(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742416
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】バランスプレートを有する核燃料アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G21C 3/33 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
G21C3/33 100
G21C3/33 700
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-530571(P2018-530571)
(86)(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公表番号】特表2019-502911(P2019-502911A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2016079654
(87)【国際公開番号】WO2017102388
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年9月12日
(31)【優先権主張番号】15201167.2
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504446548
【氏名又は名称】ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】モンソン マルクス
(72)【発明者】
【氏名】アンデション パトリック
【審査官】
大門 清
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−184893(JP,A)
【文献】
米国特許第05646973(US,A)
【文献】
米国特許第4219386(US,A)
【文献】
米国特許第5339342(US,A)
【文献】
特開平08−254588(JP,A)
【文献】
特開昭52−154987(JP,A)
【文献】
特開平11−174182(JP,A)
【文献】
特開2009−122101(JP,A)
【文献】
特開平06−294879(JP,A)
【文献】
特開平09−166676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/30
G21C 3/33
G21C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料アセンブリ(1)であり、
−燃料棒(3)、
−2つまたは3つのウォーターロッド(30)、
−前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)を支持するために配置されるタイプレート(4)であって、前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)は前記タイプレート(4)に固定される、タイプレート(4)、
−前記燃料棒(3)および前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)を支持するように構成される1つ以上のスペーサ(6)、
−前記ウォーターロッド(30)の各々のそれぞれ上端部で前記ウォーターロッド(30)に固定されるハンドル(10)、および、
−ジョイント配置(11、12、13、20〜25、31、32、33)、を含み、
前記ハンドル(10)は、ジョイント配置(11、12、13、20〜25、31、32、33)によって前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)に固定され、前記ジョイント配置(11、12、13、20〜25、31、32、33)は、垂直吊上力を前記ハンドル(10)から前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)に移すように構成され、
前記ジョイント配置(11、12、13、20〜25、31、32、33)は、
−前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)と前記ハンドル(10)との間に配置されるバランス要素(20)、を含む、燃料アセンブリ(1)であって、
前記ジョイント配置(11、12、13、20〜25、31、32、33)は、
−前記バランス要素(20)と前記ハンドル(10)との間に配置される第1のジョイント(13)、
−一組の第2のジョイント(33)であって、前記一組の第2のジョイント(33)の各第2のジョイント(33)は、前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)のそれぞれ1つと前記バランス要素(20)との間に配置される、一組の第2のジョイント(33)、
をさらに含み、
前記第1のジョイント(13)および前記一組の第2のジョイント(33)は、前記ハンドル(10)に関してならびに前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)に関して前記バランス要素(20)の回転移動を許容するように構成され、
前記第1のジョイント(13)および前記第2のジョイント(33)の各1つは、一対の球状に丸いジョイント面(11、23;25、32)を含む、
ことを特徴とする、燃料アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記第1のジョイント(13)は、前記第2のジョイント(33)に関して中央に配置される、請求項1に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1のジョイント(13)の前記一対の球状に丸いジョイント面(11、23)は、前記ハンドル(10)上の1つの球状に丸いジョイント面(11)および前記バランス要素(20)上の1つの球状に丸いジョイント面(23)を含み、前記第1のジョイント(13)の前記一対の球状に丸いジョイント面の前記球状に丸いジョイント面(11、23)は、互いに接触して配置される、請求項1または2に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記第1のジョイント(13)は、前記ハンドル(10)に関して前記バランス要素(20)の回転のためのクリアランスを提供するように構成される間隔手段(22)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項5】
それぞれの締着具(31)が各ウォーターロッド(30)の上部に固定され、前記第2のジョイント(33)の前記一対の球状に丸いジョイント面(25、32)の各々は、前記締着具(31)上の1つの球状に丸いジョイント面(32)および前記バランス要素(20)上の1つの球状に丸いジョイント面(25)を含み、それにより、前記バランス要素(20)は、各締着具(31)のための1つの球状に丸いジョイント面(25)を含み、前記一組の第2のジョイント(33)の前記一対の球状に丸いジョイント面の前記球状に丸いジョイント面(25、32)は、互いに接触して配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項6】
各それぞれの締着具(31)はナットを含み、各ナットの底側は、前記一組の第2のジョイント(33)の前記球状に丸いジョイント面のそれぞれ1つ(32)を含む、請求項5に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記バランス要素(20)は、2つまたは3つの貫通孔(24)を含み、前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)の各1つは、1つのウォーターロッド(30)が各貫通孔(24)を通って延びるように貫通孔(24)のうちの1つを通って延び、前記貫通孔(24)の各々は、それぞれのウォーターロッドのためのクリアランスを提供してこれにより各ウォーターロッドに関して前記バランス要素の回転移動を許容する内径を有するように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)は3つである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記2つまたは3つのウォーターロッド(30)は2つである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記バランス要素(20)は単一の要素から成り、前記単一の要素は、その底側上に前記第1のジョイント(13)の前記球状に丸い表面(23)を備え、そしてその上側上に第2のジョイント(33)の前記球状に丸い表面(25)を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項11】
前記単一の要素は、板状要素である、請求項10に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項12】
前記バランス要素(20)は、吊上げの間、前記ウォーターロッド(30)から相互に異なる鉛直力を経験すると回転するように配置される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項13】
チャネル(2)の内側に配置されるように構成され、前記タイプレート(4)、前記スペーサ(6)、前記燃料棒(3)および前記ウォーターロッド(30)は、前記チャネル(2)から吊上げられるように構成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【請求項14】
チャネル(2)をさらに含み、前記ハンドル(10)は前記チャネルに取り付けられ、前記タイプレート(4)、前記スペーサ(6)、前記燃料棒(3)および前記ウォーターロッド(30)は、前記チャネル(2)と一緒に吊上げられるように構成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の燃料アセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉、特に沸騰水型原子炉、BWRのための燃料アセンブリに関する。より詳しくは、本発明は、請求項1の前文によるハンドル(そのハンドルは燃料アセンブリを吊上げるのに適している)を備える燃料アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉のための燃料アセンブリの周知の構造において、燃料棒は、下側および上側のタイプレートによって支持される。いくらかの燃料アセンブリにおいて、上側および下側のタイプレートは、タイロッドによって接続される。上側タイプレートは、燃料アセンブリの燃料バンドルを吊上げるために使用するハンドルに取り付けられてよい。そしてタイロッドは、下側タイプレートと上側タイプレートとの間に吊上力(lifting force)を移す(transfer)。
【0003】
ウォーターロッドを備える燃料アセンブリにおいて、これらのウォーターロッドは、吊上力を移すために使用されてよい。概して、ウォーターロッドは、燃料棒の間の燃料アセンブリに配置される。そしてこれらのウォーターロッドは、上側および下側のタイプレートに固定されて、下側タイプレートと上側タイプレートとの間に吊上力を移すために利用されてよい。このようにして、例えば下側タイプレートによって、または下側タイプレートと上側タイプレートとの間に配置されるスペーサ(そしてそのスペーサは、ウォーターロッドならびに燃料棒に接続している)によって支持される燃料棒を担持するために、ウォーターロッドは用いられる。
【0004】
特許文献1は、沸騰水型原子炉のための燃料アセンブリを示す。燃料アセンブリ(特許文献1の
図1の10)は、チャネル(特許文献1の
図1の22)、燃料棒(特許文献1の
図1の12)およびウォーターロッド(特許文献1の
図1の18)を備える。燃料棒およびウォーターロッドは、チャネルの内側に配置される。燃料アセンブリは、ウォーターロッドに固定されるスペーサ(特許文献1の
図2の72、
図4の172)をさらに備える。スペーサは、摩擦力によって燃料棒を適所に保持する。燃料棒は、それらが稼動中に膨張(expand)するときに、摩擦力を克服することによってわずかに移動してよい。ウォーターロッドは、底部で下側タイプレート(特許文献1の
図1の16)に、そして上部で上側タイプレート(特許文献1の
図1の14)に接続している。ウォーターロッドの最上部は、上側タイプレートおよびウォーターロッドを上側タイプレートに取り付けるナット(特許文献1の
図1の40)によって、ハンドルに接続している。特許文献1の
図6は、2つのウォーターロッド(210、212)を有するが、上側タイプレートのない燃料アセンブリを示す。ハンドル(特許文献1の
図6の236)とウォーターロッド(特許文献1の
図6の210、212)との間の接続は、各ウォーターロッド上のばね(特許文献1の
図6の266、268)およびストッパ(特許文献1の
図9の詳細228参照)によって、プレストレスを与えられる。特許文献1の図に記載されている異なるハンドルの各々は、ウォーターロッド、燃料棒、下側タイプレートおよびスペーサを吊上げるために設けられる。
【0005】
ハンドルは、チャネル(例えば特許文献1の
図2参照)も吊上げるためにチャネルに固定されてよい。
【0006】
あるいは、燃料アセンブリのチャネルは、燃料アセンブリの底部に固定されてよい。そして、ハンドルは、燃料アセンブリの燃料棒、ウォーターロッドおよびスペーサをチャネルから吊上げる。
【0007】
特許文献1の
図6の燃料アセンブリは、2つのウォーターロッドを備える。稼動中に、ウォーターロッドは、(温度/核成長に起因して)わずかに膨張/成長してよい。そして、1つのウォーターロッドは他のウォーターロッドと異なって成長してもよい。これは、吊上げの間、ウォーターロッドによってもたらされる負荷のアンバランスに結果としてなる場合がある。その結果、1つのウォーターロッドは他のウォーターロッドよりも高い負荷をもたらして、取扱いの間、わずかに傾けられたアセンブリに結果としてなる場合もある。
【0008】
特許文献2は、燃料バンドルの一対のウォーターロッドによって、燃料バンドルを吊上げるための構造を記載する。特許文献2は、吊上げハンドルと2つのウォーターロッドとの間の結合を記載する。そしてその結合は、特に原子炉の稼動の間、2つのウォーターロッドが異なる量を成長した場合(特許文献2の第6欄第62行〜第7欄第10行、請求項3、4および第5欄第12〜50行参照)には、2つのウォーターロッドの吊上力の間の違いを均等にするように構成される。
【0009】
吊上力を均等にするためのこの構造は、「ラッチバー」および「二重ボス」を含むラッチング機構を含む。ラッチバー(特許文献2の詳細76参照)は、二重ボス(特許文献2の詳細38参照)に関して曲げられることができ、そしてその二重ボスは、2つのウォーターロッドの各々(特許文献2の
図6Aおよび
図8Aの詳細76、および
図8Aの詳細38および68参照)の上部(特許文献2の詳細68参照)に配置される。特許文献2によれば、二重ボスは上側タイプレートに接続され、そして、ラッチバーはウォーターロッドの上部に接続されて、二重ボス上に静置される。ラッチバーは、それによってラッチバーが二重ボスに関して回転することができる細長いリブ(特許文献2の詳細106参照)を備える。
【0010】
このように、特許文献2は、ハンドルおよび一対のウォーターロッドを有する燃料アセンブリを開示する。そしてその燃料アセンブリは、吊上力をハンドルへ移すウォーターロッドによって吊上げられることができ、燃料アセンブリは、2つのウォーターロッドの吊上力の間の違いを均等にするための機構をさらに含む。
【0011】
特許文献2のラッチング機構は、かなり複雑であり、一対のウォーターロッドを吊上げるためだけに適合される。特許文献2は、3つのウォーターロッドを有する燃料アセンブリのための例を挙げない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,646,973号
【特許文献2】米国特許第5,481,579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、燃料アセンブリのウォーターロッドの吊上力を均等にするための代替構成を提供して、先行技術の課題を解決するか、または少なくとも軽減することである。
【0014】
目的は、前記吊上力の違いを均等にするための単純かつ安全な構造を提供することを、そしてしたがって、吊上動作の間、燃料アセンブリのわずかな傾斜に起因する危険の対処を回避することを可能にすることでもある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様によれば、本発明は、
−燃料棒、
−2つまたは3つのウォーターロッド、
−前記2つまたは3つのウォーターロッドを支持するためのタイプレートであって、前記2つまたは3つのウォーターロッドがタイプレートに固定される、タイプレート、
−前記燃料棒および前記2つまたは3つのウォーターロッドを支持するように構成される1つ以上のスペーサ、
−ウォーターロッドの各々のそれぞれ上端部でウォーターロッドに固定されるハンドル、および、
−ジョイント配置、
を含む燃料アセンブリに関する。
【0016】
特に、本発明の第1の態様によれば、ハンドルは、ジョイント配置によって前記2つまたは3つのウォーターロッドに固定され、ジョイント配置は、垂直吊上力をハンドルから前記2つまたは3つのウォーターロッドに移すように構成される。ジョイント配置は、前記2つまたは3つのウォーターロッドとハンドルとの間に配置されるバランス要素を含む。特に、ジョイント配置は、バランス要素とハンドルとの間に配置される第1のジョイント、および、一組の第2のジョイントであって、一組の第2のジョイントの各第2のジョイントは、前記2つまたは3つのウォーターロッドのそれぞれ1つと前記バランス要素との間に配置される、一組の第2のジョイントを含む。第1のジョイントおよび前記一組の第2のジョイントは、前記ハンドルに関してならびに前記2つまたは3つのウォーターロッドに関して前記バランス要素の回転移動を許容するように構成される。前記第1のジョイントおよび前記第2のジョイントの各1つは、一対の球状に丸いジョイント面を含む。
【0017】
第1および第2のジョイントの球状の丸みは、吊上力の転送(transfer)のために適していて、回転移動を許容もする。
【0018】
一実施形態において、前記第1のジョイントは、第2のジョイントに関して中央に配置される。
【0019】
一実施形態において、前記第1のジョイントの前記一対の球状に丸いジョイント面は、ハンドル上の1つの球状に丸いジョイント面およびバランス要素上の1つの球状に丸いジョイント面を含む。第1のジョイントの前記一対の球状に丸いジョイント面の球状に丸いジョイント面は、互いに接触して配置される。
【0020】
一実施形態において、第1のジョイントは、ハンドルに関してバランス要素の回転のためのクリアランスを提供するように構成される間隔部を含む。
【0021】
一実施形態において、それぞれの締着具が各ウォーターロッドの上部に固定され、前記第2のジョイントの前記一対の球状に丸いジョイント面の各々は、締着具上の1つの球状に丸いジョイント面およびバランス要素上の1つの球状に丸いジョイント面を含み、それにより、バランス要素は、各締着具のための1つの球状に丸いジョイント面を含む。一組の第2のジョイントの前記一対の球状に丸いジョイント面の球状に丸いジョイント面は、互いに接触して配置される。
【0022】
一実施形態において、各それぞれの締着具はナットを含み、各ナットの底側は、一組の第2のジョイントの球状に丸いジョイント面のそれぞれ1つを含む。
【0023】
一実施形態において、バランス要素は、1つが各ウォーターロッドのための、2つまたは3つの貫通孔を含み、2つまたは3つのウォーターロッドの各1つは、1つのウォーターロッドが各貫通孔を通って延びるように貫通孔のうちの1つを通って延びる。前記貫通孔の各々は、それぞれのウォーターロッドのためのクリアランスを提供してこれにより各ウォーターロッドに関してバランス要素の回転移動を許容する内径を有するように構成される。
【0024】
本発明の燃料アセンブリのジョイント配置は、2つまたは3つのウォーターロッド(すなわち1つより多いウォーターロッドおよび4つ未満のウォーターロッド)を有する燃料アセンブリに適している。
【0025】
一実施形態において、前記2つまたは3つのウォーターロッドは3つのウォーターロッドであるが、3つを超えない、すなわち2より多くおよび4未満である。
【0026】
別の実施形態において、前記2つまたは3つのウォーターロッドは2つのウォーターロッドであるが、2つを超えない、すなわち1より多くおよび3未満である。
【0027】
一実施形態において、バランス要素は単一の要素から成り、前記単一の要素は、その底側上に第1のジョイントの前記球状に丸い表面を備え、そしてその上側上に第2のジョイントの前記球状に丸い表面を備える。
【0028】
一実施形態において、前記単一の要素は板状要素である。
【0029】
一実施形態において、前記バランス要素は、吊上げの間、ウォーターロッドから相互に異なる鉛直力を経験すると回転するように配置される。しかしながら、ハンドルおよびウォーターロッドは、互いに整列配置されるままであり、回転しない。
【0030】
燃料アセンブリは、チャネルと一緒に、あるいはチャネルから吊上げられるように構成されてよい。かくして、一実施形態において、燃料バンドルは、チャネルの内側に配置されるように構成され、タイプレート、スペーサ、燃料棒およびウォーターロッドは、チャネルから吊上げられるように構成される。かくして、別の実施形態において、燃料アセンブリは、チャネルをさらに含み、タイプレート、スペーサ、燃料棒およびウォーターロッドは、チャネルの内側に配置され、ハンドルはチャネルに接続していて、タイプレート、スペーサ、燃料棒およびウォーターロッドは、チャネルと一緒に吊上げられるように構成される。
【0031】
本発明は、さまざまな実施形態の説明および添付図面を参照してより密接に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による燃料アセンブリの縦断面を示す。
【
図2】
図2は、バランス要素によるウォーターロッドへのハンドルの接続の一実施形態を示す。
【
図2A】
図2Aは、3つのウォーターロッド用に提供されるバランス要素の一実施形態をさらに詳細に示す。
【
図2B】
図2Bは、3つのウォーターロッド用に提供されるバランス要素の一実施形態をさらに詳細に示す。
【
図2C】
図2Cは、2つのウォーターロッド用に提供されるバランス要素の一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、燃料アセンブリ用のハンドルの一実施形態をさらに詳細に示す。
【
図4】
図4は、バランス要素をウォーターロッドに取り付けるための締着具の一実施形態を示す。
【
図5】
図5は、吊上げ中のバランス要素の接近した詳細を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による燃料アセンブリの上部を示す。
【
図7】
図7は、一実施形態(すなわち
図6の実施形態に対する別の実施形態)による燃料アセンブリの上部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、最初に記載された先行技術文書である特許文献1および特許文献2に例示されたいかなるタイプの燃料アセンブリにも適している。しかしながら、本発明は、先行技術の燃料アセンブリと比較して変更態様を提供するウォーターロッドにハンドルを接続するための手段を備えた。本発明の燃料アセンブリ1の一実施形態は、
図1に示される。そしてそれは、燃料アセンブリの長手方向図を示す。
【0034】
図1の燃料アセンブリは、2つのウォーターロッド30を備える。本発明の燃料アセンブリ1は、ハンドル10に接続している少なくとも2つのウォーターロッド30を備える。好ましくは、3つのウォーターロッド30がハンドル10に接続される。
【0035】
図1は、本発明による沸騰水型原子炉のための燃料アセンブリ1の一実施形態を示す。燃料アセンブリ1は、チャネル2に囲まれていて、燃料棒3およびウォーターロッド30を備える。燃料棒3およびウォーターロッド30は、チャネル2の内側に配置される。燃料アセンブリ1は、ウォーターロッド30に接続しているスペーサ6をさらに備える。スペーサ6はまた、摩擦力によって燃料棒3を適所に保持する。燃料棒3は、それらが稼動中に膨張するときに、摩擦力を克服することによりわずかに移動することが可能である。ウォーターロッド30は、底部でタイプレート4(例えば下側タイプレート)に、そして上部でハンドル10に固定される。各ウォーターロッド30の最上部は好ましくは固く、そしてこの部分は、ばね7およびストッパ37によりプレストレスを与えられるナット31によってハンドル10に接続される。破線で示すように、燃料アセンブリは、ウォーターロッド30の上部を互いに接続する上側タイプレート5を含んでもよい。ハンドル10は、ウォーターロッド30、燃料棒3、タイプレート4およびスペーサ6を吊上げるために設けられる。
【0036】
ハンドル10は、チャネル2も吊上げるために、チャネル2に固定されてもよい。代わりに、チャネル2は燃料アセンブリの底部に固定され、そしてハンドル10は、燃料棒3、ウォーターロッド30、タイプレート4およびスペーサ6をチャネル2から吊上げる。
【0037】
図1の実施形態の重要な特徴は、ウォーターロッド30に対するハンドル10の接続である。ハンドル10は、各ウォーターロッド30の上部で締着具(例えばナット31)間に配置されるバランス要素20によって、ウォーターロッド30に接続される。バランス要素20は、ウォーターロッド30とハンドル10との間に吊上力を移すように構成される。バランス要素20は、ハンドル10上に静置され、図示のナット31によってウォーターロッド30に固定される。バランス要素20にナット31およびハンドル10との接触に対するプレストレスを与えるために、ばね7は、ウォーターロッド30上に配置される。ばね7は、ハンドル10の下で、ウォーターロッド30上に配置されるストッパ37上に静置され、ストッパ37は、ウォーターロッド30の上部にねじ嵌めされるナットでもよい。燃料アセンブリ1が上側タイプレート5を含む場合には、好ましくは、ナットは、上側タイプレート5より上に配置される。
【0038】
さらに詳細には、
図2(上の図)は、バランス要素20を介してウォーターロッド30に接続しているハンドル10を示す。ウォーターロッド30は、締着具31(ナット31として例証される)によってバランス要素20に固定される。第1のジョイント(
図5の13)は、ハンドル10とバランス要素20との間に設けられる。一組の第2のジョイント(
図5の33)は、ウォーターロッド30とバランス要素20との間に設けられる。
【0039】
バランス要素20は、ハンドル10の下で詳細に示される(
図2A、
図2B、
図2C)。
図2Aおよび
図2Bは、3つのウォーターロッド30を備える燃料アセンブリ1のためのバランス要素20を示す一方、
図2Cは、2つのウォーターロッド30を備える燃料アセンブリ1のためのバランス要素20を示す。
【0040】
バランス要素20の上側は、3つの貫通孔24を備える(
図2A参照)。各貫通孔24は、ウォーターロッド30のうちの1つの上部を受容するために設けられる。各貫通孔24は、対応する締着具/ナット31のための丸い、特に球状に丸い、そして凹状の、ジョイント面25を備える。貫通孔24の各球状に丸いジョイント面25は、貫通孔24の円形の円周に沿って設けられる。ウォーターロッド30に関してバランス要素20のわずかな移動を許容するために、貫通孔24は、ウォーターロッド30の上部の直径よりもわずかに大きい。ナット31の下側は、
図4に示され、そして、
図2Aのバランス要素20のジョイント面25に対応する球状に丸い、そして凸状の、ジョイント面32を備える。
【0041】
(
図2Bに示される)
図2Aのバランス要素20の下側は、突起21を備える。突起21は、貫通孔24に関して中央に配置される。突起21は、間隔部22と、球状に丸いジョイント面23とを備える。丸いジョイント面23は、ハンドル10の対応する表面(
図3の11)と接合することを意図する。図示のジョイント面23は凹状であるが、ハンドル10の対応するジョイント面(
図3の11)が凹状であるときに凸状でもよい。
【0042】
図2Cは、2つのウォーターロッド30に接続するためのバランス要素20の一実施形態を示す。
図2Cのバランス要素20は、各ウォーターロッド30のための2つの貫通孔24を備える。2つの貫通孔24のうちの各1つは、その円周に沿って、第2のジョイント33の丸い表面25を備える。破線で示されるように、バランス要素20の下側は、ハンドル10に対する第1のジョイント13の球状に丸い表面23を備える。球面23を有する
図2Bおよび
図2Cの第1のジョイント13は、表面25を有する一組の第2のジョイント33に関して、幾何学的に中央に配置される。
【0043】
図3は、ハンドル10を示す。ハンドル10は、
図2Bにおいてバランス要素20の(底部の)ジョイント面23を受容するための球状に丸いジョイント面11を備える。球状に丸いジョイント面11は、上方に面する。
【0044】
ハンドル10は、ウォーターロッド30の上端部を受容するための貫通孔12を備える。ハンドル10は、ハンドル10をチャネル2に接続するための手段(例えば孔14)を備えてもよい。
【0045】
図5は、吊上げの間、ハンドル10とウォーターロッド30との間のジョイント配置を示す。
図5において、ウォーターロッド30のうちの1つは、他の2つのウォーターロッド30よりも長い。バランス要素20は、ハンドル10から3つのウォーターロッド30へ移される吊上力のアンバランスを均等にするためにわずかに回転することを許容する。ナット31とバランス要素20との間のジョイント33の球面25、32によって、バランス要素20がウォーターロッド30に関して回転することができる。ハンドル10とバランス要素20との間のジョイント13の球面23、11によって、バランス要素20がハンドル10に関して回転することができる。突起21の間隔部分22は、回転のための空間を提供する。
【0046】
吊上げの間、バランス要素20は、ハンドル10とウォーターロッド30との間に垂直吊上力を移すように配置される。ウォーターロッド30によって経験される吊上力の違いを均等にするために、バランス要素20は、それが第1のジョイント13および第2のジョイント33の球面状のジョイント面によって回転してよいように配置される。吊上げが開始されるときに、ウォーターロッド30は、それらの長さの違いに起因して、例えば、バランス要素20に対して異なる力を振るってよい。異なる力は、バランス要素20を回転させる。バランス要素20は、バランス要素20とハンドル10との間のジョイント13のジョイント面11、23間の相互作用によって、そして、バランス要素20とウォーターロッド30との間の第2のジョイント33のジョイント面25、32間の相互作用によって、枢支される。このように、ウォーターロッド30からの力が均等になるまで、バランス要素20は回転する。
【0047】
図6および
図7は、2つの実施形態における燃料アセンブリ1を示す。
図6の実施形態において、ハンドル10は、ボルト17によってチャネル2に固定され、そしてチャネル2は、ウォーターロッド30、スペーサ6、タイプレート4および燃料棒3などと一緒に吊上げられる。チャネル2に対するハンドル10の取付けは、ボルト17によって提供されるが、取付けにプレストレスを与えるためのばね(図示されない)を含んでもよく、そしてハンドル10とチャネル2との間にわずかな相対的運動を許容してもよい。
図7において、ハンドル10は、チャネル2に固定されない。ウォーターロッド30、燃料棒3、スペーサ6、タイプレート4などは、ハンドル10によってチャネル2の中から吊上げられる。チャネル2は、チャネル2を吊上げるための手段(例えばチャネル2の2つ以上の側部に設けられる孔)(図示されない)を備えてよく、それにより、チャネル2は、燃料アセンブリ1とは別に、または同時に、吊上げられてよい。
【0048】
燃料棒3、2つまたは3つのウォーターロッド30、タイプレート4、スペーサ6、ハンドル10、およびジョイント配置11、12、13、20〜25、31、32、33を含む沸騰水型原子炉のための燃料アセンブリ1は、実施形態において記載された。ジョイント配置11〜13、20〜25、31〜33は、ハンドル10からウォーターロッド30へ垂直吊上力を移すように構成される。ジョイント配置11〜13、20〜25、31〜33は、ウォーターロッド30とハンドル10との間に配置されるバランス要素20を含む。ジョイント配置11〜13、20〜25、31〜33は、バランス要素20とハンドル10との間に配置される第1のジョイント13、および、前記ウォーターロッド30のそれぞれ1つと前記バランス要素20との間に配置される一組の第2のジョイント33を含む。ウォーターロッドの吊上力のバランスをとるために、第1のジョイント13および一組の第2のジョイント33は、前記ハンドル10に関してならびに前記ウォーターロッド30に関して前記バランス要素20の回転移動を許容するように構成される。第1のジョイント13および前記第2のジョイント33の各1つは、一対の球状に丸いジョイント面11、23;25、32を含む。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に制限されなくて、これらの実施形態の範囲にしたがっておよび/または以下の請求項の範囲内で変化してもよい。