特許第6742431号(P6742431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6742431流体管理システムを備えたかみそりカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742431
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】流体管理システムを備えたかみそりカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/22 20060101AFI20200806BHJP
   B26B 21/44 20060101ALI20200806BHJP
【FI】
   B26B21/22 Z
   B26B21/44 B
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-548322(P2018-548322)
(86)(22)【出願日】2017年3月20日
(65)【公表番号】特表2019-512313(P2019-512313A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017023143
(87)【国際公開番号】WO2017172395
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年9月13日
(31)【優先権主張番号】16163187.4
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17160791.4
(32)【優先日】2017年3月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】316015877
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GILLETTE COMPANY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック アンドリュー ヘインズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ サイモン オリバー
(72)【発明者】
【氏名】マーク ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョイア キリン スプーナー−フレミング
(72)【発明者】
【氏名】アリソン フィオナ ステフェンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ タンディ
(72)【発明者】
【氏名】ポール レスリー ウォーリック
(72)【発明者】
【氏名】フィンバル チャールズ ロナルド ウィリアムソン
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−525924(JP,A)
【文献】 米国特許第02131498(US,A)
【文献】 米国特許第04077119(US,A)
【文献】 特開昭58−183185(JP,A)
【文献】 特表2012−504033(JP,A)
【文献】 米国特許第04875287(US,A)
【文献】 特開2003−062370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/14 − 21/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部分(24)と、遠位端部分(26)と、第1の側方端部分(28)及び第2の側方端部分(30)と、を有するハウジング(20)と、前記近位端部分(24)と前記遠位端部分(26)との間に位置付けられた少なくとも1つの刃(22)と、を備え、前記ハウジング(20)は、前記刃(22)の前方に位置する細長い皮膚接触要素(60)を含み、前記細長い皮膚接触要素(60)は、弾性を有し、近位端部分(72)と、遠位端部分(70)と、前記細長い皮膚接触要素内に、前記近位端部分(72)から前記遠位端部分(70)まで延在する少なくとも2つの流体トンネル(62)と、を有する、かみそりカートリッジ。
【請求項2】
前記細長い皮膚接触要素(60)は、2〜12個の前記トンネル(62)を含む、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項3】
前記トンネル(62)のそれぞれは、独立して、0.3mm〜5.0mmの直径又は長軸を有する円形断面を有する、請求項1〜2のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項4】
前記細長い皮膚接触要素(60)は、複数の個別の配列の皮膚接触部材を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項5】
前記ハウジング(20)は、前記細長い皮膚接触要素(60)に隣接する皮膚接触バー(40)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項6】
前記皮膚接触バーは、細長い間隙(108)によって前記細長い接触要素(60)から離間している、請求項5に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項7】
前記ハウジング(20)は、少なくとも1種の剃毛補助剤を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項8】
前記トンネルのそれぞれは、トンネル入口(64)及びトンネル出口(65)を有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
前記トンネル入口(64)のそれぞれは、前記細長い皮膚接触要素(60)の周縁部に位置する、請求項8に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項10】
前記トンネル(62)のそれぞれは、独立して、管状又は切頭管状の形状である、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項11】
それぞれのトンネル入口(64)の円形断面の直径又は長軸は、対応するトンネル出口(65)の円形断面の直径又は長軸より大きく、10:1の比率である、請求項8に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項12】
前記トンネル(62)のそれぞれは、2.0mm〜8.0mmの長さを有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項13】
前記トンネル(62)のそれぞれは、3.0mm3〜6.0mm3の体積を有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項14】
間隙が、0.2mm〜0.5mmの幅を有し、皮膚接触バー(40)の長さに延在する、請求項5又は6に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項15】
前記トンネル入口(64)及び/又は前記トンネル出口(65)は、外開きのテーパ形状の縁部を有する、請求項8に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項16】
前記トンネル(62)の流体入口(64)は、前記ハウジング(20)の前記近位端部分(24)縁部の縁部と一致している、請求項1〜15のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剃毛中のかみそりカートリッジ及びフォイル等の除毛装置内の流体の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
かみそりカートリッジは、典型的には、刃の前方にガードを、刃の後方にキャップを備え、ガード及びキャップは、刃の前後でそれぞれ皮膚に接触している。ガード及びキャップは、皮膚に対する刃の配向及び位置を決定し、かみそりの剃毛性能及び剃毛効率に大きく影響するパラメータである、「剃毛幾何形状」を確立するよう補助することができる。
【0003】
ガードは、嫌な皮膚感覚を伴わずに刃との最適な接触を確保するように、刃との接触前に皮膚を管理し、皮膚を伸張させるように、かみそりカートリッジ上に存在する。ガードは、典型的には、エラストマー材料又は熱可塑性材料から提供されて、皮膚接触性能及び触覚性能を更に改善している。最近、このようなエラストマー材料から形成された縦方向フィンを有するガードが、切断効率を最大にするために、毛の配向を改善するために、カートリッジ上に組み込まれている。
【0004】
剃毛中、皮膚に潤滑性を提供するために、典型的には、剃毛前に剃毛製剤を皮膚に塗布する。これは、容器から別個に分配された剃毛製剤として提供されてもよく、又は、例えば、米国特許第2131498号及び米国特許第4077199号に記載されているように、かみそりのハンドル内に収容され、チャネル通路を通って分配され得る。加えて、かみそりカートリッジはまた、通常、キャップ及び/又はガード上に存在する剃毛補助剤が備えられてもよい。剃毛補助剤は、典型的には、マトリックス構造体内に潤滑剤を含有し、剃毛時毎に潤滑剤を水で徐々に放出し、皮膚上に付着するように設計されている。潤滑剤は、皮膚と刃との間の摩擦を低減するのに有益である。
【0005】
しかしながら、皮膚の伸張のためのガード性能の最適化により、ガードが、刃と皮膚の接触点で、皮膚に接触する潤滑材料の性能を低減させる点で、剃毛補助剤又は剃毛製剤からの潤滑材料の性能に影響を与える場合があることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2131498号
【特許文献2】米国特許第4077199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、流体、剃毛補助剤又は潤滑剤の皮膚との十分な接触を確保して、刺激のない密着した快適な剃毛体験を確保する一方、刃と接触する前に、所望の皮膚の伸張及び配向を提供するガードを有するかみそりカートリッジを提供するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かみそりカートリッジは、近位端部分(24)と、遠位端部分(26)と、第1の側方端部分(28)及び第2の側方端部分(30)と、を有するハウジング(20)と、近位端部分(24)と遠位端部分(26)との間に位置付けられた少なくとも1つの刃(22)と、を備え、ハウジング(20)は、刃(22)の前方に位置する細長い皮膚接触要素(60)を含み、細長い弾性皮膚接触要素(60)は、近位端部分(72)と、遠位端部分(70)と、細長い皮膚接触要素内に、近位端部分(72)から遠位端部分(70)まで延在する少なくとも1つの流体トンネル(62)と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の剃毛かみそりの1つの可能な実施形態の平面図である。
図2】本発明のカートリッジの代替実施形態の詳細平面図である。
図3図2のカートリッジの細長い皮膚接触要素の部分平面図である。
図4A図2のカートリッジの部分拡大平面図である。
図4B図2の線4−4に概ね沿って取られたカートリッジの部分断面図である。
図4C】潤滑部材を有する図2の線4−4に沿うカートリッジの部分断面図である。
図5】トンネル(62)の代替形体の断面図である。
図6図1に示すカートリッジの代替実施形態の部分切り欠き平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本発明の1つの可能な実施形態が示されており、ハンドル(12)と、カートリッジ(14)と、を有する、剃毛かみそり(10)が図示されている。特定の実施形態では、カートリッジ(14)をハンドル(12)から分離及び取り外し可能である。カートリッジ(14)は、ハンドル12に固定式又は旋回式に装着することができる。カートリッジ(14)はまた、カートリッジ(14)が旋回軸を中心に旋回するように装着されている相互接続部材(16)を含んでもよい。相互接続部材(16)は、ハンドル(12)に接続されるベース(18)を含んでもよい。カートリッジ(14)は、1つ以上の刃(22)、好ましくは、少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも5つの刃、キャップ(32)、及び細長い皮膚接触要素(60)を担持するハウジング(20)を含んでもよい。1つ以上の刃(22)をハウジング(20)内に装着し、一対のクリップ(34a及び34b)で固定することができる。ワイヤラッピング、冷間成形、熱かしめ、インサート成形、及び粘着剤などを含む(ただし、これらに限定されない)当業者に既知のその他の組立方法を用いて、刃(22)をハウジング(20)に固定してもよい。ハウジング(20)は、細長い皮膚接触要素(60)に隣接して位置付けられた皮膚接触バー(40)を含んでもよい。図1に図示したように、皮膚接触バー(40)は、概ね矩形の断面を有するが、円形、正方形、三角形、又は楕円形など、任意の数の断面形状が可能である。下記に詳述するように、細長い皮膚接触要素(60)は、皮膚の局所的伸張及び/又は毛の配向を容易にする皮膚接触部材の1つ又は複数の別個の配列(80、90及び100)を有してもよい。細長い皮膚接触要素(60)は、皮膚接触バー(40)と組み合わせて又はこれから独立して使用することができる。以下に更に詳細に説明するように、細長い皮膚接触要素(60)は、トンネル入口(64)及びトンネル出口(65)を備えた少なくとも1つのトンネル(62)を更に含む。
【0011】
図2を参照すると、代替のカートリッジの実施形態(14)の平面図が示されている。ハウジング(20)は、近位端部分(24)、遠位端部分(26)、第1の側方端部分(28)及び第2の側方端部分(30)を有することができる。キャップ(32)は、ハウジング(20)の遠位端部分(26)に配設されてもよく、ハウジング(20)に固定された潤滑ストリップを含んでもよい。皮膚接触バー(40)は、第1の刃(22a)及び細長い皮膚接触要素(60)に直接隣接してハウジング(20)の近位端部分(24)に配設されてもよい。一実施形態では、皮膚接触バー(40)は、細長い間隙(108)によって細長い接触要素(60)から分離されてもよく、以下でより詳細に説明され得る。刃(22a〜22e)はそれぞれ、皮膚接触バー(40)を通過している毛を切断する、それぞれの刃先を有することができる。第1の刃(22a)の刃先は、皮膚接触バー(40)から約0.40mm、0.50mm、又は0.60mm〜約0.75mm、1.25mm、又は1.5mmの距離だけ離間してもよい。皮膚接触バー(40)の設計は、皮膚接触バー(40)と第1の刃(22a)の刃先との間の距離をより大きくすることもより小さくすることも可能にするものであってもよい。特定の実施形態では、皮膚接触バー(40)と第1の刃(22a)の刃先との間の間隔は、約0.05mm未満であってもよく、安全性を高めるために皮膚接触バー(40)を第1の刃(22a)の刃先に触れさせることも可能である。
【0012】
皮膚接触バー(40)は、ハウジング(20)の第1の側方端部分(28)から第2の側方端部分(30)まで長手方向に延在することができる。複数の概ね剛性の突出部(42)は、第1の刃(22a)に概ね垂直に皮膚接触バー(40)に沿って延在することができる。概ね剛性の突出部(42)は、皮膚接触バー(40)に一体化されていてもよく、あるいは分離して固定されていてもよい。概ね剛性の突出部(42)は、離間して、開口チャネル(44)を画定することができる。概ね剛性の突出部(42)は、皮膚接触バー(40)の実質的な長さに沿って配設され得る。あるいは、概ね剛性の突出部(42)は、皮膚接触バー(40)の、例えば中間部分又は側方端部分(28及び30)のような特定のセクションだけに沿って延在してもよい。皮膚接触バー(40)の長さにわたる比較的多数の概ね剛性の突出部(42)は、特に皮膚接触バー(40)が概ね剛性の材料で製造されている場合、皮膚接触バー(40)により皮膚表面に付加された力をより良好に分配することができる。特定の実施形態では、皮膚接触バー(40)は、皮膚接触バー(40)のピッチ及び長さに依存して、約20個、30個、又は40個〜約60個、70個、又は80個の概ね剛性の突出部(42)を有することができる。一実施形態では、皮膚接触バーは、約45個〜約65個の概ね剛性の突出部、又は約50〜約60個の概ね剛性の突出部を有してもよく、その結果、皮膚接触バー(40)は、間に約21個、31個、又は41個〜約61個、71個又は81個の対応するチャネル(44)を有することができる。一実施形態では、皮膚接触バーは、55個のチャネル及び54個の剛性の突出部を有する。また、概ね剛性の突出部(42)の数が多いほど、隣接する概ね剛性の突出部(42)の間をより多くの毛が通ることが可能になり、第1の刃(22a)に到達する前に適正に方向づけられた毛の数量を増やすことができる。概ね剛性の突出部(42)は、約0.20mm、0.40mm、又は0.60mm〜約0.8mm、1.0mm、又は1.2mmのピッチを有してもよい。
【0013】
皮膚接触バー(40)は、ハウジング(20)と一体化されてもよく、あるいは機械的、熱的、又は化学的な製造プロセスを使用してハウジング(20)に固定されてもよい。皮膚接触バー(40)は、半剛性のポリマー材料から射出成形することができる。堅い又は剛性の材料により、剃毛中にハウジング(20)が一貫した幾何形状を維持することができ、概ね剛性の突出部(42)が毛を立ち上げ、方向づける特性を高めることができる。皮膚接触バー(40)は、概ね剛性の突出部(42)が標準的な剃毛条件下で曲がるか又は屈曲する(これは剃毛幾何形状に不利な影響を与える可能性がある)ことがないように、十分に剛性であってもよい。特定の実施形態では、皮膚接触バー(40)は、ハウジング(20)と同じ材料、例えば、Noryl(商標)(General Electric Plastics、現在のSABIC Innovative Plasticsが開発したポリフェニレンオキサイド(PPO)とポリスチレンとのブレンド)から成形されてもよい。皮膚接触バー(40)は、好ましくは、約50、60、又は70〜約90、110又は120のショアA硬度を有する他の半剛性ポリマーから成形されてもよい。代替実施形態では、それぞれが1つ以上の概ね剛性の突出部(42)を有する1つ以上の皮膚接触バー(40)を有するセグメント化された動的屈曲カートリッジを提供してもよい。
【0014】
細長い皮膚接触要素(60)は、存在する場合には、皮膚接触バー(40)に直接隣接してハウジング(20)の近位端部分(24)に配設され得る。細長い皮膚接触要素(60)は、ハウジング(20)の第1の側方端部分(28)から第2の側方端部分(30)まで長手方向に延在することができる。皮膚接触バー(40)と細長い皮膚接触要素(60)とは、接触してもよく、又は離間してもよい。一実施形態では、皮膚接触バー(40)は、細長い間隙(108)により細長い弾性の接触要素(60)から分離されている。
【0015】
細長い皮膚接触要素(60)は、皮膚接触部材の複数の個別の配列を備えて含んでもよく、これは、皮膚接触部材の1つ以上の側方配列(80及び90)、及び皮膚接触部材の細長い配列(100)を含んでもよい。皮膚接触部材の配列(80、90及び100)は、異なるサイズ、形及び幾何形状を有することができる。具体的には、皮膚接触部材の配列(80、90及び100)は、離間した又は相互接続されている骨子又はフィンのセグメントの形態であり得る。皮膚接触部材の配列(80、90及び100)はまた、異なるパターンを有してもよく、あるいは、刃に対して、例えば、ジグザグ、山形、杉綾、平行又はチェス盤パターンなど、異なる角度で方向づけられてもよい。皮膚接触部材の配列(80、90及び100)はまた、刃に対して概ね平行に方向づけられた列に配列された離間したフィンセグメントの形態、又は刃に対して平行及び垂直の両方で配列された、離間したフィンセグメントの形態をとることができる。
【0016】
特定の実施形態では、細長い皮膚接触要素(60)をハウジング(20)に対して挿入射出成形又は共射出成形してもよいが、接着剤、超音波溶接、又は機械的締結具のような他の既知の組み付け方法もまた使用してもよい。細長い皮膚接触要素(60)及び皮膚接触部材の配列(80、90及び100)は、皮膚接触バー(40)より柔らかい材料で成形されてもよい。例えば、細長い皮膚接触要素60及び皮膚接触部材の配列(80、90及び100)は、約20、30、又は40〜約50、60、又は70のショアA硬度を有してもよい。一実施形態では、細長い皮膚接触要素(60)は、弾性である。細長い皮膚接触要素(60)及び皮膚接触部材の配列(80、90及び100)は、熱可塑性エラストマー(TPE)又はゴムから製造することができる。例としては、シリコーン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンスチレン(SBS)TPE、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)TPE(例えば、Kraton)、ポリエステルTPE(例えば、Hytrel)、ポリアミドTPE(Pebax)、ポリウレタンTPE、ポリオレフィン系TPE、及びこれらのTPEのいずれかのブレンド(例えば、ポリエステル/SEBSブレンド)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、細長い皮膚接触要素60及び皮膚接触部材の配列(80、90及び100)は、Kraiburg HTC 1028/96、HTC 8802/37、HTC 8802/34、又はHTC 8802/11(KRAIBURG TPE GmbH & Co.KG(Germany、Waldkraiburg)を含んでもよい。より軟質の材料は、皮膚の伸張を増すと共に、剃毛中の使用者の皮膚により好ましい感触をもたらすことができる。より軟質の材料はまた、ハウジング(20)及び/又は皮膚接触バー(40)の硬めの材料が、剃毛中の使用者の皮膚に対する不快な感覚を紛らわすのを手助けすることができる。
【0017】
細長い皮膚接触要素(60)は、皮膚と効果的に係合し、皮膚を伸張するために、摩擦を増加させるための任意の構造体又はコーティングを含んでもよい。一実施形態では、細長い皮膚接触要素(60)は、複数の3次元微細構造体を含んでもよい。3次元形状は、多面体、半球、円錐、立方体、円柱及びこれらの組み合わせを含むことができる。構造体は、密充填されてもよく、あるいは互いから距離をおいて方向づけられてもよい。構造体は、ベース基板単独で形成されるか、又はベース基板を部分的に又は全体的に被覆するコーティングを有するベース構造体から形成することができる。ベース基板は、本明細書に上に列挙した材料及びポリウレタン、アルミニウム、ポリプロピレン、鋼、ガラスアクリル、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、バイオポリマー、又はこれらの組み合わせなどの材料から選択された材料を含むことができる。特定の実施形態では、ベース構造体は、高摩擦微細構造体が磨耗してカートリッジの寿命の終了を知らせることを可能にする材料を含んでもよい。コーティングは、ベース基板の摩擦又は審美的外観を調節するように作用するか、あるいは皮膚とベース基板又はこれらの組み合わせとの間の障壁として作用することができる。ベース構造体及びコーティングは、接着、射出成形、超音波ボンディング、ボンディング、インサート成形、オーバー成形、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、多数の従来既知の付着機構を使用して、ハウジングに接合することができる。
【0018】
一実施形態では、細長い皮膚接触要素(60)は、摩擦を調節するための材料でコーティングされてもよい。湿式剃毛では、疎水性又はオムニフォビックな表面は、概ねこの利点をもたらすように選択されると考えられる。このコーティングを生成するための任意の好適な手段は、化学的結合(イオン性又は共有結合)、好適な部分の物理吸着を含むと考えられ得る。このような手法の例は、ATRP反応化学又は液体注入多孔質表面、例えばSLIPSによる疎水性ポリマーブラシであると考えらえる。好ましくは、コーティング手法は、皮膚接触表面が受ける攻撃的条件に耐えることができるように選択される。
【0019】
図3を参照すると、図2の細長い皮膚接触要素(60)の平面図が示されている。細長い皮膚接触要素(60)は、遠位端部分(70)と、近位端部分(72)と、第1の側方端部分(74)と、第2の側方端部分(76)と、を含むことができる。細長い皮膚接触要素(60)は、皮膚接触部材の1つ以上の側方配列(80及び90)を含んでもよい。皮膚接触部材の側方配列のうちの一方(80)は、第1の側方端部分(74)に配設され、皮膚接触部材の他方の側方配列(90)は、細長い皮膚接触要素(60)の第2の側方端部分(76)に配設されることができる。皮膚接触部材の側方配列(80及び90)は、刃に対して概ね平行に延在する1つ以上の可撓性の皮膚係合突出部(82及び92)のような同様のパターンを有してもよい。皮膚接触部材の一方の側方配列(80)は、第1の側方端部分(74)から第2の側方端部(76)に向かって延在する長さLを有することができる。特定の実施形態では、Lは、約0.5mm、1mm、又は3mm〜約5mm、7mm、又は9mmであってもよい。皮膚接触部材の他の側方配列(90)は、第2の側方端部分76から第1の側方端部分74に向かって延在する長さLを有することができる。特定の実施形態では、L及びLは、概ね同じであってもよく、例えば、Lは、約0.5mm、1mm、又は3mm〜約5mm、7mm、又は9mmであってもよい。長さL及びLは、第1の側方端部分(74)と第2の側方端部分(76)との間の領域に対して、より多くの皮膚の伸張を第1及び第2の側方端部分(74及び76)においてもたらすことができる。細長い弾性皮膚接触要素60が皮膚表面に付加する力は、その全長に沿って均一でなくてもよい。細長い皮膚接触要素(60)の長さに沿ってより均一な皮膚伸張プロファイルを提供するために、細長い皮膚接触要素(60)の側方端部分(74及び76)に追加の皮膚の伸張が必要である場合がある。より均一な皮膚伸張プロファイルにより、カートリッジ(14)の特定の領域だけに沿って密着した、快適な剃毛ではなく、カートリッジ(14)の全長に沿うより一貫して密着した、快適な剃毛をもたらすことができる。
【0020】
皮膚接触部材の細長い配列(100)は、細長い弾性皮膚接触要素(60)の近位端部分(72)に配設され、あるいは第1の側方端部分(74)から第2の側方端部分(76)まで延在していてもよい。皮膚接触部材の細長い配列(100)は、皮膚接触部材の側方配列(80及び90)のうちの1つ以上と連続していてもよく、互いに対してかつ/又は刃に対して概ね平行に延在する1つ以上の可撓性の皮膚係合突出部(102)のような同様のパターンを有してもよい。あるいは、皮膚接触部材の細長い配列(100)は、皮膚接触部材の側方配列(80及び90)と不連続であってもよく、類似していないパターンを有してもよい。皮膚接触部材の細長い配列(100)は、より均一な皮膚の伸張をもたらすために、皮膚接触部材の側方配列(80及び90)と同じ平面上に概ね位置付けられてもよい。例えば、皮膚接触部材の細長い配列(100)の平面が皮膚接触部材の側方配列(80及び90)の平面より下に位置付けられた場合、皮膚接触部材の細長い配列(100)は、剃毛中の触感を提供しない場合があるか、あるいは、皮膚を伸張するために十分な力を付与しない場合がある。第1の側方端部(74)と第2の側方端部(76)との間の皮膚の伸張が不十分であると、切り傷が増えたり剃毛の滑らかさが減ったりすることが生じる場合がある。皮膚接触部材の細長い配列(100)は、第1の側方端部分(74)から第2の側方端部分(76)まで延在する長さLを有することができる。特定の実施形態では、Lは、L又はLより大きくてもよく、例えば、Lは、約20mm、25mm、又は30mm〜約35mm、45mm、又は55mmであってもよい。
【0021】
皮膚接触部材の整列配列(110)を、皮膚接触部材の細長い配列(100)に直接隣接して細長い弾性皮膚接触要素(60)の遠位端部分(70)及び皮膚接触部材の側方配列(80及び90)の間に配設してもよい。皮膚接触部材の整列配列(110)は、第1の側方端部分(74)と第2の側方端部分(76)との間に延在する長さLを有してもよい。特定の実施形態では、Lは、L又はLより大きくてもよく、例えば、Lは、約10mm、15mm、又は20mm〜約30mm、40mm、又は50mmであってもよい。皮膚接触部材の整列配列(110)は、皮膚接触部材の側方配列(80及び90)又は皮膚接触部材の細長い配列(100)とは異なるパターンを有してもよい。例えば、皮膚接触部材の整列配列(110)は、剃毛中、皮膚接触部材の細長い配列(100)から刃の1つ以上までの毛の通過及び毛の配向を容易にする、刃に対して概ね横向きであり、複数の開口チャネル(114)を画定する複数の可撓性の皮膚係合突出部(112)を含んでもよい。可撓性の皮膚係合突出部(112)は、細長い弾性皮膚接触要素(60)の実質的な長さに概ね沿って配設されてもよく、例えば、皮膚接触部材の整列配列(110)は、細長い弾性皮膚接触要素(60)の全長の約65%、75%又は85%〜約90%、95%又は100%に沿って配設されてもよい。図で、皮膚接触部材の整列配列(110)は、細長い弾性皮膚接触要素(60)の実質的な長さに沿って配設されているが、皮膚の伸張及び毛の配向の所望のレベル及び位置によっては、他の構成もまた可能である。
【0022】
細長い弾性皮膚接触要素(60)の長さに沿った可撓性の皮膚係合突出部(112)の数は、多様であってもよく、例えば、皮膚接触部材の整列配列(110)は、合計約30、40、又は50〜約60、80、又は100個の可撓性の皮膚係合突出部(112)を有してもよいが、皮膚接触部材の整列配列(110)のピッチ及び長さLによっては、より多くてもよく、より少なくてもよい。前述したように、可撓性の皮膚係合突出部(112)は、概ね剛性の突出部(42)と同じピッチを有してもよい。特定の実施形態では、可撓性の皮膚係合突出部(112)は、約0.20mm、0.40mm、又は0.60mm〜約0.8mm、1.0mm、又は1.2mmのピッチを有してもよい。可撓性の皮膚係合突出部(112)の数量がより多いと、皮膚の表面との総接触面積が増加し、これは、皮膚伸張量を増やすことができると共に、使用者にとって心地よい触感を増すことができる。可撓性の皮膚係合突出部(112)により、刃の正面の毛の適正な配向もまた容易に行うことができる。特定の実施形態では、可撓性の皮膚係合突出部(112)は、可撓性の皮膚係合突出部(82及び92)ほどは皮膚を伸張することができない。皮膚接触部材の整列配列(110)の主な機能は、毛を方向づけること及び毛の曲げを防ぐことであり得るので、皮膚接触部材の整列配列(110)は、接触部材の側方配列(80及び90)ほどの最適な皮膚の伸張を提供しない。皮膚接触部材の細長い配列(100)は、細長い弾性皮膚接触要素(60)の中心に向かって、追加の必要な皮膚の伸張を提供する。これにより、細長い弾性皮膚接触要素(60)の長さに沿った皮膚のより均一な伸張を提供するよう補正することができる。
【0023】
図4Aを参照すると、図2のカートリッジ(14)の拡大部分平面図が示されている。典型的には、ガードは、(皮膚の伸張のために最適でない)剃毛の方向に対して横向きか、又は(毛の整列のために最適でなく、剃毛剤を多く取り除きすぎる場合がある)剃毛方向に対して平行かのいずれか一方である、単一のパターンのみを有する。細長い皮膚接触要素60は、皮膚接触部材のいくつかの個別の配列(80、90(図示せず)及び100)を有することができ、皮膚接触バー(40)と組み合わせて使用して、皮膚の伸張及び適正な毛の整列の最適なバランスを提供することができる。特定の実施形態では、皮膚接触部材の細長い配列(100)は、刃の直前で皮膚に押し当てられたままになる毛の数量を減らしつつ、多様なレベルの局所的な皮膚の伸張を提供するように、皮膚接触部材の側方配列(80及び90(図示せず))とは異なる長さ、幅、配向、又はパターンを有することができる。
【0024】
可撓性の皮膚係合突出部(112)は、先頭部分(116)及び追従部分(118)を有する概ね矩形又は楕円の幾何形状を有してもよい。先頭部分(116)は、刃に向かって毛を通すため、かつ可撓性の皮膚係合突出部(112)の下に捉えられ得る毛の数量を最小限にするために、テーパ形状でも丸くても、あるいは面取りされていてもよい。チャネル(114)及び可撓性の皮膚係合突出部(112)の配向により、皮膚及び毛の表面に十分な量の剃毛剤を保持することができる。毛の水和性を高めるために、かつ毛が(複数の)刃で切断されるときの摩擦を減らすために、十分な量の剃毛剤が必要である。本明細書で以下に説明するように、チャネル(114)は、剃毛剤を取り除きすぎる可能性のあるスクィージーとして機能するのでなく、剃毛剤の貫流を可能にするように開かれている。
【0025】
追加の皮膚の伸張は、皮膚接触部材の側方配列80及び90(図示せず)及び皮膚接触バー(40)により提供され得る。皮膚接触部材の側方配列(80及び90(図示せず))は、細長い皮膚接触要素(60)の側方端部74及び76(図示せず)での追加の局所的な皮膚の伸張を提供するために皮膚接触部材の細長い配列(100)の幅wより大きい「w」を有してもよく、これにより、細長い皮膚接触要素(60)のより均一な皮膚伸張プロファイルをもたらすことができる。例えば、皮膚接触部材の側方配列(80及び90(図示せず))のwは、約0.5mm、1.5mm又は2mm〜約2.5mm、3mm、又は3.5mmであってもよい。
【0026】
細長い間隙(108)は、皮膚接触バー(40)の長さにかけて概ね延在してもよいが、所望により、それより短くてもよい。毛が皮膚接触バー(40)を通るにつれて、皮膚の表面に対して押圧されると考えられる任意の毛を解放して、その毛をより直立の配向に戻すことを容易にするために、細長い間隙(108)を提供してもよい。細長い間隙(108)は、約0.1mm又は0.2mm〜約0.3mm、0.4mm、又は0.5mmの幅を有してもよい。特定の実施形態では、細長い間隙(108)は、皮膚接触バー(40)の長さに沿って連続的に延在してもよく、あるいは、細長い間隙(108)は、皮膚接触バー(40)の長さに沿って不連続な方法で延在するセグメントを含んでもよい。細長い間隙(108)は、少なくとも0.1mm又は1.0mmの深さを有してもよい。
【0027】
可撓性の皮膚係合突出部(112)は、概ね剛性の突出部(42)と整列することができるので、毛のための概ね障害のない通路において、毛の引張り又は引きは最小化され得る。皮膚接触バー(40)の概ね剛性の突出部(42)により、皮膚の管理及び第1の刃への毛の誘導を容易にすることができる。概ね剛性の突出部(42)はまた、皮膚の表面からの毛の立ち上げも容易にし得る。隣接する概ね剛性の突出部(42)は、開口チャネル(44)を画定するように離間していてもよく、開口チャネル(44)は、不快感をもたらし得る、毛の最小限の引っ張り又は引きを伴う第1の刃への毛の概ね妨害されない通過を容易にするように寸法決めされる。開口チャネル(44)はまた、隣接する概ね剛性の突出部(42)間の間隔が大きすぎる場合に生じ得る概ね剛性の突出部(42)の端部での皮膚の隆起及び圧力点を低減するよう寸法決めされてもよい。例えば、概ね剛性の突出部(42)の間隔が開きすぎていると、開口チャネル(44)内に皮膚が出っ張る可能性があり、刃の1つ以上による不必要な皮膚の薄い切り取り又は切断が生じ得る。特定の実施形態では、概ね剛性の突出部(42)は、約0.10mm、0.20mm又は0.30mm〜約0.35mm、0.40mm、又は0.49mmの寸法「d」だけ離間され得る(すなわち開口チャネル44)が、dは、開口チャネル(44)を通過する毛の厚さ及び量に応じて、より大きくてもより小さくてもよい。不適正な間隔では、圧力点、皮膚の隆起及び/又は毛の引きにより不快感が引き起こされる可能性がある。
【0028】
開口チャネル(44)の幾何形状が剃毛中に一貫性を維持するように、概ね剛性の突出部(42)は、十分に剛性であってもよく、それ故に、最適な刃と皮膚の幾何形状が維持されて、より密着し、より快適な剃毛がもたらされる。皮膚接触バー(40)の上面は、皮膚の流れの管理を改善し、快適さを増大させるために、概ね平らであってもよい。特定の実施形態では、概ね剛性の突出部(42)は、dと概ね同等の幅「w」を有してもよい。例えば、wは、約0.10mm、0.20mm、又は0.30mm〜約0.35mm、0.40mm、又は0.49mmであってもよいが、皮膚表面との所望の合計接触面積に応じて、wは、より大きくてもより小さくてもよい。概ね剛性の突出部(42)により画定された開口チャネル(44)は、可撓性の皮膚係合突出部(112)により画定された開口チャネル(114)と概ね整列され得るので、毛は、細長い弾性皮膚接触要素(60)から第1の刃まで概ね障害なく通過することができる。特定の実施形態では、毛が刃へと障害なく通過することを容易にするように、d及びwは、d及びwと(それぞれ)概ね同じであってもよい。概ね剛性の突出部(42)、開口チャネル(44)、可撓性の皮膚係合突出部(112)、及び開口チャネル(114)の寸法は、皮膚の管理、快適性、毛の配向、及び洗い流しやすさの最適なバランスを可能にすることができる。
【0029】
図4Bを参照すると、可撓性の皮膚係合突出部82(図示せず)、92及び102、並びに112は、細長い弾性皮膚接触要素(60)のベース(120)から延在することができる。ベース(120)は、概ね湾曲した平面P1に沿って傾斜してもよい。可撓性の皮膚係合突出部(102)の上面は、概ね傾斜した湾曲平面P2に沿って方向づけられてもよい。可撓性の皮膚係合突出部(102)は、P1〜P2にかけて測定されたときに、約0.25mm、0.50mm、又は0.75mm〜約1.0mm、1.25mm、又は2mmの高さhを有してもよい。可撓性の皮膚係合突出部(82及び92)の上面は、概ね傾斜した湾曲平面P3に沿って方向づけられてもよい。可撓性の皮膚係合突出部(82及び92)は、P1〜P3にかけて測定されたときに、約0.1mm、0.25mm、又は0.5mm〜約0.75mm、1.0mm、又は1.5mmの高さhを有してもよい。特定の実施形態では、より高い可撓性及び皮膚伸張特性を可撓性の皮膚係合突出部(102)が備えるために、hはhより大きくてもよい。平面P1、P2及びP3の可能な傾斜により、個々の可撓性の皮膚係合突出部82(図示せず)及び92並びに102の高さ(h1、h2及びh3)は、細長い弾性皮膚接触要素(60)に沿って変化し得ることが理解される。
【0030】
細長い皮膚接触要素(60)は、第1の近位端部分(72)から細長い弾性皮膚接触部材(60)を通って、細長い皮膚接触部材(60)の第1の遠位端部分(70)に延在する少なくとも1つ、好ましくは複数のトンネル(62)を含む。細長い皮膚接触要素(60)は、約1個のトンネル〜12個のトンネル又は約2〜9個のトンネル又は約3〜7個のトンネルを有してもよい。
【0031】
細長い皮膚接触要素を通る閉鎖された流体経路を提供するための少なくとも1つのトンネルの提供により、所望の流体は、細長い皮膚接触要素(60)の皮膚接触表面の変更を必要とせず、これにより皮膚の伸張機能性の有効性が低減することなく、刃の配列(22)に送達されることが見出された。本発明の好ましい実施形態において、内部にトンネルを有する細長い皮膚接触要素(60)と、皮膚接触バー(40)及び細長い間隙(108)と共に任意選択的な側方配列又は皮膚接触部材を組み合わせることにより、剃毛の前に、所望の皮膚の伸張、毛の管理及び配向を確保して、刺激のない密着した快適な剃毛体験を確保する一方、刃への連続的な潤滑剤の流れを容易にすることができる。
【0032】
流体入口のためのそれぞれのトンネル入口(64)は、典型的には、細長い弾性皮膚接触部材(60)の第1の近位端部分(72)に位置する。同様に、流体出口のためのそれぞれのトンネル出口(65)は、第1の遠位端部分(70)内に位置する。それぞれのトンネル入口は、独立して、実質的にテーパ形状の縁部を有することができる。流体入口のためのそれぞれのトンネル入口(64)及びトンネル出口(65)は、細長い皮膚接触部材(60)を通って液体を流すことができ、そこから出るための流体経路を形成する。
【0033】
一実施形態では、トンネル入口は、細長い弾性皮膚接触要素(60)の第1の近位端部分(72)の前方周縁部(66)に位置してもよい。別の実施形態では、トンネル出口(65)は、第1の遠位端部分(70)の後方周縁部(68)に位置してもよい。トンネル入口(64)及びトンネル出口(65)は、独立して面取りされた縁部を有してもよい。細長い皮膚接触要素(60)の前後の周縁部(66及び68)は、刃(22)の面に対して実質的に垂直であってもよく、あるいは刃(22)の面に対して所定の角度であってもよい。一実施形態では、トンネル入口(64)の少なくとも1つ、あるいはトンネル入口(64)の全ては、細長い皮膚接触要素(60)の前縁と整列している。トンネル入口(64)及びトンネル出口(65)は、流体がいかなる障害もなくトンネル内に自由に流れることができるように、位置することが好ましい。好ましくは、当該チャネル(62)の流体入口(64)は、当該ハウジング(20)の近位端部分(24)の縁部に一致する。
【0034】
一実施形態では、チャネル(114)は、方向づけられ、トンネル入口(64)に実質的に整列され得る。
【0035】
トンネル(62)は、任意の形状又はサイズを有してもよいが、典型的には、形状は、実質的に円筒形、管状又は円錐台状又は角錐台状であり、図5の断面図に示すように、サイズ及び形状は、同一、類似又は異なっていてもよい。好ましくは、トンネル(62)は、特にトンネル(62)を通る粘性組成物の流体の流れを促進するように任意の角隅部又は縁部を有していない。
【0036】
それぞれのトンネルは、独立して、約0.3mm〜約5.0mm又は約1.0mm〜約2.5mmのトンネル直径又は長軸を有してもよい。一実施形態では、トンネルの直径又は長軸は、トンネルの全長に沿って実質的に均一である。別の実施形態では、トンネル入口(64)におけるトンネルの直径又は長軸は、トンネル出口(65)より大きくても小さくてもよい。一実施形態では、トンネル入口(64)の直径又は長軸は、対応するトンネル出口(65)の直径又は長軸よりも大きく、好ましくは10:1、又はより好ましくは5:1の比率である。トンネル出口(65)の直径/又は長軸は、0.3mm〜約20.0mm又は約1.0mm〜4.0mmであってもよい。一実施形態では、チャネル入口(64)の直径又は長軸は、対応するチャネル出口(65)の直径又は長軸よりも大きく、好ましくは10:1、又はより好ましくは5:1の比率である。チャネル出口(65)の直径/又は長軸は、0.2mm〜約2.0mm又は約0.4mm〜0.9mmであってもよい。一実施形態において、トンネルは、その長さの一部分を通って、テーパ形状になっていてもよく、又は少しずつ変化してもよい。例えば、トンネル入口(64)及び又はトンネル出口(65)は、それぞれ独立して漏斗又は漏斗状の形状を有してもよい。
【0037】
トンネルは、細長い皮膚接触要素(60)の長さに実質的に対応する長さを有し、典型的には、第1の近位端(72)から第1の遠位端(70)まで約2.0mm〜約8.0mm、好ましくは約3.0mm〜約6.0mmである。しかしながら、他の実施形態では、トンネルの少なくとも1つ以上は、細長い皮膚接触要素(60)を越えて延在してもよい。トンネル出口(64)は、流体が刃の配列を通過する前に内部に蓄積することを確実にするために、存在する場合には、細長い間隙(108)に隣接するか、又は細長い間隙(108)の中に延在してもよい。
【0038】
それぞれのトンネルは、独立して、約2.0mm〜8.0mm、又は約3.0mm〜約6.0mmの体積を有してもよい。
【0039】
トンネルは、流体入口(64)から流体出口(65)までの直線状の、湾曲した又は角度の付いた流体経路をそれぞれ独立して提供することができる。トンネル経路は、刃の配列に対して実質的に垂直であってもよい。流体経路は、細長い皮膚接触部材(60)の皮膚接触面と実質的に平行になるように位置してもよい。別の実施形態では、トンネルの流体経路は、細長い皮膚接触部材の皮膚接触面に向かって独立して延在してもよい。
【0040】
トンネル(62)は、例えば、単一の細長い弾性接触部材(60)内に単一構造体として形成されてもよく、又はトンネル及び任意選択的に細長い皮膚接触要素(60)を形成するように組み立てられた別個の構成要素から形成されてもよい。一実施形態では、(複数の)トンネルの少なくとも一部分は、第2の構成要素から形成することができる。別の実施形態では、(複数の)トンネルの少なくとも一部分は、細長い弾性皮膚接触要素(60)に2次構造体を挿入することにより形成することができる。別の実施形態では、細長い皮膚接触要素(60)とハウジング(20)又はハウジング(20)の一部分との組み合わせからトンネルを形成することができる。
【0041】
別の実施形態において、細長い強化手段は、細長い皮膚接触手段(60)に隣接して、又は細長い皮膚接触手段(60)の内部に一体化して位置してもよい。細長い強化手段は、第1の側方端部分(28)から第2の側方端部分(29)若しくはこの一部分まで、かつ/又は第1の側方部分の端部分(74)から第2の側方端部分(76)まで延在してもよい。細長い強化手段は、細長い皮膚接触要素(60)が皮膚に対して圧力を加えると、トンネル断面形状が維持され、トンネル(62)を通る流体の連続流を可能にすることを確保することを補助することができる。細長い強化手段は、ハウジング(20)及び又は細長い皮膚接触要素(60)と同じ材料から形成されてもよい。一実施形態では、細長い強化手段は、30〜120の間のショアA硬度を有する。
【0042】
別の実施形態において、上述した細長い強化手段がない場合、細長い皮膚接触要素(60)が使用者の皮膚に押し付けられると、カートリッジ使用中に、トンネル(62)の変形が生じ得る。このような変形により、断面直径又は長軸が減少するにつれて、皮膚に対する圧力が増減するので、トンネルがポンプとして機能して、これによってトンネル(60)を通って流体をポンピングすることを可能する場合がある。
【0043】
特定の実施形態では、トンネル(62)は、ハウジング(20)及び又は細長い弾性皮膚接触要素(60)と同じ材料、例えば、Noryl(商標)(General Electric Plastics、現在のSABIC Innovative Plasticsが開発したポリフェニレンオキサイド(PPO)とポリスチレンとのブレンド)から成形されてもよい。トンネルはまた、好ましくは、約30、40、50、60、又は70〜約90、110又は120のショアA硬度を有する他の半剛性ポリマーから成形されてもよい。あるいは、トンネルは、熱可塑性エラストマー(TPE)又はゴムで製造されてもよい。例としては、シリコーン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンスチレン(SBS)TPE、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)TPE(例えば、Kraton)、ポリエステルTPE(例えば、Hytrel)、ポリアミドTPE(Pebax)、ポリウレタンTPE、ポリオレフィン系TPE、及びこれらのTPEの任意のブレンド(例えば、ポリエステル/SEBSブレンド)が挙げられ、あるいはKraiburg HTC 1028/96、HTC 8802/37、HTC 8802/34、又はHTC 8802/11(KRAIBURG TPE GmbH & Co.KG(Waldkraiburg、Germany))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
トンネルは、射出成形、超音波溶接などの既知の製造技術を使用して形成することができる。
【0045】
剃毛補助剤
かみそりカートリッジは、潤滑剤、又は潤滑材料を含む潤滑ストリップ又は剃毛補助剤を更に含んでもよい。潤滑材料は、様々な形態とすることができるだけでなく、以下に詳細に記載するように、これらの混合物/組み合わせとすることもできる。潤滑ストリップは、刃(22)の前方又は後方に位置することができ、ハウジング(20)に静的に装着されてもよく、あるいはばねにより装着されてもよい。剃毛補助剤が、刃の前方、特に細長い皮膚接触要素(60)の前方に位置する実施形態については、剃毛補助剤はまた、好ましくは細長い皮膚接触要素(60)のトンネルに対応するトンネル又はチャネル及び対応する開口部が備えられる。あるいは、図4Cに示すように、潤滑部材(50)は、トンネル入口の下方に位置してもよい。
【0046】
潤滑部材は、かみそりカートリッジ上の任意の固形化学物質から構成することができ、剃毛補助剤と称される場合が多い。かみそりカートリッジ上の剃毛補助剤は、ストリップの形態である場合が多く、潤滑ストリップと称される。潤滑ストリップは、典型的には、エチレン−酢酸ビニル(EVA)若しくは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などの水不溶性構造化剤又はマトリックスポリマー、及び高分子量ポリエチレンオキサイドなどの水溶性潤滑剤の形態である。他の形態の剃毛補助剤としては、熱成形、射出成形、押出成形又は当技術分野で既知の他のプロセスにより製造することができる石鹸及び他の潤滑化学物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
高分子量ポリエチレンオキサイド及び耐衝撃性ポリスチレンのマトリックスの場合、耐衝撃性ポリスチレンは、潤滑ストリップの支持構造体として機能し、高分子量ポリエチレンオキサイドは、潤滑構成要素として機能する。好適な潤滑部材の例は、米国特許第7,811,553号、米国特許出願公開第2008/0060201(A1)号、同第2009/0223057(A1)号及び英国特許第2138438(B)号に記載されている。
【0048】
本発明のかみそりカートリッジはまた、かみそりのハンドルが組成物を収容するためのキャビティを含む液体分配かみそりのための特定の有用性を見出すことができる。組成物は、典型的には、アクチュエータを使用して、キャビティから少なくとも1つの分配オリフィス及び任意選択的に一方向弁を有する流体分配部材に分配される。
【0049】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6