(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742449
(24)【登録日】2020年7月30日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】座席用家具シャーシに固定するためのフットレストシャーシ
(51)【国際特許分類】
A47C 7/50 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
A47C7/50 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-566627(P2018-566627)
(86)(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公表番号】特表2019-512365(P2019-512365A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2016055330
(87)【国際公開番号】WO2017152998
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2019年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】518324784
【氏名又は名称】イノテック モーション ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】INNOTEC MOTION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】マッケルト,ミハエル
【審査官】
小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0289477(US,A1)
【文献】
特開昭63−200710(JP,A)
【文献】
特開2001−000274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/50
A47C 1/034−1/037
B60N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席用家具シャーシ(103)に固定するためのフットレストシャーシ(100)であって、
第1領域(101)と、
第2領域(102)と、
第1領域(101)を座席用家具シャーシ(103)に固定するための少なくとも1つの固定手段(104;105)と、
結合手段(106;107;108)とを含み、
第1領域(101)および第2領域(102)は、座席用家具シャーシ(103)に装着された状態において、固定手段(104;105)によって規定される第1旋回軸回りに旋回可能であり、
第2領域(102)は、結合手段(106;107;108)を介して第1領域(101)と結合される、フットレストシャーシ(100)において、
第1領域(101)および第2領域(102)が第1旋回軸線回りに旋回運動するとき、結合手段(106;107;108)によって規定された第2旋回軸回りの第2領域(102)の追加の旋回運動が生じ、
フットレストシャーシ(100)は、座席用家具シャーシ(103)のベアリング手段(201)上に載置されるように構成された支持面(200)を有し、第1旋回軸回りの第1領域(101)および第2領域(102)の旋回運動は、支持面(201)の偏りによって引き起こされ得ることを特徴とするフットレストシャーシ(100)。
【請求項2】
結合手段(106;107;108)は、第1結合要素(106)と第2結合要素(107)とを備え、第1結合要素(106)は、第2旋回軸を規定し、第2結合要素(107)は、第2旋回軸回りの旋回運動を引き起こすように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項3】
第2結合要素(107)は、レバーのように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項4】
固定手段(104;105)は、第1固定要素(104)と第2固定要素(105)とを備え、第1固定要素(104)は、第1旋回軸を規定し、第2固定要素(105)は、第2旋回軸回りの第2領域の旋回運動を引き起こすように構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項5】
第2固定要素(105)は、レバーのように構成されることを特徴とする、請求項4に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項6】
結合手段(106;107;108)は、第2結合要素(107)を第2固定要素(105)に結合する第3結合要素(108)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項7】
第1旋回軸回りの第1領域(101)の旋回運動の間、第3結合要素(108)の旋回運動は、第2固定要素(105)によって第3旋回軸回りで引き起こされることを特徴とする、請求項6に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項8】
第2固定要素(105)は、第3結合要素(108)に回転可能に結合されることを特徴とする、請求項7に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項9】
第3結合要素(108)は、第2結合要素(107)に回転可能に結合されることを特徴とする、請求項7または8に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項10】
フットレストシャーシ(100)は、支持面(201)にばね力を加えるように構成されたばね手段を含み、支持面(201)はベアリング手段(200)に対して押圧されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフットレストシャーシ(100)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のフットレストシャーシ(100)と、座席用家具シャーシ(103)とを備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席用家具シャーシに固定するためのフットレストシャーシに関する。
【背景技術】
【0002】
技術水準から、請求項1の上位概念に従ったフットレストシャーシは、公用にされていることが知られている。フットレストシャーシは、ユーザにとっての快適性を高めるために、座席用家具シャーシに固定されている。本明細書では、シャーシとは、特に、肘掛いすのような座席用家具を製造するために詰め物を取り付けることが可能であり、折り畳みおよび展開のような座席用家具の機械的機能を可能にする装置を意味すると理解される。
【0003】
フットレストシャーシには、ユーザが自分の足を置くことが可能である、本来のフットレストが固定されている。通常、フットレストシャーシは、を折り畳み式で、折り畳んだり、展開したりすることができるものであり、ユーザーはフットレストに足を載せるかどうかを選択できる。展開状態では、ユーザは、自分の足と、モデルによっては少なくとも脚の一部とを、フットレストシャーシ上に載せることが可能である。
【0004】
フットレストシャーシが折り畳まれている間、および展開されている間、知られたフットレストシャーシの場合、座席用家具の座部の下側に比較的多くのスペースが必要である。フットレストの展開プロセスの間、座部と座部側に向いていないフットレストの端部との間の距離を大きくするために、フットレストを延ばせば、フットレストの下方端部が、ユーザのふくらはぎを押圧し、これは、ユーザにとっては通常不快である。
【発明の概要】
【0005】
公知のフットレストシャーシと比較して、本発明は、折り畳みプロセスのとき、および展開プロセスのとき、座席用家具の座部の下に少しのスペースしか必要でなく、ユーザの快適性を高めるフットレストシャーシを提供することを課題とする。さらにまた、このようなフットレストシャーシと座席用家具シャーシを備えるシステムを作製することを課題とする。
【0006】
この目的は、請求項1に記載のフットレストシャーシと、請求項12に記載のシステムによって達成される。本発明の実施形態は従属請求項に示されている。
【0007】
フットレストシャーシは、第1領域と、第2領域と、第1領域を座席用家具シャーシに固定するための少なくとも1つの固定手段と、結合手段とを含む。第1領域および第2領域は、座席用家具シャーシに装着された状態において、固定手段によって規定される第1旋回軸回りに旋回可能である。第2領域は、結合手段を介して第1領域と結合される。
【0008】
第1領域および第2領域が第1旋回軸回りに旋回運動するとき、結合手段によって規定された第2旋回軸回りの第2領域の追加の旋回運動が生じる。この第2旋回運動は自動的に引き起こさせることが可能である。
【0009】
第2旋回軸回りの第2領域の旋回運動は、フットレストシャーシの省スペースの折り畳みプロセスおよび展開プロセスを可能にする。したがって、第2領域は、第1旋回軸回りそしてまた第2旋回軸回り両方の折り畳みプロセスおよび展開プロセスの間に、これらの2つの旋回運動から組み合わされた運動を実行するように旋回される。言い換えれば、第2領域の第1旋回運動および第2旋回運動は、重なり合っている。しかし、第1領域は、第1旋回軸回りでのみ旋回され、第2旋回軸回りでは旋回されない。
【0010】
また、第2旋回軸回りの第2領域の旋回は、フットレストシャーシが展開プロセス中にずれるとき、フットレストの下方端部がふくらはぎを突く前に、第2領域がすばやく旋回して、ユーザのふくらはぎに接触することができるという利点を有する。
【0011】
第1領域に、フットレストの第1部分を固定することが可能である。第2領域には、フットレストの第2部分を固定することが可能である。このような2つの部分からなることが、第1領域および第2領域の前述の旋回挙動を可能にする。
【0012】
さらにまた、フットレストシャーシは2つの部分で形成されることも可能である。この場合、フットレストシャーシは、2つの第1領域と、2つの第2領域と、2つの固定手段と、2つの結合手段とを備え、第1領域、第2領域、固定手段、および結合手段の各々は、フートレストシャーシの2つの部分の一方に配設することが可能であり、フットレストシャーシの両部分の機構は同じか類似して構成される。このようにして、特に軽量のフットレストシャーシを達成することが可能である。
【0013】
本発明の一実施形態に従えば、結合手段は、第1結合要素と第2結合要素とを備えることが可能である。第1結合要素は、第2旋回軸を規定することができる。第2結合要素は、第2旋回軸回りの旋回運動を引き起こすように構成されてもよい。第1結合要素は、たとえば、第2領域の構成要素がその回りで回転可能なボルトであってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に従えば、第2結合要素は、レバーのように構成されてもよい。このレバーのような第2結合要素は、たとえば、第1の結合要素回りで回転可能な第2領域の構成要素に回転可能に結合されてもよい。したがって、第2旋回軸回りの第2領域の旋回運動は、第2結合要素によって引き起こすことができる。
【0015】
本発明の一実施形態に従えば、固定手段は、第1固定要素と第2固定要素とを備えることができる。第1固定要素は、第1旋回軸を規定することができる。第2固定要素は、第2旋回軸回りの第2領域の旋回運動を引き起こすように構成されてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に従えば、第2固定要素は、レバーのように構成することができる。
【0017】
本発明の一実施形態に従えば、結合手段は、第2結合要素を第2固定要素に結合する第3結合要素を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態に従えば、第1旋回軸回りの第1領域の旋回運動の間、第3結合要素の旋回運動は、第2固定要素によって第3旋回軸回りで引き起こされ得る。第3結合要素は、例えば、第3旋回軸を規定するボルトによって支持されてもよい。第3結合手段に対する第2固定手段の移動により、第3結合手段が第3旋回軸回りに旋回され、それによって第2結合要素が移動する。これにより、第2旋回軸回りの第2領域の旋回運動がもたらされる。第2固定手段の引き起こされた相対運動は、第1旋回軸回りの第1領域の旋回運動によって引き起こされる。
【0019】
本発明の一実施形態に従えば、第2固定要素は、第3結合要素に回転可能に結合することができる。
【0020】
本発明の一実施形態に従えば、第3結合要素は、第2結合要素に回転可能に結合することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に従えば、フットレストシャーシは、座席用家具シャーシのベアリング手段上に載置されるように構成された支持面を有することができる。第1旋回軸回りの第1領域および第2領域の旋回運動は、支持面の偏りによって引き起こされ得る。座席用家具シャーシとフットレストシャーシとのこのような結合は、フットレストシャーシを折り畳む場合に、その折り畳み経路において起こり得る、物、動物または人への損傷の危険性を低減させるために有利である。フットレストシャーシは、支持面によって、ベアリング手段上に載置されているので、物、動物または人には比較的わずかの力しか作用せず、よって損傷の危険性が低減される。
【0022】
それにもかかわらず、フットレストシャーシは、損傷の危険性を増大させることなく、第2固定要素で座席用家具シャーシに固定することができる。第1旋回軸回りの第1領域の旋回運動は、支持面の偏りによって引き起こされるので、物、動物または人が、フートレストシャーシの折り畳み経路にあるときには、そのような偏りは生じない。したがって、第3結合手段に相対する第2固定要素の動きは生じない。その結果、第1軸回りの旋回運動も、第2軸回りの旋回運動も、第3軸回りの旋回運動も起こらない。
【0023】
本発明の一実施形態に従えば、フットレストシャーシは、支持面にばね力を加えるように構成されたばね手段を含むことが可能であり、支持面はベアリング手段に対して押圧される。このようにして、支持面は、ベアリング手段を、十分な力で押圧し、それによって、フットレストシャーシの折り畳みおよび展開プロセスが行える。人、動物または物が、フートレストシャーシの折り畳み経路にある場合、人、動物または物にはばね力のみが作用する。その場合、ばね力は、非常に小さく選ぶことが可能であるので、損傷の危険性が低い。
【0024】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。同一または類似の構成要素および同一または同様の機能を有する構成要素については、同じ参照符号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】折り畳まれた状態で座席用家具シャーシに固定された本発明の一実施形態に従ったフットレストシャーシの概略斜視図である。
【
図2】部分的に展開された状態の、
図1のフットレストシャーシの概略斜視図である。
【
図3】さらに展開された状態の、
図2のフットレストシャーシの概略斜視図である。
【
図4】さらに展開された状態の、
図3のフットレストシャーシの概略斜視図である。
【
図5】さらに展開された状態の、
図4のフットレストシャーシの概略斜視図である。
【
図6】さらに展開された状態の、
図5のフットレストシャーシの概略斜視図である。
【
図7】別の視点からの、
図6のフットレストシャーシの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
フットレストシャーシ100の展開プロセスは、
図1〜
図6の順に見ることによって理解することができる。折り畳みプロセスは正反対に起こるので、
図6〜
図1の順に見ることによって理解することができる。
【0027】
フットレストシャーシ100は、座席用家具シャーシ103に固定され、座席用家具シャーシ103のみによって相互に結合された2つの部分を含む。これら2つの部分は、互いに平行に配設され、同様に構成されてなり、どちらの部分も、その折り畳みおよび展開のプロセスは同様に行われる。フットレストを両方の部分に固定して、2つの部分を相互に結合することができる。
【0028】
フットレストシャーシ100は、第1領域101と第2領域102とを含む。2つの部分からなるフットレストの第1部分は、第1領域101に固定することが可能である。第2領域102には、フットレストの第2部分を固定することができる。したがって、フットレストシャーシ100は、2つの部分からなるフットレスト用に構成されている。
【0029】
第1領域101は、第1固定要素104によって座席用家具シャーシ103に固定される。第1留め具104は、ボルト形状に構成され、第1領域101および第2領域102の両方が、展開プロセス中に旋回する第1旋回軸を規定する。さらにまた、第1領域101は、座席用家具シャーシ103のベアリング手段201と接触する支持面200を有する。ベアリング手段201により、第1旋回軸回りの第1領域101の旋回運動が、引き起こされる。
【0030】
支持面200は、ばね手段によってベアリング手段201に対して押圧され、したがって、フットレストシャーシ100の折り畳み経路に、物、動物または人が存在しているときには、物、動物または人に対して、ばね力だけが作用する。
【0031】
さらにまた、フットレストシャーシ100は、座席用家具シャーシ103に固定される第2固定要素105を有する。第2固定要素105はレバーのように構成される。
【0032】
第2領域は、第1結合手段106および第2結合手段107を介して第1領域101に結合されている。第1結合手段106は、ボルトのように形成され、第2領域102が旋回する第2旋回軸を規定する。第2結合手段107は、レバーのように構成される。また、フットレストシャーシ100は、第2固定手段105および第2結合手段107とそれぞれ回転可能に結合される第3結合手段108を含む。また、第2結合手段106は、第2領域102と回転可能に結合される。
【0033】
フットレストシャーシ100を展開するとき、ベアリング手段201は押し出され、よって、支持面200と第1領域101とは、第1旋回軸回りに上方に旋回される。この旋回運動は反時計回りに起こり、第2固定要素105と第3結合要素108との間の相対運動を引き起こし、第3結合要素108の旋回運動をもたらす。この場合、第3結合要素108の旋回方向は、第1領域の旋回方向とは反対である。
【0034】
第3結合手段108の旋回運動は、第2結合手段107と第1結合手段106との間の相対移動を引き起こし、第2領域102は、第1結合手段106によって規定される第2回りに旋回する。この旋回運動は、第1旋回軸回りの第1領域101の旋回運動と同じ旋回方向で行われる。
【0035】
したがって、第2領域102は、第1旋回軸および第2旋回軸回りの2つの重ね合わされた旋回運動によって移動される。
【0036】
特に、上記の機構によって2つの利点が達成される。第一に、フットレストシャーシ100は、旋回動作のために座席用家具の座部の下に比較的わずかのスペースを要するだけである。他方、フットレストシャーシ100は、フットレストシャーシが、折り畳みプロセスおよび展開プロセスの間に、引っ込められるまたは伸張される、座席用家具シャーシ103の場合に、特に良好に利用できる。この利点は、
図2〜
図4を見ると特に明確になる。第2領域102は、ユーザの脚に後ろからフットレストが接触する前に、ユーザの足がフットレストに接触するように展開される。これは、一瞬のフットレストとふくらはぎとの不愉快な接触が防止されるので、ユーザにとっては特に快適である。