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特許6742841X線蛍光透視装置マーカーの不透過性制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6742841
(24)【登録日】2020年7月31日
(45)【発行日】2020年8月19日
(54)【発明の名称】X線蛍光透視装置マーカーの不透過性制御
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20200806BHJP
【FI】
   A61B6/00 390A
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-135786(P2016-135786)
(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公開番号】特開2017-18597(P2017-18597A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2019年7月8日
(31)【優先権主張番号】62/190,291
(32)【優先日】2015年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/176,583
(32)【優先日】2016年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ローネン・クルプニク
(72)【発明者】
【氏名】ナタン・シャロン・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・ウルマン
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−119689(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/184382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
G01N 23/00−23/2276
G03B 42/00−42/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
X線に透過性である外被と、
X線に透過性であり、前記外被内に収容されている流体と、
X線に不透過性であり、前記流体内で懸濁している複数の荷電粒子と、
前記複数の荷電粒子にフィールドを印加するように構成されている、前記外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極とを備え、前記フィールドが存在しない場合、前記荷電粒子が、前記流体全体に分散しており、
前記外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交しており、
前記第1対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に不透過性にする前記外被内の第1層を形成するよう、第1フィールドを印加するように構成されており、前記第2対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に透過性にする前記外被内の第2層を形成するよう、第2フィールドを印加するように構成されている、装置。
【請求項2】
装置であって、
X線に透過性である外被のアレイと、
X線に透過性であり、容器内に収容されている流体と、
X線に不透過性であり、前記流体内で懸濁している複数の荷電粒子と、
各外被における前記複数の荷電粒子に各フィールドを印加するように構成されている、各外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極とを備え、前記各フィールドが存在しない場合、前記荷電粒子が、前記流体全体に分散しており、
各外被について、各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、個々にアドレス可能であり、かつ、切り替え可能であり、前記アレイ中の各個々の外被を、前記アレイ中の他の外被とは関係なく透過性または不透過性にすることができるよう、各外被のための各フィールドを生成するように構成されている、装置。
【請求項3】
各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記各外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記各外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交している、請求項記載の装置。
【請求項4】
方法であって、
X線に透過性である外被を提供することと、
X線に透過性である流体を、前記外被内に包含させることと、
X線に不透過性である複数の荷電粒子を、前記流体内で懸濁させることと、
少なくとも2つの電極を、前記外被の相対する側面の上に配置することとを含み、前記少なくとも2つの電極が、前記複数の荷電粒子にフィールドを印加するように構成されており、前記フィールドが存在しない場合、前記荷電粒子が、前記流体全体に分散しており、
前記外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交しており、
前記第1対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に不透過性にする前記外被内の第1層を形成するよう、第1フィールドを印加するように構成されており、前記第2対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に透過性にする前記外被内の第2層を形成するよう、第2フィールドを印加するように構成されている、方法。
【請求項5】
方法であって、
X線に透過性である外被のアレイを提供することと、
X線に透過性である流体を、前記外被内に包含させることと、
X線に不透過性である複数の荷電粒子を、前記流体内で懸濁させることと、
少なくとも2つの電極を、各外被の相対する側面の上に配置することとを含み、前記少なくとも2つの電極が、前記各外被中の前記複数の荷電粒子に各フィールドを印加するように構成されており、前記各フィールドが存在しない場合、前記荷電粒子が、前記流体全体に分散しており、
各外被について、各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、個々にアドレス可能であり、かつ、切り替え可能であり、前記アレイ中の各個々の外被を、前記アレイ中の他の外被とは関係なく透過性または不透過性にすることができるよう、各外被のための各フィールドを生成するように構成されている、方法。
【請求項6】
各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記各外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記各外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交している、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年7月9日に出願された米国仮出願第62/190,291号の利益を主張する。同仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、X線蛍光透視法に関し、具体的には、制御可能な透過性を有し得るX線蛍光透視装置マーカーの設計および操作に関する。
【背景技術】
【0003】
X線蛍光透視法中に、X線蛍光透視法を行っている医師は、X線蛍光透視法により生成された画像の特定領域を表示する必要がある場合がある。典型的には、前記表示は、医師がX線蛍光透視法的に不透過なマーカーを、画像化されている領域の適切な位置に配置することにより実行され得る。前記表示が前記画像内に登録された後、医師は、前記マーカーを取り除く場合がある。
【0004】
前記マーカーの配置および除去には時間がかかり、X線蛍光透視法を行っている医師の集中力を損ないもする。
【0005】
本特許出願中に参照に組み込まれている文献は、本明細書に明確にまたは黙示的になされている定義と矛盾する方法で、任意の用語がこれらの組み込まれている文献において定義されている限りにおいて、本明細書中の定義のみが考慮されるべきであることを除いて、本出願の不可欠な部分であると考慮されるものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、装置であって、
X線に透過性である外被と、
X線に透過性であり、前記外被内に収容されている流体と、
X線に不透過性であり、前記流体内で懸濁している複数の荷電粒子と、
前記複数の粒子にフィールドを印加するように構成されている、前記外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極とを備え、前記フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、装置を提供する。
【0007】
開示されている実施形態において、前記少なくとも2つの電極により印加されたフィールドは、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被が前記X線に不透過性になるように、前記外被内に層を形成するか、あるいは、前記少なくとも2つの電極により印加されたフィールドは、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被が前記X線に透過性になるように、前記外被内に層を形成する。
【0008】
さらに開示されている実施形態において、前記外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極は、前記外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とからなり、前記第1および第2対の電極は、互いに直交している。典型的には、前記第1対の電極は、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被をX線に不透過性にする前記外被内の第1層を形成するよう、第1フィールドを印加するように構成されており、前記第2対の電極は、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被をX線に透過性にする前記外被内の第2層を形成するよう、第2フィールドを印加するように構成されている。
【0009】
本発明の実施形態に基づいて、装置であって、
X線に透過性である外被のアレイと、
X線に透過性であり、容器内に収容されている流体と、
X線に不透過性であり、前記流体内で懸濁している複数の荷電粒子と、
各外被における前記複数の粒子に各フィールドを印加するように構成されている、各外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極とを備え、前記各フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、装置がさらに提供される。
【0010】
開示されている実施形態において、各外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極は、前記各外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記各外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを含み、前記第1および第2対の電極は、互いに直交している。
【0011】
さらに開示されている実施形態において、各外被について、各外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極は、個々にアドレス可能であり、かつ、切り替え可能であり、前記アレイ中の各個々の外被を、前記アレイ中の他の外被とは関係なく透過性または不透過性にすることができるように、各外被のための各フィールドを生成するように構成されている。
【0012】
本発明の実施形態に基づいて、方法であって、
X線に透過性である外被を提供することと、
X線に透過性である流体を、前記外被内に包含させることと、
X線に不透過性である複数の荷電粒子を、前記流体内で懸濁させることと、
少なくとも2つの電極を、前記外被の相対する側面の上に配置することとを含み、前記少なくとも2つの電極が、前記複数の粒子にフィールドを印加するように構成されており、前記フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、方法がさらに提供される。
【0013】
本発明の実施形態に基づいて、方法であって、
X線に透過性である外被のアレイを提供することと、
X線に透過性である流体を、前記外被内に包含させることと、
X線に不透過性である複数の荷電粒子を、前記流体内で懸濁させることと、
少なくとも2つの電極を、各外被の相対する側面の上に配置することとを含み、前記少なくとも2つの電極が、前記各外被中の前記複数の粒子に各フィールドを印加するように構成されており、前記各フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している方法が、さらに提供される。
【0014】
本開示は、下記「発明を実施するための形態」のその実施形態から、図面と共により完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に基づく容器の模式図である。
図2】本発明の実施形態に基づく容器内の懸濁液の挙動を例示する。
図3】本発明の別の実施形態に基づく容器内の懸濁液の挙動を例示する。
図4】本発明の実施形態に基づく容器のアレイの模式図である。
図5】本発明の実施形態に基づくアレイの操作の模式図である。
図6】本発明の実施形態に基づくアレイの操作の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(概観)
X線蛍光透視法を使用する医療行為中に、同行為を行っている医師は、患者の特定領域を表示し、これにより、同領域をX線蛍光透視装置画像上で可視化するのを望む場合がある。前記表示は、典型的には、医師、または別の人物が、1つ以上のX線蛍光透視法的に不透過性なマーカーを、前記特定領域に物理的に置くことによりなされ得る。典型的には、前記マーカーを、同行為中の後の段階において取り除く必要がある。しかしながら、正確に配置および除去するために、マーカーにより、医師のワークフローが妨げられる。
【0017】
本発明の実施形態は、調節可能な不透過性を有するX線蛍光透視装置マーカーを提供することにより、この課題を解決する。すなわち、特定のマーカーは、X線蛍光透視装置画像上で見えるようにX線蛍光透視法的に不透過性であるか、または、X線蛍光透視装置画像上で見えないようにX線蛍光透視法的に透過性であるように設定され得る。このため、不透過性のマーカーを配置した後、前記マーカーが透過性のマーカーに変換され得るために、それを物理的に取り除く必要がない。
【0018】
一実施形態では、前記マーカーは、外被のアレイを含み、各外被は、X線に透過性であり、同様にX線に透過性である流体で満たされている。複数の荷電粒子は、前記流体内に懸濁している。各外被周囲には、少なくとも2つの電極、典型的には、4つの電極が、前記外被の相対する側面の上に配置されている。前記電極は、フィールドを前記粒子に印加するように構成されている。これにより、第1フィールドが印加された場合、前記粒子が、前記外被をX線に不透過性にする前記外被内の第1層を形成し、第2フィールドが印加された場合、前記粒子が、前記外被をX線に透過性にする前記外被内の第2層を形成する。
【0019】
(詳細な説明)
図1は、本発明の実施形態に基づく容器20の模式図である。容器20は、X線蛍光透視法的に透過性である、外側略立方体状外被22を有する。典型的には、外被22は、生体適合性プラスチックから形成されており、可視光に透過性でもよいし、または、不透過性でもよい。前記立方体状外被は、約1mmの典型的な側面を有する。ただし、一部の実施形態では、前記側面は、この値より小さくてもよいし、または、大きくてもよい。下記説明における明確性のために、容器20の端部は、例として、直交するxyz軸のセットを規定すると仮定される。
【0020】
容器20には、不活性な生体適合性の絶縁性、すなわち、非伝導性の流体24、例えば、室温で液体のパラフィンが満たされている。単純化のために、前記流体は、本明細書において、液体を含むと仮定され、本明細書において、液体24とも呼ばれる。液体24は、X線に透過性であるように選択される。液体内には、典型的には、略球状の複数の粒子26が分散している。粒子26は、X線に不透過性である材料、例えば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、またはビスマス酸塩化物を含んで形成されている。加えて、粒子26は、液体24と実質的に同じ密度を有するように構成されている。これにより、前記粒子と前記液体とが互いに、懸濁液30を形成している。容器20は、典型的には、前記容器内に収容されている懸濁液30を含んで密閉されている。
【0021】
さらに、粒子26は、電荷を有するようにも構成されている。前記粒子が有する電荷を実現するために、前記粒子は、自然な電荷を有してもよいし、表面電荷を付与するために前記粒子に典型的に加えられる電荷制御剤を使用して明確に電荷していてもよいし、または、絶縁性液体24中に懸濁させた場合に、電荷を取得してもよい。下記説明では、粒子26は、例として、負電荷を有すると仮定される。このため、懸濁液30は、電気泳動性懸濁液である。
【0022】
一部の実施形態では、粒子26は、荷電ポリマーによりコーティングされている、Janusナノ粒子である。Lattuada et al.による文献「Synthesis,properties and applications of Janus nanoparticles,」published in Nano Today 6 (3):June 2011 Pages 286〜308には、このような粒子の製造が記載されている。同文献は、参照により本明細書に組み込まれる。Cospheric LLC(Santa Barbara、CA)は、マイクロ粒子、例えば、粒子26として使用するのに適するよう、上記されているように、荷電するように構成され得る、Janusマイクロ粒子を製造している。
【0023】
容器20は、x軸に対して直交する前記容器の側面上に第1対の電極34A、34Bと、y軸に対して直交する前記容器の側面上に第2対の電極38A、38Bとを有する。このため、前記2つの対の電極は、互いに直交している。典型的には、前記電極は、外被22の外側に形成されているが、明確性のために、図面では、前記電極は、前記外被から離れて図示されている。電極用材料は、X線に透過性であるように選択される。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に基づいて、電極38A、38Bが電極において正および負電荷を有し、電極34A、34Bが非電荷である場合の、懸濁液30の挙動を例示する。この場合に、電極38A、38Bは、y軸に平行な電界を生じさせる。これにより、粒子26は、前記正電極に向かって引き寄せられ、正に帯電した電極38Aに近接する容器20の内側表面上に概ね平面の層を形成する。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に基づいて、電極34A、34Bが電極において正および負電荷を有し、電極38A、38Bが非電荷である場合の、懸濁液30の挙動を例示する。このため、電極34A、34Bは、x軸に平行な電界を生じさせる。粒子26は、正電極34Aに向かって引き寄せられ、正に帯電した電極34Aに近接する容器20の内側表面上に概ね平面の層を形成する。
【0026】
図4は、本発明の実施形態に基づく容器20のアレイ50の模式図である。アレイ50は、例として、ある容器深さを有する矩形状アレイを備えると仮定される。挿入図54は、2つの容器20をより詳細に例示し、より詳細には、明確性のために、前記挿入図は、分解した状態での2つの容器を示す。また、明確性のために、前記容器上に形成されている電極38A、38Bは、前記挿入図中には示されていない。
【0027】
隣接する容器20の電極34A、34Bは、絶縁体60により分離されている。典型的には、アレイ50の全ての電極34Aは、互いに接続されている。同様に、前記アレイの全ての電極34Bは、互いに接続されている。ただし、絶縁体60は、電極34Aおよび34Bが、互いに電気的に絶縁されているのを確保している。図には示されていないが、全ての電極38Aは、互いに接続されており、全ての電極38Bは、互いに接続されている。
【0028】
図5はおよび6は、本発明の実施形態に基づくアレイ50の操作の模式図である。前記図は、アレイ50の断面を例示しており、前記アレイは、X線供給源70とX線検出器72との間に配置されていると仮定される。X線供給源70およびX線検出器72は、X線蛍光透視装置の構成要素である。典型的には、アレイ50は、医療行為を受けている患者に置くことができる可撓性パッドとして構成されている。同行為中に、X線蛍光透視装置は、典型的には、前記供給源と前記検出器との間にいる患者を画像化するのに使用される。前記検出器からのシグナルは、X線画像化分野において周知の方法により、患者のX線画像を生成するのに使用される。前記X線画像は、スクリーン74に表示される。(単純化のために、患者は、前記図には図示していない。)
【0029】
図5は、電界が前記アレイにy軸に沿って印加された場合、例えば、電極38A、38Bそれぞれが、正および負電荷を有し、電極34A、34Bが非電荷である場合の、スクリーン74上の画像を例示する。この場合、アレイ50の容器20は、一般的には、X線供給源からのX線に不透過性である。これにより、前記スクリーンは、X線不透過性物体として、前記アレイを登録する。
【0030】
図6は、電界が前記アレイにx軸に沿って印加された場合、例えば、電極34A、34Bそれぞれが、正および負電荷を有し、電極38A、38Bが非電荷である場合の、前記スクリーン上の画像を例示する。この場合、アレイ50の容器20は、一般的には、X線供給源からのX線に透過性である。これにより、前記スクリーンは、X線透過性物体として、前記アレイを登録する。
【0031】
アレイ50が、上記手法の種類についての切り替え可能なX線マーカーとして構成され得ることが、上記説明から理解されるであろう。すなわち、アレイ50は、電極34A、34B、38A、および38Bにおける電荷を単純に変化させることにより、不透過性または透過性であるように構成され得る。
【0032】
上記説明では、アレイ50は、前記アレイの全ての容器20がX線に透過性であるように切り替えられ得るよう、または、全ての容器20が不透過性であるように切り替えられ得るように構成されていると仮定される。これは、アレイ50において、選択された容器20を透過性または不透過性であるように、個々に変化させる方法が存在しないためである。
【0033】
本発明の実施形態は、容器のx軸フィールドおよびy軸フィールドが個々にアクセス可能であり、かつ、切り替え可能な容器20のアレイを含む。これらの種類のアレイについて、x軸フィールド用の少なくとも1セットの電極およびy軸フィールド用の少なくとも1セットの電極は、他の対応する電極に接続されていない。例えば、アレイ中の各電極34Aは、個々にアドレス可能なように構成されてもよい。一方、電極34Bは全て、互いに接続されていてもよく、典型的には、接地に接続されていてもよい。同様に、前記アレイ中の各電極38Aは、個々にアドレス可能なように構成されてもよい。一方、電極38Bは全て、互いに接続されてもよく、典型的には、接地にも接続されていてもよい。このような配置により、前記アレイ中の各個々の容器を、X線に透過性または不透過性にすることが可能となる。これにより、例えば、前記アレイは、X線画像上での切り替え可能なラベルまたは図またはアイコンを提供するのに使用され得る。
【0034】
上記説明は、簡易化のために、容器20が立方体状であると仮定される。ただし、他の形状の容器が、本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。例えば、前記容器が立方体状であるよりむしろ、それらが、平行六面体の形状または湾曲面を有する容量、例えば、楕円体もしくは球体容量の形状でもよい。さらに、前記容器は全てが、同じ形状である必要はなく、または、同じ寸法を有する必要はない。これにより、例えば、一部のアレイは、種々のサイズおよび/または種々の形状を有する平行六面体および/または楕円体の組み合わせを有してもよい。
【0035】
所定の容器形状に関わらず、前記容器に形成された電極が、x軸フィールドおよびy軸フィールドを独立して切り替え可能にするように構成され得ることが理解されるであろう。例えば、球体容器の場合には、4つの独立した電極が、前記容器周囲に形成されてもよい。前記電極の内2つは、前記球の「上部」および「底部」に存在し、2つの電極が、前記球の相対する「側」に存在する。
【0036】
上記されている実施形態は、例として列挙されており、本発明は、上記で特に示され、記載されているものに限定されないことが認識されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記されている種々の特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせと、前述の説明を読むことに基づいて当業者が想起するであろう、先行技術に開示されていない変形例および修飾との両方を含む。
【0037】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
X線に透過性である外被と、
X線に透過性であり、前記外被内に収容されている流体と、
X線に不透過性であり、前記流体内で懸濁している複数の荷電粒子と、
前記複数の粒子にフィールドを印加するように構成されている、前記外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極とを備え、前記フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、装置。
(2) 前記少なくとも2つの電極により印加された前記フィールドが、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被が前記X線に不透過性になるように、前記外被内に層を形成する、実施態様1記載の装置。
(3) 前記少なくとも2つの電極により印加された前記フィールドが、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被が前記X線に透過性になるように、前記外被内に層を形成する、実施態様1記載の装置。
(4) 前記外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交している、実施態様1記載の装置。
(5) 前記第1対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に不透過性にする前記外被内の第1層を形成するよう、第1フィールドを印加するように構成されており、前記第2対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に透過性にする前記外被内の第2層を形成するよう、第2フィールドを印加するように構成されている、実施態様4記載の装置。
【0038】
(6) 装置であって、
X線に透過性である外被のアレイと、
X線に透過性であり、容器内に収容されている流体と、
X線に不透過性であり、前記流体内で懸濁している複数の荷電粒子と、
各外被における前記複数の粒子に各フィールドを印加するように構成されている、各外被の相対する側面の上における少なくとも2つの電極とを備え、前記各フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、装置。
(7) 各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記各外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記各外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交している、実施態様6記載の装置。
(8) 各外被について、各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、個々にアドレス可能であり、かつ、切り替え可能であり、前記アレイ中の各個々の外被を、前記アレイ中の他の外被とは関係なく透過性または不透過性にすることができるよう、各外被のための各フィールドを生成するように構成されている、実施態様6記載の装置。
(9) 方法であって、
X線に透過性である外被を提供することと、
X線に透過性である流体を、前記外被内に包含させることと、
X線に不透過性である複数の荷電粒子を、前記流体内で懸濁させることと、
少なくとも2つの電極を、前記外被の相対する側面の上に配置することとを含み、前記少なくとも2つの電極が、前記複数の粒子にフィールドを印加するように構成されており、前記フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、方法。
(10) 前記少なくとも2つの電極により印加された前記フィールドが、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被が前記X線に不透過性になるように、前記外被内に層を形成する、実施態様9記載の方法。
【0039】
(11) 前記少なくとも2つの電極により印加された前記フィールドが、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被が前記X線に透過性になるように、前記外被内に層を形成する、実施態様9記載の方法。
(12) 前記外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交している、実施態様9記載の方法。
(13) 前記第1対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に不透過性にする前記外被内の第1層を形成するよう、第1フィールドを印加するように構成されており、前記第2対の電極が、前記複数の荷電粒子を引き寄せて、前記外被を前記X線に透過性にする前記外被内の第2層を形成するよう、第2フィールドを印加するように構成されている、実施態様12記載の方法。
(14) 方法であって、
X線に透過性である外被のアレイを提供することと、
X線に透過性である流体を、前記外被内に包含させることと、
X線に不透過性である複数の荷電粒子を、前記流体内で懸濁させることと、
少なくとも2つの電極を、各外被の相対する側面の上に配置することとを含み、前記少なくとも2つの電極が、前記各外被中の前記複数の粒子に各フィールドを印加するように構成されており、前記各フィールドが存在しない場合、前記粒子が、前記流体全体に分散している、方法。
(15) 各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、前記各外被の第1対の相対する側面の上における第1対の電極と、前記各外被の第2対の相対する側面の上における第2対の電極とを備え、前記第1および第2対の電極が、互いに直交している、実施態様14記載の方法。
【0040】
(16) 各外被について、各外被の相対する側面の上における前記少なくとも2つの電極が、個々にアドレス可能であり、かつ、切り替え可能であり、前記アレイ中の各個々の外被を、前記アレイ中の他の外被とは関係なく透過性または不透過性にすることができるよう、各外被のための各フィールドを生成するように構成されている、実施態様14記載の方法。
図1
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図6