である。縦縁取り断熱要素36及び横縁取り断熱要素37は角構造7を一緒に形成する。段部65を持たない縦縁取り断熱要素36の横縁と、段部65を有さない横縁取り断熱要素37の横縁とが突き合わされる。縦縁取り断熱要素36は、横縁取り断熱要素37の構造と同様の構造を有するので、
図3に示す縦縁要素36のみを以下に説明する。この縦縁取り断熱要素36の説明は、横縁取り断熱要素37に類似して適用することができる。
【0064】
図3に示すアンカー部材10は、それぞれ、縦支持壁1に溶接されたスタッド38を含む。各スタッド38は、縦支持壁1に対して直角に延びている。縦支持壁1に対するスタッドの反対側の端部は、ねじスレッドを有する。正方形の支持プレート39は、スタッド38が貫通する中心オリフィス(図示せず)を含む。スタッド38のねじ付き端部には、ナット40が取り付けられている。したがって、各スタッド38の支持プレート39は、ボトムパネル17の対応するフランジ25、26によって支持されたそれぞれのクリート27の上面にナット40で押され続ける。図示されていない別の形態では、支持プレートは、断熱要素のボトムパネルのフランジ上に直接載置される。
【0065】
図1に示すように、このようなアンカー部材10はまた、各汎用断熱要素8の角に配置される。各汎用断熱要素8の側壁はフランジを有する。クリート27は、前記フランジの各端部に配置される。汎用断熱要素8の各クリート27がそれぞれのアンカー部材10と協働し、1つの同じ支持部材10が複数の隣接する汎用断熱要素8のクリート27と協働する。隣接する汎用断熱要素8の角は、対応する固定部材10に並ぶシャフトを一緒に形成する切欠きを備える。このシャフトによって、ナット40が固定部材10のスタッドにねじ込まれる。このシャフトは、断熱充填物41で充填され、ブランキングプレート42で覆われて、断熱要素のカバーパネルと平坦な面を形成する。
【0066】
図1に示す実施形態では、各汎用断熱要素8は、縁角4に平行に測定して、縁取り断熱要素9の幅の2倍の幅を有する。汎用断熱要素8及び縁取り断熱要素9は、2つの隣接する汎用断熱要素8の角がそれぞれの縁取り断熱要素9の横フランジ26と並んで縁取り断熱要素9の幅の途中に位置するような方法で取り付けられる。汎用断熱要素8の角部に関連したアンカー部材10は、したがって、前記汎用断熱要素8のクリート27及び横方向フランジ26によって支持されたクリート27の両方と協働する。縁取り断熱要素9のノッチ65によって、アンカー部材10のナットを締め付けるのに必要なツールが通過できる。
【0067】
図示されていない実施形態では、汎用断熱要素と縁取り断熱要素は同じ幅を有するが、縁角に平行な方向に互いにずれている。したがって、2つの隣接する汎用断熱要素の角部は、縁取り断熱要素の幅方向の中間に位置し、縁取り断熱要素の横フランジに一致する。
【0068】
さらに、縁取り断熱要素9に面して配置された汎用断熱要素8は、縁取り断熱要素9の段部28と同様の、縁取り断熱要素9の段部28に面する段部を含む。カバーストリップ53は、汎用断熱要素8及び対向する縁取り断熱要素9の段差に共同で収容されて、断熱要素8及び9の間の空間を覆う。この空間は、例えばグラスウールなどの断熱充填材で満たされる。このようなカバーストリップは、断熱要素8及び9のカバーパネルの上面の高さで面一になっており、密閉膜のための連続した平坦な表面を提供する。さらに、このようなカバーストリップ53により、タンクの構築中に生じる可能性のある構造の隙間が補償される。
【0069】
さらに、縁取り断熱要素9と、互いに対向する支持壁1及び3との間に位置する空間55は、グラスウールのような断熱充填材で充填されるのが有利である。
【0070】
図4は、代替実施形態による端部角部の領域におけるタンク壁の概略平面図である。同一の参照番号は、同じ構造を示し且つ/又は同じ機能を提供する要素に使用される。
【0071】
図4に示す別の形態では、縁取り断熱要素9は、汎用断熱要素8の幅と同様の幅を有する。汎用断熱要素8の幅は例えば約1200mmであり、縁取り断熱要素9の幅は1160mm程度である。この代替形態では、金属シート(図示せず)の波形構造(図示せず)は、中間隙間111と一直線上に位置するのではなく、縁取り断熱エレメント9のカバーパネル19上に配置される。さらに、金属シート(図示せず)はアンカーストリップ32に断続的にかつアンカーストリップ32の中央部分56の水平面でのみ溶接される。金属シートのこの不連続な溶接により、波形構造が伸長時に自由に放置されて、密閉膜の変形を吸収する。端縁取り断熱要素9は、汎用断熱要素8の中心に配置されている。同様に、アンカーストリップ14、31は、縁角に垂直な方向に同軸に配置されている。
【0072】
図5は、約135°の角度を形成する2つの縦タンク壁5の間のタンク縁角を示す。このようなタンク縁角は、
図1〜
図3を参照して説明したように、90°の角度を形成するタンク角構造7と同様の構造を呈する。同一の参照番号は、同じ構造を示し且つ/又は同じ機能を提供する要素に使用される。
【0073】
ここで、タンクの平坦な壁について、
図6〜
図8を参照してさらに詳細に説明する。この点に関して、平坦な壁は、平面の両方向に周期的なパターンに従って生成され、このパターンは、したがって、覆われるべき表面の寸法に応じて、より大きい又はより小さい広がりの範囲にわたって繰り返される。その結果、図に示される汎用断熱要素8の数は限定されず、支持構造の幾何形状に応じて必要に応じて一方向又は他の方向に修正することができる。さらに、大きな広がりの平坦な壁の上には、1つ以上の個々の領域が局所的に存在することがあり、そこでは、障害物を切り抜けたり特定の設備を収容するために、格子パターンが変形される。
【0074】
断熱障壁が、支持壁1又は3の平坦な部分の上に実質的に規則的な長方形のグリッドパターンに従って整列された汎用断熱要素8から構成される。4つの汎用断熱要素8のそれぞれの2つの列を含むこのグリッドパターンのサンプルが、
図6に説明のために示されている。
【0075】
汎用断熱要素8の端部及び金属シート12の端部は、波形構造13によって画定される2つの方向に平行である。密閉膜の波形構造ピッチが波形構造13によって画定される2つの方向において同じであるので、汎用断熱素子8は四角形の外形を有する形状を有する。具体的には、汎用断熱要素8の寸法は、2つの方向のそれぞれの波形構造ピッチの2倍に等しい。波形構造のピッチが2つの方向で異なる場合、輪郭は長方形になる。
【0076】
各汎用断熱要素8のカバーパネルの中央には、十字形状に配置された2つのアンカーストリップ14があり、それらの枝部も波形構造13によって画定された2つの方向に平行であり、金属シート12の縁に対応する。
【0077】
図7に最もよく示されているように、アンカーストリップ14は、汎用断熱要素8の縁から離れたカバーパネルの中央領域に閉じ込められ、波形構造はアンカーストリップ14と汎用断熱要素8の端部との間に配置されるカバーパネルの縁領域の中に延在するので、各波形構造13は、断熱障壁に固定されていない汎用断熱要素8の間の境界面103に跨る平坦部101と、アンカーストリップ14に溶接することで断熱障壁に固定される最大で1つの平坦部102との間に配置される。言い換えると、
図6に最もよく示されているように、波形構造13はそれぞれ、一方の側で、2つで1つの波形構造ピッチの割合で(即ち、部分102)断熱障壁に固定される平坦部と、他方の側で、汎用断熱要素8上を自由に摺動する平坦部101との間に配置されている。この特性は、パターンを繰り返すことによって、タンク壁の長さの一部又は全部及び/又はタンク壁の幅の一部又は全体にわたって維持することができる。この結果、様々な波形構造13に伝達された変形を均一にしたのになる。
【0078】
図8は、汎用断熱要素8の全体的な構造が、大きさとアンカーストリップ14とを除いて、縁取り断熱要素9の構造に非常に類似していることを示している。このように、汎用断熱要素8は、ボトムパネル117、2つの縦サイドパネル121、2つの横サイドパネル122、及びカバーパネル119を含む。これらのパネルの全ては、形状が長方形であり、断熱要素の内部空間を画定する。ボトムパネル117及びカバーパネル119は、互いに平行に延び、支持壁に平行に延びている。サイドパネル121、122は、ボトムパネル117に対して直角に延び、ボトムパネル117とカバーパネル119とを断熱要素の全周にわたって接続する。図示されていない支持スペーサは、縦方向サイドパネル121に平行な、断熱要素の内部空間のボトムパネル117とカバーパネル119との間に配置される。縦サイドパネル121に対して直角に延びる横サイドパネル122が貫通オリフィス123を含む。これらの貫通オリフィス123は、断熱障壁内の不活性ガスの循環を可能にすることを意図している。パネル及び支持スペーサは、任意の適切な手段、例えばねじ、ステープル又は釘によって取り付けられ、一緒になって、図示されていない断熱充填物が配置された箱構造を形成する。この断熱充填物は、好ましくは非構造、例えばパーライト又はグラスウール又は低密度ポリマー発泡体であり、例えば10〜30kg/m
3程度の密度を有する。
【0079】
ボトムパネル117は、縦サイドパネル121から突出する縦フランジ125と、横サイドパネル122から突出する横フランジ126とを含む。縦フランジ125は、汎用断熱要素8の角でクリート127を支持し、アンカー部材10と協働する。
【0080】
図8はまた、汎用断熱要素8が載置されるマスチック60のビードを示す。マスチック60のこれらのビードは、好ましくは、汎用断熱要素8が支持壁に対して摺動する自由を許容するために非粘着性である。汎用断熱要素8の支持壁への固定は、4つの角に配置された4つのアンカー部材10を使用して各場合において達成され、各場合におけるアンカー部材10は4つの隣接する汎用断熱要素8と協働する。
【0081】
[寸法例]
1つの例示的な実施形態では、汎用断熱要素8の寸法は、厚さ220mm、幅1200mm、長さ1200mmであり、両方向に600mmの波形構造ピッチである。汎用断熱要素8の間のギャップの幅は、ここではごくわずかである。波形構造ピッチは、ここでは、2つの平行で隣接する波形構造13の上端角間の距離であると定義される。厚さは、タンクの熱性能に関する要求に従って変更することができる。波形構造ピッチは、それに応じて汎用断熱要素8の寸法を変更することを含み、密閉膜の柔軟性に関する要件に応じて変更することができる。
【0082】
図6において、図示された単一の金属シート12は、2つの波形構造ピッチから6つの波形構造ピッチの寸法を有する。しかしながら、密閉膜を形成する金属シート12は、寸法が面の2つの方向の各々における集まりのピッチの偶数の整数に対応するならば、異なる方法にすることができる。したがって、シートの角部及び金属シート12の縁はすべて、金属シート12を支持する汎用断熱要素8のアンカーストリップ14に整列される。好ましくは、金属シート12の寸法は、平面の少なくとも1つの方向に2つの波形構造のピッチに等しく、所望の固定を得るために必要なのは、金属シート12の輪郭に沿って配置されたアンカーストリップ14に沿って溶接することだけで、これで各波形構造の1つに1つだけの縁が断熱障壁に確実に固定される。
【0083】
あるいは、金属シートの縁から離れて位置する平坦部分をアンカーストリップ14を溶接するために追加の溶接が行われるならば、平面の2つの方向において2つの波形構造ピッチよりも大きい金属シート12を用いて密閉膜を製造することが可能である。
【0084】
図9は、アンカー部材10の代替実施形態を示す。この場合、ねじ付きスタッド38は、支持壁に直接溶接されていない。むしろ、中空ベース62内に収容された分割ナット61にねじ込まれる。スプリットナット61を含む中空ベース62は、予め支持壁に溶接されている。これで、ねじ付きスタッド38の取り付けが簡単になる。
図9はまた、支持プレート39とナット40との間に挿入されたベルビルワッシャのスタックを示す。
【0085】
パッキン片シム63が中空ベース62の周りの支持壁に配置され、その上に静止する4つの隣接する汎用断熱要素8の角を受け入れる。パッキン片シム63及びマスチック60のビードは、支持壁の平坦度欠陥を補償し、従って汎用断熱要素8を載せる平坦な上面を提供する。
【0086】
さらに、パッキンシム63の上方に突出する位置決めシム64が中空ベース62の周りのパッキン片シム63の中央開口に取り付けられている。位置決めシム64は汎用断熱要素8の角を位置決めするための端部ストッパとして作用する。より具体的には、縦フランジ125は、縦サイドパネル121の長さを確実に覆い、横フランジ126は、横サイドパネル122の長さを確実に覆うが、これは、角の水平面における縦フランジ125及び横フランジ126の鉛直端面が、位置決めシム64の2つの対応するファセットと接触することができるその周縁は八角形である2つの直交面を形成する。
【0087】
図6〜8はまた、各波形構造金属シート12が4つの縁のうちの2つに沿って隆起した境界領域66の厚さのオフセットを含み、他の2つの縁が平坦である、ことを示す。隆起した境界領域66は、隣接する金属シート12の平坦な境界領域を覆う役割を果たし、2つの金属シート12の間に密閉結合を提供するために最終的に連続的に溶接される。隆起した境界領域66は、段付けとも呼ばれる曲げ動作で得られる。
【0088】
1つの密閉膜を有するタンクを形成するための上記の技術は、例えば、陸上施設又はメタンタンカー等の浮遊構造の液化天然ガス(LNG)のための二重膜タンクを形成するのに使用することができる。これに関連して、前の図に示された密閉膜は2次密閉膜であると考えることができ、1次断熱障壁ならびに1次密閉膜も、図示されていないが、この二次密閉膜に追加される必要がある。このように、この技術は、複数の断熱障壁及び重ね合わされた複数の密閉膜を示すタンクにも適用することができる。
【0089】
ここで、特に二重膜タンクに適したタンクの平坦な壁の第2の実施形態を、
図10〜
図12を参照して説明する。
【0090】
図12は、流体を貯蔵するための密閉された断熱タンクの多層構造を破断図で示している。
【0091】
タンクの各壁は、タンクの外側から内側に向かって、支持構造203に固定された整列された断熱ブロック202を含む2次断熱障壁201と、2次断熱障壁201の断熱ブロック202によって支持される2次密閉膜204と、1次保持部材によって2次断熱障壁201の断熱ブロック202に固定された整列された断熱ブロック206を含む1次断熱障壁205と、1次断熱障壁205の断熱ブロック206によって支持されタンクに収容された極低温流体と接触することを意図している1次密閉膜207と、を備える。
【0092】
支持構造203は、特に自立型の金属メッキ、又はより一般的には、適切な機械的特性を示す任意のタイプの剛性の仕切りであってもよい。支持構造203は、特に船の船体又は二重船体によって形成されてもよい。支持構造203は、タンクの全体形状を画定する、通常は多面体形状の複数の壁を含む。
【0093】
2次断熱障壁201は、図示しない樹脂の接着ビーズによって支持構造203に結合された複数の断熱ブロック202を含む。樹脂のビードは、それ自体で断熱ブロック202を固定するのに十分な接着性を有する必要がある。代替的に又は組み合わせて、断熱ブロック202は前述のアンカー部材10又は類似の機械的デバイスによって固定されてもよい。断熱ブロック202は、略直方体状に形成されている。
【0094】
図11に示すように、断熱ブロック202はそれぞれ、カバーパネルを構成する内部剛性シート210とボトムパネルを構成する外部剛性シート211との間に挟まれた断熱ポリマー発泡体209の層を含む。内部210及び外部211の剛性シートは、例えば、断熱ポリマー発泡体209の層に結合された合板のシートである。断熱ポリマー発泡体は、特にポリウレタン系発泡体であってもよい。ポリマー発泡体は、その熱収縮の低減に寄与するガラス繊維で有利に強化される。
【0095】
図10に示すように、断熱ブロック202は平行な列に整列され、組立のための機能的なクリアランスを保証する隙間212によって互いに離されている。隙間212は、例えば、ガラスウール、ロックウール又は連続気泡軟質合成発泡体のような、図示されていない断熱充填材で充填されている。断熱充填物は、断熱ブロック202間の隙間212にガスが流れる空間を残すように多孔質材料から作られるのが有利である。このようなガス流空間は、窒素のような不活性ガスの循環を2次断熱障壁201内で可能にするために有利に使用されて、不活性雰囲気下に保つようにし、爆発性濃度範囲内の可燃性ガスが発見されるのを回避し、且つ/又は2次断熱障壁201を減圧下に置いてその断熱能力を高める。このガスの循環は、可燃性ガスの潜在的な漏れをより簡単に検出するためにも重要である。隙間212は、例えば、30mm程度の幅を有する。
【0096】
内部シート210は、2つの一連の2つの溝214、215を有し、それらは互いに直角であり、溝のネットワークを形成する。一連の溝214、215の各々は、断熱ブロック202の2つの対向する側面に平行である。溝214、215は、2次シーリングバリアの金属メッキ上に形成されたタンクの外側に向かって突出する波形構造を収容することを意図している。より具体的には、内部シート210は、断熱ブロック202の一方向に延びる2つの溝214と、断熱ブロック202の他方の方向に延びる2つの溝215とを備え、その寸法は、第1の実施形態と同様に、波形構造2つのピッチ×波形構造2つのピッチである。
【0097】
溝214、215は、内部シート210の厚さを貫通して断熱ポリマー発泡体209の層上に開口している。さらに、断熱ブロック202は、溝214、215が交差する領域において、断熱性ポリマー発泡体209の層にオリフィス216を含む。切欠きオリフィス216は、2次密閉膜204の金属めっきの波形構造間の交差部に形成されたノード領域を収容することができる。これらのノード領域は、タンクの外側に向かって突出する頂点を有する。
【0098】
さらに、
図10に示すように、内部シート210には、2次密閉膜204の波形構造金属メッキの縁を断熱ブロック202に固定するための金属取付板217、218が設けられている。金属取付板217、218は、内部シート210に形成された溝214、215間に確定される内部シート210の正方中心領域に位置する。より具体的には、中心金属取付板217は正方形であり、内部シート210の中央に位置しており、内部プレート210の中央に位置している。一方、2つ又は4つの細長取付板218は、内部シート210の四角い中央領域を完全に横切って通過する1つ又は2つのストリップの形態で中心金属取付板217の周りに配置される。内部シート210の周縁領域溝214と215と内部シート210の縁との間に位置する内部シート210の周縁領域において、熱保護ストリップ54は、細長取付板218に連続して配置されている。熱保護ストリップ54の構造及び機能は上述した。
【0099】
したがって、
図10は、2つのタイプの断熱ブロック202を示す。金属シート224の角に位置し、矩形の形状を有し、2次シール膜204を形成する断熱ブロック202は、4つの細長取付板218を支持し、よって中央取付板217に水平高さで交差する2つの鉛直ストリップを形成し、金属シート224の2つの縁にそれぞれ平行である。金属シート224の端部に位置し、角から離れた断熱ブロック202は、2つの細長取付板218を支持し、金属シート224の縁に平行なストリップを形成する。
【0100】
代替案として、すべての断熱ブロック202は、生産を標準化するために、4つの細長取付板218を支持することができる。
【0101】
金属取付板217、218は、例えば、ねじ止め、リベット止め、ステープル止め等の接着により、あるいはこれらの多数の手段の組み合わせにより、断熱ブロック202の内部シート210に固定されている。金属取付板217、218は、内部シート210の内面と面一になるように、内部シート210に形成された凹部に嵌合されている。
【0102】
内部シート210はまた、タンクの内側に向かって突出するねじ付き金属スタッド219を備えており、第1の断熱障壁205を2次断熱障壁201の断熱ブロック202に固定するように意図されている。スタッド219は、金属製の取付板217に形成されたオリフィスを貫通する。
【0103】
図10〜
図12に関連して、2次断熱障壁は、それぞれが実質的に長方形の形状を有する複数の波形構造金属シート224を含むことが分かる。波形構造金属シート224は、2次断熱障壁201の断熱パネル202に対してオフセットして配置され、各波形構造金属シート224は、少なくとも4つの隣接する断熱パネル202上に一緒に延在する。
【0104】
各波形構造金属シート224は、第1の方向に延びる第1の一連の平行な波形構造13と、第2の方向に延びる第2の一連の平行な波形構造13とを有する。これら2つの一連の波形構造13の方向同士は垂直である。波形構造13の各々は、波形構造金属シート224の2つの対向する縁に平行である。ここで、波形構造13は、タンクの外側に向かって、即ち支持構造203に向けて突出する。波形構造金属シート224は、波形構造13間に複数の平坦部を備える。2つの波形構造13の各交点において、金属めっきはノード領域227を含む。ノード領域227は、タンクの外側に向かって突出する頂点を有する中央部分を含む。
【0105】
図示した実施形態では、第1及び第2の一連の波形構造13は同一の高さを有する。しかしながら、第1の実施形態と同様に、第1の一連の波形構造13が第2の一連の波形構造13よりも大きな高さを有するようにすることも可能であり、その逆も可能である。
【0106】
図11に示すように、波形構造金属シート224の波形構造13は、断熱パネル202の内部シート210に形成された溝214及び215内に収容される。隣接する波形構造金属シート224は、前述の隆起領域66で重なって一緒に溶接される。波形構造金属シート224は、スポット溶接によって金属取付板217及び218に固定される。
【0107】
波形構造金属シート224は、その縦方向縁に沿って、その4つの隅に、1次断熱障壁205を2次断熱障壁201に固定するためのスタッド219を通過させるための切欠き228を含む。
【0108】
波形構造金属シート224は、例えば、Invar(登録商標)、即ち鉄とニッケルとの合金で、その膨張係数が典型的には1.2×10
-6〜2×10
-6k
-1の間であるか、又は膨張係数が典型的には7×10
-6k
-1程度のマンガンの含有量が高い鉄合金で形成される。あるいは、波形構造金属シート224は、同様にステンレス鋼又はアルミニウム製であってもよい。
【0109】
波形構造金属シート224の長さ及び幅は、第1の実施形態の金属シート12のサイズと同じ理由で同じである。
図10及び
図11において、図示された単一の金属シート224は、2つの波形構造ピッチ×6つの波形構造ピッチの寸法を有する。このように、金属シート224は、上述したように、固定されていない平らな部分101と固定された平らな部分102との交互を示す。
【0110】
密閉膜204が、平面の2つの方向における2つの波形構造ピッチよりも大きい金属シート224を使用して生成される場合(図示せず)、金属シート224の縁から離れて位置する平坦部に追加の開口部を設ける必要があり、その結果、スタッド219が通過でき、これらの開口部の縁を密閉様式で下側の金属取付板217に溶接できる。
【0111】
[寸法例]
1つの例示的な実施形態では、断熱ブロック202の寸法は、幅990mm、長さ990mm、両端で510mmの波形構造ピッチ、及び断熱ブロック間の30mmの隙間である。波形構造ピッチは、密閉膜の柔軟性の点で要件に応じて変更することができ、断熱ブロック202の寸法をそれに応じて変更することを含む。
【0112】
1次断熱障壁205及び1次密閉膜207を形成するために、使用することができる様々な既知の技術がある。
【0113】
図12に示すように、ここでは1次断熱障壁205は、実質的に直方体の形状の複数の断熱パネル206を含む。断熱パネル206は、2次断熱障壁201の断熱ブロック202に対してずらされ、各断熱パネル206は、この場合、2次断熱障壁201の8つの断熱ブロック202にわたって延在する。1次断熱障壁205及び1次密閉膜207の製作について、さらなる詳細は、WO−A−2016046487公報に記載されている。
【0114】
第1の実施形態の密閉膜と同様に、2次密閉膜204において、波形構造の変形の均一な分布が、断熱ブロックの大きさと密閉膜の固定とによって達成される。
【0115】
上述した実施形態と比較して、密閉膜の2つの一連の波形構造のうちの1つは、例えば膜の柔軟性が平面のただ1つの方向に望ましい用途のために省略することができる。そのような場合、上述のタンク壁の寸法対称性は依然として平面の1つの方向にしか必要ではなく、今は省略されている一連の波形構造の波形構造ピッチを参照する大きさは余計になるか少なくとも任意である。
【0116】
図13を参照すると、メタンタンカー70の断面図が、船舶の二重船体72内に取り付けられたプリズム状の全体形状の密閉され断熱されたタンク71を示している。タンク71の壁は、タンクに収容された液化ガスと接触するように意図された1次断熱障壁と、1次断熱障壁と船舶の二重船体72との間に配置された2次断熱障壁と、1次密閉障壁と2次密閉障壁との間、及び2次密閉障壁と二重船倉72との間にそれぞれ配置された2つの断熱障壁と、を備える。
【0117】
それ自体知られている方法では、船舶の上部デッキ上に配置された積卸配管73は、液化ガスの貨物をタンクから又はタンク71に移送するために、適切なコネクタによって海上又は港湾ターミナルに接続することができる。
【0118】
図13は、積卸ステーション75、水中パイプ76及び陸上施設77を含む海上ターミナルの一例を示す。積卸ステーション75は、可動アーム74及び可動アームを支持するタワー78を支持する固定されたオフショア設備である。可動アーム74は、積卸配管73に接続することができる断熱フレキシブルパイプ79の束を支持する。配向可能な可動アーム74は、あらゆるサイズのメタンタンカーに適合することができる。図示されていない接続パイプは、塔78の内部に延在している。積卸ステーション75は、メタンタンカー70を陸上施設77に積み卸しすることを可能にする。陸上施設は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中パイプ76によって積卸ステーション75に接続された接続パイプ81を備える。水中パイプ76は、液化ガスを積卸ステーション75と陸上施設77との間で、例えば5kmの長距離を移送して、メタンタンカー70を荷積み及び荷卸し作業中に長距離に亘って海岸に立てた状態に保つことを可能にする。
【0119】
液化ガスを移送するのに必要な圧力を発生させるために、船70に搭載されたポンプ及び/又は陸上施設77が装備されているポンプ、及び/又は、積卸ステーション75が設けられているポンプが使用される。
【0120】
本発明は、多くの特定の実施形態に関連して記載されているが、それに決して限定されず、記載された手段の全ての技術的同等物及びそれらの組み合わせを含むことは明らかであり、これらは発明の範囲内にある。
【0121】
「to comprise」、「to exhibit」又は「to include」という動詞及びその活用形態の使用は、請求項に列挙されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素又はステップのための不定冠詞「a」又は「an」の使用は、特に言及しない限り、そのような複数の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0122】
特許請求の範囲において、括弧内の任意の参照記号は、特許請求の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。