(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を
図1ないし
図7を参照して説明する。
【0010】
図5ないし
図7において、11は電動送風機を示し、この電動送風機11は、例えば電気掃除機やブロワなどに用いられるものである。
【0011】
この電動送風機11は、電動機であるブラシレスモータ12と、このブラシレスモータ12より回転されるファンである遠心ファン13とを一体的に備えている。なお、以下、説明をより明確にするために、電動送風機11のブラシレスモータ12側を後側(矢印RR側)とし、遠心ファン13側を前側(矢印FR側)として説明する。
【0012】
ブラシレスモータ12は、ロータ(回転子)21と、このロータ21を回転させる力を発生させるステータ(固定子)22と、ロータ21の回転位置を検出する検出部23と、ステータ22で発生させる力を制御する制御部24と、ステータ22および検出部23を位置決めしつつ固定する固定部材25と、この固定部材25を介してステータ22および検出部23が固定される被固定部材であるフレーム26とを備えている。
【0013】
ロータ21は、一端側(前端側)に遠心ファン13が取り付けられる出力軸(シャフト)である回転軸28と、この回転軸28の他端側(後端側)に一体的に固定される磁石部であるロータ本体29と、このロータ本体29よりも一端側(前端側)の位置で回転軸28を回転可能に保持するベアリング部30とを備えている。
【0014】
回転軸28は、例えばステンレスなどの金属により細長い円柱状に形成されている。
【0015】
ロータ本体29は、円筒状に形成され、回転軸28に対して例えば接着固定されている。このロータ本体29には、図示しない永久磁石が埋め込まれ、外周の略半分(略半周分)が例えばN極の(一の)磁極29a、残りの略半分(略半周分)がS極の(他の)磁極29bとなっている。すなわち、このロータ本体29は、略等しい大きさでかつ互いに極性が異なる一対の磁極29a,29bを周方向(回転方向)に隣接して備えている。
【0016】
ベアリング部30は、フレーム26に固定される円筒状のスリーブ32と、このスリーブ32内の両端の位置に固定されたベアリング33,33とを備えており、これらベアリング33,33の内部に回転軸28が挿通されてこれらベアリング33,33に保持されている。
【0017】
ステータ22は、
図1ないし
図4に示すように、例えば電磁鋼板などの磁性体により形成されたステータコア35と、このステータコア35に一体成形されたステータ絶縁である絶縁体36とを備えており、この絶縁体36に銅線などの断面略円形状の線材37が巻き付けられて構成されている。
【0018】
ステータコア35は、互いに離間された対をなす一および他のコア部41,42の一端部間が連結部43により連結され、略U字状(略C字状)に形成されている。一および他のコア部41,42の自由端部側である他端部には、(一および他の)磁極部である一および他のコア歯部45,46と、(一および他の)位置決め部である一および他の膨出部47,48とが一体に形成されているとともに、ステータ22をフレーム26にねじ止め固定するための(一および他の)固定用孔である丸孔状の一および他の通孔49,50がステータコア35を厚さ方向(前後方向)に貫通して形成されている。なお、以下、
図4に示す上下方向および左右方向を、電動送風機11(ブラシレスモータ12)の上下方向(矢印U側および矢印D側)および左右方向(矢印L側および矢印R側)として説明する。
【0019】
一および他のコア歯部45,46は、一および他のコア部41,42の他端部にて互いに対向するように(一のコア部41の右側および他のコア部42の左側に)突設されている。これら一および他のコア歯部45,46は、それぞれ円弧状に湾曲して互いに対向する一および他の磁気作用面54,55を有しているとともに、一および他のスロット開口部56,57を介して互いに左右に離間されている。また、これら一および他のコア歯部45,46には、連結部43と反対側である上側の位置に、一および他の切欠部58,59が形成されている。
【0020】
一および他の磁気作用面54,55は、ロータ21を回転させるための磁気をロータ本体29(磁極29a,29b)に作用させる部分であり、ロータ本体29の外周面(磁極29a,29b)に所定の間隙を介して左右に対向している。また、これら一および他の磁気作用面54,55は、円弧の中心の位置が互いに僅かにずれて配置されている。
【0021】
絶縁体36は、例えば耐熱性に優れた合成樹脂などにより形成されており、ステータコア35の一および他のコア部41,42に配置された被巻回部である一および他の被巻回部63,64と、中間保持部66と保持部67とが一体に設けられている。
【0022】
一および他の被巻回部63,64は、互いに離間された四角形枠状の一対の一の側壁部である側板部63a,63bおよび一対の他の側壁部である側板部64a,64bを有するとともに、これら側板部63b,63a間および側板部64b,64a間に連続し外側面に線材37が巻き付けられる多角形筒状、本実施形態では角筒状の一および他の被巻回部本体63c,64cを有するボビン状に形成されており、一および他のコア部41,42が挿通されている。すなわち、これら一および他の被巻回部63,64は、一および他のコア部41,42の周囲を囲んで位置している。そして、一および他の被巻回部本体63c,64cの外面に対して、線材37の一端側が絶縁体36の一の被巻回部63に所定の方向に螺旋状に多層に巻回され、他端側が絶縁体36の他の被巻回部64に一の被巻回部63と同様に所定の方向に多層に巻回されて、コイルである一および他のコイル68,69を形成しているとともに、これら両端間の中間部分が中間保持部66に保持され、かつ、両端部が保持部67に保持されている。すなわち、本実施形態では、1本の線材37によって一および他のコイル68,69が構成されている。
【0023】
側板部63a,64aは、それぞれ一および他の被巻回部63,64への線材37の巻き始め側に位置する端部にて一および他の被巻回部本体63c,64cに対して軸方向と交差する方向に立ち上げられた側壁部であり、互いに一体に連続して連結部43に位置している。すなわち、これら側板部63a,64aは、巻回された線材37を保持する保持部となっている。また、側板部63aには、一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)への線材37の巻き始め部分37aを収納する収納部としての溝部63dと、一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)への線材37の巻き終わり部分37bを挿通する一の取付溝部63eとが一の被巻回部本体63cを挟む左右両側に設けられている。また、側板部64aには、他の被巻回部64(他の被巻回部本体64c)への線材37の巻き始め部分37cを収納(挿通)する収納部としての他の取付溝部64dが設けられている。
【0024】
溝部63dは、側板部63aの一の被巻回部本体63c側の面に前後方向に沿って線材37の線径(直径)以上の深さで凹設されており、一の被巻回部本体63cの左側に対向する位置まで延びている。したがって、この溝部63dに収納される線材37の巻き始め部分37aが一の被巻回部本体63c側へと突出しないようになっているとともに、一の被巻回部本体63cの側板部63a側である下側の端部の左側すなわち一の被巻回部本体63cに対して他の被巻回部本体64cと反対側の位置が、一の被巻回部63に対する線材37の巻き始めとなっている。
【0025】
一および他の取付溝部63e,64dは、側板部63a,64aをそれぞれ上下方向に貫通して設けられており、一の被巻回部本体63cの右側および他の被巻回部本体64cの左側に位置している。すなわち、一および他の取付溝部63e,64dは、それぞれ一および他の被巻回部本体63c,64cに対して、他および一の被巻回部本体64c,63c側に位置している。そして、他の被巻回部本体64cの側板部64a側である下側の端部の左側すなわち他の被巻回部本体64cに対して一の被巻回部本体63c側の位置が、他の被巻回部64に対する線材37の巻き始めとなっている。
【0026】
一および他の被巻回部本体63c,64cのそれぞれは、上下方向に沿って軸方向を有しており、前後左右にそれぞれ外面を有する角筒状となっている。これら一および他の被巻回部本体63c,64cの外面は、側板部63a,63bおよび側板部64a,64bと連続して形成されている。また、これら一の被巻回部本体63cの後側の外面、すなわち一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)に対する線材37の巻き始めである1層目の1巻き目の巻き終わりに位置する外面63fには、側板部63a,63bと隣接する両端の位置に、(一の)ガイド部63g,63hが突設されている。同様に、他の被巻回部本体64cの後側の外面、すなわち他の被巻回部64(他の被巻回部本体64c)に対する線材37の巻き始めである1層目の1巻き目の巻き始めに位置する外面64fには、側板部64a,64bと隣接する両端の位置に、(他の)ガイド部64g,64hが突設されている。
【0027】
ガイド部63g,63h,64g,64hは、線材37を巻き方向に沿ってガイドするものであり、それぞれ外面63f,64fからの突出高さが線材37の直径(線径)、すなわち線材37の1層目の外面63f,64fからの突出高さと略等しく設定されている。
【0028】
そして、ガイド部63g,64gは、それぞれ一および他の被巻回部63,64(一および他の被巻回部本体63c,64c)に対する線材37の1層目の1巻き目を外面63f,64f上でガイドするように、巻回方向に沿って傾斜した楔状(略三角形状)に形成されている。すなわち、これらガイド部63g,64gは、線材37の1層目の1巻き目を、一および他の被巻回部63,64(一および他の被巻回部本体63c,64c)に対して左側の外面に沿って前側から、前側の外面に沿って右側、右側の外面に沿って上側、および、上側の外面63f,64fに沿って左側と巻き付ける際のこの外面63f,64f上に位置する線材37の巻き終わりを右側から左側へと徐々に上方にガイドするように、線材37の巻き方向に沿ってテーパ状に傾斜している。したがって、ガイド部63gは、一の被巻回部本体63cの外面63fにおいて、他の被巻回部本体63cから離れるほど側板部63aから側板部63b側(線材37の巻き終わり側)に突出するように傾斜している。また、ガイド部64gは、他の被巻回部本体64cの外面64fにおいて、一の被巻回部本体63cに接近するほど側板部64aから側板部64b側(線材37の巻き終わり側)に突出するように傾斜している。
【0029】
同様に、ガイド部63h,64hは、それぞれ一および他の被巻回部63,64(一および他の被巻回部本体63c,64c)に対する線材37の1層目の最終の巻き目を外面63f,64f上でガイドするように、巻回方向に沿って傾斜した楔状(略三角形状)に形成されている。すなわち、これらガイド部63h,64hは、線材37の1層目の最終の巻き目を、一および他の被巻回部63,64(一および他の被巻回部本体63c,64c)に対して左側の外面に沿って前側、前側の外面に沿って右側、右側の外面に沿って上側、および、上側の外面63f,64fに沿って左側と巻き付ける際のこの外面63f,64f上に位置する線材37の巻き終わりを右側から左側へと徐々に上方にガイドするように、線材37の巻き方向に沿ってテーパ状に傾斜している。したがって、ガイド部63hは、一の被巻回部本体63cの外面63fにおいて、他の被巻回部本体63cから離れるほど側板部63aから側板部63b側(線材37の巻き終わり側)に突出するように傾斜している。また、ガイド部64hは、他の被巻回部本体64cの外面64fにおいて、一の被巻回部本体63cに接近するほど側板部64aから側板部64b側(線材37の巻き終わり側)に突出するように傾斜している。
【0030】
また、中間保持部66は、一および他の被巻回部63,64に対して後方に突出し、前後方向に沿って軸方向を有し後端側が開口された角筒状に形成されており、一および他の被巻回部63,64間にて、ステータコア35の連結部43の左右方向の略中央部に位置している。この中間保持部66は、ブラシレスモータ12の軸方向である前後方向と交差(直交)する左右方向に沿って長手状で線材37の一部を保持する中間保持溝部66aを有している。そして、この中間保持部66には、中間端子71(
図7(b))が挿入されて取り付けられている。この中間端子71は、導電性を有する金属などの板状の部材をプレス成形などによって折り曲げて形成されており、中間保持部66に挿入されて線材37と電気的に接続されている。
【0031】
保持部67は、一および他の被巻回部63,64に対して後方に突出し、前後方向に沿って軸方向を有し後端側が開口された角筒状に形成されており、一の被巻回部63のステータコア35の連結部43側に位置している。この保持部67は、前後方向および左右方向と交差(直交)する上下方向に沿って長手状で線材37の一部を保持する一および他の保持溝部67a,67bを有している。一の保持溝部67aは、溝部63dと連通している。そして、この保持部67には、端子部72(
図7(b))が挿入されて取り付けられている。この端子部72は、導電性を有する金属などの板状の部材をプレス成形などによって折り曲げて形成されており、保持部67に挿入されて線材37の一の被巻回部63への巻き始め部分37aおよび他の被巻回部64への巻き終わり部分37dとそれぞれ電気的に接続されているとともに、保持部67から突出して外部回路と電気的に接続されている。
【0032】
一および他のコイル68,69は、ステータコア35の一および他のコア歯部45,46(一および他の磁気作用面54,55)に互いに極性が異なる磁極を発生させる電磁石をなすものであり、線材37を一および他の被巻回部63,64にそれぞれ同方向に巻回することで形成されている。したがって、これら一および他のコイル68,69は、電気的に、端子部72(
図7(b))と中間端子71(
図7(b))との間に並列に接続され、一のコイル68の巻き始めである線材37の巻き始め部分37aが端子部72(
図7(b))側、他のコイル69の巻き始めである線材37の巻き始め部分37cが中間端子71(
図7(b))側となっている。
【0033】
線材37は、導電性の線材本体の表面を例えばエナメルワニスなどの薄い絶縁被覆(表皮)により覆ったものである。
【0034】
また、
図5および
図6に示す検出部23は、基板74、この基板74に実装された位置検出手段75および温度検出手段76を備えている。また、基板74には、検出部23と制御部24とを電気的に接続するための端子台部78が配置されている。
【0035】
位置検出手段75は、ロータ21のロータ本体29の磁極29a,29bの極性を検出することによってロータ21の回転位置(回転角度)を検出するもので、例えばホールICなどである。
【0036】
温度検出手段76は、ステータ22(一および他のコイル68,69)の温度を検出するもので、例えばサーミスタなどである。
【0037】
制御部24は、検出部23と電気的に接続され、位置検出手段75により検出したロータ21の回転位置に応じて一および他のコイル68,69に流れる電流の向きや通電時間を切り換える電流切換手段の機能を有しており、通電時間の切り換えによってロータ21の回転数を制御するようになっている。また、この制御部24は、温度検出手段76により検出した一および他のコイル68,69の温度が所定以上である場合には、一および他のコイル68,69に流れる電流を遮断するなどしてステータ22(一および他のコイル68,69)を過熱に対して保護できる保護手段の機能を有している。そして、この制御部24は、例えばフレーム26以外の所定の位置に固定される。
【0038】
固定部材25は、検出部23(基板74)を位置決めするとともに、ステータ22および検出部23(基板74)をフレーム26に対して保持するものである。
【0039】
また、
図5ないし
図7(a)および
図7(b)に示すフレーム26は、例えば合成樹脂などにより形成されており、円柱状の被固定部材本体であるフレーム本体81と、このフレーム本体81の周囲に位置する円筒状の外壁部82と、これらフレーム本体81と外壁部82とを連結する複数の整流フィンである整流部83とを一体に備えている。
【0040】
フレーム本体81には、前側である一端側に、遠心ファン13が嵌合するとともに、ベアリング部30(スリーブ32)が挿入固定される。また、このフレーム本体81には、後側である他端側に、ステータ22および検出部23(基板74)を固定部材25とともにフレーム26に固定する固定体であるねじ85,85がフレーム26の軸方向(前後方向)に沿ってそれぞれねじ止めされる。
【0041】
外壁部82は、フレーム本体81の外周面に対して離間されており、この外壁部82の内周面とフレーム本体81の外周面との間に、各整流部83が位置する流通路87が区画されている。そして、この流通路87の後側である他端側が、遠心ファン13から吹き出された空気を電動送風機11(ブラシレスモータ12)の外部へと排出する排気口88となっている。
【0042】
各整流部83は、遠心ファン13から外周側へと吹き出されて流通路87を一端側から他端側へと通過する空気を整流するものである。
【0043】
一方、遠心ファン13は、ブラシレスモータ12の回転軸28の前端部に一体的に固定されている。この遠心ファン13は、一端部から他端部に向かって徐々に拡径する円筒状に形成され、一方向への回転によって空気を中心側から外周側へと整流するように構成されている。そして、この遠心ファン13はフレーム26に対して一体的に固定されるカバー部91により覆われている。
【0044】
カバー部91は、中央部に円形状の吸込口93が貫通して設けられ、この吸込口93に遠心ファン13が外周に間隙を有して挿入配置されている。また、このカバー部91の内周側は、遠心ファン13の外周側に対して間隙を有しており、この間隙が、吸込口93と流通路87とを連通する連通路94となっている。
【0045】
次に、上記一実施形態の製造方法を説明する。
【0046】
電動送風機11を製造する際には、概略として、ベアリング部30、ロータ本体29および遠心ファン13を回転軸28に取り付けたロータ21をフレーム26に取り付けるとともに、別途組み立てたステータ22および検出部23を固定部材25とともにフレーム26に取り付け、フレーム26にカバー部91を取り付ける。
【0047】
ステータ22の組み立ての際には、まず、ステータコア35と一体成形した絶縁体36の一の被巻回部63の一の被巻回部本体63cの外面に対して、図示しないノズルにより張力を加えた線材37を一定方向に螺旋状に巻回していく。このとき、線材37は、一の被巻回部本体63cの側板部63a近傍の位置から、左側の外面、前側の外面、右側の外面および後側の外面63fと巻き付けられ、この1巻き目の巻き終わりがガイド部63gに沿ってガイドされることで、一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)の軸方向に対する傾斜角度が決定される。したがって、2巻き目以降、線材37は1巻き目と同じ角度に隙間なく整列した状態で側板部63b側である上側へと繰り返し巻き付けられていく。そして、線材37は、1層目の巻き終わりの位置で、外面63f上でガイド部63hに沿ってガイドされた後、この線材37を1層目に重ねるように巻き付けて2層目とする。このとき、ガイド部63g,63hの外面63fからの突出高さが線材37の直径と等しいため、線材37の1層目とガイド部63g,63hの高さが揃っており、かつ、線材37の1層目が隙間なく整列した状態となっているので、2層目が1層目の隙間などに落ち込むことなく整列した状態で側板部63b側である上側から側板部63a側である下側へと繰り返し巻き付けられていく。なお、この2層目の巻き付けの傾斜角度は、
図1に一部を図示するように、1層目の巻き付けの傾斜方向に対して交差する方向となる。そして、側板部63aの近傍まで2層目を巻き付けると、さらにこの2層目に重ねるように線材37の3層目を巻き付ける。このように線材37の巻き付けを繰り返し、必要となる層(例えば4層)分、線材37を巻き付ける。このように、線材37を一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)の外面に対して所定の巻数分巻き付けると、一のコイル68が形成される。また、線材37の巻き始め部分37aは、2層目以降の線材37の巻き付けにより溝部63dに押し込まれて収納されていく。
【0048】
この線材37は、引き続いて、一のコイル68を構成する線材37の巻き終わり部分37bを一の取付溝部63eから中間保持部66側に引き出し、この中間保持部66の中間保持溝部66aに挿入嵌合させた後、他の取付溝部64dから他の被巻回部64側へと導出し、他の被巻回部64の他の被巻回部本体64cに対して、一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)に巻き付けた方向と同方向の一定方向に、この一の被巻回部63(一の被巻回部本体63c)に巻回したときと同様の工程で巻回していく。そして、線材37を他の被巻回部64(他の被巻回部本体64c)の外面に対して所定の巻数分巻き付けると、他のコイル69が形成される。
【0049】
この後、線材37の巻き始め部分37aおよび巻き終わり部分37dを、保持部67の一および他の保持溝部67a,67bに保持して末端をカットする。
【0050】
この状態で、中間保持部66に中間端子71を圧入することで、中間端子71によって線材37の絶縁皮膜が傷付けられ、線材37と中間端子71とが導通するとともに、中間端子71が中間保持部66に固定される。したがって、中間端子71と線材37の両端間の中央部(一のコイル68の巻き終わりおよび他のコイル69の巻き始め)とが電気的に導通された状態で中間端子71が中間保持部66に固定される(
図7(b))。
【0051】
同様に、保持部67に端子部72を圧入することで、端子部72によって線材37の絶縁皮膜が傷付けられ、線材37と端子部72とが導通するとともに、端子部72が保持部67に固定される。したがって、端子部72と線材37の両端部(一のコイル68の巻き始めおよび他のコイル69の巻き終わり)とがそれぞれ電気的に導通された状態で端子部72が保持部67に固定されて(
図7(b))、ステータ22が完成する。
【0052】
この後、完成したステータ22および別途組み立てたロータ21などをフレーム26に組み付ける。ロータ21は、ベアリング部30をフレーム本体81に挿入して接着固定するとともに、カバー部91をフレーム26に接着固定することで、遠心ファン13がフレーム26のフレーム本体81の前側に位置するとともに吸込口93に挿入され、吸込口93と流通路87とが連通路94によって連通される。
【0053】
また、検出部23を固定部材25と位置合わせして重ね、この固定部材25の一主面を、ステータ22のステータコア35の後側に位置決めしつつ重ねることで、基板74および固定部材25とステータコア35の一および他のコア歯部45,46間(一および他の磁気作用面54,55間)とが略同軸に位置し、位置検出手段75が一のスロット開口部56から一および他の磁気作用面54,55側に対向し、かつ、温度検出手段76がステータコア35に対向する。
【0054】
そして、ステータ22および検出部23を固定部材25とともにフレーム26の後方から重ね、ねじ85,85を後方から挿入してフレーム本体81の後側にねじ止めすることで、ステータ22および検出部23が固定部材25を介してフレーム26に固定される。
【0055】
この状態で、ロータ本体29の外周面(磁極29a,29b)が一および他のコア歯部45,46(一および他の磁気作用面54,55)間に所定の間隙を介して位置して位置検出手段75に対向するように位置決めされる。
【0056】
このように完成した電動送風機11は所定の位置に組み付けるとともに、中間端子71および端子部72にリード線などを電気的に接続することで、電力が供給されて回転可能な状態となる。
【0057】
検出部23では、位置検出手段75が磁極29a,29bを介してロータ21(磁極29a,29b)の回転位置、すなわち磁極29a,29bの回転位置を検出しており、この回転位置に応じて制御部24が一および他のコイル68,69に流す電流の向きを切り換えることで、一および他のコア歯部45,46(一および他の磁気作用面54,55)に生じる磁極を切り換えて、ロータ21を回転させる。そして、このロータ21の回転により、このロータ21の回転軸28と一体的に固定された遠心ファン13が回転することで負圧が生じ、吸込口93から空気が吸い込まれる。この空気は、遠心ファン13に沿って整流されつつ連通路94から流通路87へと流れ、この流通路87を通過する際に各整流部83により整流されるとともにブラシレスモータ12を冷却し、排気口88から排気される。
【0058】
なお、温度検出手段76は、ステータコア35を介して一および他のコイル68,69の温度、すなわちステータ22の温度を検出し、当該温度が所定温度以上となった場合には、一のコイル68および(または)他のコイル69が過熱しているものと判断して制御部24がこれら一および他のコイル68,69に流れる電流を低下させることでロータ21の回転を停止させ、電動送風機11(ブラシレスモータ12)を保護する。
【0059】
このように、以上説明した一実施形態によれば、一および被巻回部63,64の線材37の巻き始めの1巻き目の巻き終わりに位置する外面63f,64fにて、線材37の1層目の1巻き目および最終の巻き目を巻き方向に沿ってガイドするガイド部63g,63h,64g,64hを設けたので、1層目を巻き付けた状態で、巻き付けられた線材37間に隙間などが生じることがなく、例えば巻き付けられた線材の一部を逃がして整列の崩れを抑制する逃げ部などを絶縁体に凹設する場合と比較して、絶縁体36の強度を低下させることなく、線材37を整列した状態で複数層巻き付けできる。この結果、一および他のコイル68,69のボリュームが抑制されて軽量となるとともに、線材37を巻く量がばらつきにくく、より性能が安定したステータ22を提供できる。
【0060】
また、ガイド部63g,63h,64g,64hが、線材37の巻き方向に沿ってテーパ状に傾斜しているので、線材37とガイド部63g,63h,64g,64hとが略平行な状態となって接触が緩和され、ガイド部63g,63h,64g,64hから線材37への負荷を低減できる。
【0061】
さらに、ガイド部63g,63h,64g,64hの突出高さが線材37の線径と等しいので、2層目の線材37において、ガイド部63g,63h,64g,64h上に巻き付けられる位置と1層目の線材37上に巻き付けられる位置とで段差が生じず、2層目をより整列した状態で巻き付けできる。
【0062】
また、一および他の被巻回部63,64の線材37の巻き始め側に位置する端部にて軸方向と交差する方向、すなわち一および他のコイル68,69での線材37の積層方向に立ち上げられた側板部63a,64aに、線材37の巻き始め部分37a,37cを収納する溝部63dおよび他の取付溝部64dを設けたので、これら巻き始め部分37a,37cが一および他の被巻回部63,64に巻き付ける線材37の2層目以降の巻き付けの邪魔になることがなく、2層目以降を容易に整列させた状態で巻き付けできる。
【0063】
そして、上記のステータ22をブラシレスモータ12(電動送風機11)に備えることで、軽量で高効率なブラシレスモータ12(電動送風機11)を提供できる。
【0064】
なお、上記一実施形態において、ステータコア35の磁極部は一対設けたが、3以上の複数であってもよい。この場合には、絶縁体36の被巻回部も磁極部と同数の複数設けることができる。
【0065】
また、ガイド部は、全ての被巻回部に設けたが、少なくともいずれかの被巻回部、好ましくは線材37を巻き始める被巻回部に設ければよい。
【0066】
さらに、1本の線材37によりコイル68,69を構成したが、別々の線材を用いてコイルを構成してもよい。
【0067】
また、被巻回部(被巻回部本体)は、三角筒状、あるいは五角形以上の多角形筒状とすることもできる。
【0068】
そして、ブラシレスモータ12は、電動送風機11以外の任意の電気機器にも適用できる。
【0069】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。